（めろんNo.166掲載けいさい）

　協会きょうかいには、在住ざいじゅう外国がいこく人じんの人権じんけん保障ほしょう、多た文化ぶんか共生きょうせい社会しゃかいの実現じつげん、市民しみん参加さんかによる地域ちいきづくりというミッションがある。現在げんざいは、それを達成たっせいするべく多言たげん語ごによる生活せいかつ相談そうだんや居場所いばしょづくり、日本語にほんご教室きょうしつ、comm cafe やボランティアグループの運営うんえいとそこでの交流こうりゅうに向むけて外国がいこく人じん市民しみんが活躍かつやくできるようサポートし、多様たよう性せいが息いきづく地域ちいきづくりに努つとめている。市民しみんとの協きょう働はたらけを広ひろく求もとめるためのセミナーが、５月がつ１５日にち、２９日にちの両日りょうじつにオンラインで開ひらかれた。

２日にち目め　『そもそも「ハーフ」って呼よび方かたってどうなの？　～多た文化ぶんか共生きょうせいとレイシズムを考かんがえる～』
５月がつ２９日にち開催かいさい　講師こうし：ケイン樹里じゅり安やすしさん

　社会しゃかい学者がくしゃのケイン樹里じゅり安やすしさんは、大阪市立大学おおさかいちりつだいがく都市とし文化ぶんか研究けんきゅうセンター研究けんきゅう員いん、WEB メディア HAFU TALK 共同きょうどう代表だいひょうとして活躍かつやくしている。セミナーが始はじまってすぐに、「ハーフ」と聞きいて誰だれの顔かおを浮うかべるか、と尋たずねられた。テレビで観みるタレントやスポーツ選手せんしゅ。その中なかで支配しはい的てきなのは「白人はくじん」とのハーフで、ハーフ顔がおになりたいと思おもう人ひとには、鼻はなプチ（穴あなに入いれて高たかく見みせる装具そうぐ）・カラーコンタクトで白人はくじんに近ちかづきたいという願望がんぼうが目立めだつ。白人はくじん身体しんたい性せいはメディアで支配しはい的てきな美びの基準きじゅんなのだ。

　「ハーフ」とは厄介やっかいな言葉ことばで、「半分はんぶん」「ネガティヴさ」と切きり離はなせない。長ながく日本にっぽん社会しゃかいで流通りゅうつうしてきたが、差別さべつ的てきだということで「ダブル」「ミックス」という言葉ことばが使つかわれはじめている。当事とうじ者しゃでも、人ひとによって「自分じぶんはハーフでええねん」とか「複数ふくすうのルーツがあるからミックスがしっくりくる」とか、捉とらえ方かたは様々さまざまである。ケインさんは、アメリカ出身しゅっしんの父親ちちおやに「ミックス」は「ピュア」の反対はんたい語ごとしてナチの思想しそうを彷彿ほうふつさせる、と言いわれたことがあるらしい。ここで大事だいじなのは、第三者だいさんしゃが他者たしゃをカテゴリー化かする「名指なざし」ではなく、当事とうじ者しゃ自身じしんがカテゴリー化かする「名乗なのり」であり、それらは別べつの行為こういである。他者たしゃにラベルを貼はり、線せんを引ひくことは暴力ぼうりょくになる。ベターなやり方かたは、名指なざす前まえに「待まつ」ことだ。筆者ひっしゃも「ハーフ」という言葉ことばを使つかってきたが、その「可か傷きず性せい」に無自覚むじかくだった。相対そうたいする時ときにくれぐれも萎縮いしゅくせずに、「待まつ」術じゅつを養やしないたいと思おもった。

　交差こうさ性せい（インターセクショナリティー）の問題もんだいも取とり上あげられた。身体しんたい形質けいしつ、出生しゅっしょう地ち、生育せいいく地ち、言語げんご、国籍こくせき、ジェンダー、セクシュアリティ、宗教しゅうきょう、階層かいそうなどの諸しょ要素ようそが交差こうさすることで独特どくとくな抑圧よくあつ的てき状況じょうきょうがもたらされる概念がいねんで、例たとえば一いち口くちに「ハーフ」の問題もんだい経験けいけんといっても同おなじものはない。非ひ白人はくじんとの「ダブル」「ミックス」である人々ひとびともいるし、環境かんきょうの違ちがいもあるから、苦くるしさは個別こべつのものなのだ。ぜひ、ネットの HAFU TALK で当事とうじ者しゃの話はなしにもあたって欲ほしい。子こども時代じだいから大人おとなになっても周まわりから攻撃こうげきを受うけ続つづけ、瑞々みずみずしくあるべき魂たましいが時ときに萎しおれゆく苦くるしさにふれることができるだろう。

　両りょうセミナーを通つうじて、社会しゃかい的てきマイノリティの人ひとも堂々どうどうと思おもいを口くちにでき、ルーツに関かかわらず互たがいの自己じこ決定けってい権けんを尊重そんちょうし、傾聴けいちょうし合あうことで真しんのコミュニケーションが可能かのうなのだと認識にんしきを新あらたにさせられた。（山下やました）

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