研究けんきゅう報告ほうこく 2-2

川添かわぞえ 睡ねむ　（かわぞえ ねむる）

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#報告ほうこく題目だいもく

エイブリズムと差別さべつのあいだの関係かんけい性せいについて

#報告ほうこくキーワード

エイブリズム ableism / 能力のうりょく序列じょれつの思想しそう meritocracy / 性別せいべつ制度せいど sexism

#報告ほうこく要旨ようし

この発表はっぴょうではエイブリズムに対たいして考かんがえたことを述のべる.

この言葉ことばは現在げんざいいくつかの異ことなった意味いみで用もちいられるが, 今回こんかい着目ちゃくもくするのは「能力のうりょく中心ちゅうしん的てき思想しそう」という側面そくめんである. 具体ぐたい的てきには「できるようになるということは、無条件むじょうけん、無む批判ひはんに正ただしいことであり、誰だれにとっても望のぞましいことだと考かんがえるイデオロギー」といった風ふうに説明せつめいされる (星加ほしか 2012).
できることが望のぞましいという世界せかい観かんは日常にちじょう生活せいかつにかなりありふれて存在そんざいし, また私わたし達たちはそれを自明じめいのものとして自他じたに適用てきようしているため, その規範きはん性せいに疑うたがいをもったり抑圧よくあつ・被ひ抑圧よくあつを常つねに認識にんしきすることはとても重要じゅうようである.

また一般いっぱん的てきに, エイブリズムが社会しゃかい全体ぜんたいに適用てきようされた “結果けっか” として, 劣おとった「能力のうりょく」を持もつという割わり振ふりがされた者もの, ことに障害しょうがいされる人ひとたちに対たいして見下みくだし・無力むりょく化か・抑圧よくあつとなる体制たいせい (ディスエイブリズム) も社会しゃかいで醸成じょうせいされる, と理解りかいされている (と筆者ひっしゃは感かんじる).
しかし筆者ひっしゃは, 規範きはんとして維持いじされているエイブリズムと, 人々ひとびとや社会しゃかいの間あいだに適用てきようされる実際じっさいの力学りきがくの様子ようすの間あいだとに, 微妙びみょうな食くい違ちがいを感かんじる. 果はたして文字通もじどおりに「能力のうりょくがあることは望のぞましいこと, 出来できないことは悪わるいこと」という規範きはんは信しんじられているだろうか. いくつかの事例じれいから「能力のうりょく」という概念がいねんがどのように扱あつかわれているのかを検証けんしょうする.

そして,「エイブリズムの帰結きけつとしてのディスエイブリズム」という理解りかい, 又または「エイブリズムとフェアでない能力のうりょく評価ひょうかとが組くみ合あわさって醸成じょうせいされるディスエイブリズム」という理解りかいに対たいして疑問ぎもんを提示ていじする. エイブリズムはそれ自身じしん完結かんけつした論理ろんりである “かのようでいて” 逆ぎゃくにディスエイブリズムの支配しはい下かにあるのではないだろうか.

今回こんかいの考察こうさつでは, 女性じょせい差別さべつに対たいして考かんがえられてきた多おおくの問題もんだい化かと抵抗ていこうが事例じれいとして交差こうさしている.
であるので後半こうはんでは, 私わたし自身じしんが性別せいべつという身分みぶん制度せいどの中なかでどのような力学りきがくを受うけてきたのか, これからどう抵抗ていこうできるのかについてを模索もさくする.

文献ぶんけん
星加ほしか 良司りょうじ, 2012,「障害しょうがいアイデンティティを越こえるとは?:社会しゃかい学がく的てき視点してんから」
http://web.archive.org/web/20170726204657/http://www.p.u-tokyo.ac.jp/cbfe/data/report/pdf/01-032.pdf

(以下いか全すべて2017/7/28現在げんざい)
倫理りんり的てき配慮はいりょ

例示れいじされた研究けんきゅう指針ししんの内容ないようを順守じゅんしゅし, 精神せいしんを尊重そんちょうし, そこから発展はってんする議論ぎろんと対話たいわに参加さんかすることを言明げんめいします. 追加ついかとして以下いかの文章ぶんしょう中ちゅうで示唆しさ, 懸念けねんされた範疇はんちゅうについても配慮はいりょしたいと考かんがえます.

マサキチトセ, 2014,「翻訳ほんやく『調査ちょうさ対象たいしょう者しゃ、回答かいとう者しゃ、参加さんか者しゃの保護ほごについて』：卒論そつろんを書かいている大学生だいがくせいや、独自どくじ調査ちょうさをしようとしている団体だんたいは、ぜひ一いち度ど読よんでください」
http://web.archive.org/web/20170527113323/http://ja.gimmeaqueereye.org/entry/1758
常野じょうの雄二郎ゆうじろう, 2005,「調査ちょうさする者ものとされる者ものの終おわらない関係かんけい　第だい１回かい　調査ちょうさ者しゃを位置いちづける」
http://web.archive.org/web/20090821173000/http://d.hatena.ne.jp:80/toled/20050626/1119711600
岩川いわかわありさ, 2010,「ヘテロセクシストがいる教室きょうしつ」
http://web.archive.org/web/20170727063849/http://d.hatena.ne.jp/ari1980/20101108/1289210464

発表はっぴょうでは論文ろんぶんのほかに, 障害しょうがいされた当事とうじ者しゃがするいくつかの表現ひょうげんに対たいして解釈かいしゃくを行おこないます. 具体ぐたい的てきには

松波まつなみめぐみ 障害しょうがいのある方々かたがたの劇団げきだんサークルの皆みなさん, 2015,「平成へいせい 26 年度ねんど第だい 9 回かい企業きぎょう向むけ人権じんけん啓発けいはつ講座こうざ」
http://web.archive.org/web/20170613022950/http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/cmsfiles/contents/0000180/180436/9kouenroku.pdf
村田むらた惠子けいこ,「女性じょせい障害しょうがい者しゃが受うける様々さまざまな事例じれい」
http://web.archive.org/web/20170727070005/http://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/documents/1347449800400.pdf

からそれぞれ一いち部分ぶぶんを引用いんようします. これらの文書ぶんしょはある程度ていど以上いじょうの周知しゅうちを目的もくてきとして作成さくせいされたものであると読よめるため, 私わたし秘ひ的てきな情報じょうほうには当あたらないと判断はんだんしています.

筆者ひっしゃは発表はっぴょうで引用いんようした内容ないようとその手法しゅほうないし解釈かいしゃくの効用こうようについて, 当事とうじ者しゃ等とうより異議いぎを受うけて対話たいわに応おうじる義務ぎむを負おいます.