ぬいぐるみ

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たくさんのぬいぐるみ

ぬいぐるみぐるみ)とは、

  1. 型紙かたがみわせて裁断さいだんされたぬの縫合ぬいあわし、綿めんプラスチックへん蕎麦そばからなどを内部ないぶめ、動物どうぶつやある特定とくていキャラクターひとしせて成型せいけいしたもの。
  2. 演劇えんげきなどで人間にんげん動物どうぶつ特定とくていのキャラクターとうふんするときにもちいる、人間にんげん全身ぜんしんおお衣装いしょうのこと。近年きんねん1990年代ねんだい以降いこう)では、1と区別くべつするため「ぐるみ」とぶこともおお[1]
    1. 歌舞伎かぶきやその演劇えんげきにおいて、動物どうぶつなどのかたちつくった衣装いしょう
    2. 各種かくしゅ催事さいじイベントなどにおける、ぬのやボア、プラスチック素材そざいなどで表面ひょうめん形成けいせいした、人間にんげんなかはいマスコット衣装いしょう
    3. 東宝とうほうの『ゴジラシリーズ』などに代表だいひょうされる、おもに「特撮とくさつ映画えいが」に登場とうじょうする、特殊とくしゅゴム素材そざいなどをもちいた、演技えんぎしゃなかはい形式けいしき怪獣かいじゅうロボット宇宙うちゅうじんなどの生物せいぶつ造形ぞうけいひんの、現場げんばにおける用語ようご

愛玩あいがんぶつとしてのぬいぐるみ[編集へんしゅう]

テディベアのぬいぐるみ

販売はんばいぶつとしての最初さいしょの『ぬいぐるみ』は、一説いっせつにはテディベア有名ゆうめいドイツマルガレーテ・シュタイフ1880ねん発売はつばいしたものが一番いちばんはじめのものとわれている[2]

いや効果こうかがあり、愛嬌あいきょうのあるぬいぐるみは、老若男女ろうにゃくなんにょわず人気にんきがあり、UFOキャッチャーくじきなどの様々さまざま景品けいひんとしても利用りようされている。

おおきいものからちいさいもの”までいろいろなかたちやサイズがあり、全身ぜんしんきつくことが可能かのうなサイズのぬいぐるみを、とくいだきぐるみぶことがある。

ぬいぐるみは手触てざわりのいぬいぐるみや、ているもの、おすわりしているものなど様々さまざまである。

可愛かわいらしい姿すがた左右さゆうしてゆく劣化れっか問題もんだいで、素材そざいによってはあらえるものとそうではないものがある。あらえないものでもオゾンあらうタイプの洗濯せんたく除菌じょきんけししゅう可能かのうとされている。[3]ぬいぐるみせんもんのクリーニング業者ぎょうしゃ存在そんざいし、清掃せいそう依頼いらいすることも可能かのうである。素材そざいそのものは手触てざわりや質感しつかんおおきく左右さゆうするので、様々さまざまなものが使用しようされている。毛並けなみを再現さいげんするために、天然てんねん素材そざいモヘヤアルパカ使つかった本物ほんもの指向しこうや、フェイクファーやアクリルボアなど化学かがく繊維せんい使用しようしたものがある。また、タオルのような質感しつかんのパイル生地きじ使用しようしたものなどがある。

有名ゆうめいなぬいぐるみファンとしては、SF作家さっか新井あらい素子もとこ作家さっか政治せいじでもある田中たなか康夫やすおなど。

歌舞伎かぶきにおけるぬいぐるみ[編集へんしゅう]

歌舞伎かぶき用語ようごとしての「ぬいぐるみ」とは、うごきのある動物どうぶつなどを登場とうじょうさせるさい俳優はいゆうる、動物どうぶつかたちったこしらえもののことである。形態けいたいとしては以下いかのようなものがある。

特撮とくさつ映画えいがかいにおけるぬいぐるみ[編集へんしゅう]

アメリカ映画えいがロスト・ワールド』に登場とうじょうする、さるじんのぬいぐるみ(1925ねん

映画えいがさかいにおいては、ぬいぐるみは日本にっぽん海外かいがいともに戦前せんぜんからSF・特撮とくさつ題材だいざい映画えいが使用しようされる全身ぜんしんおお衣装いしょう小道具こどうぐとしてられているが、「怪獣かいじゅう」という題材だいざいでの本格ほんかくてきなぬいぐるみ使用しようは、日本にっぽんでは東宝とうほう1954ねん昭和しょうわ29ねん)に制作せいさく公開こうかいした『ゴジラ』が元祖がんそとされている。

日本にっぽんはつ巨大きょだい怪獣かいじゅう映像えいぞうするにあたり、円谷つぶらや英二えいじ特撮とくさつ監督かんとくは、撮影さつえい日数にっすう考慮こうりょして、海外かいがい主流しゅりゅうであった人形にんぎょうアニメ手法しゅほうをあきらめ、人間にんげんなかはいって演技えんぎおこなう「いぐるみ」の手法しゅほうえらんだ。ぬいぐるみをこうむって演技えんぎする役者やくしゃは「ぬいぐるみ役者やくしゃ」とばれる[5]

記念きねんすべきはつの「いぐるみ怪獣かいじゅう役者やくしゃ」は中島なかじま春雄はるお手塚てづか勝巳かつみ両人りょうにんである。内部ないぶ演技えんぎしゃ視界しかい極端きょくたん制限せいげんされ、火薬かやくなどを使つか現場げんばでは危険きけんおおく、また殺陣さつじん心得こころえ要求ようきゅうされる特殊とくしゅなものであり、高度こうど演技えんぎりょく要求ようきゅうされる。中島なかじま春雄はるおは「怪獣かいじゅう演技えんぎしゃ」として「ミスター・ゴジラ」とばれるほど海外かいがいでもそのられている。

こういった生物せいぶつ造形ぞうけい素材そざい様々さまざま手法しゅほうつくられるが、『ゴジラ』などの怪獣かいじゅう場合ばあい特殊とくしゅゴムであるラテックス表皮ひょうひつくり、番線ばんせん鉄骨てっこつ補強ほきょうし、内側うちがわにスポンジをったものがおおい。この怪獣かいじゅうのパーツは制作せいさく進行しんこうわせて「わされ、成形せいけいされていく」ものであり、たいていの場合ばあい背中せなかにファスナーで開閉かいへいする出入でいぐちもうけられている[6]

よくられた日本にっぽん技術ぎじゅつしゃとしては、ゴジラ以前いぜんからの先駆せんくしゃである大橋おおはしふみてん一作いつさく『ゴジラ』から連綿れんめん東宝とうほう怪獣かいじゅう手掛てがけた利光としみつ貞三ていぞうらの「特殊とくしゅ美術びじゅつ」をはじめとして、高山たかやま良策りょうさくひらけよね栄三えいざひらきべいプロダクション)、エキスプロダクションなどが草分くさわけとしてられている。

この映画えいがの「ぬいぐるみ」は、現在げんざいにおいても映画えいがやさまざまなメディアにおいてのいち表現ひょうげん手法しゅほうとして現役げんえきでありつづけている。ハリウッドなどでは、一般いっぱんに「スーツ」とばれている。近年きんねん日本にっぽんではこのいぐるみ役者やくしゃを「スーツアクター」とぶことがおおい。

「ぬいぐるみ」の呼称こしょう映画えいが現場げんば用語ようごであり、「スーツ」は演技えんぎしゃ使つか用語ようごである。近年きんねん一般いっぱんてきでは「ぐるみ」といいかえて呼称こしょうされる場合ばあいおおいが、造形ぞうけいである品田しなだ冬樹ふゆきは、この怪獣かいじゅうの「ぬいぐるみ」の「ぐるみ」呼称こしょうへのいいかえについて「間違まちがいであり、本来ほんらい映画えいが現場げんば用語ようごとしてはぬいぐるみがただしい」とべている[7]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 大辞泉だいじせん』では「平成へいせい初年度しょねんどごろからの用語ようご」としている。デジタル大辞泉だいじせんつつ』 - コトバンク
  2. ^ シュタイフ公式こうしきサイト”. 2019ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ 東京とうきょう都内とないのぬいぐるみクリーニング業者ぎょうしゃのおすすめ人気にんきランキング10せん”. タスクルヒカク | らしのおすすめサービス比較ひかくサイト. 2019ねん11月26にち閲覧えつらん
  4. ^ 湯川ゆかわ弘明ひろあきいぐるみ」『最新さいしん 歌舞伎かぶきだい事典じてん柏書房かしわしょぼう、2012ねん7がつ25にち、96ぺーじISBN 978-4-7601-4148-7 
  5. ^ 怪獣かいじゅう人生じんせい』(中島なかじま春雄はるおよういずみしゃ)、『ウルトラマンになったおとこ』(古谷ふるやさとし小学館しょうがくかん
  6. ^ だいゴジラ図鑑ずかん』(ホビージャパン)
  7. ^ 『ずっと怪獣かいじゅうきだった』(岩波書店いわなみしょてん、2005ねん)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]