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CALET、宇宙線陽子スペクトルの高精度観測で軟化を検出 - アストロアーツ

CALET、宇宙うちゅうせん陽子ようしスペクトルのこう精度せいど観測かんそく軟化なんか検出けんしゅつ

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宇宙うちゅうせんのエネルギースペクトルには理論りろんからずれる「スペクトル硬化こうか」がこれまで観測かんそくされているが、国際こくさい宇宙うちゅうステーションの宇宙うちゅうせん電子でんし望遠鏡ぼうえんきょう「CALET」がそれとはぎゃくにずれる「軟化なんか」を検出けんしゅつした。

【2022ねん9がつ21にち 早稲田大学わせだだいがく

地球ちきゅう飛来ひらいする宇宙うちゅうせんなかでもとくにエネルギーがたか粒子りゅうしは、超新星ちょうしんせい爆発ばくはつ衝撃波しょうげきは加速かそくされ、ほしあいだ磁場じばによって拡散かくさんてき伝播でんぱしたのだとかんがえられる。この解釈かいしゃく標準ひょうじゅんモデルとばれているが、依然いぜんとして不明ふめいてんのこっている。標準ひょうじゅんモデルにしたがえば、エネルギースペクトル(よこじくにエネルギー、たてじくながれたばったグラフ)は指数しすう関数かんすうえがき、エネルギーのたか宇宙うちゅうせんまった割合わりあいるはずだ。しかし、その減少げんしょう割合わりあい予想よそうよりすくない「スペクトル硬化こうか」という現象げんしょう観測かんそくされている。

スペクトル硬化こうかは、国際こくさい宇宙うちゅうステーションの日本にっぽん実験じっけんとう「きぼう」のふねがいプラットフォームに設置せっちされた宇宙うちゅうせん電子でんし望遠鏡ぼうえんきょう「CALET」のような宇宙うちゅう空間くうかんでの観測かんそく検出けんしゅつされるようになった。宇宙うちゅうせん地球ちきゅう大気たいき相互そうご作用さようこしてしまうため、直接ちょくせつ観測かんそくするには大気圏たいきけんがいでとらえることが不可欠ふかけつだ。

・フィレンツェ大学だいがくのOscar Adrianiさんたちの研究けんきゅうチームはこのCALETをもちいて、50ギガ電子でんしボルトから60テラ電子でんしボルトのひろいエネルギー領域りょういきで、宇宙うちゅうせんのうち陽子ようしのスペクトルをこう精度せいど観測かんそくした。従来じゅうらい観測かんそくでは10テラ電子でんしボルトまでをカバーしており、そこではスペクトル硬化こうかがとらえられていた。ところが10テラ電子でんしボルトをえると、エネルギーがたかくなるにつれて検出けんしゅつされる宇宙うちゅうせんりょう指数しすう関数かんすうよりさらにおおきな割合わりあい減少げんしょうしていた。これはスペクトル硬化こうかぎゃくで、「スペクトル軟化なんか」とばれる現象げんしょうだ。

宇宙線陽子スペクトル
CALETが50ギガ電子でんしボルトから60テラ電子でんしボルトの範囲はんい測定そくていした宇宙うちゅうせん陽子ようしスペクトル。右肩みぎかたがりならスペクトル硬化こうか右肩みぎかたがりならスペクトル軟化なんかになる。あかがCALETの観測かんそく比較ひかくのため装置そうちによる観測かんそく結果けっか掲載けいさい提供ていきょう早稲田大学わせだだいがく

きわめてたかいエネルギーになると宇宙うちゅうせん予想よそうよりすくなくなることは、超新星ちょうしんせい衝撃波しょうげきは達成たっせい可能かのうなエネルギーはそのあたりが限界げんかいであることを示唆しさしている。標準ひょうじゅんモデルを検証けんしょうするじょうでも、あるいは標準ひょうじゅんモデルにわるあらたな加速かそくメカニズムをかんがえるじょうでも、今回こんかい観測かんそくされたスペクトル軟化なんか重要じゅうよう発見はっけんであるとかんがえられる。

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