Su-11 (航空機こうくうき)

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Su-11 / Су-11

モニノ空軍博物館に展示されているSu-11

モニノ空軍くうぐん博物館はくぶつかん展示てんじされているSu-11

Su-11(スホーイ11、スホイ11;ロシア:Су-11スー・アヂーンナツァチ)は、ソ連それんちょう音速おんそく迎撃げいげき戦闘せんとう冷戦れいせん時代じだい国土こくど防空ぼうくう一端いったんになった。北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう(NATO)は、Su-11にたいし「フィッシュポットC」(Fishpot-C)というNATOコードネームてた

概要がいよう[編集へんしゅう]

1958ねんSu-9発展はってんがたとして、TsD-30よりはるかに強力きょうりょくなレーダーである「オリョール」を搭載とうさいする開発かいはつT-3-8M(Т-3-8М)が製作せいさくされた。「オリョール」は「ソーコル2」をもとにYak-27K迎撃げいげき戦闘せんとうけに開発かいはつされた当時とうじソ連それん最大さいだい出力しゅつりょくほこったレーダー・ステーションで、Yak-27Kけに開発かいはつすすめられていたK-8(К-8)の改良かいりょうがたK-8-2(К-8-2)そら対空たいくうミサイルが運用うんようできた。このミサイルはK-8M(К-8М)、のちR-8M(Р-8М)と改称かいしょうされた。T-3-8MはSu-9の量産りょうさんぜん試作しさくとなったT-3-51と平行へいこうして試験しけんつづけられた。

さらなる洗練せんれん必要ひつようであるとされ、同年どうねんにはPT-8-4(ПТ-8-4)とK-7そら対空たいくうミサイルを運用うんようするレーダー・ステーション「アルマース」を搭載とうさいしたT-47(Т-47)も製作せいさくされた。PT-8-4はT-47-2(Т-47-2)ともばれたが、この機体きたい事故じこうしなわれるなど試験しけん順調じゅんちょうにはすすまなかった。1958ねん9がつには、稼動かどう状態じょうたいにあるのは3号機ごうきT-47-3(Т-47-3)だけとなってしまい、各種かくしゅ試験しけんがこの機体きたい実施じっしされた。よく1959ねんには、試作しさくだい2シリーズとなるT-47-4(Т-47-4)とT-47-5(Т-47-5)が完成かんせいされた。1960ねんにはさらに増加ぞうか試作しさくT-47-7(Т-47-7)とT-47-8(Т-47-8)が製作せいさくされた。T-47-8には、それまでのAL-7F-1にかえてより強力きょうりょく新型しんがたのターボジェットエンジンAL-7F-2(АЛ-7Ф-2)が搭載とうさいされた。一方いっぽうT-47-6(Т-47-6)はべつそら対空たいくうミサイルK-9(К-9)を搭載とうさいする試験しけんとして製作せいさくされた。K-9ミサイルはT-37(Т-37)としょうするべつのマッハ 3きゅう迎撃げいげき戦闘せんとう搭載とうさいされる予定よていのものであった。したがって、T-47-6はのT-47シリーズの研究けんきゅうとは直接ちょくせつ関連かんれんせいのない機体きたいであると看做みなされる。

5のT-47では非常ひじょうおおくの回数かいすう試験しけん実施じっしされたが、T-47の迎撃げいげきシステムの試験しけんは1961ねん6がつまでに終了しゅうりょうした。同年どうねん11がつには、T-47-8がトゥーシノ飛行場ひこうじょうおこなわれた革命かくめい記念きねん航空こうくうパレードではじめて公開こうかいされた。NATOは、識別しきべつのためこの機体きたいたいし「フィッシュポットC」(Fishpot-C)というコードネームを付与ふよした。

T-47シリーズの研究けんきゅう成果せいかれて完成かんせいされたT-3-8Mは1962ねん2がつ防空ぼうくうぐん制式せいしき採用さいようされることが決定けっていされ、Su-11(Су-11)の名称めいしょうさずかった。「オリョール」レーダー・ステーションは制式せいしき採用さいようとなってRP-11「オリョール」(РП-11 «Орел»)という制式せいしき名称めいしょうあたえられた。搭載とうさいするK-8MミサイルはR-8Mと改称かいしょうされた。また、搭載とうさいするぜんコンプレクスはSu-11-8M(Су-11-8М)と改称かいしょうされた。Su-9よりさらに延長えんちょうされたT-47の機首きしゅ大型おおがたレーダー・ステーション搭載とうさいのためにおおきなふくらみをもっており、重心じゅうしん移動いどうとともに機体きたい不安定ふあんていまねくこととなった。この機体きたいをもとにした量産りょうさんがたSu-11には、RP-11とわされる長距離ちょうきょりそら対空たいくうミサイルとしてセミアクティヴ・レーダー誘導ゆうどうがたのR-8MR(Р-8МР)、赤外線せきがいせん誘導ゆうどうがたのR-8MT(Р-8МТ)がそれぞれ1はつずつ搭載とうさいされた。また、そのには「ウラガーン5B」(Ураган-5Б)迎撃げいげき装置そうち、「シレーナ3」(Сирена-3:「сирена」は「セイレーン」のこと)レーダー警戒けいかい装置そうち、AP-39(АП-39)自動じどう操縦そうじゅう装置そうち、「ヴォーズドゥフ1」自動じどう誘導ゆうどう装置そうちなどの電子でんし機器きき搭載とうさいされた。Su-11最初さいしょ量産りょうさん1962ねん6がつすすむそらした。しかし、同年どうねん10月31にち惨事さんじ発生はっせいした。

その最初さいしょ量産りょうさんがたSu-11は、ヴィークトル・ミハーイロヴィチ・アンドレーエフ(Виктор Михайлович Андреевым)の操縦そうじゅうにより国家こっか赤旗あかはた空軍くうぐん科学かがく試験しけん研究所けんきゅうじょ(GK NII VVS)の試験しけん飛行ひこうのぞんでいた。だが、そのときエンジンが停止ていしした。機体きたいはちょうど市街しがい上空じょうくうかったところであり、操縦そうじゅう見捨みすてぬことを決意けついした。かれ市街しがいのはずれのふるまち飛行場ひこうじょうはこぼうとこころみたが、衝撃しょうげきによる負荷ふか市街しがい墜落ついらくした。この惨事さんじはこのあたらしい迎撃げいげき運命うんめいたいきわめて否定ひていてき影響えいきょうおよぼした。防空ぼうくうぐん司令しれいかんエヴゲーニイ・ヤーコヴレヴィチ・サヴィーツキイ(Евгений Яковлевич Савицкий)は、あまつさえ戦闘せんとう部隊ぶたい配備はいびされたSu-9における事故じこ発生はっせいりつたかさをつよいていたが、この事故じこによりSu-11への反対はんたい意思いしをいっそうつよくした。このとき、ヤコヴレフ設計せっけいきょくアレクサーンドル・セルゲーエヴィチ・ヤーコヴレフ(Александр Сергеевич Яковлев)は根気こんきつよきょくあたらしい迎撃げいげきYak-28P量産りょうさん配備はいびへのみちひらこうとしていた。スホーイの機体きたいくらべた、実際じっさいのあるいは架空かくうのあらゆる長所ちょうしょ宣伝せんでんされた。まもなく、今後こんご迎撃げいげき信頼しんらいせい向上こうじょうのために機体きたいかならずそれぞれに電気でんきおよ水素すいそ補給ほきゅうシステムの駆動くどう装置そうちをもった2つのエンジンを搭載とうさいしなければならないという決定けっていくだされた。スホーイ設計せっけいきょくでは、ちょうどあらたな試作しさく迎撃げいげき戦闘せんとうT-58Dの試験しけん開始かいししていたところであった。T-58Dはその決定けってい理想りそうてきたした機体きたいであった。このあたらしい機体きたいにすべての期待きたいけられ、Su-11の機体きたいとエンジンの開発かいはつしゃたいしては自身じしん製作せいさくぶつ信頼しんらいせいかんして真剣しんけん改善かいぜん措置そちこうずるようめいぜられた。とくに、機体きたいへの自動じどう制御せいぎょ装置そうち導入どうにゅういそがれた。Su-11への発注はっちゅうは、Su-9が生産せいさんされそのSu-11が生産せいさんされていたノヴォシビールスクだい153工場こうじょうがYak-28Pの生産せいさんまわされたため大幅おおはば削減さくげんされた。Su-11はすでにつくられていたのこりの部品ぶひん使つかって生産せいさんつづけられたが、遅々ちちとしてすすまなかった。そのため、Su-11は1965ねんいたるまで延々のびのび生産せいさんつづけられたのにもかかわらず、その生産せいさんすうは100たなかった(108、112などという資料しりょうもある)。このかずは、じつにSu-9の10ぶんの1であった。

Su-11は高度こうど11000 mにおける2340 km/hの最大さいだい速度そくど記録きろくをもち、戦闘せんとう行動こうどう半径はんけいこう高度こうどへの上昇じょうしょうりょく目標もくひょう探知たんち能力のうりょく攻撃こうげき可能かのう距離きょりなどおおくのてん前任ぜんにんSu-9をおおきく上回うわまわ性能せいのう発揮はっきしており間違まちがいなく高性能こうせいのうるいはいっていたが、基本きほんてき航空機こうくうきとしての安全あんぜんせいけるという致命ちめいてき欠陥けっかんをもっていた。同時どうじに、これは機首きしゅ空気くうきこうをもつ戦闘せんとう当時とうじ技術ぎじゅつりょくにおける限界げんかいしめしていたともえる。これ以降いこうソ連それん生産せいさんされる戦闘せんとうはSu-11の「いとこ」にあたる戦闘せんとう爆撃ばくげきSu-17シリーズをのぞきすべてこの伝統でんとう形態けいたいてていくことになる。

スペック(Su-11)[編集へんしゅう]

  • 種別しゅべつ迎撃げいげき戦闘せんとう
  • はつ飛行ひこう:1958ねん
  • つばさはば:8.43 m
  • 全長ぜんちょう:17.4 m
  • 全高ぜんこう:4.88 m
  • つばさ面積めんせき:26.2 m2
  • 空虚くうきょ重量じゅうりょう:9100 kg
  • 通常つうじょう離陸りりく重量じゅうりょう:13600 kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう:14,000kg
  • 機内きない燃料ねんりょう搭載とうさいりょう
  • 発動はつどうAL-7F-2 ターボジェットエンジン ×1
  • 出力しゅつりょく
  • 出力しゅつりょくアフターバーナー使用しよう):
  • 最高さいこう速度そくど:1,980 km/h
  • 最高さいこう速度そくど(地表ちひょう高度こうど):
  • 実用じつよう航続こうぞく距離きょり:1,125 km
  • 実用じつよう航続こうぞく距離きょり増加ぞうか燃料ねんりょうタンク使用しよう):
  • 最大さいだい上昇じょうしょうりょく:8200 m/min
  • 実用じつよう飛行ひこう上限じょうげん高度こうど:17,000 m
  • 乗員じょういん:1 めい
  • 武装ぶそう:R-8M×2、R-60×2

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

ソ連それん防空ぼうくうぐん機体きたい