（めろんNo.171掲載けいさい）

秋あきの多た文化ぶんかボランティアセミナー報告ほうこく
2021年ねん10月がつ16日にち開催かいさい

身近みぢかなワクワクの作つくり方かた～自分じぶんの町まちはもっと楽たのしくなる！～
講師こうし：森本もりもとアリさん

　「旧きゅうグッゲンハイム邸てい」の管理人かんりにんと音楽家おんがくかという2つの顔かおを持もつ森本もりもとアリさん。講演こうえんのはじめに、口琴こうきんや風船ふうせんを使つかった楽器がっきを演奏えんそうしてくださった。なんともユニークで綺麗きれいな音色ねいろが部屋へや中ちゅうに響ひびき渡わたり、すっかり魅了みりょうされた。

　「旧きゅうグッゲンハイム邸てい」は神戸こうべ・塩屋しおやの海うみの近ちかくに位置いちする。明治めいじ大正たいしょう期きに神戸こうべに滞在たいざいしたドイツ系けいアメリカ人じんの貿易ぼうえき商しょうの家族かぞくの別邸べっていとして使用しようされたという。長年ながねん、塩屋しおやの風景ふうけいの一部いちぶとして地域ちいきの人々ひとびとに愛あいされてきたこの施設しせつは、現在げんざいでは、コンサートや結婚けっこんパーティーの会場かいじょうとして使つかわれたり、ヨガ教室きょうしつが開ひらかれたりと、人々ひとびとの憩いこいの場ばとして活用かつようされている。

　森本もりもとさんが力ちからを入いれる取とり組くみの一ひとつに「シオヤプロジェクト」がある。海うみと山やまに囲かこまれ、狭せまく細ほそい路地ろじが続つづく塩しお屋やのまちのユニークなモノ・コトを発見はっけんし、面白おもしろさを共有きょうゆうしようという取とり組くみだ。講演こうえんでは、塩屋しおやの風景ふうけいや人々ひとびとの表情ひょうじょうが映うつし出だされた写真しゃしんがいくつか紹介しょうかいされた。バス停ばすていに不揃ふぞろいのいすが並ならべられていたり、石段いしだんのすきまが自転車じてんしゃ置おき場ばとして活用かつようされていたり…、日常にちじょう的てきな光景こうけいなのにどこかクスッと笑わらえる。スクリーン越ごしでも、塩屋しおやの魅力みりょくが伝つたわってきた。

　お話はなしの中なかでも特とくに面白おもしろかったのが、「しおや歩あるき回まわり音楽おんがく会かい」だ。イベントの内容ないようを動画どうが付つきで紹介しょうかいしてくださった。参加さんか者しゃが列れつをなして町中まちなかを歩あるき、行いく先々さきざきでは様々さまざまな楽器がっきを持もった演者えんじゃが音おとを奏かなでる。民家みんかのベランダから突然とつぜん演奏えんそうが始はじまったりと、人々ひとびとを惹ひきつける仕掛しかけが次々つぎつぎに披露ひろうされた。演者えんじゃはみな、塩屋しおやに住すむ人ひとたちだという。子こどもからお年寄としよりまで世代せだいを問とわず、参加さんか者しゃ全員ぜんいんで盛もり上あがる光景こうけいが印象いんしょう的てきだ。

　いつものボランティアセミナーとは打うって変かわって、会場かいじょう全体ぜんたいがわくわくした雰囲気ふんいきに包つつまれる異色いしょくのセミナーとなった。講演こうえん中ちゅう、森本もりもとさんが繰くり返かえした「既すでにあるものも見方みかたを変かえたら面白おもしろい」という言葉ことばが胸むねに響ひびく。まちにあふれる沢山たくさんの魅力みりょくを地元じもと住民じゅうみんで探さがし、最大限さいだいげん楽たのしむ。この姿勢しせいは塩屋しおやのみならず、私わたしたちの住すむまちにも通つうじることかもしれない。(中島なかじま)