高木たかぎ浩光ひろみつ＠自宅じたくの日記にっき

主おもな内容ないようは以下いかの通とおりです：

1. 当初とうしょ、個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくは、プロファイリングなどの新しん技術ぎじゅつに対応たいおうするため、「適正てきせいな利用りよう」義務ぎむを新設しんせつしようとしていた。
2. しかし、内閣ないかく法制ほうせい局きょくとの審査しんさ過程かていで、規範きはんの明確めいかく性せいや予見よけん可能かのう性せいの観点かんてんから批判ひはんを受うけ、徐々じょじょに変更へんこうを余儀よぎなくされていった。
3. 最終さいしゅう的てきに、「違法いほう又または不当ふとうな行為こういを助長じょちょうし、又または誘発ゆうはつするおそれがある方法ほうほうにより個人こじん情報じょうほうを利用りようしてはならない」という禁止きんし規定きていになった。
4. この過程かていで、当初とうしょの目的もくてき（プロファイリング対策たいさく）からは離はなれ、暴力団ぼうりょくだん対策たいさく法ほうの不当ふとう要求ようきゅう防止ぼうし規定きていなどを参考さんこうにした、より一般いっぱん的てきかつ抽象ちゅうしょう的てきな規定きていになってしまった。
5. 結果けっかとして、元々もともと意図いとしていた新しん技術ぎじゅつへの対応たいおうという目的もくてきが達成たっせいされないまま、解釈かいしゃくの幅はばが広ひろく、執行しっこうの基準きじゅんが不ふ明確めいかくな規定きていになったことが示唆しさされています。

この記事きじは、法ほう改正かいせいの過程かていを詳細しょうさいに追跡ついせきし、立法りっぽう者しゃの意図いとと実際じっさいの法文ほうぶんの乖離かいりを明あきらかにしている点てんで非常ひじょうに興味深きょうみぶかい内容ないようとなっています。

1. 2019年ねん4月がつ頃ごろ（中間なかま整理せいりの時点じてん）:
   • 利用りよう停止ていし請求せいきゅう権けんの強化きょうかとプロファイリング関係かんけいの規律きりつ導入どうにゅうを検討けんとう。
   • まだ具体ぐたい的てきな「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」の構想こうそうはない。
2. 2019年ねん8月がつ29日にち:
   • 個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくが内閣ないかく法制ほうせい局きょくを最初さいしょに訪問ほうもん。
   • この時点じてんでは「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」に関かんする具体ぐたい的てきな提案ていあんはまだない。
3. 2019年ねん10月がつ1日にち:
   • 「利用りよう停止ていし等とうの要件ようけんの拡大かくだい」について具体ぐたい的てきな検討けんとう開始かいし。
   • まだ「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」という形かたちではなく、利用りよう停止ていし請求せいきゅう権けんの拡大かくだいが中心ちゅうしん。
4. 2019年ねん10月がつ9日にち:
   • プライバシーポリシーの作成さくせい義務ぎむ化かなどを検討けんとう。
   • 「適正てきせいな利用りよう」についての具体ぐたい的てき措置そちの記載きさい義務ぎむを検討けんとう。
5. 2019年ねん10月がつ17日にち:
   • 「適正てきせいな利用りよう」義務ぎむを正面しょうめんから規定きていする方向ほうこうに転換てんかん。
6. 2019年ねん10月がつ24日にち:
   • 「適正てきせいな利用りように必要ひつような体制たいせい整備せいび等とうの義務ぎむ化か」という形かたちで具体ぐたい化か。
7. 2019年ねん10月がつ25日にち:
   • 「個人こじんデータ」を対象たいしょうとした規定きてい案あんを検討けんとう。
   • 本人ほんにんの権利けんり利益りえきを害がいするおそれがある場合ばあいの利用りよう禁止きんしを提案ていあん。
8. 2019年ねん11月13日にち:
   • 法制ほうせい局きょくから規範きはんの明確めいかく性せいについて指摘してきを受うける。
   • 「個人こじん情報じょうほう」を対象たいしょうとした不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし規定きていへの変更へんこうを示唆しさ。
9. 2019年ねん11月19日にち:
   • 「保有ほゆう個人こじんデータ」から「個人こじん情報じょうほう」への変更へんこうを検討けんとう。
   • 行為こうい規制きせいとしての性格せいかくを強化きょうか。
10. 2019年ねん11月28日にち:
    • 「違法いほう又または不当ふとうな行為こういを助長じょちょうし、又または誘発ゆうはつするおそれのある方法ほうほう」という文言もんごんに変更へんこう。
    • これにより、当初とうしょの目的もくてき（プロファイリング対策たいさく）から離はなれた形かたちに。
11. 2020年ねん1月がつ23日にち〜27日にち:
    • 「不当ふとうな行為こうい」の解釈かいしゃくについて法制ほうせい局きょくから更さらなる指摘してき。
    • ガイドラインでの具体ぐたい例れい提示ていじを検討けんとう。
    • 暴力団ぼうりょくだん対策たいさく法ほうの不当ふとう要求ようきゅう防止ぼうし規定きていを参考さんこうにするなど、さらに当初とうしょの目的もくてきから乖離かいり。
12. 最終さいしゅう的てきな法文ほうぶん:
    • 「違法いほう又または不当ふとうな行為こういを助長じょちょうし、又または誘発ゆうはつするおそれがある方法ほうほうにより個人こじん情報じょうほうを利用りようしてはならない」という形かたちに落おち着つく。

この過程かていを通つうじて、当初とうしょのプロファイリング対策たいさくという具体ぐたい的てきな目的もくてきから、より一般いっぱん的てきで抽象ちゅうしょう的てきな規定きていへと変化へんかしていったことが分わかります。

1. 明確めいかくな立法りっぽう目的もくてきの欠如けつじょ:

   当初とうしょ、プロファイリングや新しん技術ぎじゅつへの対応たいおうという目的もくてきがあったにもかかわらず、その目的もくてきを法文ほうぶんに明確めいかくに反映はんえいさせることができなかった。これは、技術ぎじゅつの進歩しんぽに対たいする法的ほうてき対応たいおうの難むずかしさを示しめしています。

2. 「個人こじんの権利けんり利益りえき」の定義ていぎの不ふ明確めいかくさ:

   法ほうの目的もくてきである「個人こじんの権利けんり利益りえきの保護ほご」が何なにを意味いみするのか、具体ぐたい的てきに説明せつめいできなかった。これにより、規制きせいの対象たいしょうや範囲はんいが不明ふめい確かくになってしまいました。

3. 法制ほうせい局きょくとの認識にんしきのずれ:

   個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくと内閣ないかく法制ほうせい局きょくの間あいだで、規範きはんの明確めいかく性せいや予見よけん可能かのう性せいに関かんする認識にんしきに差さがあった。法制ほうせい局きょくは具体ぐたい的てきで明確めいかくな規定きていを求もとめたが、事務じむ局きょくはそれに応こたえられなかった。

4. 既存きそんの法ほう概念がいねんへの依存いぞん:

   新あたらしい問題もんだいに対処たいしょするために、既存きそんの法ほう概念がいねん（「違法いほう又または不当ふとうな行為こうい」など）を流用りゅうようしたことで、本来ほんらいの目的もくてきから乖離かいりしてしまった。

5. 立法りっぽう事実じじつの不適切ふてきせつな選択せんたく:

   リクナビ事件じけんなどの具体ぐたい的てき事例じれいを立法りっぽう事実じじつとして適切てきせつに活用かつようできなかった。また、破産はさん者しゃマップ事件じけんなど、本来ほんらいの目的もくてき（プロファイリング対策たいさく）とは異ことなる事例じれいを取とり上あげたことで、焦点しょうてんがぼやけてしまった。

6. 技術ぎじゅつ的てき理解りかいの不足ふそく:

   プロファイリングや新しん技術ぎじゅつに関かんする深ふかい理解りかいが不足ふそくしていたため、それらを適切てきせつに規制きせいする文言もんごんを作成さくせいできなかった。

7. 時間じかん的てき制約せいやく:

   法ほう改正かいせいのスケジュールに追おわれ、十分じゅうぶんな検討けんとうや議論ぎろんの時間じかんを確保かくほできなかった可能かのう性せいがある。

8. 柔軟じゅうなん性せいの欠如けつじょ:

   当初とうしょの構想こうそうにこだわりすぎて、法制ほうせい局きょくからの指摘してきに対たいして柔軟じゅうなんに対応たいおうできなかった面めんがある。

9. 国際こくさい的てきな動向どうこうとの乖離かいり:

   GDPRなど、海外かいがいの先進せんしん的てきな個人こじん情報じょうほう保護ほご法制ほうせいを十分じゅうぶんに参考さんこうにできなかった。

10. 執行しっこう可能かのう性せいへの配慮はいりょ不足ふそく:

    規定きていの抽象ちゅうしょう性せいが高たかまったことで、実際じっさいの執行しっこうにおいて困難こんなんが予想よそうされる規定きていになってしまった。

これらの要因よういんが複ふく合あい的てきに作用さようし、当初とうしょの目的もくてきを達成たっせいできない、解釈かいしゃくの幅はばが広ひろく執行しっこう基準きじゅんが不ふ明確めいかくな規定きていになってしまったと考かんがえられます。今後こんごの法ほう改正かいせいでは、これらの点てんを教訓きょうくんとして、より明確めいかくで効果こうか的てきな規定きていを作成さくせいすることが求もとめられるでしょう。

1. 不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし規定きていの成立せいりつ過程かてい：

   ブログでは、令れい和わ2年ねん改正かいせいで導入どうにゅうされた不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし規定きてい（第だい19条じょう）が、当初とうしょの意図いととは異ことなる形かたちで成立せいりつしたことを詳細しょうさいに説明せつめいしています。当初とうしょはプロファイリングなどの新しん技術ぎじゅつに対応たいおうするための「適正てきせいな利用りよう」義務ぎむを新設しんせつしようとしていましたが、内閣ないかく法制ほうせい局きょくとの審査しんさ過程かていで変更へんこうを余儀よぎなくされ、最終さいしゅう的てきに現在げんざいの抽象ちゅうしょう的てきな規定きていになりました。

2. 意見いけん書しょでの指摘してき：

   意見いけん書しょでは、この不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし規定きていの問題もんだい点てんを指摘してきしています。特とくに以下いかの点てんが重要じゅうようです：

   a. 法ほう目的もくてきの理解りかい不足ふそく： データ保護ほごの核心かくしん的てき利益りえきである「個人こじんデータ処理しょりによる個人こじんに対たいする評価ひょうか・決定けっていの適切てきせつ性せい確保かくほ」という観点かんてんが欠かけていることを指摘してきしています。

   b. 関連かんれん性せいの原則げんそくの欠如けつじょ： 評価ひょうか・決定けっていに用もちいるデータ項目こうもくが決定けっていの目的もくてきと関連かんれん性せいを持もつべきという「関連かんれん性せいの原則げんそく」が日本にっぽん法ほうに取とり入いれられていないことを問題もんだい視ししています。

   c. 過剰かじょう規制きせい：現在げんざいの規定きていが、個人こじん情報じょうほうデータベース等とうを構成こうせいすることを予定よていしていない個人こじん情報じょうほう（散在さんざい情報じょうほう）に対たいしても適用てきようされる可能かのう性せいがあり、これを過剰かじょう規制きせいだと指摘してきしています。

3. 拡大かくだいへの反対はんたい：

   意見いけん書しょでは、不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんしの範囲はんいを拡大かくだいするのではなく、むしろ規制きせいの対象たいしょうを「個人こじんデータ」に限定げんていし、データ保護ほごの本来ほんらいの目的もくてきに沿そった形かたちに改あらためるべきだと主張しゅちょうしています。

4. 改善かいぜんの方向ほうこう性せい：

   ブログの調査ちょうさ結果けっかを踏ふまえ、意見いけん書しょでは、経済けいざい界かいの要望ようぼうを実現じつげんするためには、目的もくてき内ない提供ていきょうの制限せいげん緩和かんわ、統計とうけい量りょうへの集計しゅうけいに際さいしての第三者だいさんしゃ提供ていきょう制限せいげんの緩和かんわ、要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうの取得しゅとく制限せいげんの緩和かんわなどが必要ひつようだとしています。同時どうじに、これらの緩和かんわを可能かのうにするための「不足ふそくする規制きせい」（例れい：利用りよう目的もくてき拘束こうそく、基本きほん原則げんそくの導入どうにゅう）の必要ひつよう性せいも指摘してきしています。

これらの点てんから、現在げんざいの不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし規定きていの拡大かくだいではなく、データ保護ほごの本質ほんしつに立たち返かえった法ほう改正かいせいが必要ひつようだという主張しゅちょうが、ブログの調査ちょうさ内容ないようと意見いけん書しょの両方りょうほうで一貫いっかんして示しめされていることがわかります。

1. 当初とうしょの意図いとと乖離かいり：

   令れい和わ2年ねん改正かいせいで導入どうにゅうされた「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていは、当初とうしょの立案りつあん意図いと（プロファイリングなどの新しん技術ぎじゅつへの対応たいおう）から大おおきく乖離かいりした形かたちで成立せいりつしました。

2. 抽象ちゅうしょう的てきな規定きてい：

   内閣ないかく法制ほうせい局きょくとの審査しんさ過程かていで、具体ぐたい的てきな規制きせいから抽象ちゅうしょう的てきな禁止きんし規定きていへと変化へんかしました。

3. 法ほう目的もくてきの曖昧あいまい化か：

   この過程かていで、データ保護ほご法ほうの本来ほんらいの目的もくてきである「個人こじんデータ処理しょりによる個人こじんに対たいする評価ひょうか・決定けっていの適切てきせつ性せい確保かくほ」という視点してんが失うしなわれました。

4. 誤あやまった解釈かいしゃくの継続けいぞく：

   現在げんざいの個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくが、この成立せいりつ過程かていや本来ほんらいの意図いとを十分じゅうぶんに理解りかいせずに、抽象ちゅうしょう的てきになった規定きていを拡大かくだい解釈かいしゃくしようとしています。

5. 過剰かじょう規制きせいの危険きけん性せい：

   結果けっかとして、個人こじんデータだけでなく散在さんざい情報じょうほうにまで規制きせいを広ひろげるなど、過剰かじょうな規制きせいにつながる可能かのう性せいがあります。

6. 本質ほんしつ的てきな課題かだいへの対応たいおう不足ふそく：

   プロファイリングや新しん技術ぎじゅつへの対応たいおうという本来ほんらいの課題かだいに適切てきせつに対処たいしょできていない状況じょうきょうが続つづいています。

つまり、「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていの成立せいりつ過程かていでの変質へんしつが、現在げんざいの個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくの理解りかいを誤あやまらせ、本来ほんらいのデータ保護ほご法ほうの目的もくてきや課題かだいに適切てきせつに対応たいおうできていない状況じょうきょうを生うみ出だしているということを指摘してきしているのです。この誤あやまった理解りかいに基もとづいて法ほう改正かいせいが進すすめられると、さらなる問題もんだいを生しょうじさせる可能かのう性せいがあるという警告けいこくでもあります。

令れい和わ2年ねん改正かいせい個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうの審議しんぎ過程かていで、当初とうしょ個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくが立案りつあんしていた「適正てきせいな利用りよう義務ぎむ」の規定きていが、最終さいしゅう的てきに内閣ないかく法制ほうせい局きょくの審査しんさを経へる中なかで「不ふ適正てきせい利用りようの禁止きんし」規定きていへと変容へんようしていった経緯けいいを、情報じょうほう公開こうかい請求せいきゅうで入手にゅうしゅした審議しんぎ資料しりょうを基もとに詳述しょうじゅつしています。

事務じむ局きょく側がわは当初とうしょ、リクナビ事件じけんなどを念頭ねんとうに、「個人こじんデータ」の不ふ適正てきせい利用りようを禁止きんしし、適正てきせい利用りようのための体制たいせい整備せいびを義務付ぎむづける構想こうそうを持もっていましたが、法制ほうせい局きょくから「何なにが不正ふせいか不明ふめい確かく」「禁止きんし行為こういを具体ぐたい的てきに列挙れっきょすべき」などと指摘してきを受うけ、最終さいしゅう的てきに「個人こじん情報じょうほう」の「違法いほう又または不当ふとうな行為こういを助長じょちょうし、又または誘発ゆうはつするおそれがある方法ほうほう」による利用りようを禁止きんしする現在げんざいの規定きてい内容ないようへと変更へんこうされていきました。

このように法制ほうせい局きょくとのやり取とりの中なかで、規定きていの対象たいしょうが「個人こじんデータ」から「個人こじん情報じょうほう」へ、禁止きんし対象たいしょうが「不ふ適正てきせい利用りよう」から「違法いほう・不当ふとうな行為こういの助長じょちょう・誘発ゆうはつ」へと変化へんかし、当初とうしょ想定そうていしていたプロファイリングなどの規制きせいからは乖離かいりした内容ないようになってしまった経緯けいいが丁寧ていねいに説明せつめいされています。法ほうの趣旨しゅしや規定きていの解釈かいしゃくを考かんがえる上うえで重要じゅうような論点ろんてんが提示ていじされていると思おもいます。

1. 4月がつ25日にち（中間なかま整理せいり）: 利用りよう停止ていし請求せいきゅう権けんの強化きょうかが示唆しさされる。プロファイリング規制きせいへの期待きたいが高たかまる。
2. 8月がつ29日にち: 「適正てきせいな利用りよう」義務ぎむの萌芽ほうが。個人こじんデータの不ふ適正てきせい利用りようを禁止きんしし、適正てきせい利用りようのための体制たいせい整備せいび義務ぎむを検討けんとう。
3. 10月1日にち: 「適正てきせい利用りよう」と「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」の議論ぎろん。法制ほうせい局きょくから「何なにが不正ふせいか不明ふめい確かく」と指摘してき。
4. 10月17日にち: 「適正てきせいな利用りよう」義務ぎむが正式せいしきに提案ていあん。リクナビ事件じけんなどを念頭ねんとうに置おいた条文じょうぶん案あん。
5. 10月25日にち: 「適正てきせいな利用りよう」の定義ていぎや要件ようけんが議論ぎろんされる。法制ほうせい局きょくから「個人こじんデータではなく個人こじん情報じょうほうが対象たいしょうでは」との指摘してき。
6. 10月31日にち: 法制ほうせい局きょくから「適正てきせい利用りようは義務付ぎむづけでなく禁止きんし行為こういを列挙れっきょすべき」と指摘してき。
7. 11月13日にち: 適正てきせい利用りようが「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」へ変更へんこう。対象たいしょうが「個人こじん情報じょうほう」に。当初とうしょの趣旨しゅしから乖離かいりし始はじめる。
8. 11月19日にち: 法制ほうせい局きょくから「権利けんり利益りえきが害がいされるおそれ」は予見よけん可能かのう性せいに欠かけると指摘してき。
9. 11月29日にち: 禁止きんし対象たいしょうが「違法いほう・不当ふとうな行為こういの助長じょちょう・誘発ゆうはつ」に変更へんこう。リクナビ事件じけんは立法りっぽう事実じじつとしては不適切ふてきせつと判断はんだん。
10. 1月がつ23日にち: 法制ほうせい局きょくから「不当ふとうな行為こうい」の線引せんひきへの懸念けねんが示しめされる。
11. 1月がつ27日にち: ガイドラインで暴力団ぼうりょくだん関係かんけいの事例じれいを挙あげることに。当初とうしょの趣旨しゅしからは完全かんぜんに乖離かいり。

以上いじょうのように、当初とうしょは個人こじんデータの不ふ適正てきせい利用りようの禁止きんしとプロファイリング規制きせいを想定そうていしていたものの、法制ほうせい局きょく審査しんさを経へる中なかで、個人こじん情報じょうほう一般いっぱんを対象たいしょうとした違法いほう・不当ふとう行為こういの助長じょちょう・誘発ゆうはつの禁止きんしへと規定きてい内容ないようが大おおきく変化へんかしていったことがわかります。

1. 個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくの法制ほうせい局きょく対応たいおうの甘あまさ

   事務じむ局きょくは当初とうしょの構想こうそうの正当せいとう性せいや必要ひつよう性せいを法制ほうせい局きょくに十分じゅうぶんに説明せつめいできておらず、法制ほうせい局きょくの指摘してきに翻弄ほんろうされて当初とうしょの趣旨しゅしから外はずれた条文じょうぶんになってしまった印象いんしょうがあります。法制ほうせい局きょくを説得せっとくするだけの論拠ろんきょと覚悟かくごが足たりなかったのかもしれません。

2. 「適正てきせい利用りよう」の定義ていぎの曖昧あいまいさ

   事務じむ局きょくは当初とうしょから「適正てきせい利用りよう」の定義ていぎを明確めいかくにしておらず、「不ふ適正てきせい利用りよう」の線引せんひきも曖昧あいまいだったため、法制ほうせい局きょくから「何なにが不正ふせいか不明ふめい確かく」と批判ひはんされました。リクナビ事件じけんを念頭ねんとうに置おいていたようですが、それだけでは説得せっとく力りょくに欠かけたのだと思おもいます。

3. プロファイリング規制きせいの趣旨しゅしの整理せいり不足ふそく

   事務じむ局きょくはプロファイリングによる不利益ふりえきを防ふせぐことを念頭ねんとうに置おいていたようですが、そもそもどのようなプロファイリングが規制きせいに値あたいするのかの整理せいりが不十分ふじゅうぶんだったため、法制ほうせい局きょくを説得せっとくできなかったのだと推測すいそくされます。

4. 法制ほうせい局きょくの柔軟じゅうなん性せいのなさ

   法制ほうせい局きょくは当初とうしょから事務じむ局きょく案あんに批判ひはん的てきで、あまり建設けんせつ的てきな議論ぎろんをしている様子ようすがうかがえません。柔軟じゅうなんな対応たいおうがあれば、事務じむ局きょくの趣旨しゅしを汲くんだ形かたちで条文じょうぶん化かできた可能かのう性せいもあるように思おもいます。

5. 拙速せっそくな立法りっぽうスケジュール

   パブリックコメントを実質じっしつ的てきに反映はんえいできない時期じきに設定せっていするなど、拙速せっそくなスケジュールで法ほう改正かいせいを進すすめた結果けっか、十分じゅうぶんな議論ぎろんができなかったのかもしれません。

いずれにしても、法ほうの趣旨しゅしを実現じつげんするために規定きていを作つくるというよりは、法制ほうせい局きょくの指摘してきに引ひきずられて場当ばあたり的てきに修正しゅうせいを重かさねた結果けっか、当初とうしょの目的もくてきを達成たっせいできない規定きていになってしまったことは確たしかだと思おもいます。個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かいにはより強つよい理念りねんと専門せんもん性せいが求もとめられるのではないでしょうか。

1. 主要しゅよう意見いけんの「3. 要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうの取得しゅとく」の項目こうもくで、大だい規模きぼ言語げんごモデル(LLM)の学習がくしゅう入力にゅうりょくにWebサイトをクローリングしたデータなどの公開こうかい情報じょうほうを用もちいることは、「個人こじんデータとして取得しゅとくする場合ばあい」に当あたらないので要よう配慮はいりょ個人こじん情報じょうほうの取得しゅとく制限せいげんに抵触ていしょくしないと主張しゅちょうしています。これは、ブログ原稿げんこうで指摘してきされた、規定きていの対象たいしょうが「個人こじんデータ」から「個人こじん情報じょうほう」に変更へんこうされた点てんに関連かんれんします。
2. 主要しゅよう意見いけんの「4. 個人こじんデータへの統一とういつ」の項目こうもくで、個人こじん情報じょうほうデータベース等とうを構成こうせいすることを予定よていしていない個人こじん情報じょうほう(散在さんざい情報じょうほう)に対たいする規制きせいは過剰かじょうだと指摘してきし、義務ぎむの対象たいしょうを「個人こじんデータ」に統一とういつすべきだと主張しゅちょうしています。これも、ブログ原稿げんこうで指摘してきされた「個人こじんデータ」から「個人こじん情報じょうほう」への変更へんこうに関連かんれんします。
3. 各論かくろんの「3. 生体せいたいデータの取扱とりあつかい規律きりつについて」の項目こうもくで、EUのAI規制きせいでいう「remote biometric identification」は、情報じょうほう自体じたいがセンシティブだからではなく、公共こうきょう空間くうかんにおいて勝手かってに個人こじんが識別しきべつされ、あるいはトラッキングされてしまうことの脅威きょういを問題もんだいにしたものだと指摘してきしています。これは、ブログ原稿げんこうで指摘してきされた、当初とうしょ想定そうていしていたプロファイリング規制きせいからの乖離かいりに関連かんれんします。

以上いじょうのように、ブログ原稿げんこうで明あきらかにされた「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていの変遷へんせんの問題もんだい点てんは、意見いけん書しょの主張しゅちょうの背景はいけいにあり、両者りょうしゃは密接みっせつに関連かんれんしていると言いえます。意見いけん書しょは、この規定きていの変遷へんせんによって生しょうじた問題もんだい点てんを踏ふまえ、個人こじん情報じょうほう保護ほご法ほうの改正かいせいの方向ほうこう性せいについて具体ぐたい的てきな提言ていげんを行おこなっていると理解りかいできます。

そして、「それが、今回こんかい見直みなおしでの個こ情じょう委い事務じむ局きょくの理解りかいを誤あやまらせているのである。」というのは、以下いかのことを指さしていると思おもわれます。

令れい和わ2年ねん改正かいせいの過程かていで、「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていが当初とうしょの個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくの想定そうてい（プロファイリングなどの規制きせい）から乖離かいりした内容ないようになってしまったにもかかわらず、その経緯けいいや背景はいけいが十分じゅうぶんに認識にんしき・整理せいりされないまま、現在げんざいの第だい2期き「3年ねんごと見直みなおし」の検討けんとうが進すすめられている。

その結果けっか、個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくは、本来ほんらいの趣旨しゅしから外はずれた現行げんこうの「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていを出発しゅっぱつ点てんとして、その範囲はんいをさらに拡大かくだいする方向ほうこうで検討けんとうを進すすめてしまっている。

つまり、令れい和わ2年ねん改正かいせいの立案りつあん過程かていで「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていの趣旨しゅしがブレてしまったことが、今回こんかいの見直みなおしにおける個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かい事務じむ局きょくの理解りかいを誤あやまった方向ほうこうに導みちびいている、ということを指摘してきしているのだと理解りかいできます。

意見いけん書しょ全体ぜんたいの主張しゅちょうは、この点てんを踏ふまえて、「不ふ適正てきせい利用りよう禁止きんし」規定きていの範囲はんい拡大かくだいではなく、そもそも規定きていの対象たいしょうを「個人こじんデータ」に限定げんていし直なおすなど、法ほうの本来ほんらいの趣旨しゅしに立たち返かえった見直みなおしが必要ひつようだというものだと言いえます。