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シアターシエマ (港町キネマ通り)

JR長崎ながさき本線ほんせん佐賀さがえきからみなみっすぐびる中央ちゅうおうどおりをブラブラとあるく。駅前えきまえとくさかえているわけでもなく、しばらくあるいても県庁けんちょう所在地しょざいちというよりも普通ふつう地方ちほう都市としという印象いんしょうつよい。まちあるいていると、やけににつくのはあみのようにまちはしっているなんほんもの水路すいろ佐賀さが海抜かいばつひく平野へいやであるため農業のうぎょう用水ようすい水運すいうん発達はったつしたという歴史れきしがあるそうだ。中央ちゅうおうきょうという比較的ひかくてきおおきな水路すいろわたって一本いっぽん横道よこみちはいると、みち両側りょうがわあじのある小料理こりょうりやスナックが延々えんえんのきつらねるさかえたいちかくたる。そうか、まち中心ちゅうしんはココだったのか…。もうすこさきったところに、佐賀さがじょう公園こうえん県庁けんちょうなど行政ぎょうせい中枢ちゅうすうがあるのだ。たか建物たてものいからだろうか…このまちそらがとてもひろかんじる。市街地しがいち佐賀さが平野へいや中心ちゅうしんにあるためねつ気球ききゅうさかんで世界せかい大会たいかい開催かいさいされているそうだ。佐賀さが藩主はんしゅ鍋島なべしままつよしみ神社じんじゃ松原まつばら神社じんじゃのお膝元ひざもとにあるミニシアター『THEATER CIEMA シアター・シエマ』のかんめいにあるシエマが、シネマとスペインのシエロ(=そら)をわせた造語ぞうご…というのも、そこから由来ゆらいされている。「佐賀さがそら象徴しょうちょうてきまちなんです。また、いつでも見上みあげたときそらがあるように、そんな映画えいがかんでありたい…というおもいで名付なづけました」とかたってくれたのは支配人しはいにんじゅう松恵まつえ梨子なしごさんだ。

『THEATER CIEMA シアター・シエマ』のオープンは2007ねん12月15にち。プレオープンでは“ニュー・シネマ・パラダイス”、こけらとしはアルモドバル監督かんとくの“ボルベール帰郷ききょう”が上映じょうえいされた。前身ぜんしんは1996ねんオープンの雑居ざっきょビル“セントラルプラザ”3かいにあった3スクリーンの映画えいがかん『セントラルシネマ』だ。近隣きんりんえてきたシネコンに対抗たいこうすべくげたものの残念ざんねんながら2006ねん閉館へいかん。やがて…まちなかの映画えいがかん復活ふっかつさせたいというこえ市民しみんからがりはじめた。しばらくは自主じしゅ上映じょうえいかいやシンポジウムが開催かいさいされていたものの、中心ちゅうしんって運営うんえいするじんがいない状態じょうたいつづき、常設じょうせつ映画館えいがかんまではいたらなかった。ちょうどそのとき福岡ふくおかのカフェやギャラリーで移動いどう上映じょうえい活動かつどうつづけていたげんオーナー芳賀はが英行ひでゆきとの出会であいが復活ふっかつ事業じぎょうがねとなった。「芳賀はがもずっと拠点きょてんちたいとかんがえていたのでまさ運命うんめいてき出会であいでした」そしていまでは、おおきなスクリーンがモニュメントのカフェが併設へいせつされたこの映画えいがかんおおくの市民しみんおとずれるいこいのとなった。すべてを映画えいがかんにするのではなく、中央ちゅうおう劇場げきじょうをスクリーンだけのこしてカフェにしたのは、色々いろいろひときたられる場所ばしょにしたかったから。コチラではトークショーやライブ、ワークショップなど様々さまざまなイベントがもよおされ、映画えいがファンだけではない幅広はばひろいお客様きゃくさま来場らいじょうされている。


ところが、カフェがあるおかげで、最近さいきんではいろんな目的もくてきったひとたちがおとずれるようになってくれた。「カフェは映画えいがなくても利用りようしていただきたいので、かしこまった雰囲気ふんいき敷居しきいたかくしたくないんです」と重松しげまつさんはう。空間くうかんデザインや演出えんしゅつはお洒落しゃれなのだが、公民館こうみんかんのようなさくな空気くうきながれているのは、そういうことだったか。コチラで提供ていきょうされる食事しょくじ場内じょうないへのみも(ただし混雑こんざつ予定よていどおりの時間じかん提供ていきょう出来できないのでようチェック)。場内じょうないにはテーブルせきもあるので、にちちゅう本格ほんかくてきなランチをべながら…よるはおさけみながら映画えいがれるのがうれしい。メニューもたんなる軽食けいしょくというよりも日替ひがわりランチとつきかわりのカレーにくわえ、生姜しょうがきやハンバーグの本格ほんかくメニューからシエマバーガーやホットドッグの軽食けいしょくなど充実じゅうじつしているので、時間じかんがないほう映画えいが梯子はしごをされるほうにはじつにありがたい。食事しょくじ夕方ゆうがた6くらいまで、よる飲物のみもの中心ちゅうしんとなり、9くらい(上映じょうえい終了しゅうりょう時間じかん)までオープンしている。ちなみにフロアのあちこちにかれている書籍しょせき雑貨ざっかは、常連じょうれんさんやスタッフのお友達ともだち制作せいさくされているもの。おもわずってしまいたくなるような可愛かわい小物こものばかりで、ひとつひとつながめていると、あっという時間じかんぎてしまう。

カフェの特等とくとうせき勿論もちろん実際じっさい使つかわれていたスクリーン(禁煙きんえんのライトもそのままのこされている)まえのテーブルせき本棚ほんだな映画えいが関連かんれん書籍しょせき閲覧えつらん自由じゆうなので映画えいがきにはまらない空間くうかんだ。あるひと小一時間こいちじかんほどほんんでそのままフラリとかえってく。またあるひとは、テーブルせきでひととおほんえると、今度こんどはカウンターに移動いどうしてスタッフと世間せけんばなしはじめる。そうか…ここは本当ほんとう自由じゆうなんだな…というのがかる。場内じょうない一部いちぶ座席ざせきはそのままで、ところどころに大小だいしょう様々さまざまなソファや椅子いす設置せっちしているのが、とってもユニーク。デザインも機能きのうせいことなるので自分じぶんのおりの椅子いすすわって観賞かんしょうするひとおおい。どの座席ざせきでもおな料金りょうきんなので、いているときにんけソファにゆったり一人ひとりで…なんて贅沢ぜいたくことだって出来できちゃうのだ。「本来ほんらい映画えいがかんあさからばんまでずっとられて、きなようににゅう退室たいしつ出来でき自由じゆう場所ばしょだったのに、ミニシアターが登場とうじょうしたころさかいに、やってはいけないことえてて…たとえば飲食いんしょく禁止きんしとか、映画えいが観賞かんしょうがどんどん高尚こうしょうなものになってしまった。ここが出来できたのはそんなときだったんです」元々もともと大衆たいしゅうてきなものであるはずなのに、いつのにかシネアストのための場所ばしょになってしまったのだ。



この空間くうかん利用りようしてトークショーやライブなど、上映じょうえい作品さくひん関連かんれんしたイベントが開催かいさいされているのも『THEATER CIEMA シアター・シエマ』ならではの特長とくちょうだ。「ヨガの映画えいがわせてヨガ教室きょうしつをやったところすごい人気にんきで、2かいやって両方りょうほうともおおくのほうがいらっしゃいました。また、佐賀さがにはおさけぞうがたくさんあるので、おさけ映画えいが上映じょうえいしたときには、杜氏とうじさんにてもらって…おはなしと利酒ききざけ出来できるということで、70にんちかあつまったんですよ」めずらしいところではうつわかねぎといったワークショップやアイリッシュハープや和楽わらくなどの教室きょうしつねた演奏えんそうかいなども。“この世界せかい片隅かたすみに”の音楽おんがく担当たんとうされているコトリンゴのミニライブにはおおくの観客かんきゃくめかけたそうだ。

客様きゃくさまそうとしては、カフェは若者わかもの社会しゃかいじん目立めだつが、映画えいがはシニアそうをメインとしつつも、めずらしいことに男性だんせいのお客様きゃくさまおおく、福岡ふくおかけんからもきたられるひとすくなくない。ジャンルにはこだわっていないが、土地とちがらか、ものすごくとがった映画えいがやアクション、ホラーがよわいそうだ。「そういった作品さくひんのおはなしがときすこ慎重しんちょうになりますね。作品さくひんえらときにまずかんがえるのはみなさんにこのまれる映画えいがかどうか…ということたりまえのようにこえるかもれないがじつはこれが一番いちばんむずかしい。すべての作品さくひんえらんでいる責任せきにん重圧じゅうあつはかれないものがある。「佐賀さがってどうしても公開こうかいおくれるんです。大都市だいとしでやったのちのセカンド上映じょうえいですから大体だいたい情報じょうほうはいってるので、そこでめています。でも常連じょうれんさんのほう情報じょうほうはやくて、こういうのやらないの?って、よくさきわれますね。本当ほんとうはすべて自分じぶんこのめたいところなんですけど、それではどうしてもかたよってしまうので、いろんなところからの情報じょうほうあつめてえらぶようにしています」


それでもたまに自分じぶんった映画えいがをコソッとれたりすることもあるという重松しげまつさん。東京とうきょうでヒットしたので間違まちがいない!とおもってんだ映画えいがに、お客様きゃくさままったなかった…とかたとすなんてことなん体験たいけんしてきたと苦笑くしょうする。そんな経験けいけんかえして、もなく10周年しゅうねんむかえる。「10ねんまえはわけもからず、地元じもとひとかられば余所者よそものわたしが、ここまでやってれたのも、すべてお客様きゃくさまからおしえてもらったからなんです。“この場所ばしょ映画えいがかんつくってくれてありがとう”とってくださるんですけど、わたしたちはなにもしていなくて、地元じもとほうがいてくれたからこそ。みなさんのおもいに背中せなかされて、ここまでやってれました。経験けいけんわたしがいきなり支配人しはいにんまかされるなんて、いまからかんがえるとおそろしいですよね(笑)」と重松しげまつさんはかえる。最初さいしょはおしかりをけることもあったが、最近さいきんになってようやくみとめられてた…とかんじているという。

なによりもいままでつづけられたこと一番いちばんうれしいです」だからこそ重松しげまつさんは、この映画えいがかん自分じぶんたちだけではなく、お客様きゃくさま一緒いっしょつくってきたい…とべる。「どんな映画えいがかんにしたいですか?ってよくかれるんですけど、自分じぶんえがくイメージよりもみなさんのおもいがあつまって現在げんざいかたちになったので、これからも多分たぶん、そういうふうにしてしかつづけていけないんだろうな…とおもっています。だって、わたしがこんなふうにしたいとおもってもまわりのひとたちが、それをもとめていなかったらつづかないですものね?」

取材しゅざいえてそとるとあたりはすっかりれて、ぽつりぽつりと飲屋のみやがいがともりはじめていた。ここはひるよりもよるほうにぎやかなんです…という重松しげまつさんの言葉ことばおもす。えきかってとおりをあるきながら、むかし映画えいがかんってこんな繁華はんかがいにあったよな…となつかしさがこみげてた。映画えいががえりにいたら小料理こりょうりったり…最近さいきんわか料理人りょうりにんがリーズナブルな価格かかく美味おいしい料理りょうり提供ていきょうして、女性じょせいでも気軽きがるれそうなお洒落しゃれなおみせえている。「いつもとちがわった環境かんきょう映画えいがて、まち全体ぜんたいまるごとたのしんでもらいたい」こうしたプラスαのたのしみがあるから映画えいがかん映画えいがるのをやめられないのだ。取材しゅざい:2017ねん1がつ


座席ざせき】 『スクリーン1』90せき/『スクリーン2』72せき 音響おんきょう】 『スクリーン1』DTS/『スクリーン2』SRD

住所じゅうしょ佐賀さがけん佐賀さが松原まつばら2-14-16セントラルプラザ3F 電話でんわ】0952-27-5116

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