火山かざん活動かつどうの可能かのう性せいがある地球ちきゅうサイズの系けい外がい惑星わくせい

【2023年ねん5月がつ25日にち 東京大学とうきょうだいがく 大学院だいがくいん総合そうごう文化ぶんか研究けんきゅう科か・教養きょうよう学部がくぶ】

カナダ・モントリオール大学だいがくのMerrin S. Petersonさんたちの研究けんきゅうチームは、コップ座ざの方向ほうこう約やく90光年こうねんの距離きょりにある太陽たいようより暗くらい赤色あかいろ矮星「LP 791-18」の惑星わくせい系けいを、宇宙うちゅうと地上ちじょうから詳くわしく観測かんそくした。LP 791-18の周まわりにはこれまでに、NASAの系けい外がい惑星わくせい探査たんさ衛星えいせい「TESS」による観測かんそくで2つの惑星わくせいbとcが見みつかっている。

今回こんかい、NASAの宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう「スピッツァー」による127時じ間あいだにおよぶ連続れんぞく観測かんそくから、新あらたな惑星わくせいdが発見はっけんされた。その後ご、日本にっぽんの多色たしょく同時どうじ撮像さつぞうカメラMuSCAT、MuSCAT2を含ふくめた多数たすうの地上ちじょう望遠鏡ぼうえんきょうが連携れんけいして、惑星わくせいの性質せいしつを調しらべるための観測かんそくが実施じっしされた。

発見はっけんされた惑星わくせいdの想像そうぞう図ず、右側みぎがわ奥おくの青あおい点てんが大おおきく重おもい惑星わくせいc（提供ていきょう：NASA's Goddard Space Flight Center/Chris Smith (KRBwyle)）

惑星わくせいdの半径はんけいは地球ちきゅうのおよそ1.03倍ばいと、地球ちきゅうにとてもよく似にている。一方いっぽう、恒星こうせいの周まわりを回まわる公転こうてん周期しゅうきは約やく2.75日にちで、約やく0.94日にちの惑星わくせいbと約やく4.99日にちの惑星わくせいcの間あいだに位置いちする。惑星わくせいたちは公転こうてんするたびに他たの惑星わくせいと接近せっきんするタイミングが訪おとずれるが、このときお互たがいの引力いんりょくが動うごきに影響えいきょうを及およぼし合あう。地上ちじょうからの観測かんそくでは、惑星わくせいcが恒星こうせいの前まえを通過つうかするトランジットの時刻じこくが、惑星わくせいdの存在そんざいによってずれる様子ようすが検出けんしゅつされた。これにより、惑星わくせいdは半径はんけいだけでなく質量しつりょうも地球ちきゅうと同どう程度ていどであること、外側そとがわの惑星わくせいcは地球ちきゅうの9倍ばいと重おもいことがわかった。

LP 791-18周囲しゅういの3つの惑星わくせいの軌道きどう。惑星わくせいのシンボルの大おおきさと軌道きどうの円えんの大おおきさは、観測かんそくされた惑星わくせいの大おおきさと公転こうてん距離きょりの比ひを反映はんえいしている。1auは地球ちきゅう-太陽たいよう間あいだの距離きょりに相当そうとうし、約やく1.5億おくkm（提供ていきょう：東京とうきょう大学だいがくリリース）

惑星わくせいdは質量しつりょうの大おおきな惑星わくせいcに引ひっ張ぱられることで、軌道きどうがわずかに楕円だえん形がたになっている。このため惑星わくせいdは中心ちゅうしんの恒星こうせいに近ちかづいたり遠とおざかったりすることになり、恒星こうせいからの潮汐ちょうせき力りょくが働はたらく。つまり、惑星わくせいdの一部いちぶが他たの部分ぶぶんより強つよく引ひっ張ぱられ、摩擦まさつにより惑星わくせい内部ないぶが加熱かねつされている可能かのう性せいがある。木星もくせいの衛星えいせいイオでは、同おなじ仕組しくみで活発かっぱつな火山かざん活動かつどうが起おこっているが、惑星わくせいdでも同様どうように火山かざんが噴火ふんかしているかもしれない。

中心ちゅうしんの恒星こうせいLP 791-18から惑星わくせいdまでの距離きょりは近ちかいが、LP 791-18の温度おんどが太陽たいようより低ひくいため、惑星わくせいdの位置いちは水みずが蒸発じょうはつせずに液体えきたいで存在そんざいしうるハビタブルゾーンの内側うちがわ境界きょうかい付近ふきんにある。ただし、潮汐ちょうせき力りょくにより常つねにLP 791-18に同おなじ面めんを向むけているため、昼ひる側がわは高温こうおんで水みずは蒸発じょうはつしてしまっている可能かのう性せいが高たかい。一方いっぽう、夜よる側がわは十分じゅうぶんに冷ひえていると考かんがえられる。火山かざん活動かつどうが起おこっているとすれば、惑星わくせいdには大気たいきが供給きょうきゅうされているはずで、その大気たいきに含ふくまれる水蒸気すいじょうきが夜よる側がわで凝集ぎょうしゅうし、液体えきたいの水みずとなっているかもしれない。

惑星わくせいcについては、ジェームズ・ウェッブ宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによる惑星わくせい大気たいきの観測かんそくが予定よていされているが、研究けんきゅうチームは、惑星わくせいdも今後こんご重要じゅうような惑星わくせい大気たいき観測かんそくのターゲットになり得えると考かんがえている。惑星わくせいdの活発かっぱつな火山かざん活動かつどうは、本来ほんらいであれば惑星わくせいの地殻ちかく内部ないぶに閉とじ込こめられてしまう物質ぶっしつを大気たいき中ちゅうに送おくり込こむ役割やくわりを果はたしているかもしれない。そういった物質ぶっしつの中なかには、生命せいめいにとって重要じゅうような炭素たんそなども含ふくまれている。そのため、今後こんご惑星わくせいdの大気たいき組成そせいが検出けんしゅつできれば、惑星わくせいの地殻ちかく活動かつどうが惑星わくせい大気たいきに及およぼす影響えいきょうを深ふかく調しらべることが可能かのうになり、生命せいめい起源きげんの研究けんきゅうにつながる可能かのう性せいがある。