国際こくさい比較ひかくすると負担ふたんが軽かるい？ 日本にっぽんの税制ぜいせいトリック

「庶民しょみんに優やさしい」
データに騙だまされるな！

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国民こくみん負担ふたん率りつ（対たい国民こくみん所得しょとく比ひ）

図ずのような国際こくさい比較ひかくに関かんするデータ（財務省ざいむしょう発表はっぴょう）を見みると、「日本にっぽんの税制ぜいせいは庶民しょみんに優やさしい」と感かんじられるかもしれません。しかし、それは大おおきな誤解ごかいです。財務省ざいむしょうは「日本にっぽんは庶民しょみんがあまり税金ぜいきんを負担ふたんしていない」と見みせかけるために、あらゆるトリックを使つかっています。

たとえば「付加ふか価値かち税率ぜいりつの国際こくさい比較ひかく」。いわゆる消費しょうひ税率ぜいりつ比較ひかくです。OECD加盟かめい国こくは30カ国かこくあるのに、数かぞえてみると29カ国かこくしかない。アメリカはゼロだから抜ぬいているのです。アメリカには「小売こうり売上うりあげ税ぜい」がありますが、州しゅう・郡ぐん・市しによってはゼロのところもあります。

消費しょうひ税率ぜいりつ比較ひかくにはもう一ひとつ罠わながあります。比較ひかくは標準ひょうじゅん税率ぜいりつで行おこなっていますが、食料しょくりょう品ひんなどは非課税ひかぜいという国くにも多おおいのです。これを補正ほせいすると、日本にっぽんの間接かんせつ税ぜいの負担ふたんは決けっして低ひくくはありません。

直接ちょくせつ税ぜいにしても、日本にっぽんは「個人こじん所得しょとく税ぜいの課税かぜい最低限さいていげんが低ひくい」という誤解ごかいがあります。しかし、ドイツやイギリスでは、低てい所得しょとく者しゃ層そうがいったん納おさめた税金ぜいきんは全額ぜんがく戻もどるので事実じじつ上じょうゼロ。納おさめた額がくベースで比較ひかくするのが無茶むちゃなのです。たばこも税額ぜいがくで比くらべると低ひくいのですが、税率ぜいりつで比くらべると低ひくくありません。「低ていコストでつくるJTが優秀ゆうしゅう」といえますが……。

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所得しょとく税ぜいの課税かぜい最低限さいていげん／所得しょとく税ぜい・住民じゅうみん税ぜいの負担ふたん水準すいじゅん

いまの日本にっぽんは、明あきらかに金持かねもちと大だい企業きぎょう優遇ゆうぐうです。小泉こいずみ内閣ないかくの5年ねんあまりの間あいだに一般いっぱん国民こくみんは5兆ちょう円えん増税ぞうぜいされましたが、大だい企業きぎょうと金持かねもちは3兆ちょう円えん以上いじょうの減税げんぜいになりました。低てい所得しょとく者しゃからは容赦ようしゃなく税金ぜいきんを取とるのに、給料きゅうりょうが62万まん円えん（ボーナスは150万まん円えん）を超こえると、厚生こうせい年金ねんきん保険ほけん料りょうも頭打あたまうちです。

小泉こいずみ内閣ないかくが信奉しんぽうした「新しん古典こてん派は経済けいざい学がく」では、付加ふか価値かちの担にない手てである資本しほん家かは大事だいじにすべきと考かんがえられている一方いっぽう、労働ろうどう者しゃはどんどん働はたらかせて納税のうぜいさせればよく、不要ふようになったらバッサリ切きる。それが昨年さくねんから今年ことしにかけて行おこなわれた派遣はけん切ぎりです。

「小ちいさな政府せいふ」を標榜ひょうぼうする日本にっぽん政府せいふは、社会しゃかい保障ほしょうも小ちいさくしたいと考かんがえています。現役げんえき時代じだいの所得しょとくに対たいする年金ねんきん給付きゅうふ額がくの比率ひりつは平均へいきんすると現在げんざい58％程度ていど。85歳さいでは41.3％です。5割わりが貧困ひんこんの目安めやすなので、庶民しょみんはまじめに働はたらいても長生ながいきするほど貧困ひんこん状態じょうたいに陥おちいるということです。

いま、消費しょうひ税ぜい増税ぞうぜいは不可避ふかひのように思おもわれていますが、上あげるのは相続そうぞく税ぜいでも法人ほうじん税ぜいでも、高額こうがく所得しょとく者しゃの最高さいこう税率ぜいりつでもいいはず。しかし、そこもまた「消費しょうひ税ぜいを上あげるしかない」というように、世論せろんがうまくつくられているのです。