安やす月給げっきゅうだけど「やりがいはある」の終おわり　沸騰ふっとうする初任しょにん給きゅう戦争せんそう

　「令れい和わXX年とし、少子しょうし高齢こうれい化かの加速かそくにより就活しゅうかつ生せいが会社かいしゃを選えらぶ時代じだいとなった」。近きん未来みらいの就職しゅうしょく面接めんせつを描えがいた1分間ふんかんのショートフィルム「逆ぎゃく面接めんせつ」が今春こんしゅん、SNS（ネット交流こうりゅうサービス）上じょうで拡散かくさんし、大おおきな反響はんきょうを巻まき起おこした。監督かんとくは、映画えいが「カメラを止とめるな！」の上田うえだ慎一郎しんいちろう氏し（40）。視聴しちょう者しゃの反応はんのうは、人々ひとびとの心しんの奥底おくそこを鋭するどく切きり取とってきた上田うえだ氏しにとっても意外いがいなものだった。

逆ぎゃく面接めんせつは「フィクション」じゃなかった

　「逆ぎゃく面接めんせつ」はこんなふうに始はじまる。就職しゅうしょく面接めんせつの面接めんせつ官かんの席せきに座すわるのは、パーカを着きた若わかい男性だんせい。そこにスーツ姿すがたの中年ちゅうねん男性だんせい3人にんが緊張きんちょうした面持おももちで入室にゅうしつし、面接めんせつされる側がわの椅子いすに並ならんで座すわる。

　「じゃあ、皆みなさんの会社かいしゃに入はいるメリットを教おしえてください」。定時ていじ退社たいしゃ、有給ゆうきゅう休暇きゅうか取とり放題ほうだい、在宅ざいたく勤務きんむ……。企業きぎょうの採用さいよう担当たんとう者しゃがその会社かいしゃで働はたらく「メリット」を次々つぎつぎにあげていく。最後さいごに順番じゅんばんの回まわってきた男性だんせい担当たんとう者しゃが「仕事しごとのやりがい」を熱あつく訴うったえるが、逆ぎゃくにやり込こめられ、結局けっきょくは待遇たいぐうの良よい会社かいしゃが選えらばれる――。そんなストーリーだ。

　円えん安やすと人手ひとで不足ふそくがデフレ期きに染しみついたゲームのルールを変かえていく。大だい転換期てんかんきを迎むかえるヒトとモノの「値段ねだん」の今いまをリポートします。
　初任しょにん給きゅう30万まん円えんの「おいしい」仕事しごととは…本当ほんとうの人手ひとで不足ふそく時代じだいが来くる
　「金額きんがくだけで決きめてはいけない」 初任しょにん給きゅうアップの注意ちゅういポイント

　SNSへの投稿とうこう直後ちょくごから話題わだいになり、上田うえだ氏しの公式こうしきX（ツイッター）だけでも1200万まん回かい以上いじょう表示ひょうじされた。採用さいようする側がわの立場たちばが強つよく、採用さいようされる側がわが弱よわい。そんな就職しゅうしょく面接めんせつの風景ふうけいを逆転ぎゃくてんさせ、そのあり方かたを風刺ふうしする「フィクション」のつもりだった。しかし、反響はんきょうの広ひろがりは上田うえだ氏しの予想よそうを大おおきく超こえていた。

　「今いまは会社かいしゃ側がわが入社にゅうしゃするメリットを見みせないと優秀ゆうしゅうな人ひとは…