（めろんNo.174掲載けいさい） 

記憶きおくに新あたらしい2018年ねんの大阪おおさか北部ほくぶ地震じしん。豊川とよかわ南みなみ小学校しょうがっこうには130名めいを超こえる外国がいこく人じん市民しみんが避難ひなんした。地域ちいきの情報じょうほうが得えられないままSNSなどに頼たよらざるをえなかった実情じつじょうを踏ふまえ、箕面みのお市しは大阪おおさか府ふで初はじめて「外国がいこく人じん防ぼう

災わざわいアドバイザー」の養成ようせい・認定にんていを始はじめた。研修けんしゅうや啓発けいはつ企画きかくの実施じっしを通とおして、防災ぼうさいの知識ちしきや関心かんしんを高たかくもった外国がいこく人じん市民しみんが増ふえることで、地域ちいき全体ぜんたいで自助じじょ・共助きょうじょの力ちからを高たかめることが目的もくてきだ。今回こんかいは「防災ぼうさいウィーク」として1月がつ11日にちから17日にち、６むっつの日本語にほんご教室きょうしつで授業じゅぎょう時間じかんを割さいてアドバイザーたちが制作せいさくした防災ぼうさい動画どうがによるミニ講座こうざが開ひらかれた。

日本語にほんご教室きょうしつでミニ防災ぼうさい講座こうざ

今回こんかいの動画どうがは、５人にんの防災ぼうさいアドバイザーの紹介しょうかい、備蓄びちく品ひん、電源でんげんバッテリー、非ひ常食じょうしょくの紹介しょうかいの４部ぶ仕立したて。筆者ひっしゃは1月がつ13日にちに日本語にほんご教室きょうしつ「あかね」での講座こうざを取材しゅざいした。

動画どうがでは日ひごろから非常時ひじょうじに持もち出だせるよう備そなえておくとよいものを説明せつめいする。例たとえば、かっぱ、カイロ、団扇うちわ、マウスウォッシュ、水みずにつけるとふやけて広ひろがるタオル（携帯けいたいに便利べんり）、生理せいり用品ようひん、レジャーシート。手回てまわしの携帯けいたいラジオにモバイルバッテリー、小型こがたの太陽光たいようこうパネル！これらのグッズをアドバイザーが手てに取とって次々つぎつぎと紹介しょうかいする。外国がいこく人じん市民しみんの視点してんならではの非ひ常食じょうしょくとして、デーツなどのドライフルーツもあった。甘あまいもの辛つらいものなどの嗜好しこう品ひんなど、非常時ひじょうじでも自分じぶんが食たべ慣なれた好物こうぶつがあれば楽たのしみができ、少すこしでも快適かいてきに過すごせる。それから、本ほんも。慣なれ親したしんでいる言葉ことばで書かかれた本ほんが手元てもとにあれば、心こころ慰なぐさめられるものだ。あなたなら、持もち出だし袋ぶくろにどんな一いち冊さつを忍しのばせるだろうか。アドバイザーそれぞれの経験けいけんや思おもいが伝つたわってくる内容ないようだった。

「どこに避難ひなんすればいい？」の声こえも

学習がくしゅう者しゃからは「自分じぶんがどこに避難ひなんすれば良よいのかわからない」という声こえの一方いっぽうで、「水みず、パスポート、母子ぼし手帳てちょう」など、大切たいせつなものは一いち箇所かしょに置おいているという周到しゅうとうな人ひともいた。日本語にほんご初級しょきゅう者しゃのグループでは、さっそく「じしん、ひなんじょ、とよかわみなみしょうがっこう」などとキーワードが板書ばんしょされた。出身しゅっしん国こくには地震じしんの無ない学習がくしゅう者しゃもいる。「机つくえの下したに潜もぐって身みを守まもるなど、どのような行動こうどうをすれば良よいかわかった」「何なによりお金かねとパスポート」など、確認かくにんの良よい機会きかいが得えられたようだ。一方いっぽう、南海なんかいトラフ地震じしんの可能かのう性せいが高たかいこと、津波つなみで大阪おおさかが水浸みずびたしになる可能かのう性せいもあるという話題わだいにはピンとこない様子ようすも見みられた。日本にっぽん特有とくゆうの災害さいがいの知識ちしきを広ひろめる必要ひつよう性せいが強つよく感かんじられた。

教室きょうしつでは箕面みのお市しの「ウェルカムパック」も配くばられた。これは外国がいこく人じん市民しみんに転入てんにゅう時じに市役所しやくしょで渡わたされる冊子さっし（英語えいご、中国ちゅうごく語ご、韓国かんこく語ご、ベトナム語ご、インドネシア語ご）で、そこには《救急きゅうきゅう・医療いりょう安心あんしんカード》がついている。切きり取とって個人こじん情報じょうほうを記入きにゅうし、緊急きんきゅう時じに利用りようしやすいような体裁ていさいになっている。学習がくしゅう者しゃたちから、このカードはとても心強こころづよいサポートになるとの声こえがあがり、更さらなる周知しゅうちが必要ひつようだと思おもわれた。

地域ちいきのネットワークづくりを

動画どうがのなかでは、３日間にちかんは自力じりきで生いき延のびるための水みずや食糧しょくりょうが必要ひつようなこと、不安ふあんがあれば迷まよわず避難ひなん所しょに行いくことなども伝つたえられた。気候きこう変動へんどうで大雨おおあめなどの大だい災害さいがいの発生はっせい率りつも高たかまる中なか、防災ぼうさい意識いしきの啓発けいはつをすすめることがますます必要ひつようとなっている。協会きょうかいは災害さいがい時じに多言たげん語ご支援しえんセンターを設置せっちする対応たいおう計画けいかくを持もっているが、限かぎられた人員じんいんのなかで２４時じ間あいだ対応たいおうで情報じょうほうを発信はっしんしつつ、避難ひなん所しょを巡回じゅんかいすることは可能かのうだろうか。人員じんいん確保かくほや協会きょうかいに繋つながりがない人ひとへの対応たいおうも含ふくめ、アドバイザーを巻まき込こんでの地域ちいきのネットワーク作づくりが課題かだいである。行政ぎょうせいのさらなる取とり組くみにも期待きたいしたい。（山下やました）