【7がつ24にち AFP】かんばつにあえぐみなみアフリカの沿岸えんがん都市としケープタウン(Cape Town)に南極なんきょくから氷山ひょうざんふねでけんいんしてはこび、新鮮しんせんみず供給きょうきゅうするという、突拍子とっぴょうしもない計画けいかく浮上ふじょうしている。

 今年ことしケープタウンでは、あとすう週間しゅうかんあめ不足ふそく市内しない全戸ぜんこ水道すいどう断水だんすいし、住民じゅうみん公共こうきょう配水はいすいとう行列ぎょうれつをつくるような事態じたいむかえるところだった。だが断水だんすいすんでのところで回避かいひされた。住民じゅうみんらが必死ひっし節水せっすいはげんだのと、秋雨あきさめめぐみをもたらしたからだ。だが断水だんすい恐怖きょうふは、来年らいねん以降いこうふたたびケープタウンをおそうことが予想よそうされている。

 氷山ひょうざんえいこう計画けいかく立案りつあんしゃである、海難かいなん救助きゅうじょ専門せんもんニック・スローン(Nick Sloane)さん(56)は「このアイデアはくるっているようにこえる」とみとめる。「だが詳細しょうさいれば、それほど無謀むぼうでないことがわかる」

 スローンさんのアイデアは、融解ゆうかいふせぐため氷山ひょうざん断熱だんねつ繊維せんいおおいでつつみ、ちょう大型おおがたタンカーおよびタグボート2せきでケープタウンまでの2000キロの海路かいろ卓越たくえつ海流かいりゅう利用りようしてってはこぶというものだ。ドローンとXせん撮影さつえいぞう使つかって注意深ちゅういぶかえらばれる氷山ひょうざんは、ながやく1キロメートルではば500メートル、ふか最大さいだい250メートルのおおきさで、上面うわつらたいらなテーブルてんいたじょうのもの。

 けたみずおさむすい導管どうかん使つかって毎日まいにちあつめられ、フライス盤ふらいすばんこおりスラリーをつくる。これで1年間ねんかん、1おく5000まんリットルの使用しよう可能かのうみず毎日まいにち用意よういすることができる。

船舶せんぱくげの達人たつじんによる計画けいかく

 スローンさんのアイデアは、たんなる空想くうそうだと退しりぞけられるかもしれない。

 だがアフリカ南部なんぶのザンビアまれのスローンさんは、2012ねんにイタリア中部ちゅうぶジリオ(Giglioしまおき転覆てんぷくし、死者ししゃ32にんした豪華ごうか客船きゃくせんコスタ・コンコルディア(Costa Concordiaごうのクルーズせんふたた浮上ふじょうさせるという不可能ふかのう挑戦ちょうせん世界せかい最大さいだい規模きぼかつもっと困難こんなん海難かいなん救助きゅうじょ作戦さくせんひとつを遂行すいこうしたとことで有名ゆうめいだ。

 スローンさんは今回こんかい計画けいかくで、最長さいちょうやく3かげつ氷山ひょうざんのえいこうに1おくドル(やく111おくえん)、さらに融解ゆうかいしたこおりからのみず採取さいしゅに1年間ねんかんで5000まん~6000まんドル(やく56おく~67おくえん)の費用ひよう見積みつもっている。

 だがケープタウン当局とうきょく氷山ひょうざん計画けいかくであるかは不明ふめいだ。同市どうしのイアン・ニールセン(Ian Neilson助役じょやくは、「げん段階だんかいでは、地下水ちかすいだつしおといった選択肢せんたくし費用ひようほうが、実際じっさいには費用ひようすくないかどう程度ていどのようだ」とかたった。

 また、氷山ひょうざんから採取さいしゅしたみずをどのように配水はいすいシステムにみちびくかという問題もんだいや、氷山ひょうざんのケープタウンへの到着とうちゃくに、最初さいしょ予定よていした水量すいりょう確保かくほできる保証ほしょうがあるかという問題もんだいもある。

 スローンさんの計画けいかくは、巨大きょだい氷山ひょうざんをさらに150キロきたなんアのセント・ヘレナベイ(St. Helena Bay)にはこび、つめたいベンゲラ海流かいりゅうBenguela Current)によりみずやく0たもつというものだ。

 氷山ひょうざんからけたみず毎日まいにちあつめられ、タンカーにんでケープタウンにはこばれる。

 スローンさんは「これでケープタウンの危機きき解決かいけつするわけではない、(だが)年間ねんかん必要ひつようりょうやく20%から30%にはなる」とう。「こんゴーサインがれば、(2019ねんの)イースター(Easter復活ふっかつさい)までにできる」(c)AFP/Beatrice DEBUT