真実しんじつ伝つたえ　反戦はんせん訴うったえる

　「赤旗あかはた」は第だい２次じ世界せかい大戦たいせん後ごも、侵略しんりゃく戦争せんそうに反対はんたいし、戦争せんそうの真実しんじつとその実態じったいを広ひろく人々ひとびとに知しらせる役割やくわりを果はたしてきました。ベトナム戦争せんそうでは、米国べいこくによるウソやでっち上あげを暴あばきました。イラク戦争せんそうでも、その違法いほう性せい、残虐ざんぎゃく性せいを批判ひはんし、戦争せんそうの即時そくじ中止ちゅうし・撤退てったいを訴うったえました。（鎌塚かまづか由美ゆみ、松本まつもと眞しん志こころざし）

違法いほう性せい・残虐ざんぎゃく性せいを批判ひはん

イラク戦争せんそう

（写真しゃしん）イラク開戦かいせんに反対はんたいして、世界せかい600以上いじょうの都市としで1000万まん人にん以上いじょうが参加さんかした反戦はんせんデモを報ほうじる2003年ねん２月がつ17日にち付づけの「赤旗あかはた」

　「赤旗あかはた」は２００３年ねん３月がつに始はじまった米べい軍ぐんを中心ちゅうしんとするイラク戦争せんそうが違法いほうで、残虐ざんぎゃくなものであることを伝つたえ続つづけました。

“ウソだった”

　イラク戦争せんそうはウソから始はじまりました。「フセイン政権せいけんの大量たいりょう破壊はかい兵器へいき保有ほゆう」が開戦かいせんの口実こうじつとされましたが、０４年ねん９月がつ、当時とうじのパウエル米べい国務こくむ長官ちょうかんが「いかなる備蓄びちくも発見はっけんされておらず、今後こんごも発見はっけんされないだろう」と議会ぎかいで証言しょうげん。戦争せんそう当事とうじ者しゃが“ウソだった”と認みとめました。

　開戦かいせんに際さいし、日本にっぽんの商業しょうぎょう紙しが戦争せんそうや武力ぶりょく行使こうしに反対はんたいできない中なか、「赤旗あかはた」は「米べい英えい、イラク攻撃こうげき強行きょうこう」と報ほうじ、「アメリカの無法むほうなイラク攻撃こうげきを糾弾きゅうだんする」と表明ひょうめい、侵略しんりゃく戦争せんそうに正面しょうめんから反対はんたいしました。１年ねん半はん後ご、ウソを認みとめたパウエル氏しの議会ぎかい証言しょうげんを１面めんトップで大おおきく報ほうじたのは、日本にっぽんの新聞しんぶんでは「赤旗あかはた」だけでした。

　イラク占領せんりょうの長期ちょうき化かは、侵略しんりゃくする側がわの矛盾むじゅんを深ふかめました。カイロ特派とくは員いんは、宗派しゅうは間あいだ対立たいりつや占領せんりょう軍ぐんへの攻撃こうげきが激化げきかするなか、米べい軍ぐんの早期そうき撤退てったいを求もとめる現地げんちの人々ひとびとの声こえを報ほうじました。

　ワシントンからは、“イラクで米べい軍ぐんは無実むじつの市民しみんを虐殺ぎゃくさつしている”と告発こくはつに立たち上あがったイラク帰還きかん兵へいの声こえをはじめ米国べいこく各地かくちで広ひろがる反戦はんせんの動うごきを伝つたえました。

　政権せいけん交代こうたいでイラクへの派兵はへいを段階だんかい的てきに撤退てったいさせるオーストラリア（０７年ねん９月がつ）や、１０００人にんの駐留ちゅうりゅう軍ぐん削減さくげんを発表はっぴょうした英国えいこく（同年どうねん１０月がつ）など、当初とうしょ３８カ国かこくだった「有志ゆうし連合れんごう」の国々くにぐにが次々つぎつぎと撤退てったいする様子ようすをつぶさに報道ほうどうし、米国べいこくの孤立こりつぶりを浮うき彫ぼりにしました。

　こうした「赤旗あかはた」の報道ほうどうについて、評論ひょうろん家か・作家さっかの故こ・加藤かとう周一しゅういちさんは高たかく評価ひょうかしていました。

　「イラク問題もんだいをめぐるあらゆる情報じょうほうが手てに取とるように分わかるのはまさに『赤旗あかはた』のみである。とりわけ地球ちきゅうを覆おおう反戦はんせんの世論せろん、デモを、その中なかで孤立こりつするブッシュ（米べい大統領だいとうりょう）と米国べいこく、それにますます追随ついずいする日本にっぽん政府せいふの姿すがたをこれほど見事みごとに包括ほうかつ的てき、持続じぞく的てきに浮うき彫ぼりにする報道ほうどうをしているのは『赤旗あかはた』だけである」

判決はんけつの根拠こんきょに

　さらに「赤旗あかはた」のイラク問題もんだい報道ほうどうは、日本にっぽんでの反戦はんせん・平和へいわのたたかいでも活用かつようされました。

　日本にっぽん政府せいふは米国べいこくの無法むほうな戦争せんそうに加担かたんし、自衛隊じえいたいを０４年ねん１月がつに派兵はへいしました。

　イラク派兵はへい差さし止とめ訴訟そしょうが全国ぜんこくで起おこり、多おおくの市民しみんが「加害かがい者しゃになりたくない｣と原告げんこくに加くわわりました｡

　０８年ねん４月がつ､名古屋なごや高裁こうさいで､航空こうくう自衛隊じえいたいがイラクで米べい軍ぐんを空輸くうゆすることは武力ぶりょく行使こうしにあたり、違憲いけんだと認みとめる画期的かっきてきな判決はんけつが出でました。

　一いち審しん、二に審しんを通とおして弁護べんご団だんが提出ていしゅつした証拠しょうこの中なかには多おおくの新聞しんぶん報道ほうどうがあり、その一角いっかくを占しめたのが｢赤旗あかはた｣でした。提出ていしゅつされた資料しりょうに占しめる日本にっぽんの新聞しんぶん報道ほうどうの５６・３％（一いち審しん）、３５・７％（二に審しん）が「赤旗あかはた」の記事きじでした。「赤旗あかはた」報道ほうどうも判決はんけつの根拠こんきょとなりました。

違憲いけん判決はんけつ導みちびく重要じゅうような役割やくわり

（写真しゃしん）裁判さいばん資料しりょうを前まえにする川口かわぐち創はじめ弁護士べんごし

　「イラク派兵はへい差さし止とめ訴訟そしょう弁護べんご団だん」事務じむ局長きょくちょうを務つとめた川口かわぐち創はじめ（はじめ）弁護士べんごしの話はなし　名古屋なごやでの提訴ていそでは、３２００人にん超ちょうとなる市民しみんが原告げんこくに加くわわり、裁判さいばんの合間あいまに勉強べんきょう会かいも開ひらき、手分てわけしながら新聞しんぶん報道ほうどうを切きり抜ぬくなどして証拠しょうこを準備じゅんびしました。

　サマワから陸上りくじょう自衛隊じえいたいが撤退てったいした０６年ねん７月がつ以降いこう、国内こくないでは報道ほうどうがパタッと減へりました。しかし、「赤旗あかはた」は、バグダッドでの米べい軍ぐんの掃討そうとう作戦さくせんをはじめ報道ほうどうし続つづけてくれた。違憲いけん判決はんけつを導みちびくうえでも重要じゅうような役割やくわりを果はたしました。

　米べい軍ぐんが中部ちゅうぶラマディを包囲ほういし、子こどもたちが学校がっこうに行いけなくなっているとの現地げんちの声こえなど、「赤旗あかはた」の立体りったい的てきな報道ほうどうが、裁判所さいばんしょを動うごかしました。米べい軍ぐんが０７年ねんの１年間ねんかんで前年ぜんねんの６倍ばいとなる１４４７回かいの空爆くうばくを行おこなっていたという記事きじは、判決はんけつ文ぶんに引用いんようされました。

　現地げんちメディアの紹介しょうかいを含ふくめ、国際こくさい的てきな情報じょうほうを国内こくないに伝つたえるという点てんでも、有志ゆうし連合れんごうに派兵はへいする他国たこくの状況じょうきょうや国際こくさい世論せろんを知しるうえでも、「赤旗あかはた」の情報じょうほう量りょうは断だんトツでした。国際こくさい報道ほうどうに加くわえて、イラク戦争せんそうで米べい軍ぐんと自衛隊じえいたいの一体化いったいかが進すすんでいるとの報道ほうどうを証拠しょうことして示しめせたことも重要じゅうようでした。

　イラク戦争せんそうをメディアはどう伝つたえたのか。われわれはイラクでどう加害かがい者しゃであったか。その実態じったいをもう一度いちど見みつめ直なおし、確認かくにんすることは、憲法けんぽう９条じょうが岐路きろに立たたされた今いま、急務きゅうむだと思おもっています。

米国べいこくのでっち上あげ暴あばく

ベトナム戦争せんそう

（写真しゃしん）「トンキン湾わん事件じけん」のウソを暴あばいた1964年ねん８月がつ６日にち付づけの「赤旗あかはた」

　ベトナム戦争せんそうは、ベトナムが１９５４年ねんにフランスの植民しょくみん地ち支配しはいを打うち破やぶった後のち、米国べいこくが同年どうねんのジュネーブ協定きょうてい合意ごういを無視むしし、南みなみベトナムに干渉かんしょうして始はじまりました。

　米国べいこくは南みなみベトナムで米国べいこくに従属じゅうぞくする政権せいけんを樹立じゅりつして解放かいほう勢力せいりょくを一掃いっそう、北きたベトナムでは大だい規模きぼ爆撃ばくげき（北きた爆ばく）によって政府せいふと国民こくみんの屈服くっぷくをもくろむ侵略しんりゃく戦争せんそうを拡大かくだいしました。全体ぜんたいで数すう百ひゃく万まんの犠牲ぎせい者しゃを出だし、第だい２次じ世界せかい大戦たいせん後ご、最大さいだい規模きぼの戦争せんそうとなりました。

　「赤旗あかはた」（当時とうじは「アカハタ」）は当初とうしょから、ベトナム戦争せんそうを侵略しんりゃく戦争せんそうと告発こくはつ。北きたベトナムの首都しゅとハノイに常駐じょうちゅう支局しきょくを設置せっちして、戦争せんそうの全ぜん過程かていを報ほうじ、米べい軍ぐんの無法むほうとベトナム人民じんみんのたたかいを世界せかいに伝つたえました。

　６４年ねん８月がつ、米国べいこくはベトナム戦争せんそうへの本格ほんかく的てき介入かいにゅうを開始かいししました。その口実こうじつにした「トンキン湾わん事件じけん」、北きたベトナムのトンキン湾わんでベトナム魚雷ぎょらい艇ていが米べい駆逐くちく艦かんを攻撃こうげきしたという事件じけんは、米べい軍ぐんによるでっち上あげでした。

侵略しんりゃくだと指摘してき

（写真しゃしん）石川いしかわ文洋ふみひろさん

　しかし日本にっぽんの商業しょうぎょう紙しはいっせいに「北きたベトナムの攻撃こうげきを確認かくにん」（「朝日あさひ」８月がつ３日にち付づけ夕刊ゆうかん）、「米べい、北きたベトナムを爆撃ばくげき　再度さいどの魚雷ぎょらい攻撃こうげきに対抗たいこう」（「読売よみうり」８月がつ５日にち付づけ）などと米べい側がわ発表はっぴょうのままの報道ほうどうを展開てんかいしました。

　これに対たいし｢赤旗あかはた｣は「米べい、北きたベトナムを公然こうぜんと武力ぶりょく攻撃こうげき　侵略しんりゃく断だんじて許ゆるさない」と事態じたいの本質ほんしつをずばり報道ほうどう。「米べい艦かん領海りょうかいに侵入しんにゅう挑発ちょうはつ　“公海こうかいでの交戦こうせん”はでたらめ」（８月がつ６日にち付づけ）と米べい側がわのウソを暴あばき、大だい規模きぼな北きたベトナム爆ばく撃げきを開始かいしした米べい軍ぐんの無法むほうを訴うったえました。

　当時とうじ、ベトナム現地げんちでカメラマンとして取材しゅざいした石川いしかわ文洋ふみひろさん（７９）は「赤旗あかはた」が米国べいこくの侵略しんりゃく的てき意図いとを早はやくから見抜みぬいていたと評価ひょうかします。

　「多おおくのメディアが米国べいこくの情報じょうほうをベースに報ほうじていた一方いっぽうで、『赤旗あかはた』は独自どくじの視点してんと取材しゅざいで北きたベトナムの『挑発ちょうはつ』を否定ひていし、米国べいこくの侵略しんりゃくとの姿勢しせいを崩くずしませんでした」

　石川いしかわさんはベトナム戦争せんそうで、世界せかいのメディアが力ちからを発揮はっきして米べい軍ぐんを撤退てったいさせる一翼いちよくを担になったと指摘してきします。

　「日本にっぽんの新聞しんぶんでは『赤旗あかはた』です。日本にっぽん共産党きょうさんとうと『赤旗あかはた』が日本にっぽんのベトナム反戦はんせん運動うんどうで大おおきな役割やくわりを果はたしたことは間違まちがいない」

世界せかいの声こえ伝つたえ

　ベトナム戦争せんそうが拡大かくだいするなかで「赤旗あかはた」は、日本にっぽんだけでなく世界中せかいじゅうで、戦争せんそうに反対はんたいする人々ひとびとの声こえを伝つたえました。たとえば「ベトナム反戦はんせんデー」の６９年ねん１０月がつ１５日にちに全米ぜんべい各地かくちで行おこなわれた数すう百ひゃく万まん規模きぼの抗議こうぎ行動こうどうについては、「あらゆる階層かいそうの人ひとびとが一ひとつになってあげた反戦はんせんの叫さけびは、ニクソン政権せいけんに『即刻そっこく撤兵てっぺい』を迫せまる巨大きょだいなコーラスとなってとどろきわたり、ホワイトハウスをゆすぶりました」と報ほうじています。

　ベトナム人民じんみんの強固きょうこな抵抗ていこうと米国べいこくや日本にっぽん、世界せかいの反戦はんせん運動うんどうの広ひろがりの中なか、米べい軍ぐんは７５年ねん４月がつ、ベトナムから撤退てったい。ベトナム人民じんみんの勝利しょうりに終おわりました。

　「赤旗あかはた」はその後ごも、米べい軍ぐんがベトナムの密林みつりんで使用しようした「枯かれ葉は剤ざい」の残虐ざんぎゃく性せいや非ひ人道じんどう性せいを告発こくはつ。侵略しんりゃくした側がわの米べい軍ぐん兵士へいしが帰国きこく後ご、心しん的てき外傷がいしょう後ごストレス障害しょうがい（ＰＴＳＤ）などに苦くるしんでいることも伝つたえています。