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5月15日の日本の昔話
鉢かづき姫
『戴缽仔』个妹仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
♪音声配信(html5) |
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音声 スタヂオせんむ |
むかしむかし、河内の国(かわちのくに→大阪)に、ひとりの大金持ちが住んでいました。
頭擺頭擺,一個有錢人戴在河內國(河內國→大阪)。
なに不自由ない暮らしをしていましたが、子どもだけはどうしてもさずかりません。
逐日過著無愁無慮自由自在个生活,斯無降半個細人仔。
それで毎晩、長谷寺(はせでら)の観音さま(かんのんさま)に手を合わせてお願いをして、ついに念願の子どもが生まれたのです。
所以逐暗晡,去長谷寺雙手合十求觀音菩薩,包尾,達成心願降個細人仔。
その子どもはお母さんによく似た、美しい姫です。
這個細人仔盡像厥姆,係一個當靚个妹仔。
ところが姫が十三才になった年、お母さんは重い病気にかかりました。
毋過,在妹仔十三歲該年,阿姆著病。
お母さんは、姫を枕元に呼ぶと、
阿姆喊妹仔來到眠床頭,
「わたしはまもなく遠い所へ行きます。わたしがいなくなるのは運命ですから、悲しむ必要はありません。
「𠊎無幾久就愛去一隻當遠个所在。這係吾命運,所以你無需要傷心。
さあ母の形見に、これを頭にのせていなさい。きっと、役に立ちますからね」
這係阿姆个禮物,放在你个頭那頂。定著,當有有用。」
そう言って重い箱を姫の頭の上にのせたばかりか、大きな木の鉢(はち)までかぶせました。
恁樣講後,毋單淨在妹仔頭那頂放一隻盡重个箱仔,還弇一隻當大个樹缽仔。
そして、お母さんはなくなりました。
過後,阿姆就死忒了。
お父さんは姫の頭の上の鉢を取ろうとしますが、どうしてもはずせません。
阿爸想愛摎放在妹仔頭那頂个缽仔拿下來,仰般都無法度。
そのために姫は『鉢かづき』といって、バカにされたり、いじめられたりしました。
這就係妹仔分人喊做『戴缽仔』、分人看毋起摎欺負个原因。
やがてお父さんに、二度目の奥さんがやってきました。
過無幾久,爺仔討個後哀。
この新しいお母さんが悪い人で、鉢かづき姫にいじわるをしたり、かげ口をたたいたり、最後にはお父さんをうまくだまして、鉢かづき姫を追い出してしまったのです。
這個新討个後哀係個壞人,苦毒『戴缽仔』个妹仔,燒話,包尾騙厥爺仔,摎佢逐出去。
家を追い出された鉢かづき姫は、シクシク泣きながら大きな川のほとりにやってきました。
分人逐出屋下个『戴缽仔』个妹仔,sud sud滾噭、走到河壩脣。
「どこへ行ってもいじめられるのなら、ひと思いに、お母さまのそばへ行こう」
「去到哪位都分人欺負,毋當來去阿姆該位。」
ドボーン!
dobon!
思いきって川の流れに飛び込みましたが、木の鉢のおかげで浮きあがってしまいました。
死心後斯跳落河壩肚,毋過因為樹缽仔,所以正浮起來。
鉢かづき姫は、死ぬ事さえ出来ないのです。
『戴缽仔』个妹仔正無浸死。
村の子どもたちが、鉢かづき姫に石を投げました。
村內該兜細人仔用石頭牯擲『戴缽仔』个妹仔。
「わーい。頭がおわん。からだが人間。お化けだぁー」
「哇。頭那係缽仔、身體係人,係鬼哦。」
ちょうどその時、この国の殿さまで山陰(さんいん)の中将(ちゅうじょう)という人が、家来を連れてそこを通りかかりました。
堵堵在該下,該國國主,安到山陰中將个人,率領管家經過。
中将は親切な人だったので、鉢かづきを家に連れて帰ってふろたき女にすることにしました。
中將人當親切,摎『戴缽仔』个妹仔渡轉屋下,負責暖水。
この中将には、四人の男の子がいます。
中將有四個倈仔。
上の三人は結婚していましたが、一番下の若君には、まだお嫁さんがいませんでした。
三個大个早就結婚了,斯伸滿子吂討。
心のやさしい若君は、鉢かづき姫が傷だらけの手で水を運んだり、おふろをたいたりするのを見てなぐさめました。
好心个滿子看著『戴缽仔』个妹仔,用著傷个手運水,又燒樵暖水就安慰佢。
「しんぼうしなさい。きっと、良い事があるからね」
「較忍耐兜,一定,會有好事呢。」
「はい」
「好。」
鉢かづき姫は、どんなにうれしかった事でしょう。
『戴缽仔』个妹仔有幾歡喜呢。
こんなにやさしい言葉をかけられたのは、お母さんが死んでから初めてです。
自厥姆過身以來,這係第一擺聽到這恁貼心个話。
それから、何日か過ぎました。
又過幾日。
若君は、お父さんの前へ出ると、
滿子出來行到厥爸面前時節,
「父上。わたしは、あの娘と結婚しようと思います。しんぼう強く、心のやさしいところが気にいりました」
と、言ったのです。
講:「父親大人。𠊎想愛摎該個細妹仔結婚,𠊎中意佢有耐心、當善良个心。」
もちろん、お父さんの中将は反対です。
當然,爺仔中將反對。
「ならん!あんな、ふろたき女など!」
「做毋得!該種,燒火暖洗身水个細妹仔!」
「いいえ!あの娘は素晴らしい女性です。あれほどの娘は、他にはいません!」
「毋係!該個細妹仔真正係個好細妹仔。無其他哪個細妹仔比佢較好!」
「素晴らしい?他にはいないだと?・・・よーし、では嫁合わせをしようではないか。兄たちの嫁と、あの鉢かづきを比べようではないか」
「好係無?無其他人?...好,仰毋喊恁多個心臼來比看呢?三個阿哥个餔娘摎『戴缽仔』个妹仔比做得無?」
三人の兄の嫁は、とても美しい娘です。
嫁三兄長个新娘係非常靚个細妹仔。
こうすれば鉢かづき姫は恥ずかしくて、自分からどこかへ行ってしまうだろうと考えたのです。
恁樣个時節『戴缽仔』个妹仔感覺盡見笑,想著自家毋知愛去哪較好?
さて、いよいよ嫁合わせの夜がきました。
婚禮个日仔到了。
鉢かづき姫は思わず手を合わせて、長谷寺の方をおがみました。
『戴缽仔』个妹仔不知不覺雙手合十,向長谷寺方向拜。
「お母さま。観音さま。今夜、嫁合わせがあります。
「阿姆、觀音菩薩、暗晡夜愛辦婚禮。
お兄さま方のお嫁さんは、とても美しい姫君たちと聞きます。
嫁分兄長个新娘聽講係非常靚个細妹仔。
わたしの様な鉢かづきが出て行って、いとおしい若君に恥をかかせるくらいなら、いっそこのままどこかへ・・・」
若係𠊎恁樣戴等缽仔出席會侮辱著這得人惜个滿子,𠊎去那哪位好呢....」
その時です。
斯在該下。
今までどうしてもはずれなかった頭の木鉢が、ポロリとはずれたのです。
仰般都拿毋下來个缽仔,一下仔就對頭那頂㪐下來。
鉢の下からは、かがやくばかりの姫が現れました。
缽仔下背出現一個金晶𥍉亮个細妹仔。
そして鉢の中からは、金・銀・宝石があとからあとからこぼれ出ました。
後來,金、銀摎珠寶湓出來。
そこへ現れた若君が言いました。
滿子就講:
「やはり、あなたは素晴らしい娘だ。さあ、美しい姫よ、嫁合わせに行きましょう」
「畢竟,你係一個了不起个細妹仔,來去,靚細妹仔,來去婚禮會場。」
屋敷の中では、三人の兄たちの美しく着飾った姫たちがならんでいます。
在大廳肚,三位兄長个餔娘著等當萋頭、比比排在該。
そこへ鉢かづき姫が、ニコニコと笑いながら現れました。
『戴缽仔』个妹仔笑咪咪出現。
「おおーっ」
「哦!」
お父さんの中将が思わず声をあげたほどの、まぶしいばかりの美しさです。
爺仔个山陰中將毋多知大聲噦,因為該靚到分佢晟著个人會昏哆昏哆。
中将は鉢かづき姫の手をとって自分の横に座らせると、若君に言いました。
中將牽等妹仔个手,坐在佢脣頭,摎滿子講:
「まったく、お前の言う通り素晴らしい娘だ。この娘を妻とし、幸せに暮らすがよい」
「完全像你講个,佢係一個當靚个細妹仔。討佢做餔娘,會過幸福个生活。」
「はい、父上!」
「係,父親大人!」
「ありがとうございます。お父さま」
「承蒙你,阿爸。」
それから若君と姫は仲むつまじく暮らして、二人の間には何人かの子どもも生まれました。
過後,滿子摎『戴缽仔』个妹仔和挼過日仔,兩儕降幾下個細人仔。
ある時、鉢かづき姫が長谷寺の観音さまにお参りをしたときのことです。
某時,『戴缽仔』个妹仔去參拜長谷寺觀音菩薩時節發生个事情。
本堂の片すみで、みすぼらしい姿のお坊さんに会いました。
在正殿个轉角,堵著一個著到爛爛款款个和尚。
そのお坊さんの顔を見て、鉢かづき姫はびっくり。
見著和尚个面,『戴缽仔』个妹仔嗄著驚。
「まあ、お父さまではありませんか」
「這,毋係阿爸咩?」
「姫、姫か!」
「妹仔,妹仔嘎!」
二人は抱き合って、数年ぶりの再会を喜びました。
兩儕揇做一下,幾下年後第一擺再過見面,非常歡喜。
すっかり落ちぶれて新しい奥さんにも見捨てられたお父さんは、鉢かづき姫を追い出した事を後
悔して、旅をしながら鉢かづき姫を探していたのです。
落魄到分厥後來嫲㧒忒个阿爸,摎『戴缽仔』个妹仔逐出去感覺當後悔,所以出去旅行順續尋『戴缽仔』个妹仔。
「すまなかった。本当にすまなかった」
「對你毋起。𠊎實在對你毋起。」
泣いてあやまるお父さんに、鉢かづき姫はにっこりほほえみました。
『戴缽仔』个妹仔開容笑面摎噭襤濕褸个爺仔講:
「いいえ。いろいろありましたが、今はとても幸せなのですよ」
「毋使。發生盡多事情,這下特別幸福哦。」
それからお父さんは鉢かづき姫のところにひきとられ、幸せに暮らしました。
自該擺以後,厥爸分『戴缽仔』个妹仔收留在佢屋下,過著幸福快樂个生活。
おしまい
煞咧
イラストレーターの夢宮 愛さんが、その後のお話しを描いています。
お気軽に、お立ち寄りください。
→ その後の『鉢かづき姫』
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