ショクダイオオコンニャク

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ショクダイオオコンニャク
ショクダイオオコンニャク
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい monocots
: オモダカ Alismatales
: サトイモ Araceae
ぞく : コンニャクぞく Amorphophallus
たね : ショクダイオオコンニャク A. titanum
学名がくめい
Amorphophallus titanum
(Becc.) Becc.
和名わみょう
ショクダイオオコンニャク
英名えいめい
Titan arum
ふつえんつとなか様子ようす

ショクダイオオコンニャク燭台しょくだいだい蒟蒻こんにゃく学名がくめい: Amorphophallus titanum)は、サトイモコンニャクぞく植物しょくぶつ別名べつめいスマトラオオコンニャクインドネシアスマトラ島すまとらとう熱帯ねったい雨林うりん自生じせいする。最短さいたんでも2ねんいち2日間にちかんしかかない、世界せかい最大さいだいはなとして有名ゆうめいになった。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

スマトラ島すまとらとう固有こゆうしゅである[1]

解説かいせつ[編集へんしゅう]

花序かじょとその付属ふぞくたい、およびふつえんつとふく合体がったい直径ちょっけい1.5mにたっするとされ、そのたてすんは3.5mまでになった記録きろくもある。にく花序かじょ先端せんたん棍棒こんぼうじょう付属ふぞくたいとなり、そのしたふつえんつとつつまれた部分ぶぶん上部じょうぶ雄花おばな下部かぶ雌花めばな密生みっせいする。

コンニャクなどほかのコンニャクぞく植物しょくぶつ同様どうように、種子しゅしから発芽はつがした実生みしょう個体こたいは、毎年まいとし1まいだけの巨大きょだい展開てんかいして同化どうか産物さんぶつ球茎きゅうけい蓄積ちくせきし、すうねんがかりで巨大きょだい球茎きゅうけい形成けいせいする。生活せいかつ最後さいごとしには光合成こうごうせいおこなわって球茎きゅうけいから花序かじょだけを伸張しんちょうさせ、それまでに蓄積ちくせきした同化どうか産物さんぶつをすべて有性ゆうせい生殖せいしょくけて使つかる。開花かいかはわずか2にちときわめてみじかく、開花かいか初日しょにちには花序かじょ先端せんたん付属ふぞくたいから腐臭ふしゅうはっして甲虫かぶとむしあつめる。開花かいか8あいだほどで悪臭あくしゅう最高潮さいこうちょうたっするとされている。これらの甲虫かぶとむしうえけて漏斗ろうとじょう展開てんかいしたふつえんつと着地ちゃくちするとがれずにころがりち、中心ちゅうしん花序かじょ部分ぶぶんあつめられる。ここにはな誘引ゆういんされて花粉かふんをつけた個体こたいがいると、花序かじょ最下さいか雌花めばなぐん柱頭ちゅうとう花粉かふんがなすりつけられ、受粉じゅふん成立せいりつする。翌日よくじつになると雌花めばな受粉じゅふん機能きのう停止ていしし(めすせいさきじゅく)、わって雄花おばなぐんから花粉かふんがあふれして甲虫かぶとむしからだりかかり、いで付属ふぞくたいふつえんつと枯死こし崩壊ほうかいしてむし脱出だっしゅつきる。受粉じゅふん成立せいりつした雌花めばな成熟せいじゅくするとサトイモ植物しょくぶつひろられる朱色しゅいろえきはてとなり、とりべられて種子しゅし散布さんぷがおきるとかんがえられている。

名称めいしょう[編集へんしゅう]

はなかたち燭台しょくだいることからショクダイオオコンニャクがある。別名べつめいスマトラオオコンニャク英名えいめいTitan arum学名がくめいのアモルフォファルス・ティタヌムは、その強烈きょうれつ腐臭ふしゅうから死体したいはな (corpse flower) [2]、おけのようにえるので蒟蒻こんにゃくともばれている。

はなおおきさについて[編集へんしゅう]

有名ゆうめいラフレシア[注釈ちゅうしゃく 1]最大さいだいしゅであるラフレシア・アルノルディイ(R. arnoldii)のはな最大さいだい直径ちょっけい90cmと、おくこなしゃ誘引ゆういんして受粉じゅふんけいとなる単位たんい器官きかんとしてはこれより小型こがたである。しかし R. arnoldii単体たんたいはなであるのにたいし、ショクダイオオコンニャクの巨大きょだいな「はな」は花序かじょであり、そこに密生みっせいする個々ここ単体たんたいはなはごくちいさい。そのため、単体たんたいはなとしては R. arnoldii世界せかい最大さいだいである。両者りょうしゃとも腐臭ふしゅうはなって腐肉ふにくししくそ繁殖はんしょくする昆虫こんちゅうあつめて花粉かふん媒介ばいかいさせるが、ラフレシアがクロバエハエ依存いぞんしているのにたいし、ショクダイオオコンニャクは糞虫くそむしシデムシるいといった甲虫かぶとむしによって花粉かふん媒介ばいかいされるてんことなる。具体ぐたいてきには、シデムシDiamesus osculansハネカクシオオハネカクシぞくCreophilus flavipennis が、おくこなおおきく寄与きよしている [4] [5] [6]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ なお、2020ねん1がつ、インドネシア・西にしスマトラしゅうアガンで、過去かこ最大さいだいのラフレシアとして、直径ちょっけい111cmのラフレシア・トゥアンムデ個体こたいはな発見はっけんされたとAFPにより報道ほうどうされている[3]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b Yuzammi & Hadiah, J.T. (2018). Amorphophallus titanum. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T118042834A118043213. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T118042834A118043213.en. Downloaded on 15 June 2021.
  2. ^ 悪臭あくしゅうはなつ「死体したいはな」が開花かいか べいシカゴ植物しょくぶつえん”. CNN (2015ねん10がつ11にち). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  3. ^ きょ大花おおはなラフレシア、過去かこ最大さいだい個体こたい発見はっけん インドネシア」『AFP BB News』、2020ねん1がつ4にち2024ねん2がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ Kite, G. C., Hetterscheid, W. L., Lewis, M. J., Boyce, P. C., Ollerton, J., Cocklin, E., Diaz, A., & Simmonds, M. S. J. (1998). Inflorescence odours and pollinators of Arum and Amorphophallus (Araceae). Reproductive biology, 295-315.
  5. ^ van der Pijl, L. (1937). Biological and physiological observations on the inflorescence of Amorphophallus. Recueil Trav. Bot. Neerl. 34: 157-167
  6. ^ Clarke, D. J. (2011). Testing the phylogenetic utility of morphological character systems, with a revision of Creophilus Leach (Coleoptera: Staphylinidae). Zoological Journal of the Linnean Society, 163(3), 723-812.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]