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4月がつ10日とおかの日本にっぽんの昔話むかしばなし



かるい帰かえり道みち
輕けい鬆す个回程ほど

福ぶく妹いもうと日本にっぽん童話どうわ集しゅう (臺灣たいわん客語かくご．海陸かいりく腔) 翻譯ほんやく：鄧文政ぶんせい(ten33 vun55 zhin11)

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むかしむかし、彦一ひこいち(ひこいち)と言げんう、とてもかしこい子こどもがいました。

頭あたま擺頭擺，有ゆう一個安到彥一个人，非常ひじょう聰明そうめい。

ある春はるの日ひの事こと、殿とのさまが二に十じゅう人にんばかりの家来けらいを連つれて、お花見はなみへ出でかける事ことになりました。
某ぼう一いち年ねん春はる天てん某ぼう日び，國主こくしゅ渡わたり等とう大約たいやく二に十じゅう個こ勞ろう仔こ出で去ざ賞しょう花はな。

そのお花見はなみには、殿とのさまのお気きに入いりの彦一ひこいちも呼よばれています。
國主こくしゅ乜渡當とう惜个彥一共下去賞花。

そして出発しゅっぱつの時とき、殿とのさまがみんなに言いいました。
過か後ご，出發しゅっぱつ个時節ぶし國主こくしゅ摎大家か講こう：

「みんなには花見はなみの荷物にもつを運はこんでもらうが、どれでも好すきな物ものを持もって行いくがよいぞ」
「大家たいか愛あい搬運賞しょう花はな用よう个東西とうざい，你兜乜做得とく帶たい自家じか愛あい个東西とうざい。」

すると家来けらいたちは、(では、何なにを持もって行いこうかな) と、前まえに並ならべられた荷物にもつを、グルリと見回みまわしました。
該兜承うけたまわ勞ろう仔こ（帶おび麼个好こう哪？）看み看み排はい在ざい面前めんぜん个包袱。

そこには殿とのさまが腰こしをかけるいす、地面じめんにしく毛もうせん、茶ちゃわんや皿さらや土どびん、つづみやたいこなどの鳴物なりもの道具どうぐ(なりものどうぐ)に、とっくりやさかづきなどの酒さかもり道具どうぐ。

國主こくしゅ在ざい該坐个凳仔こ，地ち泥どろ下か舖个氈仔，碗わん、盤ばん仔こ，茶ちゃ罐かん、日本にっぽん鼓こ、大だい鼓こ等とう樂器がっき，還かえ有ゆう酒さけ壼、酒杯しゅはい裝そう酒しゅ个東西とうざい。

他たには歌うたをよむ時ときの筆ふでやすずりやたんざくなどもあります。
其他還かえ有ゆう歌うた頌花愛用あいよう著ちょ个墨盤ばん、紙かみ該兜東西とうざい。

どうせなら軽かるい物ものが良よいと、家来けらいたちは我先われさきにと軽かるい荷物にもつを選えらんでいきます。

反はん正せい輕けい个東西とうざい總そう係かかり較好，勞ろう仔こ相しょう爭そう比ひ背せ選せん較輕个東西とうざい，

そんな様子ようすを彦一ひこいちがじっと見みていると、最後さいごに残のこったのは竹たけの皮かわにくるんだにぎりめしや、おかずの入はいっている包つつみだけでした。

彥一目金金緊看佢兜揀揀擇擇，最後さいご伸しん著ちょ个係用よう竹ちく殼から包つつみ等とう个手撚ひね飯めし糰摎包つつみ等とう个副食品しょくひん。

(はは～ん、食たべ物ものは重おもいから、誰だれも手てを付つけないな。しかしこれは、いい物ぶつが残のこってくれたぞ)
（haha~n，食物しょくもつ較重儕儕乜毋愛あい拿，毋過留とめ分ぶん𠊎个係還かえ好こう个東西とうざい哦！）

彦一ひこいちは、わざとガッカリした様子ようすで言げんいました。
彥一挑挑趜做盡失望个樣仔，講こう：

「何なにと、こんなに重おもたい物ものしか残ざんっていないとは・・・」
「麽个呀！伸しん著ちょ恁重个東西とうざい‧‧‧」

そして重おもそうに弁当べんとうの包つつみみをかつぐと、みんなのあとをついて行くだりきました。
過か後ご詐いつわり意い盡つき重しげる樣さま㧡等とう飯めし包つつみ仔こ，跈等大家たいか後背こうはい行ぎょう。

それを見みた家来けらいたちは、

該兜勞ろう仔こ看み著ちょ，

(知恵者ちえしゃと評判ひょうばんの彦一ひこいちだが、あんな重おもたい物ものをかつぐとはバカな奴やつじゃ)
と、クスクスと笑わらいいました。

（大家たいか阿おもね𧩣講こう恁有智慧ちえ个彥一いち，㧡等とう恁重个東西とうざい，根本こんぽん係がかり大だい牯。）

在ざい該偷笑わらい。　

さて、お目当めあてての山やまに到着とうちゃくした一いち行ぎょうは、囲かこえいのまくをはり、毛もうせんをしいて荷物にもつを広ひろげると、彦一ひこいちの持もちって来きたお弁当べんとうを食しょくべる事ことにしました。
一下仔一陣人就去到愛賞花个山頂，圍かこえ起おこり布ぬの幕まく、舖地氈、打開だかい㧡來らい个東西とうざい，

そして花はなをながめるやら、踊おどるやら、歌うたをつくるやら、酒盛さかもりをするやらして、みんな思おもう存分ぞんぶんにお花見はなみを楽たのしみました。

大家たいか開始かいし食しょく彥一㧡來らい个飯包つつみ。續ぞく等ひとし去さ欣賞花はな、跳とべ舞まい、吟ぎん詩し、擺洒宴えん大家たいか盡つき歡喜かんき。

そしていよいよ、お城しろヘ帰きる事ことになり、家来けらいたちが持もちって来きた荷物にもつをかたづけていると、彦一ひこいちが殿しんがりさまに言げんいました。

到いた轉うたて个時節ぶし，勞ろう仔こ㧡等とう原はら來らい个東西とうざい，彥一摎國主こくしゅ講こう：

「殿とのさま。このまま行いきと同おなじ道どうを帰かえるのですか？」
「國主こくしゅ，俚係かかり行ぎょう原はら路ろ轉うたて無む？」

「ふむ。と、言いうと？」

「ng11，你講呢？」

「ごらんくだされ。向むこうの山やまも、あの通とおりの見事みごとな花盛はなざかりでございます。いかがでしょう。ひとつあの山やまの花はなをながめながらお帰かえりになっては」

「請你看み對たい門かど山さん乜開淰淰个花，來き去ざ該片欣賞一下正轉好無？」

「なるほど、それはよい事ことに気きがついたな」
「有ゆう影かげ喔！發現はつげん恁好个東西とうざい。」

殿どのさまは大喜だいぎびで、さっそく家来けらいたちに言げんいました。
國主こくしゅ非常ひじょう歡喜かんき，黏時摎承勞ろう仔こ講こう：

「まだ日ひも高たかいし、向むこうの花はなをながめながら帰かえろうと思おもうが、どうじゃ？」
「還かえ恁早𠊎想おもえ去ざ對たい門かど山さん欣賞花はな以後いご正せい轉てん，仰おおせ般？」

それを聞きいた家来けらいたちは、荷物にもつをかついで向むこうの山やまをこえるなんてまっぴらと思おもいましたが、殿とのさまの言葉ことばには逆さからえません。

該兜承うけたまわ勞ろう仔こ聽著，㧡等恁多た東西とうざい，毋想去さ又また毋敢毋照國主こくしゅ个意思いし。

「はい。お供ともいたします」と、しぶしぶ頭あたまを下さげました。
高こう不ふ將しょう勉强べんきょう應おう：「好このみ，共とも下か來き去ざ。」

すると彦一ひこいちが、
過か後ご彥一就講：

「では殿とのさま。わたくしがご案内あんないいたします」
「國主こくしゅ，𠊎來らい帶おび路ろ。」

と、みんなの先さきに立たって歩あるきます。
就行在ざい大家たいか頭あたま前まえ。

殿どのさまが家来けらいたちを見みると、みんな大だいきな荷物にもつを持もちっていますが、けれど彦一ひこいちは小しょうさくたたんだふろしきを腰こしにぶら下したげているだけです。
國主こくしゅ看み著ちょ承うけたまわ勞ろう仔こ大だい擔細擔㧡等ひとし，斯彥一一儕人腰仔綯等一細包東西。

殿とのさまは不思議ふしぎに思おもって、彦一ひこいちに尋たずねました。
國主こくしゅ想そう毋解就問彥一：

「これ彦一ひこいち。お前まえの荷物にもつはどうした？」
「彥一，若わか个東西とうざい呢？」

すると彦一ひこいちは、ニッコリ笑わらいって言げんいました。
彥一笑いっしょう咪咪講こう：

「はい、わたしの荷物にもつは、みなさんのお腹はらの中うちにございます」

「𠊎个東西とうざい在ざい大家たいか个肚屎肚。」

おしまい
煞咧