エネルギッシュな土星どせいの北極ほっきょくのオーロラ

【2018年ねん9月がつ4日にち ヨーロッパ宇宙うちゅう機関きかん】

地球ちきゅうのオーロラは主おもに、太陽たいよう風ふうと地球ちきゅうの磁気圏じきけんとの相互そうご作用さようによって発生はっせいする。太陽たいよう風ふうの粒子りゅうしの一部いちぶが磁場じばに沿そって磁極じきょくへ落おち込こみ、上層じょうそう大気たいき中ちゅうの酸素さんそや窒素ちっその原子げんしと衝突しょうとつすることで、美うつくしい現象げんしょうとして見みられる。

2018年ねん2月がつにフィンランドで撮影さつえいされたオーロラ（撮影さつえい：もっくんさん）。画像がぞうクリックで天体てんたい写真しゃしんギャラリーのページへ

オーロラは地球ちきゅう以外いがいの惑星わくせいでも発生はっせいする。このたび、ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう（HST）が観測かんそくした土星どせいのオーロラの画像がぞうや動画どうがが公開こうかいされた。土星どせいの大気たいきは大だい部分ぶぶんが水素すいそであり、発生はっせいするオーロラは紫外線しがいせんの波長はちょう域いきで光ひかるため、土星どせいのオーロラは地上ちじょうからは見みえずHSTのように宇宙うちゅうから観測かんそくする必要ひつようがある。

土星どせいの北極ほっきょく域いきのオーロラ。2017年ねんに撮影さつえいされたオーロラ画像がぞうを、2018年ねんのはじめに可視かし光線こうせんの波長はちょうでとらえた画像がぞうと合成ごうせい（提供ていきょう：ESA/Hubble, NASA, A. Simon (GSFC) and the OPAL Team, J. DePasquale (STScI), L. Lamy (Observatoire de Paris)）

HSTは、土星どせいの北半球きたはんきゅうが夏至げしを迎むかえていた2017年ねん5月がつごろの前後ぜんご7か月げつ間あいだにわたり、オーロラを長期間ちょうきかんモニター観測かんそくしていた。これは、土星どせい探査たんさ機き「カッシーニ」が13年ねんに及およんだ探査たんさの最後さいごに実施じっししたミッション「グランドフィナーレ」（2017年ねん4月がつ23日にち～9月がつ15日にち）と同どう時期じきであり、カッシーニもオーロラの発生はっせい領域りょういきを調しらべていたタイミングである。

HSTがとらえたオーロラには、激はげしく変化へんかする局所きょくしょ的てきな特徴とくちょうを伴ともなった、多様たような放射ほうしゃが見みられる。この変化へんかは、太陽たいよう風ふうと、わずか11時じ間あいだという土星どせいの速はやい自転じてん周期しゅうきの影響えいきょうによるものである。

とくに、オーロラの明あかるさには、夜明よあけと真夜中まよなかの直前ちょくぜんというはっきりとした2回かいのピークが見みられた。真夜中まよなかの直前ちょくぜんのピークについては、これまでに報告ほうこく例れいがない新しん発見はっけんの現象げんしょうであり、土星どせいの北極ほっきょくが最もっとも太陽たいよう方向ほうこうに向むいている夏至げしのころの磁気圏じきけんと太陽たいよう風ふうとの相互そうご作用さようによる特有とくゆうのものとみられている。

HSTは2004年ねんに南極なんきょくのオーロラを観測かんそくした。また2009年ねんには、地球ちきゅうや太陽たいようから土星どせいが真横まよこに見みえる（環たまきの消失しょうしつ）という貴重きちょうな機会きかいを利用りようして両極りょうきょくのオーロラを同時どうじにとらえた。こうした観測かんそくにより、土星どせいのオーロラや磁気圏じきけんに関かんする理解りかいが深ふかまっていくと期待きたいされる。

土星どせいの北極ほっきょく域いきのオーロラが変化へんかする様子ようす。上うえの画像がぞうと同様どうように合成ごうせいしたもの（ESA/Hubble, NASA & L. Lamy (Observatoire de Paris)）