RPG-7

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RPG-7
弾頭だんとう装填そうてん状態じょうたいのRPG-7
RPG-7
種類しゅるい 対戦たいせんしゃロケット擲弾発射はっしゃ
製造せいぞうこく ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう
設計せっけい製造せいぞう Bazaltしゃロシア連邦れんぽう
アーセナルしゃブルガリア
防衛ぼうえい産業さんぎょう機構きこうイラン
朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく北朝鮮きたちょうせん
Airtronic USAしゃアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
など
仕様しよう
種別しゅべつ クルップしき反動はんどうほう
口径こうけい 40mm
使用しよう弾薬だんやく弾頭だんとう」を参照さんしょう
装弾そうだんすう 1はつ
全長ぜんちょう 950mm
重量じゅうりょう 7kg(光学こうがく照準しょうじゅんき)
銃口じゅうこう初速しょそく 115メートル毎秒まいびょう
有効ゆうこう射程しゃてい 弾頭だんとう依存いぞん
歴史れきし 
製造せいぞう期間きかん 1961ねん-現在げんざい
配備はいび期間きかん 1961ねん-現在げんざい
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう ベトナム戦争せんそう
中越なかごえ戦争せんそう
だいよん中東ちゅうとう戦争せんそう
ソ連それんのアフガニスタン侵攻しんこう
モガディシュの戦闘せんとう
チェチェン紛争ふんそう
アメリカのアフガニスタン侵攻しんこう
イラク戦争せんそう
レバノン侵攻しんこう
そのおおくの戦争せんそう紛争ふんそう
バリエーション 派生はせいがた参照さんしょう
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RPG-7ロシア: РПГ-7)は、ソ連それん開発かいはつした携帯けいたい対戦たいせんしゃ擲弾発射はっしゃベトナム戦争せんそうから使用しようされ対戦たいせんしゃ兵器へいきとしては旧式きゅうしきしつつある一方いっぽうで、戦車せんしゃ以外いがい目標もくひょうへの攻撃こうげきふくめて歩兵ほへいよう火器かきとして多目的たもくてき使用しようできるためおおくのくに使用しようされつづけている。さらに安価あんか簡便かんべんであることから、発展はってん途上とじょうこく軍隊ぐんたい武装ぶそう勢力せいりょく民兵みんぺいこのんで使用しようし、世界せかい各地かくち武力ぶりょく紛争ふんそうにおいてひろもちいられている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

RPG-7名称めいしょうは、ロシアで「携帯けいたいしき対戦たいせんしゃ擲弾発射はっしゃ」を意味いみする「РПГ-7:Ручной Противотанковый Гранатомётルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョート)」(英字えいじつづりでは「Ruchnoj Protivotankovyj Granatomjot」)の頭文字かしらもじによる。英語えいごわけ表記ひょうきで「Rocket-Propelled Grenade(ロケット推進すいしん擲弾)」とつづられることがあるが、これはバクロニムであり、厳密げんみつにはあやまりである。

RPG-7よう弾薬だんやくおおくは加速かそくようロケット推進すいしん機能きのうそなえており、対戦たいせんしゃロケットだん発射はっしゃはたロケットランチャーしょうされることがおおい。しかし発射はっしゃ自体じたいはロケットランチャーではなく、そうやくによる発射はっしゃ同時どうじ砲身ほうしん後方こうほうからのガス噴射ふんしゃ反動はんどう相殺そうさいするクルップしき反動はんどうほうである。

RPG-7V1発射はっしゃとPG-7VR弾頭だんとう

RPG-7は、単純たんじゅん構造こうぞう取扱とりあつかい簡便かんべんてい製造せいぞう単価たんかで、発射はっしゃ弾頭だんとうわせた10kg程度ていど重量じゅうりょうは、使つかしきM72 LAWAT4のぞけば対戦たいせんしゃ兵器へいきでは比較的ひかくてき軽量けいりょうである。そのわりたか威力いりょく発揮はっきするため、AK-47自動じどう小銃しょうじゅうおなじく途上とじょうこく軍隊ぐんたいゲリラなどに幅広はばひろ使用しようされている。すくなくとも40ヶ国かこく正規せいき採用さいようしており、様々さまざまなモデルが9ヶ国かこく以上いじょう生産せいさんされている。とくにこの兵器へいきによってゲリラやテロリストが、容易ようい戦車せんしゃ飛行機ひこうきをも破壊はかいしうる火力かりょくったことが、いわゆるてい強度きょうど紛争ふんそう(LIC)の活性かっせい要因よういんひとつとなっている。

だい3世代せだい主力しゅりょく戦車せんしゃであっても、RPG-7の成形せいけい炸薬さくやくだん脆弱ぜいじゃく部位ぶいけると行動こうどう不能ふのうになるほど威力いりょくがある。ただし、このたね歩兵ほへい携行けいこうよう反動はんどうほう共通きょうつうする欠点けってんとして発射はっしゃ後方こうほう噴射ふんしゃ(バックブラスト)がはげしく、射手しゃしゅ位置いち判明はんめいしやすいため、「スーサイドウェポン(suicide weapon、自殺じさつ兵器へいき)」とばれることもある。反撃はんげきけるため、射手しゃしゅ発射はっしゃすみやかな移動いどう必要ひつようとされる。

日本にっぽんにおいては、九州きゅうしゅう南西なんせい海域かいいき工作こうさくせん事件じけんにおいて北朝鮮きたちょうせん工作こうさくいん海上保安庁かいじょうほあんちょう巡視じゅんしせんたいして使用しよう有名ゆうめいになった。また、防衛ぼうえいしょうでも少数しょうすう研究けんきゅうよう購入こうにゅうし、自衛隊じえいたい装備そうびひんたいする各種かくしゅ試験しけん使用しようしている。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

RPG-7は、だい世界せかい大戦たいせん末期まっきドイツ国防こくぼうぐん開発かいはつしたパンツァーファウスト250発展はってんさせたものである。当初とうしょ量産りょうさんされたRPG-2外装がいそうしき擲弾を発射はっしゃする反動はんどうほうであった。これを発展はってんさせたRPG-7では、砲弾ほうだんにロケット推進すいしん機能きのう追加ついかして射程しゃてい延長えんちょう命中めいちゅうりつ向上こうじょう実現じつげんした。

運用うんよう[編集へんしゅう]

RPG-7をかついだイラク治安ちあん部隊ぶたい隊員たいいん
九州きゅうしゅう南西なんせい海域かいいき工作こうさくせん事件じけんで、沈没ちんぼつした北朝鮮きたちょうせん工作こうさくせん付近ふきん海底かいていから回収かいしゅうされたRPG-7発射はっしゃうえの2てい
イスラエル国防こくぼうぐんガザ押収おうしゅうした武器ぶき。AK-47ないし56しきひだり)とRPG-7(みぎ)のわせは、アフリカ中東ちゅうとうなどの紛争ふんそう地域ちいきでは標準ひょうじゅんてき武器ぶきである。
発射はっしゃ後方こうほう噴射ふんしゃ(バックブラスト)

1961ねん以降いこうソ連それんぐん小隊しょうたいけの対戦たいせんしゃ兵器へいきとして大量たいりょう配備はいびされた。空挺くうてい部隊ぶたいにはパラシュート降下こうか邪魔じゃまにならないように砲身ほうしん前後ぜんご分離ぶんり可能かのうRPG-7D配備はいびされたほか、1970ねん以降いこう改良かいりょうがたRPG-16配備はいびされている。

東側ひがしがわ諸国しょこく共産きょうさんゲリラ組織そしきにも大量たいりょう供与きょうよされ、ベトナム戦争せんそうにおいてきたベトナムぐんベトコンは、RPG-7をアメリカぐんみなみベトナムぐん戦車せんしゃ装甲車そうこうしゃヘリコプター陣地じんちなどの攻撃こうげき使用しようしたが、ベトナム戦争せんそうはゲリラせん主体しゅたい戦車せんしゃ活躍かつやく余地よちがあまりなかったため、対戦たいせんしゃ兵器へいきとして注目ちゅうもくあつめる機会きかいにはとぼしかった。

1973ねんだいよん中東ちゅうとう戦争せんそうにおいては、エジプトぐんがRPG-7を9M14 マリュートカ(AT-3 サガー)対戦たいせんしゃミサイルとともに有効ゆうこう活用かつようしてイスラエルぐん戦車せんしゃ多数たすう撃破げきはした。このため、西側にしがわ諸国しょこくにも対戦たいせんしゃ兵器へいきとしての威力いりょくひろみとめられ、損害そんがいけたがわであるイスラエルぐんでも使用しようされた。

中国ちゅうごくでは、1960年代ねんだいにRPG-7をリバースエンジニアリングして、デッドコピー69しきロケットランチャー69しき火箭かせんとう)を生産せいさんしている。さらに、ソ連それん自身じしんワルシャワ条約じょうやく機構きこう加盟かめいこくなどにライセンス生産せいさんみとめたため、AK-47自動じどう小銃しょうじゅう同様どうよう世界中せかいじゅう拡散かくさんした。この結果けっかソ連それんのアフガニスタン侵攻しんこうチェチェン紛争ふんそうにおいてソ連それんぐんロシア連邦れんぽうぐん自国じこくせいおよび外国がいこくせいのRPG-7によって攻撃こうげきされるという皮肉ひにく状況じょうきょうをもたらしている。

北朝鮮きたちょうせんでも朝鮮人民軍ちょうせんじんみんぐんひろ配備はいびされているとかんがえられており、九州きゅうしゅう南西なんせい海域かいいき工作こうさくせん事件じけんでは、海上保安庁かいじょうほあんちょう巡視じゅんしせんに2はつのRPG-7が発射はっしゃされたことが赤外線せきがいせんカメラ映像えいぞうから判明はんめいしている。このさいには、れる海上かいじょうからの射撃しゃげきであったため、2はつとも命中めいちゅうしていない。その不審ふしんせん沈没ちんぼつ地点ちてん周辺しゅうへんから「68しき7ごう発射はっしゃかん」とハングル刻印こくいんされた発射はっしゃげられ、海上かいじょう保安ほあん資料しりょうかん横浜よこはまかん工作こうさくせんとも展示てんじされている。

現代げんだいでもAK(カラシニコフ突撃とつげきじゅう)とともに、世界せかい各地かくち紛争ふんそう頻繁ひんぱん使用しようされている。

ソ連それん軍事ぐんじ産業さんぎょうおおくをいだロシア連邦れんぽう現在げんざい生産せいさんされているモデルは、成形せいけい炸薬さくやくだんタンデム成形せいけい炸薬さくやくだん破片はへん榴弾りゅうだんサーモバリックだんの4種類しゅるい弾頭だんとう発射はっしゃ可能かのうであり、有効ゆうこう射程しゃていを550-700mに延伸えんしんしたRPG-7V2と、空挺くうてい部隊ぶたいけに砲身ほうしん前後ぜんご分割ぶんかつ可能かのうRPG-7D3である。これらは、2001ねんからロシア連邦れんぽうぐんへの配備はいびはじまっている。

2009ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくAirtronic USAが、アメリカぐんけにRPG-7の複製ふくせいひん(ロシアからの製造せいぞうライセンス取得しゅとく有無うむ確認かくにん)を製造せいぞうし、発表はっぴょうした。このアメリカせいRPG-7ともいえる対戦たいせんしゃ兵器へいきは、トリガーグリップがM16/M4カービンのものに変更へんこうされているほか、ランチャー左右さゆう上下じょうげピカティニー・レール装着そうちゃくされている。なお、初期しょき装備そうびである照準しょうじゅん(アイアンサイト)、M4カービンようのフォアグリップやストックピカティニー・レール装着そうちゃくされている。

設計せっけい[編集へんしゅう]

発射はっしゃは、簡易かんい加工かこうされた鋼鉄こうてつつつであり、直径ちょっけい40mm、全長ぜんちょう953mm、重量じゅうりょう7kgである。中央ちゅうおう部分ぶぶん内径ないけい前後ぜんごくらべてややおおきく、発射はっしゃガスの拡張かくちょうしつとして機能きのうし、発射はっしゃ初速しょそくたかめる機能きのうたす。中央ちゅうおう部分ぶぶんから後部こうぶにかけては木材もくざいもしくはたい熱性ねっせいプラスチックおおわれており、兵士へいし発射はっしゃねつからまもるようになっている。ラッパじょうひろがっており、発射はっしゃさいのバックブラストから操作そうさしている兵士へいしまもるほか、反動はんどう相殺そうさいさせる役割やくわりっている。

発射はっしゃ射手しゃしゅ右肩みぎかたかついで使用しようするよう設計せっけいされている。射手しゃしゅげきはつ機構きこうそなえた前部ぜんぶグリップを右手みぎてにぎり、姿勢しせい安定あんていよう後部こうぶグリップないしつつカバーに左手ひだりてえることになる。安全あんぜんピンをはずした擲弾を根元ねもとまで発射はっしゃ挿入そうにゅうして、げきはつ機構きこうげきてつこせば射撃しゃげき準備じゅんびととのう。

一般いっぱんてきには光学こうがく照準しょうじゅん(PGO-7、2.7x)がもちいられ、暗中あんちゅうでも照準しょうじゅんしやすいよう、照準しょうじゅん目盛めもりひからせるための夜光やこう機能きのうそなえる。この光学こうがく照準しょうじゅんは、開発かいはつ当時とうじNATO戦車せんしゃくるまだかを2.7mに仮定かていしてはかとおよこ方向ほうこうへの移動いどう目標もくひょうねらうことができるように照準しょうじゅん目盛めもり設定せっていされている。そのため、このくるまだかてはまらない目標もくひょうたいしてはあまりやくにたたず、移動いどう目標もくひょう横風おうふうたいする偏差へんさ照準しょうじゅん面倒めんどうであるため、本体ほんたい固定こてい装備そうびされた簡易かんいなアイアンサイトを使つかって300m以内いないから射撃しゃげきすることがこのまれる。に、受光じゅこうがた赤外線せきがいせんしきくら照準しょうじゅん装置そうち提供ていきょうされている。また、中国ちゅうごくせいの69しきでは、けい機関きかんじゅうのようなバイポッド(きゃく)やキャリングハンドルが追加ついかされて実用じつようせいしており、本家ほんけのロシアせいでもバイポッドが装備そうびされるようになった。

弾頭だんとう[編集へんしゅう]

ポーランドせい各種かくしゅ弾頭だんとう
PG-7Vの断面だんめん
I) 弾頭だんとう
  1. 信管しんかん
  2. 伝導でんどうかん
  3. 風防ふうぼう
  4. 円錐えんすいライナー
  5. そとから
  6. 爆薬ばくやく
  7. 伝導でんどう
  8. 雷管らいかん
II) ロケットモーター
  1. ノズルストッパー
  2. ノズル
  3. そとから
  4. 推進すいしんやく
  5. リヤモーター
  6. 発射はっしゃよう雷管らいかん
III) 発射はっしゃやく(ブースター)と安定あんていつばさ
  1. 安定あんていつばさ
  2. 薬莢やっきょう
  3. そうやく
  4. 小型こがた安定あんていつばさ
  5. 曳光ざい
  6. もの

弾薬だんやくは、弾頭だんとう断面だんめんI以下いかおなじ)とロケットモーター(II)、発射はっしゃからすためのそうやく17)、安定あんていつばさ15)で構成こうせいされる。弾頭だんとうとロケットモーターは一体化いったいかされており、そうやくたたまれた安定あんていつばさ周囲しゅういかこむように配置はいちされている。そうやく安定あんていつばさIIIぜんはし弾頭だんとう・ロケットモーターユニットはしにはそれぞれねじられており、両者りょうしゃ分離ぶんりして運搬うんぱんされるが、装填そうてんまえにねじんで固定こていする。結合けつごうされた弾薬だんやく発射はっしゃ装填そうてんするさいには、発射はっしゃよう雷管らいかん14)と発射はっしゃがわげきはつ機構きこうとの位置いちわせるために、ロケットモーター噴射ふんしゃブロック(9)のうしろにあるしょう突起とっき発射はっしゃ先端せんたんきにわせる必要ひつようがある。

先端せんたんには、あつでん素子そし1)をもちいた信管しんかん8)が装着そうちゃくされており、目標もくひょう激突げきとつした圧力あつりょく発生はっせいした電気でんき信号しんごう弾頭だんとう構造こうぞうたいから伝導でんどう7)へとつたわり、信管しんかん起爆きばくさせる。このため先端せんたん激突げきとつしないと起爆きばくしないという特性とくせいがある。金網かなあみやスラットアーマーなどに命中めいちゅうするとかなりのかくりつ不発ふはつになることがられており、対策たいさくとしてもちいられている。

弾頭だんとう本体ほんたい直後ちょくご周囲しゅういにはロケットモーター燃焼ねんしょうガスの噴射ふんしゃこう10)が配置はいちされており、推進すいしんやく12)の燃焼ねんしょうガスは弾頭だんとうななうし方向ほうこう放射状ほうしゃじょう噴射ふんしゃされる。弾頭だんとう周囲しゅうい後方こうほう大型おおがた安定あんていつばさ砲身ほうしんから射出しゃしゅつされた直後ちょくご風圧ふうあつひらいて弾頭だんとう直進ちょくしんたすけ、さらに後方こうほう小型こがた安定あんていつばさ18)は弾頭だんとう飛翔ひしょう安定あんていさせるためのゆったりした回転かいてんあたえる。後端こうたんには曳光ざい19)がもうけられ、発射はっしゃ以降いこう燃焼ねんしょうしてひかりはなち、射手しゃしゅ飛翔ひしょうする弾頭だんとう軌跡きせきしめす。

弾頭だんとう本体ほんたい誘導ゆうどう装置そうちく、飛翔ひしょうする弾頭だんとう横風おうふうけると風上かざかみかってかじ特性とくせいがあるため、移動いどう目標もくひょう命中めいちゅうさせるには熟練じゅくれんようする。がねくと、クルップしき反動はんどうほう原理げんりにより、された弾頭だんとう秒速びょうそく115メートルの速度そくど加速かそく、10メートルの距離きょり固体こたいロケットに点火てんかし、500メートルの距離きょりまで最大さいだい秒速びょうそく295メートルに加速かそくし、その慣性かんせいによって飛翔ひしょうする。

最大さいだい射程しゃていは4.5びょう時限じげん信管しんかんにより決定けっていされ、一般いっぱんてきにはやく920メートル(900ないし1,100メートルの誤差ごさ範囲はんい)の距離きょり飛翔ひしょうすると自爆じばくする[1]ヘリコプターのような目標もくひょうたいして直撃ちょくげきせずとも損傷そんしょうあたえるために、時限じげん信管しんかんみじか設定せっていして発射はっしゃすることもできる。製品せいひんによっては時限じげん信管しんかんたず、その場合ばあいには発射はっしゃ命中めいちゅうしないとそのまま落下らっかして不発ふはつだんすおそれがある。

確実かくじつ命中めいちゅうもとめるためには可能かのうかぎ近距離きんきょり射撃しゃげきすることが重要じゅうようである。熟練じゅくれんした射手しゃしゅなら150メートル以上いじょう条件じょうけん次第しだいでは300メートルの距離きょり命中めいちゅうさせることができるが、横風おうふう影響えいきょうけやすいため、実質じっしつてき有効ゆうこう射程しゃていは100メートル以下いかとなる[1]アフガニスタン兵士へいしは80メートル以内いない接近せっきんして射撃しゃげきすることで確実かくじつ標的ひょうてき撃破げきはした。ただし、この距離きょりてきがわからればどんな武器ぶき最大限さいだいげん活用かつようでき、また、随伴ずいはんする歩兵ほへい部隊ぶたい存在そんざいするため、必中ひっちゅう距離きょりから射撃しゃげきできることまれであり、命中めいちゅう精度せいどかんしていえば非常ひじょうひくい。

なお、おおくの場合ばあいには前述ぜんじゅつした後方こうほう噴射ふんしゃ(バックブラスト)が砂塵さじんげててき発見はっけんされる危険きけんせいす。また、地面じめんたった熱風ねっぷう砂利じゃり射手しゃしゅあしきつけ、怪我けが危険きけんもある。そのため、とく仰角ぎょうかくった射撃しゃげきおこなさいには、あらかじめ地面じめん後方こうほう噴射ふんしゃがすためのあなり、さらにそこへって樹木じゅもくなどをくつがえせるなどしてこの危険きけんせい低減ていげんさせる工夫くふうがなされることもある。

パキスタン開発かいはつしたRPG-7AP対人たいじん弾頭だんとう

弾頭だんとうには2種類しゅるい用意よういされており、装甲そうこう車両しゃりょう人員じんいんといった軟目標もくひょうには通常つうじょう榴弾りゅうだん使用しようし、装甲そうこう車両しゃりょうトーチカには成形せいけい炸薬さくやくだん対戦たいせんしゃ榴弾りゅうだん)を使用しようして破壊はかいする。後者こうしゃ弾頭だんとう仕様しよう使用しよう条件じょうけんにもよるが、あつさ30センチメートルないし60センチメートルの均質きんしつ圧延あつえんこう装甲そうこう貫通かんつうる。

また、それ以外いがいにも照明しょうめいだんスモークだん致死ちしせい化学かがくだん焼夷弾しょういだんといった様々さまざま特殊とくしゅ弾頭だんとう用意よういされている。ロシアきゅうワルシャワ条約じょうやく機構きこう所属しょぞく国家こっか、さらに、中国ちゅうごくではサーモバリックねつあつ弾頭だんとう開発かいはつされている。サーモバリック弾頭だんとうとは、トンネルや家屋かおく有効ゆうこう爆発ばくはつ圧力あつりょく攻撃こうげきする弾頭だんとうである。

近年きんねんでは一般いっぱんてきになった、爆発ばくはつ反応はんのう装甲そうこう(ERA)をいちかい攻撃こうげき貫通かんつうするために、成形せいけい炸薬さくやくだん前後ぜんごに2搭載とうさいしたタンデム弾頭だんとう開発かいはつされており、なかでもロシアせいPG-7VR弾頭だんとうは、その威力いりょくたかさを実戦じっせん証明しょうめいしている。

派生はせいがた[編集へんしゅう]

RPG-7D3(PG-7VL対戦たいせんしゃ榴弾りゅうだん装填そうてんしている)
砲身ほうしん前後ぜんご分割ぶんかつしたRPG-7D
中国ちゅうごくせい69しきロケットランチャー、発射はっしゃには対人たいじん榴弾りゅうだん装填そうてんされている

RPG-7は、ソ連それん・ロシア以外いがいにも中国ちゅうごく北朝鮮きたちょうせんベトナムパキスタンイランエジプトブルガリアルーマニアアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく製造せいぞうされているほか、このほかにも製造せいぞうこく存在そんざいする可能かのうせいがある。

  • ソビエト連邦れんぽう・ロシア連邦れんぽう
RPG-7
基本きほんがた
RPG-7V
ひかり増幅ぞうふくパッシブ赤外線せきがいせんしき暗視装置あんしそうち装着そうちゃく可能かのうかた
RPG-7V1
中国ちゅうごくせい69しきにならって、バイポッド装着そうちゃくしたかた。TBG-7 サーモバリック弾頭だんとう発射はっしゃ可能かのう
RPG-7V2
新型しんがたそうやく使用しよう可能かのうにして、有効ゆうこう射距離しゃきょりを550-700mに延伸えんしんしたかた弾道だんどう特性とくせい変化へんかともない、光学こうがく照準しょうじゅんをUP-7Vに変更へんこう(PG-7VRを発射はっしゃするさいには、従来じゅうらいがたのRPO-7を使用しようする)。
RPG-7D
空挺くうていぐん仕様しようで、パラシュート降下こうかよう砲身ほうしん前後ぜんご2つに分割ぶんかつ可能かのう
RPG-7D1
RPG-7Vの空挺くうていぐん仕様しよう
RPG-7D2
RPG-7V1の空挺くうていぐん仕様しよう
RPG-7D3
RPG-7V2の空挺くうていぐん仕様しよう
  • 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく
69しきロケットランチャー69しき40毫米はんひろしかつ火箭かせんとう
中国ちゅうごくノリンコしゃ製造せいぞうしたRPG-7。トリガーグリップ後部こうぶ補助ほじょグリップを排除はいじょし、砲身ほうしん上部じょうぶにキャリングハンドルを追加ついか。オリジナルよりも全長ぜんちょうを40mmほど短縮たんしゅくして軽量けいりょうされている。中国ちゅうごくで「ひろしかつ」(タンク)は「戦車せんしゃ」、「火箭かせん」は「ロケット」の
69-1しき
くら照準しょうじゅん装置そうち使用しよう可能かのうにしたかた
  • そのくに
B41
ベトナムせいRPG-7。
MA-10
ミャンマーせいRPG-7D。
ヤシン英語えいごばん
ガザ地区ちく実効じっこう支配しはいするハマース製造せいぞうする対戦たいせんしゃロケットランチャーで、外見がいけんはRPG-7やRPG-2類似るいじしている。名称めいしょうは、2004ねんイスラエル暗殺あんさつされたハマスの創設そうせつしゃアフマド・ヤースィーン由来ゆらいする。
AG-7
ルーマニアせいRPG-7。
PSRL-1
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくAirtronic USAしゃ製造せいぞうしたRPG-7。トリガーグリップがM16A2/M4カービンのものに変更へんこうされているほか、ランチャー左右さゆう上下じょうげピカティニー・レール装着そうちゃくされており、アイアンサイトのほかにもM4カービンようのフォアグリップやストック装着そうちゃくされている。
F7
北朝鮮きたちょうせんせいRPG-7で輸出ゆしゅつよう大韓民国だいかんみんこく国家こっか情報じょうほういん2023ねんパレスチナ・イスラエル戦争せんそうハマース使用しようしたことを2024ねん1がつ8にち発表はっぴょうし、根拠こんきょとして信管しんかん部分ぶぶんかれたハングルをげた[2]

採用さいようこく[編集へんしゅう]

RPG-7の採用さいようこくあか

※このほかにもヒズボラハマースターリバーンFARCLTTEIRA暫定ざんていアルスター義勇軍ぎゆうぐんUlster Volunteer Force)など、世界中せかいじゅうはん政府せいふゲリラやテロ組織そしき対戦たいせんしゃ対物たいぶつ火器かきデファクト・スタンダードえるほどにひろ使用しようされているが、通常つうじょう状態じょうたいだいさん世代せだい戦車せんしゃ側面そくめん背面はいめん装甲そうこう通用つうようする能力のうりょくるのに入手にゅうしゅコスト手間てまあまからないこともその理由りゆうひとつである。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

RPG-7は世界せかいひろ使用しようされており、実用じつようされてからの使用しよう期間きかんながいポピュラーな携帯けいたい対戦たいせんしゃ擲弾発射はっしゃであるため、アメリカのM72 LAWならんで「歩兵ほへい個人こじんもちいる対戦たいせんしゃ兵器へいき」の代表だいひょうてき存在そんざいとして数々かずかず作品さくひん登場とうじょうする。

ただし、RPG-7の兵器へいきとしての種別しゅべつを「(対戦たいせんしゃ)ロケットランチャー」「バズーカほうさらには「対戦たいせんしゃミサイル」として表現ひょうげんしているれいもあり、かならずしも正確せいかくに「対戦たいせんしゃ擲弾発射はっしゃ」もしくは「ロケット補助ほじょ推進すいしん弾頭だんとうがた反動はんどうほう」と認識にんしきしたうえ登場とうじょうさせているとはかぎらないため、このてんかんして注意ちゅうい必要ひつようである。

なお、実写じっしゃ実物じつぶつ登場とうじょうする以外いがい作品さくひんではあつかいにおける描写びょうしゃとくたまたい描写びょうしゃあやまっているれいおおい。

  • 発射はっしゃたまたいさい後尾こうびからロケットモーター(ブースター)の燃焼ねんしょうガスを噴出ふんしゅつして飛翔ひしょうしているようえがかれることおおいが、実際じっさいのロケットモーターの噴射ふんしゃこう弾頭だんとう炸薬さくやく本体ほんたい直後ちょくごたまたいまえから1/3ほど場所ばしょにあり、燃焼ねんしょうガスはその位置いちから弾頭だんとうななうし方向ほうこう噴射ふんしゃされる。
なお、たまたいさい後尾こうびには発射はっしゃ射手しゃしゅ目視もくし飛翔ひしょうするたまたい確認かくにんするための曳光ざい発光はっこうたい装備そうびされているため、発射はっしゃ飛翔ひしょうするたまたい後尾こうび発光はっこうはつえん)してけむりいているようにはえる。
  • 弾頭だんとう一体いったいになった安定あんていつばさだけがえがかれており、その状態じょうたい発射はっしゃとう装填そうてんされる(そうやく装着そうちゃくされず、また、たまたい安定あんていつばさ装填そうてんまえ分割ぶんかつされていない)ものとして描写びょうしゃされるれいや、そうやく装填そうてんまえ別個べっこになっているものが装着そうちゃくされるが、安定あんていつばさ後端こうたん接続せつぞくされる(安定あんていつばさそうやくべつ部位ぶいかれている)ものとしてえがかれているれいがある。
たまたい後部こうぶ位置いちして発射はっしゃ展開てんかいされる安定あんていつばさは、実際じっさいには発射はっしゃまえ状態じょうたい保管ほかん運搬うんぱん状態じょうたい)では弾頭だんとう部分ぶぶんには装着そうちゃくされておらず、発射はっしゃ直前ちょくぜん弾頭だんとう結合けつごうされるそうやくあお緑色みどりいろ防水ぼうすいパッケージにつつまれている)に埋没まいぼつしており、教練きょうれんよう模擬もぎだん以外いがいではたたまれた状態じょうたい安定あんていつばさ目視もくしすることはできない。

これらのれいから、かならずしもたまたい構造こうぞう理解りかいして描写びょうしゃされているとはかぎらないことがうかがえる。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b RPG-7 対戦たいせんしゃロケット
  2. ^ ハマスが北朝鮮きたちょうせんせいロケットだん使用しようか、韓国かんこく情報じょうほう機関きかん証拠しょうこ写真しゃしん公表こうひょう信管しんかん部分ぶぶんにハングル”. 読売新聞よみうりしんぶんオンライン (2024ねん1がつ9にち). 2024ねん1がつ9にち閲覧えつらん(『読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん2024ねん1がつ10にちづけ国際こくさいめん掲載けいさい

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]