内容説明
世界のすう勢に逆行し医学的根拠もなく維持された強制隔離、過酷な療養所での処遇、治癒後も社会復帰の道を閉ざされた多くのハンセン病患者たち。国家からどんな人権侵害を受けても、社会の偏見ゆえ公然と声を上げることもかなわなかったかれらが、「らい予防法」制定90年後ついに国家賠償を求めて集団訴訟に立った。犠牲になった人びとの尊厳にかけ、日本のハンセン病政策の真相を原告、現職の療養所医師、歴史研究者らが暴露する。
目次
1 死者に向かって答えてくれ―原告たちの訴え(しかしあれから三年余を経過したものの、何一つ変わっていないのが現実です。今尚、全国友園納骨堂には、二万有余の療友が里帰りの日を待っております。;裁判長、私の子どもを国から取り戻してください。堕胎させられる側にとっては国家による子殺しでしかありません。 ほか)
2 医学が解き明かした隔離政策の誤り(ハンセン病とはいかなる疾病か;隔離に医学的根拠はあったか ほか)
3 存在が許されなかった命の歴史(隔離政策の動機;断種―不法行為の日常化 ほか)
4 歴史の改ざんと隠蔽(なぜ原告らは立ち上がったのか;歴史を改ざんする厚生省 ほか)