厚生こうせい労働ろうどう省しょうで介護かいご保険ほけんに障害しょうがいを統合とうごうすることなどを検討けんとうする「介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶ」がスタート。
障害しょうがいの統合とうごうは２〜３月がつまでに方針ほうしんが決きまります。

■第だい１回かい介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶ資料しりょう 　は介護かいご制度せいど情報じょうほうホームページにリンク掲載けいさいしています

【資料しりょう要約ようやく】

　 資料しりょう４では、障害しょうがいの「審議しんぎ会かい」や「ありかた検討けんとう会かい」での介護かいご保険ほけんに関かんする主おもな意見いけん や、障害しょうがいの審議しんぎ会かいの京極きょうごく部会ぶかい長ちょうメモが出でており、その部会ぶかい長ちょうメモでは、「障害しょうがい施策しさくに ついて、法ほう改正かいせいして介護かいご保険ほけんとの関係かんけいも含ふくめて積極せっきょく的てきに検討けんとうを進すすめるべき」とまとめ られています。
　 全体ぜんたいとして、障害しょうがい施策しさくを介護かいご保険ほけん統合とうごうについて議論ぎろんすることを求もとめるような資料しりょうに なっています。
　 この資料しりょうを作つくったスタッフは、介護かいご保険ほけんとの統合とうごう検討けんとうについて、かなり乗のり気きのよう です。
　 「介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶ」には特別とくべつに幹事かんじ会かいがおかれ、幹事かんじ会かいでは障害しょうがいと介護かいご保険ほけんの統合とうごう を検討けんとうする布陣ふじんになっています。障害しょうがいの統合とうごうが改革かいかく本部ほんぶの最さい重要じゅうよう課題かだいとなっているこ とが分わかります。

（編へん注ちゅう　介護かいご改革かいかく本部ほんぶは厚生こうせい労働省ろうどうしょう内部ないぶの職員しょくいんによる組織そしきであり、審議しんぎ会かいなどとは違ちがう。老健ろうけん局きょくだけでは検討けんとうできない課題かだいのため、特別とくべつ体制たいせいが置おかれている。介護かいご改革かいかく本部ほんぶに特別とくべつな権限けんげんは与あたえられてはいないので、障害しょうがい者しゃが介護かいご保険ほけんに入はいるかどうかは、障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部ぶで決定けっていする。）

障害しょうがい者しゃ７団体だんたいと厚労省こうろうしょう障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部ぶとの話はなし合あいの報告ほうこくについて（２００４年ねん１月がつ１６日にち）

（７団体だんたい合同ごうどう文書ぶんしょ）

　 厚生こうせい労働省ろうどうしょうが２００５年ねんの介護かいご保険ほけん法ほうの改正かいせいを踏ふまえ、各かく部局ぶきょくをまたぐ横断おうだん的てきな組織そしきとして介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶを発足ほっそくさせました。検討けんとう項目こうもくには、「介護かいご保険ほけんと障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし施策しさくの関係かんけい」もあがっており、これに対たいして、障害しょうがい者しゃ（児こ）の地域ちいき生活せいかつ支援しえんの在あり方かたに関かんする検討けんとう会かいの障害しょうがい者しゃ７団体だんたいで、障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部長ぶちょうに介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶの設置せっちについての説明せつめいを要望ようぼうし、１月がつ１６日にちに厚労省こうろうしょうから詳くわしい説明せつめいを受うけました。
　最初さいしょに塩田えんでん障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部長ぶちょうより、「昨年さくねんは支援しえん費ひ制度せいどがスタートしたという点てんで、障害しょうがい者しゃ福祉ふくし行政ぎょうせいの点てんで記念きねんすべき年としであり、課題かだいはいろいろあったが、関係かんけい者しゃの努力どりょくの結果けっか、順調じゅんちょうなスタートをきることができた。途中とちゅうで財源ざいげんが不足ふそくするという問題もんだいがおきたが、障害しょうがい者しゃ団体だんたいとも協力きょうりょくして取とり組くみ、政治せいじ家か、地方自治体ちほうじちたい、財務省ざいむしょう、厚労省こうろうしょう他た部局ぶきょくから障害しょうがい者しゃ福祉ふくしの向上こうじょうが非常ひじょうに大事だいじな課題かだいだという共感きょうかんを得えることができ、乗のり切きることができた。今年ことしは支援しえん費ひ制度せいどの二に年ねん目めに入はいり、支援しえん費ひ制度せいどが目指めざした理念りねんをこれからも末永すえながく前進ぜんしんさせていくために何なにをしたらよいかという年としであり、そのための色々いろいろな方策ほうさくを決きめていかなければいけない。」 という支援しえん費ひの一いち年ねん目めの評価ひょうかと今後こんごに向むけた話はなしがなされました。
　そして介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶについて、「介護かいご制度せいど改革かいかく本部ほんぶでは、障害しょうがい者しゃの問題もんだいについては幹事かんじ会かいを作つくって検討けんとうする。厚労省こうろうしょうとしては幹事かんじ会かいで議論ぎろんして、６月がつごろに方向ほうこう性せいを決きめる。介護かいご保険ほけんの改革かいかく案あんは９月くがつに発表はっぴょうし、様々さまざまな意見いけんを聞きいて、来年らいねんの通常つうじょう国会こっかいに法案ほうあんを出だすことになっている。」という説明せつめいがありました。
　介護かいご保険ほけんの議論ぎろんについては、「障害しょうがい者しゃの方ほうが時期じき尚早しょうそうということであるならば、今回こんかいの介護かいご保険ほけんとの話はなしは見送みおくりという結論けつろんにならざるをえない。私わたしたちの立場たちばからは障害しょうがい者しゃ団体だんたいが反対はんたいすることを持もち出だせない。６月ろくがつに向むけて、それぞれの関係かんけい者しゃで考かんがえて欲ほしい。厚労省こうろうしょうは支援しえん費ひ制度せいどを否定ひていしているのではなく、その理念りねんをどう実現じつげんしていくか、どう発展はってんさせていくかを考かんがえている。高齢こうれい者しゃの介護かいご保険ほけんに入いれてもらうのではなく、対等たいとうな気持きもちで、自分じぶんたちが介護かいご保険ほけんの仕組しくみを変かえるという、もっと前向まえむきな議論ぎろんをしていきたい。結論けつろんありきではなく、議論ぎろんをして良よい結果けっかがでなければ、介護かいご保険ほけんの話はなしはやめれば良よい。」との投なげかけがありました。
　この話はなしを受うけて、障害しょうがい者しゃ７団体だんたいで場所ばしょを移うつして協議きょうぎしたところ、非常ひじょうに重要じゅうような問題もんだいで各かく団体だんたいがこの場ばで結論けつろんをだせる問題もんだいではないので、持もち帰かえって会員かいいんに対たいして説明せつめいをし、検討けんとうしたいということになりました。また、この問題もんだいについてはしばらく重要じゅうような局面きょくめんが続つづくので、お互たがいの情報じょうほう共有きょうゆうと意見いけん交換こうかんを密みつにしたいということで、１・２月がつは１週間しゅうかんに１回かいのペースで７団体だんたいが集あつまって話はなし合あいの場ばを持もつことになり、次回じかいは検討けんとう会かいが行おこなわれる１月がつ２２日にちとすることを決きめました。
　その後ご、厚労省こうろうしょうを再度さいど訪おとずれ、村木むらき企画きかく課長かちょうに対たいして、「部長ぶちょうも、課長かちょうも、障害しょうがい者しゃ団体だんたいがノーといったらできないという部分ぶぶんを重おもく受うけとめた」、「持もち帰かえって団体だんたいとして検討けんとうするために、今後こんごの検討けんとうのスケジュール、検討けんとう内容ないよう、項目こうもくなどについて情報じょうほうを頂いただきたい」、「支援しえん費ひ制度せいどによって地域ちいき生活せいかつが一定いってい進すすんできた。障害しょうがい者しゃの地域ちいき生活せいかつの拡充かくじゅうということがさらに必要ひつよう」「次回じかい検討けんとう会かいの後のちに再度さいど障害しょうがい者しゃ７団体だんたいが集あつまるので、厚労省こうろうしょうとも各かく団体だんたいが持もち帰かえって検討けんとうした内容ないようについて話はなしをしたい」ということで申もうし入いれをしました。これについては、企画きかく課長かちょうが預あずかり、日程にってい調整ちょうせいをして連絡れんらくをもらえることになっています。

（７団体だんたい合同ごうどう文書ぶんしょは以上いじょう）

（１月がつ２２日にち情報じょうほう　２２日にちは午前ごぜん中ちゅうに「障害しょうがい者しゃの地域ちいき生活せいかつ支援しえんに関かんするあり方かた検討けんとう会かい」が行おこなわれ、午後ごごに、あり方かた検討けんとう会かい参加さんか７団体だんたいに加くわえて、精神せいしん障害しょうがい者しゃの家族かぞく団体だんたいである全ぜん家いえ連れんや知的ちてき障害しょうがい者しゃの当事とうじ者しゃ団体だんたいのピープルファースト東京とうきょうなどが加くわわり、課長かちょうと懇談こんだんが行おこなわれ、現状げんじょうの状況じょうきょうが説明せつめいされ、今後こんごの議論ぎろんの進すすめ方かたについて意見いけんが交換こうかんされました。）

＊三位一体さんみいったい改革かいかくの動向どうこうの資料しりょうは、1/22の検討けんとう会かい資料しりょう1-1の　４ページに掲載けいさいされています。介護かいご制度せいど情報じょうほうホームページよりリンクしています。

介護かいご保険ほけん情勢じょうせいの解説かいせつ

　介護かいご保険ほけんは財政ざいせい悪化あっかで、２０歳さい（または３０歳さい）からの保険ほけん料りょう徴収ちょうしゅうが決きまるのは避さけられない情勢じょうせいです。介護かいご保険ほけん法ほうでは５年ねんごとに大おおきな法ほう改正かいせいをすることになっているので、２００５年ねんの改正かいせいを逃のがすと、次回じかいは２０１０年ねんになってしまい、それまで保険ほけん料りょうの徴収ちょうしゅう年齢ねんれいが今いまのままでは介護かいご保険ほけん財政ざいせいが破綻はたんする恐おそれがあるからです。厚生こうせい労働省ろうどうしょうの障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部長ぶちょうなど幹部かんぶ（昨年さくねん異動いどう）はこの機会きかいを逃のがすと、障害しょうがい福祉ふくし施策しさくに予算よさんを確保かくほする機会きかいを逃のがし、精神せいしん障害しょうがい者しゃの７２０００人にんの地域ちいき移行いこうや小規模しょうきぼ作業さぎょう所しょの問題もんだいの解決かいけつの機会きかいをのがしてしまうと考かんがえています。
　現在げんざいは４０歳さい以上いじょうが介護かいご保険ほけん料りょうを支払しはらっていますが、これが２０歳さいからの徴収ちょうしゅうになると、財源ざいげんはいくら増ふえるのでしょうか。全国ぜんこくの２０〜３９歳さいの人口じんこうは３４１１万まん人にんです。介護かいご保険ほけんの４０〜６４歳さいの保険ほけん料りょうは平均へいきん月がつ約やく２０００円えん（２号ごう保険ほけん料りょうは収入しゅうにゅうに応おうじて違ちがう）です。２０〜３９歳さいの場合ばあいは給与きゅうよ水準すいじゅんが低ひくいので平均へいきん１０００〜１５００円えんの保険ほけん料りょうになると想定そうていされます。すると、２０〜３９歳さいの保険ほけん料りょう総額そうがくは、約やく４０００億おく円えん〜６０００億おく円えんとなります。
　もし、障害しょうがい者しゃが介護かいご保険ほけんに入はいった場合ばあい、介護かいご保険ほけんは公費こうひ負担ふたんが２分ぶんの１ですので、税金ぜいきんが４０００億おく円えん〜６０００億おく円えん投入とうにゅうされることになり、その資金しきんは障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部ぶ管轄かんかつから介護かいご保険ほけん特別とくべつ会計かいけい（老健ろうけん管轄かんかつ局きょく）に移動いどうします。（国くに予算よさんが２０００〜３０００億おく円えん、都道府県とどうふけん+市町村しちょうそん予算よさんが２０００〜３０００億おく円えん移動いどうする）。
　すると、国くにの障害しょうがい支援しえん費ひ予算よさんは３４７３億おく円えん（１６年度ねんど）ですので、多おおめに見積みつもると、このうち３０００億おく円えんが介護かいご保険ほけん特別とくべつ会計かいけいに移動いどうしてしまうことになります。残のこりは約やく５００億おく円えん弱じゃくです。この残額ざんがくをヘルパー予算よさんの上乗うわのせ時間じかん用ようの予算よさん（２階かい建だてヘルパー制度せいど）にできるかどうかですが、簡単かんたんにできるかどうかは、いまだはっきりわかりません。

介護かいご保険ほけんの財源ざいげん（現状げんじょう）

支援しえん費ひ制度せいどの財源ざいげん（現状げんじょう）

障害しょうがいが介護かいご保険ほけんに入はいると非常ひじょうに大おおきな問題もんだい点てんが

　介護かいご保険ほけん本体ほんたいはかなりの財政難ざいせいなんで、今後こんご、団塊だんかいの世代せだいが老人ろうじんになるので、現在げんざい約やく５兆ちょう円えんの介護かいご保険ほけん規模きぼが今後こんご、２０兆ちょう円えん以上いじょう必要ひつようになっていくと想定そうていされています。このため、老健ろうけん局きょく担当たんとうの介護かいご保険ほけん自体じたいを「上限じょうげんなし」に変更へんこうするのはかなり厳きびしい状況じょうきょうです。
　現状げんじょうで可能かのう性せいがあるのは、現状げんじょうのままの制度せいど上限じょうげんの介護かいご保険ほけんヘルパーが１階かいとすると、障害しょうがいヘルパーを２階かいとする方式ほうしきだと考かんがえられます。これならば、障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部ぶだけの決定けっていでほぼ実現じつげんできるからです。（それでも、困難こんなんは多おおい）。しかし、この解決かいけつ方法ほうほうでも、以下いかのような大おおきな問題もんだいが発生はっせいします。

�@　２４時じ間あいだ/日にちのヘルパー時間じかんが出でている市しでは・・・・・（介護かいご保険ほけんヘルパーが１階かいとすると、障害しょうがいヘルパーを２階かいとすることで、現状げんじょうと同おなじ制度せいど利用りようが可能かのう）

�A　３時じ間あいだ/日にち以下いかのヘルパー利用りよう者しゃしかいない市町村しちょうそんでは・・・・（介護かいご保険ほけんヘルパーだけが残のこり、障害しょうがいヘルパー予算よさんは消滅しょうめつする。3300市町村しちょうそんの9割わりがこうなる）

3300市町村しちょうそんの9割わりの市町村しちょうそんで
1日にち３時間じかん以上いじょう介護かいごの必要ひつような障害しょうがい者しゃは施設しせつから出でられない地域ちいきになり、将来しょうらいも固定こてい化か。
（介護かいご保険ほけんでは身体しんたい介護かいご1時じ間あいだ4000円えん×3回かい×30日にち＝36万まん円えん。1日にち3時じ間あいだで上限じょうげん突破とっぱする。現在げんざい、支援しえん費ひヘルパー利用りよう者しゃ全員ぜんいんがこの水準すいじゅん以下いかの市町村しちょうそんでは、介護かいご保険ほけんだけが残のこり、上乗うわのせ部分ぶぶんの障害しょうがいヘルパー予算よさんは消滅しょうめつする。消滅しょうめつした予算よさんが復活ふっかつすることは財政難ざいせいなんの中なかで非常ひじょうに難むずかしい。これらの市町村しちょうそんで5年ねん後ごに施設しせつから自立じりつ希望きぼう者しゃが出でても、障害しょうがいヘルパー予算よさんは０なので、3時間じかん以上いじょう介護かいごが必要ひつような障害しょうがい者しゃは施設しせつから出でられない）

毎年まいとしヘルパー制度せいどは伸のびてきているが、上記じょうきの地域ちいきでは、今後こんご一切いっさい伸のびなくなる
　たとえば、1日にち16時じ間あいだの介護かいごが必要ひつような障害しょうがい者しゃが、施設しせつから自立じりつ希望きぼうが出でたり、介護かいごしていた親おやが死亡しぼうした場合ばあいには、現在げんざいは、小規模しょうきぼ市町村しちょうそんでもヘルパー時間じかん数すうが1日にち８〜16時じ間あいだに伸のびている。これは、数すう千せん万まん円えんの予算よさん規模きぼがあるから。1日にち16時じ間あいだのヘルパーが決定けっていされるには、年間ねんかん1000万まんの予算よさんが必要ひつよう。補正ほせい予算よさんを組くむ必要ひつようがある。予算よさん規模きぼが年間ねんかん数すう十じゅう万まん円えん以下いかや0円えんの市町村しちょうそんでは無理むり。しかも、介護かいご保険ほけんに障害しょうがいが入はいると、少すくなくとも介護かいご保険ほけんで「一いち階かい部分ぶぶん」が保障ほしょうされているという理由りゆうで、「二に階かい部分ぶぶん」が予算よさん化かされる可能かのう性せいは極きわめて少すくなくなる。

この問題もんだいを含ふくめ、介護かいご保険ほけんに障害しょうがい施策しさくが統合とうごうされると、以下いかのようなさまざまな問題もんだいが発生はっせいします。

（１）ヘルパー時間じかん上限じょうげん問題もんだい（最さい重要じゅうよう問題もんだい）
　　　介護かいご保険ほけんでは最高さいこうの要よう介護かいご５でも身体しんたい介護かいご1日にち３時じ間あいだが上限じょうげん。（深夜しんやなら１日にち２時じ間あいだが上限じょうげん）。介護かいご保険ほけんと支援しえん費ひヘルパーの２階かい建だて方式ほうしきでは、９割わりの市町村しちょうそんで介護かいご保険ほけんの1日にち３時じ間あいだの上限じょうげんが、全ぜん制度せいどの上限じょうげんになる。しかも今後こんご、制度せいどは伸のびなくなる。日本にっぽんのほとんどの地域ちいきで施設しせつから出でられない世よの中なかになる。

介護かいご保険ほけんでは、１日にち３時じ間あいだ＝月つき９０時じ間あいだ程度ていどの上限じょうげんがある。現在げんざい、１人ひとり暮くらしの全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃがいない９割わりの市町村しちょうそんでは、月つき９０時間じかん以下いかのヘルパー利用りよう実績じっせきしかないので、介護かいご保険ほけんに統合とうごうすると、介護かいご保険ほけんだけで介護かいご需要じゅようが充足じゅうそくする。このため、介護かいご保険ほけんと支援しえん費ひヘルパーの２階かい建だて制度せいどが（困難こんなんを乗のり越こえて）実施じっしされたとしても、２階かい建だて制度せいどが実施じっしされるのは、東京とうきょうや大阪おおさかなど１部ぶの都市とし部ぶだけにとどまる。９割わりの地方ちほうの市町村しちょうそんでは、上乗うわのせ用ようの障害しょうがいヘルパー予算よさんは必要ひつようなくなり、廃止はいしされる。また、２階かい建だて障害しょうがいヘルパー利用りよう者しゃ１人にん程度ていどの市しでは、年間ねんかん予算よさんが数すう十じゅう万まん円えんという、きわめて小ちいさい予算よさんの制度せいどになってしまう。こうなった場合ばあい、数すう年ねん後ごに重度じゅうど全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃの同居どうきょ家族かぞくが死亡しぼうした場合ばあい、または、施設しせつに入はいっている重度じゅうど障害しょうがい者しゃが自立じりつを希望きぼうした場合ばあい、その市町村しちょうそんには、２階かい部分ぶぶんの支援しえん費ひヘルパー予算よさんは０か、きわめて少すくないので、必要ひつようなヘルパー時間じかんが決定けっていされることはできなくなる。（０や数すう十じゅう万まん円えんの予算よさんの制度せいどを、補正ほせいで１０００万まん円えん予算よさんにすることは不可能ふかのう）。市町村しちょうそんの財政ざいせい部ぶや理事りじ者しゃや議会ぎかいは、１階かい部分ぶぶんの介護かいご保険ほけんだけで十分じゅうぶんと判断はんだんし、支援しえん費ひヘルパー予算よさんを大おおきく増ふやす補正ほせいを許可きょかしなくなる。この結果けっか、毎年まいとし、順調じゅんちょうに伸のびてきていた障害しょうがいヘルパー制度せいどは今後こんごは伸のびることはなくなる。日本にっぽんの９割わりの地域ちいきでは、３時間じかん以上いじょう介護かいごの必要ひつような障害しょうがい者しゃは施設しせつから永久えいきゅうに地域ちいきに自立じりつすることはできなくなってしまう。

（２）介護かいご保険ほけんの５０％公費こうひ負担ふたんの予算よさんに、支援しえん費ひの全ぜん予算よさんが吸収きゅうしゅうされ、上乗うわのせヘルパー予算よさん自体じたいが消滅しょうめつする可能かのう性せいも大おおきい

そもそも、２階かい建だて制度せいどにすること自体じたいが、かなり難むずかしい。その上うえ、すべての市町村しちょうそんに強制きょうせいすることは不可能ふかのう。　

（３）要よう介護かいご認定にんてい（アセスメント）の問題もんだい

　知的ちてき・精神せいしん・聴覚ちょうかく・視覚しかく・内部ないぶ障害しょうがいは、介護かいご保険ほけんの要よう介護かいご認定にんていでは多おおくが自立じりつになってしまう。別べつ項目こうもくで判定はんていするアセスメントが必要ひつよう。
　しかし、多おおくの老人ろうじんは肢体したい障害しょうがいである。同おなじ障害しょうがいである若わかい肢体したい障害しょうがい者しゃは現在げんざいの介護かいご保険ほけんの判定はんてい方法ほうほうを使つかうしかない。介護かいご保険ほけんの肢体したい不自由ふじゆうむけの判定はんていは、施設しせつでの介護かいご職員しょくいんから受うける介護かいご時間じかんを基もとに算定さんていされているため、いつあるかわからない「緊急きんきゅう事態じたい」や「トイレ」や「物ものを取とる」ために介護かいご者しゃが見守みまもり待機たいきすることが必要ひつような時間じかん数すうが反映はんえいされない。１５分ふんおきの車椅子くるまいすの上うえでの褥しとね瘡かさ防止ぼうしの体位たいい交換こうかんなども必要ひつよう性せいが時間じかんに反映はんえいされない。
　このため、障害しょうがい者しゃの在宅ざいたく生活せいかつで、健常けんじょう者しゃ家族かぞくとの同居どうきょの場合ばあいに、家族かぞくの介護かいごも足たし合あわせて何なにとか生活せいかつできる水準すいじゅんでしか、介護かいご保険ほけんはサービスが提供ていきょうされない。
　また、介護かいご保険ほけんは１人にん暮くらしでもヘルパー時間じかん数すうが増ふえない。１人ひとり暮くらしの場合ばあいなどは別べつのアセスメント方式ほうしきが必要ひつよう。

（４）要よう介護かいご３・４の人ひとは十分じゅうぶん上乗うわのせできるか？

　旧きゅう全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃ介護かいご人じん派遣はけん事業じぎょうの対象たいしょう者しゃ（特別とくべつ障害しょうがい者しゃ手当てあて受給じゅきゅう者しゃで１人にん暮くらしなどが対象たいしょうで、東京とうきょうでは毎日まいにち８〜２４時じ間あいだが決定けっていされている）でも、要よう介護かいご２・３・４の人ひとはかなりいる。たとえば、食事しょくじが自分じぶんでできる場合ばあいは、要よう介護かいご４以下いかになる。要よう介護かいごが５でない場合ばあいに、十分じゅうぶんな上乗うわのせが受うけられるかどうか、疑問ぎもんがある。特とくに制度せいど利用りよう者しゃの少すくない地方ちほうの市町村しちょうそんでは要よう介護かいご５でないと上乗うわのせを認みとめない運用うんようになる可能かのう性せいが高たかい。

（５）ヘルパー資格しかく問題もんだい　（日常にちじょう生活せいかつ支援しえんなど）

　現在げんざい日常にちじょう生活せいかつ支援しえん毎日まいにち８時じ間あいだの利用りよう者しゃの場合ばあい、このうち３時じ間あいだが介護かいご保険ほけんヘルパーに切きり替かわった場合ばあい、なれた介護かいご者しゃは日常にちじょう生活せいかつ支援しえんの資格しかくしか持もっていないが、どうするか。介護かいご者しゃは平均へいきん２〜３年ねん程度ていどで退職たいしょくするので、無む資格しかく者しゃを求人きゅうじんして補充ほじゅうが必要ひつようで、面接めんせつ採用さいよう後ごに２日にちで受講じゅこうできる日常にちじょう生活せいかつ支援しえんの研修けんしゅうを受うけさせている。（無む資格しかく者しゃの求人きゅうじんでないと、求職きゅうしょく者しゃが少すくないため、男性だんせいヘルパーで休日きゅうじつ・夜間やかん・早朝そうちょう・とまり介護かいごができ、正月しょうがつも働はたらけ、きちんとした介護かいごのできる人材じんざいは確保かくほできない。）２〜３級きゅうヘルパー研修けんしゅうはなかなか受講じゅこう機会きかいがない。

（６）セルフケアプランが事実じじつ上じょう不可能ふかのうになる問題もんだい

　支援しえん費ひ制度せいどでは、自分じぶんで自分じぶんの計画けいかくを決きめる制度せいどであるので、ヘルパーが時間じかん変更へんこうに対応たいおうできる限かぎり、毎日まいにち、障害しょうがい者しゃが、仕事しごとなどの終おわる時間じかんに合あわせてヘルパー利用りよう予定よていを変かえることも可能かのう。しかし、介護かいご保険ほけんでは、このようなことは不可能ふかのう。介護かいご保険ほけんでも、自己じこプラン制度せいどはあるが、多おおくの市町村しちょうそんは認みとめていない。しかも、自分じぶんで点数てんすう計算けいさんして複雑ふくざつな書類しょるいを毎月まいつき市町村しちょうそんに提出ていしゅつする能力のうりょくがある障害しょうがい者しゃ以外いがいは、自己じこプランは選択せんたくできない。また、その能力のうりょくがあっても、市町村しちょうそんに毎日まいにち変更へんこうされたケアプランを（点数てんすう計算けいさんして）出だしに行いくことは不可能ふかのう。現在げんざいの介護かいご保険ほけん制度せいどでは、９９％の障害しょうがい者しゃがケアマネージャーを利用りようするしかない。

（７）介護かいご保険ほけんのケアマネージャーに管理かんりされる

　支援しえん費ひでは毎月まいつき・毎週まいしゅう・毎日まいにち、障害しょうがい者しゃが自分じぶんの予定よていを変かえることが可能かのうだが、介護かいご保険ほけんではプラン変更へんこうのたびにケアマネージャーの許可きょかを受うけなくてはいけないため、迅速じんそくなプラン変更へんこうが不可能ふかのうになる。そのほか、ケアマネージャーにさまざまな管理かんりをされ使つかい勝手がってが悪わるくなる。これは、現在げんざい介護かいご保険ほけん利用りようをしているＡＬＳの障害しょうがい者しゃなどで、実証じっしょうされている。ケアマネージャーを使つかうか、ケアコンサルタントを使つかうか、選択せんたくできるようにすべきである。（ケアコンサルタントとは、支援しえん費ひと同様どうように、障害しょうがい者しゃは利用りよう希望きぼう時間じかんを毎日まいにち変かえることが可能かのうで、ケアコンサルタントは社会しゃかい資源しげんの情報じょうほう提要ていようや制度せいどの仕組しくみの情報じょうほう提供ていきょうや保険ほけん点数てんすう計算けいさんの補助ほじょのみを行おこない、管理かんり権限けんげんはない。）

（８）介護かいご保険ほけんでは健常けんじょう者しゃ家族かぞく同居どうきょの場合ばあい、家事かじ援助えんじょや窓まど拭ふきなどの規制きせいがある

　障害しょうがいヘルパーでは家事かじ援助えんじょの規制きせいはなく、健常けんじょう者しゃの家族かぞくが同居どうきょしている場合ばあいでも、障害しょうがい者しゃが自立じりつして生活せいかつするのに必要ひつようなヘルパー時間じかんが決定けっていされるが、介護かいご保険ほけんでは健常けんじょう者しゃ家族かぞくがいる場合ばあいは、家事かじ援助えんじょが利用りようできない（多おおくの市町村しちょうそんの介護かいご保険ほけん課かはそういう運用うんようを行おこなっている）。子育こそだて支援しえんや草くさ抜ぬきや窓まど拭ふきも障害しょうがいヘルパーでは可能かのうだが、介護かいご保険ほけんでは禁止きんしされている。

（９）入院にゅういん時じのヘルパーの問題もんだい

　支援しえん費ひの障害しょうがいヘルパーでは自治体じちたいが認みとめれば、（国庫こっこ補助ほじょを使つかわずに）全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃが一時いちじ入院にゅういん中ちゅうもヘルパーを利用りようできる。（東京とうきょう都と、札幌さっぽろ市し、さいたま市しなどで実績じっせきあり）。１日にち２４時じ間あいだ介護かいごが必要ひつような障害しょうがい者しゃの１日にち３時じ間あいだが介護かいご保険ほけんヘルパーになると、３時じ間あいだ分ぶんはこのような措置そちがなくなる。介護かいご保険ほけんは国くにの縛しばりが大おおきく、障害しょうがい者しゃ団体だんたいの交渉こうしょうによる制度せいど改善かいぜんが不可能ふかのう。諸しょ外国がいこくでは重度じゅうど障害しょうがい者しゃの入院にゅういん中ちゅうのヘルパー利用りようが認みとめられているので、国くにとの交渉こうしょうで今後こんご少すこしずつ実現じつげんしていく可能かのう性せいがあるが、介護かいご保険ほけんに入はいると、その道みちは閉とざされる。