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97/12/11 だいかい厚生こうせい科学かがく審議しんぎかい先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか部会ぶかい議事ぎじろく        だいかい厚生こうせい科学かがく審議しんぎかい先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか部会ぶかい議事ぎじろく 1.にち 平成へいせいねん12月じゅうにがつ11にち (木)もく 14:00〜16:00 2.じょう しょ厚生省こうせいしょう特別とくべつだい会議かいぎしつ 3.  こと生殖せいしょく医療いりょうかんする意見いけん聴取ちょうしゅ 4.出席しゅっせき委員いいんこう久史ひさし麿まろ部会ぶかいちょう委員いいん五十音ごじゅうおんじゅん敬称けいしょうりゃく)     木村きむらとしじん 柴田しばた鐵治てつはる 寺田てらだ雅昭まさあき   (専門せんもん委員いいん五十音ごじゅうおんじゅん敬称けいしょうりゃく)         入村いりむら達郎たつお 金城きんじょう清子きよこ 廣井ひろい正彦まさひこ 松田まつだ一郎いちろう 森岡もりおか恭彦やすひこ 山崎やまざき修道しゅうどう 5.出席しゅっせき団体だんたい日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい   会長かいちょう理事りじ) 松尾まつお せん  理事りじ  岡田おかだ 伸太郎しんたろう 日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい 理事りじちょう  鴨下かもした 重彦しげひこ  理事りじ  竹下たけした とぎさん 評議ひょうぎいん  大澤おおさわ 真木子まきこ 日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい 理事りじ  松田まつだ 一郎いちろう  理事りじ  北川きたがわ 照男てるお 日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい 理事りじ倫理りんり問題もんだい担当たんとう) 松田まつだ一郎いちろう 日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい 理事りじ  黒木くろき 良和よしかず   評議ひょうぎいん  佐藤さとう 孝道たかみち事務じむきょく それでは、定刻ていこくになりましたので、ただいまからだいかい厚生こうせい科学かがく審議しんぎかい先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつひょう 部会ぶかい開催かいさいいたします。 本日ほんじつは、加藤かとう委員いいん曽野その委員いいんの2めい委員いいん方々かたがた欠席けっせきでございます。また、柴田しばた 委員いいんすこおくれられるということでございます。 最初さいしょに、本日ほんじつ配付はいふいたしました資料しりょうにつきまして、種類しゅるいがいろいろございますので、 事務じむきょくから簡単かんたん説明せつめいもうげます。「厚生省こうせいしょう」といた封筒ふうとうはいった資料しりょう本日ほんじつ意見いけん聴取ちょうしゅさい使つか資料しりょうでございますが、まずこれを用意よういいたしております。そのなかに は、議事ぎじ次第しだいと、それから資料しりょうといたしましてかく団体だんたいからの意見いけん概要がいよう、それから説明せつめい よう参考さんこう資料しりょうといたしまして、日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいか ら提出ていしゅつをいただきました資料しりょう、その3てん構成こうせいされております。それから、お手元てもとふたつのファイルがあろうかとおもいます。そのうち赤色あかいろのファイルにつきましては、前回ぜんかい わたしどもがまとめました資料しりょうをそのまま提出ていしゅつさせていただいたものでございます。それか ら黄色おうしょくのファイルでございますが、これにつきましては、これまで意見いけん聴取ちょうしゅをした団体だんたい とうからの意見いけん、あるいは文書ぶんしょおくられてきた意見いけんなどをつづっております。  それでは、部会ぶかいちょう、よろしくおねがいいたします。 ○高久たかく部会ぶかいちょう それでは、本日ほんじつ議題ぎだいはいらせていただきます。  本日ほんじつは、生殖せいしょく医療いりょう問題もんだいにつきまして、関係かんけいする団体だんたいならびに専門せんもん方々かたがたをおまねきし て意見いけんうかがうことになっております。早速さっそくはなしをおうかがいしたいとおもいます。 まず、本日ほんじつ出席しゅっせき方々かたがた事務じむきょくから紹介しょうかいをおねがいします。 ○事務じむきょく 本日ほんじつは、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいから会長かいちょう松尾まつお先生せんせい理事りじ岡田おかだ先生せんせい日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかいか ら理事りじちょう鴨下かもした先生せんせい理事りじ竹下たけした先生せんせい評議ひょうぎいん大澤おおさわ先生せんせい日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいから 理事りじであり、またとう部会ぶかい専門せんもん委員いいんでもございます松田まつだ先生せんせい。なお、松田まつだ先生せんせいには、にち ほんマス・スクリーニング学会がっかい理事りじとしても出席しゅっせきしていただいております。また、にち ほんマス・スクリーニング学会がっかいから理事りじ北川きたがわ先生せんせいにもおしいただいております。そし て、日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかいから理事りじ黒木くろき先生せんせい評議ひょうぎいん佐藤さとう先生せんせい以上いじょう皆様みなさまにおしい ただいております。なお、皆様みなさまよりあらかじめ意見いけん概要がいようをいただいておりますので 先程さきほど説明せつめいしましたとおり、資料しりょうとしてお手元てもとにおくばりしているところでございます。 どうぞよろしくおねがいいたします。 ○高久たかく部会ぶかいちょう いま事務じむきょくから説明せつめいがありましたように、かく学会がっかい代表だいひょう方々かたがたから20ふん程度ていどはなしをお伺 いいたしまして、のこりの時間じかん委員いいん出席しゅっせき学会がっかい先生せんせいかたとの質疑しつぎ応答おうとう使つかわせてい ただきたいとおもいますので、よろしくおねがいいたします。 では、まず日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいから説明せつめいをよろしくおねがいいたします。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい岡田おかだ理事りじ) それでは、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいから、見解けんかい発表はっぴょうさせていただきたいとおもいます。お手元てもと の1ページにまとめておりますけれども、若干じゃっかんこれに説明せつめいけながらすすめたいとおもい ます。 日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいは、ごぞんじのように、会員かいいんすう大変たいへんおおうございますけれども、小児科しょうにか 全体ぜんたいという専門せんもん領域りょういきひろ分野ぶんやをカバーしております関係かんけいもありまして、大変たいへん残念ざんねんなこ とですが、小児科しょうにか全体ぜんたい生殖せいしょく医療いりょうかんする問題もんだいというのはまだ認識にんしきふかいとはえな いようでございます。それの一番いちばんおおきい原因げんいんなにかというのをかんがえますと、情報じょうほうがまだ 十分じゅうぶんわたっていないんじゃないかということをかんがえまして、わたしたちも今後こんご情報じょうほうをで きるだけ正確せいかくかく会員かいいんつたえたいということを今回こんかい痛感つうかんしております。 ただ、小児科しょうにかがわからいくつかの問題もんだいてん提起ていきしておきたいとおもいますが、それは生殖せいしょく 補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつがこれほど普及ふきゅうしてまいりますと、多胎たたいというものがかなり増加ぞうかしてまい ります。そのさい危険きけんせいとくどもにあたえる危険きけんせいというのは非常ひじょうえてくるだろ うということを小児科しょうにか立場たちばからも心配しんぱいをしております。また、資料しりょうの2)にけてお りますように、近年きんねん悪性あくせい腫瘍しゅよう治療ちりょうにかなり強力きょうりょく化学かがく療法りょうほうとうもちいられるようにな りまして、その結果けっかとして、長期ちょうきなか性腺せいせん機能きのう不全ふぜん性腺せいせん機能きのう異常いじょうというものが かなり目立めだつようになってまいりました。そういったことがにんということをもたらす わけでありまして、このてんかんしては、今後こんごじゅうふん議論ぎろんくして、その対策たいさくこうじていく 必要ひつようがあるだろうというふうにかんがえております。 わたしたち小児科しょうにかにとってもっと関心かんしんふかいポイントとしては、出生しゅっしょうぜん診断しんだんということで ございまして、これにかんしてはなんかいかの議論ぎろんて、以下いかのような見解けんかいをまとめており ます。 まず1ばんといたしまして、なによりもこのけんかんしましては、「当該とうがい夫婦ふうふ」としょ いてございますが、これはいわゆる法律ほうりつてき夫婦ふうふというのではなくて、ペアというふう にかんがえていただければよろしいかとおもいますが、その2人ふたり完全かんぜん自由じゆう意志いしというもの が基本きほんであるべきだろうというふうにかんがえております。先程さきほどのこととかさなりますけれど も、やはりこのためにはただしい知識ちしき客観きゃっかんてきあたえられるようにするべきであって、げん ざいはそれがまだまだ不足ふそくしているというふうにかんがえております。どうしてもこの問題もんだい技術ぎじゅつ先行せんこうしてしまいまして、それに社会しゃかい倫理りんり、あるいは法律ほうりつというものがきずら れるかたちにならざるをないということでございますので、出来できるだけ知識ちしきというものを 相対そうたいてきかたち学会がっかいあるいは関係かんけいしゃから公表こうひょうをするということが必要ひつようであろうとおもいます こういったベースのうえで、十分じゅうぶんカウンセリングが出来できるように支援しえん体制たいせいんでいただ きたい。これは、やはり資格しかく問題もんだいからんでまいりますので、公的こうてき資格しかくというものを 出来できるだけはやくつくりげていく必要ひつようがあるだろうというふうにかんがえます。くにでは この支援しえん体制たいせい非常ひじょうおくれているのではないかという懸念けねんっております。その結果けっか いわゆるインフォームドコンセント(説明せつめい同意どうい)というかたちでこの一連いちれん行為こういをきっち りと客観きゃっかんてきのこしていくということになるわけですが、その個人こじん情報じょうほうというものがど んどんたまってまいります。これはうまでもなく保護ほごされるというのが一番いちばん大事だいじであ るというふうにかんがえますけれども、あるめんでは、この情報じょうほうなにかのかたち開示かいじしていく。 たとえばその家系かけいない開示かいじするとか、そういった必要ひつようがどうしてもてくるというふうに おもいます。その範囲はんいあるいは条件じょうけんといったことについて、出来できるだけ客観きゃっかんてきめ をしておく必要ひつようがあるだろうというようなことをかんがえております。 2番目ばんめに、出生しゅっしょうぜん診断しんだん技術ぎじゅつというものの評価ひょうかでございますが、これはいくつかの方法ほうほうが ございますけれども、すでにかなりの方法ほうほう安全あんぜんせい、そのについて客観きゃっかんてき評価ひょうか可能かのうに なっているということはごぞんじのとおりでございまして、わたしたちとしては、これをぜんこう きに、ただ、慎重しんちょうにはしていただきたい、そして、すすめていこうという方向ほうこうおもってお ります。ただ、技術ぎじゅつてき一番いちばん最先端さいせんたんをいくであろうとおもわれる受精卵じゅせいらんちゃくゆかぜん診断しんだんとい うことにかんしては、まだわたしたちにはそれをどうかんがえたらいいかということの結論けつろんす だけの自信じしんがございません。安全あんぜんせいとか確実かくじつせいについては、まだ十分じゅうぶん評価ひょうかられて いないのではないかというふうにおもいますが、これも出来できるだけただしい知識ちしきといいます か、そういうものをしていっていただいて、みなでそれを評価ひょうか出来できるようにしていただ きたいというふうにおもいます。もうひとつ、3番目ばんめげてあります対象たいしょう疾患しっかん選択せんたくでご ざいますが、これは大変たいへんむずかしい問題もんだいだとおもいます。やはり時代じだいとともに対象たいしょう疾患しっかん選択せんたく というのはどんどんわっていくということを前提ぜんていかんがえるべきであろう。そして、そ の時代じだい客観きゃっかんてきなガイドラインをしていくということは大変たいへん大事だいじだろうとおもっており ます。これは、やはり疾患しっかんたいする治療ちりょう、あるいは社会しゃかいてきなサポートというものがへんわ ってくるからでございます。 4番目ばんめとして、そのときに性別せいべつ検査けんさをしていいかどうかということでございますけれ ども、ここにいておきましたように、X連鎖れんさ遺伝いでんびょう診断しんだんということで、やむを ない場合ばあいのぞいてはおこなうべきではないだろうというふうにかんがえております。 以上いじょう、いろいろべてまいりましたけれども、やはり知識ちしき不足ふそくというのが現在げんざいどう しても目立めだちますので、それを出来できるだけ公表こうひょうして、そしておおくのひと知識ちしき正確せいかくにと ってもらおう。そして、それを出来できるだけいろいろな角度かくどから評価ひょうかして、客観きゃっかんてきなガイ ドラインをつくって、それにのっとった生殖せいしょく医療いりょうおこなっていただきたいというのが日本にっぽん 小児科しょうにか学会がっかい見解けんかいでございます。以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。それでは、つづきまして、日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかいから よろしくおねがいいたします。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい鴨下かもした理事りじちょう日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい理事りじちょうかもでございます。わたしどもの学会がっかいは、かたちうえでは、ただこんはなしのございました日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい分科ぶんかかいひとつでございますが、会員かいいんすうも 3,500めい 歴史れきしてきにもふるく、独自どくじ日本にっぽん学会がっかいにも加盟かめいをいたしておりまして、分科ぶんかかいなかでもいち ばん主要しゅよう学会がっかいとおかんがえいただいてよろしいとおもいます。わたしどもの学会がっかいいん診療しんりょうにあたる 患者かんじゃしゅとして脳神経のうしんけいけい疾患しっかんでございまして、病名びょうめいもうしますと、脳性のうせい麻痺まひ、てんか ん、あるいは精神せいしん遅滞ちたいといったものがおもなものでございます。生殖せいしょく医療いりょう直接的ちょくせつてきにはせき がかりいたしませんけれども、不良ふりょう疾患しっかん出生しゅっしょうぜん診断しんだんであるとか、遺伝いでん相談そうだんであると か、そういうてん非常ひじょうふかかかわっております。 今回こんかいのおはなし大変たいへんきゅうでございましたが、一応いちおう理事りじかいのメンバーやく20にん至急しきゅうアン ケートをとりまして、意識いしき調査ちょうさといいますか、その結果けっかをまとめました。しかし、非常ひじょう意見いけんのばらつきがございまして、まった相反あいはんするような意見いけんもあったわけでございますが ともかくそれをまとめたものが資料しりょうの2ページにございます見解けんかい概要がいようでございます。 一番いちばん専門せんもんせいたか竹下たけした理事りじにこのあたりをおねがいいたしましたので、説明せつめい竹下たけした理事りじにや っていただき、また、これは生殖せいしょく医療いりょう女性じょせい当然とうぜん関与かんよすべきでありますので、大澤おおさわひょう 議員ぎいんから補足ほそくてきなことがあればおねがいしたいとかんがえております。よろしくおねがいします ○高久たかく部会ぶかいちょう それでは、竹下たけした先生せんせい、よろしくおねがいします。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい理事りじ竹下たけしたでございます。いま理事りじちょうがおっしゃいましたように、 わたしどもは疾患しっかんとのかかわりが大変たいへんふかうございましてその立場たちばからのかんがかたているとおもえ います。一部いちぶわたし意見いけんなどもはいってくるかもしれませんが、説明せつめいさせていただきた いとおもいます。 理事りじちょうがおっしゃいましたように、生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつについては、わたしどもの学会がっかい ごとなかでも知識ちしきふかさにがございまして、意見いけん錯綜さくそうしております。そのことがディ スカッションがはじまったときに誤解ごかいまね一番いちばん問題もんだいではないかというふうにおもってい ます。とく母体ぼたいあるるいは胎児たいじのリスクとそのつづいてしょうじてくる問題もんだいについては いろいろなかんがかた、いろいろな経験けいけんがございまして、ひとつのわくめるということがなん しいであろうというふうにおもいますが、最低さいていまもられるべき規制きせい不十分ふじゅうぶんなことだけにつ いては、不安ふあんかんじている理事りじおおかったと理解りかいしております。商業しょうぎょう利用りようについては、 ここにいてありますように、すこ言葉ことばがきつうございますが否定ひていてき意見いけんおおくござ いました。ただ、わたし自身じしん非常ひじょう良心りょうしんてきうごいておられるほうもいらっしゃるということ だけは一言ひとこと追加ついかしておこうかとおもっております。 出生しゅっしょうぜん診断しんだんについては、いま小児科しょうにか学会がっかいほうからもおっしゃいましたように、進歩しんぽいちじるしく日進月歩にっしんげっぽうごいておりますために、このことについて、いま意見いけん恒久こうきゅうてきえ るかといいますとなかなかえないようながいたします。それで、安全あんぜんせい確実かくじつせい、 このことが一番いちばんわくとしてめられることではないかとおもいます。出生しゅっしょうぜん診断しんだんは、遺伝いでん 相談そうだん過程かていひとつでございまして国際こくさいてき認知にんちされた行為こういでございます。十分じゅうぶんなカウン セリングのもとに、クライアントの自己じこ決定けってい中心ちゅうしんにその意志いし優先ゆうせんすべきであるとい うふうにかんがえます。それで、異常いじょう診断しんだんされてからどうするかということについては、 これはクライアントと医療いりょうしゃがわ十分じゅうぶん協議きょうぎしたうえでその行為こういについては双方そうほう同意どうい必要ひつようであろうというふうにおもいます。残念ざんねんながら、ここでは患者かんじゃさんの意識いしきのレベル がございます。しかし、胎児たいじいちにち成長せいちょうしている現実げんじつまえにありますと、この 問題もんだい文字もじめるということは大変たいへんむずかしい事例じれいいちれいいちれいてきているというのがげん ではないかというふうにおもいます。 それから、出生しゅっしょうぜん診断しんだんと、そのにしばしばてまいります中絶ちゅうぜつという行為こういでござい ますが、これは基本きほんてき次元じげんことなる問題もんだいであります。わたしたちのくに発展はってん途上とじょうであると いうようなこともございまして、この問題もんだい非常ひじょうむずかしいところであります。具体ぐたいてきいますと、産婦人科さんふじんか先生せんせいにんでカウンセリングをして、そのひと中絶ちゅうぜつをする。アメ リカでは、こういうふうに1人ひとりなにもかもやってしまうということはないわけでございま して、こういうシステムが現実げんじつ日本にっぽんおこなわざるをないという現実げんじつ理解りかいしておくべ きだというふうにおもいます。中絶ちゅうぜつ問題もんだい基本きほんてきには生命せいめい倫理りんり問題もんだいでございまして、 これは行政ぎょうせい学会がっかい安易あんい結論けつろんせる問題もんだいではないのではないかとおもっております。 世界せかいてき規模きぼで、国際こくさいてき納得なっとくされるような、かつ日本人にっぽんじん特性とくせいとして、それが国際こくさいてき にも表現ひょうげん出来できるようなかたちすすむべきであろうというふうにおもっております。 研究けんきゅう利用りようのありかたについてでございますが、体外たいがい受精じゅせいもちいなかったたまごはい使つかった 研究けんきゅうについては許容きょよう範囲はんいについて学会がっかい行政ぎょうせいから独立どくりつした機関きかんで、ある程度ていど検討けんとうしなが ら認可にんかするといいますか、ある程度ていどのリコメンドをするようなかたちうつされるべきではな いかというふうにかんがえます。ただ、この問題もんだいは、人類じんるいしあわせにつながる可能かのうせいって いる領域りょういきでございますので、この領域りょういき研究けんきゅう推進すいしんについては、日本にっぽん先進せんしんこく孤児こじに ならないように十分じゅうぶん配慮はいりょをしておくべきではないかというふうにおもいます。クライア ントが「日本にっぽんたよりない」ということで外国がいこく解決かいけつもとめるような事態じたいだけはけてい きたいというのが、わたしたちが障害しょうがいあつかっていて家族かぞく意見いけんいているときに、しみ じみかんじる問題もんだいであります。 そののことでございますが、プライバシーの保護ほごさい優先ゆうせんされることは当然とうぜんのこと であります。また、診断しんだん技術ぎじゅつあるるいは進歩しんぽ問題もんだいてんつね公開こうかいされることが必要ひつようである というふうにおもいます。生殖せいしょく医療いりょうめぐ問題もんだいくにがどこまで関与かんよするかという問題もんだいにつ いては、どちらかというと、クローン人間にんげんのような非常ひじょう特殊とくしゅ問題もんだいについての関与かんよ必要ひつようであろうという意見いけんでございました。ただ、WHOなどの国際こくさいてき規制きせいということ も意識いしきすべきであろうというふうにおもいます。 結論けつろんとして、生殖せいしょく医療いりょうもとめる人々ひとびとというのは、日本にっぽん社会しゃかいなかでは人数にんずうてきにマイノリ ティー(少数しょうすう)でございます。かれらのっている背景はいけいというのは個々ここ家庭かてい夫婦ふうふご とに、一般いっぱんひとたちの理解りかいえる深刻しんこくなやみがございます。したがって、これを多数たすう意見いけん一括いっかつしておさえるということは問題もんだいであろうというふうにおもいます。この問題もんだいなやむマ イノリティーのひとたちに、しあわせであるような可能かのうせいたせたうえでの結論けつろんっていっ ていただきたいというふうにおもいます。ここでもっとになりますのが、たとえばかくされた ような事態じたいたとえばおやのないどもたち収容しゅうよう施設しせつおんながときどきアビュース(しいたげ まち)されて妊娠にんしんしております。そういった数値すうちはほとんどてこないわけであります。けい けんてきおそらく日本にっぽん毎年まいとし500をくだらないだろうと推測すいそくしています。そのどもたちは、施設しせつ としては遺伝いでん相談そうだんけるわけでありますが、往々おうおうにしてその主導しゅどうけんにぎっておりますの は児童じどう相談そうだんしょでありまして、ほとんどが中絶ちゅうぜつという方向ほうこうをたどっているとおもいます。こ ういったことにたいしてまでどう配慮はいりょするかというところが必要ひつようでありましょうし、また 奇形きけいどもたち中絶ちゅうぜつ禁止きんしした場合ばあいおや育児いくじ放棄ほうきした場合ばあいにはどうなるか。その たいして外科げかてき緊急きんきゅう手術しゅじゅつ必要ひつようであってもおや親権しんけんがあり、手術しゅじゅつ可否かひ承諾しょうだくおやわざるをないことになります。おや決定けっていがダラダラとなると、どもは生後せいごさわ がいをますますやしていく。こういったときの解決かいけつは、結局けっきょく厚生省こうせいしょう法務省ほうむしょう縦割たてわ行政ぎょうせい狭間はざまれていくことになる。奇形きけいったどもたちにたいする配慮はいりょ、そういっ たところまでふか配慮はいりょしながらこの問題もんだいかんがえていっていただきたいというのがわたしこうほうであります。 以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。大澤おおさわ先生せんせいなに追加ついかされることがおありでしょう か。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい大澤おおさわ評議ひょうぎいん特別とくべつなことはございませんけれども、たとえば出生しゅっしょうぜん診断しんだんやまいであるということがはん あかりしたとき、そのどうするかということの相談そうだんうえもっと大事だいじなことは、やまいであっ て妊娠にんしん継続けいぞくした場合ばあい、そのまれてきたどもたちが、そのどのような支援しえん体制たいせいのも とで、どのようなケアをけてそだっていけるかということだとおもっております。したがって 出生しゅっしょうぜん診断しんだんなどの技術ぎじゅつすすめるということと同時どうじに、まれてきても、そのたちがじゅう ふんにケアをされてそだっていける体制たいせい同時どうじととのえていくということが、まず基本きほんてきじゅう ようなことだとおもっております。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。それでは、つづきまして、日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい 日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいからの説明せつめいをよろしくおねがいいたします。 ○日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい北川きたがわ理事りじ) それでは、最初さいしょ日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい見解けんかいもうげたいとおもいます。 見解けんかい概要がいようでは「日本にっぽん新生児しんせいじマス・スクリーニング学会がっかい」となっておりますが、正式せいしきめい しょうは「日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい」でございますので訂正ていせいをおねがいしたいとおもい ます。 日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいは、フェニルケトン尿にょうしょうつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでんせい疾患しっかん で、高度こうど知能ちのう障害しょうがい赤毛あかげ色白いろじろとうのメラニン色素しきそ欠乏けつぼうきたす。マススクリーニングに よる早期そうき発見はっけん治療ちりょう可能かのうである。)をはじめとします治療ちりょう可能かのう先天せんてんせい代謝たいしゃ異常いじょうしょう及 び先天せんてんせい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょう代表だいひょうといたします治療ちりょう可能かのう先天せんてんせい内分泌ないぶんぴつ異常いじょうしょう早期そうき 発見はっけん早期そうき治療ちりょう目的もくてきとした学会がっかいでございます。マス・スクリーニングの方法ほうほうおよ発見はっけん された症例しょうれい事後じご措置そちについて研究けんきゅうしております。したがいまして、直接ちょくせつ生殖せいしょく医療いりょう関係かんけい した研究けんきゅう医療いりょうおこなっておりません。しかしながら、おもなマス・スクリーニングを代表だいひょうと します疾患しっかん遺伝いでんびょうでございますので、この検査けんさ遺伝いでんテストとして位置付いちづけまして、 これをめぐりまして、生命せいめい倫理りんり立場たちばから審議しんぎかさねまして、その施行しこうならびに今後こんご対応たいおう などについて学会がっかいとしてのガイドラインを制定せいていいたしました。 説明せつめいよう参考さんこう資料しりょう最後さいごに、「マス・スクリーニングの施行しこうかんするガイドライン」と いうのがっておりますが、これについて一番いちばんこまかく立案りつあんしていただきましたのは松田まつだ 先生せんせいでございますので、後程のちほど日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいのガイドラインもふくめまして、松田まつだ 先生せんせいから説明せつめいをおねがいいたしたいとおもいます。 日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいとして、昭和しょうわ52ねんから行政ぎょうせいレベルで実施じっしされておりま す新生児しんせいじマス・スクリーニングで早期そうき発見はっけん早期そうき治療ちりょうされ、適切てきせつ治療ちりょう成長せいちょうしま した先天せんてんせい代謝たいしゃ異常いじょうしょうあるるいは内分泌ないぶんぴつ代謝たいしゃ異常いじょう女性じょせい方々かたがたがそろそろ生殖せいしょく年齢ねんれいになっ てまいりました。たとえばフェニルケトン尿にょうしょうなどでは、正常せいじょう発育はついく結婚けっこんしまして、そ して妊娠にんしんするということになってまいります。このフェニルケトン尿にょうしょう女性じょせいまったなに治療ちりょうせずに、自分じぶん障害しょうがいについては治療ちりょう必要ひつようなくなってまいりますが、妊娠にんしんします と、ちゅうのフェニルアラニンが非常ひじょうたかいということから、胎児たいじ障害しょうがいこしまして、 知能ちのう障害しょうがい発達はったつ障害しょうがいあるるいはしん奇形きけいまでもこしてくるわけでございます。したがって、にん 娠前から適切てきせつ治療ちりょうをして、ふたたびフェニルアラニンのすくない食事しょくじあたえて、そしてちゅう フェニルアラニンをなるべく正常せいじょうちかくして正常せいじょうどもをつということが必要ひつようにな ってまいります。実際じっさいにそのように適切てきせつ妊娠にんしんちゅう治療ちりょうおこないましてどもをたれた 女性じょせい経験けいけん出来できるようになっております。 わたしどもがこういうマス・スクリーニングをしております内分泌ないぶんぴつ代謝たいしゃ異常いじょう内分泌ないぶんぴつ機能きのう 異常いじょうしょう先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょうしょうのいずれの疾患しっかんも、生殖せいしょく年齢ねんれいになるとふたた適切てきせつ治療ちりょうをしなけ ればならないというので、治療ちりょうのガイドラインとう必要ひつようになってまいりますが、フェニ ルケトン尿にょうしょう母体ぼたい胎児たいじ障害しょうがい予防よぼうするためのガイドラインとう学会がっかいとして検討けんとうして おるところでございます。ここにきましたように、くにでは一部いちぶにん甲状腺こうじょうせん のう低下ていかしょうのスクリーニングも、にん甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかしょうであるために胎児たいじ障害しょうがいこす というものについて予防よぼうのための研究けんきゅうもしておりますが、現在げんざい日本にっぽんマス・スクリーニ ング学会がっかいとしてっておる生殖せいしょく医療いりょう関係かんけいのある研究けんきゅう以上いじょうのとおりでございます。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。それでは、松田まつだ委員いいん、よろしくおねがいいたします。 ○松田まつだ委員いいん では、つづきまして説明せつめいいたします。日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいは、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい分科ぶんかかいというかたちをとっています。したがって、わたしどもとしては、つね日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいみつ せっ関連かんれんでディスカッションをすすめてきているわけですけれども、それ以外いがいにも、日本人にっぽんじん るい遺伝いでん学会がっかいとも大変たいへん密接みっせつ関係かんけいがあります。この見解けんかい概要がいようべておきましたように 単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんである単一たんいつ遺伝子いでんしびょうにつきましては、一番いちばんおおきな問題もんだいになってくるの は遺伝いでんテストということになります。それについての位置付いちづけから説明せつめいしたいとおもいま すので、説明せつめい参考さんこう資料しりょうほううつっていただきたいとおもいます。 1ページをめくっていただきたいとおもいますけれども、遺伝いでんテストというのは、こ こにきましたように、遺伝いでんテストと生殖せいしょく医学いがくとちょうどふたつのかさなったようなと ころに出生しゅっしょうぜん診断しんだんがございます。外国がいこくでは、このまえ妊娠にんしんぜんテスト(プレコンセプショ ンテスト)というのがありますけれども、日本人にっぽんじん場合ばあいにはこれに相当そうとうするものはござ いません。というのは、日本人にっぽんじん場合ばあい発症はっしょうりつひく遺伝いでん疾患しっかんがほとんどですので、こ れがございません。理論りろんてきには結婚けっこんぜんテストというのがありまして、それがおこなわれてい るくにもあります。このうちの出生しゅっしょうぜん診断しんだんというのは、ここにいてありますように生殖せいしょく 医学いがくなか一部分いちぶぶんめますが、それ以外いがいたもていんしゃテスト、発症はっしょうぜん診断しんだん、それから新生しんせい マス・スクリーニングとうがあります。したがって、外国がいこくでは、とくにアメリカなとでは、ジ ェネティックテスト(遺伝子いでんし診断しんだん全体ぜんたいのエバリュエーション(評価ひょうか)をおこなうというかた ほうおこなわれています。ひとつのれいもうげますと、今年ことしの7がつにNIHからされまし たのも、ジェネティックテストそのもののエバリュエーション(評価ひょうか)のタスクフォー スからされている次第しだいです。したがって、そういう観点かんてんから先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょうていきたい とおもいます。 つぎのページをおねがいいたします。出生しゅっしょうぜん診断しんだんにはもうひと問題もんだいがありまして、プレネ イタル・スクリーニング(出生しゅっしょうぜん診断しんだん)があります。これは、現在げんざい問題もんだいになっているはは たい血清けっせい使つかったマーカーテストによるスクリーニングであります。それから、現在げんざいすこし ずつすすんでまいっておりますけれども、まだ定着ていちゃくしていませんが、母親ははおや母体ぼたい血液けつえきなか存在そんざいしている胎児たいじ血球けっきゅうもちいたテストがおこなわれています。それから出生しゅっしょうぜん診断しんだんは、 皆様みなさま承知しょうちのとおりでございます。とく先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょうでは、羊水ようすいちゅう酵素こうそ、ホルモン の測定そくてい、それから羊水ようすい細胞さいぼう酵素こうそ測定そくてい、それから絨毛じゅうもう細胞さいぼう羊水ようすい細胞さいぼうもちいたDNA だんてまいります。したがいまして、出生しゅっしょうぜん診断しんだん問題もんだいになってくるのは、遺伝いでんカウンセ リングと出生しゅっしょうぜん診断しんだんとDNAをもちいた遺伝子いでんし診断しんだん、このみっつが出生しゅっしょうぜん診断しんだんとしておおきな 問題もんだいになってくると同時どうじに、日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいでも問題もんだいになってくる項目こうもくでありま す。現在げんざい出生しゅっしょうぜん診断しんだんとしておこなわれているおも疾患しっかんのうち、染色せんしょくたい異常いじょうのぞきますと、 きんジストロフィー、21ハイドロキシレースの欠損けっそんしょう血友病けつゆうびょう、オルニチン欠損けっそんしょうなど、 そこにいてあるとおりです。 つぎのページをめくっていただきたいとおもいます。したがいまして、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいだい へん密接みっせつ関係かんけいがありますので、わたしどもは、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいしましたふたつのガイド ライン、「遺伝いでんカウンセリング・出生しゅっしょうぜん診断しんだんかんするガイドライン」、もうひとつはDN Aをもちいた「遺伝いでんせい疾患しっかん遺伝子いでんし診断しんだんかんするガイドライン」、前者ぜんしゃ平成へいせいねん後者こうしゃ はもっとまえされています。すくなくとも、そういうされているふたつのガイドライン を慎重しんちょう討議とうぎいたしまして、このガイドラインは、われわれの日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいで もアクセプタブルであるというふうにかんがえております。 そのなかられているおおきな問題もんだいは、そこにいくつかピックアップしてありますが、ま ず遺伝いでん相談そうだんかんする問題もんだい日本にっぽんくには、先程さきほどらいディスカッションされていますように、 まだこのシステムが十分じゅうぶんととのっておりません。したがいまして、このシステムをしっかりし なければいけないというふうにおもいます。 2番目ばんめは、インフォームドコンセントにつきましても、我々われわれ日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい も、日本人にっぽんじんるい学会がっかいおなじように情報じょうほう開示かいじ、それから署名しょめいりのコンセントが必要ひつようだろ うというふうにかんがえています。そのつぎには、「権利けんり」と「らないでいる権利けんり」と いうのが問題もんだいでありまして、これはガイドラインのなかいてありますのでくわしい説明せつめいけますが、そのことは大事だいじにしなければいけないとおもっております。それから、まもり 義務ぎむがありますが、そのあつかいといてありますのは、先程さきほど問題もんだいになっておりま したけれども、ただそれをまもるというだけではなくて、他者たしゃ危険きけんおよぶ、とく家庭かていない他者たしゃ危険きけんおよぶというような場合ばあいには、条件じょうけん次第しだいによってはそれを開示かいじしたほうがい いのではないかということをかんがえております。これも、その条件じょうけんそのにつきましては ガイドラインのなか記載きさいしてあります。そのつぎは、使用しようのサンプルのあつかいでござ いまして、このサンプルのあつかいにつきましても、ガイドラインの一番いちばん最後さいごの12項目こうもく めに記載きさいされてあります。 そこで、そういった問題もんだいがディスカッションされておりますけれども、実際じっさい一般いっぱんほうたち、それからメディカル、ノンメディカル、患者かんじゃさんおよびその家族かぞく出生しゅっしょうぜん診断しんだん技術ぎじゅつについてどのようにかんがえていらっしゃるかということを是非ぜひっておいていただき たいとおもいますので、参考さんこう資料しりょううしろのほうにアンケート調査ちょうさせています。これはあつ なましょうの埜中はん現在げんざい進行しんこうちゅうでございまして、来年らいねんの1がつにファイナルリポートをすこ とになっておりますが、その概要がいようが10ページからございますので、ちょっとていただ きたいとおもいます。 対象たいしょう人員じんいんは、メディカルが459めい、ノンメディカルが526めい、トータルで1,000めいえ ております。患者かんじゃおよ家族かぞくは103めいしゅとしてドゥシャンヌがたきんジストロフィーのほう無痛むつうかんしょう患者かんじゃさんの家族かぞくです。ダウン症だうんしょう患者かんじゃさんについてはまだっておりませ ん。てもらいますとかりますが、『出生しゅっしょうぜん診断しんだん技術ぎじゅつがあるのをっている』とこたえ ているほうが、メディカル95.4%、ノンメディカル74.7%、このあいだには有意ゆういがありま す。患者かんじゃおよびその家族かぞくは96.1%で、もっとたか数字すうじ出生しゅっしょうぜん診断しんだん技術ぎじゅつがあることをって いるとこたえています。 つぎのページをおねがいします。『妊娠にんしんしたときに遺伝いでん相談そうだんけるべきとおもいますか』 という質問しつもんたいし、84〜95%のほう妊娠にんしんのときに遺伝いでん相談そうだんけるべきであるというふ うにおもっていらっしゃいます。 つぎのページをおねがいします。『胎児たいじがそのような病気びょうきにかかる危険きけんせいがあるとらさ れれば検査けんさけたいとおもいますか』という質問しつもんたいし、メディカルが93.8%、ノンメ ディカルが93.1%、そして患者かんじゃおよびその家族かぞくが82.5%がけたいとおもっていらっしゃい ます。 そのつぎのページをおねがいします。『遺伝いでんびょうにかかっているとしても、そんなにおもいも のでなく治療ちりょうもある程度ていど可能かのうならみたいとおもいますか』という質問しつもんたいして、メディ カルでは87.5%、ノンメディカルでは74.7%、障害しょうがいかたたちの家族かぞくでは82.8%がみた いとこたえていらっしゃいます。 そのつぎ、『出生しゅっしょうぜん診断しんだんけたのち病気びょうきかかっていて治療ちりょうほうがないとらされたなら どうするとおもいますか』について、それでも家族かぞく一員いちいんとしてれたいとおもう、つ まりんでいただいてれたいとおもうのが、メディカルで23.1%、ノンメディカル で11.7%、患者かんじゃおよ家族かぞく場合ばあいには30.4%のほうんでそのかたたちをけるという ふうにおっしゃっていらっしゃいます。 つぎのページをおねがいいたします。そこで、さらに出生しゅっしょうぜん診断しんだんから妊娠にんしん中絶ちゅうぜつまでの問題もんだいかかげておりますので、胎児たいじきる権利けんりっているのだから、病気びょうきということでちゅう ぜっすべきではないという絶対ぜったい中絶ちゅうぜつ反対はんたいという意見いけんほうがa。それから、まないと いうのはおかあさんがめることであって、つまり女性じょせいめることであるというふうに かんがえているのがb。どちらともえないのがcというふうにいてみますと、絶対ぜったい中絶ちゅうぜつ すべきでないとかんがえていらっしゃるほうがメディカルで16%、ノンメディカルで13.1%、 患者かんじゃおよ家族かぞくほうが27.2%。当然とうぜんだとおもいますけれども、そのようなこたえがておりま す。 そのつぎのページをおねがいします。そこで、『c.どちらともえない』という理由りゆうに ついてさらふかくいろいろいてみますと、夫婦ふうふはなったほうがいい。それから障害しょうがい れる環境かんきょう問題もんだいがある、つまり環境かんきょうがアクセプトであるならばんだほうがい いのではないかという環境かんきょう問題もんだい。それから障害しょうがい程度ていどによってわるのではないか。 実際じっさい自分じぶん直面ちょくめんしないとからない。障害しょうがいかれば中絶ちゅうぜつしたほうがよいとかなりつよ意見いけんっていらっしゃるほうがいらっしゃいまして、それはしたほうひょうてもらえ ばかりますが、患者かんじゃおよびその家族かぞくなかに3めいいらっしゃいます。この意見いけんのグ ループにはいらっしゃいません。つまり患者かんじゃさんをかかえているかたたちのなかにはかなりふか こくなやんでいるほうがいらっしゃって、このような病気びょうきどもがいることを大変たいへんなやんで いらっしゃるほう現実げんじつにいらっしゃるということだとおもいます。 そのつぎ日本にっぽんでは、中絶ちゅうぜつかんしましては現在げんざい優生ゆうせい保護ほごほうがなくなって母体ぼたい保護ほごほうに なっています。『日本にっぽんでは理由りゆうなく妊娠にんしん中絶ちゅうぜつすることは堕胎だたいざいになります。出生しゅっしょうぜん診断しんだん 中絶ちゅうぜつ法律ほうりつでは明確めいかくにされていません。法律ほうりつに「胎児たいじおも病気びょうきかかっていると き」という項目こうもくもうけるべきだとおもいますか』についてきました。法律ほうりつなどできちん と条項じょうこうしたほうがよいとかんがえていらっしゃるほうがa。それから、法律ほうりつえるまえにも っと出生しゅっしょうぜん診断しんだん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつについて討議とうぎをしたほうがよいとかんがえるほうがb。これまでやっ てきたのだから、いまのままでいいじゃないかとかんがえるほうがc。じつに 5.5、 5.5、 7.9% のわずかなかたたちが現在げんざい法律ほうりつのままでいいというふうにかんがえていらっしゃいます。ほう りつなどできちんとしたほうがいいとかんがえられているほうが、メディカルで21.6%、ノンメデ ィカルで28.2%、患者かんじゃ家族かぞくでも26.3%のほうがそうおもっていらっしゃいます。 つぎのページをおねがいします。『「遺伝いでんびょう」とくとどのような印象いんしょうちますか』と いうことについてうかがいましたが、一番いちばんおおいのはcでして、結婚けっこんして、もし遺伝いでんびょうど もがまれたらこまるとおもうということに○をけていらっしゃるほうおおいとおもいます。 そのつぎ、『遺伝子いでんし検査けんさについて、その検査けんさけるひと立場たちばでおかんがえください』とい うことで、『病気びょうきのことを説明せつめいしてもらうのに、口頭こうとうのみではなくいたものがほしい か』ということをきますと、じつに95%じゃくほう当然とうぜん口頭こうとうのみではなくていたもの で説明せつめいしてほしいというふうにこたえています。 そのつぎのページをおねがいします。そのときにリトゥン・コンセント(書面しょめんによるうけたまわ だく)がるかどうかというと、メディカルが87.7%、ノンメディカルが81.2%、患者かんじゃ及 びその家族かぞくは84.3%のほうがサインのはいったものが必要ひつようである、つまりリトゥン・インフ ォームドコンセントでなければいけないというふうにこたえています。 それから、今度こんど守秘しゅひ義務ぎむ問題もんだいですが、『あなたが遺伝子いでんし検査けんさけた結果けっか家族かぞくほうらせるべきだとおもいますか。もしもなに遺伝子いでんし変異へんいがあった場合ばあい、そのこと を家族かぞくつたえるべきだとおもいますか』という質問しつもんたいして、aが「はい」で、メディカ ルは42.7%がつたえるべきであると。ノンメディカルは57.4%、障害しょうがいほうはむしろ非常ひじょうたかくて、68%のほうがもしも変異へんい遺伝子いでんしつかった場合ばあいには家族かぞくつたえるべきであると いうふうにこたえていらっしゃいます。 そのつぎ今度こんどは『遺伝子いでんし検査けんさ結果けっか結婚けっこんする相手あいてほうつたえるべきだとおもいます か』という質問しつもんたいしましては、メディカルが49.9%、ノンメディカルが55.2%、障害しょうがい およびその家族かぞくは67%のほう結婚けっこん相手あいてつたえるべきだというふうにこたえていらっしゃいま す。 そのつぎにいきます。遺伝子いでんし検査けんさについて、けるひと立場たちばでおかんがえくださいというこ とで、検査けんさ組織そしきなどのサンプルの保存ほぞん問題もんだいです。かなりのほう保存ほぞんしたほうがよい とこたえていらっしゃいますが、そのつぎのページをていただきますとかりますように 保存ほぞんするにしても、きちんとした説明せつめいをしてほしい。説明せつめいをしたうえならば保存ほぞんしてもよ いというふうにこたえています。 また、それにたいして、まえもって説明せつめいしてほしいというほうつぎのページにてまいりま すし、ほとんどのほうがbのまえもって説明せつめいしたほうがいいとこたえています。つまり保存ほぞんする にしても、遺伝子いでんし診断しんだんわったのちのサンプルにしても、まえもってこれは保存ほぞんする必 ようがあるから保存ほぞんするという説明せつめいけたうえでしてほしいということだとおもいます。 時間じかんがありませんのでそろそろやめたいとおもいますが、このようにかなりのかたたちが この問題もんだいについて真剣しんけんかんがえていらっしゃるというふうにこたえることが出来できるだろうと おもいます。 つづきまして、日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいからの説明せつめいをさせていただきたいとおもい ます。先程さきほどげました参考さんこう資料しりょうの3ページ一番いちばんじょういてありますが、日本にっぽんマ ス・スクリーニング学会がっかいでは、先程さきほど北川きたがわ先生せんせいから紹介しょうかいがありましたように、独自どくじのガイ ドラインをつくりました。これは、ひとつはアメリカからされている、ここにってま いりましたけれども、大統領だいとうりょう諮問しもん機関きかんとしてされました「スクリーニング・アン ド・カウンセリング・フォー・ジェネティックコンディション」とか、ここにいてい ますCIOMS(Council International Of Medical Sciences)の「エシックス・アン ド・エピディミオロジー・インタナショナル・ガイドライン」、こういったものを参考さんこう にして、ディスカッションのうえつくったものであります。 これは現在げんざい日本にっぽんくに新生児しんせいじマス・スクリーニングというのは自由じゆう意志いしによってさん することになっています。アメリカでは、メリーランドしゅうだけがそうでありまして、 しゅう全部ぜんぶ強制きょうせいてきにスクリーニング検査けんさはいることになっています。しかし、日本にっぽんくにはそうではなくて、自由じゆう意志いしということになっています。 それから、ひとつのおおきな問題もんだいは、このマス・スクリーニングに使つかったのち血液けつえきサンプ ルであります。これを外国がいこくではDNAバンクとして使つかっているところもたくさんあるわけ ですけれども、これをどのように使つかうのがいいのかという問題もんだいをディスカッションしま して、それが「マス・スクリーニングの施行しこうかんするガイドライン」の1.3)に記載きさい されています。『検査けんさ検体けんたいは、本来ほんらい目的もくてき以外いがい使用しようしてはならない。ただし、つぎの2 つの条件じょうけんたす場合ばあいには、研究けんきゅうしゃ所属しょぞくする施設しせつ倫理りんり委員いいんかい(または日本にっぽんマス・ス クリーニング学会がっかい倫理りんり審査しんさ委員いいんかい)、およ自治体じちたい(マス・スクリーニング委員いいんかい)』で みとめられた場合ばあい使つかっていいだろうとしています。ひとつは、『その目的もくてき医学いがく進歩しんぽはつ てんのための調査ちょうさ研究けんきゅうである場合ばあい』、もうひとつは『個人こじんめいおよ個人こじん情報じょうほうかんする部分ぶぶん削除さくじょされた状態じょうたい提供ていきょうされる場合ばあい』というふうにわたしどもはかんがえています。 もうひとつの問題もんだいは、あたらしいスクリーニングほう今後こんごはやらせていく場合ばあいですが、その 場合ばあいにはどのようにしなければいけないかということを2.から3.にかけていてあ ります。直接ちょくせつ生殖せいしょく医療いりょう問題もんだいには関係かんけいしませんけれども、非常ひじょう密接みっせつ関係かんけいがあります し、先程さきほど北川きたがわ先生せんせいからおはなしがありましたように、どもたちがおおきくなったときにかなら遺伝いでんせい疾患しっかんかかえた患者かんじゃさんが直接ちょくせつ対象たいしょうとなる生殖せいしょく医療いりょう問題もんだいになりますので、けっして 今日きょうのディスカッションと無縁むえんではないというふうにかんがえています。 以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。それでは、つづきまして、日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかいほう から説明せつめいよろしくおねがいいたします。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい黒木くろき理事りじ日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい理事りじ黒木くろきでございます。日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかいとしての公式こうしき見解けんかいりまとめる時間じかんてき余裕よゆうがありませんでしたので、今回こんかいは、ここに出席しゅっせきしております わたし佐藤さとう、それからさん理事りじ検討けんとうした結果けっかしております。したがいまして、学会がっかい公式こうしき見解けんかいではないことをまずおことわりします。それから、わたしおも説明せつめいいたしますが、 生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょうであるとか、あるいは受精卵じゅせいらん利用りようなど、産婦人科さんふじんかかかわることがおおいの で、補足ほそくがあれば佐藤さとう先生せんせいからまた補足ほそくをしていただきます。最初さいしょ生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつかんしましては、日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかいとう見解けんかいておりまして、これが妥当だとうなものだ とかんがえております。ただ、いままで指摘してきされておりますように、多胎たたい妊娠にんしんえるとい うことがありまして、この多胎たたい妊娠にんしんりつ低下ていかさせるという努力どりょく大変たいへん必要ひつようです。それか らもうひとつは、生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつというのはどんどん進歩しんぽします。このこと自体じたいわるい ことではございませんが、たとえば卵子らんしあなをあけてれる、あるいは精巣せいそうなかからまだ 未熟みじゅく精子せいしして受精じゅせいさせるなどの方法ほうほうもございますので、そのことが自然しぜん選択せんたく (ナチュラル・セレクション)をげんじゃくさせる可能かのうせいがあります。このあたり注意ちゅういする必要ひつよう があるだろうとかんがえます。それから、こういう先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ応用おうようする場合ばあいに、患者かんじゃ十分じゅうぶん情報じょうほう提供ていきょうし、また、十分じゅうぶん遺伝いでんカウンセリングを事前じぜんにやるということ、そのた めの体制たいせいととのえることが非常ひじょう不可欠ふかけつであるというふうにかんがえられます。また、確立かくりつさ れていない生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう先程さきほどいましたようなものですが、この実施じっしにあたってはしょう れいごとにきちんとした審議しんぎをする必要ひつようがあるだろうというふうにおもいます。 2番目ばんめ出生しゅっしょうぜん診断しんだんでございますが、基本きほんてきには、これもわたしたちの学会がっかい日本人にっぽんじんるいのこ つて学会がっかいとうとかなりオーパーラップしておりますので、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいのガイドライン がいいのではないかとかんがえます。また、おなじように暫定ざんていてきではございますが、WHOが ガイドラインも大変たいへん参考さんこうになるとかんがえております。現在げんざいくにおこなわれております 生前せいぜん診断しんだんとしては、羊水ようすい検査けんさ絨毛じゅうもう検査けんさ胎児たいじ検査けんさ、それにちょう音波おんぱ検査けんさなどがござい まして、いずれも確立かくりつされたもので、安全あんぜんせい十分じゅうぶんあるとおもいますけれども、これにかん しましては、厚生省こうせいしょう研究けんきゅうはん日本にっぽん実態じったい調しらべております。これは、ここにいらっし ゃる松田まつだ先生せんせい班長はんちょうとする「出生しゅっしょうぜん診断しんだん実態じったいかんする研究けんきゅう」というのがすすんでおりま すので、その結果けっか注目ちゅうもくしたいとおもっております。 出生しゅっしょうぜん診断しんだん運用うんようにあたっては、まず原則げんそくとして医療いりょうにおける倫理りんり原則げんそくというのがご ざいます。これはべつ生殖せいしょく医療いりょうかぎったものではございませんが、これを遵守じゅんしゅするとい うことがまず大前提だいぜんていで、それとひと多様たようせい、これは障害しょうがいがあるとかないということだけ ではなくて、いろいろな決断けつだんをする、その行動こうどう多様たようせいふくめて尊重そんちょうすることが必要ひつようで あるというのが前提ぜんていであります。そして、出生しゅっしょうぜん診断しんだん適応てきおう条件じょうけんについてはかなりきびしい 基準きじゅんもうける。その基準きじゅんというのは、まず出生しゅっしょうぜん診断しんだん確実かくじつ出来でき、そして、精度せいどたか いということがだい1にあります。それから、胎児たいじじゅうあつし遺伝いでんせい疾患しっかんとう罹患りかんしている 可能かのうせいがかなりたかい。このおもとくというものがじつはかなりあいまいなものでございますが どちらかというと、患者かんじゃがわ判断はんだんおもとくということでございます。我々われわれとしては、致死ちし てきなもの、あるるいは治療ちりょうほうがないものというのを原則げんそくとしますが、当事とうじしゃ判断はんだんという ものがかなりおおきなウェートをめます。そして、適切てきせつ十分じゅうぶん検査けんさまえのカウンセリン グがなされたうえで、決断けつだんをするのはあくまでもクライアントといいますか、けんしゃ あるじてき判断はんだん出生しゅっしょうぜん診断しんだんつよ希望きぼうされる場合ばあい出生しゅっしょうぜん診断しんだんはなされるべきであろうと おもっております。 検査けんさまえのカウンセリングでは、検査けんさそのものにかんする説明せつめい、それから精度せいど限界げんかい、危 けんせい、そしてクライアントがどういう方法ほうほうをとれるかという選択肢せんたくし説明せつめいしまして、そ れぞれの利害りがい得失とくしつといいますか、メリット・デメリットなどを十分じゅうぶんはなすということはも ちろんですが、それと同時どうじに、予想よそうされる疾患しっかん生命せいめいであるとか、臨床りんしょう経過けいかなどの ナチュラルヒストリーをきちんと説明せつめいいたします。それから、治療ちりょうほうがあるのかないのか その疾患しっかんめぐっての社会しゃかい支援しえん体制たいせいなどがどうなっているかなどの疾患しっかん総合そうごう てき情報じょうほう提供ていきょうして、クライアントが自主じしゅてき問題もんだい解決かいけつのための決断けつだん出来できるようにささえ 援する、ということが前提ぜんていになります。 検査けんさ結果けっかかんしては、すべてクライアントに開示かいじされることを原則げんそくとはしますが、や はり出生しゅっしょうぜん診断しんだんをやっているときというのは、当事とうじしゃ心理しんりてきにも非常ひじょう不安定ふあんていどう いております。羊水ようすい検査けんさけたのちでも、結果けっかきたくないという場合ばあいがあります。 ですから、クライアントの権利けんりりたくない権利けんり、どちらも重視じゅうしされなければい けないとおもっております。検査けんさ結果けっか当然とうぜん個人こじん情報じょうほうはいりますので守秘しゅひ義務ぎむ対象たいしょうと なります。とくに、この結果けっかなんらかの差別さべつ利用りようされるようなことがあると絶対ぜったいにいけ ませんので、これを慎重しんちょう配慮はいりょする必要ひつようがあるとおもいます。検査けんさ結果けっか告知こくちしたのちでも むとかまないとか、そのいろいろな選択せんたくがあるとおもいますが、この決定けっていはクライ アントの自主じしゅてき判断はんだんまかせるべきで、その決定けってい主治医しゅじいやカウンセラーが関与かんよしてはな らないということであります。 それから、遺伝いでんスクリーニングのことですが、特定とくてい多数たすうにん対象たいしょうにしたスク リーニング検査けんさおこなうべきではないというふうにかんじています。たとえば最近さいきん母体ぼたい血清けっせい マーカーの問題もんだいがありましたが、トリプルマーカーなどで、どういう検査けんさをやるのか。 実態じったい、あるいはその結果けっかなに意味いみするのかということの説明せつめい十分じゅうぶんなされないままに それが商業しょうぎょうベースですすんでいる場合ばあいもあります。その結果けっか当事とうじしゃ非常ひじょうおおきなマイ ナスといいますか、被害ひがいこっていることもございますので、このあたり十分じゅうぶんかんがえる必 ようがあります。検査けんさ対象たいしょう厳密げんみつえらんで、そして事前じぜん適切てきせつで、かつ十分じゅうぶんなカウンセリ ングをおこなわないとだめであるということです。それから、男女だんじょけというか、せい だけのチェックは原則げんそくてきおこなうべきではありません。先程さきほど日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいからも説明せつめいが あったのとおなじでございます。出生しゅっしょうぜん診断しんだんというものは、本来ほんらい個人こじん利益りえきのためのみ であって、優生ゆうせいがくてき目的もくてきには絶対ぜったいもちいないというのは当然とうぜんでございます。 そういうことの前提ぜんていとして、したいておりますが、「出生しゅっしょうぜん診断しんだん公平こうへい普及ふきゅうはつ てんするための背景はいけいとして、社会しゃかい先天せんてん異常いじょうひとたいする差別さべつがないこと、社会しゃかいてきささえ 援が十分じゅうぶんおこなわれていること、先天せんてん異常いじょう遺伝いでんなどについて適切てきせつ教育きょういくおこなわれている こと」とう必要ひつようであろうとおもいます。この適切てきせつ教育きょういくといいますのは、医学部いがくぶ教育きょういくなか でも遺伝いでん医療いりょう医学いがく研究けんきゅう倫理りんりなどをきちんと教育きょういくされるべきであろうとおもっておりま す。そういうことで、ガイドラインとう作成さくせいにあたっては、障害しょうがいしゃ団体だんたいあるいはサポー トグループの意見いけんをも十分じゅうぶんれることが必要ひつようであるとかんがえます。 つぎのページをあけていただきますと、研究けんきゅう利用りようのありかたについてべてあります。受 せいたまご実験じっけんてき使用しようについては、これも日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかいから一応いちおう見解けんかいております が、これらの配偶はいぐう初期しょきはいもちいる研究けんきゅうというものはやはり学会がっかい指定していした書式しょしきじゅん じて報告ほうこくする義務ぎむがある、これは当然とうぜんであろうとおもいます。それで、2週間しゅうかん以内いないという ことも限定げんていされているようであります。これについてもし追加ついかがあれば、あと佐藤さとう先生せんせい からおねがいします。 そのとして、生殖せいしょく医療いりょうかかわる守秘しゅひ義務ぎむというものは十分じゅうぶん遵守じゅんしゅされるべきでありま す。とく第三者だいさんしゃによる本人ほんにん差別さべつ利用りようされることがないように注意ちゅういする必要ひつようがありま す。られた情報じょうほうつたえないことで、その家族かぞくあるいは家系かけいなか重大じゅうだい結果けっかをもたらす 可能かのうせいがあり、これをつたえることによってそれを防止ぼうしできるようなときは、それを開示かいじ することが出来できるとかんがえております。ただ、守秘しゅひ義務ぎむ解除かいじょというものは、1人ひとり主治しゅじ 、あるいは1人ひとりのカウンセラーがくだすものではなくて、しかるべき倫理りんり委員いいんかいなどのて、開示かいじすることが本当ほんとう妥当だとうであるかという慎重しんちょう議論ぎろん必要ひつようであるとおもいます 生殖せいしょく医療いりょう遺伝いでんカウンセリングに実際じっさいくに地方自治体ちほうじちたい関与かんよすべきかどうかというとい だいは、これはノーだとかんがえております。ただ、これらの機関きかん先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ倫理りんり基準きじゅん作成さくせいであるとか、あるいは、これにたいする情報じょうほうセンターてき役割やくわりになうことについて は大変たいへんいいことだろうとかんがえております。 以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう 佐藤さとう先生せんせい、どうぞ。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) 1てんだけ追加ついかをさせていただきたいとおもいます。基本きほんてきには黒木くろき先生せんせいわれたとお りでございますけれども、人間にんげん多様たようせい尊重そんちょうというのはこれからの時代じだい非常ひじょう大事だいじ なことだとおもうのですが、そのために自主じしゅ決定けっていということがわれていて、どの学会がっかい尊重そんちょうしようというようなことになっているとおもうんです。それから、そのためのインフ ォームドコンセントの重要じゅうようせいということにかんしても、わたしまった異論いろんはございません。 ただ、現状げんじょうひとつの非常ひじょうおおきな問題もんだいというのは、インフォメーションの内容ないよう問題もんだい があるということだとおもいます。具体ぐたいてきいますと、インフォメーションというのは だれかがあつめるというステップがあって、そのあつめられたものが医者いしゃとどけられて、医者いしゃ から患者かんじゃさんに説明せつめいをされるということがあるとおもうんです。たとえば最初さいしょのステップの ところでいますと、月経げっけい患者かんじゃさんのなかせい染色せんしょくたい異常いじょう患者かんじゃさんがどの程度ていどいる かという情報じょうほうはあっても、実際じっさいせい染色せんしょくたい異常いじょうほうが100にんまれたときに、その方々かたがたが どういうような発育はついくをしているかということにかんする情報じょうほうというのは非常ひじょうかぎられてお ります。最初さいしょのステップではそういうところに問題もんだいがあります。 それから、あつめられた情報じょうほうたとえば特定とくてい学会がっかいることがありますが、一般いっぱんだい 一線いっせんでカウンセリングをやっている医者いしゃのところにはその情報じょうほうがなかなか配達はいたつされない というか、とどかないというふうな問題もんだいがあります。また、そこに企業きぎょうからんできますと 企業きぎょう自分じぶん都合つごうのいいデータしかながさないという問題もんだい実際じっさいにはございます。だから そこにも問題もんだいがあります。 それからもうひとつは、情報じょうほうった医者いしゃから今度こんど患者かんじゃさんにいくところになり ますと、これは、たとえばノンディレクティブ(指示しじてき)なカウンセリングをやろうと いうようなことになっているわけですけれども、そういうふうなカウンセリングの仕方しかたに ついて医師いしがトレーニングをける機会きかい非常ひじょうかぎられている。それから、カウンセリ ングそのものにかんするトレーニングも非常ひじょうかぎられているというようなことがあります ですから、インフォームドコンセントというのは非常ひじょう大事だいじであります。それから出生しゅっしょう ぜん診断しんだんにしろ、生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつにしろ、その枠組わくぐみをめるということも非常ひじょう大事だいじ ですけれども、やはり現状げんじょう問題もんだいてんをはっきりと認識にんしきをしたうえ問題もんだい解決かいけつしていかな いといけないんじゃないかというふうにかんがえております。 以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。かく学会がっかい先生せんせいかたからいろいろ意見いけんうかがいました。 おねがいしてからの時間じかん非常ひじょうたんかくて、先生せんせいかたがいろいろ苦労くろうされて情報じょうほうあつめら れたということでありまして、そのてんについて御礼おれいもうげたいとおもいます。さいわい、あ と1あいだほど時間じかんがありますので、我々われわれほうから学会がっかい先生せんせいかたにいろいろ質問しつもんし、おしえ ていただきたいとおもいます。また、出席しゅっせき先生せんせいかたあいだでも意見いけんをいろいろわしてい ただければとおもいます。まず最初さいしょに、学会がっかい先生せんせいかたたいして委員いいん方々かたがたからなに質問しつもん がおありでしたらよろしくおねがいします。 ○木村きむら委員いいん どうもありがとうございました。大変たいへん貴重きちょう見解けんかいをいろいろおうかがいすることが出来でき ましてありがたくおもいました。一番いちばん最後さいご佐藤さとう先生せんせい報告ほうこくなかでもれておられまし たが、特定とくてい学会がっかいて、なかなか一般いっぱん情報じょうほうわたらないということに問題もんだいがあ るとおもいます。これは、はからずも一番いちばん最初さいしょ岡田おかだ先生せんせいからなかなか情報じょうほうわたらない ところに問題もんだいがあるというようなおはなしがあったことともかさなってくることだとおもいます そのことに関連かんれんしまして、なに一番いちばんおおきい理由りゆう情報じょうほうわたらないのかということで ございます。わたしもアメリカ、スイス、いろいろなくにんだのですが、先進せんしん医療いりょう諸国しょこくに おきましては、たとえばそつ認定にんてい研修けんしゅう義務付ぎむづけまして、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいのような ところでは単位たんい義務ぎむづけるようなあたらしい新進しんしん医療いりょうについてのフォローアップの教育きょういくを しているとおもいますが、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいとしては、そういうようなことをいままで多分たぶんお やりになっているかとおもうんです。そういうことの具体ぐたいてき状況じょうきょうと、それから、そうい う知識ちしき不足ふそくともなうフォローアップを具体ぐたいてきにどういうふうにいままでおやりになってきた のかというてんをおうかがいしたいとおもいます。これは日本にっぽん医師いしかいとしても対応たいおう非常ひじょうむずかし いところだとおもうのですが、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいというのもおそらく専門医せんもんいとしての認定にんていをし ているのだとおもいます。そこでだいいちにそのてん関連かんれんして現状げんじょうをおうかがいしたいとおもいます それから、前回ぜんかいとう部会ぶかいで、日本にっぽん医師いしかいならびに日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかいそのから報告ほうこく いただいたなかにございましたけれども、それぞれの学会がっかい倫理りんり委員いいんかいを、これはいろい ろな問題もんだいがございますけれども、理事りじかいなか特定とくてい委員いいんだけの倫理りんり委員いいんかいとか、公開こうかい されていない倫理りんり委員いいんかいとか、医師いしがい部外ぶがいしゃれた倫理りんり委員いいんかいとか、そういうこと がほとんどないという状況じょうきょうもあるということでございましたが、本日ほんじつ出席しゅっせき先生せんせいかたとく一番いちばん最初さいしょ非常ひじょう重要じゅうよう日本にっぽん小児科しょうにか専門医せんもんいのほとんどのほう参加さんかしていらっし ゃる日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいとしては、そういう倫理りんり委員いいんかいというのがもしございましたら、ど ういうメンバーで、いままでどういうことをなされたか。この2てんにつきまして、おはなしを おうかがいしたいとおもいます。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい松尾まつお会長かいちょう最初さいしょ質問しつもん研修けんしゅうのことですけれども、日本にっぽん小児しょうに科学かがくかい学会がっかい認定にんていいたしました 研修けんしゅう施設しせつにおいてそつ年間ねんかん臨床りんしょう研修けんしゅうおこなうことをわか小児科しょうにかもとめております。 この初期しょき研修けんしゅう終了しゅうりょう学会がっかい認定にんてい試験しけん受験じゅけんする資格しかくあたえられます。認定にんてい試験しけんふで 口頭こうとう試験しけんによりますが、この試験しけん制度せいどを5ねんまえ導入どうにゅういたしました。そのなかで、こ ういう関連かんれん問題もんだい当然とうぜん試験しけん問題もんだいになりますし、研修けんしゅう達成たっせい目標もくひょうというところにはいっ ておりますので、ある程度ていどはカバーされているとおもいます。 それから、2番目ばんめ倫理りんり委員いいんかい問題もんだいでございますが、日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい理事りじかいりん 問題もんだい討議とうぎするひとつの場所ばしょになっており、様々さまざま問題もんだい議論ぎろんしてまいりました。このなか外部がいぶ委員いいん導入どうにゅうする必要ひつようがあるということはすう年来ねんらい議論ぎろんをしておりますけれども、 現在げんざい実行じっこうはされておりません。今日きょう報告ほうこくいたしました岡田おかだ理事りじ中心ちゅうしんになって倫理りんりとい だい検討けんとうさせていただいております。 ○高久たかく部会ぶかいちょう にどなたか。 ○松田まつだ委員いいん いま大変たいへん大事だいじなところを指摘してきいただいたとおもいますけれども、まず遺伝いでんという問題もんだいかんがえると、これだけ遺伝いでんという問題もんだいおおきくなってきているにもかかわらず、医学部いがくぶなか臨床りんしょう遺伝いでんがく講座こうざっているところがほとんどありません。これはおおきな問題もんだいだ とおもいます。また、当然とうぜん看護かんごさんたちの学校がっこうおもっていいとおもいますが、看護かんご学部がくぶ とか看護かんご学校がっこう、こういうところでもおそらくカリキュラムのなか遺伝いでんというのがはいってい るかどうか問題もんだいがあるとおもいますし、それから最近さいきん社会福祉学部しゃかいふくしがくぶというのが結構けっこうあち こちにてきていますが、そのなかでも多分たぶんおしえていないだろうとおもいます。したがって、のこ つてがくそのものを基礎きそからしっかりおしえるためのカリキュラム、そういったものが医療いりょうせき がかり教科きょうかとして定着ていちゃくさせるということがまずおおきな問題もんだいだとおもいます。これは、たとえば 大学だいがく設置せっち審議しんぎ委員いいんかいなかで、いろいろ学部がくぶがありますけれども、医学部いがくぶかんしてえ ば、解剖かいぼう病理びょうりがくとか生化学せいかがくとうありますけれどもそこに遺伝いでんというものはありません。こ れは、これからは是非ぜひともしなければいけない問題もんだいだろうというふうにおもっています。 それから、倫理りんり委員いいんかい問題もんだいですが、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかい倫理りんり委員いいんかいという名前なまえ使つかい っておりませんで、一番いちばん最初さいしょ遺伝いでん相談そうだん、それから出生しゅっしょうぜん診断しんだんかんする委員いいんかいというも のをつくりました。これでいままでふたつガイドラインをつくりましたけれども、先生せんせいのお っしゃるように、これから倫理りんり審議しんぎ委員いいんかい名前なまええることになりまして、それにつ きましても外部がいぶほうはいっていただこうということになりまして、現在げんざいそのかたたちにお 手紙てがみげて、はいっていただくようにおねがいしているところです。それにもとづきま して、今度こんどあらためて倫理りんり審議しんぎ委員いいんかいという名前なまえをつくりまして、そのもとでいまされて いるトリプルマーカーの問題もんだいについてのディスカッションをしようというふうにいまじゅん 備中びっちゅうでございます。 以上いじょうです。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。わたしほうからひとつおうかがいしたいのですが、これはどな たでもいのですが、黒木くろき先生せんせい日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい見解けんかいのところで、「検査けんさ結果けっかつげ 生殖せいしょく行動こうどうむ・まないなど)の決定けっていは、クライアントの自主じしゅてき判断はんだんまかせる べきで」というふうにかれております。わたしもそうおもうのですが、クライアントがま ないと決定けっていをしたときに、ドクターは堕胎だたいざいわれることを覚悟かくごして人工じんこう流産りゅうざんをやる のかということです。実際じっさいにはべつ理由りゆうつけておられるのでしょうが、現実げんじつにはど ういうことがおこなわれているのか。これは産婦人科さんふじんか先生せんせいほうがおくわしいとおもうのですが ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいんいま先生せんせいがおっしゃられたことは、母胎ぼたい保護ほごほうでは21しゅうのおしまいまでは、母体ぼたい たいてき経済けいざいてき理由りゆうによって中絶ちゅうぜつ可能かのうわけですね。妊娠にんしん21しゅうのおしまいよりも以前いぜん時期じきはなしではなくて、それ以降いこうはなしですか。それより以前いぜんはなしであれば、法律ほうりつてきにはお かあさんの身体しんたいてき経済けいざいてき理由りゆうにあてはめて中絶ちゅうぜつおこなわれているということです。 ○高久たかく部会ぶかいちょうかあさんのことを理由りゆうにして人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつをしているわけですね。そのになりますと ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん妊娠にんしん22しゅう以降いこう法律ほうりつてき人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ出来できません。 ○高久たかく部会ぶかいちょう やらないわけですかね。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) はい。 ○高久たかく部会ぶかいちょう かりました。 ○金城きんじょう委員いいん それに関連かんれんしてですけれども、どうしても両親りょうしんみたくないとおもわれる場合ばあいもある かとおもいます。そのまえに、21しゅう未満みまん障害しょうがいのある可能かのうせいがきちんとかるケースはなん% ぐらいでしょうか。21しゅうぎてはじめてかるというようなケースがあるのかどうかと いうことです。それについてはいかがでしょうか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん多分たぶん、その正確せいかく数値すうちというのはどこにもていないし、わたしもよくかりませんけれ ども、たん印象いんしょうもうげてもうわけないんですが、よく調しらべればかるというのがあり ますよね。それから、たん調しらべなかったからからない、のちになって調しらべたらかった というのもあるかとおもうので、全体ぜんたい把握はあく非常ひじょうむずかしいかとおもうんですが、たとえば 100にんぐらい先天せんてん異常いじょうのおさんがまれるとすると、これは廣井ひろい先生せんせいすこ追加ついかしてい ただけるとたすかるのですが、多分たぶん、20〜30にんぐらいは中絶ちゅうぜつ可能かのう時期じきつかりるん じゃないか。それから、のこりのもっと圧倒的あっとうてきおお部分ぶぶんのちになってづくというかたちだ とおもいます。どちらかというと、実際じっさいには調しらべなかったということと、調しらべてもがつ かなかったということの両方りょうほうかさなって、わりとのちになるまでからないというほうあつ たおせてきおおいとおもいます。 ○金城きんじょう委員いいん そちらのほうおおいんですか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) はい。 ○金城きんじょう委員いいん では、そういう場合ばあいに、現状げんじょうでは出生しゅっしょうぜん診断しんだんをしてかっても、もう中絶ちゅうぜつ可能かのう期間きかんで はないということで、まざるをえないケースが非常ひじょうおおいということですか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいんまざるをえないということになるとおもいます。ただ、たとえばこういう場合ばあいがあり るかとおもうんですが、おはらうちにいるときに腹水ふくすいがたまってきた、あるいは胸水きょうすいがたま ってきて、おはらうち胎児たいじいておくことが非常ひじょう危険きけんであるというふうな可能かのうせいが あるときには、して治療ちりょうをするという可能かのうせいがありますよね。だから、かならずしも全部ぜんぶ全部ぜんぶ満期まんきまでいかないといけないんだということではないとおもうんです。現実げんじつてきむずかしい対応たいおうせまられる問題もんだいは、提示ていじ致死ちしてき疾患しっかんである可能かのうせいたか場合ばあいですね。つ まり、致死ちしてき疾患しっかんである可能かのうせいたかいとかんがえられるが、確定かくてい診断しんだんがつかないような ごうです。間違まちがいなく致死ちしてき疾患しっかん診断しんだんされる場合ばあいたとえば脳症のうしょう場合ばあいは、妊娠にんしん22しゅうぎていても人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつおこなうことは、母体ぼたい保護ほごほうでも可能かのうです。母体ぼたい保護ほごほうでは 「人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつとは、胎児たいじが、母体ぼたいがいにおいて、生命せいめいたもてつづけすることのできない時期じき人工じんこうてきに、胎児たいじおよびその附属ふぞくぶつ母体ぼたいがい排出はいしゅつする」こととなっており、その「生命せいめいたもてつづけできる」いちおう限界げんかいとして妊娠にんしん21しゅうすえというラインがあるわけです。しかし、こ のラインは、厚生こうせい事務次官じむじかん通達つうたつによって個々ここ事例じれいについて客観きゃっかんてきめることが出来でき ます。つまり、脳症のうしょう場合ばあいは、妊娠にんしんのどの時期じきであっても母体ぼたいがいでは生命せいめい保持ほじでき ないので、人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ可能かのうということになります。こまるのはむしろ確定かくてい診断しんだんがつか ない、あるいは生命せいめい推定すいていできないような場合ばあいです。 ○金城きんじょう委員いいん そうすると、胎児たいじ条項じょうこうなどということについてはどういうふうにおかんがえでしょうか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん胎児たいじ条項じょうこうかんしていますと、一般いっぱんてきえることは、たとえば「じゅうあつし疾患しっかん」という ふうにっても、これを定義ていぎづけることは非常ひじょうむずかしい。みなさんっておられるように 自主じしゅ決定けっていにしようというふうなことになりますと、おもあつさということにかんしても、ある 意味いみうとそれぞれのカップルが判断はんだんをするということになります。それを法律ほうりつてき胎児たいじ条項じょうこうというかたち定義ていぎするのは非常ひじょうむずかしいというふうにおもっております。 ○廣井ひろい委員いいん この問題もんだいについてちょっと追加ついかいたしますと、胎児たいじ異常いじょう発見はっけんされるのはおおくは21 しゅう以降いこう妊娠にんしん半期はんきでないかとおもいます。ですから、たとえば35さいぎたり、あるいはからだ がい受精じゅせいなどをしてやっと妊娠にんしんしたというものたいしての特別とくべつれいについては羊水ようすい検査けんさとか 絨毛じゅうもう検査けんさなどをすすめますけれども、ほとんどのれいちょう音波おんぱでおなかうえておかしいという ことにづくというので、21しゅう以降いこうがかなりおおくなってしまうだろうということです。 先程さきほど金城きんじょう委員いいんわれましたように、あるめんでは胎児たいじ条項じょうこうというのがあったほうが、母体ぼたい 保護ほごほうそのについて大変たいへん実際じっさいてきめんもあるのではないかとおもいます。たとえば脳症のうしょう全然ぜんぜんきていけないということがわかっていながら末期まっきまでってこなければならないの は非常ひじょう問題もんだいてんおおいのも事実じじつでございます。 ○高久たかく部会ぶかいちょう にどなたか。これは岡田おかだ先生せんせいにおうかがいしたいのですが、受精卵じゅせいらんちゃくゆかぜん診断しんだんは、かく去年きょねん一昨年いっさくねんの「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」にかなり かず受精卵じゅせいらんちゃくゆかぜん診断しんだんをしてもどして、6わりぐらいがまれて、異常いじょうはなかったという 報告ほうこくがあったとおもうのですが、それでもまだ受精卵じゅせいらんちゃくゆかぜん診断しんだんでは安全あんぜんせい確実かくじつせいに ついて問題もんだいがあるというふうにかんがえておられるのでしょうか。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい岡田おかだ理事りじたしかに先生せんせいがおっしゃったトライアルがありまして、非常ひじょうにうまくいったということ はわたし承知しょうちしております。ただ、のテクノロジーにくらべまして、圧倒的あっとうてきにまだ開拓かいたく といいますか、症例しょうれいすうはそれほどおおくありません。なにといいましても対象たいしょうになる疾患しっかんかぎられておりまして、日本にっぽんかんがえても、どれぐらいそれを積極せっきょくてきにやって、れいすうかさね られるかということについてはわたし疑問ぎもんです。ですから、理論りろんてきにはもちろんわたし安全あんぜん せいがあるとおもっておりますけれども、実際じっさいにということになると、どうしても感情かんじょうてきすこあぶなっかしいんじゃないかというかんじがぬぐえないものですから、ああいう表現ひょうげんにさ せていただきました。 ○高久たかく部会ぶかいちょう にどなたかご質問しつもんは。 ○木村きむら委員いいん 竹下たけした先生せんせいにちょっとおうかがいしたいんですけれども、大変たいへん具体ぐたいてきくわしい内容ないよう報告ほうこく いただいたわけですが、障害しょうがいとのかかわりが大変たいへんおおいということがよく理解りかいできました。 そこで、具体ぐたいてき障害しょうがいという場合ばあい病名びょうめいなにでしょうか。それから、先生せんせいのおはなしなか年間ねんかん500けんはチャイルドアビューズ(幼児ようじ虐待ぎゃくたい)、あるるいはインファントアビューズ (乳児にゅうじ虐待ぎゃくたい)によるいろいろな妊娠にんしん問題もんだいがあって、データにはてこないけれども、 これが倫理りんりてき問題もんだいかさなってくるということでした。これはインセスト(近親きんしん相姦そうかんあるるいはレイプということになるかとおもうんです。刑事けいじ事件じけんにもなるかとおもうんですけ れども、そういう場合ばあい、これはまったくの予想よそうですけれども、加害かがいしゃというのはどういうこ とになっているのか。先生せんせいほうでもしなにかそういうことについてのコメントがございま したら、これは大事だいじ問題もんだいですので、是非ぜひうかがいしたいとおもいます。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ最初さいしょ病名びょうめいでございますが、ほう質問しつもんとも関係かんけいいたしますが、脳性のうせい麻痺まひ知的ちてき にいいかた場合ばあい自分じぶん自己じこ決定けってい出来できますし、進行しんこうせい脊髄せきずい疾患しっかんなどのほう自分じぶん自己じこ 決定けってい出来できますのでいいんですが、一番いちばん問題もんだいは、やはり自己じこ決定けってい出来できない方々かたがたたい してどう対応たいおうするのかというのが一番いちばん具体ぐたいれいであります。その方々かたがたは、精神せいしん遅滞ちたい方々かたがたであります。それで、先程さきほどのアビュースの問題もんだいでありますが、ようするに被害ひがいけ たほう自分じぶんうったえることが出来できるだけの知的ちてき能力のうりょくっておられる場合ばあいには、ほとん ど我々われわれまえにはてこられません。ほとんど刑事けいじてきなレベルではなしうごいておりまして、 示談じだんにしろうったえにしろはっきりとしたルートでうごいております。一番いちばん問題もんだいは、かるせい しん遅滞ちたいといいますか、実際じっさいそとける、簡単かんたん就労しゅうろう出来できる、そういった方々かたがたかくされたかたちでアビュースされた場合ばあいには、先程さきほど金城きんじょう先生せんせいから質問しつもんましたように 発見はっけんするのもおくれます。これは非常ひじょうこまった問題もんだいでありまして、いろいろな地域ちいきおもと して福祉ふくし関係かんけい方々かたがたなかにそういったことを担当たんとうしているエキスパートがおられるかと おもいます。わたしどもの地域ちいき場合ばあいにはほとんどわたしまえれてきたられます。わたし自身じしんわり相手あいて特定とくていできるのでジェネティックな背景はいけいをいろいろいています。そのは、自己じこ 決定けってい能力のうりょくおおくはないわけでありまして、結局けっきょくそこの施設しせつ方々かたがた相談そうだんをしたりしてやっ ております。以前いぜんは、ほとんどが児童じどう相談そうだんしょほうえんとの相談そうだんによって処理しょりされてい ただろうというふうにおもいます。 出生しゅっしょうぜん診断しんだんさら遺伝いでん相談そうだん立場たちばから異常いじょう可能かのうせいたか場合ばあいには本当ほんとうなやみます。 どうしても流産りゅうざんにもっていかざるをないときには、妊娠にんしんしゅうすう変更へんこうせざるをないこ ともありるようです。 遺伝いでんてき問題もんだいがほとんどない場合ばあいには積極せっきょくてき施設しせつ方々かたがた説得せっとくして、あるいは行政ぎょうせい説得せっとくして方向ほうこううごきます。そういうケースがおそらくくに年間ねんかん最低さいてい500はしょうじて いるのではないかと推定すいていしております。 ○木村きむら委員いいん その場合ばあい遺伝いでんてき病気びょうき症状しょうじょう具体ぐたいてきにどういうことになるんですか。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ精神せいしん遅滞ちたい場合ばあいは、身体しんたいじょうにはほとんどなにてまいりません。染色せんしょくたい異常いじょうまれいれ っておりますので、染色せんしょくたい異常いじょう検索けんさくをするだけで、のちちょう音波おんぱ奇形きけいがあるかないか ということだけにしぼられてまいります。 ○木村きむら委員いいん その場合ばあい奇形きけいというのは、いわゆる四肢ししなどですか。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ) そうです。一番いちばんはっきりかるのはみずあたましょうです。のうなか障害しょうがいあきらかにけている というみずあたましょう場合ばあいとか、二分にぶん脊椎せきつい場合ばあい。あと、四肢しし奇形きけいがありますけれども、よん 奇形きけいはほとんどかりませんで、アビュースをけた女性じょせいっている奇形きけい奇形きけいがないかという選択せんたくてき方向ほうこうでそこを調しらべることはあります。たとえば女性じょせいいく つかの奇形きけいがあった場合ばあいには、選択せんたくてきにそこをチェックしてくれというふうなことにな るとおもいます。 ○高久たかく部会ぶかいちょう 竹下たけした先生せんせいにおうかがいしたいのですが、先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょうほうのカウンセリングが小児科しょうにかさき せいにとっては非常ひじょう大変たいへんであるということはいておりますし、わたしも、ある病院びょういんでそれ をせんもんにやっている小児科しょうにかのドクターは、カウンセリングのために非常ひじょう時間じかんられ て、しかも日常にちじょう診療しんりょう両方りょうほうあるために、プライバシーはほとんどないというふうなこ とをいて非常ひじょう大変たいへんだとおもったのですが、どういうほうがカウンセリングをやったらい いか。そういう職業しょくぎょうひと本当ほんとうはあるべきではないかとおもうのですが、どういうほうがカ ウンセリングをすれば、こういう問題もんだいいまよりはもっとスムーズに出来できるというふうに おかんがえですか。もしおかんがえがあったらおしえていただきたいとおもいます。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ) これは、すで日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいでカウンセリングをするための認定にんていをやっておられま すし、そういうカウンセラーをそだてる施設しせつ指定していしておられます。そういうところできょう そだてしていくのが、くにでは原則げんそくであろうというふうにわたしおもっております。 ○高久たかく部会ぶかいちょう それは、メディカルドクターですか。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじわたしは、それはかならずしもメディカルドクターにこだわる必要ひつようはないとおもいますが、現在げんざい は、まだメディカルドクターに制限せいげんされていますね。アメリカあたりでは、もうメディ カルドクターにこだわっておりませんので、わたし自身じしんはメディカルドクターにこだわる必 ようはないというふうにおもいます。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい黒木くろき理事りじ) ちょっと追加ついかでよろしいですか。いま問題もんだいですが、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいでは、遺伝いでんカウ ンセラー制度せいどをつくるといううごきをしておりますが、そこのなかでは遺伝いでんカウンセリング の中心ちゅうしんにはやはりメディカルドクターがいます。しかしながら、当然とうぜんそれと共同きょうどうしてくだり うのは、ノンメディカルドクターのカウンセラーもかんがえられます。といいますのは、ど うしてもドクター、あるいは主治医しゅじいというものと患者かんじゃとの関係かんけいよりは、すこ距離きょりのある 立場たちばほう遺伝いでんカウンセリングに関与かんよするということは非常ひじょう重要じゅうようである。それは心理しんりひとであったり、さまざまな職業しょくぎょうかんがえられるとおもいます。そのためには、やはりきち んとした教育きょういくをしていく必要ひつようがあるとかんがえています。 ○高久たかく部会ぶかいちょう カウンセリングが保険ほけん点数てんすうはいっていないため、やればやるほど病院びょういんほう大変たいへん赤字あかじになりますね。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい黒木くろき理事りじ) そうなんです。 ○入村にゅうそん委員いいんてんほど質問しつもんがあるんですが、ひとつは黒木くろき先生せんせいに、見解けんかい概要がいようなかに「自然しぜん選択せんたくげんじゃくによる先天せんてん異常いじょう増加ぞうか留意りゅういする必要ひつようがある。」とございます。この委員いいんかいは、さき かいは、どちらかといえば生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう技術ぎじゅつほうかんするはなしおもだったんですが、こうい うてんじついままでてきていなかったんですが、具体ぐたいてきにこういうことが予想よそうされると いうことなんでしょうか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい黒木くろき理事りじたとえば未熟みじゅく精子せいし使つかって受精じゅせいをするような場合ばあい普通ふつう精子せいしのもつ奇形きけいであるとか あるるいは染色せんしょくたい異常いじょうというのはかなりたかかくりつでございます。しかし、一般いっぱん受精じゅせい あいには、まさ生存せいぞん競争きょうそう受精じゅせい出来でき精子せいしというのはかぎられてきます。運動うんどうせいもいいし、 すべてに健全けんぜん精子せいしというものが受精じゅせい関与かんよします。しかし、精巣せいそうない穿刺せんしほうでやるとか そういうものでは当然とうぜんすべての精子せいしというものが関与かんよする可能かのうせいがあります。ただ、そ れにかんしては、ヨーロッパのほうでかなりデータを蓄積ちくせきしつつございますが、まだかずおお くありませんので、統計とうけいてきにどうであるかということはまだむずかしいとおもいますが、理論りろん てきにはあきらかにそれは異常いじょうこる可能かのうせいがあります。それからもうひとつは、メカニカ ルといいますか、機械きかいてきたまごきずをつける、あるいは精子せいしすこともそうですが そのようなことが減数げんすう分裂ぶんれつとか細胞さいぼう分裂ぶんれつそのものに障害しょうがいあたえる可能かのうせいもございますの で。 ○入村にゅうそん委員いいん いまのおはなしは、やったそのかい異常いじょうこるということだとおもうんですけれども、これ にかんしては、だいかいとう部会ぶかいのときに事務じむきょくから報告ほうこくがあって、たしかそういう事実じじつはな いということだったようながするんです。このコメントは、そうじゃなくて、自然しぜんせん ということですから、一般いっぱんにそういうことでやられたものからまれたもの異常いじょうがなく ても、なんらかのセレクションがかかっていて、それがつぎだい、またそのつぎだいつたわっ ていく可能かのうせいがある、そういうニュアンスのことがいてあるようながするのですが そうではないんですか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) まず事実じじつとしてあるのは、黒木くろき先生せんせいわれたように、ICSI(イクシー:たまご細胞さいぼうしつない 精子せいし注入ちゅうにゅうほう)についてはヨーロッパで比較的ひかくてきおおいデータがありますが、これはとぼし精子せいししょう患者かんじゃさんが対象たいしょうになりますけれども、その患者かんじゃさんのなかの5〜6%ぐらいに染色せんしょくたい つねがあるというデータがあるんです。これは日本人にっぽんじんについてもあります。それから、Y 染色せんしょくたいじょうのDNAに異常いじょうがあるひとふくまれているということもはいっています。それがいち つの事実じじつです。 それからもうひとつは、イクシーで細胞さいぼうしつなか精子せいしれるわけですけれども、それで まれたおさんの1%ぐらいにせい染色せんしょくたい異常いじょうがあるという報告ほうこくもあります。ですから いまのDNAのはなしなどになると、多分たぶん子孫しそんにずっとがれていくような異常いじょうがつくら れていくということになりますので、これは1だいかぎりの問題もんだいではないということになっ ていくかとおもいます。 いまべたのはむしろイクシーによってセレクションが障害しょうがいされるということになるか とおもうんですが、べつ意味いみで、ここから以降いこうはなしはちょっと理論りろんてきはなしになるんですけ れども、イクシーという操作そうさをすることによって紡錘ぼうすいいと障害しょうがいする可能かのうせいがあるんじゃ ないかという基礎きそてきなデータもあります。つまり、セレクションの障害しょうがいだけではなく、 異常いじょうつくしている可能かのうせいもあるわけです。たとえばまれたどものせい染色せんしょくたい異常いじょう頻度ひんどと、とぼし精子せいししょう患者かんじゃさんのせい染色せんしょくたい異常いじょう頻度ひんどあいだすこしギャップがあるのですが これもそれが関与かんよしている可能かのうせいがあるんじゃないかとおもいます。 ○入村にゅうそん委員いいん ありがとうございました。もう1てん高久たかく先生せんせいからこんはなしがあったのとちょっと関連かんれん するのですが、カウンセリング体制たいせい非常ひじょう大事だいじであるということをみなさんもうげら れたようにおもうんですが、診断しんだん技術ぎじゅつといいますか、こういうものは本来ほんらいそれで診断しんだんされ た結果けっかなにたときに、それをどうするかということがあらかじめかったうえでやる というのが前提ぜんていのようながするんです。ただ、それをカウンセリングという非常ひじょうにあ いまいなかたちでしかフォローアップ出来できないというのは、ある意味いみではちょっと不思議ふしぎがしまして、きちんとした情報じょうほうがあって、その情報じょうほうもとづいて、こういうふうにする んだというところまでが本当ほんとうはあってやるような技術ぎじゅつなのではないか。技術ぎじゅつというのは そうであるべきじゃないかとおもうんですが、そうではないんでしょうか。 ○木村きむら委員いいん いま見解けんかいについては、カウンセリングをして、しかし、結果けっかたとえばモノジーンの ハンチントンズ・コレアみたいに治療ちりょう方法ほうほうがない場合ばあいもあるんですね。これは先生せんせいかた専門せんもんですからごぞんじかとおもいます。ですから、治療ちりょう方法ほうほうがある場合ばあいのカウンセリ ングの仕方しかた、ない場合ばあいのカウンセリングの仕方しかたがいろいろあるとおもうので、やはり事情じじょう によってちがってくるとおもうんです。ですから、カウンセリングというのは、たとえばジェ ネティックカウンセリング(遺伝いでん相談そうだん)とか、あるいはアボーション(妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ)にかん するカウンセリングというのがプロフェッションとしてたとえばカナダとかアメリカですんで成立せいりつして、医療いりょう提携ていけいしながらきちんとした対応たいおうをしているわけですので、先程さきほどからわたし非常ひじょうにショックをけているのですが、たとえば遺伝いでんがく講義こうぎ医学部いがくぶにないとか、なま 化学かがくでもやっていないということになりますと、これは医学いがく教育きょういく問題もんだいにもかかわってく るわけです。そういうなか日本にっぽん母体ぼたい保護ほごほう実際じっさいじょうめられてある規則きそく現実げんじつには のうしておらず、だい一線いっせんにいるお医者いしゃさんかた大変たいへんくるしみのなかでいろいろ対応たいおうしていら っしゃる現状げんじょうはからずも本日ほんじつ報告ほうこくてきたわけで、やはりわたし高久たかく部会ぶかいちょうわれた ように、カウンセリングの重要じゅうようせい医学いがく教育きょういく、あるいは看護かんご教育きょういくなかでやることの意味いみ非常ひじょうにあるのではないかというふうにおもうんです。 それに関連かんれんしまして、スピナビィフィダのケース(二分にぶん脊推の症例しょうれい)でも、大脳だいのうさわ がいのないどもについては、むしろ選択せんたくてきほうにというようなスコットランドのド クター・ローバーの報告ほうこくなどもございますが、一律いちりつてき遺伝いでん障害しょうがいがあるからということ で中絶ちゅうぜつ選択せんたくすることについては当然とうぜんいろいろな問題もんだいしょうじてくるとおもうんです。それ で、大澤おおさわ先生せんせいほうから先程さきほど支援しえん体制たいせいのおはなしがございましたけれども、出生しゅっしょうぜん診断しんだんともな支援しえん体制たいせいがどういうかたち現実げんじつにありるのか。たとえば重症じゅうしょう遺伝いでん欠陥けっかんについて、その方々かたがたまれた場合ばあい対応たいおうまったくないという状況じょうきょうで、やむをずそういう決断けつだんをせざるを ないのか。それとも、日本にっぽんのいわば先端せんたん医療いりょう分野ぶんやかかわる問題もんだいについて、現状げんじょうではささえ 援体せいというのは相当そうとうあるというふうにおかんがえなんでしょうか。そこらあたりのところはげん じつにどうなんでしょうか。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい大澤おおさわ評議ひょうぎいん先生せんせい質問しつもん正確せいかくとらえていないかもしれませんけれども、わたしもうげた支援しえんたい せいというのは、もしやまいまれてきた場合ばあい支援しえん体制たいせいということです。わたし個人こじんとして はきんジストロフィーの患者かんじゃさんをたくさん拝見はいけんしていまして、そのひとたちにたいする遺伝いでん 相談そうだんですとか、出生しゅっしょうぜん診断しんだんですとか、そういうことにかかわっております。実際じっさい問題もんだいとし て、かれらはあるけなくなっていくわけですけれども、そのあるけなくなったどもたちが学校がっこうかよっている。その場合ばあいに、知能ちのう正常せいじょう普通ふつう小学校しょうがっこうじゅうふんかよえる状況じょうきょうにありながら、 学校がっこう体制たいせいによっては非常ひじょうつめたくあしらわれていて、ある一定いってい年齢ねんれいにいったら養護ようご 学校がっこうくことをすすめられる。あるいは、学校がっこうってもほとんど毎日まいにち母親ははおやそえ ってあさからばんまでというか、学校がっこうにいるあいだ介護かいごしていなければ普通ふつう学校がっこうにはかよえない というような現実げんじつがあるわけですね。 よくわたし家族かぞくはなすことですけれども、家族かぞくほうからうったえられてくることは、やまい 自体じたいはある意味いみでは患者かんじゃさんも自分じぶん本質ほんしつうとへんですが、ひとつの個性こせいというふう にけとめている部分ぶぶんがある。しかしながら、その個性こせいがあることによって社会しゃかいなか十分じゅうぶん自分じぶん自身じしんかしていくことが出来できない。その状況じょうきょうからけている不幸ふこうほうがよ りおおきい。たとえば、よく夏休なつやすみそのにそういう患者かんじゃさんたちが外国がいこく旅行りょこうったり しますけれども、外国がいこくけば、交通こうつう手段しゅだんひとつにしても、電話でんわ一本いっぽんでタクシーがむかえに てくれて、くるまいすであっても市営しえいのバスなどにも自由自在じゆうじざいりすることが出来でき て、まった自由じゆううごけるし、むしろくるまいすのひと優先ゆうせんされるというような状況じょうきょうがある。そ ういう状況じょうきょうであるならば、そういうどもたちを2にんでも3にんでももっても自分じぶん自身じしん問題もんだいないと。これはひとつの個人こじんてき感想かんそうかもしれませんけれども、実際じっさいにはそういうふ うにおもっていらっしゃる患者かんじゃさんたちの家族かぞく患者かんじゃ自身じしんがいるわけです。出生しゅっしょうぜん診断しんだん技術ぎじゅつそのすすむことは、ある意味いみでは、そこから恩恵おんけいこうむっている家族かぞくもたくさん いらっしゃいますから、それはそれで大事だいじなことなんですけれども、それと同時どうじに、忘 れてはいけないのは、そのひとたちがその障害しょうがいがあることによって差別さべつされる、あるいは 利益りえきけられないという社会しゃかい体制たいせい問題もんだい先程さきほど黒木くろき先生せんせい先天せんてん異常いじょう学会がっかい最後さいごほうに おっしゃいましたけれども、社会しゃかい体制たいせい整備せいび同時どうじすすめてゆく必要ひつようがあるとおもいます ○高久たかく部会ぶかいちょう 個人こじんてき意見いけんですけれども、支援しえん体制たいせい病院びょういんなかにもない。先天せんてん異常いじょうだけじゃなくて たとえばがんの患者かんじゃさんでも告知こくちした場合ばあいのアフターケアをどうするかというと、それが ほとんど全部ぜんぶ主治医しゅじいにかかってきてしまう。先天せんてんせい異常いじょう場合ばあいもそうですね。病院びょういんなか支援しえん体制たいせいがないし、いま大澤おおさわ先生せんせいがおっしゃったように、社会しゃかいなか障害しょうがいしゃたいする 支援しえん体制たいせい非常ひじょうまずしい。日本にっぽん社会しゃかいは、それをむしろ差別さべつしてのぞこうとする。家族かぞくひとも、ひどい場合ばあいにはかくしてしまうというようなことがあって非常ひじょう悲惨ひさん状態じょうたいになって しまう。 わたし以前いぜんつとめていた国際こくさい医療いりょうセンターのそばに障害しょうがいしゃ施設しせつがありました。みんな 家族かぞくがついてているのです。わたしは、それをるたびに「おかあさんがくなったらこの はどうなるのだろう」とおもっていました。非常ひじょうまずしい支援しえん体制たいせいした障害しょうがいしあわせ なんだというよう議論ぎろん本当ほんとうはおかしいと。もうすこ正直しょうじき議論ぎろん日本にっぽんでなされるべき ではないかというのがわたし個人こじんてき感想かんそうです。 ○森岡もりおか委員いいん 竹下たけした先生せんせいがさっきわれたんですけど、胎児たいじ異常いじょうつかった場合ばあい現実げんじつてきにはにん 娠21しゅう以後いごでもときによっては人工じんこう流産りゅうざんさせることがかんがえられますね。22しゅう以後いごでもある 条件じょうけんのもとに法律ほうりつ改正かいせいしてはっきりとさせみとめるべきなのかどうか。これはちょっと むずかしいかもかりませんけれども。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ) アメリカでは、レイプされた婦人ふじん妊娠にんしんされた場合ばあい妊娠にんしんしゅうすうが21しゅうえても流産りゅうざん できることが法的ほうてきみとめられているしゅうがあります。 ○松田まつだ委員いいん 皆様みなさま参考さんこう資料しりょうに、WHOからのガイドラインの日本語にほんごやくがありまして、その70ペー ジのところに「妊娠にんしん後半こうはんだい半期はんき中絶ちゅうぜつ」という項目こうもくがあります。いまはなしはその項目こうもくたるわけですけれども、日本語にほんごやくの70ページです。WHOは、むしろそのことをみとめて いるというか、簡単かんたんえばそういうことです。だい半期はんき以降いこうであっても、胎児たいじ異常いじょう がある場合ばあいにはそれをみとめるほうがいいのではないか、そういういいかたをしています。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいんいま問題もんだいは、わたし現場げんば医者いしゃなので、妊娠にんしん22しゅう以降いこうについて胎児たいじ致死ちしてきである可能かのう せい非常ひじょうたかいという場合ばあい中絶ちゅうぜつについては別個べっこ検討けんとうしないといけないというのはかく かだとおもうんです。ただ、その問題もんだいすべての妊娠にんしんしゅうすうふくんでまた胎児たいじ異常いじょう全般ぜんぱんを含 めて包括ほうかつてきかんがえることには問題もんだいがあります。致死ちしてき異常いじょうとそれ以外いがい胎児たいじ異常いじょう区別くべつ慎重しんちょうにしないと、混同こんどうされてはこまるというふうにわたし自身じしんおもっております。21しゅう 以前いぜん問題もんだいについても、たとえばなおらないからこれは中絶ちゅうぜつしていいんだというふうなこと を胎児たいじ条項じょうこうとして法律ほうりつめるのだとすれば、それは先程さきほどからているような、そうい うひとたちへの支援しえん体制たいせいとか、いろいろな問題もんだいで、カップルにたいする社会しゃかいてきなもっとひろ支援しえん体制たいせいがきちんと出来できてからはじめてかんがえられる問題もんだいです。いま緊急きんきゅう避難ひなんてき問題もんだい人々ひとびと将来しょうらいかかわる重大じゅうだい問題もんだいとを混同こんどうされないように是非ぜひねがいをしたいとおもいます ○金城きんじょう委員いいん平成へいせい年度ねんど厚生省こうせいしょう心身しんしん障害しょうがい研究けんきゅうはん調査ちょうさ」というのがありまして、そのなかに、出生しゅっしょうぜん 診断しんだん異常いじょうかずているんです。この異常いじょうたケースが現実げんじつにはどうなったか ということについてはからないというのがこのあいだのおこたえだったんですけれども、だい からだ場合ばあいはどうなっているというふうにえるんでしょうか。わたしは、出生しゅっしょうぜん診断しんだんをする 場合ばあいには、異常いじょうがあるかどうかということよりも、安心あんしんするために診断しんだんをするんだとい うことをよくわれるわけです。ですから、診断しんだんのときには、最終さいしゅうてき異常いじょうたときに は中絶ちゅうぜつするんだというような決定けっていまでしないで、ともかく診断しんだんというほうもいらっしゃる とおもうんです。それで、異常いじょうた。そこであらためてどうするかということを両親りょうしんけつ めることになるとおもうんですけれども、現実げんじつにはどうなっているのか。なにかればきょう えていただきたいんですけれども。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) すみません。最初さいしょほうをちょっとのがしたんですが。まず、こういう出生しゅっしょうぜん診断しんだんの カウンセリングは、さっきどなたか委員いいん先生せんせいっておられたように、ある程度ていどその のちのことまでかんがえてやるものじゃないかとおもうのです。大事だいじなことは、出生しゅっしょうぜん診断しんだんかん するカウンセリングのときは、かならずそのどういう結果けっか可能かのうせいがあるか、たと きにどういう選択肢せんたくしがあるのかということまでかなら最初さいしょのカウンセリングの段階だんかいで、 生前せいぜん診断しんだんけるまえのカウンセリングの段階だんかいで、おはなしをするべきだというふうにおもうん です。ですから、のちになって結果けっかてからなにかをめるというのは、まず基本きほんてきなス テップとしてちがうというふうにわたし自身じしんおもっています。 ただ、結果けっかのち気持きもちがわるひとがいます。それから、予測よそくしない結果けっかて くることがあります。たとえば高齢こうれい羊水ようすい検査けんさけたけれども、先程さきほどちょっとおはなしし たせい染色せんしょくたい異常いじょうてきたとします。ダウン症だうんしょうのことはかんがえていたけれどもちがっていた という場合ばあいなどは、これはまたかんがかた非常ひじょうわる可能かのうせいがあるとおもいますから、そ れはその段階だんかいでまたはなしをしないといけません。選択肢せんたくしはかなりばらつきがあるとおもいま す。ですから、わたし先生せんせい質問しつもんにきちんとこたえていないのかもわからないですが、わたし 自身じしんのところでは、たとえば出生しゅっしょうぜん診断しんだん羊水ようすい検査けんさけて、実際じっさい異常いじょうて、最終さいしゅうてき にもし中絶ちゅうぜつという選択肢せんたくしをどのぐらいとるかということになると、95%はえていると おもいます。それは多分たぶんわたしのところは基本きほんてきには最初さいしょのカウンセリングが重要じゅうようであると いうふうにかんがえているからです。 ○金城きんじょう委員いいん そうすると、最初さいしょのカウンセリングのときに、異常いじょうてもむというひと出生しゅっしょうまえ だんをしないというかんじになりますね。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん羊水ようすい検査けんさにしろ、絨毛じゅうもう検査けんさにしろ、副作用ふくさようがあります。これは、あかぼう流産りゅうざんしてし まうというリスクがあるわけですから、ただたんりたいということのウエートと、あかぼうにかかるリスクのウエートをよくかんがえたほうがいいというおはなしはします。 ○高久たかく部会ぶかいちょう 95%というのは、95%のひと人工じんこう流産りゅうざんをするということですか。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい佐藤さとう評議ひょうぎいん) そうです。 ○寺田てらだ委員いいん もとのはなしになりますが、生殖せいしょく医療いりょうのありかた出生しゅっしょうぜん診断しんだんで、出生しゅっしょうぜん診断しんだんかんしまして は、学会がっかいがガイドラインをすべきであって、くに関与かんよすべきじゃないといてござい ますね。その場合ばあいに、個々ここ学会がっかいはどういうところで連合体れんごうたいをつくってすのがいいと いうおかんがえをっておられるのかというのがひとつ。もうひとつは、生殖せいしょく医療いりょうのありかたにつ いても、くにはそういうガイドラインをつべきじゃなくて、やはり学会がっかいでやったほうがい いというおかんがえか。ちょっとおかんがえをかせていただければありがたいとおもいます。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どなたか代表だいひょうして御返事おへんじいただけますか。 ○松田まつだ委員いいん 具体ぐたいてきなことだけ説明せつめいします。まず、日本人にっぽんじんるい遺伝いでん学会がっかいふたつガイドラインをつくり ました。そのガイドラインにつきましては、それを発表はっぴょうするまえに、関連かんれんするいくつかのがく かいにドラフトをていただきまして、具体ぐたいてきには日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかい日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい それから日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかい遺伝子いでんし治療ちりょう学会がっかい多分たぶんもういちつぐ らいあったかもしれませんけれども、その学会がっかいていただきまして、そしてドラフト の段階だんかいで、とく日本にっぽん産科さんか婦人ふじん学会がっかいにはドラフトの段階だんかいでかなりインボルブしてもらい まして、そしてディスカッションをめました。それで、多分たぶんこれならいいだろうとい うことで、みなさんのアグリーメントをうえしたわけです。学会がっかいかたたちはまた 関係かんけいがあるとおもいますけれども、わたしたちがつくった段階だんかいで、ひとつの学会がっかいだけにす のは危険きけんといいますか、問題もんだいがあるのではないかということで、そこはそういうプロシ デュアをみました。 ○寺田てらだ委員いいん それにかんしましての質問しつもんですが、そうしますと、たとえばそれのガイドラインはどれほ どの拘束こうそくりょくつものなのか。あるるいは、日本にっぽん医学いがくかいとの関係かんけいというのはどういうふ うになさっているんですか。 ○松田まつだ委員いいん 大変たいへんおおきな問題もんだいで、それはみんなで議論ぎろんしました。しかしながら、ガイドラインとい う性質せいしつじょう、もしも違反いはんした場合ばあいにどうしようかということは実際じっさい出来できないんですけれ ども、すくなくとも基本きほん態度たいどだけはめておこう、基本きほんせんだけはめておこうというほど かんがえだったとおもいます。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい松尾まつお会長かいちょう関連かんれんすることですが、そのようなガイドラインのまえに、基本きほんてき出生しゅっしょうぜん診断しんだんみとめる かどうかというくにのコミットメントがいままでなかったとおもうんです。ですから、あるいち じょう条件じょうけんたしたときに、くにとしてはそれを是認ぜにんするかどうかということがまず最初さいしょ にこなければいけないだろうとおもうんです。ガイドラインはかく学会がっかいによって微妙びみょうちがう ということが大事だいじではないかとおもいます。 ○日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい北川きたがわ理事りじわたし日本にっぽん先天せんてん代謝たいしゃ異常いじょう学会がっかいにも関連かんれんしておりますので、先程さきほど金城きんじょう先生せんせいからの質問しつもんこたえさせていただきたいとおもいますが、日本にっぽんでの遺伝いでんせい疾患しっかん出生しゅっしょうぜん診断しんだんの4ぶんの1ぐ らいはわたしどもの施設しせつでやってまいりました。これは、マス・スクリーニングというのが ございますが、なお遺伝いでんせい病気びょうきはやつけてはやなおすということでいままでやってま いりました。それに関連かんれんしまして、いろいろな代謝たいしゃびょう患者かんじゃさんがわたしのところにまいった わけです。そうすると、なかには当時とうじ医学いがくてきなレベルではなおすことが出来できないものがあり ました。そうしますと、そのつぎどもについて家族かぞく大変たいへん心配しんぱいするわけでございます。 つぎどもをめば、劣性れっせい遺伝いでんのものがおおいんですが、そういたしますと、4ぶんの1の かくりつどもがおな病気びょうきにかかってくることになります。そういうことなので、2人ふたりどう病気びょうきをもつことはとてもえられないから出生しゅっしょうぜん診断しんだんをしてほしいという希望きぼうさ れ、そういうものでだんだんとたのまれては出生しゅっしょうぜん診断しんだんをしてきて、なかにはやまいであり、 それをつづいてんでそだてるのはえられないからとするうったえもあります。わたし小児科しょうにかで ございますから中絶ちゅうぜつ出来できませんので、理解りかいいただける婦人ふじん先生せんせいにおねがいし、そ の実情じつじょううったえまして中絶ちゅうぜつしていただきました。なかには、1人ひとりどもが遺伝いでんびょうであって 3さいか4さいくなりましたけれども、さいわいにしてつぎどもは正常せいじょうであり、そして、 どもをもてたということでよろこんでくれたわけでございます。しかしながら、そういう 家庭かていほうます、そのまれたきたどもも出生しゅっしょうぜん診断しんだんされて、そして正常せいじょうだとわか ってそだてているということはわないようでございまして、そのわたしのところで2さい ぐらいまで健康けんこう診断しんだんまいりますけれども、そのはひっそりとそのそだてて、しあわせな 家庭かていいとなんでいるというのが実情じつじょうのようでございます。そういうふうなことがございま すので、やはり出生しゅっしょうぜん診断しんだんは、不幸ふこうどもをもった家庭かてい正常せいじょうどもをもたせるこ とが出来できるということで、わたしはこれまで出生しゅっしょうぜん診断しんだんをしてまいったわけでございます。 ○廣井ひろい委員いいん 日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいとか日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかいにおきしたいのですけれども、わたしども日本にっぽんさん 婦人ふじん学会がっかいでは、かつてあたらしい生殖せいしょく医療いりょう技術ぎじゅつ出来できたときにはそのにいろいろ調査ちょうさ しておりまして、たとえば体外たいがい受精じゅせいそのふくめて、先天せんてん異常いじょう頻度ひんど正常せいじょう妊娠にんしんわ らないという結論けつろんしております。ここに「奇形きけいなどの重大じゅうだい障害しょうがい発生はっせいおおい」と いうことがいてあるんですけれども、学会がっかい調査ちょうさしてあれば、そのてんおしえていただ きたいとおもいます。「可能かのうせいがある」ということなので、本当ほんとうおおいかどうかというこ とは、それほどではないというのが我々われわれ結論けつろんでございました。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どなたかおこたえになりますか。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい松尾まつお会長かいちょう具体ぐたいてきなハードデータを今日きょうもうげることは出来できませんが、ここにかれておりま すなか現在げんざいいちばん問題もんだいなのは多胎たたい妊娠にんしんえたということでありまして、これはかくNIC U(新生児しんせいじ集中しゅうちゅう治療ちりょうしつ)どこもみとめている事実じじつだとおもいます。それから、奇形きけいなどのじゅう だい障害しょうがいということにつきましては、わたしたちの関連かんれんしている病院びょういんなか実際じっさいにそれをすべ けい学的がくてき検討けんとうしたことはございませんが、にん治療ちりょう技術ぎじゅつすすめばすすほど自然しぜん淘汰とうた ない出生しゅっしょう増加ぞうかすることはけられないとかんがえております。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい岡田おかだ理事りじ一言ひとことだけ追加ついかさせていただきます。これは、じつは「多胎たたい増加ぞうかやそれにともな奇形きけいなど の重大じゅうだい障害しょうがい」というかんじでわたしいたつもりでありまして、多胎たたいともな減数げんすうというこ とがおこなわれると奇形きけいにつながるであろう、そういう可能かのうせいっているつもりでありま す。 ○木村きむら委員いいん 先程さきほど松尾まつお会長かいちょうはなしによりますと、くにとしては出生しゅっしょうぜん診断しんだん基本きほんてきなスタンスをとっ ていなかったということですが、ある地方自治体ちほうじちたいでは、相当そうとうまえのことになりますけれど も、たとえば兵庫ひょうごけんとか神奈川かながわけんでは積極せっきょくてき染色せんしょくたい異常いじょう調しらべましたように、とく高年こうねん よわい出産しゅっさんにつきましては、ノンディレクティブなカウンセリングというかたちではあったんで しょうけれども、中絶ちゅうぜつすすめるというようなことをかつてやったケースがあるわけです。 それとのかかわりで先程さきほど発言はつげんをフォローアップしますと、現在げんざいのところ、出生しゅっしょうぜん診断しんだん については、くにとしてやっていないということは保険ほけん適用てきようされないことになるわけで す。しかし、こう年齢ねんれい出産しゅっさん妊娠にんしんしたということで医療いりょう機関きかんきましたら、「では、 生前せいぜん診断しんだんしましょう」ということですぐ金額きんがくこうがわからわれて、たとえば6まんえんわれたというケースがあるんですが、そういうおかねとのかかわりで日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかいとし てはなに対応たいおうがあるのでしょうか。均一きんいつ料金りょうきん規定きていしているとか、そういうことがあ るのでしょうか。 ○日本にっぽん小児科しょうにか学会がっかい松尾まつお会長かいちょうわたし理解りかいしている範囲はんいでは、小児科しょうにかのこういう関係かんけい医療いりょうサービスは全部ぜんぶ無料むりょうで、わたし たち関係かんけいしゃ研究けんきゅう使つかってなされているのが現状げんじょうだとおもいます。それを患者かんじゃさんに請 もとめしたということはわたしいちかいもございません。 ○木村きむら委員いいん しかし、現実げんじつにあるんですよね。請求せいきゅうしておかねられて、機関きかんによって、場所ばしょによ ってずいぶんちがうようですけれども。 ○日本にっぽん小児しょうに神経しんけい学会がっかい竹下たけした理事りじ大学だいがくとか公立こうりつ病院びょういんではたしかにっておりません。しかし、一般いっぱん染色せんしょくたい検査けんさという 項目こうもくではいただいております。それから、羊水ようすい検査けんさすくなくとも公的こうてき機関きかん羊水ようすい穿刺せんし という技術ぎじゅつりょう収入しゅうにゅうげ、そして染色せんしょくたい検査けんさという項目こうもく収入しゅうにゅうげているとおもいま す。しかし、それは非常ひじょう微々びびたるものでありまして、国立こくりつ公立こうりつおそらくこれ以外いがいは みんな無料むりょうおこなっているとわたし理解りかいしております。私立しりつはまたべつでございますが、おそれら くおっしゃりたいことをわたしはよく理解りかいしております。 ○日本にっぽん先天せんてん異常いじょう学会がっかい黒木くろき理事りじ先程さきほど出生しゅっしょうぜん診断しんだん、あるいは生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう先天せんてん異常いじょうえないというはなしがございま したけれども、わたしたちのところでも、ながあいだ先天せんてん異常いじょうモニタリングというのを実際じっさいに やっておりまして、多胎たたい妊娠にんしんにおいては奇形きけい頻度ひんどは2ばいぐらいたかくなっております。 しかも、多胎たたい増加ぞうか生殖せいしょく補助ほじょ医療いりょう進歩しんぽというのは完全かんぜんパラレルですから、そういう 意味いみで、現在げんざい一卵性双生児いちらんせいそうせいじまったわりませんが、たまごせい以上いじょう非常ひじょうえておりま す。しかも、多胎たたいなか奇形きけい頻度ひんどえている事実じじつはございます。 ○木村きむら委員いいん 先程さきほどいろいろ報告ほうこくいただいたなかで、松田まつだ先生せんせいからCIOMSのインターナショナ ル・ガイドラインも参考さんこうにしているということで、わたし立案りつあん委員いいん一人ひとりだったもので すから大変たいへんうれしくおもったわけですが、それとの関連かんれんで、北川きたがわ先生せんせいにもおうかがいしたいんで すけれども、日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかいというのは、たとえば現在げんざいにん出産しゅっさんした 場合ばあいに、かく病院びょういんではガスリほうによってほとんどマス・スクリーニングをやっていますね これは厚生省こうせいしょうほう計画けいかくでそうなっているかとおもうんですけれども、それに関連かんれんして、 その場合ばあいにん出産しゅっさんともなって当然とうぜんのこととしてそれをけているような状況じょうきょうにあるよ うにわたしには見受みうけられるので、はたしてにんにインフォームドコンセントがあって新生児しんせいじかかとのところをちょっときずつけるというようなことがあるのかどうか。そこらあたりのとこ ろをおうかがいしたいんですが。 ○日本にっぽんマス・スクリーニング学会がっかい北川きたがわ理事りじ先程さきほど松田まつだ先生せんせいから報告ほうこくされましたように、これは強制きょうせいではなくて、こういう検査けんさ出来できるということを婦人ふじん入院にゅういんされますと、それについてのいちおうのインフォームドコ ンセントがあたえられているだろうという程度ていどでございます。それは、ひとひとつのやりかた病院びょういんによってちがうかもしれないとおもいますけれども、一応いちおう情報じょうほうあたえられていると おもいますし、これは昭和しょうわ52ねんからおこなわれておりますのですで定着ていちゃくしたものではないでし ょうか。それから、母子ぼし手帳てちょうなかにこの結果けっか記入きにゅうされることになっておりますので、 すで確立かくりつされたシステムだとわたし理解りかいしております。 ○高久たかく部会ぶかいちょう どうもありがとうございました。かなり時間じかん経過けいかいたしましたので、この程度ていどしつ うたぐわらせいただきたいとおもいます。本日ほんじつは、説明せつめいをしていただきました先生せんせいかた、お いそがしいところ、出席しゅっせきいただきまして、いろいろ意見いけんたまわりまして本当ほんとうにありがとう ございました。わたしどもも非常ひじょう勉強べんきょうさせていただきました。 それでは、これで部会ぶかい閉会へいかいしたいとおもいます。長時間ちょうじかんにわたる討論とうろん、どうもあり がとうございました。次回じかいは1がつ29にち木曜日もくようびですが、午後ごごからということになって おりますので、よろしくおねがいしたいとおもいます。事務じむきょくほうからなにか。 ○事務じむきょく だいかいだいかい部会ぶかい会場かいじょう変更へんこうにつきましてお手元てもとにおらせを配付はいふしておりま すので、注意ちゅういねがいたいとおもいます。会場かいじょうしんかすみせきビルでございますので、よろしく おねがいいたします。 ○高久たかく部会ぶかいちょう それでは、どうもありがとうございました。 わせさき 厚生省こうせいしょう大臣だいじん官房かんぼう厚生こうせい科学かがく 担 とう 坂本さかもと内線ないせん3804) でん はなし代表だいひょう)03−3503−1711 (直通ちょくつう)03−3595−2171