第だい１６話わ

　

「そうだ、この辺あたりに川かわはねーかい？」

「あるでござるよ」

「案内あんないしてくれねえか、水みずを汲くんできたほうがいいだろ」

「承知しょうちしたでござる。こちらへ」

タータと仁じんが行おこなってしまうとセナはクロッサルに見みられないようにアレフの顔かおに手てを伸のばした。

（アレフ・・・あたしを守まもって・・・）

そのうちにアレフがうっすらと目めを開ひらいた。

「やあ・・・セナ・・・大丈夫だいじょうぶかい・・・」

「ば、馬鹿ばか野郎やろう、人ひとの心配しんぱいより自分じぶんの心配しんぱいをしろよっ」

「なるほど・・・その通とおりだ・・・」

アレフは目めで笑わらった。

「俺おれの・・・剣けんは・・・？」

「ここにあるぜ」

「よかった・・・」

「アレフ・・・」

「ん・・・」

「助たすけてくれて、ありがとな」

「はは・・・らしくないよ・・・セナ」

「う、うるせーなっ」

「おーい、水みず汲くんできたぜー」

タータと仁じんが戻もどってきた。

布ぬのを水みずで濡ぬらして傷きずを洗あらった。

「い、いてぇ〜・・・」

「あ、わりぃ。そうっとそうっと・・・」

「ちくしょー、優やさしくねえぞ、おい」

「フィリシア、いくぞ」

「よろしい・・・ですわ・・・」

「失礼しつれいするでござる」

「はい・・・あの」

「なんでござるか？」

「助たすけてくれて・・・ありがとうございました」

そのまま１晩ばんをそこで過すごした。

動うごけない３人にんを中央ちゅうおうに寝ねかし、囲かこむように眠ねむった。

次つぎの日ひ、３人にんはしゃべることもできないほど具合ぐあいが悪わるくなっていた。

高熱こうねつで動うごかすこともできない。

「こりゃあ、まじにまずいぜ」

「おう、どうにかしねーとな」

「こうなったら拙者せっしゃが街まちまでひとっ走はしりに」

「それしかなさそうだな」

その時とき、不意ふいにタータが手てをポンッと叩たたいた。

「そういや、俺おれ聞きいたことがあんだけどよ。森もりの中なかに薬草やくそう、生はえてんじゃねえか？」

「薬草やくそうか」

「ふむ・・・しかし、どのようなものか分わかり申さるせぬ」

「んー・・・でもよ、行おこなって５日にち帰かえって５日にちで計けい１０日にちだろ。それまで放はなっておく気きかよ」

「だからってなんにもしねえわけにはいかねえだろっ」

「落おち着つくでござるよ。とにかく拙者せっしゃ街がいまででるでござる。それでよろしいか」

「・・・お、おう。じゃ俺おれは薬草やくそうを探さがしてみんよ」

「あ、あたしも・・・」

「誰だれかが見みてやらねーとまずいだろ。セナはここにいろ」

「・・・う、うん」

「ではっ」

「待まってろよっ」

仁じんとタータは走はしっていってしまった。

残のこされたセナは布ぬのを濡ぬらしてみんなの額がくにのせた。

（あたしは、どうすれば・・・）

とにかく冷ひやすしかない。

セナはできるだけ冷つめたい水みずで体からだを冷ひやした。

しかし、悪わるいことは立たて続つづけに起おこるものだ。

なんとセナが１人にんしかいなく、しかも３人にんも怪我人けがにんがいるところへモンスターが襲おそってきたのだ。

ジャーキだ。

このモンスターは猛毒もうどくの持もち主ぬしだ。

噛かまれればこんな弱よわっている体からだではひとたまりもない。

「くっ・・・」

セナは剣けんを抜ぬき、３人にんの前まえに立たった。

「シャーーーーーッ」

ジャーキがセナに飛とびかかった。

「たあっ」

セナは剣けんでそれを受うけとめたが、しっかりとジャーキはその剣けんに噛かみついていた。

「シューーーーッ、グルルルル」

ジャーキが今いまにも剣けんを噛かみきらんとばかりに唸うなっている。

おまけに気付きづいていなかったのだが、あと３匹ひきもいたのだ。

（ま、まずい。今いまそっちにいかれたら）

セナは剣けんを高たかくあげると思おもいきり地面じめんに叩たたきつけた。

「ギ、シャーー・・・・・」

ジャーキの顔かおがつぶれ、緑色みどりいろの液体えきたいが流ながれ出でた。

「うおおおおっ」

そのままセナはジャーキの集団しゅうだんに突つっ込こんだ。

「シャーーーッ、ギギギギギ」

「だああああっ」

遠心えんしん力りょくを利用りようし、剣けんをまわして３匹ひきのジャーキの首くびをいっぺんにはねた。

しかし、その中なかの１匹ひきの首くびがセナの腕うでに噛かみついたのだ。

「！！このっ」

セナは腕うでを振ふって首くびを振ふり落おとすとその首くびを踏ふみつけた。

「はあ、はあ、はあ」

噛かまれたところからは血ちが流ながれ出でている。

（・・・やばい・・・）

もう、毒どくがまわってきたのかセナの足取あしどりはふらついてきた。

どうにか３人にんのそばまでくると、そのまま倒たおれてしまった。

（これじゃ・・・もう、どうすることもできない・・・）

その時とき、草くさをかき分わける音おとが聞きこえた。

（タータビネーニョか？）

しかし、その人影ひとかげは違ちがって見みえる。

その人影ひとかげはセナの傍はたまでくるとセナの腕うでを取とった。

（なにをするつもりなんだ・・・）

傷きずに手てを翳かざし、なにやら呪文じゅもんを唱となえている。

そのうちに手てが光ひかり始はじめた。

（あ・・・痛いたみが消きえて・・・）

その人ひとはセナから手てを離はなすとにっこりと微笑ほほえんだ。

老人ろうじんであったがまだまだ若若わかわかしく笑顔えがおが似合にあう人ひとだった。

「もう大丈夫だいじょうぶですよ。元気げんきなお嬢じょうさん」

　

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