2019年ねん12月26日にち 部分ぶぶん日食にっしょく

日食にっしょくの時刻じこく（始はじまり、最大さいだい）は地域ちいきによって異ことなりますが、おおむね「14時じ〜14時じ30分ふんごろに始はじまり、15時じ30分ふんごろに欠かけ具合ぐあいが最大さいだいになり」ます。終おわる時刻じこくはだいたい16時じ30分ふんごろですが、静岡しずおか〜新潟にいがたあたりより東ひがしの地方ちほうではこれよりも早はやく（つまり日食にっしょくが終おわる前まえに）太陽たいようが沈しずみます。このような「欠かけた太陽たいようが沈しずむ」日食にっしょくのことを「日没にちぼつ帯たい食しょく」や「日にち入いれ帯たい食しょく」と呼よぶことがあります。

欠かけ具合ぐあいは「食分しょくぶん」という値ねで表あらわします。太陽たいようの直径ちょっけいのうち、どれだけ月つきに隠かくされているかを示しめす数値すうちです（›› 説明せつめい図ず）。日本にっぽんでは、だいたい南みなみの地域ちいきほど最大さいだい食分しょくぶんが大おおきくなります。

時刻じこくだけでなく方位ほういや高度こうども重要じゅうようなポイントです。方位ほういはおよそ南西なんせい、日食にっしょくが始はじまるときの太陽たいようの高度こうどは10〜25度どくらいです。冬至とうじの4日にち後ごなので昼過ひるすぎの時点じてんでも太陽たいようはかなり低ひくく、札幌さっぽろでは日食にっしょく開始かいし時じの太陽たいよう高度こうどは12度どしかありません。観察かんさつ予定よていの場所ばしょからどのように見みえそうかを事前じぜんに確認かくにんし、とくに南西なんせい方向ほうこうの見晴みはらしが良よい場所ばしょ（写真しゃしん撮影さつえいをする場合ばあいには前景ぜんけいになりそうなものがある場所ばしょ）を探さがしておきましょう。

※終おわりの時刻じこくに*が付ついているものは、終了しゅうりょう時刻じこくではなく日没にちぼつ時刻じこくを記載きさい。

日本にっぽん各地かくちの日食にっしょくの時刻じこくと最大さいだい食分しょくぶん（ステラナビゲータ、エクリプスナビゲータで作成さくせい）。画像がぞうクリックで表示ひょうじ拡大かくだい。

札幌さっぽろ、東京とうきょう、那覇なはから日食にっしょくを見みた様子ようす。欠かけ方かたや太陽たいようの高度こうどの違ちがいがわかる（ステラナビゲータでシミュレーション）。

他たの動画どうがは ›› アストロアーツYouTubeチャンネル

• ステラナビゲータで日食にっしょくをシミュレーション

日食にっしょくを観察かんさつするときは、以下いかの点てんに十分じゅうぶん注意ちゅういしてください。誤あやまった方法ほうほうで見みると、失明しつめい等とうの重大じゅうだいな視力しりょく障害しょうがいを引ひき起おこすおそれがあります。

減げん光こうフィルターを正まさしく使つかいましょう

日食にっしょく（太陽たいよう）を見みるには、観察かんさつ用ようの減げん光こうフィルターが必要ひつようです。めがねやプレートなど、様々さまざまなタイプのものがあります。

• 双眼鏡そうがんきょうや天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうと組くみ合あわせて使つかってはいけません（可能かのうと明記めいきされた一部いちぶの製品せいひんを除のぞく）。普通ふつうの視力しりょく矯正きょうせい用よう眼鏡めがねやコンタクトレンズを着つけたまま、フィルターで観察かんさつするのは問題もんだいありません。
• 使用しようする前まえに、フィルターに穴あなが空あいたり破やぶれたりしていないか確認かくにんしましょう。
• まず、視線しせんを下さげた状態じょうたいで、体からだだけ太陽たいようの方向ほうこうに向むけます。
  次つぎにフィルターを顔かおの前まえにかざし、それから太陽たいようを見上みあげます。
  見み終おわったら、視線しせんを下さげてからフィルターを外はずします。
• フィルターを使用しようしていても、長時間ちょうじかん（目安めやすとして2、3分ふん以上いじょう）続つづけて観察かんさつしてはいけません。時々ときどき、目めを休やすめましょう。

日食にっしょく観察かんさつ用ようグッズは「アストロアーツ オンラインショップ」でお取とり扱あつかいしています。下敷したじきのように見みえるのは安全あんぜんが確認かくにんされている「日食にっしょく観察かんさつプレート」です。

日食にっしょくは、減げん光こうしなければ肉眼にくがんでは見みえません

「日食にっしょくめがねなどがなくても、ちらっと見みればいいや」なんて思おもっていませんか。太陽たいようが欠かけているといっても明あかるさは普段ふだんの太陽たいようとほぼ同おなじです。減げん光ひかりする観察かんさつ道具どうぐを使つかわなければ、まぶしすぎるために欠かけている様子ようすは全まったくわかりません。そればかりか、短時間たんじかんであっても肉眼にくがんで無理むりに見みようとすると、目めにダメージを与あたえるおそれがあります。

うす曇ぐもりでも肉眼にくがんでの観察かんさつは危険きけんです

うす曇ぐもりになると減げん光ひかりする道具どうぐ越ごしでは太陽たいようが見みえないので、つい道具どうぐを外はずして肉眼にくがんで見みてしまいがちですが、これも危険きけんです。目めがまぶしさに慣なれてしまうために危険きけんな光量ひかりりょうにもかかわらず見み続つづけてしまったり、雲間くもまから急きゅうに太陽たいようが出でてきたりするおそれがあります。

「日食にっしょく（太陽たいよう）観察かんさつ用よう」以外いがいの道具どうぐで見みてはいけません

サングラスや黒くろいビニール袋ぶくろなど日食にっしょく観察かんさつに使つかえそうなものでも、可視かし光線こうせんが十分じゅうぶんカットされていなかったり、紫外線しがいせんや赤外線せきがいせんといった目めに有害ゆうがいな光線こうせんを通とおしたりすることがあるので危険きけんです。

必かならず「日食にっしょく（太陽たいよう）観察かんさつ用よう」と明記めいきされた製品せいひんを使つかいましょう。

また、撮影さつえいで用もちいるNDフィルターも、肉眼にくがんでの観察かんさつには使つかえません。

「太陽たいよう投影とうえい板ばん」という器具きぐを望遠鏡ぼうえんきょうに取とり付つけて大おおきく拡大かくだいして観察かんさつする方法ほうほうや、ピンホールを利用りようする方法ほうほうなどもあります。詳くわしくは「日食にっしょくを安全あんぜんに観察かんさつする」などを参考さんこうにしてください。

日食にっしょくとは、太陽たいよう−月つき−地球ちきゅうがほぼ一直線いっちょくせん上じょうに並ならんだときに地球ちきゅうから見みて月つきが太陽たいようの前まえを通とおり、太陽たいようの一部いちぶまたは全部ぜんぶを隠かくしてしまう現象げんしょうです。大おおきく3タイプに分わかれます。

皆既かいき日食にっしょく

太陽たいようと月つきの中心ちゅうしんがほぼ重かさなり、太陽たいようがすべて隠かくされるタイプの日食にっしょくです。2017年ねん8月がつ21日にち（現地げんち時間じかん）に北米ほくべい大陸たいりくで見みられた日食にっしょくや2019年ねん7月がつ2日にち（現地げんち時間じかん）に南米なんべいで見みられた日食にっしょくが皆既かいき日食にっしょくです。

皆既かいき中ちゅうの数すう分間ふんかんは空そらが夜よるのように暗くらくなり、肉眼にくがんでも太陽たいようの外気がいき層そうである「コロナ」が輝かがやいて見みえます。あらゆる天文てんもん現象げんしょうのなかでも、とりわけドラマチックなもので、とくに皆既食かいきしょくの始はじまりと終おわりに瞬間しゅんかん的てきに見みえる「ダイヤモンドリング」はハイライトです。

皆既かいき日食にっしょくが起おこるのは「皆既かいき帯たい」と呼よばれる領域りょういきの範囲はんい内ないだけで、皆既かいき帯たいの南北なんぼくの中心ちゅうしんに近ちかいほど、また東西とうざいの中央ちゅうおう付近ふきんほど、皆既食かいきしょくの継続けいぞく時間じかんが長ながくなります。また、皆既かいき帯たいの外そとの広ひろい範囲はんいで部分ぶぶん日食にっしょくが起おこります。

金環きんかん日食にっしょく

太陽たいようと月つきの中心ちゅうしんがほぼ重かさなるという点てんで皆既かいき日食にっしょくと似にていますが、月つきが地球ちきゅうから遠とおい場合ばあいには月つきの見みかけの大おおきさが小ちいさいので、太陽たいようをすべて隠かくすことができません。そのため、太陽たいようと月つきがちょうど重かさなっているときにも太陽たいようの外縁がいえん部分ぶぶんがリング状じょうに見みえます。金環きんかん日食にっしょくでは空そらは真まっ暗くらにはなりません。

金環きんかん日食にっしょくも「金環きんかん帯たい」と呼よばれる領域りょういきの範囲はんい内ないだけで起おこり、その外そとの広ひろい範囲はんいで部分ぶぶん日食にっしょくとなります。今回こんかい2019年ねん12月26日にちの日食にっしょくはこのパターン（›› 解説かいせつ）です。金環きんかん帯たいはアラビア半島はんとう〜インド南部なんぶ〜シンガポール〜グアムなどを通とおっていて、その外側そとがわの日本にっぽんなどでは部分ぶぶん日食にっしょくが起おこります。また、2012年ねん5月がつ21日にちには日本にっぽんの太平洋たいへいよう岸がんを金環きんかん帯たいが通とおりました。

部分ぶぶん日食にっしょく

月つきが太陽たいようの一部いちぶだけを隠かくすタイプの日食にっしょくです。皆既かいき日食にっしょくや金環きんかん日食にっしょくの際さいに中心ちゅうしん食しょく帯たいの外側そとがわで見みられ、中心ちゅうしん食しょく帯たいに近ちかいほど太陽たいようが大おおきく隠かくされます。2019年ねん12月26日にちにインド洋いんどよう、インドネシアなどで起おこる金環きんかん日食にっしょくでは、日本にっぽんでも部分ぶぶん日食にっしょくが見みられます。

また、世界中せかいじゅうのどこでも部分ぶぶん日食にっしょくしか起おこらないという場合ばあいもあります。今年ことし2019年ねん1月がつ6日にちに起おこった日食にっしょくはこのパターンです。

2012年ねん5月がつ21日にち 日本にっぽん横断おうだん金環きんかん日食にっしょくでのベイリーズビーズ（撮影さつえい：大熊おおくま正美まさみ（アストロアーツ）、協力きょうりょく：磯谷いそがい英志えいじ（ウェザーニューズ）、早出そうしゅつ誠まこと、宮林みやばやし健治けんじ（信州しんしゅうスカイパーク））

2015年ねん3月がつ20日はつか 北大西洋きたたいせいよう・スヴァールバル諸島しょとう・北極ほっきょく海かい皆既かいき日食にっしょく（撮影さつえい：上山うえやま治おさむ貴たか（アストロアーツ））

2017年ねん8月がつ21日にち 2017年ねん8月がつ21日にち アメリカ横断おうだん皆既かいき日食にっしょく（撮影さつえい：大熊おおくま正美まさみ（アストロアーツ））

今回こんかいの日食にっしょく

今回こんかいの日食にっしょくはアフリカ東部とうぶからアジア全域ぜんいき、オーストラリア北西ほくせい部ぶ、グアムなどで見みられます。金環きんかん日食にっしょくとなるのはアラビア半島はんとう〜インド南部なんぶ、シンガポール、グアムなどで、その外側そとがわの広ひろい地域ちいきで部分ぶぶん日食にっしょくとなります。

図ずの説明せつめい

• 黄色おうしょくの線せんとオレンジ色しょくの線せんで囲かこまれた範囲はんいで日食にっしょくが見みられます。
• 黄色おうしょくの線せんの内側うちがわでは最大さいだい食しょく（その場所ばしょで太陽たいようが最もっとも大おおきく欠かける状態じょうたい）を見みることができます。
• オレンジ色しょくの線せんのうち外側そとがわは「（左上ひだりうえ）日出にっしゅつ時じに部分ぶぶん食しょくが終おわるか、（右上みぎうえ）日没にちぼつ時じに部分ぶぶん食しょくが始はじまる」限界げんかい線せんです。内側うちがわは「日出にっしゅつ時じに部分ぶぶん食しょくが始はじまるか、日没にちぼつ時じに部分ぶぶん食しょくが終おわる」、つまり部分ぶぶん日食にっしょくを全ぜん過程かてい見みられる範囲はんいを表あらわします。
• 金環きんかん日食にっしょくが見みられるのは、「金環きんかん帯たい」と呼よばれる細ほそい帯状おびじょうの範囲はんいです。赤あかい中心ちゅうしん線上せんじょうでは、その帯おびの部分ぶぶん（南北なんぼくのうち）で最もっとも長ながい時間じかん、金環食きんかんしょくを見みることができます。
  反対はんたいに帯おびの南北なんぼく端はし付近ふきんでは、金環食きんかんしょくは一瞬いっしゅんしか見みられませんが、月つき縁えんの凹凸おうとつが太陽たいようの端はしと重かさなって光点こうてんが途切とぎれ途切とぎれに連つらなる現象げんしょう「ベイリーズビーズ」が見みやすくなります。

日食にっしょく帯たい（エクリプスナビゲータで作成さくせい）。画像がぞうクリックで表示ひょうじ拡大かくだい。

グアムから日食にっしょくを見みた様子ようす。金環食きんかんしょくの継続けいぞく時間じかんは3分ふん2秒びょう、太陽たいよう高度こうどは約やく13度ど（ステラナビゲータでシミュレーション）。

日食にっしょく撮影さつえい＋シミュレーションソフト「エクリプスナビゲータ」は、月つき縁えんを考慮こうりょして正確せいかくに日食にっしょくを再現さいげんし、地図ちず表示ひょうじや連続れんぞく撮影さつえいなど高度こうどなシミュレーションを行おこなうことができます。さらに、スケジュールに沿そってカメラを制御せいぎょし撮影さつえいを自動じどう化かできるので、日食にっしょく観望かんぼうに集中しゅうちゅうできます。

過去かこ、将来しょうらいの日食にっしょく

2016年ねん〜2024年ねんの日食にっしょくの一覧いちらんです。日付ひづけはいずれも「Greatest Eclipse（最もっとも太陽たいようが大おおきく欠かける）地点ちてんで日食にっしょくが最大さいだいとなる時刻じこくを含ふくむ日本にっぽん時間じかん」で表あらわしています。

日本にっぽんで次つぎに日食にっしょくが見みられるのは来年らいねん2020年ねん6月がつ21日にち（夏至げし）で、夕方ゆうがたごろ全国ぜんこくで部分ぶぶん日食にっしょくが見みられます。今回こんかいと同様どうように、南西なんせい日本にっぽんほど太陽たいようが大おおきく欠かけ、アラビア半島はんとう〜インド北部ほくぶ〜中国ちゅうごく・台湾たいわんなどで金環きんかん日食にっしょくとなります。日本にっぽんで皆既かいき日食にっしょくが見みられるのは2035年ねん9月がつ2日にち（皆既かいき帯たいは北陸ほくりく〜北関東きたかんとう）、金環きんかん日食にっしょくが見みられるのは2030年ねん6月がつ1日にち（金環きんかん帯たいは北海道ほっかいどう）です。

過去かこの日食にっしょくで日付ひづけからリンクされているものは、天体てんたい写真しゃしんギャラリーへリンク。

半年はんとし後ごの2020年ねん6月がつ21日にちの夏至げしの日ひにも再ふたたび、日本にっぽん全国ぜんこくで部分ぶぶん日食にっしょくが見みられます。その他たに2020年ねんは10月がつに火星かせい最さい接近せっきん、年末ねんまつごろに木星もくせいと土星どせいが超ちょう大だい接近せっきんなど、楽たのしみな天文てんもん現象げんしょうや面白おもしろい天体てんたいがたくさんあります。もちろん、日々ひびの星ほし々や月つきの満みち欠かけなども美うつくしいものです。

「アストロガイド 星空ほしぞら年鑑ねんかん 2020」ではそんな見みどころや季き節ぶしの星座せいざを、書籍しょせきとDVD番組ばんぐみで詳くわしく紹介しょうかい。さらに付属ふぞくの天文てんもんシミュレーションソフトで、現象げんしょうの見みえ方かたや時刻じこくなどを調しらべることもできます。

「アストロガイド 星空ほしぞら年鑑ねんかん」で、2020年ねんの天文てんもん現象げんしょうを予習よしゅうしたり観測かんそく計画けいかくを立たてたりしてみましょう。

また、月刊げっかん誌し「星ほしナビ」でも、毎月まいつきの空そらの見みどころや宇宙うちゅう探査たんさ、観察かんさつ機材きざい、グッズ、イベントなど様々さまざまな情報じょうほうをお届とどけしています。