YF-23 (航空機こうくうき)

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YF-23

YF-23

YF-23

YF-23は、アメリカ空軍くうぐんけにノースロップげんノースロップ・グラマン)/マクドネル・ダグラスげんボーイング)が設計せっけいした試作しさくステルス戦闘せんとう

概要がいよう[編集へんしゅう]

アメリカ空軍くうぐんATF(Advanced Tactical Fighter:先進せんしん戦術せんじゅつ戦闘せんとう計画けいかくにおいて、ロッキードしゃげんロッキード・マーティンあんF-22)との競作きょうさく開発かいはつされたものである。1990ねん8がつ27にちはつ飛行ひこう1991ねんにF-22がATFとして選定せんていされたことをけて、量産りょうさんはされなかった。

ステルスせい重視じゅうしした機体きたいで、ひしがた主翼しゅよくくわ尾翼びよく部分ぶぶんペリカンテールばれる独特どくとく形状けいじょうをしている。だい5世代せだいジェット戦闘せんとう分類ぶんるいされており、スーパークルーズ能力のうりょくゆうする。また、ミサイル機体きたいない兵器へいき搭載とうさいするという計画けいかくはあったものの、飛行ひこう試験しけんよう実機じっきには兵器へいき搭載とうさいかならずしももとめられていなかったため、搭載とうさい能力のうりょく付与ふよされなかった。

計画けいかく終了しゅうりょう機体きたいアメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく(NASA)に移管いかんされ、1996ねんまでそこで保管ほかんされていた。 のちにNASAがYF-23を研究けんきゅう使用しようするため、エンジンなしでドライデン飛行ひこう研究けんきゅうセンターに譲渡ゆずりわたされたが研究けんきゅうおこなわれなかった。

開発かいはつ経緯けいい[編集へんしゅう]

ATF計画けいかく1980年代ねんだい初頭しょとう着手ちゃくしゅされ、1986ねん10月31にちロッキードあんノースロップあんもっと有望ゆうぼう設計せっけいとして選定せんていされた。開発かいはつはノースロップしゃくわえ、選定せんていやぶれたマクドネル・ダグラスしゃくわわり、すすめられた。なお、ノースロップしゃはその当初とうしょから一切いっさい試作しさく写真しゃしんイメいめジ図じずなどのビジュアル情報じょうほう発表はっぴょう拒否きょひし、姿すがたおおやけになるのははつ飛行ひこうときになるだろうと断言だんげんするなど、徹底てっていしてYF-23の機密きみつ保持ほじおこなった。

試作しさくはPAV(プロトタイプ・エアビークル)ともばれ、PAV-1(S/N 87-800)は1989ねん製造せいぞうされ、1990ねん6月22にちにノースロップしゃパームデール工場こうじょうから陸路りくろエドワーズ空軍くうぐん基地きち輸送ゆそうされ、はじめて記者きしゃだんにその姿すがたあらわした。翌日よくじつ8がつ27にちにははつ飛行ひこう成功せいこうするが、ひだりぬしあしのドアにズレがしょうじていること随伴ずいはん英語えいごばんパイロットが確認かくにんしたため、予定よていされていた高度こうど速度そくどことく50分間ふんかん飛行ひこうえた。2号機ごうきであるPAV-2(S/N 87-801)は、同年どうねん10月26にちはつ飛行ひこう成功せいこうさせている。

はつ飛行ひこう成功せいこうは、YF-23Aの1号機ごうきにプラット&ホイットニーしゃの「YF119-PW-100ターボファンエンジンが、2号機ごうきにはゼネラル・エレクトリックしゃの「YF120-GE-100」がそれぞれ搭載とうさいされ、機体きたいとエンジンの選定せんてい開始かいしされた。

なお、評価ひょうか1991ねん4がつ23にちくだされ、ロッキードしゃの「YF-22」とプラット&ホイットニーしゃの「YF119-PW-100」がATFとして選定せんていされた。詳細しょうさい結果けっか公表こうひょうされていないものの、YF-23は競争きょうそう相手あいてよりも高速こうそくで、燃料ねんりょう搭載とうさいりょうおおく、ステルスせいたかかったとしばしばわれている。しかし、アメリカ空軍くうぐんは、生産せいさん整備せいび容易たやすさ・汎用はんようせいたかさや機動きどうせい操作性そうさせいわる重視じゅうしし、推力すいりょくおとるYF119-PW-100を搭載とうさいエンジン採用さいようしたためにより自重じちょうちいさい機体きたい採用さいようする必要ひつようがあったことから、より小型こがた保守ほしゅてき設計せっけい仕上しあがったYF-22をえらんだとわれている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

空中くうちゅう給油きゅうゆ試験しけんおこなうYF-23(PAV-1:S/N 87-800)
基本きほん構造こうぞう
YF-23はステルスせいもっと重視じゅうしして設計せっけいされ、水平すいへい尾翼びよく垂直すいちょく尾翼びよくはいしていちついのV尾翼びよく代用だいようするなど、F-22くらべると技術ぎじゅつてき先進せんしんせい前面ぜんめんした、前例ぜんれいにとらわれない革新かくしんてき設計せっけいとなっている。だが、より保守ほしゅてき堅実けんじつ設計せっけいとなったYF-22/F-22とは機体きたい形状けいじょうこそことなるものの、仕様しよう要求ようきゅう共通きょうつうしていることから機体きたい規模きぼちかいものとなった。
機体きたい構成こうせいする直線ちょくせん角度かくどすべ平行へいこうせん意識いしきしており、前後ぜんご対称たいしょう菱形ひしがた主翼しゅよく上反かみたんかくぜんどう(オール・フライング・テール)しきV尾翼びよくゆうしている。
ピッチおよびヨーはこのV尾翼びよくをそれぞれどう方向ほうこうまたはぎゃく方向ほうこう稼働かどうすることで制御せいぎょされ、90回転かいてんさせることでエアブレーキとしても機能きのうするようになっている。これはだい4世代せだい(とくに欧州おうしゅう)のあいだ流行りゅうこうしたカナードつばさとも類似るいじする特徴とくちょうであるが、ステルス性能せいのう追求ついきゅうするため、尾翼びよく主翼しゅよく後方こうほう配置はいちされている。
搭載とうさい兵器へいき
胴体どうたいないウェポンベイ搭載とうさいするという方法ほうほう搭載とうさいする兵器へいき種類しゅるい搭載とうさい可能かのうすうはデータとしてしめされたものの、実機じっきには兵器へいき搭載とうさい能力のうりょく付与ふよされておらず、ウェポンベイの位置いち未定みていのままだった。
これは実機じっき制作せいさくから飛行ひこう評価ひょうかまでの段階だんかい兵器へいき搭載とうさい能力のうりょく必須ひっすとされていなかったためであり、コンピューターシミュレーションじょうでの発射はっしゃ能力のうりょくデータなどは提出ていしゅつされていた。
なお、要求ようきゅう仕様しようから対地たいち攻撃こうげき能力のうりょくについても計画けいかくされていない。
エンジン
2試作しさく製造せいぞうされたが、搭載とうさいするエンジン競争きょうそう原理げんりれたことにより、それぞれことなるエンジンを搭載とうさいしている。PAV-1はP&WせいYF119エンジンを装備そうびし、PAV-2はGEせいYF120エンジンを装備そうびした。F-22と同様どうように、アフターバーナーにたよらないスーパークルーズ可能かのうである。なお、YF119に搭載とうさいされている次元じげん推力すいりょく偏向へんこうノズルの機能きのう後述こうじゅつとお使用しようできなくなっている[1]
ノズル形状けいじょう
ノズルのながさが上下じょうげおおきくことなるという特徴とくちょうてき形状けいじょうれている。たいねつ・吸熱せいタイルをもちいてながばしたしもノズルが地上ちじょう(または下方かほう)からの熱源ねつげん探知たんち困難こんなんにさせるという、生存せいぞんせいたかめるための設計せっけいである。また同様どうよう熱源ねつげん探知たんちふせ目的もくてきで、排気はいき冷却れいきゃくする「冷却れいきゃくデッキ」が搭載とうさいされた[1]
これによって推力すいりょく偏向へんこう能力のうりょくあたえられなかったものの、十分じゅうぶん機動きどうせいつばさめんうごきによって確保かくほされていた。
愛称あいしょう
YF-23としての愛称あいしょうブラック・ウィドウII[2]。2試作しさくには、1号機ごうき(PAV-1)[3]グレイゴースト(Gray Ghost)、2号機ごうき(PAV-2)[4]スパイダー(Spider)とそれぞれ名付なづけられ、ぜんあしドアの内側うちがわ愛称あいしょうかれている。[5]2018ねん現在げんざい、PAV-1はオハイオしゅう国立こくりつアメリカ空軍くうぐん博物館はくぶつかんに、PAV-2はカリフォルニアしゅう西部せいぶ航空こうくう博物館はくぶつかんにそれぞれ保管ほかんされている[1]

派生はせいがた[編集へんしゅう]

FB-23
ノースロップ・グラマンしゃアメリカ空軍くうぐん提案ていあんしている派生はせいがた戦闘せんとう爆撃ばくげき暫定ざんていばくげきプラットフォーム)にYF-23にもとづいた戦闘せんとう爆撃ばくげきFB-23が提案ていあんされている[6]。しかし、2006ねんにはよんねんごとの国防こくぼう計画けいかく見直みなおべいぐん発展はってんせいおおきな長距離ちょうきょりばくげきのぞんだこと[7][8]により計画けいかく中止ちゅうしされた。
その代替だいたいとして、2008ねんにボーイング、ロッキード・マーティンの次世代じせだい爆撃ばくげき共同きょうどう開発かいはつ発表はっぴょうされている[9]
F-23N
アメリカ海軍かいぐんけの艦上かんじょう戦闘せんとう元々もともとNATF(Naval Advanced Tactical Fighter)計画けいかくとして開発かいはつすすめられたが、のちにATFと計画けいかく一本いっぽんされている。V尾翼びよくはいし、カナードつばさとデルタつばさわせたクロースカップルデルタつばさ機体きたいとなる予定よていであった。ATFにF-22がえらばれたため計画けいかく中止ちゅうし

仕様しよう[編集へんしゅう]

しょもと

性能せいのう

武装ぶそう

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登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

アニメ・漫画まんが[編集へんしゅう]

宇宙うちゅうづけエヴァ・レディ
航空こうくう自衛隊じえいたい所属しょぞくのF-23EJが登場とうじょう
くものむこう、約束やくそく場所ばしょ
在日ざいにちアメリカぐん所属しょぞく登場とうじょう津軽海峡つがるかいきょう上空じょうくうでユニオンぐん戦闘せんとうひろげるが、MiG-29発射はっしゃしたミサイルにより撃墜げきついされる。

ゲーム[編集へんしゅう]

エリア88
原作げんさく漫画まんがおよびアニメでは登場とうじょうしないが、アーケードゲームからの移植いしょくばんとなるスーパーファミコンようではプレイヤーの使用しようする機体きたいとして登場とうじょう。ゲームちゅう愛称あいしょうステルスレイとなっている。
ゲーム開始かいし当初とうしょ使用しようできないが、てき撃墜げきついおよびステージクリアでられる報酬ほうしゅうにより購入こうにゅうすることで使用しよう可能かのう
エースコンバットシリーズ
プレイヤーの使用しようする機体きたいおよてきとして登場とうじょう
エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー
てきエースパイロット、ジョシュア・ブリストー大尉たいいひきいるウィザードたいの1ばん~4ばんとしても登場とうじょう
サイドワインダーシリーズ
プレイヤーの使用しようする機体きたいとして登場とうじょう
戦闘せんとう国家こっかシリーズ
かく機体きたいF-23グレイゴーストとして登場とうじょう
マイクロソフトフライトシュミレーター
 有料ゆうりょうコンテンツにて追加ついか
『モダンウォーシップス』
2023ねん4がつのバトルパス(VIP)の特典とくてんとして登場とうじょう戦闘せんとう分類ぶんるいされる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 空自くうじF-2後継こうけい、YF-23はありやなしや F-22に本当ほんとうっていた? まぼろしのステルス戦闘せんとう - ものニュース・2018ねん5がつ13にち
  2. ^ クロゴケグモのこと。"II"(ローマ数字すうじの2)とあるのは、ノースロップの夜間やかん戦闘せんとうP-61愛称あいしょう初代しょだいブラック・ウィドウであったためで、そのせいという意味いみもある
  3. ^ くろちか灰色はいいろ、またはくろ塗装とそうされた機体きたい
  4. ^ 灰色はいいろ塗装とそうされた機体きたい
  5. ^ 国立こくりつアメリカ空軍くうぐん博物館はくぶつかんのPAV-1にGRAY GHOST、西部せいぶ航空こうくう博物館はくぶつかんのPAV-2にSPIDERが、それぞれぜんあしドアの内側うちがわしるされている。
  6. ^ このために2号機ごうきのPAV-2を修正しゅうせいしたディスプレイモデルを製作せいさくしていた
  7. ^ "Quadrennial Defense Review Report."
  8. ^ "The 2018 Bomber and Its Friends."
  9. ^ [1]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]