(Translated by https://www.hiragana.jp/)
障害者総合福祉法の

 

 

 

 

 

 

 

 

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう

骨格こっかくかんする総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい提言ていげん

 

 

 新法しんぽう制定せいてい目指めざて−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成へいせい23(2011)とし8つき30

さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい

 

 

                       

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73

 

 

・・・・・・・・・・79

・・・・・・ 81

・・・・・・・・・・ 85

 

・・・・・・・・・・ 87

 

・・・・・・・・・・ 90

・・・・・・・・・・ 92

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 111

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121

 

 

 

 

 

 
( つぎ)

 

はじめに

 

T.障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう骨格こっかく提言ていげん

1.ほう理念りねん目的もくてき範囲はんい  

2.障害しょうがい(もの)範囲はんい  

3.選択せんたく決定けってい(支給しきゅう決定けってい)  

4.支援しえん(サービス)体系たいけい  

5.地域ちいき移行いこう  

6.地域ちいき生活せいかつ資源しげん整備せいび  

7.利用りようしゃ負担ふたん  

8.相談そうだん支援しえん  

9.権利けんりようまもる  

10報酬ほうしゅう人材じんざい確保かくほ  

 

U.障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいてい実施じっしへの道程どうてい

1.障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう事業じぎょう体系たいけいへの移行いこう問題もんだい  

2.障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていおよ実施じっしまでにおこなうべき課題かだい 

3.障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう円滑えんかつ実施じっし  

4.財政ざいせいのありかた

(1) 障害しょうがい福祉ふくし予算よさん

(2) 支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる

                         支給しきゅう決定けってい実現じつげん可能かのうせい  

(3) 長時間ちょうじかん介助かいじょとう地域ちいき生活せいかつ支援しえんのための財源ざいげん措置そち  

 

V.関連かんれんするほか法律ほうりつ分野ぶんやとの関係かんけい

1.医療いりょう  

2.障害しょうがい  

3.労働ろうどう雇用こよう  

4.その  

 

おわりに  

  

                      添付てんぷ資料しりょう (委員いいん名簿めいぼとう)


はじめに

■ 総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい背景はいけい経過けいか

平成へいせい21(2009)とし12つき障害しょうがいしゃ権利けんりかんする条約じょうやく以下いか、「障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく」という)の締結ていけつ必要ひつよう国内こくないほう整備せいびはじめとする障害しょうがいしゃかか制度せいど集中しゅうちゅうてき改革かいかく目的もくてきとして「さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん本部ほんぶ」が設置せっちされ、このもとで、障害しょうがいしゃ施策しさく推進すいしんかんする意見いけんをまとめる「さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ(以下いか推進すいしん会議かいぎ」という)発足ほっそくしました。

 

このことは、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく基本きほん精神せいしんである「わたしたちきにわたしたちのことをめるな!」(Nothing about us without us)まえた政策せいさく立案りつあん作業さぎょう開始かいし意味いみします。

平成へいせい22(2010)とし4つきには、この推進すいしん会議かいぎしたに、障害しょうがいしゃ障害しょうがいしゃ家族かぞく事業じぎょうしゃ自治体じちたい首長しゅちょう学識がくしき経験けいけんしゃとう55からなる「さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい(以下いか総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい」という)もうけられました。

  

さらには、平成へいせい22(2010)とし6つき29にち政府せいふ閣議かくぎ決定けっていおこない、推進すいしん会議かいぎの「だいいち意見いけん」を最大限さいだいげん尊重そんちょうし「障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしんのための基本きほんてき方向ほうこうについて」をさだめました。そのなかで、とくに「『障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう(仮称かしょう)制定せいてい」にかんしては、

応益おうえき負担ふたん原則げんそくとする現行げんこう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう(平成へいせい17とし法律ほうりつだい123ごう)廃止はいしし、制度せいど谷間たにまのない支援しえん提供ていきょう個々ここのニーズにもとづいた地域ちいき生活せいかつ支援しえん体系たいけい整備せいびとう内容ないようとする「障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう(仮称かしょう)制定せいていけ、だいいち意見いけん沿って必要ひつよう検討けんとうおこない、平成へいせい24とし常会じょうかいへの法案ほうあん提出ていしゅつ25とし8つきまでの施行しこう目指めざす。」

さだめられました。

 

こうして総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていけた検討けんとうという使命しめい背負せおって18かい検討けんとうかさねてきました。

  だい1かい3かい(平成へいせい22(2010)とし4つき6つき)では「さわがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう(仮称かしょう)制定せいていまでのあいだにおいて当面とうめん必要ひつよう対策たいさくについて」の議論ぎろんおこない、「利用りようしゃ負担ふたん見直みなおし」などをふくむ「当面とうめん課題かだい」の要望ようぼうしょをまとめました。

  だい4かい7かい(6つき9つき)では、9分野ぶんや30項目こうもく91てんの「論点ろんてん」を整理せいりし、それに沿って議論ぎろん共通きょうつう理解りかいはかりました。

  だい8かい15かい(10つき平成へいせい23(2011)とし6つき)では、複数ふくすう作業さぎょうチームにかれて議論ぎろん検討けんとうおこないました。これらの作業さぎょうチームに参加さんかした構成こうせいいん精力せいりょくてき検討けんとう成果せいかは「部会ぶかい作業さぎょうチーム報告ほうこく合同ごうどう作業さぎょうチーム報告ほうこくとしてまとめられています。なおかくチーム報告ほうこくたいして、厚生こうせい労働省ろうどうしょうからのコメントがされています。

だい16かい18かい(7つき8つき)では、これまでの議論ぎろんまえ、「障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう骨格こっかくかんする総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい提言ていげん(以下いか骨格こっかく提言ていげん)けて議論ぎろんをまとめる作業さぎょうおこないました。

 

■ 骨格こっかく提言ていげん基礎きそとなった2つの指針ししん

  総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい55ひと立場たちば意見いけん多様たようですが、つぎ2つの文書ぶんしょ前提ぜんていとして検討けんとう作業さぎょうおこなってきました。それは、平成へいせい18(2006)とし国連こくれん採択さいたくした「障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく」、そして、平成へいせい22(2010)とし1つきくに(厚生こうせい労働省ろうどうしょう)障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう訴訟そしょう原告げんこく(71)とのあいだむすばれた「基本きほん合意ごうい文書ぶんしょ」です。

これらの文書ぶんしょは、総合そうごう福祉ふくし部会ぶかいが、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう骨格こっかくをまとめるにさいし、基本きほんてき方向ほうこうしめすなど重要じゅうよう役割やくわりたしました。

 

()障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく

  この条約じょうやくは、すべての障害しょうがいしゃによるあらゆる人権じんけんおよ基本きほんてき自由じゆう完全かんぜんかつ平等びょうどう享有きょうゆう促進そくしんし、保護ほごし、およ確保かくほすることならびに障害しょうがいしゃ固有こゆう尊厳そんげん尊重そんちょう促進そくしんすることなどを目的もくてきとしています。

 

 とくに、だい5じょう(平等びょうどうおよ差別さべつされないこと)において、合理ごうりてき配慮はいりょ確保かくほもとめられています。

また、だい19じょうでは、「すべての障害しょうがいしゃもの平等びょうどう選択せんたく機会きかいをもって地域ちいき社会しゃかい生活せいかつする平等びょうどう権利けんりみとめる」とし、

(a) 障害しょうがいしゃが、もの平等びょうどうに、居住きょじゅう選択せんたくし、およびどこでだれ生活せいかつするかを選択せんたくする機会きかいゆうすることならびに特定とくてい居住きょじゅう施設しせつ生活せいかつする義務ぎむわないこと。」

(b) 地域ちいき社会しゃかいにおける生活せいかつおよ地域ちいき社会しゃかいへの受入うけいれを支援しえんし、ならびに地域ちいき社会しゃかいからの孤立こりつおよ隔離かくり防止ぼうしするために必要ひつよう在宅ざいたくサービス、居住きょじゅうービスその地域ちいき社会しゃかい支援しえんサービス(人的じんてき支援しえん[personal assistance]ふくむ。)障害しょうがいしゃ利用りようすることができること。」

締約ていやくこく確保かくほするとしています。

  このように条約じょうやくは、保護ほご客体かくたいとされた障害しょうがいしゃ権利けんり主体しゅたいへと転換てんかんし、インクルーシブな共生きょうせい社会しゃかい創造そうぞうすることをめざしています。

 

()基本きほん合意ごうい文書ぶんしょ

  この文書ぶんしょでは、

くに(厚生こうせい労働省ろうどうしょう)は、すみやかに応益おうえき負担ふたん(定率ていりつ負担ふたん)制度せいど廃止はいしし、おそくとも平成へいせい25とし8つきまでに、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう廃止はいしあらたな総合そうごうてき福祉ふくし法制ほうせい実施じっしする。そこにおいては、障害しょうがい福祉ふくし施策しさく充実じゅうじつは、憲法けんぽうとうもとづく障害しょうがいしゃ基本きほんてき人権じんけん行使こうし支援しえんするものであることを基本きほんとする。」

(障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう、とくに応益おうえき負担ふたん制度せいどなどが)障害しょうがいしゃ人間にんげんとしての尊厳そんげんふかきずつけたことにたいし、・・しんから反省はんせい表明ひょうめいする」

「・・あらたな福祉ふくし制度せいど構築こうちくたっては、現行げんこう介護かいご保険ほけん制度せいどとの統合とうごう前提ぜんていとはせず・・」

今後こんご障害しょうがい福祉ふくし施策しさくを、障害しょうがいのある当事とうじしゃ社会しゃかい対等たいとう一員いちいんとして安心あんしんしてらすことのできるものとするために最善さいぜんくす」

などが確認かくにんされ、利用りようしゃ負担ふたん支給しきゅう決定けってい報酬ほうしゅう支払しはら方式ほうしき、「障害しょうがい」の範囲はんい予算よさんぞうなどについて原告げんこくらの指摘してきまえてしっかり検討けんとうするとしています。 

 

■ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうがめざすべき6つのポイント

ほん骨格こっかく提言ていげん以上いじょう経過けいか指針ししんしたに、つぎ6つの目標もくひょう障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうもとめました。

 

【1】障害しょうがいのない市民しみんとの平等びょうどう公平こうへい

  障害しょうがいしゃ障害しょうがいのないひと生活せいかつ水準すいじゅんらしぶりをくらべるとき、そこにはおおきなへだたりがあります。障害しょうがいだれにでもこりうるという前提ぜんていち、障害しょうがいがあっても市民しみんとして尊重そんちょうされ、ほこりをって社会しゃかい参加さんかするためには、平等びょうどうせい公平こうへいせい確保かくほなによりの条件じょうけんとなります。障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうがこれを裏打うらうちし、障害しょうがいしゃにとって、そして障害しょうがいのない市民しみんにとってもあらたな社会しゃかい到来とうらい実感じっかんできるものとします。

 

【2】谷間たにま空白くうはく解消かいしょう

  障害しょうがい種類しゅるいによっては、障害しょうがいしゃ福祉ふくし施策しさくけられないひとがたくさんいます。いわゆる制度せいど谷間たにまかれているひとたちです。また制度せいどあいだ空白くうはくは、学齢がくれいでの学校がっこう生活せいかつ放課後ほうかご卒業そつぎょう就労しゅうろう退院たいいん地域ちいきでの生活せいかつはたらまい、家庭かていでの子育こそだてやおや介助かいじょ消費しょうひ生活せいかつなど、いろいろな場面ばめん発生はっせいしています。障害しょうがい種別しゅべつあいだ谷間たにま制度せいどあいだ空白くうはく解消かいしょうはかっていきます。

 

【3】格差かくさ是正ぜせい

  障害しょうがいしゃのためのまいやはたらひとによるささえなどの環境かんきょうは、地方自治体ちほうじちたい財政ざいせい事情じじょうなどによって、質量しつりょうともにおおきくことなっています。また、障害しょうがい種別しゅべつあいだ制度せいど水準すいじゅんについてもおおきなへだたりがあります。どこにらしをきずいても一定いってい水準すいじゅん支援しえんけられるよう、地方自治体ちほうじちたいあいだ限度げんど合理ごうりせいくような格差かくさについての是正ぜせいをめざします。

 

【4】放置ほうちできない社会しゃかい問題もんだい解決かいけつ

 世界せかいでノーマライゼーションがすすむなか、わがくにでは依然いぜんとしておおくの精神せいしん障害しょうがいしゃが「社会しゃかいてき入院にゅういん」をつづけ、知的ちてき重複じゅうふく障害しょうがいしゃとう地域ちいきでの支援しえん不足ふそくによる長期ちょうき施設しせつ入所にゅうしょ余儀よぎなくされています。また、公的こうてきサービスの一定いっていひろがりにもかかわらず障害しょうがいしゃへの介助かいじょだい部分ぶぶん家族かぞく依存いぞんしている状況じょうきょうつづいています。これらを解決かいけつするために地域ちいきでの支援しえん体制たいせい確立かくりつするとともに、効果こうかてき地域ちいき移行いこうプログラムを実施じっしします。

 

【5】本人ほんにんのニーズにあった支援しえんサービス

  障害しょうがい種類しゅるい程度ていど年齢ねんれい性別せいべつとうによって、個々ここのニーズや支援しえん水準すいじゅん一様いちようではありません。個々ここ障害しょうがいとニーズが尊重そんちょうされるようなあらたな支援しえんサービスの決定けっていシステムを開発かいはつしていきます。また、支援しえんサービスを決定けっていするときに、本人ほんにん希望きぼう意思いし表明ひょうめいでき、それが尊重そんちょうされる仕組しくみにします。

 

【6】安定あんていした予算よさん確保かくほ

  制度せいど実質じっしつさせていくためには財政ざいせいめん裏打うらうちが絶対ぜったいてき条件じょうけんとなります。現在げんざいくに地方ちほう財政ざいせい状況じょうきょうはきわめて深刻しんこくであるため、障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん確保かくほするためには、給付きゅうふ負担ふたん透明とうめいせい納得なっとくせい優先ゆうせん順位じゅんいあきらかにしながら、財源ざいげん確保かくほについてひろ国民こくみんからの共感きょうかんることは不可欠ふかけつです。

 

障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん水準すいじゅんかんがえていくうえでの重要じゅうよう指標しひょうとなるのが、国際こくさいてき比較ひかくです。このさいに、経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこうOECD各国かっこく社会しゃかい保障ほしょう給付きゅうふ体系たいけいのなかにおける障害しょうがいしゃ福祉ふくし位置いちづけの相違そうい丁寧ていねい検証けんしょうし、また高齢こうれいなどの要因よういん考慮こうりょしたうえでの国民こくみん負担ふたんりつなど、財政ざいせい状況じょうきょう比較ひかくおこなわなければなりません。当面とうめん課題かだいとしては、OECD加盟かめいこくにおける平均へいきんみを確保かくほすることです。これによって、現状げんじょうよりはるかに安定あんていした財政ざいせい基盤きばんはかることができます。

 

■ 改革かいかくへのあたらしいいちとして

わがくに障害しょうがいしゃ福祉ふくしもすでになが歴史れきしゆうしておりますが、障害しょうがいしゃおな人格じんかくゆうするひととらえるよりも、保護ほご必要ひつよう無力むりょく存在そんざい社会しゃかいのお荷物にもつ治安ちあん対象たいしょうとすべき危険きけん存在そんざいなどとけとめるかんがかた依然いぜんとして根強ねづよのこっています。

わがくに社会しゃかいが、障害しょうがい有無うむにかかわらず、個人こじんとして尊重そんちょうされ、しん意味いみ社会しゃかい一員いちいんとしてらせる共生きょうせい社会しゃかいいたるには、まだまだとおみちのりであるかもしれません。

 

そのようななか総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい参集さんしゅうしたわたしたちは、障害しょうがいしゃ本人ほんにんをはじめ、障害しょうがいしゃかかわる様々さまざま立場たちばから、ちがいをみとめあいながらも、それでも共通きょうつうするおもいをここにまとめました。ここにしめされた改革かいかく完成かんせいには時間じかんようするかもれません。協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けってい就労しゅうろうけい事業じぎょうとう試行しこう事業じぎょう必要ひつよう事項じこうもあります。

また、ほん骨格こっかく提言ていげんもとづくほう策定さくてい実施じっしにあたっては、さらに市町村しちょうそんおよ都道府県とどうふけんをはじめとする幅広はばひろ関係かんけいしゃ意見いけんまえることが必要ひつようです。

 

わたしたちのこうしたおもいが、国民こくみん世論せろん理解りかい共感きょうかんて、それが政治せいじとっうごかし、障害しょうがいしゃいちにんひとりが自身じしん存在そんざい価値かち実感じっかんし、様々さまざまひとともささえあいながらきていくことのよろこびをかちえる社会しゃかいへのいちになることをしんじて、ここに骨格こっかく提言ていげんをまとめました。

いま新法しんぽうへのいちすことが必要ひつようです。

 

 

平成へいせい23(2011)とし8つき30

さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい


 


 

T−1 ほう理念りねん目的もくてき範囲はんい

 

表題ひょうだい前文ぜんぶん

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうには、下記かきとおり、本法ほんぽう制定せいてい経緯けいい、このほうもとめられる精神せいしんとう内容ないようとする前文ぜんぶんもうけるべきである。

 

説明せつめい

全国ぜんこく1000まんにんえるとおもわれる障害しょうがいしゃとその家族かぞく支援しえんしゃ一般いっぱん国民こくみんすべてのひとにとって、今回こんかい改革かいかく経緯けいい理念りねんつたわり、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう意義いぎ共有きょうゆうされ、さらに、個別こべつ規定きてい解釈かいしゃく指針ししんとするためにも、前文ぜんぶんでこのほう精神せいしんたからかにうたうことが不可欠ふかけつである。むべき前文ぜんぶん内容ないよう以下いかのとおりである。

 

                 

 

わがくにおよ世界せかい障害しょうがいしゃ福祉ふくし施策しさくは「完全かんぜん参加さんか平等びょうどう」を目的もくてきとした昭和しょうわ56(1981)とし国際こくさい障害しょうがいしゃねんとその国連こくれん障害しょうがいしゃじゅうねんにより一定いってい進展しんてんげたが、依然いぜんとしておおくの障害しょうがいしゃもの平等びょうどう立場たちばにあるとはいがたい。

このような現状げんじょう前提ぜんていに、平成へいせい18(2006)とし国連こくれん総会そうかいにて障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく採択さいたくされ、わがくに平成へいせい19(2007)とし署名しょめいした。現在げんざい批准ひじゅんのためにどう条約じょうやく趣旨しゅし反映はんえいしたほう制度せいど整備せいびもとめられている。

 

 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくうたうインクルージョンは、障害しょうがいしゃ社会しゃかいなか当然とうぜん存在そんざいし、障害しょうがい有無うむにかかわらずだれもが排除はいじょ分離ぶんり隔離かくりされずにともきていく社会しゃかいこそが自然しぜん姿すがたであり、だれにとってもきやすい社会しゃかいであるとのかんがかた基本きほんとしている。

 

そして、それは、障害しょうがいによる不利益ふりえき責任せきにん個人こじん家族かぞくかえせられることなく、障害しょうがいもとづく様々さまざま不利益ふりえき障害しょうがいしゃ偏在へんざいしている不平等ふびょうどう解消かいしょうし、平等びょうどう社会しゃかい実現じつげんすることをもとめるものである。

 

とりわけ人生じんせい長期ちょうきにわたって施設しせつ精神せいしん病院びょういんとう入所にゅうしょ入院にゅういんしている障害しょうがいしゃ多数たすう存在そんざいしている現状げんじょう直視ちょくしし、地域ちいき社会しゃかいにおいて、自己じこ決定けってい尊重そんちょうされた普通ふつうらしがいとなめるよう支援しえんし、地域ちいき生活せいかつへの移行いこう推進すいしんするための総合そうごうてきみを推進すいしんすることがつよもとめられる。

 

そのうえで、障害しょうがいしゃ自立じりつが、経済けいざいめんかぎらず、だれもが主体性しゅたいせいをもってきと生活せいかつ社会しゃかい参加さんかすることを意味いみするものであり、また、このくにのあるべき共生きょうせい社会しゃかい姿すがたとして、障害しょうがいしゃ必要ひつよう支援しえん活用かつようしながら地域ちいき自立じりつした生活せいかついとなみ、生涯しょうがいつうじて固有こゆう尊厳そんげん尊重そんちょうされるよう、その社会しゃかい生活せいかつ支援しえんすることがもとめられていることをくにほう制度せいどにおいて確認かくにんされるべきである。

 

この法律ほうりつは、これらの基本きほんてきかんがかたもとづき、障害しょうがい種別しゅべつ軽重けいちょうかかわらず、尊厳そんげんのある生存せいぞん移動いどう自由じゆう、コミュニケーション、就労しゅうろうとう支援しえん保障ほしょうし、障害しょうがいしゃが、障害しょうがいのないひと平等びょうどう社会しゃかい生活せいかつじょう権利けんり行使こうしできるために、また、あらゆる障害しょうがいしゃ制度せいど谷間たにまにこぼれちることがないように、必要ひつよう支援しえん法的ほうてき権利けんりとして総合そうごうてき保障ほしょうし、さらに、差異さい多様たようせい尊重そんちょうされ、だれもが排除はいじょされず、それぞれをありのままにひととしてみと共生きょうせい社会しゃかい実現じつげんをめざして制定せいていされるものである。

 

 

表題ひょうだいほう名称めいしょう

結論けつろん

○ この法律ほうりつは『障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう』としょうする。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう」という名称めいしょうは、すでに、障害しょうがいしゃ関係かんけいしゃなか一定いってい共通きょうつう理解りかいした使つかわれ、定着ていちゃくしてきた。平成へいせい22(2010)とし6つき29にち閣議かくぎ決定けっていでも「仮称かしょうきではあるがこの名称めいしょう法律ほうりつ平成へいせい24(2012)とし国会こっかい制定せいていするとされている。したがって、この名称めいしょう使用しようすべきである。

 

なお、ほう名称めいしょうについて、作業さぎょうチーム報告ほうこくでは「障害しょうがいしゃ社会しゃかい生活せいかつ支援しえん権利けんりとし総合そうごうてき保障ほしょうする法律ほうりつ」というあんしめされている。これは、社会しゃかい福祉ふくし分野ぶんや法律ほうりつであるかかがわかりにくいという難点なんてんはあるが、恩恵おんけいてき意味いみ理解りかいされるおそれのある「福祉ふくし」の用語ようごけ「社会しゃかい生活せいかつ」「権利けんり保障ほしょう」「総合そうごうてき」などをもちいて新法しんぽう性格せいかくしめしたものであり、新法しんぽう制定せいてい実施じっしにあたっては、この視点してんにも留意りゅういすべきである。

 

 

表題ひょうだいほう目的もくてき

結論けつろん

○ この法律ほうりつ目的もくてきとして、以下いか内容ないようむべきである。

・ この法律ほうりつが、憲法けんぽうだい13じょうだい14じょうだい22じょうだい25じょうとう基本きほんてき人権じんけん改正かいせいされた障害しょうがいしゃ基本きほんほうとうもとづき、すべての障害しょうがいしゃが、ひとしく基本きほんてき人権じんけん享有きょうゆうする個人こじんとして尊重そんちょうされ、ものとの平等びょうどう保障ほしょうされるものであるとの理念りねん立脚りっきゃくするものであること。

 

・ この法律ほうりつが、障害しょうがいしゃ基本きほんてき人権じんけん行使こうしやその自立じりつおよ社会しゃかい参加さんか支援しえんのための施策しさくかんし、どこでだれ生活せいかつするかについての選択せんたく機会きかい保障ほしょうされ、あらゆる分野ぶんや活動かつどう参加さんかする機会きかい保障ほしょうされるために必要ひつよう支援しえんけることを障害しょうがいしゃ基本きほんてき権利けんりとして、障害しょうがい種類しゅるい軽重けいちょう年齢ねんれいとうかかわりなく保障ほしょうするものであること。

 

・ くにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいが、障害しょうがいもとづく社会しゃかいてき不利益ふりえき解消かいしょうすべき責務せきむうことをあきらかにするとともに、障害しょうがいしゃ自立じりつおよ社会しゃかい参加さんか必要ひつよう支援しえんのための施策しさくさだめ、その施策しさく総合そうごうてきかつ計画けいかくてき実施じっしすべき義務ぎむっていること。

 

・ これらにより、この法律ほうりつが、すべての国民こくみんが、障害しょうがい有無うむによってへだてられることなく、相互そうご人格じんかく個性こせい尊重そんちょういながら共生きょうせいする社会しゃかい実現じつげんするものであること。

 

説明せつめい

今回こんかい障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにかわるあらたな法律ほうりつ必要ひつようとするにいたったおおきな要因よういんは、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅんたって障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう抜本ばっぽんてき改革かいかくする必要ひつようがあることおよ障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう違憲いけん訴訟そしょう原告げんこくらと厚生こうせい労働省ろうどうしょうとのあいだ障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう廃止はいしふく基本きほん合意ごうい文書ぶんしょ成立せいりつしたことにそんする。

 

まず、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう違憲いけん訴訟そしょう原告げんこくらと厚生こうせい労働省ろうどうしょうとのあいだわされた基本きほん合意ごうい文書ぶんしょいちこうでは、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう廃止はいしすることを前提ぜんていに、あらたな総合そうごうてき福祉ふくし法制ほうせいにおいては、「障害しょうがい福祉ふくし施策しさく充実じゅうじつは、憲法けんぽうとうもとづく障害しょうがいしゃ基本きほんてき人権じんけん行使こうし支援しえんするものであることを基本きほんとする。」とされている。

 

日本国にっぽんこく憲法けんぽう13じょう幸福こうふく追求ついきゅうけんおよ22じょう居住きょじゅう移転いてん自由じゆうは、支援しえん選択せんたくけん保障ほしょうするとかいすべきであり、25じょう生存せいぞんけんは、地域ちいきあいだ格差かくさ是正ぜせいするナショナルミニマムとしての支援しえん請求せいきゅうけん保障ほしょうするものであるので、以上いじょう合意ごうい趣旨しゅしまえ、目的もくてき条項じょうこうにおいて、憲法けんぽう基本きほんてき人権じんけんかんする規定きていむことは必須ひっすかんがえた。

 

また、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう関連かんれんする障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく中心ちゅうしんてき課題かだいは、どう条約じょうやくだい19じょう

aこう 障害しょうがいしゃが、もの平等びょうどうに、居住きょじゅう選択せんたくし、およびどこでだれ生活せいかつするかを選択せんたくする機会きかいゆうすることならびに特定とくてい居住きょじゅう施設しせつ生活せいかつする義務ぎむわないこと。

bこう 地域ちいき社会しゃかいにおける生活せいかつおよ地域ちいき社会しゃかいへの受入うけいれを支援しえんし、ならびに地域ちいき社会しゃかいからの孤立こりつおよ隔離かくり防止ぼうしするために必要ひつよう在宅ざいたくサービス、居住きょじゅうサービスその地域ちいき社会しゃかい支援しえんサービス(人的じんてき支援しえん [personal assistance]ふくむ。)障害しょうがいしゃ利用りようすることができること。

cこう 一般いっぱん住民じゅうみんけの地域ちいき社会しゃかいサービスおよ施設しせつが、障害しょうがいしゃにとってもの平等びょうどう利用りよう可能かのうであり、かつ、障害しょうがいしゃのニーズに対応たいおうしていること。

である。

 

作業さぎょうチーム報告ほうこくでは、そのことを、支援しえん選択せんたくけん支援しえん請求せいきゅうけん表現ひょうげんしている。どう条約じょうやく19じょうaこうの「どこでだれらすかの選択せんたくけん」は、bこうの「必要ひつよう支援しえん請求せいきゅうする権利けんり」がければ成立せいりつしないだけでなく、cこうの「一般いっぱん市民しみん平等びょうどう選択肢せんたくし」がければ、特定とくてい生活せいかつ様式ようしき以外いがい選択肢せんたくし成立せいりつしないからである。

 

さらに、どう条約じょうやくのこの趣旨しゅしもとづき「障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしんのための基本きほんてき方向ほうこう(だいいち意見いけん)においては「地域ちいきらす権利けんり保障ほしょうとインクルーシブな社会しゃかい構築こうちく」がおおきな課題かだいとされ、「障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしんのための基本きほんてき方向ほうこうについて」(閣議かくぎ決定けってい)においては「地域ちいき生活せいかつ実現じつげんとインクルーシブな社会しゃかい構築こうちく」なかで「障害しょうがいしゃみずか選択せんたくする地域ちいきへの移行いこう支援しえん移行いこう生活せいかつ支援しえん充実じゅうじつおよ平等びょうどう社会しゃかい参加さんか参画さんかくはしらえた施策しさく展開てんかい」がもとめられている。

 

とくに、これらの制度せいど改革かいかく推進すいしんなか改正かいせいされた障害しょうがいしゃ基本きほんほうまえる必要ひつようがある。

まず、どうほうだい1じょうは、障害しょうがい有無うむによってへだてられることなく、相互そうご人格じんかく個性こせい尊重そんちょういながら共生きょうせいすることができる社会しゃかい実現じつげん目的もくてきとしている。このことは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう目的もくてきにおいても基調きちょうえなければならない。

 

また、どうほうだい3じょうが、あらゆる分野ぶんや活動かつどう参加さんかする機会きかい確保かくほやどこでだれ生活せいかつするかについての選択せんたく機会きかい確保かくほとう規定きていしていることにかんがみると、上記じょうき目的もくてきにおいてこれらを明記めいきすることは必須ひっすであり、それらの機会きかい保障ほしょうされるために必要ひつよう支援しえんけることを障害しょうがいしゃ基本きほんてき権利けんりとするとともに、支援しえん選択せんたくけん支援しえん請求せいきゅうけん財政ざいせいめん裏付うらづける公的こうてき責務せきむ保障ほしょうとして「くにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいとう責務せきむあきらかに」する規定きてい必要ひつようがある。

 

なお、必要ひつよう支援しえんけることを障害しょうがいしゃ基本きほんてき権利けんりとした規定きていは、たとえばカリフォルニアしゅう発達はったつ障害しょうがいしゃ支援しえんサービスがエンタイトルメント(支援しえんサービス選択せんたく請求せいきゅうけん)であるとされていることをまえて規定きていしている。

すなわち、「地域ちいき支援しえんセンターの適格てきかく基準きじゅん合致がっちするすべての障害しょうがいしゃに、その本人ほんにん支援しえん計画けいかく目標もくひょう見合みあった支援しえんサービスを提供ていきょうしなければならないことを意味いみする。法的ほうてきに、待機たいきしゃリストはあってはならず、もしそのサービスがければ、それは創出そうしゅつされねばならない。」(Federal funding in California’s DSS ARCA March 2011 p.54)

 

つまりは、ほう該当がいとうする障害しょうがいしゃ本人ほんにん選択せんたくした希望きぼう目標もくひょう見合みあった支援しえんサービスを提供ていきょうすることが、待機たいきリストにれられることなく、義務ぎむづけられていることが、エンタイトルメント(支援しえんサービス選択せんたく受給じゅきゅうけん)ということになる。そのこともまえて、「・・どこでだれ生活せいかつするかについての選択せんたく機会きかい保障ほしょうされ、あらゆる分野ぶんや活動かつどう参加さんかする機会きかい保障ほしょうされること・・」という表記ひょうきとした。

 

さらに、谷間たにま障害しょうがいしゃをなくすことについては、ほん総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい総意そういであることはろんたないところであるので、障害しょうがい種類しゅるい軽重けいちょう年齢ねんれいとうかかわりなくという文言もんごんに、その趣旨しゅしめている。

これは、ほうした平等びょうどう実現じつげんするためにとりわけ重要じゅうよう要素ようそであり、上記じょうき障害しょうがい種類しゅるい軽重けいちょう年齢ねんれいとうひとしには、入院にゅういんちゅう入所にゅうしょちゅう刑事けいじ施設しせつ入管にゅうかん施設しせつ、その施設しせつふくまれる。

 

なお、これまで谷間たにまにおかれてきた障害しょうがいしゃ制度せいどから除外じょがいされてきたために必要ひつよう支援しえん内容ないよう開発かいはつ十分じゅうぶんではない。

そのため、発達はったつ障害しょうがい高次こうじのう機能きのう障害しょうがい難病なんびょう軽度けいど知的ちてき障害しょうがいとうのあるひとたちのニーズを当事とうじしゃ参画さんかくのもとであきらかにし、必要ひつようひと必要ひつよう支援しえんられるようにサービス内容ないよう拡充かくじゅうおこな必要ひつようがある。

 

 

表題ひょうだいほう理念りねん

結論けつろん

○ 以下いか基本きほんてき視点してん理念りねん規定きていむべきである。

 ・ 保護ほご対象たいしょうから権利けんり主体しゅたいへの転換てんかん確認かくにんするむね規定きてい

・ 医学いがくモデルから社会しゃかいモデルへの障害しょうがい概念がいねん転換てんかん確認かくにんするむね規定きてい

 

説明せつめい

従来じゅうらい障害しょうがいしゃは、障害しょうがいしゃ施策しさく対象たいしょう保護ほご対象たいしょうとされ、当事とうじしゃとしてはあつかわれないめんがあった。しかし、この法律ほうりつにおいては、障害しょうがいしゃ権利けんり主体しゅたいであり、当事とうじしゃであることを明確めいかくにする必要ひつようせいがある。また、障害しょうがい本質ほんしつとは、機能きのう障害しょうがい疾病しっぺいゆうする市民しみん様々さまざま社会しゃかいへの参加さんかさまたげている社会しゃかいてき障壁しょうへきにほかならないことをここに確認かくにんし、機能きのう障害しょうがい疾病しっぺいをもつ市民しみん排除はいじょしないようにする義務ぎむ社会しゃかい公共こうきょうにあることが今後こんご障害しょうがいしゃ福祉ふくし支援しえん基本きほん理念りねんであることをここに確認かくにんする必要ひつようがある。

なお、このことは、障害しょうがいしゃ支援しえん自己じこ責任せきにん家族かぞく責任せきにんとして、これまで一貫いっかんして採用さいようされてきた政策せいさく基本きほんスタンスを、社会しゃかいてき公的こうてき責任せきにんえるということを意味いみすることを確認かくにんするものである。

 

医学いがくモデルの視点してんからいえば、障害しょうがいしゃ問題もんだいは、障害しょうがいしゃ自身じしん自己じこ責任せきにんにより訓練くんれん努力どりょく克服こくふくするべきものということになるが、かかるふるかんがかたから脱却だっきゃくし、むしろ、障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんか排除はいじょして、適切てきせつ支援しえん実施じっししない社会しゃかいがわ障害しょうがい原因げんいんであるという社会しゃかいモデルへの転換てんかん明確めいかくしないかぎり、このくに障害しょうがいしゃ施策しさくのありかた旧態きゅうたい依然いぜんとしてわらない。なお、社会しゃかいモデルは、障害しょうがい概念がいねん転換てんかんしめすものであり、治療ちりょうやリハビリテーションそのものを否定ひていするものではない。

 

身体しんたい障害しょうがいしゃ実態じったい調査ちょうさ知的ちてき障害しょうがいしゃ基礎きそ調査ちょうさとうによれば、社会しゃかいてき支援しえんすすんできた今日きょうにおいてもなお、障害しょうがいしゃ介助かいじょ支援しえんのほとんどを家族かぞくになっているという事態じたいおおきな変化へんかられない。介護かいご保険ほけん制度せいど制定せいてい過程かていでも「介護かいご社会しゃかい」が目標もくひょうとされたが、いまだ実現じつげん見通みとおしはっていない。

 

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうは、すべてのひと尊重そんちょうされ、安心あんしんでき、そうした尊重そんちょう安心あんしんあたえてくれる社会しゃかいのためにみずか参加さんかし・貢献こうけんしようという気持きもちをそだてる法律ほうりつであり、また家族かぞく責任せきにんから社会しゃかい責任せきにんへの転換てんかん家族かぞく依存いぞんからの脱却だっきゃくはか法律ほうりつである。

 

 

表題ひょうだい地域ちいき自立じりつした生活せいかついとな基本きほんてき権利けんり

結論けつろん

   地域ちいき自立じりつした生活せいかついとな権利けんりとして、以下いかしょ権利けんり障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいて確認かくにんすべきである。

. 障害しょうがいゆえにいのち危険きけんにさらされない権利けんりゆうし、そのための支援しえんける権利けんり保障ほしょうされるむね規定きてい

. さわがいしゃは、必要ひつようとする支援しえんけながら、意思いし(自己じこ)決定けっていおこな権利けんり保障ほしょうされるむね規定きてい

. 障害しょうがいものは、みずからの意思いしもとづきどこでだれむかをめる権利けんり、どのようにらしていくかをめる権利けんり特定とくてい様式ようしきでの生活せいかつ強制きょうせいされない権利けんりゆうし、そのための支援しえんける権利けんり保障ほしょうされるむね規定きてい

. 障害しょうがいものは、みずか選択せんたくする言語げんご(手話しゅわとう音声おんせい言語げんごふく)およみずか選択せんたくするコミュニケーション手段しゅだん使用しようして、市民しみんとして平等びょうどう生活せいかついとな権利けんりゆうし、そのための情報じょうほう・コミュニケーション支援しえんける権利けんり保障ほしょうされるむね規定きてい

. 障害しょうがいものは、みずからの意思いし移動いどうする権利けんりゆうし、そのための外出がいしゅつ介助かいじょ、ガイドヘルパーとう支援しえんける権利けんり保障ほしょうされるむね規定きてい

. 以上いじょう支援しえんける権利けんりは、障害しょうがいしゃ個別こべつ事情じじょうもっと相応ふさわしい内容ないようでなければならないむね規定きてい

. くにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいは、これらの施策しさく実施じっし義務ぎむむね規定きてい

 

説明せつめい
以上いじょうは、前記ぜんきほう目的もくてき確認かくにんされた中核ちゅうかくてき権利けんり確認かくにんするものである。

  

とりわけ、障害しょうがいしゃ完全かんぜん参加さんか実現じつげんするためには、一人ひとりひとりの支援しえん必要ひつようとする個別こべつ事情じじょう沿ったものである必要ひつようがあり、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう支援しえんのありかたも、個別こべつ事情じじょうにふさわしいものであることが必要ひつようであるという障害しょうがいしゃ支援しえん基本きほんてきなありかた規定きていすることが重要じゅうようである。

 

そのためには、障害しょうがいしゃ意思いし(自己じこ)決定けっていにあたり、自己じこ意思いし決定けってい過程かていにおいて十分じゅうぶん情報じょうほう提供ていきょうふく必要ひつようとする支援しえんけ、かつからの不当ふとう影響えいきょうけることなくみずからの意思いしもとづく選択せんたくにしたがっておこなわれるべきである。

 

 また、情報じょうほう・コミュニケーションの保障ほしょう到底とうてい裁量さいりょうてき実施じっしされればるようなものでなく、民主みんしゅ社会しゃかい成立せいりつさせる前提ぜんていとしての基本きほんてき人権じんけん保障ほしょうとしての意義いぎがあることを明記めいきしておかなくては、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくにおいて、言語げんご」とは、音声おんせい言語げんごおよ手話しゅわその形態けいたい音声おんせい言語げんごをいうとされ、障害しょうがいしゃ基本きほんほうにおいても、言語げんご音声おんせい言語げんごである手話しゅわふくまれると確認かくにんされた意義いぎなども没却ぼっきゃくされる。

  

さらに、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう移動いどう支援しえん裁量さいりょうてき事業じぎょう位置付いちづけたが、移動いどう自由じゆう保障ほしょう基本きほんてき人権じんけんもとづく重要じゅうよう施策しさくであることは判例はんれいとうでも確認かくにんされていることであり、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうでしっかり明記めいきすることが肝要かんようである。

 

 

表題ひょうだいこく義務ぎむ

結論けつろん

○ くに義務ぎむとして、以下いか規定きていもうけるべきである。

. くには、障害しょうがい有無うむ種別しゅべつ軽重けいちょうとうかかわらず障害しょうがいしゃがどの地域ちいき居住きょじゅうしてもひとしく安心あんしんして生活せいかつすることができる権利けんり保障ほしょうする義務ぎむゆうすること。

. くには、障害しょうがい種別しゅべつ程度ていどによる制度せいど谷間たにま空白くうはくおよ制度せいどじょう格差かくさしょうじないように制度せいど設計せっけいおこな責務せきむゆうすること。

. くには、地域ちいきあいだ支援しえん格差かくさ発生はっせいすることを防止ぼうしし、また発生はっせいした格差かくさ解消かいしょうすることができる制度せいど設計せっけいおこな責務せきむゆうするとともに、市町村しちょうそんへの支援しえん施策しさくかん必要ひつよう財政ざいせいじょう措置そちおこなうこと。

. くには、都道府県とどうふけんともに、市町村しちょうそん実施じっしする支援しえん施策しさく実態じったい把握はあくし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりもとづいて、それが実施じっしされるように、ひろくその実施じっしじょうきょう国民こくみんあきらかにし、どうほう実施じっし監視かんしし、すすめる責務せきむゆうすること。

 

説明せつめい

憲法けんぽうしめされた基本きほんてき人権じんけん保障ほしょうする義務ぎむ第一義だいいちぎてきには、くににあることから、障害しょうがいしゃ支援しえん最終さいしゅう責任せきにんくににあることを確認かくにんしたうえで、障害しょうがい種別しゅべつによる制度せいど谷間たにま制度せいどじょう格差かくさ防止ぼうしかんする義務ぎむ地域ちいきあいだ格差かくさ防止ぼうし財政ざいせいてき支援しえんとうしょ支援しえん実施じっしじょうきょうかんする監視かんし情報じょうほう開示かいじとうについて、規定きていもうける必要ひつようがある。

また、くには、障害しょうがいしゃ地域ちいき自立じりつした生活せいかついとな権利けんりをもつことを、障害しょうがいしゃふく国民こくみんひろ周知しゅうちしなければならない。

 

 

表題ひょうだい都道府県とどうふけん義務ぎむ

結論けつろん

○ 都道府県とどうふけん義務ぎむとして、以下いか規定きていもうけるべきである。

. 市町村しちょうそんおこな支援しえん施策しさく実態じったい把握はあくするとともに、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりもとづいて、それが実施じっしされるように、ひろくその実施じっしじょうきょう都道府県とどうふけんみんあきらかにし、どうほう実施じっしすすめること。

. 市町村しちょうそん支援しえん施策しさくたいして、必要ひつよう財政ざいせいてき補助ほじょおこなうこと。そのさい特定とくてい市町村しちょうそん集中しゅうちゅうする実態じったいとうがあればそのことを勘案かんあんすること。

. 市町村しちょうそん支給しきゅう決定けっていたいしてなされる不服ふふくもうてを受理じゅりし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりもとづいて審査しんさするひとし必要ひつよう措置そちこうじること。

. 市町村しちょうそん連携れんけいはかりつつ、相談そうだん支援しえん体制たいせい整備せいびおよ広域こういきでなければ実施じっし困難こんなん支援しえんおこなうこと。

説明せつめい

都道府県とどうふけんについては、とく市町村しちょうそんあいだ格差かくさ是正ぜせい施策しさく実施じっしじょうきょうかんする情報じょうほう公開こうかい財政ざいせいてき補助ほじょ障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりをふまえておこなうとともに、不服ふふくもうてにかんする責務せきむがあることを明記めいきした。

 

 

表題ひょうだい市町村しちょうそん義務ぎむ

結論けつろん

○ 市町村しちょうそん義務ぎむとして、以下いか規定きていもうけるべきである。

. 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりもとづいて、当該とうがい市町村しちょうそん区域くいきにおける障害しょうがいしゃ生活せいかつ現状げんじょうおよ障害しょうがいしゃがどこでだれ生活せいかつし、どのような分野ぶんや社会しゃかい参加さんか希望きぼう選択せんたくするかなどを把握はあくしたうえで、関係かんけい機関きかんとの緊密きんみつ連携れんけいはかりつつ、必要ひつよう支援しえん施策しさく総合そうごうてきかつ計画けいかくてき実施じっしすること。

. 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう基本きほんてき権利けんりもとづいて、障害しょうがいしゃ支援しえん施策しさく提供ていきょうかんし、必要ひつよう情報じょうほう提供ていきょうおよ適切てきせつ説明せつめいくし、ならびに相談そうだんおうじ、必要ひつよう調査ちょうさおよ指導しどうおこなうとともに、そのサービス利用りよう計画けいかくとう勘案かんあんして必要ひつよう支援しえん施策しさく提供ていきょうすること。

 

説明せつめい

市町村しちょうそんについては、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう明記めいきされた基本きほんてき権利けんりとしての「どこでだれ生活せいかつするかについての選択せんたく機会きかい確保かくほされ、あらゆる分野ぶんや活動かつどう参加さんかする機会きかい確保かくほされることを前提ぜんていとした義務ぎむ規定きていした。また、公的こうてき支援しえんからこぼれるひとをなくすうえで、行政ぎょうせい説明せつめい責任せきにん重要じゅうようであることにかんがみ、これも明記めいきした。

 

 

表題ひょうだい基盤きばん整備せいび義務ぎむ

結論けつろん

 ○ くにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいは、支援しえん実施じっしする事業じぎょうしゃ地域ちいき偏在へんざいしないよう事業じぎょうしゃへの財政ざいせい援助えんじょ育成いくせいふくめた基盤きばん整備せいび義務ぎむゆうする。

 

説明せつめい

原則げんそくとして契約けいやく制度せいどにより実施じっしされている障害しょうがいしゃ施策しさくにおいて、地域ちいきらす権利けんり保障ほしょうされる前提ぜんてい条件じょうけんは、支援しえん実施じっしする事業じぎょうしゃ地域ちいき十分じゅうぶん存在そんざいしていることであり、地域ちいきでの自立じりつ生活せいかつ保障ほしょうをいくらうたったところで、当該とうがい地域ちいき事業じぎょうしょ存在そんざいしなければえがいたもちである。本来ほんらい障害しょうがいしゃ福祉ふくし施策しさく履行りこう責任せきにんしゃくにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいであることから、事業じぎょうしょまかせはゆるされず、基盤きばん整備せいび義務ぎむ規定きていしておくことは絶対ぜったい不可欠ふかけつである。

表題ひょうだい国民こくみん責務せきむ

結論けつろん

○ すべての国民こくみんは、その障害しょうがい有無うむにかかわらず、相互そうごにその人格じんかく個性こせい尊重そんちょうしあいながら共生きょうせいすることのできる社会しゃかい実現じつげん協力きょうりょくするものとする。

 

説明せつめい

国民こくみん責務せきむについては、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくのインクルーシブ社会しゃかい構築こうちく理念りねんまえたものとして規定きていした。

 

 

表題ひょうだい介護かいご保険ほけんとの関係かんけい

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうは、障害しょうがいしゃひとしく基本きほんてき人権じんけん享有きょうゆうする個人こじんとして、障害しょうがい種別しゅべつ程度ていどかかわりなく日常にちじょう生活せいかつおよ社会しゃかい生活せいかつにおいて障害しょうがいしゃのニーズにもとづく必要ひつよう支援しえん保障ほしょうするものであり、介護かいご保険ほけんほうとはおのずとほう目的もくてき性格せいかくことにするものである。このちがいをまえ、それぞれが別個べっこ法体ほうたいけいとして制度せいど設計せっけいされるべきである。

 

○ 介護かいご保険ほけん対象たいしょう年齢ねんれいになったのちでも、従来じゅうらいからけていた支援しえん原則げんそくとして継続けいぞくしてけることができるものとする。

 

説明せつめい

 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう介護かいご保険ほけん障害しょうがいしゃ福祉ふくし統合とうごう予定よていして策定さくていされ、そのために応益おうえき負担ふたん障害しょうがい程度ていど区分くぶん日額にちがくせい常勤じょうきん換算かんさんとう障害しょうがいしゃ福祉ふくしまれた。その結果けっか障害しょうがいしゃ人間にんげんとしての尊厳そんげんふかきずつけることとなり、この反省はんせいから政府せいふ障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう廃止はいしあらたな総合そうごうてき福祉ふくし法制ほうせい実施じっし約束やくそくした。憲法けんぽうとうもとづく障害しょうがいしゃ基本きほんてき人権じんけん行使こうし支援しえんするものとしてあらたな総合そうごうてき福祉ふくし法制ほうせい策定さくていすることになった。
 
こうした経過けいかから、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう訴訟そしょう原告げんこくだんとの基本きほん合意ごうい文書ぶんしょでは、「あらたな福祉ふくし制度せいど構築こうちくたっては、現行げんこう介護かいご保険ほけん制度せいどとの統合とうごう前提ぜんていとはせず」とされている。これらを前提ぜんていとしつつ、さらに、国民こくみんてき議論ぎろんによってそれらの本来ほんらいのありかたを、今後こんご検討けんとうする必要ひつようがある。
 
 なお、障害しょうがいしゃ介護かいご保険ほけん対象たいしょう年齢ねんれいとなったのちであっても、それまでの障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ継続けいぞく保障ほしょうされなければならない。また、介護かいご保険ほけん適用てきようされる40とし以上いじょう特定とくてい疾病しっぺいをもつものについては、本人ほんにん希望きぼうする場合ばあいには、障害しょうがいしゃ福祉ふくしによる支援しえん利用りよう可能かのうとなるようにすべきである。現行げんこう介護かいご保険ほけん優先ゆうせん原則げんそく見直みなおし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうのサービスと介護かいご保険ほけんのサービスを選択せんたく併用へいようできるようにすることも視野しやふくめ、今後こんごさらに検討けんとうすすめることが期待きたいされる。
 
もっとも、これはわかいときからの障害しょうがいしゃ特性とくせい重視じゅうしし、生活せいかつ継続けいぞくせい確保かくほをすることを主眼しゅがんにおいた提言ていげんであるが、一方いっぽうでは65とし以上いじょうよう介護かいご状態じょうたいとなった高齢こうれいしゃにも平等びょうどう選択せんたくけん保障ほしょうされるべきであるとの意見いけんもあることから、さら慎重しんちょう議論ぎろん必要ひつようである。
 
具体ぐたいてき運用うんようめんでは、まず、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご行動こうどう援護えんごとう介護かいご保険ほけんには「相当そうとうする」サービスがないことは明確めいかくであり、継続けいぞくてき利用りようできるようにすべきである。
  
つぎに、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうでは、介護かいご保険ほけん対象たいしょうしゃになると訪問ほうもんけいサービスの国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんひくくなるように設定せっていされており、市町村しちょうそん財政ざいせいてき負荷ふかえるため、従前じゅうぜんのサービスりょう確保かくほ困難こんなんをきたすことから、従前じゅうぜんのサービスりょう確保かくほできるよう、その仕組しくみの廃止はいし検討けんとうすべきである。
 
さらに、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうしたでは、施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん生活せいかつ介護かいご利用りようしゃ原則げんそくてき介護かいご保険ほけん保険ほけんしゃになれない制度せいどとなっているが、こうしたひとたちも地域ちいき移行いこうなどにさいして希望きぼうすれば介護かいご保険ほけんサービスを選択せんたく併用へいようできるようにすることを検討けんとうすべきである。退すさところしないと保険ほけんしゃになれずよう介護かいご認定にんていけられないため、移行いこう計画けいかく作成さくせいされている場合ばあいよう介護かいご認定にんていけられるようにすべきである。

 

 

T−2 障害しょうがい(しゃ)の範囲はんい 

 

表題ひょうだいほう対象たいしょう規定きてい

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう対象たいしょうとする障害しょうがいしゃ(障害しょうがいふくむ)は、障害しょうがいしゃ基本きほんほうだいじょうだいいちこう規定きていする障害しょうがいしゃをいう。

  

障害しょうがいしゃ基本きほんほう(平成へいせい23ねん8がつ5にち公布こうふ)

だいじょう この法律ほうりつにおいて、つぎ各号かくごうかかげる用語ようご意義いぎは、それぞれ当該とうがい各号かくごうさだめるところによる。

いち 障害しょうがいしゃ 身体しんたい障害しょうがい知的ちてき障害しょうがい精神せいしん障害しょうがい(発達はったつ障害しょうがいふくむ。)その心身しんしん機能きのう障害しょうがい(以下いか障害しょうがい」と総称そうしょうする。)があるものであつて、障害しょうがいおよ社会しゃかいてき障壁しょうへきにより継続けいぞくてき日常にちじょう生活せいかつまた社会しゃかい生活せいかつ相当そうとう制限せいげんける状態じょうたいにあるものをいう。

 社会しゃかいてき障壁しょうへき 障害しょうがいがあるものにとつて日常にちじょう生活せいかつまた社会しゃかい生活せいかついとなじょう障壁しょうへきとなるような社会しゃかいにおける事物じぶつ制度せいど慣行かんこう観念かんねんその一切いっさいのものをいう。

 

 上記じょうき定義ていぎにおける心身しんしん機能きのう障害しょうがいには、慢性まんせい疾患しっかんともな機能きのう障害しょうがいふくむものとする。

 

説明せつめい

(1)「谷間たにま」をまない包括ほうかつてき規定きていについて

 これまでの国際こくさいてき国内こくないてき確認かくにんまえれば、支援しえん必要ひつようとしているすべての障害しょうがいしゃをもれなく支援しえん対象たいしょうとするべきことは、すべての関係かんけいしゃ共有きょうゆうされている。また、年齢ねんれい規定きていもうけることによって支援しえん対象たいしょうから排除はいじょされることのないように、障害しょうがいしゃ定義ていぎ障害しょうがいふくむことを明記めいきした。

 

(2)心身しんしん機能きのう障害しょうがい」について

改正かいせいされた障害しょうがいしゃ基本きほんほう障害しょうがいは、身体しんたい障害しょうがい知的ちてき障害しょうがい精神せいしん障害しょうがい(発達はったつ障害しょうがいふくむ。)その心身しんしん機能きのう障害しょうがいふくまれることから、包括ほうかつてき規定きていとなっている。

 

もっとも、本件ほんけん検討けんとうした作業さぎょうチーム報告ほうこくは、障害しょうがいしゃを「身体しんたいてきまたは精神せいしんてき機能きのう障害しょうがい(慢性まんせい疾患しっかんともな機能きのう障害しょうがいふくむ)をゆうするものと、このものたいする環境かんきょう起因きいんする障壁しょうへきとのあいだ相互そうご作用さようにより、日常にちじょう生活せいかつまた社会しゃかい生活せいかつ制限せいげんけるものをいう」とまとめている。これは、特定とくてい障害しょうがいめい着目ちゃくもく例示れいじ列挙れっきょした場合ばあいに、例示れいじ列挙れっきょされない障害しょうがい除外じょがいされる危険きけんせいがあることを考慮こうりょし、包括ほうかつてき規定きていとするべきであるという趣旨しゅしである。

これはかならずしも障害しょうがいしゃ基本きほんほう規定きていぶりと矛盾むじゅんするものではないので、法律ほうりつ使つかわれる文言もんごんほん骨格こっかく提言ていげんにおいても障害しょうがいしゃ基本きほんほう定義ていぎとの整合せいごうせいはか観点かんてんから採用さいようした。

 

なお、障害しょうがいしゃ基本きほんほうの「機能きのう障害しょうがい」は、世界せかい保健ほけん機構きこう(WHO)の「機能きのう障害しょうがい」であり、この概念がいねんについては、国際こくさい障害しょうがい分類ぶんるい(ICIDH 昭和しょうわ55(1980)とし)において「機能きのう障害しょうがい(impairments)」は「心理しんりてき生理せいりてきまた解剖かいぼうてき構造こうぞうまた機能きのうのなんらかの喪失そうしつまた異常いじょうである」と規定きていされており、国際こくさい生活せいかつ機能きのう分類ぶんるい(ICF 平成へいせい13(2001)とし)においても「いちじるしい変異へんい喪失そうしつなどといった、心身しんしん機能きのうまたは身体しんたい構造こうぞうじょう問題もんだい」として、その網羅もうらてき分類ぶんるい項目こうもくしめされている。

また、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくにおいても「障害しょうがい(disability)」や障害しょうがいしゃ概念がいねん整理せいりする要素ようそとして「機能きのう障害しょうがい(impairments)」が使つかわれており、世界せかいてきにも公知こうちのものとなっている。

 

(3)慢性まんせい疾患しっかんともな機能きのう障害しょうがいについて

障害しょうがいしゃ基本きほんほう改正かいせい審議しんぎにおいては、上記じょうき障害しょうがいしゃ基本きほんほうの「障害しょうがい」に、難病なんびょう起因きいんする機能きのう障害しょうがいふくまれることや「継続けいぞくてきに」は断続だんぞくてきなもの、周期しゅうきてきなものがふくまれることが確認かくにんされている。ただし、障害しょうがいしゃ基本きほんほうには「その心身しんしん機能きのう障害しょうがい」に慢性まんせい疾患しっかんともな機能きのう障害しょうがいふくめることが明示めいじされてはいないため、それをあきらかにするために文言もんごんくわえることとした。

 

難病なんびょうとう慢性まんせい疾患しっかん罹患りかんしたものは、疾患しっかんたいする医療いりょうてきサービスとともに、生活せいかつ支障ししょうたいする福祉ふくしサービスの両方りょうほう必要ひつようとなる場合ばあいおおい。しかし難病なんびょうとう症状しょうじょう変動へんどうする場合ばあいには「障害しょうがい」と認定にんていされず生活せいかつ支援しえんから除外じょがいされるのが一般いっぱんてきである。この現状げんじょうらせば、慢性まんせい疾患しっかんによる機能きのう障害しょうがい存在そんざいあきらかにする必要ひつようがあるため、この文言もんごん注意ちゅういてき規定きていした。

 

(4)障害しょうがいおよ社会しゃかいてき障壁しょうへきによる制限せいげんについて

障害しょうがいしゃ基本きほんほうでは、障害しょうがいおよ社会しゃかいてき障壁しょうへきにより日常にちじょう生活せいかつまた社会しゃかい生活せいかつ相当そうとう制限せいげんける状態じょうたいにあるもの障害しょうがいしゃとしており、社会しゃかいてき障壁しょうへきには、障害しょうがいしゃ日常にちじょう生活せいかつまた社会しゃかい生活せいかつ障壁しょうへきとなるもの全般ぜんぱんふくまれる。

 従来じゅうらい福祉ふくしサービスの提供ていきょう機能きのう障害しょうがい中心ちゅうしん提供ていきょうされてきたが、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいて、社会しゃかいてき障壁しょうへき定義ていぎむことにより、この障壁しょうへき除去じょきょするという観点かんてんから必要ひつよう支援しえん提供ていきょうされることがもとめられることになる。あらためて、この意義いぎ確認かくにんされなければならない。

 

T−3 選択せんたく決定けってい(支給しきゅう決定けってい)

 

表題ひょうだい支給しきゅう決定けっていかた

結論けつろん

○ あらたな支給しきゅう決定けっていにあたっての基本きほんてきかたは、以下いかのとおりとする。

. 支援しえん必要ひつようとする障害しょうがいしゃ本人ほんにん(およ家族かぞく)意向いこうやそのひとのぞらしかた最大限さいだいげん尊重そんちょうすることを基本きほんとすること。

. ものとの平等びょうどう基礎きそとして、当該とうがい個人こじん個別こべつ事情じじょうそくした必要ひつよう十分じゅうぶん支給しきゅうりょう保障ほしょうされること。

. 支援しえんガイドラインは一定いってい程度ていど標準ひょうじゅんはかられ、透明とうめいせいがあること。

. 申請しんせいから決定けっていまでかりやすく、スムーズなものであること

 

説明せつめい

 支給しきゅう決定けっていは、ものとの平等びょうどう基礎きそとし、障害しょうがいしゃ意向いこうのぞらしが実現じつげんできるよう必要ひつよう支援しえん種類しゅるいりょう確保かくほするためのものであり、上記じょうき事項じこう基本きほんとしておこなわれなければならない。

とくに、申請しんせいから決定けっていまでかりやすくスムーズなものにするためには、支給しきゅう決定けっていプロセス全体ぜんたいについても一定いってい共通きょうつう事項じこうをルールし、公平こうへいせい透明とうめいせい担保たんぽすることが大切たいせつである。

また、必要ひつよう書類しょるいかりやすい解説かいせつしょ市町村しちょうそん役所やくしょとうだれもがにしやすい場所ばしょき、もとめにおうじて十分じゅうぶん説明せつめいをするなど、あたらしい支給しきゅう決定けってい仕組しくみについての周知しゅうちはかることがもとめられる。

さらに、支給しきゅう決定けっていのプロセスにおいても、障害しょうがいしゃ希望きぼうおうじてコミュニケーション支援しえん提供ていきょうすることがもとめられる。

 

 

表題ひょうだい支給しきゅう決定けっていのしくみ

結論けつろん

○ 支給しきゅう決定けっていのプロセスは、原則げんそくとして、以下いかのとおりとする。

. 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうじょう支援しえんもとめるもの(法定ほうてい代理人だいりにんふく)は、本人ほんにんもとめる支援しえんかんするサービス利用りよう計画けいかく策定さくていし、市町村しちょうそん申請しんせいおこなう。

. 市町村しちょうそんは、支援しえんもとめるものに「障害しょうがい」があることを確認かくにんする。

. 市町村しちょうそんは、本人ほんにん策定さくていしたサービス利用りよう計画けいかくについて、市町村しちょうそん支援しえんガイドラインにもとづき、ニーズアセスメントをおこなう。

. 本人ほんにんまた市町村しちょうそんにより、申請しんせい内容ないよう支援しえんガイドラインの水準すいじゅん適合てきごうしないと判断はんだんした場合ばあいには、市町村しちょうそん本人ほんにん(支援しえんしゃふく)協議きょうぎ調整ちょうせいおこない、その内容ないようにしたがって、支給しきゅう決定けっていをする。

5.4の協議きょうぎ調整ちょうせいととのわない場合ばあい市町村しちょうそん(またはけんいき)設置せっちされた第三者だいさんしゃ機関きかんとしての合議ごうぎ機関きかんにおいて検討けんとうし、市町村しちょうそんは、その結果けっかけて支給しきゅう決定けっていおこなう。

. 市町村しちょうそん支給しきゅう決定けってい不服ふふくがある場合ばあい申請しんせいをしたもの都道府県とどうふけんとう不服ふふく申立もうしたてができるものとする。

 

○ 支給しきゅう決定けっていについて試行しこう事業じぎょう実施じっしし、その検証けんしょう結果けっかまえ、導入どうにゅうをはかるものとする。

 

説明せつめい

 あらたな仕組しくみにおいては、障害しょうがい程度ていど区分くぶん使つかわずに支給しきゅう決定けっていをする。障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほういち審査しんさもちいられる障害しょうがい程度ていど区分くぶん認定にんてい調査ちょうさ項目こうもく106項目こうもくは、とく知的ちてき障害しょうがい精神せいしん障害しょうがいについてはいち判定はんていから判定はんてい変更へんこうりつ4わりから5わり以上いじょうであり、かつ地域ちいきによる格差かくさおおきいことから、障害しょうがい種別しゅべつえた支給しきゅう決定けってい客観きゃっかんてき指標しひょうとするのには問題もんだいおおきい。

 

あらたな支給しきゅう決定けってい仕組しくみが機能きのうするための前提ぜんていとしては、当事とうじしゃによるエンパワメント支援しえん事業じぎょう充実じゅうじつ相談そうだん支援しえん事業じぎょう充実じゅうじつ、さらには市町村しちょうそんにおけるニーズアセスメント能力のうりょく向上こうじょうはかられなければならない。とくに、支援しえんニーズを的確てきかくつたえることが困難こんなんひとのニーズをくみるためには、日常にちじょうてきにかかわりのある支援しえんしゃとうがコミュニケーション支援しえんするなどし、本人ほんにん意思いし希望きぼう確認かくにんされなければならない。

 

市町村しちょうそんにおいては、支給しきゅう決定けっていにかかわる職員しょくいんとうのニーズアセスメント能力のうりょく向上こうじょうけて、一定いってい研修けんしゅうおよ仕事しごとをしながら教育きょういくける職場しょくばない訓練くんれん(OJT)充実じゅうじつすることも必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい】サービス利用りよう計画けいかく

結論けつろん

○ サービス利用りよう計画けいかくとは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうじょう支援しえん希望きぼうするものが、そのもとめる支援しえん内容ないようりょう計画けいかく作成さくせいし、市町村しちょうそん提出ていしゅつされるものをいう。なお、そのサービス利用りよう計画けいかく作成さくせいにあたり、障害しょうがいしゃ希望きぼうする場合ばあいには、相談そうだん支援しえん専門せんもんいんとう支援しえんけることができる。

 

説明せつめい

サービス利用りよう計画けいかくは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうによる支援しえんとう利用りようするにあたって、市町村しちょうそん提出ていしゅつする必要ひつよう支援しえん内容ないようりょうしめすものである。障害しょうがいしゃがどの支援しえんをどの程度ていど利用りようしたいのか、本人ほんにんのニーズにもとづいて利用りよう希望きぼうあきらかにするものである。サービス利用りよう計画けいかくは、本人ほんにん自身じしん策定さくていする(セルフマネジメント)こともできるが、本人ほんにん希望きぼうする場合ばあいには相談そうだん支援しえん専門せんもんいんとともに策定さくていすることもできる。また、本人ほんにん中心ちゅうしんに、家族かぞく本人ほんにん信頼しんらいする日常にちじょうてき支援しえんしゃ契約けいやく行為こういとう締結ていけつするさい支援しえんしゃくわえて相談そうだん支援しえん専門せんもんいんとともに策定さくていすることもできる。

 

なお、サービス利用りよう計画けいかくは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうによる支援しえん利用りよう申請しんせい同時どうじに、またはニーズアセスメントがおこなわれるまでに提出ていしゅつする。サービス利用りよう計画けいかく提出ていしゅつであることをもって、市町村しちょうそん申請しんせい却下きゃっかすることはしない。

 

 

表題ひょうだい】「障害しょうがい」の確認かくにん

結論けつろん

○ 市町村しちょうそんは、心身しんしん機能きのう障害しょうがい」があることをしめ証明しょうめいしょによって法律ほうりつ対象たいしょうとなる障害しょうがいしゃであるかかの確認かくにんおこなう。証明しょうめいしょは、障害しょうがいしゃ手帳てちょう医師いし診断しんだんしょ、もしくは意見いけんしょ、その障害しょうがい特性とくせいかんして専門せんもんてき知識ちしきゆうする専門せんもんしょく意見いけんしょふくむものとする。

 

説明せつめい

 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうもとづく支援しえんは、障害しょうがいしゃ手帳てちょう有無うむにかかわらず、支援しえん必要ひつようとする障害しょうがいしゃたいして提供ていきょうされる。

機能きのう障害しょうがいしめ具体ぐたいてき資料しりょうとしては、障害しょうがいしゃ手帳てちょうがあればそれでりるが、まず、医師いし診断しんだんしょ利用りようかんがえられる。医師いし診断しんだんしょは、機能きのう障害しょうがい存在そんざいしめ資料しりょうとして、公正こうせいせい担保たんぽされるてんすぐれているが、他方たほうで、発達はったつ障害しょうがい高次こうじのう機能きのう障害しょうがい難病なんびょうとう医師いし診断しんだんしょにくい場合ばあいかんがえられる。

 

 医師いし診断しんだんしょられにくい場合ばあい対処たいしょする方策ほうさくとしては、以下いかの2つがある。

@  医師いし診断しんだんしょ限定げんていせず、意見いけんしょでもよいものとする。

A 「機能きのう障害しょうがい」の存在そんざい判断はんだんするもの医師いしのみとせず、その障害しょうがい特性とくせいかんして専門せんもんてき知識ちしきゆうする専門せんもんしょく意見いけんしょでもよいとする。

 

 なお、精神せいしん疾患しっかんまた難治なんじせい疾患しっかんについては、生活せいかつじょう制限せいげんすことから、その診断しんだんしょとう文書ぶんしょをもって上記じょうき機能きのう障害しょうがい証明しょうめいしょえることができる。

また、市町村しちょうそんによって格差かくさしょうじないように、国際こくさい生活せいかつ機能きのう分類ぶんるい(ICF)の「心身しんしん機能きのう身体しんたい構造こうぞう」を参考さんこうにしつつ機能きのう障害しょうがい例示れいじ列記れっきするなど、市町村しちょうそん利用りようしゃ(障害しょうがいしゃ)、医師いしその専門せんもんしょくたいして包括ほうかつてき規定きてい内容ないようあきらかにすることも検討けんとうすべきである。

 

 

表題ひょうだい支援しえんガイドライン

結論けつろん

   くにおよ市町村しちょうそんは、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ権利けんり実現じつげんをはかるため、以下いか基本きほんてき視点してんもとづいて、支援しえんガイドラインを策定さくていするものとする。

. くには、障害しょうがいしゃとう参画さんかくしたに「地域ちいきらすほかものとの平等びょうどう基礎きそとして生活せいかつすることを可能かのうとする支援しえん水準すいじゅん」を支給しきゅう決定けっていのガイドラインのモデルとして策定さくていすること。

. くにおよ市町村しちょうそんのガイドラインは、障害しょうがい種類しゅるい程度ていどかたよることなく、本人ほんにん意思いし社会しゃかい参加さんかするじょうでの困難こんなんとうがもれなく考慮こうりょされること。

. 市町村しちょうそんは、くにしめすガイドラインのモデルを最低さいていラインとして、策定さくていすること。

. 市町村しちょうそんのガイドラインは、障害しょうがいしゃとう参画さんかくして策定さくていするものとし、公開こうかいとすること。また、適切てきせつ時期じき見直みなおすものとすること。

 

説明せつめい

ガイドラインは、障害しょうがいしゃれた地域ちいき生活せいかつしていくために必要ひつよう支援しえん必要ひつようあきらかにするとともに、そのひと生活せいかつ支援しえんする支援しえん計画けいかく作成さくせいする過程かていにおいて、なに公費こうひにより利用りようできる福祉ふくしサービスであるかをあきらかにすることを目的もくてきつくられるものである。

 

また、ガイドラインでしめ支給しきゅう水準すいじゅんは、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく規定きていされている障害しょうがいしゃの「のものとの平等びょうどう」や「地域ちいき生活せいかつ実現じつげん」を基本きほん原則げんそくにするべきである。この基本きほん原則げんそくもとづき、障害しょうがいしゃ支援しえん必要ひつよう類型るいけいし、類型るいけいごとの標準ひょうじゅんケアプランにもとづく支給しきゅう水準すいじゅんしめすべきである。

また、類型るいけいにあたっては、長時間ちょうじかん介助かいじょ見守みまも支援しえん複数ふくすう介助かいじょ移動いどう支援しえんとう必要ひつようせいふくめて検討けんとうされるべきである。

 

市町村しちょうそんくにのガイドラインのモデルを最低さいていラインとして、ガイドラインを策定さくていする。

策定さくていにあたっては、当事とうじしゃ(障害しょうがいしゃ家族かぞくおよびその関係かんけい団体だんたいとう)行政ぎょうせい相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃ、サービス提供ていきょう事業じぎょうしゃとう関係かんけいしゃ参画さんかくし、地域ちいきのその時点じてんでの地域ちいき生活せいかつ水準すいじゅんまえて協議きょうぎしなければならない。

この策定さくてい過程かていとおして、当事とうじしゃ行政ぎょうせい事業じぎょうしゃきょうはたらけまれることが期待きたいされる。

なお、地域ちいき生活せいかつをする重度じゅうど障害しょうがいしゃすくなく当事とうじしゃこえにくい地域ちいきなどでは、格差かくさひろがるリスクも懸念けねんされる。そのため、くにがガイドラインのモデルをしめし、自治体じちたいごとにその指針ししん内容ないよう最低さいていラインとして、独自どくじのガイドラインを策定さくていするものとする。市町村しちょうそんのガイドラインは、現在げんざい支給しきゅう決定けっていさい自治体じちたいもちいられている「要綱ようこうとうとはことなることから、適切てきせつ作成さくせいされるようにくに助言じょげんすべきである。さらに、財政ざいせいめんからくに基準きじゅんをそのまま引用いんようすることがないようにするため、くにがモデルとして策定さくていしたガイドラインの水準すいじゅんえて、市町村しちょうそん必要ひつようおうじた支給しきゅう決定けっていができる財源ざいげんてき保障ほしょう必要ひつようとなる。

 

さらに、くにおよ都道府県とどうふけんは、かく市町村しちょうそんのガイドラインとそれに適合てきごうしない事例じれいにかかわる情報じょうほう集約しゅうやくして、くにのモデルガイドラインの見直みなおしに反映はんえいさせるとともに、その情報じょうほう自治体じちたいやその合議ごうぎ機関きかんとう提供ていきょうし、かく市町村しちょうそんにおけるガイドラインの作成さくせい見直みなおし、さらには支給しきゅう決定けってい事務じむ参考さんこうするようにつとめなければならない。

 

 

表題ひょうだい協議きょうぎ調整ちょうせい

結論けつろん

     障害しょうがいしゃまた市町村しちょうそんにおいて、サービス利用りよう計画けいかくがガイドラインにしめされた水準すいじゅんやサービス内容ないよう適合てきごうしないと判断はんだんした場合ばあい市町村しちょうそんは、障害しょうがいしゃ(およ支援しえんしゃ)協議きょうぎ調整ちょうせいおこない、これにもとづいて支給しきゅう決定けっていする。

 

説明せつめい

協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けっていは、ガイドラインでしめされる水準すいじゅんやサービス内容ないようてはまらない事例じれい(類型るいけいえる時間じかん数等すうとう申請しんせいされた場合ばあい)について、個別こべつ生活せいかつ実態じったいもとづいて本人ほんにん市町村しちょうそんあいだおこなわれるものをいう。

 

 

表題ひょうだい合議ごうぎ機関きかん設置せっち機能きのう

結論けつろん

   市町村しちょうそんは、前記ぜんき協議きょうぎととのわない場合ばあいそなえ、第三者だいさんしゃ機関きかんとして、当事とうじしゃ相談そうだんいん相談そうだん支援しえん専門せんもんいん地域ちいき社会しゃかい資源しげん障害しょうがいしゃ状況じょうきょうをよくものとう構成こうせいいんとする合議ごうぎ機関きかん設置せっちする。

 

   合議ごうぎ機関きかんは、本人ほんにんのサービス利用りよう計画けいかくもとづき、その支援しえん必要ひつようせい検討けんとうするとともに、支援しえん内容ないよう支給しきゅうりょうとうについて判断はんだんするものとする。

 

   障害しょうがいしゃ希望きぼうする場合ばあいには、合議ごうぎ機関きかん意見いけん陳述ちんじゅつ機会きかいもうけられる。

 

   市町村しちょうそんは、合議ごうぎ機関きかんでの判断はんだん尊重そんちょうしなければならない。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ市町村しちょうそん協議きょうぎにおいて調整ちょうせいがつかない場合ばあいは、市町村しちょうそん設置せっちされた合議ごうぎ機関きかんにおいて検討けんとうし、その結果けっかけて、市町村しちょうそん支給しきゅう決定けっていおこなうことができるものとする。

 

合議ごうぎ機関きかんでは、障害しょうがい特性とくせい障害しょうがい福祉ふくしサービスとう必要ひつようせいをより適切てきせつ支給しきゅう決定けってい反映はんえいするため、本人ほんにん状況じょうきょうについて必要ひつよう情報じょうほうをもとに個別こべつ事例じれいについての検討けんとうおこなう。障害しょうがいしゃ希望きぼうする場合ばあいには、どのような支援しえんをどの程度ていど必要ひつようであるのか、合議ごうぎ機関きかん意見いけんべる機会きかいもうけられる。

 

ある合議ごうぎ機関きかんでの判断はんだん不服ふふくがある場合ばあいには、合議ごうぎ機関きかんさい調整ちょうせいができる仕組しくみとすべきである。また、合議ごうぎ機関きかん構成こうせいいんは、第三者だいさんしゃとして公平こうへい中立ちゅうりつ役割やくわりになうことができる人物じんぶつとすべきである。

 

 

表題ひょうだい不服ふふく申立もうしたて

結論けつろん

○ 市町村しちょうそん支給しきゅう決定けっていかんする異議いぎ申立もうしたて仕組しくみを整備せいびするとともに、都道府県とどうふけんは、市町村しちょうそん支給しきゅう決定けっていかんして、実効じっこうせいのある不服ふふく審査しんさおこなえるようにする。

 

○ 不服ふふく申立もうしたては、手続てつづおよ内容ないよう判断はんだん是非ぜひについて審議しんぎされるものとし、本人ほんにん出席しゅっせき意見いけん陳述ちんじゅつおよ反論はんろん機会きかいあたえられるものとする。

 

説明せつめい

支給しきゅう決定けっていは、一連いちれんのプロセスにもとづいた行政ぎょうせい処分しょぶんであるが、本人ほんにんがその決定けってい不服ふふくがある場合ばあいには、きわめて簡便かんべん不服ふふく申立もうしたてができる仕組しくみがもとめられる。市町村しちょうそんへの異議いぎ申立もうしたて都道府県とどうふけんへの不服ふふく申立もうしたて手続てつづきのハードルをひくくするため、相談そうだん支援しえん機関きかん不服ふふく審査しんさ支援しえんとうもとめることができるようにすべきである。

くには、支給しきゅう決定けっていにかかわる決定けってい処分しょぶんしにまらず、申請しんせいたいする一定いってい処分しょぶんをすることを都道府県とどうふけん市町村しちょうそん義務付ぎむづけることができる仕組しくみを検討けんとうすべきである。


 

T−4 支援しえん(サービス)体系たいけい

 

表題ひょうだい支援しえん体系たいけい

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ支援しえん体系たいけい以下いかとおりとする。

 

A.全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされる支援しえん

 1.就労しゅうろう支援しえん

 2.にちちゅう活動かつどうとう支援しえん

 3.居住きょじゅう支援しえん

 4.施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん

 5.個別こべつ生活せいかつ支援しえん

 6.コミュニケーション支援しえんおよ通訳つうやく介助かいじょ支援しえん

 7.装具そうぐ日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ

 8.相談そうだん支援しえん

9.権利けんり擁護ようご

 

B.地域ちいき実情じつじょうおうじて提供ていきょうされる支援しえん

    市町村しちょうそん独自どくじ支援しえん

     福祉ふくしホーム

      居住きょじゅうサポート

      ・その(支給しきゅう決定けっていプロセスをずに柔軟じゅうなん利用りようできる支援しえんとう)

 

C.支援しえん体系たいけい機能きのうさせるために必要ひつよう事項じこう

1.医療いりょうてきケアの拡充かくじゅう

2.にちちゅう活動かつどうとうにおける定員ていいん緩和かんわとう

3.にちちゅう活動かつどうへの通所つうしょ保障ほしょう

4.グループホームでの生活せいかつささえる仕組しく

5.グループホームとうらしの設置せっち促進そくしん

6.一般いっぱん住宅じゅうたくやグループホームへの家賃やちん補助ほじょ

7.分野ぶんやとの役割やくわり分担ぶんたん財源ざいげん調整ちょうせい

 

説明せつめい

 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう支援しえん体系たいけいについて、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくまえ、障害しょうがいしゃ本人ほんにん主体しゅたい(自律じりつ自己じこ決定けってい)として、地域ちいき生活せいかつ可能かのう(施設しせつ病院びょういんから地域ちいき自立じりつ生活せいかつへの移行いこうふく)となるような支援しえん体系たいけいとして構築こうちくする必要ひつようがある。

 

また、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうの「介護かいご給付きゅうふ」「訓練くんれんとう給付きゅうふ」「地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう」といった体系たいけいは、介護かいご保険ほけんとの整合せいごうせい意識いしきした制度せいど構築こうちく結果けっかであり、さらには、「介護かいご給付きゅうふ」という名称めいしょうも、そのニーズと支援しえん実態じったい適切てきせつあらわしているとはがたうえに、介護かいご保険ほけんの「介護かいご保険ほけん給付きゅうふ」との混同こんどうみかねない。また、障害しょうがい程度ていど区分くぶん介護かいご給付きゅうふ利用りようたいしてのみ適用てきようされているが、障害しょうがい程度ていど区分くぶん廃止はいしともない「介護かいご給付きゅうふ」と「訓練くんれんとう給付きゅうふ」にける必要ひつようせいはなくなる。

 

A.「全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされる支援しえん

全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされる支援しえん」については国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん廃止はいしし、市町村しちょうそん支援しえん提供ていきょうようした実際じっさい費用ひようたいしてくに都道府県とどうふけん市町村しちょうそん負担ふたんする負担ふたんきん事業じぎょうとする。さらに、長時間ちょうじかん(いち8時間じかんえる)介助かいじょサービスにかんしては、市町村しちょうそん負担ふたん軽減けいげんする仕組しくみをもうけ、全国ぜんこくどこでも必要ひつよう支援しえんられるようにする。

 

B.「地域ちいき実情じつじょうおうじて提供ていきょうされる支援しえん

 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうもとづく地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうのように、市町村しちょうそん創意そうい工夫くふう裁量さいりょう実施じっし可能かのうとなる支援しえん仕組しくみはのこしておく必要ひつようがある。しかし、おおきな地域ちいき格差かくさている現状げんじょうから、すべての自治体じちたい一定いってい水準すいじゅん事業じぎょうができるような財政ざいせいめんふくめたあらたな仕組しくみが必要ひつようであり、名称めいしょうも「地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう」ではなく「市町村しちょうそん独自どくじ支援しえん」とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされる支援しえん

1.就労しゅうろう支援しえん

 

表題ひょうだい就労しゅうろう支援しえん仕組しくみの障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける位置いちづけ

結論けつろん

○ 障害しょうがいのあるひとへの就労しゅうろう支援しえん仕組しくみとして、「障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」と「デイアクティビティセンター(仮称かしょう以下いか同様どうよう)(作業さぎょう活動かつどう支援しえん部門ぶもん)創設そうせつする。

 

○ 社会しゃかいてき雇用こようとう多様たようはたらかたについての試行しこう事業じぎょう(パイロット・スタディ)実施じっしし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう施行しこう3としをめどにこれを検証けんしょうする。その結果けっかまえ障害しょうがいしゃ就労しゅうろう支援しえん仕組しくみについて、関係かんけいしゃ十分じゅうぶん協議きょうぎしつつ所管しょかん部局ぶきょくのありかたふく検討けんとうする。

 

説明せつめい

現行げんこう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうとうにより制度せいどされている、就労しゅうろう移行いこう支援しえん事業じぎょう就労しゅうろう継続けいぞく支援しえんAかたおよBかた事業じぎょう生産せいさん活動かつどう取組とりく生活せいかつ介護かいご事業じぎょう地域ちいき活動かつどう支援しえんセンター・小規模しょうきぼ作業さぎょうしょとうを、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうでは「障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」と「デイアクティビティセンター(作業さぎょう活動かつどう支援しえん部門ぶもん)」としてさい編成へんせいする。障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう支援しえん体系たいけいへの移行いこうには、十分じゅうぶん経過けいか措置そち期間きかんもうける。これらの対象たいしょうしゃについては、障害しょうがいしゃ本人ほんにんのニーズを基本きほんに、本人ほんにんにとってもっと適切てきせつ支援しえん選択せんたく決定けっていできるよう、必要ひつよう支援しえんおこなう。なお、現行げんこう就労しゅうろう移行いこう支援しえん事業じぎょうについてはその成果せいか課題かだい検証けんしょうしたうえで、一般いっぱん就労しゅうろうへの支援しえんのありかたについて関係かんけいしゃ意見いけん十分じゅうぶんまえつつ検討けんとうする。

 

障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」は障害しょうがいしゃ必要ひつよう支援しえんけながらはたらであり、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうした実施じっしすることとし、そこで就労しゅうろうする障害しょうがいしゃには、一人ひとりひとりの労働ろうどう実態じったいとうおうじて労働ろうどうほう全面ぜんめん適用てきようまたは部分ぶぶん適用てきようする。官公かんこう需や民需みんじゅ安定あんてい確保かくほ仕組しくみの構築こうちくどうセンターの経営けいえい基盤きばん強化きょうか、ならびに賃金ちんぎん補填ほてん制度せいどなどにより、そこで就労しゅうろうする障害しょうがいしゃ最低さいてい賃金ちんぎん以上いじょう確保かくほすることを目指めざす。

 

また、どうセンターで就労しゅうろうする障害しょうがいしゃのうち、一般いっぱん就労しゅうろう自営じえい希望きぼうするものについては、ハローワークとう労働ろうどう関係かんけい機関きかん密接みっせつ協力きょうりょく連携れんけいし、一般いっぱん就労しゅうろう自営じえいへの移行いこう支援しえんおよび移行いこうのフォローアップ支援しえん積極せっきょくてきおこなう。利用りよう期間きかんには、期限きげんもうけない。また、利用りようりょう徴収ちょうしゅうはしない。なお、障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンターの創設そうせつたっては、労働ろうどうほう適用てきようすることが適切てきせつではないひとはたらうしなうことのないよう十分じゅうぶん配慮はいりょおこなう。

 

デイアクティビティセンターにおける作業さぎょう活動かつどう支援しえん部門ぶもん就労しゅうろう支援しえんであるので、利用りようしゃ工賃こうちん支払しはらうものとする。作業さぎょう活動かつどうによる収入しゅうにゅうたかめるため、「障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」と同様どうよう事業じぎょう振興しんこうさく構築こうちくおこなうこととし、労働ろうどうしゃ災害さいがい補償ほしょう保険ほけんほうにかわる保障ほしょう制度せいど確立かくりつ検討けんとうする。就労しゅうろうおも目的もくてきとしたではないため、労働ろうどうほう適用てきようはない。利用りようしゃ生活せいかつは、基本きほんてきには障害しょうがい基礎きそ年金ねんきん障害しょうがいしゃ手当てあてとう所得しょとく保障ほしょう制度せいどでカバーする。

 

また、どうセンター(作業さぎょう活動かつどう支援しえん部門ぶもん)利用りようする障害しょうがいしゃのうち、一般いっぱん就労しゅうろう自営じえい、あるいは、「障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」への移行いこう希望きぼうするものについては、その移行いこう支援しえんおよび移行いこうのフォローアップ支援しえん積極せっきょくてきおこなう。「障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンター」同様どうよう利用りよう期間きかん期限きげんはなく、利用りようりょう徴収ちょうしゅうしない。

 

なお、障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンターへの官公かんこう需や民需みんじゅ安定あんてい確保かくほ仕組しくみの構築こうちくどうセンターの経営けいえい基盤きばん強化きょうかとうにより、工賃こうちん増額ぞうがくはかる。あわせて、就労しゅうろう合同ごうどう作業さぎょうチーム報告ほうこくしょ提案ていあんしている「試行しこう事業じぎょう(パイロット・スタディ)」にかんしては、その内容ないようおよ方法ほうほうとうについて、ほん骨格こっかく提言ていげんとりまとめ関係かんけいしゃ意見いけんまえて検討けんとうしたうえ実施じっしし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう施行しこう3としをめどに、就労しゅうろう分野ぶんやでの人的じんてき支援しえん仕事しごと確保かくほ賃金ちんぎん補填ほてんのありかたとうについて検証けんしょうする。その結果けっかまえ、障害しょうがいしゃ就労しゅうろう支援しえん仕組しくみを見直みなおしつつ、賃金ちんぎん補填ほてん制度せいどについても検討けんとうする。見直みなおしにあたっては、関係かんけいしゃ意見いけん十分じゅうぶんまえつつ、障害しょうがいしゃ就労しゅうろう支援しえんかか担当たんとう部局ぶきょくのありかたについても検討けんとうする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2.にちちゅう活動かつどうとう支援しえん

 

表題ひょうだい】@デイアクティビティセンター

結論けつろん

○ デイアクティビティセンターを創設そうせつする。

 

○ デイアクティビティセンターでは、作業さぎょう活動かつどう支援しえん文化ぶんか創作そうさく活動かつどう支援しえん自立じりつ支援しえん(生活せいかつ訓練くんれん機能きのう訓練くんれん)社会しゃかい参加さんか支援しえん居場所いばしょ機能きのうとう多様たよう社会しゃかい参加さんか活動かつどう展開てんかいする。

 

○ 医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひととう利用りようできるような濃厚のうこう支援しえん体制たいせい整備せいびするなど、利用りようしゃとの信頼しんらい関係かんけいもとづく支援しえんしつ確保かくほするための必要ひつよう措置そちこうじる。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにおける生活せいかつ介護かいご自立じりつ訓練くんれん地域ちいき活動かつどう支援しえんセンターとう利用りようしゃとう障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうもとづく活動かつどうとして、デイアクティビティセンターを創設そうせつし、よりシンプルな支援しえん体系たいけいとする。デイアクティビティセンターでは作業さぎょう活動かつどう支援しえんおこなうことができるものとする。また、個々人ここじん必要ひつようおうじた個別こべつ支援しえん計画けいかくにより、本人ほんにん主体しゅたいてき自己じこ実現じつげん社会しゃかい参加さんかをすすめる多様たよう創造そうぞうてき活動かつどうプログラムを展開てんかいする。

 

デイアクティビティセンターの作業さぎょう活動かつどう支援しえん部門ぶもん労働ろうどう法規ほうき適用てきようされないはたらだが、障害しょうがいしゃ就労しゅうろうセンターや一般いっぱん就労しゅうろうとの可能かのうとし、障害しょうがいしゃ就労しゅうろうささえる仕組しくみの一環いっかんにも位置付いちづけられる。

 

一方いっぽう障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんかのありかたの多様たようせいみとめる必要ひつようがある。就労しゅうろうせずとも地域ちいきなか自尊心じそんしんをもってみずからの役割やくわりたしていける環境かんきょう確保かくほすることが重要じゅうようであり、文化ぶんか創作そうさく活動かつどう社会しゃかい参加さんか居場所いばしょ機能きのうなどについても、しっかりとにちちゅう活動かつどうとう支援しえん位置付いちづけることが重要じゅうようである。

 

また、支援しえんしつ確保かくほするため、プログラムの標準ひょうじゅん職員しょくいん配置はいちおよ建物たてもの設備せつびとう基準きじゅん設定せっていおこなう。

 

なお、そのさい医療いりょうてきケアが必要ひつようひと移動いどう・コミュニケーションへの支援しえん必要ひつようひと利用りよう想定そうていした基準きじゅんもうけることとする。また、自治体じちたいはこれらの基準きじゅんとうまえて、どうセンターを計画けいかくてき整備せいびする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


表題ひょうだい】Aちゅう一時いちじ支援しえん、ショートステイ

結論けつろん

○ にちちゅう一時いちじ支援しえんは、全国ぜんこくどこでも使つかえるようにするため、個別こべつ給付きゅうふにする。

 

○ ショートステイは、医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひと安心あんしんして利用りようできるよう条件じょうけん整備せいびをする。

 

説明せつめい

現行げんこうにちちゅう一時いちじ支援しえん事業じぎょう地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう選択せんたく事業じぎょうであり、助成じょせいきん報酬ほうしゅうすくないため受託じゅたくする事業じぎょうしょすくなく、事業じぎょう停止ていしする事業じぎょうしゃがみられる。事業じぎょうしゃがないとの理由りゆう実施じっししていない市町村しちょうそんおおいようである。全国ぜんこくどこでも使つかえるようにするために、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにちちゅう一時いちじ支援しえん従来じゅうらいのショートステイのにちちゅう利用りようのように個別こべつ給付きゅうふとする。

 

ショートステイは、家族かぞくふく介助かいじょしゃのレスパイトを保障ほしょうし、社会しゃかいてき入院にゅういん入所にゅうしょさないための重要じゅうよう事業じぎょうである。また、現状げんじょうからの一時いちじ避難ひなんとしての機能きのうゆうすることにかんがみると、一般いっぱん宿泊しゅくはく施設しせつ利用りよう念頭ねんとうにおいて整備せいびされるべきである。さらに、ショートステイについても医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひと配慮はいりょした条件じょうけん整備せいびをする。

3.居住きょじゅう支援しえん

 

表題ひょうだい】グループホーム・ケアホームの制度せいど

結論けつろん

○ グループホームとケアホームをグループホームに一本いっぽんする。グループホームの定員ていいん規模きぼ家庭的かていてき環境かんきょうとして45ひと上限じょうげん規模きぼとすることを原則げんそくとし、提供ていきょうする支援しえんは、まいと基本きほんてき日常にちじょう生活せいかつじょう支援しえんとする。

 

説明せつめい

地域ちいき社会しゃかい自立じりつ生活せいかつをすすめるための共同きょうどう住居じゅうきょ(いえ)という原点げんてんった制度せいど構築こうちくをする。グループホームでの支援しえんは、居住きょじゅう空間くうかん確保かくほ基本きほんてき生活せいかつ支援しえん家事かじ支援しえんおよ夜間やかん支援しえんとし、一人ひとりひとりに必要ひつようなパーソナルな支援しえんについては個別こべつ生活せいかつ支援しえん利用りようできるようにする。一人ひとりひとりがよりそのひとらしさを発揮はっきできる状況じょうきょうし、住民じゅうみんとしてらしていくことが大切たいせつである。一方いっぽうグループホームは特定とくてい生活せいかつ様式ようしき義務ぎむづけられない」ためにも、自分じぶん自分じぶんらしをえらぶ、選択肢せんたくしひとつだとかんがえる必要ひつようがある。

 

グループホーム、ケアホームは実態じったいからしてもグループホームで統一とういつすべきである。また、定員ていいん規模きぼは、生活せいかつなので家庭かていちか規模きぼにするという観点かんてんから4ひとから5ひととし、複数ふくすう住居じゅうきょかれてむことをみとめる。

なお、市町村しちょうそん独自どくじ事業じぎょう福祉ふくしホームがグループホームへの移行いこう希望きぼうする場合ばあいには、移行いこうできるようにする。

 

4.施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん

 

表題ひょうだい施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん

結論けつろん

○ 施設しせつ入所にゅうしょ支援しえんについては、短期たんき入所にゅうしょ、レスパイトをふくむセーフティネットとしての機能きのう明確めいかくはかるとともに、利用りようしゃ生活せいかつしつ確保かくほするものとする。

 

○ くには、地域ちいき移行いこう促進そくしんはかりつつ、施設しせつにおける支援しえんにかかる給付きゅうふおこなうものとする。

 

○ くにおよ地方ちほう公共こうきょう団体だんたいは、施設しせつ入所にゅうしょしゃ地域ちいき生活せいかつへの移行いこう可能かのうにするための地域ちいき資源しげん整備せいび計画けいかく策定さくていし、地域ちいき生活せいかつのための社会しゃかい資源しげん拡充かくじゅう推進すいしんする。

 

○ 施設しせつ入所にゅうしょしゃたいして、地域ちいき移行いこう目標もくひょうとする個別こべつ支援しえん計画けいかく策定さくていすることを基本きほんとし、並行へいこうして入所にゅうしょしゃ生活せいかつ環境かんきょう質的しつてき向上こうじょうすすめつつ、意向いこう沿った支援しえんおこなう。また、相談そうだん支援しえん機関きかん連携れんけいし、利用りようしゃ意向いこう把握はあく自己じこ決定けってい(支援しえん自己じこ決定けっていふく)尊重そんちょうされるようにする。

 

○ 施設しせつ入所にゅうしょ支援しえんについては、施設しせつ入所にゅうしょいたるプロセスの検証けんしょうおこないつつ、地域ちいき基盤きばん整備せいび10カ年かねん戦略せんりゃく終了しゅうりょうに、その位置いちづけなどについて検証けんしょうするものとする。

 

説明せつめい

 現行げんこう障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくでは、施設しせつ定員ていいん削減さくげん目標もくひょう地域ちいき生活せいかつへの移行いこう目標もくひょうかかげられている。しかし、地域ちいき生活せいかつへの移行いこうすすめられているものの、新規しんき入所にゅうしょしゃこうたないため、施設しせつ入所にゅうしょ定員ていいん削減さくげん目標もくひょう達成たっせいむずかしい状況じょうきょうである。したがって、施設しせつ入所にゅうしょいたるプロセスの検証けんしょうおこなうことは重要じゅうようである。

いままで以上いじょう地域ちいき生活せいかつ支援しえん体制たいせい、グループホームとう社会しゃかい資源しげん拡充かくじゅう公営こうえい住宅じゅうたくとう住宅じゅうたく施策しさく充実じゅうじつ必要ひつようひとへのホームヘルパーとう居宅きょたく支援しえん個別こべつ生活せいかつ支援しえんとう地域ちいき生活せいかつのための支援しえん強化きょうかすべきである。

 

 ただ現状げんじょうにおいては、施設しせつ入所にゅうしょ支援しえんはたしている、地域ちいき様々さまざま困難こんなんかかえるひとたちのセーフティネットとしての機能きのう焦点しょうてんてて、医療いりょうとリハビリテーションとうふくむその役割やくわり位置いちづけを明確めいかくする必要ひつようがある。また、げんに、おおくのひとたちが施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん生活せいかつしている実態じったいかんがみ、そのひとたちの生活せいかつしつ確保かくほする必要ひつようもある。

 

そのため、よんにん部屋へやから個室こしつへの居住きょじゅう環境かんきょう改善かいぜんとうすすめるとともに、高齢こうれいしゃ支援しえんや、強度きょうど行動こうどう障害しょうがいとうにより個別こべつてき支援しえん必要ひつようひとおよつみつぐなったひと地域ちいき生活せいかつ移行いこう前提ぜんてい利用りようできるような支援しえん強化きょうかと、地域ちいきとの連携れんけいすすめることが重要じゅうようで、これを可能かのうにする職員しょくいん体制たいせい確保かくほする必要ひつようがある。さらに、利用りようしゃ生活せいかつしつ向上こうじょうのために小規模しょうきぼ(定員ていいん縮小しゅくしょうとユニット)すすめることがのぞまれるが、そのために職員しょくいん体制たいせい(とりわけ医療いりょう専門せんもんしょく配置はいち)確保かくほのありかた検討けんとうすべきである。

 

 また、継続けいぞくした医療いりょうとう支援しえん必要ひつようとなる重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃとう地域ちいき移行いこうにあたっては、本人ほんにんおよ保護ほごしゃ家族かぞく不安ふあん負担ふたん十分じゅうぶんめ、いのち生活せいかつしつ保障ほしょうされるよう合意ごういながらすすめることが必要ひつようである。

 

さらに、入所にゅうしょ待機たいきしゃ入所にゅうしょ希望きぼうしゃに、家族かぞく同居どうきょ以外いがい地域ちいき生活せいかつへの道筋みちすじ可能かのうせいしめし、特定とくてい生活せいかつ様式ようしきいられないように配慮はいりょすることが肝要かんようである。入所にゅうしょ長期ちょうきけるために、地域ちいき移行いこう目標もくひょうにした個別こべつ支援しえん計画けいかく策定さくていするべきである。地域ちいき生活せいかつ移行いこうでは、あくまでも利用りようしゃ意向いこう尊重そんちょうし、支援しえん必要ひつようひとには情報じょうほう提供ていきょうし、施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん継続けいぞくしつつ、地域ちいき移行いこうプログラム(T−5参照さんしょう)ひとし体験たいけんしながら意向いこう確認かくにんができる支援しえん必要ひつようである。

 

また従来じゅうらい入所にゅうしょ施設しせつ利用りようしゃ訪問ほうもんけいサービスとう利用りようできないことになっているが、それでは地域ちいき移行いこうすすまないので、施設しせつ入所にゅうしょ支援しえん並行へいこうして一定いってい期間きかんはグループホームや個別こべつ生活せいかつ支援しえん利用りようできることとすべきである。

 

そのうえで、今後こんご地域ちいき基盤きばん整備せいび10カ年かねん戦略せんりゃくとう入所にゅうしょ施設しせつから地域ちいき生活せいかつへの移行いこうけた各種かくしゅ施策しさくにより、地域ちいきにおける基盤きばん整備せいび進展しんてんするなかで、入所にゅうしょ施設しせつ役割やくわり機能きのうとうその位置いちづけを検証けんしょうする必要ひつようがある。

 

5.個別こべつ生活せいかつ支援しえん

 

表題ひょうだい】@重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご発展はってんてき継承けいしょうによるパーソナルアシスタンス制度せいどそう      

    しつらえ

結論けつろん

○ パーソナルアシスタンスとは、

)利用りようしゃ主導しゅどう(支援しえんけての主導しゅどうふく)による

)個別こべつ関係かんけいせいしたでの

)包括ほうかつせい継続けいぞくせい

そなえた生活せいかつ支援しえんである。

 

○ パーソナルアシスタンス制度せいど創設そうせつけて、現行げんこう重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご充実じゅうじつ発展はってんさせる。

 

○ 対象たいしょうしゃ重度じゅうど肢体したい不自由ふじゆうしゃ限定げんていせず、障害しょうがい種別しゅべつわず日常にちじょう生活せいかつ全般ぜんぱん常時じょうじ支援しえんようする障害しょうがいしゃ利用りようできるようにする。また、障害しょうがい必要ひつようおうじてパーソナルアシスタンス制度せいど使つかえるようにする。

 

○ 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご利用りようかんして一律いちりつにその利用りよう範囲はんい制限せいげんする仕組しくみをなくす。また、決定けっていされた支給しきゅうりょう範囲はんいないであれば、通勤つうきん通学つうがく入院にゅういん1にち範囲はんいえる外出がいしゅつ運転うんてん介助かいじょにも利用りようできるようにする。また、制度せいど利用りようとう支援しえん見守みまもりもふくめた利用りようしゃ精神せいしんてき安定あんていのための配慮はいりょとうもパーソナルアシスタンスによる支援しえんくわえる。

 

○ パーソナルアシスタンスの資格しかくについては、従事じゅうじするものくち幅広はばひろり、仕事しごとをしながら教育きょういくける職場しょくばない訓練くんれん(OJT)基本きほんにした研修けんしゅうプログラムとし、実際じっさい障害しょうがいしゃ介助かいじょはいったじつ経験けいけん時間じかんとう評価ひょうかするものとする。

 

説明せつめい

 重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご発展はってんさせ、パーソナルアシスタンス制度せいど創設そうせつするにあたっては、

)利用りようしゃ主導しゅどう(ヘルパーや事業じぎょうしょではなく利用りようしゃがイニシアティブをもつ支援しえん)

)個別こべつ関係かんけいせい(事業じぎょうしょ派遣はけんする特定とくていものおこな介助かいじょではなく利用りようしゃ信任しんにん特定とくていものおこな支援しえん)

)包括ほうかつせい継続けいぞくせい(支援しえん体系たいけいによって分割ぶんかつされ断続だんぞくてき提供ていきょうされる介助かいじょではなく利用りようしゃ生活せいかつ一体いったいになって継続けいぞくてき提供ていきょうされる支援しえん)

確保かくほされる必要ひつようがある。

 

 現行げんこう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにおける重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご対象たいしょうしゃは、「重度じゅうど肢体したい不自由ふじゆうしゃであって常時じょうじ介護かいごようする障害しょうがいしゃ(だい5じょう3)限定げんていされているが、障害しょうがい社会しゃかいモデルを前提ぜんていとする障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくおよ谷間たにまのない制度せいどをめざす障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう趣旨しゅしまえれば、このような機能きのう障害しょうがい種別しゅべつ医学いがくモデルにもとづく利用りよう制限せいげん見直みなおしが必要ひつようである。

 

身体しんたい介護かいご家事かじ援助えんじょ日常にちじょう生活せいかつしょうじる様々さまざま介護かいご事態じたい対応たいおうするための見守みまもとう支援しえんおよ外出がいしゅつ介護かいごが、比較的ひかくてき長時間ちょうじかんにわたり、総合そうごうてきかつ断続だんぞくてき提供ていきょうされるような支援しえん(平成へいせい19(2007)とし2つき厚生こうせい労働省ろうどうしょう事務じむ連絡れんらく)難病なんびょう高次こうじのう機能きのう障害しょうがいめくらろうしゃとうふくむ「日常にちじょう生活せいかつ全般ぜんぱん常時じょうじ支援しえんようする」(どう)すべての障害しょうがいしゃたいして利用りよう可能かのうとする。

 

とくに、重度じゅうど自閉症じへいしょう知的ちてき障害しょうがいとうにより行動こうどう障害しょうがいはげしいなどの理由りゆうで、これまで入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういんからの地域ちいき移行いこう困難こんなんとされてきたひとたちが、地域ちいき生活せいかつ継続けいぞくするためには、常時じょうじ見守みまも支援しえんかすことはできない。また、現行げんこう制度せいどにおいては重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご対象たいしょうとなっていない障害しょうがいについても対象たいしょうとする。

 

以上いじょうかんがみると、パーソナルアシスタンス制度せいどは、かく障害しょうがい特性とくせいやニーズからるキャンセルや待機たいきなどへの対応たいおうとう利用りようしゃにとっては柔軟じゅうなん利用りようができ、かつ報酬ほうしゅうじょう評価ひょうかされる仕組しくみにすべきである。

 

また、パーソナルアシスタンスは、利用りようしゃ主導しゅどうせいした個別こべつ関係かんけいせいなかで、個別こべつせいつよ支援しえん対応たいおうできるかをまえることがもとめられるため、資格しかく取得しゅとくのための研修けんしゅうは、現在げんざい重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご研修けんしゅうよりも従事じゅうじするものくち幅広はばひろり、仕事しごとをしながら教育きょういくける職場しょくばない訓練くんれん(OJT)基本きほんにしたものとする必要ひつようがある。

 

 

表題ひょうだい】A居宅きょたく介護かいご(身体しんたい介護かいご家事かじ援助えんじょ)改善かいぜん

結論けつろん

    現行げんこう居宅きょたく介護かいご改善かいぜんしたうえで、個別こべつ生活せいかつ支援しえん位置付いちづける。

 

説明せつめい

居宅きょたく介護かいご(身体しんたい介護かいご家事かじ援助えんじょ)においても、かく障害しょうがい特性とくせいやニーズからるキャンセルや待機たいきなどへの対応たいおうとう利用りようしゃにとっては柔軟じゅうなん利用りようができ、かつ報酬ほうしゅうじょう評価ひょうかされる仕組しくみにすべきである。

居宅きょたく介護かいごは、家族かぞく同居どうきょする場合ばあいやグループホームで生活せいかつする場合ばあいさら障害しょうがいにも利用りよう可能かのうとする。

 

 

表題ひょうだい】B移動いどう介護かいご(移動いどう支援しえん行動こうどう援護えんご同行どうこう援護えんご)個別こべつ給付きゅうふ

結論けつろん

○ 障害しょうがい種別しゅべつわず、すべての障害しょうがいしゃ移動いどう介護かいご個別こべつ給付きゅうふにする。

 

○ 障害しょうがい通学つうがく通園つうえんのために移動いどう介護かいご利用りようできるようにする。

 

説明せつめい

あるく」「うごく」は「はなす」「く」「る」と同様どうよう基本きほんてき権利けんりであり、自治体じちたい裁量さいりょうおこな支援しえんには馴染なじまないため、移動いどう介護かいご(移動いどう支援しえん行動こうどう援護えんご同行どうこう援護えんご)個別こべつ給付きゅうふとし、くに1/2都道府県とどうふけん1/4補助ほじょきん精算せいさんという仕組しくみにするなど、くに都道府県とどうふけん財政ざいせい支援しえん強化きょうかする。また、くるま(障害しょうがいしゃ自家用車じかようしゃ障害しょうがいしゃ借用しゃくようしたくるま)移動いどう手段しゅだんとしてみとめるよう環境かんきょう整備せいびする。移動いどう介護かいご対象たいしょう障害しょうがい種別しゅべつわず、支援しえん必要ひつようとするすべての障害しょうがいしゃ利用りようできるものとする。

 

 

 

6.コミュニケーション支援しえんおよ通訳つうやく介助かいじょ支援しえん

 

表題ひょうだい】コミュニケーション支援しえんおよ通訳つうやく介助かいじょ支援しえん

結論けつろん

○ コミュニケーション支援しえんは、支援しえん必要ひつようとする障害しょうがいしゃたいし、社会しゃかい生活せいかつなか行政ぎょうせい事業じぎょうしゃ対応たいおうすべき必要ひつよう基準きじゅんもうけ、その費用ひようもとめない。

 

○ 通訳つうやく介助かいじょ支援しえんかんしては、めくらろうしゃ支援しえんニーズの特殊とくしゅせい多様たようせい、さらにその存在そんざい希少きしょうせいとう事情じじょうから都道府県とどうふけんでの実施じっしとし、個別こべつのニーズにおうじたコミュニケーションと情報じょうほう入手にゅうしゅかかわる支援しえんおよ移動いどうかかわる支援しえんとう一体いったいてき利用りようできるようにする。

 

説明せつめい

 通訳つうやく介助かいじょ支援しえんとは、めくらろうしゃけの通訳つうやく介助かいじょす。コミュニケーション支援しえん通訳つうやく介助かいじょ支援しえんは、「はなす」「く」「る」「あるく」「うごく」という基本きほんてき権利けんり保障ほしょうであり、自治体じちたい裁量さいりょうには馴染なじまないものでありながら、現状げんじょうでは自治体じちたい個別こべつ判断はんだんしている。そのことによる自治体じちたいあいだ格差かくさ深刻しんこく問題もんだいである。これらの支援しえんは、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえん不可欠ふかけつであり、かついままでその権利けんりせい十分じゅうぶんみとめられてこなかった類型るいけいである。

 

. 装具そうぐ日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ

 

表題ひょうだい装具そうぐ日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ

結論けつろん

    日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ装具そうぐ同様どうよう個別こべつ給付きゅうふとする。

 

説明せつめい

 日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ給付きゅうふとう事業じぎょうは、自立じりつ支援しえん給付きゅうふである装具そうぐとの明確めいかく定義ていぎじょうちがいも不明瞭ふめいりょうであり、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつには不可欠ふかけつである。そこで、日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐ支給しきゅう個別こべつ給付きゅうふとすべきである。

 

8.相談そうだん支援しえん  相談そうだん支援しえん」のこう参照さんしょう

9.権利けんり擁護ようご  権利けんり擁護ようご」のこう参照さんしょう

 

B.地域ちいき実情じつじょうおうじて提供ていきょうされる支援しえん

市町村しちょうそん独自どくじ支援しえん

 

表題ひょうだい市町村しちょうそん独自どくじ支援しえん

結論けつろん

○ 現在げんざい地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうした実施じっしされているものは、できるだけ「全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされる支援しえん」とし、柔軟じゅうなんかたち障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんかすすめるものなど自治体じちたい裁量さいりょうとしてのこほうがよいものは、市町村しちょうそん独自どくじ支援しえんとして事業じぎょうのこす。

 

○ 現行げんこう福祉ふくしホームと居住きょじゅうサポート事業じぎょう市町村しちょうそん独自どくじ支援しえんとして継続けいぞくし、前者ぜんしゃはグループホームへの移行いこう可能かのうにする。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうなかで、地域ちいき活動かつどう支援しえんセンターでの活動かつどう多岐たきおよび、支給しきゅう決定けっていプロセスをずに、より柔軟じゅうなんかたち障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんか支援しえんすすめているところもある。そうした活動かつどうについては障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうしたでも、全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみとはべつに、市町村しちょうそん独自どくじ事業じぎょうとして実施じっしできるようにする。

 

つぎに、現行げんこう福祉ふくしホームについては、当面とうめん市町村しちょうそん独自どくじ支援しえん位置付いちづけつつ、希望きぼうすればグループホームへ移行いこうできるようにする。

さらに、現行げんこう居住きょじゅうサポート事業じぎょう必要ひつよう機能きのうゆうしているものの、受託じゅたくする事業じぎょうしゃすくなく、住宅じゅうたく部門ぶもんとの連携れんけい不十分ふじゅうぶんであり、実施じっし市町村しちょうそんおおくない。福祉ふくし部門ぶもんだけではなく、住宅じゅうたく部門ぶもん連携れんけいしたかたち実効じっこうせいのある居住きょじゅうサポートの仕組しくみが必要ひつようである。

 

また、グループホームとうから単身たんしん生活せいかつ移行いこうする場合ばあい事業じぎょう対象たいしょうとする必要ひつようがある。どう事業じぎょうは、相談そうだん支援しえん事業じぎょう付帯ふたい事業じぎょうてき位置いちづけとなっており、住居じゅうきょ確保かくほ緊急きんきゅう対応たいおうなど限定げんていてき場面ばめんかぎられているが、地域ちいきでの安心あんしんできるらしを継続けいぞくてきにサポートする訪問ほうもんがた生活せいかつ支援しえんとして機能きのう強化きょうかし、独立どくりつして運営うんえい可能かのう支援しえんとする必要ひつようがある。

 

 

 

 

C.支援しえん体系たいけい機能きのうさせるために必要ひつよう事項じこう

1.医療いりょうてきケアの拡充かくじゅう

 

表題ひょうだい医療いりょうてきケアの拡充かくじゅう

結論けつろん

○ にちちゅう活動かつどう支援しえんひとつであるデイアクティビティセンターにおいて看護かんご複数ふくすう配置はいちするなど、濃厚のうこう医療いりょうてきケアが必要ひつようひとでも希望きぼうすればどうセンターを利用りようできるような支援しえん体制たいせい確保かくほする。あわせて重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃについては、児童じどうから成人せいじんにわたり、医療いりょうふく支援しえん体制たいせい継続けいぞくてき一貫いっかんして提供ていきょうされる仕組しくみを創設そうせつする。

 

○ 地域ちいき生活せいかつ必要ひつよう医療いりょうてきケア(吸引きゅういんとうほかに、カニューレ交換こうかんしるべ尿にょう・摘便・呼吸こきゅう操作そうさとうふく)が、本人ほんにん家族かぞくおこなうのと同等どうとう生活せいかつ支援しえん行為こういとして、学校がっこう移動いどうちゅうなど、地域ちいき生活せいかつのあらゆる場面ばめん確保かくほされる。

 

○ 入院にゅういんちゅうにおいても、従来じゅうらいより継続けいぞくてき介助かいじょ信頼しんらい関係かんけいゆうする介助かいじょしゃ(ヘルパーとう)によるサポートを確保かくほし、地域ちいき生活せいかつ継続けいぞく可能かのうとする。

 

説明せつめい

最近さいきんとく濃厚のうこう医療いりょうてきケアを必要ひつようとするちょう重症じゅうしょうといわれるひとたちが増加ぞうか傾向けいこうにあり、このため医療いりょうがた通所つうしょ整備せいび要請ようせいされている。デイアクティビティセンターは重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃ利用りようすることも想定そうていされており、そのさいには看護かんご複数ふくすう配置はいち必須ひっす要件ようけんとする。濃厚のうこう医療いりょうてきケアを必要ひつようとする重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃが、18としたっしたことを理由りゆうべつ体系たいけい事業じぎょうへの利用りよう変更へんこうもとめられ支援しえんしゃおよ支援しえん方法ほうほうわることは、生命せいめい危機ききにもつながる重大じゅうだい環境かんきょう変化へんかであることから、かり法律ほうりつ体系たいけいわるとしても人権じんけんまもられ年齢ねんれい相応そうおう生活せいかつおくることができるよう、一貫いっかんした支援しえん体制たいせいれるようにする。

 

また、生活せいかつ支援しえん行為こういとしての医療いりょうてきケアとは、個別こべつせい重視じゅうしして十分じゅうぶん信頼しんらい関係かんけいのあるヘルパーが、本人ほんにん家族かぞくおこなうのと同等どうとう行為こういとして特定とくていもの医療いりょうてきケアをおこなうということであり、信頼しんらい関係かんけいのある介助かいじょしゃ研修けんしゅう訓練くんれんけたうえで、医療いりょうてきケアができる濃密のうみつ支援しえん可能かのうとする仕組しくみがもとめられる。同様どうよう仕組しくみは、学校がっこうにおいても必要ひつようである。また、一方いっぽう入院にゅういん必要ひつよう場合ばあいには、信頼しんらい関係かんけいのある介助かいじょしゃ(ヘルパー)によってサポートがられるようにして、必要ひつよう医療いりょうながら、地域ちいき生活せいかつ継続けいぞくできるようにする。

 

2.にちちゅう活動かつどうとう支援しえんにおける定員ていいん緩和かんわなど

 

表題ひょうだいにちちゅう活動かつどうとう支援しえん定員ていいん緩和かんわなど

結論けつろん

    過疎かそとう事業じぎょうしょ利用りようしゃ5でも事業じぎょう展開てんかいできるようにする。

 

説明せつめい

地方ちほうけばくほどひとあつまらないため、5でも事業じぎょう展開てんかいすることができるようにする。現在げんざい重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃ通園つうえん事業じぎょうBかた平成へいせい24とし4つきからは生活せいかつ介護かいご事業じぎょうへの移行いこうかんがえられるが、地方ちほう利用りようしゃすくない地域ちいきでは、利用りようしゃあつまらないために運営うんえい困難こんなんになる可能かのうせいがあり、十分じゅうぶん配慮はいりょ必要ひつようである。

 

3.にちちゅう活動かつどうとう支援しえんへの通所つうしょ保障ほしょう

 

表題ひょうだいにちちゅう活動かつどうとう支援しえんへの通所つうしょ保障ほしょう

結論けつろん

○ くににちちゅう活動かつどうとう支援しえんへの送迎そうげい支援しえん内容ないよう一環いっかん位置付いちづけ、これにかか費用ひよう報酬ほうしゅうじょう評価ひょうかする仕組しくみとする。

 

○ 報酬ほうしゅう算定さんていにあたってせいかけなどの送迎そうげいちゅう支援しえんまえることや、公共こうきょう交通こうつう機関きかんとうによる通所つうしょしゃあつかいをあわせて検討けんとうする。

 

説明せつめい

にちちゅう活動かつどうとう支援しえん利用りようするには送迎そうげい必要ひつようである。また、医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひと送迎そうげいには看護かんご添乗てんじょう必要ひつようになる。現行げんこう生活せいかつ介護かいごには送迎そうげい経費けいひふくまれているとの解釈かいしゃくがあるが、通所つうしょ事業じぎょうには送迎そうげい経費けいひふくまれていない。障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいては、実績じっせきおうじて報酬ほうしゅうふくまれるような制度せいどにする必要ひつようがある。

報酬ほうしゅう算定さんていたっては、送迎そうげいこえかけや見守みまもりをふくめた支援しえんとして位置いちづけるのか、たんなる移動いどう支援しえんとして位置いちづけるのかについて結論けつろん必要ひつようがある。また、公共こうきょう交通こうつう機関きかんとう利用りようする通所つうしょしゃ交通こうつうとう移動いどうかか費用ひよう支給しきゅうについても、その取扱とりあつかいを検討けんとうする。

 

 

4.グループホームでの生活せいかつささえる仕組しく

 

表題ひょうだい】グループホームでの生活せいかつささえる仕組しく

結論けつろん

○ グループホームで居宅きょたく介護かいごとう個別こべつ生活せいかつ支援しえん利用りようできるようにする。

 

○ 高齢こうれいとうによりにちちゅう活動かつどうにかかる支援しえん利用りようすることが困難こんなんであるか、またはそれを必要ひつようとしないひとにちちゅうをグループホームでごすことができるように、支援しえん体制たいせい確保かくほとう必要ひつよう措置そちこうじる。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおけるグループホームは多様たようまいかた支援しえんひとつであることから、在宅ざいたく障害しょうがいしゃ同様どうように、居宅きょたく介護かいごとう個別こべつ支援しえん併給へいきゅうできるようにする。

 

今後こんご高齢こうれい重度じゅうど重複じゅうふく障害しょうがい医療いりょうてきケアや行動こうどう障害しょうがいとうさまざまなニーズのあるひとたちの利用りようおおくなることが想定そうていされ、介助かいじょとう個別こべつ支援しえん必要ひつようとするそれらのひとたちにたいして、居宅きょたく介護かいごとう活用かつようすることで、地域ちいきでの自立じりつ生活せいかつ可能かのうとなる。

 

また、それらのひとたちも利用りようできるようハードめんでの整備せいび推進すいしんするとともに、職員しょくいん夜間やかん常駐じょうちゅう休日きゅうじつにちちゅう支援しえん医療いりょうてきケアの実施じっし可能かのうとなるよう、報酬ほうしゅう運営うんえい基準きじゅん人員じんいん配置はいち見直みなおしをはか必要ひつようがある。

 

したがって、グループホームでの支援しえんをグループホームの機能きのうとしてすべてを包括ほうかつせず、最低限さいていげん機能きのうそなえつつ、それ以外いがいのパーソナルな支援しえんはオプションとして、利用りようできるようにすることが適切てきせつである。これらの関係かんけい整理せいり検討けんとうし、生活せいかつ支援しえん体制たいせい確保かくほすることが必要ひつようである。

 

5.グループホームとうらしの設置せっち促進そくしん

 

表題ひょうだい】グループホームとうらしの設置せっち促進そくしん

結論けつろん

○ 国庫こっこ補助ほじょによるグループホームの整備せいび積極せっきょくてき確保かくほする。また、重度じゅうど障害しょうがい様々さまざまなニーズのあるひとへの支援しえん想定そうていし、安定あんていてき運営うんえい可能かのうとする報酬ほうしゅうがく必要ひつようである。一方いっぽう、グループホームを建設けんせつするさい地域ちいき住民じゅうみんへの理解りかい促進そくしんについて、事業じぎょうしゃにのみにゆだねる仕組しくみを見直みなおし、行政ぎょうせい事業じぎょうしゃ連携れんけい協力きょうりょくする仕組しくみとすることが必要ひつようである。

                                         ※ 公営こうえい住宅じゅうたく民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく活用かつようについてはVを参照さんしょうのこと。

 

説明せつめい

地域ちいき生活せいかつへの移行いこう促進そくしんするじょうで、重度じゅうど障害しょうがいしゃ利用りようできるグループホームをふく住居じゅうきょ確保かくほするため、国庫こっこ補助ほじょによる整備せいび促進そくしん必要ひつようである。また、報酬ほうしゅう単価たんかひくく、人材じんざい確保かくほ事業じぎょう運営うんえい困難こんなんがあるなど、グループホーム単独たんどくでは経営けいえいりたない現状げんじょうがあるため、積極せっきょくてき整備せいび推進すいしんするための予算よさん確保かくほ必要ひつようである。

 

また、グループホームを建設けんせつする場合ばあい地域ちいき住民じゅうみん理解りかいるのに時間じかんようし、ときには建設けんせつ断念だんねんする場合ばあいもある。建設けんせつたって地域ちいき住民じゅうみん理解りかいもとめることについては、事業じぎょうしゃゆだねるのではなく、地方自治体ちほうじちたい責務せきむとして事業じぎょうしゃ連携れんけい協力きょうりょくし、そして障害しょうがいしゃ団体だんたいとう協力きょうりょくをして住民じゅうみん理解りかい促進そくしんはか必要ひつようがある。

 

公営こうえい住宅じゅうたくてい家賃やちんであり、まいとしての重要じゅうよう社会しゃかい資源しげんといえる。バリアフリーした公営こうえい住宅じゅうたく拡充かくじゅうして、インクルージョンの視点してん配慮はいりょしつつグループホームとしての活用かつよう促進そくしんすることが必要ひつようである。

 

6.一般いっぱん住宅じゅうたくやグループホームへの家賃やちん補助ほじょ

 

表題ひょうだい】グループホーム利用りようしゃへの家賃やちん補助ほじょとう

結論けつろん

○ グループホーム利用りようしゃへの家賃やちん補助ほじょ住宅じゅうたく手当てあてとうによる経済けいざいてき支援しえんさく重要じゅうようである。

 

※ 一般いっぱん住宅じゅうたく障害しょうがいしゃへの家賃やちん補助ほじょ住宅じゅうたく手当てあてとうについてはVを参照さんしょうのこと。

 

説明せつめい

収入しゅうにゅうひく障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこう可能かのうとするため、家賃やちん補助ほじょ住宅じゅうたく手当てあて創設そうせつのぞましい。生活せいかつ保護ほご同様どうように、障害しょうがいしゃ基礎きそ年金ねんきん住宅じゅうたく手当てあて上積うわづみされることがのぞましいが、住宅じゅうたく手当てあてとした場合ばあいひろ国民こくみん対象たいしょうとした手当てあて制度せいど生活せいかつ保護ほご制度せいどにおける住宅じゅうたく扶助ふじょとうとの関係かんけい整理せいりする必要ひつようもある。また、それぞれの住宅じゅうたく状況じょうきょうまえると一律いちりつ金額きんがくとはせず、一定いってい範囲はんいない家賃やちんおうじて住宅じゅうたく手当てあて支給しきゅうするのが現実げんじつてきであり、また社会しゃかい理解りかいやすい。

 

7.分野ぶんやとの役割やくわり分担ぶんたん財源ざいげん調整ちょうせい

 

表題ひょうだい】シームレスな支援しえん分野ぶんやとの役割やくわり分担ぶんたん財源ざいげん調整ちょうせい

結論けつろん

○ 障害しょうがいがいかに重度じゅうどであっても、地域ちいきなかもの平等びょうどうまなび、はたらき、生活せいかつし、余暇よかごすことができるような制度せいどとする。

 

説明せつめい

 「ものとの平等びょうどう」の視点してんから障害しょうがいがいかに重度じゅうどであっても、地域ちいきなかで「もの」とおな生活せいかついとなみ、ともそだち、まなび、「もの」とおな職場しょくば仕事しごとをこなし、「もの」と同様どうよう余暇よかごすことができるような制度せいど必要ひつようである。

 そのさい、シームレスな支援しえん確保かくほするために、障害しょうがいしゃ雇用こよう納付のうふきん介護かいご保険ほけん教育きょういくとう関連かんれん分野ぶんや財源ざいげんとの調整ちょうせいをする仕組しくみも必要ひつようである。


 

T−5 地域ちいき移行いこう 

 

表題ひょうだい】「地域ちいき移行いこう」の法定ほうてい

結論けつろん

○ 「地域ちいき移行いこう」とは、まいを施設しせつ病院びょういんから、たんもと家庭かていもどすことではなく、障害しょうがいしゃ個々人ここじん市民しみんとして、みずかえらんだまいで安心あんしんして、自分じぶんらしいらしを実現じつげんすることを意味いみする。

 

○ すべての障害しょうがいしゃは、地域ちいきらす権利けんりゆうし、障害しょうがい程度ていど状況じょうきょう支援しえんりょうとうかかわらず、地域ちいき移行いこう対象たいしょうとなる。

 

○ くにが、社会しゃかいてき入院にゅういん社会しゃかいてき入所にゅうしょ早急そうきゅう解消かいしょうするために「地域ちいき移行いこう」を促進そくしんすることをほう明記めいきする。

 

○ くには、重点的じゅうてんてき予算よさん配分はいぶん措置そちともなった政策せいさくとして、地域ちいき移行いこうプログラムと地域ちいき定着ていちゃく支援しえん法定ほうてい施策しさくとして策定さくていし、実施じっしする。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにおいて、平成へいせい23年度ねんどまつまでに、身体しんたい知的ちてき施設しせつ入所にゅうしょしゃ1わり(13,000ひと)地域ちいき移行いこう精神せいしん病院びょういんからの72,000ひと退院たいいん促進そくしんが、地域ちいき移行いこう政策せいさく目標もくひょうとしてうたわれた。だが、退院たいいん退すさところしてもあらたに入院にゅういん入所にゅうしょする現状げんじょうがある。そうした状況じょうきょう解消かいしょうするめに、入院にゅういん入所にゅうしょいたるプロセスの検証けんしょうおこない、地域ちいき生活せいかつのための社会しゃかい資源しげん拡充かくじゅうしなければならない

 

本来ほんらいだれもが地域ちいきらしをいとな存在そんざいであり、障害しょうがいしゃ一生いっしょう施設しせつ病院びょういんごすことは普通ふつうではない。入院にゅういん入所にゅうしょしゃみたいところをえらぶ、自分じぶんらしを展開てんかいするなど、障害しょうがいしゃ本人ほんにん意志いし希望きぼう選択せんたく尊重そんちょうされる支援しえん仕組しくみと選択肢せんたくしつくることが早急そうきゅうもとめられる。とりわけ家族かぞく状況じょうきょう支援しえん不足ふそくから希望きぼうしていない生活せいかつ環境かんきょうにある障害しょうがいしゃについても、本来ほんらい地域ちいき移行いこう支援しえん対象たいしょうしゃふくまれるべきであり、いち部屋へや多数たすうものまう形態けいたい解消かいしょうし、地域ちいき生活せいかつ実現じつげんできるようにすることを検討けんとうされるべきである。

 

地域ちいき移行いこう促進そくしんにあたって、地方ちほうにおける地域ちいき基盤きばん整備せいび財政ざいせいとう格差かくさとうくに地方ちほう財政ざいせい負担ふたん構造こうぞうなどに課題かだいがあるなかで、たんに、施設しせつ入所にゅうしょ定員ていいん病院びょういん病床びょうしょうすう減少げんしょう法定ほうていすることだけでは、家族かぞく不安ふあん負担ふたんいる危険きけんせい混乱こんらんまねきかねない。そこで地域ちいき移行いこうは、地域ちいき移行いこうプログラムと地域ちいき定着ていちゃく支援しえん入所にゅうしょ入院にゅういんしている障害しょうがいしゃ提供ていきょうしつつ、だれもが地域ちいきらせるための地域ちいき資源しげん支援しえんシステムを整備せいびする必要ひつようがある。とくに、長期ちょうき入所にゅうしょしゃ入院にゅういんしゃについては、地域ちいき移行いこう阻害そがい要因よういん検証けんしょうしつつ、緊急きんきゅう人権じんけん回復かいふくされるよう支援しえんされるべきである。

 

そのうえで、今後こんご、「地域ちいき基盤きばん整備せいび10カ年かねん戦略せんりゃくとう入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういんから地域ちいき生活せいかつへの地域ちいき移行いこうけた各種かくしゅ施策しさくにより、地域ちいきにおける基盤きばん整備せいび進展しんてんするなかで、入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういん役割やくわり機能きのうとう、その位置いちづけを見直みなお必要ひつようがある。また、地域ちいき移行いこうホーム、退院たいいん支援しえん施設しせつとうのように、どういち敷地しきちない移行いこうのための施設しせつ是非ぜひふくめ、そのかたについても今後こんご検討けんとうすべきである。

 

 

表題ひょうだい地域ちいき移行いこうプログラムと地域ちいき定着ていちゃく支援しえん

結論けつろん

○ 地域ちいき移行いこうプログラムと地域ちいき定着ていちゃく支援しえんは、実際じっさい地域ちいき生活せいかつはじめられるように、一人ひとりひとりの状況じょうきょうわせて策定さくていされる。地域ちいき移行いこうプログラムでは、入院にゅういん入所にゅうしょしゃ選択肢せんたくし用意よういされ、本人ほんにん希望きぼう納得なっとくのもとで施設しせつ病院びょういんからの外出がいしゅつ地域ちいき生活せいかつたのしむ体験たいけん居住きょじゅう体験たいけんとうのプログラムも提供ていきょうされる。また、地域ちいき定着ていちゃく支援しえんでは、地域ちいき生活せいかつ必要ひつよう支援しえん、その福祉ふくし制度せいどかんする手続てつづきとう支援しえん必要ひつようとする社会しゃかい資源しげんむすけるなどの環境かんきょう調整ちょうせいおこなうものとする。

 

○ 地域ちいき移行いこうプログラムと地域ちいき定着ていちゃく支援しえん事業じぎょうは、くに事業じぎょうとしておこなう。施設しせつおよ病院びょういんは、これらの事業じぎょうけるよう積極せっきょくてきつとめなければならない。施設しせつおよ病院びょういんがこれらの事業じぎょうおこな場合ばあいには、地域ちいき相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃ権利けんり擁護ようご事業じぎょうしゃとう地域ちいき移行いこう支援しえんしゃ連携れんけいするための体制たいせい整備せいびしなければならない。

 

○ ピアサポーター(地域ちいき移行いこう支援しえんをする障害しょうがい当事とうじしゃ)ひとしは、入院にゅういん入所にゅうしょしゃ意思いし希望きぼうきとりつつ、支援しえんするノウハウをかし、重要じゅうよう人的じんてき資源しげんとして中心ちゅうしんてき役割やくわりになう。とく長期ちょうき入所にゅうしょしゃ入院にゅういんしゃたいする支援しえんは、不安ふあん軽減けいげん意欲いよく回復かいふくのために、本人ほんにんった支援しえん必要ひつようである。

 

○ 入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういん職員しょくいんがそれぞれの専門せんもんせいをよりたかめ、地域ちいき生活せいかつ支援しえん専門せんもんしょくとしての役割やくわりはたすため、くに移行いこう支援しえんプログラムを用意よういし、これらの職員しょくいん利用りようきょうしなければならない。

 

※ 地域ちいき移行いこう促進そくしんするための住宅じゅうたく確保かくほ施策しさくについてはVを参照さんしょうのこと。

 

説明せつめい

 地域ちいき移行いこうプログラムは、障害しょうがいしゃ意志いし自己じこ決定けってい確認かくにんし、それを実現じつげんするためのものである。

入院にゅういんしゃ入所にゅうしょしゃみずかえらぶことを基本きほんとして設計せっけいされるべきである。地域ちいき移行いこうプログラムは、地域ちいき移行いこうできるひと選別せんべつするものではないので、標準ひょうじゅんてきなプログラムに適応てきおうできるかどうかを判断はんだんするものであってはならない。あくまでも本人ほんにん支援しえんという観点かんてんから本人ほんにんわせた個別こべつてきなものとして準備じゅんびされるものである。

 

このような地域ちいき移行いこうプログラムの実施じっしたっては、入所にゅうしょしゃ入院にゅういんしゃが、どのようなニーズがあって入所にゅうしょ入院にゅういんしているのか、定期ていきてきにそのニーズをききと必要ひつようがあり、社会しゃかいてき入所にゅうしょ入院にゅういん軽減けいげん目指めざさなければならない。

 

そのさい施設しせつ病院びょういん関係かんけいしゃだけでなく、地域ちいき移行いこう支援しえんしゃ(相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃ権利けんり擁護ようご事業じぎょうしゃ障害しょうがいしゃ団体だんたい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい市民しみんとう様々さまざま立場たちばもの)とチームをむことができる仕組しくみをつくることが必要ひつようである。このことは、安易あんい新規しんき入所にゅうしょ入院にゅういんけるためにも重要じゅうようである。

 

また、地域ちいき移行いこうプログラムを提供ていきょうしつつ、移行いこうさきでの地域ちいき定着ていちゃく支援しえんとして、様々さまざまなサービスをけるため申請しんせい社会しゃかい資源しげん配置はいちとうおこなわれるべきである。地域ちいき移行いこうプログラムおよ地域ちいき定着ていちゃく支援しえん事業じぎょうは、まず施設しせつ病院びょういんから外出がいしゅつしたり、地域ちいきでの生活せいかつたのしむ体験たいけんとうをしながら、自分じぶん地域ちいき生活せいかつをイメージする期間きかん必要ひつようである。そのため移動いどう支援しえんとう福祉ふくしサービスを利用りようできる仕組しくみや経済けいざいてき困難こんなん入院にゅういん入所にゅうしょしゃにはその費用ひよう助成じょせいする仕組しくみが不可欠ふかけつである。

 

また、この事業じぎょうささえる人材じんざいとくにピアサポーターを地域ちいき移行いこう推進すいしんのための重要じゅうよう人的じんてき資源しげん位置いちづけ、ピアサポーターの育成いくせいならびに地域ちいき移行いこう支援しえん活動かつどうたいする正当せいとう報酬ほうしゅうとう財源ざいげん確保かくほすべきである。

 

さらには、現行げんこう施設しせつ病院びょういん職員しょくいんがその専門せんもんせい地域ちいき支援しえんかしていくことが、地域ちいき移行いこう推進すいしんしていくうえもとめられることになる。そのさいには、職員しょくいんには、地域ちいき生活せいかつ支援しえん観点かんてんから支援しえんかたについて視点してん転換てんかんもとめられるので、その転換てんかん容易よういにするための移行いこう支援しえんプログラムが用意よういされる必要ひつようがある。


 

 


 

T−6 地域ちいき生活せいかつ資源しげん整備せいび 

 

表題ひょうだい】 「地域ちいき基盤きばん整備せいび10ヵ年かねん戦略せんりゃく(仮称かしょう)策定さくてい法定ほうてい

結論けつろん

     くには、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいて、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかついとなじょう必要ひつよう社会しゃかい資源しげん計画けいかくてき整備せいびするため本法ほんぽう実施じっしされる時点じてん起点きてんとして、前半ぜんはん計画けいかく後半こうはん計画けいかくからなる「地域ちいき基盤きばん整備せいび10ヵ年かねん戦略せんりゃく(仮称かしょう)策定さくていするものとする。

策定さくていたっては、とくに下記かきてん留意りゅういすることが必要ひつようである。

 

・ 長期ちょうき入院にゅういん入所にゅうしょしている障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこうのための地域ちいきにおけるまいの確保かくほにちちゅう活動かつどう支援しえんサービスの提供ていきょうとう社会しゃかい資源しげん整備せいびは、緊急きんきゅうかつ重点的じゅうてんてきおこなわれなければならないこと。

 

・ 重度じゅうど障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつするための長時間ちょうじかん介助かいじょ提供ていきょうする社会しゃかい資源しげん都市としのみならず農村のうそんにおいても重点的じゅうてんてき整備せいびし、事業じぎょうしゃ存在そんざいしないためにサービスがけられないといった状況じょうきょうをなくすべきであること。

 

・ 地域ちいき生活せいかつささえるショートステイ・レスパイト支援しえん医療いりょうてきケアを提供ていきょうできる事業じぎょうしょ人材じんざい不足ふそくしている現状げんじょうあらためること。

 

     都道府県とどうふけんおよ市町村しちょうそんは、くにさだめる「地域ちいき基盤きばん整備せいび10ヵ年かねん戦略せんりゃく(仮称かしょう)もとづき、障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくとうにおいて、地域ちいき生活せいかつ資源しげん整備せいびする数値すうち目標もくひょう設定せっていするものとする。

 

     数値すうち目標もくひょう設定せっていは、入院にゅういんしゃ入所にゅうしょしゃ・グループホーム入居にゅうきょしゃとう実態じったい調査ちょうさもとづかなければならない。この調査ちょうさにおいては入院にゅういん入所にゅうしょ理由りゆう退院たいいん退すさところ阻害そがいする要因よういん施設しせつもとめられる機能きのうについて、障害しょうがいしゃへのりをおこなわなければならない。

 

 ※ 地域ちいき移行いこう促進そくしんするための住宅じゅうたく確保かくほ施策しさくについてはVを参照さんしょうのこと。

 

説明せつめい

 福祉ふくしサービスは、それを提供ていきょうするマンパワーなくして成立せいりつしない。福祉ふくしサービスには様々さまざまなものがあるが、地域ちいき社会しゃかい生活せいかついとなじょう必要ひつよう支援しえんおこな事業じぎょうしょ人材じんざいは、いまもって不足ふそくしている。

 

とくに、重度じゅうど障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつするうえで、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごとうにな事業じぎょうしょ人材じんざいは、大都市だいとしふく全般ぜんぱんてき不足ふそくしており、農村のうそんにはほとんどないといった状況じょうきょう存在そんざいすることは、このたびの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい被災ひさい状況じょうきょうてもあきらかである。しかしこれでは、どこで、だれとむかといったきわめて基本きほんてき権利けんりさえ実現じつげんできない。

 

また、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつささえるうえで、ショートステイやレスパイト支援しえん医療いりょうてきケアの充実じゅうじつかすことができない要素ようそである。

たとえば、グループホームや一般いっぱん住宅じゅうたくらす障害しょうがいしゃ調子ちょうしくずしたり、家族かぞくとの関係かんけい一時いちじてき悪化あっかしたときなどに、生活せいかつなお支援しえんとしてのショートステイがすぐ使つかえることは、地域ちいき生活せいかつ継続けいぞくするうえでかすことができない。

同様どうよう家族かぞく同居どうきょする場合ばあい家族かぞくケアの観点かんてんからの障害しょうがいしゃ家族かぞく精神せいしんてき物理ぶつりてき休養きゅうよう目的もくてきとしたレスパイトケアの充実じゅうじつもとめられる。

 

しかしながら、必要ひつようなときにいつでも使つかえるショートステイやレスパイト支援しえん提供ていきょうするサービス事業じぎょうたいすくなく、法的ほうてき制約せいやくのもとで、医療いりょうてきケアを提供ていきょうできる介助かいじょしゃ非常ひじょう不足ふそくしているのが現状げんじょうであり、これらにかかわる社会しゃかい資源しげん拡大かくだいすることが急務きゅうむである。

 そこで、くには、必要ひつよう財源ざいげん確保かくほしたうえで、上記じょうきにかかる社会しゃかい資源しげん早急そうきゅう確保かくほすべきである。

 

さらに、長期ちょうき入院にゅういん入所にゅうしょ余儀よぎなくされ、そのために住居じゅうきょうしなうもしくは家族かぞく疎遠そえんになり、がない状況じょうきょうにある障害しょうがいしゃたいする住宅じゅうたく確保かくほのための施策しさくきわめて重要じゅうようであり、だい規模きぼむねしないよう配慮はいりょしつつグループホームを整備せいびすることや、家賃やちん補助ほじょとう整備せいびは、緊急きんきゅう課題かだいである。

 

施設しせつ待機たいきしゃは、すべてがしん施設しせつ入所にゅうしょ必要ひつようものとはえない。障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくとう単純たんじゅん施設しせつ待機たいきしゃすう施設しせつ設置せっち根拠こんきょとすることは妥当だとうではない。待機たいきしゃは、さまざまな福祉ふくしサービス利用りよう待機たいきしゃであるとの視点してんち、具体ぐたいてき地域ちいき基盤きばん整備せいびすすめることが必要ひつようである。またさい入院にゅういんさい入所にゅうしょについても、障害しょうがいしゃ本人ほんにん問題もんだいとしてのみとらえるのではなく、地域ちいき支援しえん不足ふそく不備ふびからくるものとして検証けんしょうし、ふたた地域ちいき移行いこうにむけて支援しえんおこなうことが必要ひつようである。

 

これらをおこなうためには、入院にゅういんしゃ入所にゅうしょしゃ実態じったい調査ちょうさ不可欠ふかけつである。

なぜ入院にゅういん入所にゅうしょいたったのか、入院にゅういんしゃ入所にゅうしょしゃ希望きぼうなにか、なに退院たいいん退すさところ阻害そがいする要因よういんであるのかを、くに主導しゅどう分析ぶんせきすべきである。そのさい全国ぜんこくてき把握はあく地域ちいき特性とくせい把握はあくが、地域ちいき支援しえんのありかたかかわる貴重きちょうなデータであり、地域ちいき移行いこうけたみの根拠こんきょとなる。なお、定員ていいんいち定数ていすうえるだい規模きぼなグループホームについても、病院びょういん入所にゅうしょ施設しせつ同様どうよう入居にゅうきょしゃへの調査ちょうさ対象たいしょうふくめるべきである。

 

以上いじょうもとづき、くには、地域ちいきにおける障害しょうがいしゃけの住宅じゅうたくにちちゅう活動かつどう訪問ほうもんけいサービスとうあらたにだい規模きぼ提供ていきょうすることを目標もくひょうにした「地域ちいき基盤きばん整備せいび10ヵ年かねん戦略せんりゃく(仮称かしょう)策定さくていすべきである。このさい設定せっていされる数値すうち目標もくひょうは、今後こんごおこなわれる入院にゅういん入所にゅうしょしゃへの調査ちょうさ結果けっかなどにもとづいて設定せっていされるものとする。

 

また、都道府県とどうふけん市町村しちょうそん障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは、この「10ヵ年かねん戦略せんりゃく」にもとづいた数値すうち目標もくひょう設定せっていすべきである。地方ちほう公共こうきょう団体だんたい障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくとうかかげられた地域ちいき移行いこうしゃ目標もくひょう数値すうちは、地域ちいき支援しえんサービス整備せいび目標もくひょう数値すうちとともに現実げんじつ達成たっせいされることがもとめられる。しかし、地域ちいき移行いこう施設しせつ病院びょういんからまいを移行いこうしただけでおわるものではないため、移行いこう地域ちいきでの生活せいかつ実態じったい把握はあく支援しえんじょうきょう検証けんしょうおこなうべきである。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう支援しえん資源しげん総合そうごうてき計画けいかくてき整備せいびするため、市町村しちょうそん市町村しちょうそん障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくを、都道府県とどうふけん都道府県とどうふけん障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく策定さくていし、くにはその基本きほん方針ほうしんおよびそのための整備せいび計画けいかくしめす。

 

○ くにさだめる障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくのためのだい整備せいび計画けいかく地域ちいき基盤きばん整備せいび10ヵ年かねん戦略せんりゃく」の前半ぜんはん整備せいび計画けいかくをもっててる

 

○ 障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは、その策定さくてい過程かてい評価ひょうか見直みなお過程かていで、障害しょうがいしゃ障害しょうがいしゃ家族かぞく事業じぎょうしゃ、その市民しみん参加さんかする「地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい」の十分じゅうぶん関与かんよ確保かくほする。とくに知的ちてき障害しょうがい精神せいしん障害しょうがいやこれまで制度せいど谷間たにまにおかれてきた障害しょうがいしゃ難病なんびょうとう当事とうじしゃ参加さんかもとめられる。

 

○ 基本きほん方針ほうしんおよび障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく策定さくてい評価ひょうかは、客観きゃっかんてき調査ちょうさデータをまえておこなう。とりわけ地域ちいき社会しゃかいでの日常にちじょう生活せいかつ社会しゃかい参加さんか実態じったい障害しょうがいのない市民しみんのそれとの比較ひかくしたデータを重視じゅうしする。

 

○ 障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは1ねんとする。

 

○ くに都道府県とどうふけん市町村しちょうそん障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく実施じっし必要ひつよう予算よさん措置そちこうじる。

説明せつめい

障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは、支援しえん資源しげん計画けいかくてき整備せいび障害しょうがい当事とうじしゃ関係かんけいしゃ行政ぎょうせい協議きょうぎ相互そうご理解りかい形成けいせい一般いっぱん市民しみん議会ぎかい障害しょうがいしゃ支援しえんについて理解りかいする手段しゅだん実態じったい調査ちょうさなどデータ収集しゅうしゅう契機けいきなどの多様たようなメリットがあり、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうでも既存きそん計画けいかくとの関係かんけいせいをよく整理せいりしたうえで、継続けいぞく発展はってんさせるべきである。

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは、十分じゅうぶん当事とうじしゃ参加さんかがなく参加さんかする障害しょうがいしゃ障害しょうがい種別しゅべつ限定げんていされていること、くに目標もくひょう人口じんこうてはめた計画けいかくおおいこと、策定さくてい実施じっしじょうきょう評価ひょうかとその評価ひょうかをふまえた改善かいぜん修正しゅうせいというめんよわいことなどの課題かだい指摘してきされてきた。これらの克服こくふく必要ひつようとされる。

 

また、障害しょうがいしゃ基本きほん計画けいかく10とし計画けいかくであり、前半ぜんはん後半こうはんけて数値すうち目標もくひょうふくむ「重点じゅうてん施策しさく実施じっしヵ年かねん計画けいかく」をさだ進捗しんちょくじょうきょう毎年まいとし報告ほうこくすることが定着ていちゃくしてきた。その中心ちゅうしん分野ぶんやである「福祉ふくし」が障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうしたでは3ねん計画けいかく(数値すうち目標もくひょう基本きほん設定せっていは6年間ねんかん)障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくとなっているのは、介護かいご保険ほけんとの統合とうごうをめざした結果けっかである。障害しょうがいしゃ施策しさく総合そうごうてき計画けいかくてき推進すいしん観点かんてんから、障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくは1ねんとし、障害しょうがいしゃ基本きほん計画けいかくの「重点じゅうてん施策しさく実施じっしヵ年かねん計画けいかく」と一致いっちさせるべきである。

 

なお、「障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく」の名称めいしょうについては、障害しょうがいしゃ基本きほんほうもとづく「障害しょうがいしゃ計画けいかく」、社会しゃかい福祉ふくしほうもとづく「地域ちいき福祉ふくし計画けいかくとう類似るいじ計画けいかくがあるので、「障害しょうがい分野ぶんやの「福祉ふくし領域りょういき計画けいかくであることを単純たんじゅん明快めいかいしめ名称めいしょう現行げんこうのままがよい。

 

 

表題ひょうだい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい

結論けつろん

○ 地域ちいきにおける既存きそん社会しゃかい資源しげん有機ゆうきてき連携れんけいさせ、地域ちいき全体ぜんたいにかかる課題かだい検討けんとうして地域ちいき社会しゃかい支援しえん体制たいせいをより充実じゅうじつさせる仕組しくみとして、市町村しちょうそん(ないしけんいき)および都道府県とどうふけん単位たんいで、障害しょうがいしゃおよびその関係かんけいしゃ参画さんかく前提ぜんていとした地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい法定ほうてい機関きかんとして設置せっちする。

 

○ 地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいは、その地域ちいきにおける障害しょうがいしゃ施策しさく現状げんじょう課題かだい検討けんとうし、改善かいぜん方策ほうさく必要ひつよう施策しさくこうじるための具体ぐたいてき協議きょうぎおこなうほか、市町村しちょうそんまた都道府県とどうふけんにおける障害しょうがいしゃかんする福祉ふくし計画けいかく策定さくてい意見いけんべるものとする。

 

○ とくに、都道府県とどうふけん単位たんい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいは、上記じょうきのほか、広域こういきてき専門せんもんてき情報じょうほう提供ていきょう助言じょげん市町村しちょうそん障害しょうがいしゃ福祉ふくし計画けいかく策定さくてい支援しえん機能きのうたすものとする。

 

○ 地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいは、ライフステージにわたる途切とぎれない支援しえん体制たいせい整備せいびされるよう、地域ちいきにおける様々さまざま社会しゃかい資源しげん連携れんけいするものとする。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう自立じりつ支援しえん協議きょうぎかいについての評価ひょうかはさまざまであるが、その地域ちいきらす障害しょうがいしゃ本人ほんにん個別こべつ相談そうだん支援しえんから、その地域ちいきにおける解決かいけつ困難こんなん課題かだい焦点しょうてんをあてて関係かんけいしゃ議論ぎろんをし、就労しゅうろうども、住居じゅうきょとう部会ぶかいもうけるなどして地域ちいき生活せいかつ実現じつげん可能かのうとなるための各種かくしゅ社会しゃかい資源しげん連携れんけい支援しえんあらたな開発かいはつ役割やくわりたすことや障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくへとつなげる役割やくわりたすことなどがあたらしい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい期待きたいされる。

 

さらに、地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい地域ちいき社会しゃかい資源しげんとう有機ゆうきてき連携れんけいし、より地域ちいきづくりのかくとして機能きのうするようにするためには、以上いじょうのような機能きのうゆうするものとして、法定ほうていすることが必要ひつようである。


 


 

T−7 利用りようしゃ負担ふたん 

 

表題ひょうだい利用りようしゃ負担ふたん

結論けつろん

○ ものとの平等びょうどう観点かんてんから、食材しょくざい光熱こうねつすいとうだれもが支払しはら費用ひよう負担ふたんをすべきであるが、障害しょうがいともな必要ひつよう支援しえんは、原則げんそく無償むしょうとすべきである。

ただし、高額こうがく収入しゅうにゅうのあるものには、収入しゅうにゅうおうじた負担ふたんもとめる。そのさい認定にんていする収入しゅうにゅうは、成人せいじん場合ばあい障害しょうがいしゃ本人ほんにん収入しゅうにゅう未成年みせいねん障害しょうがいしゃ場合ばあい世帯せたいぬし収入しゅうにゅうとする。

また、高額こうがく収入しゅうにゅうのあるもの利用りようしゃ負担ふたんについては、介護かいご保険ほけん利用りようふく必要ひつようなサービスの利用りようしゃ負担ふたん合算がっさんし、現行げんこう負担ふたん水準すいじゅん上回うわまわらないものとすることが必要ひつようである。

 

○ 上記じょうき障害しょうがいともな必要ひつよう支援しえんとは、おも以下いか6つの分野ぶんや整理せいりすることができる。

@  相談そうだん制度せいど利用りようのための支援しえん

A  コミュニケーションのための支援しえん

B  日常にちじょう生活せいかつおくるための支援しえん装具そうぐ支給しきゅう

C  社会しゃかい生活せいかつ活動かつどうおくるための支援しえん(アクセス・移動いどう支援しえんふく)

D  就労しゅうろう支援しえん

E  医療いりょう・リハビリテーションの支援しえん

なお、Eの医療いりょうについては、障害しょうがいしゃのすべての医療いりょう全額ぜんがく公費こうひ負担ふたんにというものではなく、障害しょうがいともな医療いりょう自己じこ負担ふたん公費こうひ負担ふたんにすることについてべたものである。

 

説明せつめい

(1) 利用りようしゃ負担ふたん問題もんだいてん

 

障害しょうがいのないひとは、食事しょくじ排泄はいせつ移動いどう・コミュニケーションひとしひととしてきるための基礎きそてき生活せいかつ行為こういみずからでおこなえるが、障害しょうがいしゃは、そうした生活せいかつ行為こうい困難こんなんになる。しかも、とく重度じゅうど障害しょうがいしゃ場合ばあい住宅じゅうたく交通こうつう移動いどう医療いりょう福祉ふくし支援しえんのみならず、それ以外いがい分野ぶんやでも障害しょうがいともな必要ひつようとされる支出ししゅつおおくなる。したがって、こうした行為こういへの支援しえんかかって障害しょうがいのあるひと負担ふたんすことは、障害しょうがいのないひととのあいだあらたな格差かくさ差別さべつむことになる。

 

また、厚労省こうろうしょう作成さくせいした資料しりょうによると障害しょうがい福祉ふくしサービス利用りようしゃのうち非課税ひかぜい生活せいかつ保護ほごてい所得しょとく世帯せたい86.3%とやくわりのぼり、こうした世帯せたいにとって、きるために不可欠ふかけつ支援しえんへの利用りようりょうおおきな負担ふたんになっている。以上いじょうのことから、障害しょうがいによってしょうじる日常にちじょう生活せいかつおよび社会しゃかい生活せいかつじょう困難こんなん軽減けいげんする支援しえんは、原則げんそくとして、社会しゃかい責任せきにんになうべきである。

「ある程度ていど負担ふたんがあったほうが、遠慮えんりょせずに支援しえんもとめやすい」という意見いけんもあるが、それはそもそも支援しえんたいする報酬ほうしゅう(公費こうひ)おさえられたことが背景はいけいにあり、必要ひつよう十分じゅうぶん支給しきゅうりょう報酬ほうしゅうられれば、「支援しえんをおねがいしている」という遠慮えんりょ解消かいしょうされる。

 

ただし、高額こうがく収入しゅうにゅうのあるものには収入しゅうにゅうおうじた負担ふたんもとめることとし、そのさい認定にんていする収入しゅうにゅうは、成人せいじん場合ばあい障害しょうがいしゃ本人ほんにん収入しゅうにゅう未成年みせいねん障害しょうがいしゃ場合ばあい世帯せたいぬし収入しゅうにゅうとする。「高額こうがく収入しゅうにゅう」の認定にんてい基準きじゅん設定せっていするさいには、サービスの利用りよう抑制よくせいにならない水準すいじゅんとし、その場合ばあい負担ふたんする金額きんがく現行げんこう制度せいど(平成へいせい22(2010)とし4つき以降いこう)水準すいじゅん上回うわまわらないものとする。

 

 

(2) 利用りようしゃ負担ふたんたいする負担ふたん軽減けいげんさく効果こうか問題もんだいてん

 

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう実施じっし平成へいせい18(2006)年度ねんど段階だんかいでは、福祉ふくしサービスを利用りようする在宅ざいたくしゃのうち52.2%のひと課税かぜい世帯せたいとされ、定率ていりつ(わり)応益おうえき負担ふたんせられた。その要因よういんは、収入しゅうにゅう認定にんてい対象たいしょう障害しょうがいしゃ本人ほんにん以外いがい同居どうきょ世帯せたい収入しゅうにゅう資産しさんふくまれたためであった。その負担ふたん軽減けいげんさく効果こうかは、収入しゅうにゅう認定にんていならびに資産しさん要件ようけん基準きじゅん見直みなお(同居どうきょ家族かぞく除外じょがい)によってその対象たいしょうえた。

 

平成へいせい22(2010)とし4つきから自立じりつ支援しえん給付きゅうふ装具そうぐについては、非課税ひかぜい世帯せたい負担ふたん上限じょうげんがくはゼロえんとなったため、非課税ひかぜい世帯せたい負担ふたん大幅おおはば軽減けいげんされた。

しかし課税かぜい世帯せたいとはいえ、月額げつがく上限じょうげん37,200えん負担ふたん能力のうりょくゆうするひとばかりではなく、なかでも障害しょうがいのいる世帯せたいは、おや若年じゃくねんであることから収入しゅうにゅう相対そうたいてきひくとう現状げんじょうがある。

 

また、これらは自立じりつ支援しえん医療いりょうには適用てきようされなかったため、応益おうえき負担ふたん問題もんだい改善かいぜんされなかった。さらに、地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうには、非課税ひかぜい世帯せたいでありながら利用りようりょう負担ふたんせられる現状げんじょうのこされている。

 

 

(3) 障害しょうがいともな必要ひつよう支援しえん

 

以上いじょうのことをまえ、結論けつろんしるした障害しょうがいともな必要ひつよう支援しえんについて具体ぐたいてき説明せつめいする。

@   相談そうだん制度せいど利用りようのための支援しえん

みずからの希望きぼう最適さいてき選択せんたく尊重そんちょうするために障害しょうがい配慮はいりょした相談そうだん支援しえんは、公的こうてき支援しえんとし無償むしょうとすべきである。

 

A   コミュニケーションのための支援しえん

手話しゅわ点字てんじゆび点字てんじ要約ようやく筆記ひっきとうのほか、自閉症じへいしょうとうひと良好りょうこうなコミュニケーションに必要ひつようなイヤーマフや会話かいわ補助ほじょよう機器きき(パソコンや携帯けいたい電話でんわとう電子でんし機器きき利用りようしたコミュニケーション機器きき)ひとしも、日常にちじょう生活せいかつ用具ようぐふくめ、無償むしょうとすべきである。

 

B   日常にちじょう生活せいかつおくるための支援しえん装具そうぐ支給しきゅう

食事しょくじ排泄はいせつ身体しんたい機能きのう障害しょうがい軽減けいげんするための義肢ぎし装具そうぐや、障害しょうがい配慮はいりょした住宅じゅうたく改修かいしゅう工事こうじとうについても公的こうてき支援しえんとし、原則げんそく無償むしょうとすべきである。

 

C           社会しゃかい生活せいかつ活動かつどうおくるための支援しえん(アクセス・移動いどう支援しえんふく)

これについては、原則げんそく無償むしょうとすべきである。くわえて、移動いどう支援しえんかか支援しえんしゃ交通こうつう入場にゅうじょうりょうとう障害しょうがいしゃ負担ふたんとしている現状げんじょうあらためるべきである。

 

D   就労しゅうろう支援しえん

就労しゅうろうのために必要ひつよう人的じんてき支援しえん、また障害しょうがいともな必要ひつよう移動いどう支援しえん原則げんそく無償むしょうとすべきである。

 

E   医療いりょう・リハビリテーションの支援しえん

障害しょうがい認定にんてい年金ねんきん申請しんせいのための診断しんだんしょ作成さくせいや、障害しょうがい軽減けいげん改善かいぜんのための必要ひつよう専門せんもん医療いりょう・リハビリテーションは、原則げんそく無償むしょうとすべきである。

 

 

(4) 実費じっぴ負担ふたん適切てきせつ水準すいじゅん確保かくほ

 

@ 通所つうしょ施設しせつとう食材しょくざい送迎そうげい利用りようりょう

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう実施じっし当時とうじ給食きゅうしょく食材しょくざいだけでなく人件じんけんふくめて大幅おおはば削減さくげん実施じっしされたため、通所つうしょ施設しせつとうでは多額たがく利用りようしゃ負担ふたんしょうじるという問題もんだいがあった。食材しょくざいは、障害しょうがいのないひと同等どうとう立場たちば権利けんり保障ほしょうという観点かんてんから利用りようしゃ負担ふたんとすることは妥当だとうだが、あわせて十分じゅうぶん所得しょとく保障ほしょうもとめられる。

 

ただし、障害しょうがいおもく、咀嚼そしゃく嚥下えんか能力のうりょくとういちじるしく困難こんなんである場合ばあいさい調理ちょうり必要ひつよう人件じんけん特別とくべつ原料げんりょう(とろみざいとう)かか費用ひよう必要ひつようとする場合ばあいがあるが、これは、障害しょうがいともな必要ひつよう支援しえんとして、利用りようしゃ負担ふたんとせず公的こうてき支援しえんすべきである。

 

実費じっぴ負担ふたんでは、欠席けっせきした場合ばあいのキャンセルりょう問題もんだいとなった。給食きゅうしょくのキャンセルりょうしている事業じぎょうしょおおくあり、しかも食材しょくざいだけでなく人件じんけんふくめたキャンセルりょう徴収ちょうしゅうしている事業じぎょうしゃ存在そんざいした。またインスタントラーメンのおだい徴収ちょうしゅうしている事業じぎょうしゃもあった。

 

さらに送迎そうげい利用りようりょう徴収ちょうしゅうについては、送迎そうげい障害しょうがいともな支援しえんであり、利用りようりょう徴収ちょうしゅうすべきではなく、公的こうてき支援しえんすべきである。送迎そうげい利用りようりょうのキャンセルりょう徴収ちょうしゅうしている事業じぎょうしゃがいるが、これは論外ろんがいである。こうした負担ふたんのありかた水準すいじゅん適切てきせつであるかかを判断はんだんするための基準きじゅんもうける必要ひつようがある。

 

A ガイドヘルパーの交通こうつう

ガイドヘルパーの交通こうつう入場にゅうじょうりょうとう障害しょうがいしゃ本人ほんにん負担ふたんしている現状げんじょうは、平等びょうどう社会しゃかい参加さんかという観点かんてんから解消かいしょうする必要ひつようがある。サービスにかかる経費けいひとして公的こうてき支出ししゅつするか、運賃うんちん割引わりびき制度せいど見直みなおしなどが検討けんとうされるべきである。

 

B 家賃やちん負担ふたん軽減けいげんについて

家賃やちんふくむ「だれもがはら費用ひよう」の負担ふたん困難こんなんてい所得しょとく障害しょうがいしゃたいして、グループホーム入居にゅうきょ、アパートとうにおける支援しえん自立じりつ生活せいかつべつにかかわらず、家賃やちん補助ほじょ必要ひつようである。また、相当そうとうがく家賃やちん補助ほじょ制度せいど実現じつげん前提ぜんていとしたうえで、入所にゅうしょ施設しせつ利用りようしゃ家賃やちん相当そうとうがくについては、その生活せいかつ実態じったいまえつつ実費じっぴ負担ふたんとすることが検討けんとうされるべきである。

 


 

T−8 相談そうだん支援しえん

 

ほんこうは、相談そうだん支援しえん体制たいせいをどのようにかんがえるかにたって、障害しょうがいしゃ普段ふだんかかわりあう人間にんげん関係かんけい地域ちいきなかでのささいの重要じゅうようせい日頃ひごろせっする支援しえんしゃによる相談そうだん重要じゅうようせい指摘してきする意見いけん、さらには、相談そうだん体制たいせい過度かど整備せいびたいする危惧きぐねんしめ意見いけんとうまえ、まったくこれまでなかったものをあらたにつくすというよりも、おおくは現状げんじょうとして存在そんざいする相談そうだん事業じぎょう課題かだい整理せいりしたうえで、より機能きのうてきに、より本人ほんにん中心ちゅうしん相談そうだん事業じぎょう運用うんようされるよう、基本きほん理念りねん確認かくにんしたうえで、そのかた提言ていげんしたものである。

 

表題ひょうだい相談そうだん支援しえん

結論けつろん

     相談そうだん支援しえん対象たいしょうは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうさだめる障害しょうがいしゃどうほう支援しえん可能かのうせいがあるものおよびその家族かぞくとうとする。

 

     相談そうだん支援しえんは、福祉ふくし制度せいど利用りようするさい相談そうだんのみでなく、障害しょうがい疾病しっぺいとう理由りゆうがあって生活せいかつのしづらさ、困難こんなんかかえているひとびとに、福祉ふくし医療いりょうサービス利用りよう如何いかにかかわらず幅広はばひろ対応たいおうするものとする。 

また、障害しょうがいしゃ本人ほんにんかかえる問題もんだい全体ぜんたい対応たいおうする包括ほうかつてき支援しえん継続けいぞくてきなコーディネートをおこなう。

さらに、障害しょうがいしゃのニーズを明確めいかくにするとともに、その個別こべつニーズをたすために、地域ちいきでのあらたな支援しえん体制たいせいきずくための地域ちいきへのはたらきかけも同時どうじおこなうものとする。

 

説明せつめい

1.相談そうだん支援しえん事業じぎょう現状げんじょう課題かだい

 

(1)市町村しちょうそん格差かくさ

現行げんこう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうでは地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう(市町村しちょうそん裁量さいりょう)位置付いちづけられていることとうにより、実施じっしについては市町村しちょうそんによる格差かくさおおきい現状げんじょうにある。

 

(2)基本きほんてき相談そうだん支援しえん体制たいせい不備ふび

障害しょうがいしゃ本人ほんにんおよ家族かぞく相談そうだん内容ないようおうじて適切てきせつ支援しえんおこなうという本来ほんらい相談そうだん支援しえん事業じぎょうのありかたについて十分じゅうぶん理解りかい定着ていちゃくしていないために、わせや情報じょうほう提供ていきょうといった「一般いっぱん相談そうだん」をイメージした体制たいせい整備せいびにとどまり、具体ぐたいてき生活せいかつ支援しえんするためのんだ訪問ほうもん相談そうだん同行どうこう支援しえん継続けいぞくてき支援しえんおこなうことがむずかしい状況じょうきょうにある。

このような現状げんじょうにあるため障害しょうがいしゃ本人ほんにん中心ちゅうしん相談そうだん支援しえん定着ていちゃくしておらず、障害しょうがいしゃ本人ほんにんおよ家族かぞくから相談そうだん支援しえんたよりにならず不要ふようであるとさえ指摘してきされることもあり、あらたな地域ちいき相談そうだん支援しえん体制たいせい構築こうちく必要ひつようである。

 

(3)限定げんていてき支援しえん

現状げんじょう相談そうだん支援しえん限界げんかいとして、おもつぎ2てんげられる。

@     かく相談そうだん事業じぎょう個別こべつ制度せいどごとに位置いちづけられて実施じっしされているために相談そうだん事業じぎょうごとの守備しゅび範囲はんいによって、その対象たいしょう制度せいどわせた個別こべつてき対応たいおう年齢ねんれいによっても分断ぶんだんされている現状げんじょうにとどまり、その結果けっか限定げんていてき支援しえんとなってしまうか、または相談そうだん機関きかんに「たらいまわし」になりがちである。

A     難病なんびょう(難治なんじせい慢性まんせい疾患しっかん)高次こうじのう機能きのう障害しょうがい発達はったつ障害しょうがいとう手帳てちょう所持しょじしていない谷間たにま障害しょうがいについて十分じゅうぶん対応たいおうできていない。

とくに、これまで手帳てちょう所持しょじすることなく谷間たにまにおかれてきた障害しょうがい特性とくせいおうじた専門せんもんてき相談そうだん支援しえん必要ひつよう場合ばあいに、身近みぢか地域ちいきでの相談そうだん支援しえん整備せいびされていない。

 

(4)職種しょくしゅ機関きかんとの連携れんけい調整ちょうせいふく横断おうだんてき相談そうだん支援しえん体制たいせい不備ふび

社会しゃかいてき障壁しょうへきによる障害しょうがい多様たよう背景はいけいに、個別こべつ制度せいどわくえる横断おうだんてき課題かだいをもった相談そうだん内容ないよう増加ぞうかしているなかで、障害しょうがい多様たようおうじた複雑ふくざつなニーズをもつひと相談そうだん支援しえん十分じゅうぶんにこたえきれない現状げんじょうにある。こうした横断おうだんてき相談そうだん支援しえん体制たいせい不備ふびおも要因よういんとしては、職種しょくしゅ機関きかん連携れんけい調整ちょうせいおこな場合ばあい制度せいどてき枠組わくぐみがないこと、そして、これらの相談そうだん支援しえん体制たいせいにかかわる専門せんもんしょくふくめた人材じんざい大幅おおはば不足ふそくしていることなどがげられる。

 

2.あらたな相談そうだん支援しえん枠組わくぐ

 

 相談そうだん支援しえんは、障害しょうがいかんするあらゆる生活せいかつのしづらさや困難こんなんに、幅広はばひろ対応たいおうするための入口いりくちとなり、その展開てんかいにも責任せきにんつことが重要じゅうようであり、ワンストップ相談そうだんこころがけることが必要ひつようである。そのためには、現在げんざい分断ぶんだんされている発達はったつ相談そうだん教育きょういく相談そうだん就労しゅうろう支援しえん相談そうだん医療いりょう相談そうだんとう統合とうごうされた相談そうだん体制たいせいつくることをめざす。実現じつげんのためには、関係かんけいする法令ほうれい機関きかんとの調整ちょうせいはかりつつ、人材じんざい育成いくせいをする必要ひつようがあり、段階だんかいてき実施じっしすべきである。

 

また、人口じんこう規模きぼ見合みあった身近みぢか地域ちいきでの相談そうだん支援しえん体制たいせい整備せいび必要ひつようであり、その整備せいび計画けいかくについては、実態じったい調査ちょうさ結果けっかもとづき、具体ぐたいてき検討けんとうされるべきである。くわえて、いままでは社会しゃかい資源しげんとぼしいなかで、市町村しちょうそん直営ちょくえい相談そうだん支援しえんおこな体制たいせいられた。市町村しちょうそん相談そうだん窓口まどぐちではあるが、今後こんご地域ちいき継続けいぞくてき訪問ほうもん同行どうこう支援しえんとうふく体制たいせい必要ひつようであることから、相談そうだん支援しえん体制たいせいとして地域ちいき配置はいちする財政ざいせい基盤きばん確立かくりつした整備せいび必要ひつようである。

 

相談そうだん支援しえんは、地域ちいきによる格差かくさなく全国ぜんこく共通きょうつう仕組しくみで提供ていきょうされるべき支援しえんである。公共こうきょうてき立場たちばから積極せっきょくてきにアウトリーチしていくことがもとめられることから、必要ひつよう相談そうだん支援しえん人材じんざい確保かくほする補助ほじょ仕組しくみが構築こうちくされるべきである。

 

また、相談そうだん支援しえんつうじて、相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、障害しょうがいしゃ家族かぞく意向いこう、ニーズをり、それを包括ほうかつてき支援しえんむすけていくために、本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく立案りつあんする。さらに必要ひつようおうじて、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうのサービスを利用りようするためのサービス利用りよう計画けいかく策定さくていする。

 

なお、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうの「個別こべつ支援しえん計画けいかく」「サービス利用りよう計画けいかく」を本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかくわりとしてはならない。

 

 

表題ひょうだい相談そうだん支援しえん機関きかん設置せっちたすべき機能きのう

結論けつろん

○ 人口じんこう規模きぼによる一定いっていけんいきごとに、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンター、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターの配置はいち基本きほんとし、エンパワメント支援しえん事業じぎょうふくふくあいてき相談そうだん支援しえん体制たいせい整備せいびする。

 

○ 身近みぢか地域ちいきでの障害しょうがい種別しゅべつ課題かだいべつ年齢ねんれいべつによらないワンストップの相談そうだん支援しえん体制たいせい整備せいび充実じゅうじつ一定いってい地域ちいきにおける総合そうごうてき相談そうだん支援しえん体制たいせい拡充かくじゅうおこない、さらに広域こういき障害しょうがい特性とくせいおうじた専門せんもん相談そうだん支援しえん領域りょういき相談そうだん支援しえん(総称そうしょうして以下いか特定とくてい専門せんもん相談そうだんセンター)との連携れんけいやサポート体制たいせい整備せいびおこなう。

 

○ 身近みぢか地域ちいきでの障害しょうがいしゃ本人ほんにん(その家族かぞくふく)のエンパワメントを目的もくてきとするピアサポートや家族かぞく自身じしんによる相談そうだん支援しえん充実じゅうじつする(エンパワメント支援しえん事業じぎょう)

 

○ 地域ちいき相談そうだん支援しえんセンター、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンター(以下いか相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ」と総称そうしょうする)は、障害しょうがいしゃ本人ほんにんとうがわって支援しえんすることから、給付きゅうふ決定けっていおこな市町村しちょうそん行政ぎょうせいやサービス提供ていきょうおこな事業じぎょうしょからの独立どくりつせい担保たんぽされる必要ひつようがある。

 

説明せつめい

1.地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターの組織そしき体制たいせい役割やくわり

(1)組織そしき体制たいせい

地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターは、もっとも住民じゅうみん生活せいかつ身近みぢかけんいき(人口じんこう35まんにんに1ヶ所かしょ基準きじゅんとする)単位たんい設置せっちされるものとする。

地域ちいき相談そうだんセンターは、迅速じんそくにニーズにこたえるため、シンプルかつネットワークする相談そうだん支援しえん体制たいせいをめざし、その人材じんざい機能きのう強化きょうかしていく。

地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターは、当該とうがいセンターのみでは支援しえん困難こんなん場合ばあいにおいて、総合そうごう相談そうだんセンターおよび特定とくてい専門せんもん相談そうだん機関きかん協力きょうりょく助言じょげん直接ちょくせつ対応たいおうもとめるものとする。

 

(2)役割やくわり

地域ちいき相談そうだんセンターは、障害しょうがいしゃった相談そうだん支援しえん(アウトリーチをふく)継続けいぞくてき相談そうだん支援しえんおこなう。そのうえで、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターに所属しょぞくする相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、希望きぼうするひと対象たいしょう本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく・サービス利用りよう計画けいかく策定さくていできるものとする。

 

想定そうていされる相談そうだんしゃとして、具体ぐたいてきには、以下いか障害しょうがいしゃおよびその家族かぞくとうである。

@  支援しえんければ、ある程度ていど希望きぼう実現じつげんやニーズの解決かいけつ想定そうていできるひと

A  生活せいかつしつ維持いじ社会しゃかい参加さんか継続けいぞくしてサービスを利用りようする必要ひつようがあり、また希望きぼう表明ひょうめい制度せいど手続てつづき、サービス調整ちょうせいとう一貫いっかんした支援しえん希望きぼうするひと

B  社会しゃかい資源しげん活用かつようをしておらず、生活せいかつ困難こんなん状態じょうたいにあり社会しゃかい参加さんかたせていないひと(手帳てちょうをもたないひとふく)

C  部分ぶぶんてきにサービスとう利用りようしているものの、生活せいかつなおしを必要ひつようとしているひと

D  既存きそんのサービスとうでは解決かいけつ困難こんなん生活せいかつ課題かだいかかえているひと

E  家族かぞくとう身近みぢか関係かんけいのなかで問題もんだい主体しゅたいてき相談そうだんできるひとがおらず、んだ支援しえん必要ひつようとしているひと(虐待ぎゃくたいふく)

F  その相談そうだん支援しえん希望きぼうするひと

 

2.総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターの組織そしき体制たいせい役割やくわり

(1)組織そしき体制たいせい

総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターは、15まん30まんにんけんいき単位たんいに、都道府県とどうふけん市町村しちょうそん協議きょうぎして一定いってい条件じょうけんたした事業じぎょうしゃ事業じぎょう委託いたくして設置せっちする。

総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターには、手話しゅわ通訳つうやくゆう資格しかくしゃやろうあしゃ相談そうだんいんとう配置はいちする。

 

(2)役割やくわり

総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターは、相談そうだん支援しえんのなかで、とく複雑ふくざつ相談そうだん事例じれいについて対応たいおうする。

たとえば、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターからの要請ようせいおうじて上記じょうきB、C、D、Eの相談そうだんしゃ対応たいおうにあたるほか、長期ちょうき入院にゅういん入所にゅうしょをしているひと地域ちいき生活せいかつへの移行いこう相談そうだん刑事けいじ施設しせつとうから退すさところしてくるひと入所にゅうしょちゅうふくむ)の相談そうだんとう対応たいおうする。そのうえで、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターに所属しょぞくする相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、希望きぼうするひと対象たいしょう本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく・サービス利用りよう計画けいかく策定さくていできるものとする。

また、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターは、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターへの巡回じゅんかいふくめた相談そうだん支援しえん専門せんもんいんのスーパービジョン、および人材じんざい育成いくせい(研修けんしゅう)おこなう。

 

3.特定とくてい専門せんもん相談そうだん支援しえんセンターの組織そしき体制たいせい役割やくわり

(1)組織そしき体制たいせい

特定とくてい専門せんもん相談そうだん支援しえんセンターは、原則げんそく都道府県とどうふけん単位たんいとして設置せっちされる。

げんそんする身体しんたい障害しょうがいしゃ総合そうごう相談そうだんセンター、知的ちてき障害しょうがいしゃ総合そうごうセンター、精神せいしん保健ほけん福祉ふくしセンター、発達はったつ障害しょうがいしゃ支援しえんセンター、視覚しかく障害しょうがいしゃ支援しえんセンター、聴覚ちょうかく障害しょうがいしゃ支援しえんセンター、難病なんびょう相談そうだん支援しえんセンター、高次こうじのう機能きのう障害しょうがい支援しえんセンター、地域ちいき定着ていちゃく支援しえんセンターとう中心ちゅうしんに、特定とくてい専門せんもん相談そうだん支援しえんセンターとして整備せいびされる。

 

(2)役割やくわり

特定とくてい専門せんもん相談そうだん支援しえんセンターは、障害しょうがい種別しゅべつ障害しょうがい特性とくせいおうじた専門せんもん相談そうだんになうとともに、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターおよ総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターとうへの専門せんもんてき助言じょげん専門せんもんてき人材じんざい養成ようせい支援しえん本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく・サービス利用りよう計画けいかく策定さくていにあたっての助言じょげんとうおこなう。

  とくに、障害しょうがい特性とくせいおうじた専門せんもん相談そうだん(重度じゅうど障害しょうがい場合ばあい医療いりょうとの連携れんけい必要ひつよう場合ばあい難病なんびょうとう難治なんじせい慢性まんせい疾患しっかんともな場合ばあいなど)については、全国ぜんこく規模きぼ当事とうじしゃ組織そしきとう特定とくてい専門せんもん相談そうだん支援しえんセンターを活用かつようし「T‐4 支援しえん(サービス)体系たいけい」の「C-1医療いりょうてきケアの拡充かくじゅう」の内容ないようもとづいて、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンター、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンターとうとの相互そうご緊密きんみつ連携れんけい協力きょうりょくおこない、地域ちいきらせる相談そうだん支援しえんおこなうことが必要ひつようとなる。

 

4.相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ独立どくりつせい

相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょは、市町村しちょうそんやサービス事業じぎょうしょから独立どくりつせい担保たんぽされるべきであるから、都道府県とどうふけん指定していすることを基本きほんとする。また、地域ちいき実情じつじょうわせて障害しょうがい保健ほけん福祉ふくしけんいき単位たんい市町村しちょうそんいき単位たんい障害しょうがいしゃ本人ほんにん障害しょうがい福祉ふくし関係かんけいしゃ行政ぎょうせい関係かんけいしゃ参画さんかくする運営うんえい委員いいんかい設置せっちなどをつうじて、運営うんえい独立どくりつせいがチェックされなければならない。

 

 

表題ひょうだい本人ほんにん(およ家族かぞく)をエンパワメントするシステム

結論けつろん

     くには、障害しょうがいしゃ本人ほんにんによるピアサポート体制たいせいをエンパワメント事業じぎょうとして整備せいびする。身近みぢか地域ちいき(市町村しちょうそん広域こういきけん人口じんこう5まんにんから30まんにん)最低さいてい1所以ゆえんじょう割合わりあい地域ちいきにおけるエンパワメント支援しえんおこなえる体制たいせい整備せいびおこなうものとする。

 

○ エンパワメント支援しえん事業じぎょう目的もくてきは、障害しょうがいしゃたちのグループ活動かつどう交流こうりゅう提供ていきょう障害しょうがいしゃ本人ほんにんによる自立じりつ生活せいかつプログラム(ILP)自立じりつ生活せいかつ体験たいけんしつ、ピアカウンセリングとう提供ていきょうすることで、地域ちいき障害しょうがいしゃのエンパワメントを促進そくしんすることである。

 

○ エンパワメント支援しえん事業じぎょう実施じっし主体しゅたいは、障害しょうがいしゃ本人ほんにんやその家族かぞく過半数かはんすうめる協議きょうぎたいによって運営うんえいされる団体だんたいとする。

 

○ エンパワメント支援しえん事業じぎょうは、地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターに併設へいせつすることができる。

 

○ 障害しょうがいしゃ本人ほんにん(およ家族かぞく)をエンパワメントするシステムの整備せいびについては、当事とうじしゃリーダーや、しん障害しょうがいしゃをエンパワメントできる当事とうじしゃ組織そしき養成ようせいはかりつつ、段階だんかいてき実施じっしする。

 

説明せつめい

実際じっさい地域ちいき生活せいかつする障害しょうがいしゃ意思いし(自己じこ)決定けってい自己じこ選択せんたく支援しえんし、エンパワメントを支援しえんしているのは、本人ほんにんのことをよく理解りかいする家族かぞく支援しえんしゃであるとともに、各地かくち自立じりつ生活せいかつセンター(CIL)知的ちてき障害しょうがい本人ほんにん活動かつどう各種かくしゅ難病なんびょう精神せいしん障害しょうがいとう仲間なかまによるさまざまな当事とうじしゃ相互そうご支援しえん活動かつどう(セルフヘルプグループ)である。

問題もんだいは、一定いってい当事とうじしゃリーダーとその活動かつどうをサポートする仕組しくみが存在そんざいする地域ちいきと、存在そんざいしない地域ちいきとのあいだおおきな格差かくさ存在そんざいする。

 

制度せいど改革かいかくにあたっては、当事とうじしゃリーダー養成ようせいしん障害しょうがいしゃをエンパワメントできる当事とうじしゃ組織そしきとその活動かつどう公的こうてきにサポートする仕組しくみを創出そうしゅつしていくべきである。

なお、アメリカにおいては、リハビリテーションほうだい7あきらにおいて、自立じりつ生活せいかつセンターのピアカウンセリングと権利けんり擁護ようご活動かつどうとう補助ほじょきんされており、また平成へいせい13(2001)年度ねんどのメディケイドの改正かいせいで、精神せいしん障害しょうがいしゃのピアサポートが予算よさん可能かのうプログラムされている。

 

その方法ほうほうについては、各地かくちみが参考さんこうとなるが、今後こんごは、当事とうじしゃ活動かつどう先進せんしんてき地域ちいきをモデル指定していし、その成果せいか検証けんしょうしながら、全国ぜんこくてき格差かくさ解消かいしょうしていくことがのぞまれる。

また、デイアクティビティセンターのサービスのなかには、交流こうりゅう提供ていきょうやグループ活動かつどう位置いちづけて、エンパワメント支援しえんおこなうことも必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい相談そうだん支援しえん専門せんもんいん理念りねん役割やくわり

結論けつろん

○ 相談そうだん支援しえん専門せんもんいん(仮称かしょう)かんする理念りねん役割やくわりしめすことが重要じゅうようである。

 

○ 相談そうだん支援しえん専門せんもんいん基本きほん理念りねんは、すべての人間にんげん尊厳そんげんみとめ、いかなる状況じょうきょうにおいても自己じこ決定けってい尊重そんちょうし、当事とうじしゃ(障害しょうがいしゃ本人ほんにんおよ家族かぞく)との信頼しんらい関係かんけいきずき、人権じんけん社会しゃかい正義せいぎ実践じっせん根底こんていくことである。

 

○ 上記じょうき理念りねんもとづき相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、本人ほんにん意向いこうやニーズをり、必要ひつようおうじて本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかくおよびサービス利用りよう計画けいかく策定さくていにかかる支援しえんおこなう。具体ぐたいてきには、本人ほんにんのニーズをたすために制度せいどもとづく支援しえんむすびつけるだけでなく、制度せいどもとづかない支援しえんふく福祉ふくしかぎらない教育きょういく医療いりょう労働ろうどう経済けいざい保障ほしょう住宅じゅうたく制度せいどとう々あらゆる資源しげん動員どういんはか努力どりょくをする。

 また、資源しげん不足ふそくなどについて、その解決かいけつけて活動かつどうすることも重要じゅうようである。

 

説明せつめい

1.相談そうだん支援しえん専門せんもんいん役割やくわり

 

(1)相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、相談そうだんする障害しょうがいしゃおよびその家族かぞくそれぞれの利益りえきのために存在そんざいすることを一義いちぎとする。そのためには福祉ふくしサービスとう決定けってい提供ていきょうする役割やくわりから独立どくりつすることを原則げんそくとする。ただし、行政ぎょうせいにおいて相談そうだんおうじ、支給しきゅう決定けっていにかかわる職員しょくいん相談そうだん支援しえん専門せんもんいん研修けんしゅうけたものであることがのぞましい。

 

(2)相談そうだん支援しえん専門せんもんいんのなかにはソーシャルワークにかんする理念りねん知識ちしき技術ぎじゅつをもって業務ぎょうむ遂行すいこうするもの必要ひつようである。くわえてスーパーバイザーとしての役割やくわりや、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえんシステムのコーディネーターとしての役割やくわりになもの必要ひつようである。

 

(3)相談そうだん支援しえん専門せんもんいん障害しょうがいしゃい、信頼しんらい関係かんけいのもと障害しょうがいしゃ生活せいかつ成立せいりつさせ、継続けいぞくでき、ゆめ希望きぼうなどをかなえることをふく個々ここ人生じんせい支援しえんする専門せんもんしょくである。本人ほんにんによって選択せんたくされる立場たちばにあることから、地域ちいきなどをえて、相談そうだん支援しえん専門せんもんいん相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ選択せんたくできる体制たいせい整備せいびやそのための財政ざいせい措置そち検討けんとうされるべきである。聴覚ちょうかく障害しょうがいしゃ知的ちてき障害しょうがいしゃとう、コミュニケーション支援しえん必要ひつようとする障害しょうがいしゃのニーズを把握はあくし、本人ほんにん意思いし理解りかいするために、それぞれの障害しょうがい知識ちしき、コミュニケーション技能ぎのうけた専門せんもんせいのある相談そうだん支援しえんいん配置はいちとう必要ひつようである。

 

(4)障害しょうがいしゃ自身じしん相談そうだん支援しえん専門せんもんいんとなり、地域ちいき相談そうだん支援しえん体制たいせい全般ぜんぱんにおいて、きょうはたらけすることがのぞましい。なお、障害しょうがいしゃ相談そうだん支援しえん専門せんもんいんになるさいには、障害しょうがいしゃとしての生活せいかつ経験けいけんなどを実務じつむ経験けいけんとして勘案かんあんするなどを検討けんとうすべきである。

 

2.本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかくについて

 

(1)本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかくとは、障害しょうがいしゃ本人ほんにん希望きぼうもとづいて、相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ(地域ちいき相談そうだん支援しえんセンター、総合そうごう相談そうだん支援しえんセンター)相談そうだん支援しえん専門せんもんいん本人ほんにん(およ支援しえんしゃ)とともに立案りつあんする生活せいかつ設計せっけい総合そうごうてきなプランとする。本人ほんにん希望きぼうり、その実現じつげんにむけた本人ほんにんのニーズとその支援しえんのありかた(インフォーマルな支援しえんふくめたもの)総合そうごうてき計画けいかく策定さくていとなる。

 

(2)本人ほんにん中心ちゅうしん計画けいかく策定さくてい目的もくてきは、障害しょうがいしゃ本人ほんにんおもいや希望きぼう明確めいかくしていくことであり、それを本人ほんにんならびに本人ほんにんとかかわりのあるひと(支援しえんしゃふく)共有きょうゆうし、実現じつげんけてコーディネートしていくことである。

 

(3)本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく立案りつあん対象たいしょうとなるのは、セルフマネジメントがむずかしい意思いし(自己じこ)決定けってい支援しえん必要ひつようひとである。なお、本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく作成さくせい参加さんかするのは、障害しょうがいしゃ本人ほんにん本人ほんにんのことをよく理解りかいする家族かぞく支援しえんしゃ相談そうだん支援しえん専門せんもんいんである。

 

3.相談そうだん支援しえん専門せんもんいん業務ぎょうむ

 

相談そうだん支援しえん専門せんもんいんは、具体ぐたいてきには以下いかのような業務ぎょうむ内容ないようになう。

(1)相談そうだん支援しえんもとめる障害しょうがいしゃ本人ほんにん包括ほうかつてきなニーズを把握はあくする。とくに、聴覚ちょうかく視覚しかく障害しょうがい知的ちてき障害しょうがいしゃとう意思いし疎通そつう情報じょうほうることに困難こんなんかかえるひとけに、相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃ所在地しょざいち相談そうだん方法ほうほう(だれに、どのようなことを、どのように相談そうだんできるか)などについても、情報じょうほう提供ていきょう十分じゅうぶんおこなう。

(2)依頼いらいけた場合ばあいには、ニーズ中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく(本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえん計画けいかく、サービス利用りよう計画けいかく)本人ほんにんとともに立案りつあんする。

(3)本人ほんにん地域ちいき生活せいかつのニーズをたすために、総合そうごうてきなフォーマル・インフォーマルサービスの利用りよう支給しきゅう決定けっていのために行政ぎょうせいとう関係かんけい機関きかんとの協議きょうぎおこな調整ちょうせいする。

(4)必要ひつようおうじて、本人ほんにんとサービスを提供ていきょうするもの参加さんかする会議かいぎ開催かいさいし、複数ふくすうのサービスを提供ていきょうするものとうとの個別こべつ調整ちょうせいやそのための会議かいぎ開催かいさいする。

(5)サービス資源しげん不足ふそくしているときは必要ひつようなサービス(社会しゃかい資源しげん)開発かいはつにつなげる。

(6)相談そうだんプロセスをつうじて、サービス提供ていきょうのモニタリングおよ利用りようしゃ権利けんり擁護ようごおこなう。

 

 

表題ひょうだい相談そうだん支援しえん専門せんもんいん研修けんしゅう

結論けつろん

○ くに研修けんしゅう要綱ようこうさだめ、都道府県とどうふけんにおいて研修けんしゅう企画きかくから実施じっしまでの実務じつむになものたいする指導しどうしゃ研修けんしゅうおこなう。

 

○ 都道府県とどうふけん実施じっしする研修けんしゅうには基礎きそ研修けんしゅう、フォローアップ研修けんしゅう専門せんもん研修けんしゅう更新こうしん研修けんしゅう、そのがある。都道府県とどうふけんはその地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい人材じんざい育成いくせい部会ぶかいもうけ、上記じょうきこくおこな指導しどうしゃ研修けんしゅう修了しゅうりょうしゃとともに都道府県とどうふけんおこなうべき研修けんしゅう企画きかく実施じっしするものとする。研修けんしゅう運営うんえいとうについて委託いたくすることもできる。

 

○ 研修けんしゅう実施じっしにあたっては、障害しょうがいしゃ研修けんしゅう企画きかく講師こうしとなって研修けんしゅう提供ていきょうするがわになること、または研修けんしゅうけるがわにもなるなど、研修けんしゅうへの当事とうじしゃ参画さんかく支援しえんすることが重要じゅうようである。

 

 

説明せつめい

現在げんざいおこなわれている相談そうだん支援しえん従事じゅうじしゃ研修けんしゅうは、一部いちぶサービス管理かんりしゃ研修けんしゅう一体いったいてきおこなわれるなど、相談そうだん支援しえん専門せんもんいん固有こゆう役割やくわり機能きのう習得しゅうとくする研修けんしゅうとしては内容ないよう不十分ふじゅうぶんわざるをない。新法しんぽうもとめられる内容ないよう整理せいりし、相談そうだん支援しえん専門せんもんいん研修けんしゅう体制たいせいについては、研修けんしゅうカリキュラム内容ないよう充実じゅうじつとその体制たいせい確立かくりつはかられる必要ひつようがある。また、すべての相談そうだん支援しえん専門せんもんいん実務じつむ経験けいけんもとづき、一定いってい年限ねんげんごとに実践じっせんてき研修けんしゅう義務ぎむづけられる。

 

将来しょうらいてきには相談そうだん支援しえん専門せんもんいんしつ担保たんぽするうえでソーシャルワーク専門せんもんしょく基礎きそ資格しかくとすることを目指めざすべきである。そのためには、現行げんこう専門せんもんしょく養成ようせい課程かていでは、その内容ないよう不十分ふじゅうぶんであり、今般こんぱん障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく趣旨しゅしらし、必要ひつよう見直みなおしがはかられるべきである。

 

障害しょうがいしゃ(本人ほんにんおよ家族かぞく)との連携れんけいは、本人ほんにん中心ちゅうしん支援しえんおこなうにあたり、重要じゅうよう課題かだいである。

障害しょうがいしゃ自身じしん相談そうだん支援しえん専門せんもんいんとなり、地域ちいき相談そうだん支援しえん体制たいせい全般ぜんぱんにおいて、きょうはたらけすることがのぞましい。

なお、障害しょうがいしゃ自身じしん相談そうだん支援しえん専門せんもんいんになるさいには、当事とうじしゃとしての生活せいかつ経験けいけんなどを実務じつむ経験けいけんとして勘案かんあんするなどを検討けんとうすべきである。

 


 

T−9 権利けんり擁護ようご 

 

表題ひょうだい】サービスの希望きぼうしゃおよ利用りようしゃ権利けんり擁護ようご制度せいど

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける権利けんり擁護ようごとは、サービスを希望きぼうし、または利用りようする障害しょうがいしゃのそれぞれの生活せいかつ領域りょういき(居宅きょたく、グループホーム、入所にゅうしょ施設しせつとうにおける生活せいかつにちちゅう活動かつどう就労しゅうろうとう)場面ばめん(精神せいしん病院びょういんからの退院たいいん促進そくしんふく地域ちいき移行いこう)において、本人ほんにん孤立こりつしてかかえる苦情くじょう差別さべつてき取扱とりあつかい、虐待ぎゃくたいその人権じんけん侵害しんがいから、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう目的もくてき理念りねんにかかげる権利けんり擁護ようごし、侵害しんがいされた権利けんり救済きゅうさいはかることによって、本人ほんにんがエンパワメントしていく過程かていをいう。

 

○ 上記じょうき権利けんり擁護ようごは、サービスを希望きぼうする、または利用りようする障害しょうがいしゃ申請しんせいから相談そうだん支援しえん支給しきゅう決定けってい、サービス利用りよう不服ふふく申立もうしたてのすべてにわたるプロセスに対応たいおうする。

 

○ くには、上記じょうき障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける権利けんり擁護ようご実現じつげんするための体制たいせい整備せいびおこなうとともに、差別さべつてきあつかいや虐待ぎゃくたいとう関係かんけいするほう制度せいどとの柔軟じゅうなん効果こうかてき連携れんけい協力きょうりょくはかるものとする。

 

説明せつめい

現在げんざい権利けんり擁護ようご相談そうだん支援しえんかんしては、支援しえん提供ていきょうする主体しゅたい支援しえん内容ないようにおいて、かならずしも、それらのちがいや相互そうご関係かんけいまた役割やくわり分担ぶんたんなどのふかまった議論ぎろんがなされているとはがためんもある。

  しかしながら、相談そうだん支援しえん内容ないよう一部いちぶとして、もしくは別個べっこ問題もんだいとして「権利けんり擁護ようご」が独自どくじ分野ぶんやとして、その必要ひつようせいつよかたられてきたことも、また明白めいはくである。

 そこで、ほん骨格こっかく提言ていげんにおいても、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける権利けんり擁護ようご意義いぎみ、かつまた、法律ほうりつにおける権利けんり擁護ようごとの関係かんけいとうについて、れることにしたものである。

 

 

表題ひょうだい第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご(オンブズパーソン)制度せいど

結論けつろん

○ くには、都道府県とどうふけんないし政令せいれい指定してい都市とし単位たんいで、障害しょうがいしゃのそれぞれの生活せいかつ領域りょういき(居宅きょたくグループホーム、入所にゅうしょ施設しせつとうにおける生活せいかつにちちゅう活動かつどう就労しゅうろうとう)場面ばめん(精神せいしん病院びょういんからの退院たいいん促進そくしんふく地域ちいき移行いこう)において、障害しょうがいしゃもとめにおうじ、障害しょうがいしゃ本人ほんにんふく権利けんり擁護ようごサポーターとう第三者だいさんしゃ訪問ほうもん面会めんかいおこな権利けんり擁護ようごのための体制たいせい整備せいびおこなうものとする。  

 

※ 入院にゅういんちゅう精神せいしん障害しょうがいしゃ権利けんり擁護ようご障害しょうがい権利けんり擁護ようごについてはVを参照さんしょう  のこと。

 

説明せつめい

入院にゅういん入所にゅうしょしゃ、グループホーム、就労しゅうろう自宅じたくらす障害しょうがいしゃとうへの権利けんり擁護ようご制度せいど創設そうせつは、障害しょうがいしゃがその安心あんしん安全あんぜん生活せいかつおくるうえでも、施設しせつとうからその生活せいかつ地域ちいき移行いこうするうえでも重要じゅうようである。

 

周知しゅうちのように施設しせつ自宅じたくとうにおける虐待ぎゃくたいとう障害しょうがいしゃたいする人権じんけん侵害しんがい事例じれいこうたず、これを防止ぼうしすることは喫緊きっきん課題かだいである。

今般こんぱん成立せいりつした虐待ぎゃくたい防止ぼうしほうはこれに有効ゆうこう対処たいしょするべきものであるが、虐待ぎゃくたい発生はっせい対策たいさく重点じゅうてんがあり、かならずしも事前じぜん防止ぼうしという観点かんてんからの具体ぐたいさく用意よういされていない。そこで、事前じぜん防止ぼうし対策たいさくこうじることがもとめられるが、なかでも日頃ひごろから施設しせつ自宅じたくとう第三者だいさんしゃとどくようにすることが事前じぜん防止ぼうしさくとして有効ゆうこうである。

 

そのような観点かんてんからみると、施設しせつでの権利けんり侵害しんがいとうたいしても、独自どくじ調査ちょうさ改善かいぜんもとめる機関きかんとして機能きのうしているオンブズパーソン制度せいど(元々もともとスウェーデンではじまった行政ぎょうせいたいする苦情くじょう処理しょり監察かんさつおこな第三者だいさんしゃ機関きかん制度せいど)を、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいて、障害しょうがいしゃ本人ほんにんがわって権利けんり侵害しんがい調査ちょうさ改善かいぜんおこなうことを目的もくてきとする「第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご(オンブズパーソン)制度せいど」として創設そうせつする必要ひつようがある。

 

また、地域ちいき移行いこうプログラムによる地域ちいき移行いこう支援しえんは、障害しょうがいしゃ意思いしとその決定けってい確認かくにんし、それを実現じつげんするためのものであり、入所にゅうしょしゃ入院にゅういんしゃ、グループホームとう居宅きょたくしゃみずからがどのような生活せいかつえらぶのか、本人ほんにん意思いし基本きほんとして支援しえんするものである。地域ちいき移行いこう定着ていちゃく過程かていで、本人ほんにん意思いし無視むししたり、支援しえんがわのプランをけたりしないよう、入院にゅういん入所にゅうしょしゃ、グループホームとう居宅きょたくしゃたいしては権利けんり擁護ようごサポーターとう配置はいちされるのも有効ゆうこうで、そのサポーターを当事とうじしゃになうこともありる。

 

 

表題ひょうだい権利けんり擁護ようご虐待ぎゃくたい防止ぼうし

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいては、サービスを提供ていきょうする事業じぎょうしゃ責務せきむとして、虐待ぎゃくたい人権じんけん侵害しんがいをしてはならないことを明記めいきするとともに、事業じぎょうしゃ虐待ぎゃくたい発生はっせい未然みぜん防止ぼうしし、発生はっせいした虐待ぎゃくたい早期そうき発見はっけんし、侵害しんがいされた権利けんり回復かいふくするための体制たいせい整備せいびする責務せきむ明記めいきすべきである。

 

○ 虐待ぎゃくたい発生はっせいした場合ばあいには、サービスを提供ていきょうする事業じぎょうしゃやその関係かんけいしゃとう早期そうき発見はっけん通報つうほうおこない、都道府県とどうふけん権利けんり擁護ようごセンターや市町村しちょうそん虐待ぎゃくたい防止ぼうしセンターとう連携れんけい協力きょうりょくしなければならない。

 

○ 都道府県とどうふけんおよ市町村しちょうそんは、事業じぎょうしゃによる虐待ぎゃくたい防止ぼうし体制たいせい構築こうちくかんして、職員しょくいん研修けんしゅう情報じょうほう提供ていきょう財政ざいせいとう支援しえんおこなうものとする。

 

 ※ 第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご虐待ぎゃくたい防止ぼうしほうについてはVを参照さんしょうのこと。

 

説明せつめい

現行げんこう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうの「市町村しちょうそん責務せきむ」では、障害しょうがいしゃとうたいする虐待ぎゃくたい防止ぼうし早期そうき発見はっけん、そのための関係かんけい機関きかん連絡れんらく調整ちょうせいおこなうことなどが明記めいきされている。障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいては、事業じぎょうしゃ責務せきむおよ市町村しちょうそん都道府県とどうふけん責務せきむとして、虐待ぎゃくたい防止ぼうし早期そうき発見はっけん権利けんり擁護ようごのための必要ひつよう援助えんじょおこな効果こうかてき仕組しくみをつくることをより明確めいかくにする必要ひつようがある

 

 

表題ひょうだい】サービスにかんする苦情くじょう解決かいけつのためのサポート

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう提供ていきょうされるサービスにかんして苦情くじょう解決かいけつするためには、@がた相談そうだん支援しえん、Aサポート機関きかん、のふたつが必要ひつようである。

 

○ がた相談そうだん支援しえんとは、苦情くじょうというかたち問題もんだいする以前いぜん段階だんかいでの相談そうだんであり、障害しょうがいしゃ本人ほんにんとその関係かんけいしゃからのはなし丁寧ていねいきとる事前じぜん相談そうだん基本きほんとする支援しえんをいう。相談そうだん支援しえん機関きかんには、とくに本人ほんにん意向いこう沿った支援しえんをする役割やくわりもとめられる。

 

○ サポート機関きかんとは、本人ほんにんがサービスにたいする苦情くじょうをかかえた場合ばあい本人ほんにんがわって、権利けんり擁護ようご観点かんてんから苦情くじょう解決かいけつけて対応たいおうするサポート機関きかん(相談そうだん機関きかんふく)であり、これを設置せっちすることが必要ひつようである。

 

 ※ 苦情くじょう解決かいけつ機関きかん(社会しゃかい福祉ふくしほう)についてはVを参照さんしょうのこと。

 

 

説明せつめい

苦情くじょう解決かいけつにおいては、そもそも、サービスにかんする苦情くじょうというかたち問題もんだいする以前いぜん段階だんかいにおいて、障害しょうがいしゃ本人ほんにんとその関係かんけいしゃからじっくりはなし聴取ちょうしゅする事前じぜん相談そうだんがた相談そうだん支援しえん仕組しくみが必要ひつようである。

 

上記じょうきたしたうえで、それでも改善かいぜんされない、あるいは実際じっさいこってしまった苦情くじょうについては、実態じったいとして権利けんり保障ほしょうするための苦情くじょう解決かいけつけた相談そうだんふくむサポート機関きかん必要ひつようである。このサポート機関きかんにおいては、自身じしん意向いこうつたえにくい障害しょうがいしゃかんしては、第三者だいさんしゃ本人ほんにん意向いこうをくみ支援しえん仕組しくみが必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい】モニタリング機関きかん

※ モニタリング機関きかんについてはVを参照さんしょうのこと。

 

表題ひょうだい権利けんり擁護ようご差別さべつ禁止きんし

※ 権利けんり擁護ようご差別さべつ禁止きんしについてはVを参照さんしょうのこと。

 

 


 

T−10 報酬ほうしゅう人材じんざい確保かくほ

 

表題ひょうだい報酬ほうしゅう人材じんざい確保かくほ基本きほん理念りねん

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ地域ちいき自立じりつした生活せいかついとな基本きほんてき権利けんり保障ほしょうするために必要ひつようなサービスを確保かくほするため、適正てきせい事業じぎょう報酬ほうしゅう必要ひつよう人材じんざい確保かくほすべきである。

 

説明せつめい

障害しょうがい関連かんれん事業じぎょう現状げんじょうとして、報酬ほうしゅう制度せいど人材じんざい確保かくほ課題かだい深刻しんこくで、事業じぎょう報酬ほうしゅう劣悪れつあくさが人材じんざい確保かくほ困難こんなんにし、限界げんかいえている。

事業じぎょうしょささえる中核ちゅうかくとなる人材じんざい人件じんけんは、昇級しょうきゅうしていかなければならないが、事業じぎょう種別しゅべつ障害しょうがい程度ていど区分くぶん利用りよう定員ていいん各種かくしゅ加算かさんわせた現在げんざい報酬ほうしゅう基準きじゅんでは、ベテラン職員しょくいん雇用こよう維持いじさえむずかしくなり、経営けいえいてきにも疲弊ひへいし、せい職員しょくいん常勤じょうきん雇用こようりつがり、雇用こよう期間きかん限定げんてい臨時りんじ契約けいやく・パートりつ大幅おおはば増加ぞうかし、支援しえんしつ低下ていかいちじるしい。

 

しかしながら、しん障害しょうがいしゃ基本きほんてき人権じんけん保障ほしょうにな人権じんけん感覚かんかくあふれたひとびとが障害しょうがいしゃともにインクルーシブな社会しゃかい構築こうちくするために、活力かつりょくある良質りょうしつ人材じんざい養成ようせいとその確保かくほ障害しょうがい福祉ふくし成立せいりつさせる不可欠ふかけつ前提ぜんてい条件じょうけんとなる。

障害しょうがい福祉ふくし報酬ほうしゅう水準すいじゅんは、障害しょうがいしゃ人権じんけん価値かち評価ひょうか尊厳そんげん水準すいじゅん連動れんどうしている。障害しょうがい福祉ふくし実践じっせんする人材じんざい枯渇こかつみずからや家族かぞく生活せいかつ維持いじさえあやぶまれるような状況じょうきょうであればこのくに障害しょうがいしゃ人間にんげんとしての基本きほんてき価値かちさげすんでいることを意味いみする。

 

したがって、以下いか事項じこうむねとして、障害しょうがいしゃ地域ちいき自立じりつした生活せいかついとな基本きほんてき権利けんり保障ほしょうするために必要ひつようなサービスを確保かくほするため、適正てきせい事業じぎょう報酬ほうしゅう必要ひつよう人材じんざい確保かくほすべきである。

 

 

表題ひょうだい報酬ほうしゅうにおける基本きほんてき方針ほうしん水準すいじゅん

結論けつろん

○ 報酬ほうしゅうにおける基本きほんてき方針ほうしんは、以下いかのとおりである。

・ 支援しえんしつ低下ていか現場げんば委縮いしゅくさせない報酬ほうしゅう施策しさく実施じっしする。

・ わかりやすい報酬ほうしゅう制度せいどにする。

・ 利用りようしゃ不利益ふりえきをもたらさない。

 

○ 報酬ほうしゅうにおける水準すいじゅんは、採算さいさんせん(レベル)利用りようりつ80程度ていど設定せっていし、安定あんていてき障害しょうがいサービスを提供ていきょうするために、事業じぎょうしゃ安定あんていして事業じぎょう経営けいえいし、従事じゅうじしゃ安心あんしんして業務ぎょうむ専念せんねん出来でき事業じぎょう報酬ほうしゅう水準すいじゅんとする。

 

○ なお、常勤じょうきん換算かんさん方式ほうしき廃止はいしする。

 

説明せつめい

措置そちから契約けいやく制度せいどへの移行いこうともない、措置そち委託いたくまるげから、一人ひとりひとりのよう支援しえんしゃへの個別こべつ支援しえんのための社会しゃかい保障ほしょう支払しはらいの集積しゅうせき報酬ほうしゅうとなるかたちへの転換てんかんはかられた。その障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう施行しこうにより給付きゅうふ抑制よくせい政策せいさく導入どうにゅうされ、報酬ほうしゅう基準きじゅんげられ、障害しょうがい福祉ふくししつ低下ていかがもたらされた。それらの弊害へいがい解消かいしょうするために、一人ひとりひとりへの支援しえん意識いしきした障害しょうがい福祉ふくし基本きほんてきありかた基本きほんとしながら、支援しえんしつ低下ていか現場げんば委縮いしゅくさせない報酬ほうしゅう施策しさく実施じっしされることが、改革かいかく方針ほうしんである。

 

事業じぎょうしゃにとって複雑ふくざつなシステムは効率こうりつてきである。利用りようしゃにとっても、一般いっぱん国民こくみんにとっても、わかりやすい簡潔かんけつ制度せいどにしなければならない。

利用りようしゃ負担ふたん地域ちいきあいだ格差かくさとうにより、利用りようしゃ不合理ふごうり負担ふたん不利益ふりえきかぶらせることは障害しょうがい福祉ふくし理念りねんはんすることであり、あってはならない。

 

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう報酬ほうしゅうがく採算さいさんレベルは、入所にゅうしょ施設しせつけい利用りようりつ(じつ利用りようしゃ利用りよう定員ていいん)9095%に設定せっていされており、利用りようしゃ入院にゅういんとうによる減算げんざん対応たいおうしていくために定員ていいん超過ちょうかするひとし運営うんえい必要ひつようとしている。そこで、定員ていいん超過ちょうか恒常こうじょうによる支援しえん水準すいじゅん低下ていか改善かいぜんするためには、採算さいさんラインを80程度ていど設定せっていする必要ひつようがある。そうすれば、定員ていいんすうたすことで職員しょくいん加配かはいやベテラン職員しょくいん確保かくほ可能かのうとなり、事業じぎょうしゃにも利用りようしゃにも余裕よゆうしょうじ、利用りようしゃ地域ちいき移行いこうについてのみも可能かのうとなる。経営けいえいしゃにインセンティブをあたえ、事業じぎょう展開てんかいへの財源ざいげん確保かくほとモチベーションをたかめることが必要ひつようである。

 

くに経営けいえい実態じったい調査ちょうさもとづき報酬ほうしゅう改定かいていおこなっている。

しかし、おおくは報酬ほうしゅうのみが収入しゅうにゅうであり、報酬ほうしゅう減額げんがくされればその範囲はんい収支しゅうしわせて黒字くろじにするため、その黒字くろじ根拠こんきょ改定かいていされれば、報酬ほうしゅう際限さいげんなくがる。福祉ふくし報酬ほうしゅう社会しゃかい保障ほしょう=ナショナルミニマムであり、自助じじょ努力どりょく貯蓄ちょちく理由りゆう水準すいじゅんげてはならない。

 

 

表題ひょうだい報酬ほうしゅう支払しはら方式ほうしき

結論けつろん

○ 報酬ほうしゅう支払しはら方式ほうしきかんして、施設しせつけい支援しえんにかかる場合ばあい在宅ざいたくけい支援しえんにかかる場合ばあい大別たいべつする。

 

○ 施設しせつけい支援しえんにかかる報酬ほうしゅうについては、「利用りようしゃ個別こべつ給付きゅうふ報酬ほうしゅう(利用りようしゃへの個別こべつ支援しえんかんする費用ひよう)と「事業じぎょう運営うんえい報酬ほうしゅう(人件じんけん固定こてい経費けいひ一般いっぱん管理かんり)大別たいべつする。前者ぜんしゃ原則げんそくばらいとし、後者こうしゃ原則げんそく月払つきばらいとする。

 

○ 在宅ざいたくけい支援しえんにかかる報酬ほうしゅうについては、時間割じかんわ報酬ほうしゅうとする。

 

○ すべての報酬ほうしゅう体系たいけいにおいて基本きほん報酬ほうしゅうだけで安定あんてい経営けいえいができる報酬ほうしゅう体系たいけいとする。

 

説明せつめい

報酬ほうしゅう日額にちがくはらい月払つきばらいについて、統合とうごうした視点してんち、建設けんせつてき議論ぎろん発展はってんさせることが肝要かんようである。

障害しょうがい福祉ふくし実践じっせんするにな事業じぎょう維持いじ出来できない状況じょうきょうは、障害しょうがいしゃ生活せいかつ人権じんけん安定あんていてき保障ほしょうされないことを意味いみする。障害しょうがいしゃ幸福こうふく追求ついきゅうけん保障ほしょうされるためには、障害しょうがいのあるひと支援しえん(事業じぎょう)選択せんたくする自由じゆう(権利けんり)障害しょうがい関連かんれん事業じぎょうにおける固定こてい(人件じんけん中心ちゅうしん)安定あんていてき確保かくほ両立りょうりつさせることが必要ひつようである。そのさいつぎさんてん留意りゅういすべき。

 

いちてんは、報酬ほうしゅう財政ざいせい規模きぼ増額ぞうがく必要ひつよう条件じょうけんである。障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう支出ししゅつ水準すいじゅん固定こてい相当そうとうぶんとし、日額にちがくぶんかさねられるイメージである。てんは、契約けいやく制度せいど維持いじするとしても、市町村しちょうそん障害しょうがいしゃ支援しえん保障ほしょうする公的こうてき責任せきにん明確めいかくしておくことである。さんてんは、利用りようしゃ負担ふたん増加ぞうかにつながらないようにすることである。

 

以上いじょうのような観点かんてんから、施設しせつけい支援しえんにかかる報酬ほうしゅうについては、「利用りようしゃ個別こべつ給付きゅうふ報酬ほうしゅう(利用りようしゃへの個別こべつ支援しえんかんする費用ひよう)と「事業じぎょう運営うんえい報酬ほうしゅう(人件じんけん固定こてい経費けいひ一般いっぱん管理かんり)大別たいべつする。おおむね、前者ぜんしゃを2わり後者こうしゃを8わり程度ていどとする。

 

利用りようしゃ個別こべつ給付きゅうふ報酬ほうしゅう」は原則げんそくばらいとする。ただし、利用りようりつ80%を上回うわまわれば全額ぜんがく支払しはらい、それ以下いか場合ばあいは、利用りよう実績じっせきおうじた日割ひわ計算けいさん事業じぎょうしょ支払しはらわれる。

 

事業じぎょう運営うんえい報酬ほうしゅう」は原則げんそく月払つきばらいとする。すなわち、施設しせつ利用りよう定員ていいんによる月額げつがく定額ていがく支払しはらう。ただし、施設しせつ全体ぜんたい6ヶ月かげつ平均へいきん利用りようりつつぎ6ヶ月かげつあいだけて月額げつがく算出さんしゅつする。これにより、利用りようしなかったぶん報酬ほうしゅうげんとなるので、在宅ざいたく給付きゅうふとの併給へいきゅうにも抵抗ていこうすくない。個々ここ利用りようしゃ利用りようじょうきょう日割ひわ(利用りようりつ)導入どうにゅうするのではなく、施設しせつ全体ぜんたい利用りようりつ算定さんていする。その適用てきようつぎ6ヶ月かげつ適用てきようとする。

 

在宅ざいたくけい支援しえんにかかる報酬ほうしゅうについては、時間割じかんわ報酬ほうしゅうとする。

 

現在げんざい報酬ほうしゅうは、報酬ほうしゅう本体ほんたいでは経営けいえい維持いじ困難こんなんであり、加算かさんによりはじめて維持いじ出来できる。「報酬ほうしゅう本体ほんたいだけ」でもとめる事業じぎょう水準すいじゅん(指定してい基準きじゅんさだめられる水準すいじゅん)確保かくほすべきであり、加算かさんはあくまで、その標準ひょうじゅんてき水準すいじゅんたいする付加ふか価値かちてきなものと位置いちづけるべきである。

 

 

表題ひょうだい人材じんざい確保かくほ施策しさくにおける基本きほんてき視点してん

結論けつろん

○ 人材じんざい確保かくほこそが障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ実現じつげんかぎである。

 

○ 障害しょうがい福祉ふくしたいする公的こうてき責任せきにん障害しょうがいしゃ本人ほんにんやその家族かぞく転嫁てんかしてはならない。

 

○ 支援しえんしゃ確保かくほは、地域ちいきにおける雇用こよう創出そうしゅつである。

 

○ 重層じゅうそうてき人的じんてき支援しえんのネットワーク重視じゅうしし、人材じんざい循環じゅんかんさせる。

 

説明せつめい】 

障害しょうがいしゃ安定あんていした地域ちいき生活せいかつ展開てんかいし、施設しせつ医療いりょう機関きかんとうからの地域ちいき移行いこう実質じっしつするとともに、家族かぞく依存いぞん色彩しきさい根強ねづよのこ障害しょうがい福祉ふくし施策しさくにより、成人せいじんした障害しょうがいしゃ生活せいかつまで家族かぞくかかまざるをない現実げんじつえるためには、@労働ろうどうおよ雇用こようにちちゅう活動かつどう、A居住きょじゅう、B所得しょとく保障ほしょう、C人的じんてきささえ、D保健ほけん医療いりょう5つの分野ぶんや一定いってい水準すいじゅん確保かくほされる必要ひつようがあり、人的じんてき支援しえん体制たいせい確保かくほは、その根幹こんかんである。

 

人間にんげん人間にんげんい、パーソナルな支援しえんこそが改革かいかく成功せいこうさせるためのキーワードであり、そのため優良ゆうりょうな「人材じんざい」の確保かくほが、地域ちいき生活せいかつ成立せいりつ条件じょうけんである。ひとひと関係かんけい基本きほんとする人的じんてき支援しえんさく遂行すいこうにあっては、おや中心ちゅうしんとする家族かぞく責任せきにん転嫁てんかされないよう、障害しょうがい福祉ふくしの「公的こうてき責任せきにん原則げんそく」を明確めいかくにする必要ひつようがある。成人せいじんした障害しょうがいしゃ生活せいかつまで家族かぞくかかまざるをない現実げんじつなかで、「家族かぞく支援しえん」も重要じゅうよう施策しさくはしらである。

本格ほんかくてき人的じんてき支援しえんさく成功せいこうさせるためには、大幅おおはば人員じんいんぞう必要ひつようである。そのことを労働ろうどう政策せいさく観点かんてんからみると、社会しゃかい福祉ふくしこころざそうとする若者わかもの未来みらいひらき、雇用こよう創出そうしゅつ失業しつぎょう改善かいぜんおおきな役割やくわりたすことになる。

 

地域ちいき相談そうだん支援しえんセンターやグループホームとう地域ちいき支援しえん組織そしき小規模しょうきぼであり人員じんいんにもかぎりがあるため、人材じんざい確保かくほといった観点かんてんからも、機関きかんとの連携れんけいもとめられる。支援しえんいん看護かんご、ケースワーカーとう必要ひつようおうじてネットワークで本人ほんにん支援しえんおこなうことになるが、ざら複数ふくすう用意よういしておくことが必要ひつようである。当事とうじしゃ主体しゅたい障害しょうがい当事とうじしゃ権利けんり保障ほしょう重視じゅうしし、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ構築こうちくのため、重層じゅうそうてきなネットワークへの変革へんかく必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい福祉ふくし従事じゅうじしゃ賃金ちんぎんにおける基本きほんてき方針ほうしん水準すいじゅん

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ安定あんていした地域ちいき生活せいかつささえる人材じんざい確保かくほし、また、その人材じんざいほこりと展望てんぼうをもって支援しえん継続けいぞくできるようにするため、すくなくとも年齢ねんれいべつ賃金ちんぎんセンサスにしめされた全国ぜんこく平均へいきん賃金ちんぎん以下いかにならないよう事業じぎょうしゃ適切てきせつ水準すいじゅん賃金ちんぎん支払しはらうこととする。

 

○ そのためには、事業じぎょうしゃ報酬ほうしゅう積算せきさんたっては、すくなくとも上記じょうき水準すいじゅん賃金ちんぎん以下いかとならないような事業じぎょう報酬ほうしゅう体系たいけい法的ほうてき構築こうちくすべきである。

 

説明せつめい

福祉ふくし従事じゅうじしゃ賃金ちんぎんは、年齢ねんれいべつ賃金ちんぎんセンサスにしめされた全国ぜんこく平均へいきん賃金ちんぎん以下いかである場合ばあいおおく、過酷かこく労働ろうどう環境かんきょうはたらいている。しかし、そのような環境かんきょうにおいても、福祉ふくし従事じゅうじしゃほこりと意欲いよくって障害しょうがいしゃ支援しえんんでいる。かような状況じょうきょうにおいて、労働ろうどう条件じょうけんとう雇用こよう環境かんきょうにより、はたらくことを断念だんねんすることがない賃金ちんぎん水準すいじゅん確保かくほすることがつよもとめられる。

 

本来ほんらい福祉ふくしサービスは、くに責務せきむとしておこなうべきところを、民間みんかん代行だいこうさせている性格せいかくゆうしている。しかも、サービスの向上こうじょうといっためんから、資格しかく職員しょくいん配置はいちとう厳格げんかくしばりがあるなど、一般いっぱん民間みんかん事業じぎょうしゃ経営けいえい合理ごうりなどといったことにはえんのない世界せかいであるともいえる。

 

上記じょうき水準すいじゅん賃金ちんぎん確保かくほするために、つぎふたつをふくめた実現じつげん可能かのう方策ほうさくかんがえるべきである。

ひとつは、すくなくとも年齢ねんれいべつ賃金ちんぎんセンサスにしめされた全国ぜんこく平均へいきん賃金ちんぎん以下いかのレベルにおちいるような事業じぎょう報酬ほうしゅうは、これを見直みなおし、年齢ねんれい相応そうおうした賃金ちんぎん支払しはらいをけてはたらつづけられる事業じぎょう報酬ほうしゅう体系たいけい法的ほうてき構築こうちくすることを検討けんとうすべきである。くにとしては、一定いってい条件じょうけんのもとに障害しょうがいしゃ福祉ふくし事業じぎょう民間みんかんゆだねている以上いじょう当然とうぜんのこととかんがえられる。

 もうひとつは、国家こっか公務員こうむいん給料きゅうりょうひょうの「福祉ふくししょく俸給ほうきゅうひょう」による給与きゅうよ支給しきゅう確保かくほできる水準すいじゅんちかづけることを検討けんとうすべきである。これにより、標準ひょうじゅんてき給与きゅうよ水準すいじゅん明確めいかくになり、異動いどうさいにも、前歴ぜんれき換算かんさん評価ひょうか容易よういになる。共通きょうつう給料きゅうりょうひょうもとづくことにより官民かんみん格差かくさ是正ぜせいできる。

 

 

表題ひょうだい人材じんざい養成ようせい

結論けつろん

○ 人材じんざい養成ようせいにおいては、現場げんば体験たいけん重視じゅうしした研修けんしゅうシステムが必要ひつようである。支援しえん提供ていきょうするうえで必要ひつようとなる「資格しかく」は支援しえんしつ最低さいてい基準きじゅん保障ほしょう支援しえんしゃ社会しゃかいてき評価ひょうか、モチベーション維持いじとうのためのものであると位置いちづけるものとする。

 

○ 相談そうだん支援しえん権利けんり擁護ようご必要ひつよう障害しょうがいしゃ人材じんざい確保かくほとして、くにはピアカウンセラーの養成ようせい積極せっきょくてき支援しえんするものとする。

 

○ くにおよ都道府県とどうふけんは、制度せいど運営うんえい主体しゅたいである市町村しちょうそん人材じんざい養成ようせい支援しえんするものとする。

 

説明せつめい

人材じんざい養成ようせいは、現場げんば体験たいけん重視じゅうしした研修けんしゅうシステムを基本きほんとするべき。可能かのうかぎ間口まぐちひろり、おおくの人材じんざいなかからてきした人材じんざいさぐてる作業さぎょう不可欠ふかけつである。継続けいぞくてき関係かんけいせいなかでの人間にんげん関係かんけい基礎きそにあり、支援しえんつ。正規せいき雇用こよう関係かんけいなかで、長期ちょうきにわたって関係かんけいせいてることが信頼しんらい関係かんけい障害しょうがいしゃつくげる基本きほんである。

 

また、当事とうじしゃ気持きもちにもっともえるのはおな障害しょうがいをもつ当事とうじしゃである。そこで、相談そうだん支援しえん権利けんり擁護ようご必要ひつよう障害しょうがい当事とうじしゃ人材じんざい確保かくほとして、またともきる社会しゃかいになとしてもピアカウンセラーの養成ようせいとそのためのシステムづくりにたいして資金しきんふくめた公的こうてき支援しえんもとめられる。

 

制度せいど運営うんえい主体しゅたいである市町村しちょうそんにおいては、規模きぼ大小だいしょう財政ざいせいりょく強弱きょうじゃく人口じんこう構成こうせいかたよりなど個々ここことなる事情じじょうかかえており、市町村しちょうそんのマンパワー確保かくほけて地域ちいきあいだ格差かくさ問題もんだい解消かいしょうするようなきめこまかな対策たいさく必要ひつようである。

U 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいてい実施じっしへの道程どうてい

U−1 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう事業じぎょう体系たいけいへの移行いこう問題もんだい

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう事業じぎょう体系たいけいへの移行いこう問題もんだい

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうもとづく事業じぎょうへの移行いこう期限きげん終了しゅうりょうも、一定いってい要件ようけんもとで、従前じゅうぜん運営うんえい10わり保障ほしょうするなどの支援しえんさく継続けいぞくする。

 

説明せつめい

 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう以前いぜん体系たいけいから障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう事業じぎょう移行いこうすることで、経営けいえい努力どりょくにもかかわらずおおきく減収げんしゅうとなる事業じぎょうしょは、移行いこう期限きげんである平成へいせい24とし3つきまで移行いこうできないうえに、移行いこう運営うんえいおおきな不安ふあんかかえている。また、移行いこう予定よていしていた事業じぎょうしょなかには、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい福島ふくしま原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこ影響えいきょうで、期限きげんない移行いこう不可能ふかのうになったところもある。

 こうしたことをまえ、現行げんこう事業じぎょう運営うんえい安定あんてい事業じぎょうによる10わり保障ほしょう移行いこう期間きかん終了しゅうりょう継続けいぞくし、移行いこう可能かのうとなるようにすべきである。


 


U−2 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていおよ実施じっしまでにおこなうべき課題かだい

 

表題ひょうだい市町村しちょうそんおよ都道府県とどうふけん意見いけん

結論けつろん

    障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていおよ実施じっしたっては、市町村しちょうそんおよ都道府県とどうふけん意見いけんまえること。

 

説明せつめい

 今後こんご障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていおよ実施じっしするにたっては、制度せいど実施じっし主体しゅたいである市町村しちょうそんおよ都道府県とどうふけん意見いけんまえ、十分じゅうぶん調整ちょうせいおこなうことが必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい利用りようしゃ負担ふたん

結論けつろん

○ おうのう負担ふたんでもてい所得しょとくしゃには軽減けいげんさくをとり、利用りようしゃ負担ふたん原則げんそく無償むしょうにする。

 

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう実施じっし以前いぜんにも自立じりつ支援しえん医療いりょうにおけるてい所得しょとくしゃ全額ぜんがく公費こうひ負担ふたん実現じつげんする。

※ 障害しょうがいしゃ医療いりょう公費こうひ負担ふたん制度せいど見直みなおしについてはVを参照さんしょうのこと。

 

○ 障害しょうがい福祉ふくしサービス、装具そうぐ自立じりつ支援しえん医療いりょう地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう介護かいご保険ほけん利用りようしゃ負担ふたん合算がっさん過大かだい負担ふたんとならないようにする。

 

○ 所得しょとく区分くぶん認定にんていにおいては利用りようしゃ本人ほんにん基本きほんとし配偶はいぐうしゃふくめないこと。

 

説明せつめい

所得しょとく保障ほしょうがなされないなかてい所得しょとくしゃには過度かど利用りようしゃ負担ふたんすべきでない。

つなぎほうではおうのう負担ふたんになるが、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうができるまで、てい所得しょとくしゃにはおうのう負担ふたん軽減けいげんさくこうじ、現在げんざいのように無償むしょうになるような配慮はいりょ必要ひつようである。

また、自立じりつ支援しえん医療いりょう負担ふたんについては、「基本きほん合意ごうい文書ぶんしょ」の「よん 利用りようしゃ負担ふたんにおける当面とうめん措置そち」において、なお、自立じりつ支援しえん医療いりょうかか利用りようしゃ負担ふたん措置そちについては、当面とうめん重要じゅうよう課題かだいとする。」とされていることをまえた検討けんとうもとめられている。

利用りようしゃ負担ふたん合算がっさんでは、障害しょうがい福祉ふくしサービス、装具そうぐ自立じりつ支援しえん医療いりょう地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう介護かいご保険ほけん利用りようしゃ負担ふたん合算がっさんし、軽減けいげんできるようにする。

 

表題ひょうだい地域ちいきでの自立じりつしたらしのための支援しえん充実じゅうじつ

結論けつろん

○ 障害しょうがい程度ていど区分くぶん連動れんどうする国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん支給しきゅう決定けっていりょう上限じょうげんとしてはならないことについて自治体じちたい徹底てっていさせる。国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんえるぶんこくから市町村しちょうそんへの財政ざいせい支援しえんおこなう。

 

○ 地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう地域ちいき格差かくさ解消かいしょうため予算よさん確保かくほする。

 

○ 移動いどう支援しえん個別こべつ給付きゅうふ重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご知的ちてき精神せいしん障害しょうがいしゃ障害しょうがいへの対象たいしょう拡大かくだいおこなう。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうへの移行いこうけて、平成へいせい24とし4つき1にちから可能かのう施策しさく実施じっしする。必要ひつよう支援しえんりょう障害しょうがい程度ていど区分くぶん連動れんどうする国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんえる場合ばあい相談そうだん支援しえんとケアプランを検証けんしょうしたうえ支給しきゅうできるように、くに市町村しちょうそん財政ざいせい支援しえんおこなう。

 移動いどう支援しえんにちちゅう一時いちじ支援しえんとう地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうではなく、個別こべつ給付きゅうふにする。

 

 

表題ひょうだい報酬ほうしゅう構造こうぞう見直みなおし、加算かさん整理せいり報酬ほうしゅう改訂かいてい

結論けつろん

○ 各種かくしゅ加算かさん整理せいりし、可能かのうなものは基本きほん報酬ほうしゅうれていく。

 

説明せつめい

複雑ふくざつ加算かさん制度せいど基本きほん報酬ほうしゅうれることで、事務じむ処理しょり簡素かんそしていくこと必要ひつようである。ただし、人的じんてき支援しえん手厚てあつ実施じっししていく場合ばあい看護かんご理学りがく療法りょうほう作業さぎょう療法りょうほう臨床りんしょう心理しんりひとし専門せんもんしょく加配かはいした場合ばあいなどの配置はいち加算かさん考慮こうりょする。

 

 

表題ひょうだい福祉ふくし介護かいご人材じんざい処遇しょぐう改善かいぜん事業じぎょう助成じょせいきん

結論けつろん

○ 福祉ふくし介護かいご人材じんざい処遇しょぐう改善かいぜん事業じぎょう助成じょせいきん基本きほん報酬ほうしゅうむ。

 

説明せつめい

福祉ふくし介護かいご人材じんざい処遇しょぐう改善かいぜん事業じぎょう助成じょせいきんは、福祉ふくし介護かいご人材じんざい処遇しょぐう改善かいぜん事業じぎょうしゃたいして、平成へいせい23年度ねんどまつまでのあいだ職員しょくいん(常勤じょうきん換算かんさん)1人当ひとあたり月額げつがく平均へいきん1.5まんえん交付こうふするものであるが、対象たいしょう職員しょくいん限定げんていされていること、しょ手続てつづきが複雑ふくざつであることとう問題もんだいてんがある。こうしたてん解消かいしょうする観点かんてんから、基本きほん報酬ほうしゅうれて事業じぎょうしょ全体ぜんたい賃金ちんぎん底上そこあげをはかる。なお、げん政権せいけんのマニフェストでは、「介護かいご労働ろうどうしゃ賃金ちんぎんつき4まんえん程度ていどげます」としており、つづき、みをつよめる。

 

 

表題ひょうだい通所つうしょサービスとう利用りよう促進そくしん事業じぎょう交付こうふきん

結論けつろん

○ 通所つうしょサービスとう利用りよう促進そくしん事業じぎょう交付こうふきん報酬ほうしゅうむ。

 

説明せつめい

にちちゅう活動かつどう支援しえん利用りようするには送迎そうげい必要ひつようである。また、医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひと送迎そうげいには看護かんご添乗てんじょう必要ひつようになる。現行げんこう生活せいかつ介護かいごには送迎そうげい経費けいひふくまれているとの解釈かいしゃくがあるが、通所つうしょ事業じぎょうには送迎そうげい経費けいひふくまれていない。送迎そうげいおこな事業じぎょうしょへの通所つうしょサービスとう利用りよう促進そくしん事業じぎょう交付こうふきんは、実績じっせきおうじて報酬ほうしゅうふくまれるようにする。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう策定さくていおよ実施じっしのための調査ちょうさとう

結論けつろん

○ 地域ちいき生活せいかつ移行いこうけた施設しせつ入所にゅうしょしゃ入院にゅういん患者かんじゃへの実態じったい調査ちょうさとう実施じっしする。

 

○ あらたな支給しきゅう決定けってい仕組しくみのための試行しこう事業じぎょう研究けんきゅうとう実施じっしする。

 

説明せつめい

すで厚生こうせい労働ろうどう科学かがく研究けんきゅう総合そうごう福祉ふくし推進すいしん事業じぎょうとう先行せんこう研究けんきゅう試行しこう調査ちょうさおこなわれているが、くわえて障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう策定さくていおよ実施じっしかんする調査ちょうさとうのための予算よさん確保かくほおこなう。

障害しょうがい程度ていど区分くぶんわるあらたな支給しきゅう決定けってい仕組しくみの開発かいはつおよ実施じっしかんしては、試行しこう事業じぎょうによる検証けんしょうとう十分じゅうぶん準備じゅんびるべきであり、またその過程かてい当事とうじしゃ家族かぞく事業じぎょうしゃ的確てきかく情報じょうほう提供ていきょうされなければならない。くには、そのために必要ひつよう予算よさん確保かくほする。

障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう骨格こっかく内容ないようについて、当事とうじしゃけのかりやすい資料しりょう作成さくせいする必要ひつようがある。作成さくせいたっては、当事とうじしゃ意見いけん助言じょげんける。


 


U−3 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう円滑えんかつ実施じっし

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう補完ほかんする基金ききん事業じぎょう

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう円滑えんかつ推進すいしんし、その実効じっこうせいたかめるために必要ひつよう事業じぎょうであって、報酬ほうしゅう体系たいけいむことが困難こんなんなものについてはあらたに基金ききん創設そうせつし、基金ききん事業じぎょうとして実施じっしする。

 

説明せつめい

現行げんこう基金ききん事業じぎょう成果せいか検証けんしょうするとともにその位置付いちづけを見直みなおし、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう補完ほかんするじょう有効ゆうこう事業じぎょうは、継続けいぞくあるいは創設そうせつする。

たとえば、施設しせつ病院びょういんからの地域ちいき生活せいかつ移行いこうや、親元おやもとからの地域ちいき生活せいかつ移行いこう推進すいしんするための基盤きばん整備せいび事業じぎょう重要じゅうようである。具体ぐたいてきには、入所にゅうしょ施設しせつ定員ていいん精神せいしん病院びょういん病床びょうしょうすう削減さくげんともなって地域ちいき生活せいかつへの定着ていちゃく支援しえんする事業じぎょうや、入所にゅうしょ施設しせつ事業じぎょう転換てんかんして地域ちいき生活せいかつ支援しえんする先駆せんくてき事業じぎょうしょへの支援しえんなどがかんがえられる。利用りようしゃ個人こじんたいしては、現行げんこうの「地域ちいき移行いこう支度じたく経費けいひ支援しえん事業じぎょう(入所にゅうしょ精神せいしん病院びょういんから地域ちいき生活せいかつへの移行いこう促進そくしんするため、地域ちいきでの生活せいかつにおいて必要ひつようとなる物品ぶっぴん購入こうにゅうについて、一人ひとりたり3まんえん支援しえん)のような事業じぎょうかんがえられる。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう体系たいけいへの移行いこう支援しえんするための基金ききん事業じぎょうとう

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうもとづく事業じぎょう体系たいけいから障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうもとづく支援しえん体系たいけいへの移行いこう円滑えんかつ推進すいしんするために十分じゅうぶん経過けいか措置そち期間きかんもうけるとともに、利用りようしゃ事業じぎょうしゃ双方そうほう支援しえんする基金ききん事業じぎょうもうける。

 

○ 都道府県とどうふけん実施じっしする基金ききん事業じぎょう市町村しちょうそん実施じっしする基金ききん事業じぎょうもうける。

 

○ 基金ききん事業じぎょう期間きかん2段階だんかいとする。

@ほう成立せいりつからほう施行しこうまで

Aほう施行しこうから5年間ねんかん

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうへの移行いこうかんしては様々さまざま基金ききん事業じぎょう実施じっしされ一定いってい成果せいかがあったが、基金ききん事業じぎょうのメニューの選択せんたく都道府県とどうふけんまかせたため、都道府県とどうふけん格差かくさしょうじた。こうしたてんまえ、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう支援しえん体系たいけいへの移行いこうたっては、基盤きばん整備せいびのような全国ぜんこく共通きょうつう事業じぎょう格差かくさないようにする。

この基金ききん事業じぎょうは、都道府県とどうふけん市町村しちょうそんおよ事業じぎょうしょ障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうへの移行いこう円滑えんかつおこなうことを支援しえんするためのものであり、その領域りょういき市町村しちょうそん体制たいせい整備せいびふく自治体じちたい支援しえん就労しゅうろう支援しえん相談そうだん支援しえん権利けんり擁護ようご人材じんざい養成ようせい研修けんしゅうとう幅広はばひろ分野ぶんやにわたる。

この基金ききん事業じぎょうは@ほう成立せいりつからほう施行しこうまで、Aほう施行しこうから5年間ねんかんけて実施じっしする。

 


 

U−4 財政ざいせいのありかた

(1) 障害しょうがい福祉ふくし予算よさん

 

表題ひょうだい積算せきさん根拠こんきょとなるデータの把握はあく

結論けつろん

○ くに従来じゅうらい障害しょうがいしゃ定義ていぎにとらわれずに公的こうてき支援しえん必要ひつようとするとするすべての障害しょうがいしゃ実数じっすう生活せいかつ実態じったい(世帯せたい状況じょうきょう就業しゅうぎょうじょうきょう収入しゅうにゅう障害しょうがいともな支出ししゅつとう)市区しく町村ちょうそんごとの障害しょうがい関連かんれん社会しゃかい資源しげん実態じったい把握はあくし、予算よさん措置そち必要ひつよう基礎きそデータを把握はあくすべきである。

 

説明せつめい

本来ほんらいであれば、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうについての骨格こっかく提言ていげんにあたり、あわせて財政ざいせいめん積算せきさん(予算よさん規模きぼ推計すいけい)おこなうべきかもれない。しかし、そのためには基礎きそてきなデータがあまりにも不足ふそくしている。たとえば、知的ちてき障害しょうがいしゃやいわゆる谷間たにま状態じょうたいかれている障害しょうがいしゃ実数じっすう(知的ちてき障害しょうがいしゃについては、国際こくさい比較ひかくなどからみて発表はっぴょうされている数値すうち疑問ぎもんする見解けんかいすくなくない)障害しょうがいしゃ生活せいかつ実態じったい(世帯せたい状況じょうきょう就業しゅうぎょうじょうきょう収入しゅうにゅう障害しょうがいともな支出ししゅつとう)、また市区しく町村ちょうそんごとの障害しょうがい関連かんれん社会しゃかい資源しげん実態じったい(事業じぎょう種類しゅるいべつ設置せっちすうとう)などについても正確せいかく数値すうち公表こうひょうされていない。したがって、くには、障害しょうがい関連かんれんした予算よさん措置そち必要ひつよう基礎きそデータを把握はあくすべきである

 

 

表題ひょうだい財政ざいせいについての基本きほんてき視点してん

結論けつろん

○ 障害しょうがい関連かんれん財政ざいせい規模きぼについては、OECD加盟かめいこく平均へいきんみの水準すいじゅん確保かくほすること。

 

○ 財政ざいせいにおける地域ちいきあいだ格差かくさ是正ぜせいはかり、その調整ちょうせい仕組しくみをもうけること。

 

○ 財政ざいせい設計せっけいにあたっては、一般いっぱん施策しさくでの予算よさん追求ついきゅうすること。

 

○ 障害しょうがいしゃ施策しさく推進すいしん経済けいざい効果こうかとう関連かんれん客観きゃっかんてきはかること。

 

説明せつめい

 積算せきさん作業さぎょう前提ぜんていとして、また制定せいてい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうがより実質じっしつてき効力こうりょくのある法律ほうりつとなるために、財政ざいせいめんでとくに留意りゅういすべき4つの視点してんがある。

 

1.障害しょうがい関連かんれん財政ざいせい規模きぼについては、OECD加盟かめいこく平均へいきんみの水準すいじゅん確保かくほすること。

 

障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん水準すいじゅんのありかたかんがえるうえで、参考さんこうになるのがOECD諸国しょこくとの比較ひかくである。

地域ちいき生活せいかつをささえる支援しえんサービスの予算よさん規模きぼ(障害しょうがいしゃたいする現物げんぶつ給付きゅうふ。ほぼ障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうによるサービス費用ひよう相当そうとう)について、OECD諸国しょこくたいGDP平均へいきん計算けいさんしたところ、0.392(小数点しょうすうてんだい4四捨五入ししゃごにゅう)であった(OECD SOCX2010平成へいせい19(2007)としデータ。34カ国かこくのうち、データなしのアメリカ・カナダをのぞ32カ国かこく集計しゅうけい)

 

ところが、日本にっぽん0.198(1ちょう1138おくえん相当そうとう)であり、OECD諸国しょこくのなかでだい18くらいであった。これを平均へいきん(GDP0.392)きあげるには、GDP0.193(やく1ちょう857おくえん)増額ぞうがく必要ひつようであり、総計そうけい現在げんざいやく2ばいたる2ちょう2,051おくえんとなる。また10くらい(0.520)以内いないではやく2.6ばいたる2ちょう9,251おくえんとなる。(平成へいせい19(2007)とし日本にっぽんGDP総額そうがく562ちょう5,200おくえん)

 

 以上いじょうのデータからても、日本にっぽん障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん水準すいじゅんは、OECD諸国しょこくしてきわめててい水準すいじゅんであり、すくなくともこれをOECD加盟かめいこく平均へいきんみの水準すいじゅんげることがもとめられるが、そのさい支出ししゅつ給付きゅうふめん国民こくみん負担ふたんりつとう負担ふたんめんわせて総合そうごうてき検討けんとうおこなうべきである。

 

2.財政ざいせいにおける地域ちいきあいだ格差かくさ是正ぜせいはかり、その調整ちょうせい仕組しくみをもうけること。

 

障害しょうがいしゃ障害しょうがいのないひとへだてられることのない平等びょうどう地域ちいき生活せいかついとなむためには、市区しく町村ちょうそん中心ちゅうしんとする地方自治体ちほうじちたいにおいて、最低限さいていげん社会しゃかい資源しげん確保かくほできるだけの財政ざいせいりょく担保たんぽ必要ひつようである。財政ざいせいりょくおおきなひらきがあるなか、現行げんこう国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんについては、結果けっかてき施策しさく水準すいじゅん自治体じちたいあいだ格差かくさ助長じょちょうするものとなり(基準きじゅんえることに対応たいおうできる自治体じちたいとそうでない自治体じちたいとの格差かくさ顕在けんざい)、また社会しゃかい資源しげん地域ちいき偏在へんざいあまるものがある。

くには、ナショナルミニマムの保障ほしょうという観点かんてんから都道府県とどうふけんならびに市町村しちょうそん実質じっしつてき地域ちいき主権しゅけん発揮はっきし、その責務せきむたせるだけの財源ざいげん安定あんていてき確保かくほするとともに、財政ざいせい調整ちょうせいはか仕組しくみをもうけるべきである。

 

3.財政ざいせい設計せっけいにあたっては、一般いっぱん施策しさくでの予算よさん追求ついきゅうすること。

 

従来じゅうらい障害しょうがいしゃたいする財政ざいせいは、いわゆる特別とくべつわく設定せっていというかたちでこれがすすめられてきた。たとえば、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうともな予算よさんかんしては、自立じりつ支援しえん医療いりょうから障害しょうがい関連かんれん施策しさく福祉ふくしてき就労しゅうろうとういたるまで、そのすべてが障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう関連かんれん予算よさんという枠組わくぐみで編成へんせいされている。特別とくべつわく膨張ぼうちょう予算よさん獲得かくとく戦略せんりゃくじょうけっして有利ゆうり条件じょうけんとはえず、他方たほう、ユニバーサル政策せいさく潮流ちょうりゅうからみても障害しょうがいしゃ福祉ふくし施策しさくかんする予算よさん特別とくべつわく設定せっていすることはこのましいかたちとはがたい。

医療いりょう障害しょうがい住宅じゅうたく就労しゅうろう関連かんれんする施策しさく予算よさんについては、できるかぎ国民こくみん一般いっぱん施策しさく参入さんにゅうすることを追求ついきゅうすべきである。

 

4.障害しょうがいしゃ施策しさく推進すいしん経済けいざい効果こうかとう関連かんれん客観きゃっかんてきはかること

 

障害しょうがいしゃ福祉ふくし施策しさく関連かんれん予算よさんについては、けっして一方いっぽうてき消費しょうひだけではなく、高齢こうれいしゃどもの支援しえんさくわせて、それ自体じたい地域ちいき経済けいざい効果こうか波及はきゅうするという見解けんかいしめされつつある。企業きぎょう以上いじょう全国ぜんこく規模きぼ満遍まんべんなく設置せっち可能かのうせいおおきい事業じぎょうしょ障害しょうがいしゃとう事業じぎょうしょであり、いわゆる雇用こよう創出そうしゅつ観点かんてんからだけでも有効ゆうこうせい期待きたいされる。

 

また、経済けいざいめん波及はきゅう効果こうかだけではなく、偏見へんけん理解りかい根深ねぶか障害しょうがい分野ぶんやにあって、障害しょうがい関連かんれん事業じぎょうしょ存在そんざいそのものが地域ちいき住民じゅうみんたいする啓発けいはつ効果こうか教育きょういく効果こうかをもたらすことになろう。障害しょうがい分野ぶんやへの財政ざいせい支出ししゅつは、地域ちいきのありかた社会しゃかいのありかたにもポジティブな影響えいきょうをもたらすのだということをさえるべきである。なお、これらにかんする記述きじゅつは、すでに厚生こうせい労働ろうどう白書はくしょ(平成へいせい22(2010)としばん156ぺーじ)においてもなされている。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん漸進ぜんしんてき拡充かくじゅう

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ福祉ふくし予算よさん拡充かくじゅう必要ひつようである。

 

○ 予算よさんげにさいしては、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう施行しこうともなうサービス利用りよう対象たいしょうしゃ増加ぞうかじょうきょう福祉ふくしサービスの拡充かくじゅうまえ、目標もくひょう達成たっせい年次ねんじさだめて漸次ぜんじてき推進すいしんする。

 

説明せつめい

くに世界せかいてきにも突出とっしゅつした財政ざいせい赤字あかじかかえ、大震災だいしんさいからの復興ふっこう再生さいせいにも多額たがく費用ひよう必要ひつようとされている。さらに、世界せかいでもるいない少子しょうし高齢こうれい社会しゃかいむかえている。当然とうぜん、それをささえる年金ねんきん医療いりょう福祉ふくしとう社会しゃかい保障ほしょう制度せいどのありかたとその財源ざいげん確保かくほは、くににとっておおきな課題かだいとなっている。

障害しょうがいしゃ施策しさくかか制度せいどならびに予算よさん問題もんだいは、これらとはなして検討けんとうすることは困難こんなんである。

 

したがって、障害しょうがいしゃ施策しさくへの予算よさん配分はいぶん強化きょうかについては、国民こくみん理解りかいみが重要じゅうようかんがえる。とくに、現行げんこう障害しょうがいしゃ施策しさくにおける質的しつてき充実じゅうじつかか大幅おおはば予算よさん拡充かくじゅうもとめる場合ばあいは、医療いりょう年金ねんきん福祉ふくしとうふくめた社会しゃかい保障ほしょう全般ぜんぱんとの関連かんれんのなかでの取組とりくみによって、漸進ぜんしんてきすすめていくことが適当てきとうである。

 

 

(2) 支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けってい実現じつげん可能かのうせい

 

表題ひょうだい支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けってい実現じつげん可能かのうせい

結論けつろん

○ 支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けっていは、財政ざいせいてきにも実現じつげん可能かのうである。

 

説明せつめい

 支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいモデルにおける費用ひようにつき全国ぜんこく先駆さきがけて平成へいせい15年度ねんど支援しえん制度せいど時点じてんでガイドライン()もとづく支給しきゅう決定けってい方式ほうしき採用さいようしたふたつの自治体じちたい(、B。このうち、A重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつモデルをガイドラインにんでいる)予算よさん措置そちからても、支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けっていは、財政ざいせいてきにも実現じつげん可能かのうである。

 

両市りょうしのガイドラインは、行政ぎょうせい障害しょうがいしゃ家族かぞく支援しえん関係かんけいしゃ合議ごうぎした策定さくていされるため、これにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせい支給しきゅう決定けっていされた支援しえん内容ないようは、障害しょうがいしゃ本人ほんにん家族かぞく満足まんぞくたかい。そのため、ほん骨格こっかく提言ていげんでは障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう障害しょうがい程度ていど区分くぶんわるあらたな支給しきゅう決定けってい仕組しくみとしてこれに着目ちゃくもくし、「支援しえんガイドライン」にもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいによる支給しきゅう決定けってい提案ていあんしている(「T−3選択せんたく決定けってい(支給しきゅう決定けってい)参照さんしょう)

 

 A、Bにおける人口じんこうめる手帳てちょう所持しょじしゃ割合わりあいは、A4.01%、B6.21%である(全国ぜんこく平均へいきん5.07)手帳てちょう所持しょじしゃのうち区分くぶん認定にんていけたもの割合わりあいは、全国ぜんこく平均へいきん3.68%にたいして、A9.36%、B14.59%といずれもかなりたかい。にもかかわらず、平成へいせい21年度ねんど資料しりょうによれば、A障害しょうがい福祉ふくしサービスにかんする財政ざいせい支出ししゅつ全国ぜんこく平均へいきん1.03ばい、B1.15ばいとほぼ全国ぜんこく平均へいきんにとどまっている。

 

さらに重度じゅうど障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえんひとつの指標しひょうとなる重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごについてみると、A全国ぜんこく平均へいきん3ばい、B7.5ばい利用りようしゃがおり、A障害しょうがい福祉ふくしサービス全体ぜんたい19.5%、B障害しょうがい福祉ふくしサービス全体ぜんたい19%をめており、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご利用りようが、全国ぜんこく平均へいきんすうばいとなっている。それにもかかわらず、そう費用ひよう全国ぜんこく平均へいきん程度ていどにとどまっているのは、A・Bともに、訪問ほうもんけいサービスの利用りよう全国ぜんこく平均へいきんえている一方いっぽう単価たんかたかきゅう施設しせつ入所にゅうしょけいサービスの利用りようすくないことがデータ分析ぶんせきからは推察すいさつされる。

 

 支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいモデルでは費用ひよう青天井あおてんじょうになるので障害しょうがい程度ていど区分くぶん必要ひつようだという主張しゅちょうがあるが、Aでは、支援しえん開始かいしわせてガイドラインをホームページとう公表こうひょうしたこともあり、初期しょきには利用りようしゃ増加ぞうかがみられたが、次第しだいにガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせい有効ゆうこう機能きのうして、そう利用りようりょう平準へいじゅんしている。

現在げんざい漸増ぜんぞうぶんは、自治体じちたいからの移動いどうなどによるものとおもわれる。

すべての自治体じちたいが、一定いってい以上いじょう支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいおこなうようになれば、徐々じょじょにその問題もんだい減少げんしょうするとおもわれる。

 

 以上いじょうとおり、公開こうかいされている限定げんていされた資料しりょうからてもAやB支援しえんガイドラインにもとづく協議きょうぎ調整ちょうせいは、アメリカ・カナダ・イギリス・スウェーデンとうぜい方式ほうしきでサービス支給しきゅう決定けっていおこなっている国々くにぐに一般いっぱんてきであるだけでなく、わがくににおいても実行じっこう可能かのうで、それほど多額たがく費用ひようようすることなく、かつ区分くぶん認定にんていにかかる費用ひよう負担ふたんとう省略しょうりゃくできるものとかんがえられる。

 

さらに、このモデルは地域ちいき移行いこう促進そくしん地域ちいき生活せいかつ充実じゅうじつ寄与きよするとかんがえられ、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅん方向ほうこうせいにも合致がっちするものとおもわれる。

(なお、本稿ほんこうもちいたデータは、国民こくみん健康けんこう保険ほけん団体だんたい連合れんごうかいにデータががる障害しょうがい福祉ふくしサービス比較ひかくのみで、自立じりつ支援しえん医療いりょう装具そうぐ地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう補助ほじょ事業じぎょうや、生活せいかつ保護ほご介護かいご扶助ふじょ利用りようとうについては検討けんとうされていない。)

 

()、Bにおいてこれまで採用さいようされてきたガイドラインを本稿ほんこうでは一括いっかつして「ガイドライン」としるす。このガイドラインに着目ちゃくもくして、ほん骨格こっかく提言ていげん提案ていあんしているものを「支援しえんガイドライン」とぶことにする。

 

 

 

 

(3) 長時間ちょうじかん介助かいじょとう地域ちいき生活せいかつ支援しえんのための財源ざいげん措置そち

 

表題ひょうだい長時間ちょうじかん介助かいじょとう地域ちいき生活せいかつ支援しえんのための財源ざいげん措置そち

結論けつろん

○ くには、長時間ちょうじかん介助かいじょ必要ひつよう財源ざいげん確保かくほする。

 

○ 地域ちいき移行いこうしゃ地域ちいき生活せいかつをする重度じゅうどしゃかんする支援しえんサービスにかんして支援しえんサービスの場合ばあいにおける負担ふたん支給しきゅう決定けっていのありかたとは、ことなる仕組しくみを導入どうにゅうする。

 

○ くには、地方自治体ちほうじちたいが、国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん事実じじつじょうのサービスの上限じょうげんとしない仕組しくみを財源ざいげんてき担保たんぽするとともに、地方ちほう公共こうきょう団体だんたい財源ざいげん負担ふたんたいする十分じゅうぶん地方ちほう財政ざいせい措置そちこうじる。

 

説明せつめい

どんなに重度じゅうど障害しょうがいしゃであっても、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい19じょうの「もの平等びょうどう選択せんたく自由じゆうゆうしつつ地域ちいき社会しゃかい生活せいかつする平等びょうどう権利けんり」を実現じつげんすることがもとめられる。長時間ちょうじかん介助かいじょも、そのひと障害しょうがい特性とくせいやニーズ、医療いりょうてきケアの必要ひつようとうおうじて、にちちゅう介助かいじょのみが必要ひつようひとから、24時間じかんのパーソナルアシスタンスが必要ひつようひとまで、必要ひつようとされる介助かいじょ内容ないよう様々さまざまである。ただ、どんなに重度じゅうど障害しょうがいしゃでも、またどこにんでいても、地域ちいき社会しゃかいらす権利けんりたされるため必要ひつよう支援しえんりょう提供ていきょうされるべきである。上記じょうきたし、各人かくじんのニーズにおうじた支援しえん適切てきせつとどけられるために、財源ざいげん確保かくほして支援しえんすることが必要ひつようである。

 

地域ちいき移行いこうしゃなかには、出身しゅっしん自治体じちたい居住きょじゅう自治体じちたいかれているケースがすくなくない。住民じゅうみんひょうがある住所じゅうしょでは地域ちいき生活せいかつ出来できなかったため、入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういん長期間ちょうきかん社会しゃかいてき入院にゅういん入所にゅうしょしている、という住民じゅうみんひょう住所じゅうしょ実際じっさい居住きょじゅうことなるケースなどである。こういうひと地域ちいき移行いこうした場合ばあい移行いこうさき住所じゅうしょとなるため、施設しせつ病院びょういんちか自治体じちたい、あるいは重度じゅうどしゃ地域ちいき移行いこう先進せんしんてきすすめてきた自治体じちたいは、過剰かじょう負担ふたんいられる可能かのうせいがある。これが、地域ちいき移行いこう阻害そがいする要因よういんひとつでもある。

 

そこで、施設しせつ病院びょういんから地域ちいき移行いこうするひと親元おやもとから独立どくりつしてべつ市町村しちょうそんらす障害しょうがいしゃについては、出身しゅっしん自治体じちたい一定いってい年度ねんど財政ざいせい負担ふたん(恒久こうきゅうてきかどうかは検討けんとう)をしたうえで、居住きょじゅう自治体じちたいでの支給しきゅう決定けっていをすることも検討けんとうしてはどうか。たとえば、入所にゅうしょ施設しせつ病院びょういんへの入院にゅういん入所にゅうしょしゃ地域ちいき生活せいかつ移行いこうとう促進そくしんするため、居住きょじゅう出身しゅっしん費用ひよう負担ふたんしてはどうか。(下図したず参照さんしょう)

 

 

ただし、入所にゅうしょ施設しせつやグループホーム、ケアホーム利用りようしゃ自立じりつ支援しえん給付きゅうふについての現行げんこう居住きょじゅう特例とくれい当面とうめん継続けいぞくしつつ課題かだい整理せいりし、施設しせつ病院びょういんとうから地域ちいき移行いこうするひととうあつかいとあわせて、そのありかた慎重しんちょう検討けんとうすることが必要ひつようである。

 

また、現状げんじょうでは国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんというかたち実質じっしつてき予算よさん上限じょうげん設定せっていしているため、すくなからぬ自治体じちたいが、国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん事実じじつじょうのサービス上限じょうげんとしている。はじめに予算よさんありき、ではなく、まずは障害しょうがいしゃのニーズを中心ちゅうしん検討けんとうすべきである。そのニーズをげるかたちで、必要ひつよう支給しきゅう決定けっていがなされる必要ひつようがある。障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいては、障害しょうがいしゃ実態じったいとニーズにわせ、「地域ちいきらす権利けんり」を保障ほしょうするための財源ざいげん確保かくほすべきである。

 

したがって、国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんについてはつぎのようなかんがかた考慮こうりょされるべきである。

 

(1) 地域ちいき生活せいかつをする重度じゅうど障害しょうがいしゃについて、現行げんこう国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん以上いじょう負担ふたんくに負担ふたんとすることを原則げんそくとする。ただ、そのことが無理むり場合ばあいたとえば都道府県とどうふけんでの基金ききんふく市町村しちょうそん負担ふたん大幅おおはばげる対応たいおうかんがえるべきである。

 

(2) ホームヘルプについては、8時間じかんえる支給しきゅう決定けっていをする場合ばあいは、8時間じかんえる部分ぶぶん市町村しちょうそん負担ふたん5程度ていどげ、都道府県とどうふけん45%を負担ふたんし、8時間じかん以内いない支給しきゅう決定けっていをする場合ばあいおよび8時間じかん以上いじょう支給しきゅう決定けってい場合ばあい8時間じかんぶんについては、市町村しちょうそん負担ふたん26%とし、都道府県とどうふけん負担ふたん1%を確保かくほして使つかうようにするあん提示ていじした。(下図したず参照さんしょう)

  

なお、ホームヘルプにかかるくに負担ふたん割合わりあい現行げんこう5わりであるが、地域ちいき格差かくさなく、必要ひつようとされるサービス提供ていきょう保障ほしょうされるためには、現行げんこう以上いじょうくに負担ふたん割合わりあい検討けんとうすべきである。

 

  

上記じょうき8時間じかんさかいにしている理由りゆうは、重度じゅうど訪問ほうもん介護かいご区分くぶん6国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんやく40まんえんで、つき212時間じかん程度ていど単価たんかとなり、1日当ひあたり7時間じかんちょうであることから、8時間じかんさかいにしている。

 


 

V 関連かんれんするほか法律ほうりつ分野ぶんやとの関係かんけい

V−1 医療いりょう 

 

医療いりょう合同ごうどう作業さぎょうチームでは、障害しょうがいしゃ医療いりょうをめぐる現状げんじょうまえつつ、障害しょうがいしゃ保護ほご対象たいしょうではなく権利けんり主体しゅたいであるとのかんがえにち、障害しょうがい当事とうじしゃ経験けいけんそくした視点してんから、しょ課題かだいへの解決かいけつさくにつながるよう、制度せいどかたにつき検討けんとうおこなった。(だい1(平成へいせい22(2010)とし10つき12つき)には精神せいしん医療いりょう中心ちゅうしんに、だい2(平成へいせい23(2011)とし1つき6つき)には、障害しょうがい種別しゅべつわず、障害しょうがいしゃ生活せいかつささえる地域ちいき医療いりょう主題しゅだいとして検討けんとう)

 

表題ひょうだい】「地域ちいきにおける障害しょうがいしゃ生活せいかつささえる医療いりょう」の実現じつげんけた理念りねん制度せいど基盤きばん構築こうちく

 

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ地域ちいきらし社会しゃかい参加さんかできるようにするためには、適切てきせつ医療いりょう提供ていきょう不可欠ふかけつである。医療いりょうは、福祉ふくしサービスおよ保健ほけんサービスとの有機ゆうきてき連携れんけい確保かくほしながら提供ていきょうされる必要ひつようがあるという、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう理念りねん医療いりょう保健ほけん分野ぶんやにかかる法律ほうりつにおいても確立かくりつされるべきである。

 

○ また、包括ほうかつてきなサービス提供ていきょう基盤きばんとなるものとして、個々ここ障害しょうがいしゃたいする相談そうだん支援しえんさい当該とうがい障害しょうがいしゃ福祉ふくし保健ほけん医療いりょうにわたるニーズにった総合そうごうてき相談そうだん支援しえん自己じこ決定けっていへの支援しえん一体いったいてき提供ていきょうされることが必要ひつようである。このような本人ほんにん希望きぼうまえた総合そうごうてき支援しえん障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうのみならず、医療いりょう保健ほけん分野ぶんやにかかる法律ほうりつにおいても実施じっしできるよう、制度せいど基盤きばん構築こうちく有機ゆうきてき連携れんけいしたになされなければならない。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃたいする医療いりょうは、疾病しっぺいたいする治療ちりょう提供ていきょうする医療いりょう(医学いがくモデルにもとづく医療いりょう)とはるべき姿すがたことにする。医学いがくモデルではなく個々ここ障害しょうがいしゃ生活せいかつ状況じょうきょう基盤きばんとして、日常にちじょう生活せいかつささえる不可欠ふかけつのサービスとして、医療いりょうが、保健ほけん福祉ふくし生活せいかつ支援しえんのサービスと有機ゆうきてき連携れんけい確保かくほしつつ提供ていきょうされることが重要じゅうようである。このような観点かんてんから、障害しょうがいしゃたいする地域ちいき医療いりょうをさらに向上こうじょう発展はってんさせていくための理念りねん制度せいど基盤きばん構築こうちくが、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうのみならず医療いりょうほう地域ちいき保健ほけんほうとう関係かんけい法令ほうれいのもとでも必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ医療いりょう公費こうひ負担ふたん制度せいど見直みなお

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ医療いりょう公費こうひ負担ふたん制度せいど見直みなおしにさいしては、現行げんこう自立じりつ支援しえん医療いりょう制度せいどのみならず、特定とくてい疾患しっかん治療ちりょう研究けんきゅう事業じぎょう小児しょうに慢性まんせい特定とくてい疾患しっかん治療ちりょう研究けんきゅう事業じぎょう高額こうがく療養りょうよう制度せいど都道府県とどうふけん重度じゅうど心身しんしん障害しょうがいしゃ医療いりょう助成じょせい制度せいどとう総合そうごうてき検討けんとう対象たいしょうとする必要ひつようがある。

 

説明せつめい

 地域ちいき生活せいかつする障害しょうがいしゃは、障害しょうがい種類しゅるいにもよるが、外来がいらいとうにより反復はんぷく継続けいぞくして医療いりょうける必要ひつようがある場合ばあいおおく、その経済けいざいてき負担ふたん本人ほんにん負担ふたん能力のうりょくして過重かじゅうとなりやすい。また、必要ひつよう医療いりょう適時てきじてきかくけられるようにすることは障害しょうがい重度じゅうど予防よぼうする観点かんてんからも重要じゅうようであり、経済けいざいてき負担ふたん過重かじゅうかんからこれがさまたげられることがあってはならない。こうした観点かんてんから、自立じりつ支援しえん医療いりょうのみならず、様々さまざま医療いりょう公費こうひ負担ふたん制度せいどもとづきこうじられている負担ふたん軽減けいげん仕組しくみを総合そうごうてき検討けんとうしていく必要ひつようがある。

 難病なんびょうとう慢性まんせい疾患しっかん患者かんじゃおおくは長期ちょうきにわたる医療いりょうくわえて、遠方えんぽう専門せんもん医療いりょう機関きかんへの通院つういん交通こうつうとう経済けいざいてき負担ふたんおもく、緊急きんきゅう対応たいおう必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい医療いりょうてきケアのにな確保かくほ

結論けつろん

○ 重度じゅうど障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえんするため、日常にちじょうてき必要ひつようとなる医療いりょうてきケアのになやしていく必要ひつようがあり、介護かいご職員しょくいんとうかんする法令ほうれいじょう規定きてい整備せいび医療いりょう関連かんれん職種しょくしゅかんする法令ほうれいとの調整ちょうせい必要ひつようである。

 

○ また、障害しょうがいしゃ高齢こうれいともない、医療いりょうてきケアを必要ひつようとするひとえることからも、そのになやしていく必要ひつようがある。

 

○ そのさい介護かいご職員しょくいんとう特定とくてい多数たすう対象たいしょうしゃ当該とうがい医療いりょうてきケアをおこな場合ばあい(入所にゅうしょ施設しせつでのケアとう)と、にな個別こべつてき特定とくてい対象たいしょうしゃ特定とくていのケアをおこな場合ばあい(学校がっこう在宅ざいたくでのケアとう)区別くべつし、それぞれに相応そうおうした柔軟じゅうなん実施じっし体制たいせい整備せいびはかられるべき。

 

説明せつめい

平成へいせい23(2011)とし社会しゃかい福祉ふくしほうおよ介護かいご福祉ふくしほう改正かいせいにより、平成へいせい24(2012)年度ねんどから、たんの吸引きゅういんけいかん栄養えいようについて、看護かんごとうだけでなく、一定いってい研修けんしゅうけた介護かいご職員しょくいんとうおこなうことができるようになった。

研修けんしゅう受講じゅこう便宜べんぎはかりつつ、これらの医療いりょうてきケアをにな介護かいご職員しょくいんとうやしていくとともに、医療いりょうてきケアを日常にちじょうてき必要ひつようとするよりおおくの障害しょうがいしゃ地域ちいき円滑えんかつ生活せいかつおくれるよう介護かいご職員しょくいんとう実施じっしできる医療いりょうてきケアの範囲はんいをさらに拡大かくだいすることも検討けんとうする必要ひつようがある。

 

 

表題ひょうだい重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいしゃ重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃ医療いりょう地域ちいき生活せいかつ

結論けつろん

○ 重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいしゃ重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいしゃにとっては、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうによる長時間ちょうじかん介助かいじょサービスとあいまって、地域ちいき生活せいかつおくるうえでのニーズにそくした医療いりょうサービスが身近みぢかなところでけられる体制たいせいと、日常にちじょうてき医療いりょうてきケアが日頃ひごろ介助かいじょしている介助かいじょしゃによっておこないうる体制たいせい構築こうちくすることが必要ひつようである。同時どうじに、ショートステイもふくめた施設しせつへの入院にゅういん入所にゅうしょ機能きのう確保かくほ重要じゅうようである。

 

説明せつめい

 障害しょうがい重度じゅうどであっても、地域ちいき生活せいかつできるよう支援しえんこうじていくことが重要じゅうようである。このためには、長時間ちょうじかん介助かいじょサービスの提供ていきょうあいまって、日常にちじょうてき医療いりょう提供ていきょう確保かくほされること、また、生命せいめい生活せいかつのセーフティネットとしての施設しせつ機能きのう確保かくほされることが重要じゅうようであり、そのような体制たいせい充実じゅうじつさせるための関係かんけい法令ほうれい整備せいび必要ひつようとなる。

 

 

表題ひょうだい難病なんびょうとうのある障害しょうがいしゃ医療いりょう地域ちいき生活せいかつ

結論けつろん

○ 難病なんびょうその希少きしょう疾患しっかんとうのある障害しょうがいしゃにとっては、身近みぢかなところで専門せんもんせいのある医療いりょうけることができる体制たいせいおよ医療いりょうけながらはたらつづけることのできる就労しゅうろう環境かんきょうもとめられ、このための法令ほうれい整備せいび必要ひつようである。

 

○ 難病なんびょうとうについて検討けんとうするかい設置せっちするものとする。

 

説明せつめい

難病なんびょうとうのある障害しょうがいしゃについて、概念がいねん整理せいりすすめる必要ひつようがあるが、難治なんじせい慢性まんせい疾患しっかんのあるひとふくむよう幅広はばひろくとらえ、それらのひとたいしては障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにもとづく生活せいかつ支援しえんこうじられるとともに、医療いりょうおよ就労しゅうろう分野ぶんや法令ほうれいにおいて、医療いりょうけながら地域ちいき生活せいかつとくはたらつづけることができる環境かんきょう整備せいびについて規定きていしていくことが必要ひつようである。

あらたに設置せっちする難病なんびょうとうについて検討けんとうするかいにおいては、上記じょうき項目こうもくをはじめ、特定とくてい疾患しっかん治療ちりょう研究けんきゅう事業じぎょう対象たいしょう疾患しっかん難治なんじせい疾患しっかん研究けんきゅうのありかた小児しょうに慢性まんせい特定とくてい疾患しっかんのキャリーオーバーの検討けんとう、「長期ちょうき高額こうがく医療いりょう高額こうがく療養りょうよう見直みなおし」とう議論ぎろんまえつつ、検討けんとうおこなうものとする。

 

 

表題ひょうだい精神せいしん障害しょうがいしゃ医療いりょう地域ちいき生活せいかつ

結論けつろん

○ 精神せいしん障害しょうがいしゃにとっては、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおいて、安心あんしんして地域ちいき社会しゃかい自立じりつした生活せいかつおくるための生活せいかつ支援しえん相談そうだん支援しえんもとめられるが、医療いりょう分野ぶんやにおいては福祉ふくしサービスと連携れんけいしつつ、地域ちいき身近みぢかなところで必要ひつよう通院つういん医療いりょう訪問ほうもん診療しんりょうけられる体制たいせいもとめられる。なお、総合そうごう病院びょういんにおける精神せいしん設置せっちもとめられる。

 

○ 精神せいしん障害しょうがいしゃ調子ちょうしくずしたとき、家族かぞくとの関係かんけい一時いちじてき悪化あっかしたときとうに、入所にゅうしょ入院にゅういんではなく精神せいしん障害しょうがいしゃ自身じしん選択せんたくおよ医学いがくてき判断はんだん利用りよう可能かのうなドロップインセンター(自立じりつ訓練くんれんとう提供ていきょうとともに、安心あんしんしてみ、をおける居場所いばしょとしての機能きのうあわつシェルター)として、必要ひつようにすぐに使つかえるレスパイトやショートステイが必要ひつようである。そのさい障害しょうがい程度ていど区分くぶんらず使つかえる仕組しくみとすることが必要ひつようである。

 

説明せつめい

地域ちいき移行いこう支給しきゅう決定けってい相談そうだん支援しえんこうにおけるセンターの機能きのうは、このこうとも密接みっせつ関係かんけいする。(※ なお、人権じんけん保障ほしょう観点かんてんからの社会しゃかいてき入院にゅういん解消かいしょう地域ちいき移行いこうとうについては、別項べっこう記述きじゅつする。)

 

 

表題ひょうだい発達はったつ障害しょうがいしゃ医療いりょう地域ちいき生活せいかつ

結論けつろん

○ 発達はったつ障害しょうがいしゃにとって、地域ちいき生活せいかつできるためには、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうもとづく生活せいかつ支援しえんとともに、身近みぢかなところで専門せんもんてき治療ちりょうけられる体制たいせい確立かくりつ整備せいびもとめられる。

 

説明せつめい

とくに、発達はったつ障害しょうがい診断しんだん治療ちりょうかか指針ししんとう普及ふきゅうさせ、これらをにな能力のうりょく十分じゅうぶんそなえた医師いしとう医療いりょう従事じゅうじしゃやすことにより、医療いりょうしつげる(必要ひつよう投薬とうやくけ、適切てきせつ支援しえん提供ていきょうする)体制たいせい確立かくりつ整備せいびもとめられる。

 

 

 

表題ひょうだい精神せいしん障害しょうがいしゃかか自発じはつてき入院にゅういん入院にゅういんちゅう行動こうどう制限せいげん

結論けつろん

○ 関係かんけいする法律ほうりつ(精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほう医療いりょうほうとう)抜本ばっぽんてき見直みなおし、以下いか事項じこうむべきである。

 

・ 精神せいしん障害しょうがいしゃ地域ちいき社会しゃかい自立じりつ(自律じりつ)した生活せいかついとなむことができるよう、権利けんり保障ほしょうまえた規定きてい整備せいびすることにより、いわゆる社会しゃかいてき入院にゅういん解消かいしょうすること

 ・ 自発じはつてき入院にゅういん入院にゅういんちゅう行動こうどう制限せいげんについては、人権じんけん制約せいやくともなうものであることから、本人ほんにんはんしたまた本人ほんにん意思いし確認かくにんすることができない状況じょうきょうでの適正てきせい手続てつづきかか規定きていとともに、医療いりょう内容ないようんだ人権じんけん保障ほしょう観点かんてんから第三者だいさんしゃ機関きかんによる監視かんしおよ個人こじん救済きゅうさいふく適切てきせつ運用うんようがなされることを担保たんぽする規定きてい整備せいびすること

 ・ そのさい第三者だいさんしゃ機関きかん必要ひつよう経費けいひは、国庫こっこ負担ふたんすること

 

説明せつめい

 精神せいしん病院びょういんへの入院にゅういん医療いりょう提供ていきょうは、原則げんそく本人ほんにん自由じゆう意思いしもとづいておこなわれるべきであり、これは自己じこ決定けっていけんという基本きほんてき人権じんけんひとつである。やむを自発じはつてき入院にゅういん入院にゅういんちゅう行動こうどう制限せいげんおこなわれる場合ばあいにおいては、この基本きほんてき人権じんけん手続てつづきてき保障ほしょうとしての障害しょうがいのないひととの平等びょうどう基礎きそとした実効じっこうせいのある適正てきせい手続てつづき確保かくほされるようほう制度せいど整備せいび必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい入院にゅういんちゅう精神せいしん障害しょうがいしゃ権利けんり擁護ようご

結論けつろん

○ 精神せいしん病院びょういんにおける権利けんり擁護ようごについては、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご制度せいど連携れんけい協力きょうりょくする観点かんてんから、精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほう見直みなおしの課題かだいとして、入院にゅういんちゅう精神せいしん障害しょうがいしゃふく精神せいしん病院びょういんにおける権利けんり擁護ようご定着ていちゃくさせるための制度せいど(たとえばオンブズパーソン制度せいど)位置いちづける必要ひつようがある。

 

説明せつめい

精神せいしん病院びょういん入院にゅういんしゃについては、現行げんこう精神せいしん保健ほけん福祉ふくしほうにおいては精神せいしん医療いりょう審査しんさかいがあるが、現状げんじょうでは種々しゅじゅ問題もんだいゆうしており、機能きのうしていない。そのため、入院にゅういんちゅう精神せいしん障害しょうがいしゃふく精神せいしん病院びょういんにおける権利けんり擁護ようご定着ていちゃくさせるための制度せいど(たとえばオンブズパーソン制度せいど)必要ひつようになっている。大阪おおさかでは、精神せいしん病院びょういん市民しみん訪問ほうもんし、利用りようしゃこえをもとに処遇しょぐう療養りょうよう環境かんきょう向上こうじょう目指めざ精神せいしん医療いりょうオンブズマンが制度せいど(現在げんざい療養りょうよう環境かんきょうサポーター活動かつどう )としてまれている。

 

 

表題ひょうだい精神せいしん障害しょうがいしゃたいする精神せいしん医療いりょうしつ向上こうじょう

結論けつろん

○ 精神せいしん障害しょうがいしゃ入院にゅういんニーズを精査せいさし、くにならびに都道府県とどうふけん精神せいしん病床びょうしょう削減さくげん計画けいかくて、入院にゅういんわる地域ちいき医療いりょう体制たいせい構築こうちくすることが必要ひつようである。

 

○ 医師いし看護かんごとう精神せいしん医療いりょうてる人員じんいん標準ひょうじゅんならびに診療しんりょう報酬ほうしゅう一般いっぱん医療いりょうよりすくなく設定せっていしている現行げんこう基準きじゅんあらため、適正てきせい病床びょうしょうすう必要ひつよう人員じんいん配置はいちし、精神せいしん医療いりょうしつ向上こうじょうするための根拠こんきょとなる規定きていもうける必要ひつようがある。

 

説明せつめい

推定すいていで7まんにんわれている、いわゆる「社会しゃかいてき入院にゅういん」を解消かいしょうするためには、

入院にゅういんわる地域ちいき医療いりょう体制たいせい構築こうちく不可欠ふかけつであり、これは地域ちいき移行いこう資源しげん整備せいびこうにおける計画けいかくとも密接みっせつ関連かんれんする。

精神せいしん医療いりょう提供ていきょうたっては、一般いっぱん医療いりょう同様どうよう、インフォームドコンセントをるという原則げんそく徹底てっていするとともに、身体しんたい拘束こうそく閉鎖へいさ空間くうかんでの処遇しょぐうとう行動こうどう制限せいげん極小きょくしょうするべきであり、そのためにも、地域ちいき医療いりょう体制たいせい構築こうちく精神せいしん医療いりょうしつ向上こうじょうするための根拠こんきょとなる規定きていもうけることが必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい保護ほごしゃ制度せいど

結論けつろん

○ 保護ほごしゃ制度せいど問題もんだいてん解消かいしょうするために、扶養ふよう義務ぎむしゃとうわる人権じんけん擁護ようご制度せいど確立かくりつ検討けんとうすべきである。

 

説明せつめい

医療いりょう保護ほご入院にゅういんかか同意どういふくむ「保護ほごしゃ制度せいど」の問題もんだいてん解消かいしょうするために、みずからの判断はんだん選択せんたくによる医療いりょう利用りよう保障ほしょうされるべきことを確認かくにんするとともに、自発じはつてき入院にゅういんかんし、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくもとめる人権じんけん擁護ようご観点かんてんからあらたな仕組しくみを検討けんとうし、その仕組しくみの導入どうにゅうともな保護ほごしゃ制度せいど廃止はいしする。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがい理由りゆうとした医療いりょう提供ていきょう拒否きょひ禁止きんし

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃとく精神せいしん障害しょうがいしゃ身体しんたい疾患しっかん合併症がっぺいしょうたいしては、一般いっぱん病院びょういんにおいて入院にゅういん治療ちりょう可能かのうであるにもかかわらず、実際じっさい医療いりょう現場げんばでは障害しょうがいしゃとく精神せいしん障害しょうがいしゃであるとの理由りゆう身体しんたいてき治療ちりょう拒否きょひされることがおおい。よって、すべての障害しょうがいしゃ対象たいしょうとした「障害しょうがい理由りゆうとした医療いりょう提供ていきょう拒否きょひ」を禁止きんしするよう制度せいど改正かいせいし、医療いりょうほう施行しこう規則きそくだい10じょう3こうについても廃止はいし検討けんとうする。

 

説明せつめい

精神せいしん障害しょうがいしゃ精神せいしん疾患しっかんちながら地域ちいき生活せいかつするには、一般いっぱん病院びょういんふく身近みぢかなところで通院つういん往診おうしんなどを受診じゅしんできることが重要じゅうようとなる。とく身体しんたい疾患しっかん合併症がっぺいしょうたいしては「障害しょうがい理由りゆうとした医療いりょう提供ていきょう拒否きょひ」はあってはならず、このことは精神せいしん障害しょうがいしゃにのみならず障害しょうがいしゃ全般ぜんぱんかかわる重要じゅうよう課題かだいである。そのさい精神せいしん疾患しっかん治療ちりょう疾患しっかん同様どうよう一般いっぱん医療いりょうなか精神せいしん医療いりょうへのアクセスをよくすることは、再発さいはつ予防よぼう早期そうき発見はっけんにつながるため医療いりょうほう施行しこう規則きそくだい10じょう3こうについても廃止はいし検討けんとう必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃたいする歯科しか保健ほけん歯科しか医療いりょう充実じゅうじつ

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃとくにアテトーゼや行動こうどう障害しょうがいともな障害しょうがいしゃたいし、身近みぢかなところで歯科しか保健ほけんサービスおよ歯科しか医療いりょう提供ていきょうする体制たいせい整備せいび充実じゅうじつのため、院内いんない治療ちりょうできるよう、物的ぶってき設備せつび整備せいび支援しえん歯科しか医師いしとうたいする障害しょうがいかんする研修けんしゅう訪問ほうもん治療ちりょうとうにつき、医療いりょうほうとう関連かんれん法令ほうれい規定きてい見直みなおしが必要ひつようである。

 

説明せつめい

障害しょうがいしゃにとって、歯科しか治療ちりょう円滑えんかつけることが困難こんなん状況じょうきょう依然いぜんとして存在そんざいする。歯科しか医療いりょうおよ予防よぼうは、障害しょうがいしゃにとって、健康けんこう保持ほじ学習がくしゅう発達はったつ(とく障害しょうがい)生活せいかつ機能きのう回復かいふく向上こうじょう重要じゅうようであり、現状げんじょう改善かいぜん不可欠ふかけつである。


 


 

V−2 障害しょうがい

 障害しょうがい合同ごうどう作業さぎょうチームは「障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしんのための基本きほんてき方向ほうこうせいについて」(平成へいせい22(2010)とし6つき29にち閣議かくぎ決定けってい)しめされたつぎ2てんについて、論点ろんてん整理せいりをした。

地域ちいき身近みぢかなところで提供ていきょうされるべき障害しょうがいやその保護ほごしゃたいする相談そうだん支援しえん療育りょういくとうかたについて

障害しょうがいへの支援しえんが、利用りようしやすいかたち提供ていきょうされるための具体ぐたいてき方策ほうさくについて

 

1.   児童じどう福祉ふくしほう関係かんけい

 

表題ひょうだい権利けんり擁護ようご

結論けつろん

   障害しょうがいふくむすべてのどもの基本きほんてき権利けんり保障ほしょうする仕組しくみの創設そうせつのぞまれることから、児童じどう福祉ふくしほうでオンブズパーソンを制度せいどするよう、現行げんこうほうもとづく権利けんり擁護ようごシステムの検証けんしょうつづすすめ、社会しゃかい保障ほしょう審議しんぎかい児童じどう部会ぶかい検討けんとうもうけ、制度せいどかたについて検討けんとうすすめるべきである。

 

説明せつめい

 どもは、児童じどう福祉ふくしほう規定きていされている理念りねんまえ、ひとしく愛護あいごされなければならないことはもとより、権利けんり主体しゅたいとされなければならない。

障害しょうがい有無うむ程度ていどにかかわらずすべてのどものための権利けんり擁護ようご仕組しくみを市町村しちょうそんもうけるために、オンブズパーソンを、国連こくれん児童じどう権利けんりかんする委員いいんかい勧告かんこく(CRC/C/JPN/CO/3, 2010.6.)まえ、児童じどう福祉ふくしほうでの制度せいど目指めざして検討けんとうもうけるべきである。

 

障害しょうがいは、契約けいやく当事とうじしゃ保護ほごしゃであり、とくに、施設しせつへの入所にゅうしょについては家庭かてい生活せいかつうばわれることにもなるため、どもの視点してんから最善さいぜん利益りえき保障ほしょうできる権利けんり擁護ようご仕組しくみが必要ひつようである。すで自治体じちたい取組とりくまれている先行せんこう事例じれいとうもあることから、社会しゃかい保障ほしょう審議しんぎかい児童じどう部会ぶかい検討けんとうすすめ、オンブズパーソンの制度せいどはかるべきである。

 

 

表題ひょうだい早期そうき支援しえん

結論けつろん

○ 母子ぼし保健ほけんほうもとづく障害しょうがい早期そうき発見はっけんを、保健ほけん指導しどう医療いりょう保障ほしょうにとどまらず、障害しょうがい地域ちいきどもとしてのそだちを保障ほしょうされるよう、児童じどう福祉ふくしほう子育こそだ支援しえん事業じぎょう連携れんけい実施じっしするべきである。

 

○ 健康けんこう診査しんさとうによるよう支援しえんたいしては、家庭かていへの訪問ほうもん巡回じゅんかいとう家庭かていでの育児いくじ支援しえん児童じどう一般いっぱん施策しさく活用かつよう基本きほんてきかたとし、児童じどうおよ保護ほごしゃ意思いしもとづいて、児童じどう発達はったつ支援しえんセンター、医療いりょう機関きかんおよ入所にゅうしょ施設しせつとう活用かつようできるよう児童じどう福祉ふくしほうさだめる必要ひつようがある。

 

説明せつめい

母子ぼし保健ほけんほうは、学校がっこう保健ほけん安全あんぜんほう児童じどう福祉ふくしほうとうもとづく事業じぎょう協調きょうちょうするよう規定きていされているが、現状げんじょうは、障害しょうがい発見はっけんから療育りょういく特別とくべつ支援しえん教育きょういくへと「特別とくべつ支援しえん過程かてい」につながるだけのことがおおい。障害しょうがい発見はっけん地域ちいき子育こそだ支援しえん、さらに地域ちいき学校がっこうへの就学しゅうがくにつなぐことの出来でき制度せいど設計せっけい必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがい理由りゆう制限せいげんされない一般いっぱん児童じどう施策しさく

結論けつろん

○ 児童じどう福祉ふくしほう保育ほいくしょ入所にゅうしょ要件ようけんには、障害しょうがい理由りゆう利用りよう制限せいげんする規定きていがないことをまえ、今後こんごの「総合そうごう施設しせつ(仮称かしょう)および「こどもえん給付きゅうふ(仮称かしょう)」の制度せいどにおいて、障害しょうがい入園にゅうえん拒否きょひされないように応諾おうだく義務ぎむ必要ひつようがある。また、必要ひつよう支援しえん確保かくほされるよう、必要ひつよう規定きてい児童じどう福祉ふくしほう、「総合そうごう施設しせつほう(仮称かしょう)および「こどもえん給付きゅうふ(仮称かしょう)」にかか新法しんぽうもうける必要ひつようがある。

 

○ 障害しょうがいが、児童じどう福祉ふくしほう放課後ほうかご児童じどうクラブへの参加さんか希望きぼうする場合ばあいには、障害しょうがい理由りゆう拒否きょひされるべきではない。また、指導しどういん加配かはい医療いりょうてきケアを必要ひつようとするどもには看護かんご配置はいち移動いどう支援しえんとう必要ひつよう支援しえんこうじられるべきである。

 

説明せつめい

 児童じどう一般いっぱん施策しさく障害しょうがい施策しさく両方りょうほうがあることによって、障害しょうがい児童じどう一般いっぱん施策しさく利用りようしにくい、あるいは利用りようできないということがないようにするべきである。

ども・子育こそだしんシステムの「ども・子育こそだ会議かいぎ(仮称かしょう)」や「しんシステム事業じぎょう計画けいかく(仮称かしょう)とうも、上記じょうき理念りねんした検討けんとうすすめられるよう障害しょうがい家族かぞくおよ支援しえんしゃ参画さんかくし、障害しょうがい理由りゆう利用りよう拒否きょひされないよう、かつ、必要ひつよう支援しえん確保かくほされるよう児童じどう福祉ふくしほう、「総合そうごう施設しせつほう(仮称かしょう)および「こどもえん給付きゅうふ(仮称かしょう)」が制度せいどされるべきである。

放課後ほうかご児童じどうクラブについても、同様どうよう整備せいびされるべきである。

 

 

表題ひょうだい療育りょういく

結論けつろん

○ 障害しょうがいしゃ基本きほんほうの「可能かのうかぎりその身近みぢか場所ばしょにおいて療育りょういくそのこれに関連かんれんする支援しえんけられるようにするため」の規定きていまえ、児童じどう福祉ふくしほう療育りょういく規定きてい整理せいりするべきである。

 

○ 地域ちいき社会しゃかい身近みぢか場所ばしょにおいて専門せんもんせいたか療育りょういく(障害しょうがいたいする発達はったつ支援しえん育児いくじ支援しえん相談そうだん支援しえんおよ医療いりょうてき支援しえん)利用りようできるように、児童じどう福祉ふくしほう見直みなおしをおこな必要ひつようがある。

 

説明せつめい

 障害しょうがい個々ここ特性とくせいまえた専門せんもんせいたか療育りょういく身近みぢか地域ちいきられるようにすべきである。児童じどう福祉ふくしほうに「療育りょういく指導しどうとう」が規定きていされているが、規定きてい仕方しかたせまいため、地域ちいき社会しゃかい身近みぢか場所ばしょで、思春期ししゅんきまでの継続けいぞくした療育りょういく利用りようできるように整理せいりすべきである。

 

 

表題ひょうだい通所つうしょによる支援しえん

結論けつろん

○ 児童じどう発達はったつ支援しえんセンターは、地域ちいき障害しょうがいれ、専門せんもんてき療育りょういくおこなうのみならず、積極せっきょくてき地域ちいき出向でむいて、家庭かてい児童じどうクラブとう障害しょうがい支援しえんおこなうことができるよう児童じどう福祉ふくしほう必要ひつよう見直みなおしをおこなうことが必要ひつようである。

 

○ 地域ちいきにおける障害しょうがい支援しえん機能きのう強化きょうか促進そくしんするために、保育ほいくしょとう訪問ほうもん支援しえん事業じぎょう巡回じゅんかい支援しえん専門せんもんいん整備せいび事業じぎょうおよ障害しょうがいとう療育りょういく支援しえん事業じぎょう拡充かくじゅうはかるとともに、障害しょうがい支援しえん専門せんもんせい相互そうご提供ていきょうえるようにするべきである。そのために、保育ほいくしょとう訪問ほうもん支援しえん事業じぎょう対象たいしょう児童じどう発達はったつ支援しえん事業じぎょうおよびどうセンターもくわえることがもとめられる。

 

   児童じどう発達はったつ支援しえんセンターは、様々さまざまなニーズのある障害しょうがい対応たいおうできる職員しょくいん配置はいち基準きじゅん必要ひつようであるため、保育ほいくおよ児童じどう指導しどういんくわえ、看護かんご療法りょうほうとう専門せんもんしょく適正てきせい配置はいちできるようにする。

 

説明せつめい

障害しょうがい地域ちいき身近みぢか場所ばしょで、必要ひつよう支援しえん利用りようできるようにするためには、

児童じどう発達はったつ支援しえんセンターとう機能きのう強化きょうか必要ひつようになっている。とりわけ、人口じんこう過疎かそ地域ちいきにおいては、深刻しんこく課題かだいである。機能きのう強化きょうかのために、児童じどう発達はったつ支援しえんセンターが地域ちいき出向でむいて支援しえんおこなえるようにすべきである。また、これまで障害しょうがい通園つうえん施設しせつ障害しょうがい種別しゅべつかれてつちかってきた「専門せんもんせい」を、児童じどう発達はったつ支援しえんセンターや放課後ほうかごとうデイサービス事業じぎょうしょとう提供ていきょうして相互そうごのレベルアップをはかることにくわえ、福祉ふくしがたセンターには看護かんご療法りょうほうとうを、医療いりょうがたセンターには保育ほいくとう必要ひつよう職員しょくいん確保かくほして発達はったつ支援しえん機能きのう向上こうじょうさせるべきである。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがい入所にゅうしょ支援しえん

結論けつろん

○ 障害しょうがい自立じりつ生活せいかつにむけて、「自立じりつ支援しえん計画けいかく」の策定さくてい障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつ義務付ぎむづけること。その根拠こんきょ規定きてい児童じどう福祉ふくしほう児童じどう福祉ふくし施設しせつ最低さいてい基準きじゅんもうけ、運営うんえいガイドラインを整備せいびするべきである。

 

○ 入所にゅうしょ入所にゅうしょであっても、地域ちいきどもとして意識いしきされるよう、児童じどう相談そうだんしょとうくわえ、市町村しちょうそん関与かんよできるようにすべきである。

 

○ 地域ちいき生活せいかつへの移行いこうにあたっては、在宅ざいたく生活せいかつ可能かのうとなるよう地域ちいき資源しげん整備せいびし、家庭かていかえれない場合ばあいでも、障害しょうがいせんもん里親さとおや制度せいど拡充かくじゅう障害しょうがい対象たいしょうとするファミリーホームとう、できるだけ家庭かていちか養育よういく環境かんきょう整備せいびすべきである。また障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつ小規模しょうきぼやユニット促進そくしんすることがもとめられる。

 

○ 新生児しんせいじ集中しゅうちゅう治療ちりょうしつ(NICU)から在宅ざいたく生活せいかつへの移行いこうにおいて、障害しょうがい発見はっけんされた直後ちょくごおやたいするカウンセリングや、養育よういく指導しどうとう移行いこう支援しえんになっている医療いりょうがた障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつ母子ぼし入園にゅうえん支援しえんは、有効ゆうこうであることから、これを拡充かくじゅうするべきである。

 

   入所にゅうしょ施設しせつは、社会しゃかい資源しげんひとつとして、保育ほいくしょふく地域ちいき機関きかん家庭かていへの訪問ほうもん巡回じゅんかいがた支援しえんおこなえるようにし、すべての障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつにショートステイわく増設ぞうせつするべきである。

 

説明せつめい

 児童じどう養護ようご施設しせつとう義務付ぎむづけられている自立じりつ支援しえん計画けいかくは、障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつには義務付ぎむづけられていない。障害しょうがい入所にゅうしょ施設しせつに、児童じどう相談そうだんしょとうとの協議きょうぎにもとづき将来しょうらい自立じりつ生活せいかつけた「自立じりつ支援しえん計画けいかく」の策定さくてい義務ぎむするべきである。地域ちいきどもとしてそだつことができるよう、市町村しちょうそん入所にゅうしょ決定けっていとう関与かんよできるようにし、長期ちょうき休暇きゅうかとうのように自宅じたくごすさいに、措置そち入所にゅうしょしたどもであっても居宅きょたくサービスとう必要ひつようなサービスを利用りようできるようにすべきである。

 

入所にゅうしょ施設しせつは、小規模しょうきぼし、できるだけ家庭かていちか環境かんきょう養育よういくできるよう整備せいびするべきである。そのために、地域ちいき移行いこう可能かのうとなるようショートステイわく創設そうせつやファミリーホームとう環境かんきょう整備せいび必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい地域ちいき身近みぢか場所ばしょでの相談そうだん支援しえん体制たいせい

結論けつろん

○ 相談そうだん支援しえんは、障害しょうがい特定とくていされない時期じきから、身近みぢか地域ちいきかよいやすい提供ていきょうされるようにすべきである。障害しょうがい固有こゆうのサービスと児童じどう一般いっぱん施策しさくとの併行へいこう利用りようたっては、相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃでのサービス利用りよう手続てつづき簡素かんそし、本人ほんにん保護ほごしゃ同意どういもとづいて福祉ふくしサービスの代理だいり申請しんせい可能かのうにすることなど、障害しょうがい家族かぞくのための利便りべんのためのワンストップすすめることがもとめられる。

 

   地域ちいき子育こそだ支援しえん拠点きょてん事業じぎょうに、専門せんもんてき研修けんしゅうけた相談そうだん支援しえんいん職員しょくいんとして配置はいちし、障害しょうがい相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ連携れんけいはかることが必要ひつようである。

 

説明せつめい

 相談そうだん支援しえんは、地域ちいき身近みぢか場所ばしょにおいてワンストップがた提供ていきょうされなければならない。相談そうだん支援しえん事業じぎょうしゃでのサービス利用りよう手続てつづき簡素かんそ必要ひつようである。また、障害しょうがいかんする相談そうだん対応たいおうできる職員しょくいん養成ようせい必要ひつようである。

 

 

表題ひょうだい】ケアマネジメントと「個別こべつ支援しえん計画けいかく

結論けつろん

○ 「個別こべつ支援しえん計画けいかく」は、障害しょうがい家族かぞくにとって身近みぢか地域ちいきにおける支援しえん利用りようしやすくするため、福祉ふくし教育きょういく医療いりょうとう利用りようするサービスをひとつの計画けいかくとして障害しょうがい相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ策定さくていするべきである。6カ月かげつ程度ていど適当てきとう期間きかん見直みなおされ、中期ちゅうき長期ちょうきてき見通みとおしをもちつつ、支援しえん調整ちょうせい改善かいぜんはかられケアマネジメントされるよう児童じどう福祉ふくしほう必要ひつよう見直みなおしをおこなうことがもとめられる。

 

○ 「個別こべつ支援しえん計画けいかくは、必要ひつようとする支援しえんけつつ、障害しょうがい意思いし(自己じこ)決定けっていしたものにもとづき、策定さくていされるべきである。個別こべつ支援しえん計画けいかく障害しょうがい意見いけん表明ひょうめいらんもうけ、虐待ぎゃくたい児童じどう場合ばあいのぞき、保護ほごしゃ同意どういなくしては実行じっこうできない仕組しくみの構築こうちくもとめられる。

 

○ 乳幼児にゅうようじの「個別こべつ支援しえん計画けいかく」は、保護ほごしゃ・きょうだいへの支援しえんふくむものとして策定さくていされるべきである。

 

 

説明せつめい

 障害しょうがいたいするケアマネジメントは、たんにサービス利用りよう計画けいかく策定さくていにとどまらず福祉ふくし教育きょういく医療いりょうとう総合そうごうてき計画けいかくとして策定さくていされ、必要ひつよう期間きかん見直みなおされ、サービス調整ちょうせい障害しょうがいおよ保護ほごしゃ同意どういのもとにおこなうべきである。

そのさい、「地域ちいきでのそだち」を促進そくしんし、きょうだい支援しえんふくめたものとするとともに、とく乳幼児にゅうようじには保護ほごしゃへの「育児いくじ支援しえん」をふくめるべきである。

 

 

表題ひょうだいよう保護ほご児童じどう対策たいさく地域ちいき協議きょうぎかい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい連携れんけい

結論けつろん

   児童じどう福祉ふくしほうよう保護ほご児童じどう対策たいさく地域ちいき協議きょうぎかい障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい(ども部会ぶかい)とで検討けんとうかさなるどもについては、保護ほごしゃ同意どういした合同ごうどう協議きょうぎかいてるようにすべきである。

 

説明せつめい

よう保護ほご児童じどう対策たいさく地域ちいき協議きょうぎかい地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいが、それぞれに障害しょうがい検討けんとうをするのではなく、一元化いちげんかすべきである。また、よう保護ほご児童じどう対策たいさく地域ちいき協議きょうぎかい構成こうせいいんとして、障害しょうがい福祉ふくし関係かんけいしゃ(障害しょうがい相談そうだん支援しえん事業じぎょうしょ児童じどう発達はったつ支援しえん事業じぎょうしょとう)くわわり、検討けんとうできる体制たいせいととのえるべきである。

 

 

表題ひょうだい家族かぞく支援しえんときょうだい支援しえん

結論けつろん

○ 障害しょうがい家族かぞく一員いちいんとして、地域ちいきどもとして成長せいちょうできるよう、児童じどう福祉ふくしほうにおいて育児いくじ支援しえん家族かぞく支援しえんおこなうべきである。保育ほいくしょとう訪問ほうもん支援しえん事業じぎょう対象たいしょうに「家庭かてい」をくわえる必要ひつようがある。

 

○ きょうだいのグループ活動かつどうとう支援しえんし、障害しょうがいときょうだいが一緒いっしょ参加さんかできる事業じぎょう児童じどう発達はったつ支援しえんセンターとう実施じっしできるよう児童じどう福祉ふくしほう必要ひつよう見直みなおしをおこなうべきである。

 

 

説明せつめい

 障害しょうがいのいる家庭かてい孤立こりつふせぐために、保育ほいくしょとう訪問ほうもん支援しえん事業じぎょう訪問ほうもん対象たいしょう家庭かていくわえ、保護ほごしゃへの障害しょうがい理解りかい育児いくじ支援しえん家族かぞく支援しえんとうおこなうべきである。また、きょうだいへの支援しえん現在げんざいのところ事業じぎょうされていないことから、活動かつどう支援しえん一緒いっしょ参加さんかできるプログラムを実施じっしできるようにすべきである。

 

2.学校がっこう教育きょういくほう関係かんけい

 

表題ひょうだい寄宿舎きしゅくしゃ

結論けつろん

   特別とくべつ支援しえん学校がっこう寄宿舎きしゅくしゃ本来ほんらい目的もくてき通学つうがく保障ほしょうすることにあり、自宅じたくのある地域ちいき社会しゃかいから分離ぶんりされないよう運用うんようされるべきである。寄宿舎きしゅくしゃ実態じったい調査ちょうさし、地域ちいき社会しゃかいへの移行いこうけた方策ほうさく検討けんとうする必要ひつようがある。

 

説明せつめい

 寄宿舎きしゅくしゃ本来ほんらい広域こういき学区がっくである特別とくべつ支援しえん学校がっこうへの通学つうがく保障ほしょうのために設置せっちされたものであるため、学校がっこうやすみになるにち長期ちょうき休暇きゅうか家庭かていもどるように、運用うんようされるべきである。寄宿舎きしゅくしゃについては、しょうしゃせい再編さいへんすることや、ファミリーホームとうから通学つうがくできるようにすることもふくめ、今後こんごかた検討けんとうすべきである。手話しゅわとう習得しゅうとくには一定いってい集団しゅうだん形成けいせい必要ひつようであるという指摘してきがあることから、寄宿舎きしゅくしゃかた検討けんとうするさいにはこのてん考慮こうりょする必要ひつようがある。


 

 


 

V−3 労働ろうどう雇用こよう

 

 就労しゅうろう合同ごうどう作業さぎょうチームは、従来じゅうらい障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうとう規定きていされてきた福祉ふくしてき就労しゅうろう障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうでどのように規定きていするかの検討けんとうとあわせ、障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうとう中心ちゅうしんとしてすすめられてきた一般いっぱん就労しゅうろう自営じえい施策しさくのありかたについても検討けんとうするため設置せっちされた。委員いいんは、さわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ構成こうせいいん4総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい構成こうせいいん6から構成こうせいされた。

 

ほん作業さぎょうチームで検討けんとうしたおも内容ないようは、つぎのとおりである。

@  障害しょうがいしゃ基本きほんほうむべき就労しゅうろうかんする基本きほんてき事項じこう

A    障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう守備しゅび範囲はんい(労働ろうどう分野ぶんやとの機能きのう分担ぶんたんなど)

B    福祉ふくし労働ろうどうおよ雇用こようにまたがる制度せいど労働ろうどうしゃせい確保かくほのありかた

C    就労しゅうろう移行いこう支援しえん事業じぎょう就労しゅうろう継続けいぞく支援しえんがた・Bがた事業じぎょう生産せいさん活動かつどう生活せいかつ介護かいご事業じぎょう地域ちいき活動かつどう支援しえんセンターや小規模しょうきぼ作業さぎょうしょのありかた

D    雇用こようりつ制度せいどおよ差別さべつ禁止きんし合理ごうりてき配慮はいりょふくむ、一般いっぱん就労しゅうろう自営じえいのありかた

E    多様たよう就業しゅうぎょうとしての社会しゃかいてき雇用こよう社会しゃかいてき事業じぎょうしょ社会しゃかい支援しえん雇用こようのありかた

 

1.障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうかかわる事項じこう

 

表題ひょうだい雇用こようしつ確保かくほするためのほう改正かいせい

結論けつろん

     りょうだけでなくしつとしての雇用こよう確保かくほするため、障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう改正かいせいし、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい27じょう[労働ろうどうおよ雇用こよう]もとめられる労働ろうどうへの権利けんり障害しょうがいもとづく差別さべつ(合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう拒否きょひふく)禁止きんし職場しょくばでの合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう確保かくほするための規定きていもうける。障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうにこれらの規定きていもうけることが困難こんなん場合ばあいには、それにわる新法しんぽう(労働ろうどうほう)規定きていする。

 

説明せつめい

 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうもとづく障害しょうがいしゃ雇用こようりつ制度せいどは、おもりょうとしての雇用こよう確保かくほ意図いとしたものであり、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい27じょうもとめられる、しつとしての雇用こよう確保かくほ担保たんぽするものではない。

したがって、公的こうてき機関きかんおよだい企業きぎょうかぎらず中小ちゅうしょう企業きぎょうにおいても、障害しょうがいしゃもの平等びょうどう雇用こよう条件じょうけん昇給しょうきゅう昇進しょうしん希望きぼう職種しょくしゅ業務ぎょうむ充足じゅうそくといった雇用こようしつ確保かくほできるようにするために、労働ろうどう権利けんり障害しょうがいもとづく差別さべつ(合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう拒否きょひふく)禁止きんし職場しょくばにおける合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょう確保かくほとうかんする必要ひつよう規定きていもうけるべきである。

 

 

表題ひょうだい雇用こよう施策しさく対象たいしょうとする障害しょうがいしゃ就業しゅうぎょうじょう必要ひつよう支援しえん認定にんていする仕組しく

結論けつろん

     障害しょうがいしゃ雇用こようりつ制度せいどもとづく雇用こよう義務ぎむ対象たいしょうを、あらゆる種類しゅるい障害しょうがいしゃひろげるとともに、それにともなって大幅おおはばげがもとめられる雇用こようりつ達成たっせいのため事業じぎょうぬしへの支援しえん拡充かくじゅうする必要ひつようがある。また障害しょうがいしゃ職場しょくば安定あんていてき就業しゅうぎょうするための合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうふくむ、就業しゅうぎょうじょう必要ひつよう支援しえんあきらかにする総合そうごうてきなアセスメントを整備せいびする。

 

説明せつめい

 個々ここ障害しょうがいしゃ具体ぐたいてき就業しゅうぎょうにおいてどのような支援しえん(合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうふく)必要ひつようとするかについて、当該とうがい障害しょうがいしゃ就業しゅうぎょうにかかわるすべての利害りがい関係かんけいしゃ(障害しょうがい当事とうじしゃおよ事業じぎょうぬしふく)がチームとしてアセスメントをおこな仕組しくみを整備せいびする必要ひつようがある。そうしたアセスメントは、状況じょうきょう変化へんかおうじた柔軟じゅうなん見直みなおしがもとめられる。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ雇用こようりつ制度せいどおよび納付のうふきん制度せいど見直みなお

結論けつろん

     障害しょうがいしゃ雇用こようりつ制度せいど対象たいしょうしゃ拡大かくだい関連かんれんして、法定ほうてい雇用こようりつおよび納付のうふきん制度せいどは、調査ちょうさもとづいて課題かだい限界げんかい検証けんしょうし、ほう改正かいせいなどにけて必要ひつよう見直みなおしをおこなうべきである。

 

説明せつめい

 法定ほうてい雇用こようりつについては、社会しゃかいモデルにもとづいた障害しょうがい範囲はんい拡大かくだい就労しゅうろうけい事業じぎょうとうへの仕事しごと発注はっちゅうがくとうおうじて当該とうがい企業きぎょう障害しょうがいしゃ雇用こようりつ算定さんていするなし雇用こよう制度せいどとうまえて、大幅おおはばげる方向ほうこうでの見直みなおしがもとめられる。重度じゅうど障害しょうがいしゃ雇用こようした場合ばあい1ひと2ひとぶんとして算定さんていするダブルカウントについては、社会しゃかいモデルにもとづいた制度せいど見直みなおすべきであるとの意見いけんがあった。

一方いっぽう雇用こよう義務ぎむ対象たいしょうとする障害しょうがいしゃ範囲はんい見直みなおしがさきおこなわれるべきであることと、それに関連かんれんして、障害しょうがい種別しゅべつによる雇用こよう格差かくさ解消かいしょうされるような実効じっこうせいのあるみをすべきである、という意見いけんもあった。

 

 障害しょうがいしゃ雇用こよう納付のうふきん制度せいどは、助成じょせいがくげや給付きゅうふ期間きかん恒久こうきゅうくわえ、助成じょせい申請しんせい手続てつづきの簡便かんべん必要ひつようである。また、助成じょせいきん事業じぎょうぬし申請しんせいにより給付きゅうふされるためかならずしも障害しょうがいしゃ雇用こようささえるために有効ゆうこう活用かつようされていないとの指摘してきがある。障害しょうがいしゃ権利けんりせい確立かくりつするためにも、障害しょうがいしゃ自身じしん申請しんせいできるようにする必要ひつようがある。

 

 

表題ひょうだい職場しょくばにおける合理ごうりてき配慮はいりょ確保かくほ

結論けつろん

     事業じぎょうぬし障害しょうがいしゃ合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうするのに必要ひつよう経済けいざいてき技術ぎじゅつてき支援しえんけられるような仕組しくみとともに、合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうされない場合ばあい苦情くじょうもうてと救済きゅうさい措置そちけられるような仕組しくみを整備せいびする必要ひつようがある。

 

説明せつめい

 就労しゅうろうけい事業じぎょう特例とくれい子会社こがいしゃ重度じゅうど障害しょうがいしゃ多数たすう雇用こよう事業じぎょうしょとうでの合理ごうりてき配慮はいりょ実践じっせんれい企業きぎょうしめすことで、企業きぎょう理解りかいもとめる。合理ごうりてき配慮はいりょ類型るいけい事例じれいのガイドブックの整備せいびとう企業きぎょう取組とりくみをすすめるうえ有効ゆうこうおもわれる。それにあわせ、合理ごうりてき配慮はいりょかか費用ひよう負担ふたんのありかた整理せいりする必要ひつようがある。

また、合理ごうりてき配慮はいりょ提供ていきょうされない場合ばあい障害しょうがいしゃ苦情くじょうもうて、救済きゅうさい措置そちけられるような第三者だいさんしゃせい確保かくほした仕組しくみについては、職場しょくばないおよび労働ろうどう審判しんぱん制度せいど整備せいびふくめて平成へいせい24年度内ねんどない目途もくとられる差別さべつ禁止きんし部会ぶかいおよび労働ろうどう政策せいさく審議しんぎかい障害しょうがいしゃ雇用こよう分科ぶんかかいでの検討けんとう結果けっかなどをまえ、適切てきせつ措置そちこうじる必要ひつようがある。

 

 

2.障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう以外いがい法律ほうりつにもかかわる事項じこう

 

表題ひょうだい就労しゅうろうけい事業じぎょうかんする試行しこう事業じぎょう(パイロット・スタディ)実施じっし

結論けつろん

     安定あんていした雇用こよう就労しゅうろうむすびついていない障害しょうがいしゃ適切てきせつ就業しゅうぎょう機会きかい確保かくほするため試行しこう事業じぎょう(パイロット・スタディ)実施じっしし、賃金ちんぎん補填ほてん仕事しごと安定あんてい確保かくほとうともな多様たようはたらかた就業しゅうぎょうけい事業じぎょうや、就労しゅうろう分野ぶんやにおける人的じんてき支援しえんのありかた検証けんしょうする。

 

説明せつめい

() パイロット・スタディの目的もくてき

現在げんざいくに制度せいどでは、一般いっぱん就労しゅうろう福祉ふくしてき就労しゅうろうしか選択肢せんたくしがなく、しかも賃金ちんぎん工賃こうちん)位置いちづけ(労働ろうどうしゃ利用りようしゃ)についてもおおきな乖離かいりがある。そのため、両者りょうしゃあいだあらたな選択肢せんたくしをつくることや福祉ふくしてき就労しゅうろう労働ろうどう法規ほうき適用てきようすること、さらには多様たようはたらかた保障ほしょうすることなど、種々しゅじゅ課題かだいがある。

こうした課題かだい解消かいしょう障害しょうがいしゃ適切てきせつ就業しゅうぎょう機会きかい確保かくほするため、就労しゅうろう分野ぶんやにおける人的じんてき支援しえんのありかたや、社会しゃかいてき雇用こよう社会しゃかいてき事業じぎょうしょ社会しゃかい支援しえん雇用こよう(これらについての詳細しょうさいは、就労しゅうろう合同ごうどう作業さぎょうチーム報告ほうこく参照さんしょう)ひとし賃金ちんぎん補填ほてん官公かんこう需・民需みんじゅ優先ゆうせん発注はっちゅうともな多様たようはたらかた制度せいどについて実証じっしょうてき検証けんしょうすることが、ほんパイロット・スタディの目的もくてきである。

 

() パイロット・スタディの対象たいしょう

パイロット・スタディの対象たいしょう全国ぜんこく80しょ程度ていどとし、下記かきのような事業じぎょうしょとする。

@ 最低さいてい賃金ちんぎん減額げんがく特例とくれいけている就労しゅうろう継続けいぞく支援しえんがた事業じぎょうしょ

A 最低さいてい賃金ちんぎん14以上いじょう工賃こうちん支払しはらっている就労しゅうろう継続けいぞく支援しえんがた事業じぎょうしょ

B 箕面みのおとう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい独自どくじ最低さいてい賃金ちんぎんをクリアするための補助ほじょ制度せいど

もうけ、そのした運営うんえいされている事業じぎょうしょほかあらたに起業きぎょうする事業じぎょうしょとう

C 滋賀しがけんおよ札幌さっぽろとう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい独自どくじ制度せいどとして障害しょうがいしゃ障害しょうがいのな

しゃがともにはたら職場しょくば形態けいたいとなっている事業じぎょうしょ

 

() パイロット・スタディでの検証けんしょう事項じこう

パイロット・スタディでの検証けんしょう事項じこうおも以下いか諸点しょてんとする。

@ 障害しょうがいしゃ自身じしんはたら意欲いよくへの影響えいきょうやともにはたら障害しょうがいのないもの意識いしき変化へんか

A 就労しゅうろう分野ぶんやにおける人的じんてき支援しえんのありかた

B 対象たいしょうとすべき障害しょうがいしゃ事業じぎょうしょ要件ようけん

C 事業じぎょうしゃ提示ていじする賃金ちんぎんへの影響えいきょう

D 障害しょうがい従業じゅうぎょういん心身しんしん労働ろうどう能力のうりょく変化へんか状況じょうきょう

E 収益しゅうえき配分はいぶんとその決定けってい仕組しく

F 事業じぎょうしゃ生産せいさんせい付加ふか価値かちげの取組とりく

G 民間みんかん企業きぎょう就労しゅうろうけい事業じぎょう連携れんけいする取組とりく

H 総合そうごうてきアセスメントの仕組しくみなど、あらたな就労しゅうろうけい事業じぎょう制度せいどにあたって予想よそうされる課題かだい整理せいり

 

 

表題ひょうだい賃金ちんぎん補填ほてん所得しょとく保障ほしょう制度せいど(障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんとう)のありかた検討けんとう

結論けつろん

     賃金ちんぎん補填ほてん導入どうにゅうかんがえるうえで、現行げんこう所得しょとく保障ほしょう制度せいど(障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんとう)との関係かんけい整理せいりしたうえで、両者りょうしゃ調整ちょうせいする仕組しくみをもうける。

 

説明せつめい

 就労しゅうろうけい事業じぎょう従事じゅうじする障害しょうがいしゃ賃金ちんぎん補填ほてんける場合ばあい障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんとう現行げんこう所得しょとく保障ほしょう制度せいどとの関係かんけい整理せいりしたうえ年金ねんきん給付きゅうふ賃金ちんぎん補填ほてんえる仕組しくみや、賃金ちんぎん補填ほてん対象たいしょうとなる障害しょうがいしゃ認定にんてい仕組しくとう検討けんとう必要ひつようとなる。平成へいせい22とし6つき29閣議かくぎ決定けっていされた「障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしんのための基本きほんてき方向ほうこうについて」では、「障害しょうがいしゃ地域ちいきにおいて自立じりつした生活せいかついとなむために必要ひつよう所得しょとく保障ほしょうかたについて、給付きゅうふ水準すいじゅん負担ふたんかたふくめ、平成へいせい25とし常会じょうかいへの法案ほうあん提出ていしゅつ予定よていしている公的こうてき年金ねんきん制度せいど抜本ばっぽんてき見直みなおしとあわせて検討けんとうし、平成へいせい24年内ねんない目途もくとにその結論けつろんる。」とされる。賃金ちんぎん補填ほてん所得しょとく保障ほしょう制度せいど(障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんとう)かたについてもそれを関連かんれんづけて検討けんとうされるべきである。

 なお、賃金ちんぎん補填ほてん導入どうにゅうたっては、下記かきてん留意りゅういする必要ひつようがある。

@ 事業じぎょうしゃが、モラルハザードをこし支払しはら賃金ちんぎんげるひとししないよう、生産せいさんせい付加ふか価値かちたかめるとともに、障害しょうがいのある従業じゅうぎょういん能力のうりょく開発かいはつにより賃金ちんぎん補填ほてんがく縮小しゅくしょう、あるいは賃金ちんぎん補填ほてんがなくとも最低さいてい賃金ちんぎん以上いじょう賃金ちんぎん支払しはらうことを目指めざすような制度せいど設計せっけいとすること。

A 賃金ちんぎん補填ほてんにより労働ろうどう市場いちば賃金ちんぎん決定けっていにゆがみがまれ、障害しょうがいしゃ以外いがい労働ろうどうしゃ雇用こよう減少げんしょう発生はっせいしないようにすること。

 

 

表題ひょうだい障害しょうがいしゃ雇用こよう就労しゅうろうにかかる労働ろうどう施策しさく福祉ふくし施策しさく一体いったいてき展開てんかいするための体制たいせい整備せいび            

結論けつろん

     障害しょうがいしゃ雇用こよう就労しゅうろうにかかる労働ろうどう施策しさく福祉ふくし施策しさく一体いったいてき展開てんかいしうるよう、関係かんけい行政ぎょうせい組織そしきさい編成へんせいするとともに、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいレベルで雇用こよう就労しゅうろう福祉ふくしおよび年金ねんきんとうかか総合そうごうてき相談そうだん支援しえん窓口まどぐち(ワンストップサービス)く。

 

説明せつめい

 現在げんざい一般いっぱん就労しゅうろう自営じえい労働ろうどう行政ぎょうせいとう、また福祉ふくしてき就労しゅうろう福祉ふくし行政ぎょうせい所管しょかんとなっているが、それらを一体いったいてき展開てんかいするには、中央ちゅうおうレベルの行政ぎょうせい組織そしきさい編成へんせいするとともに、地域ちいきレベルで就労しゅうろう生活せいかつ支援しえんにかかわる、ハローワーク、福祉ふくし事務所じむしょ地域ちいき障害しょうがいしゃ職業しょくぎょうセンター、障害しょうがいしゃ就業しゅうぎょう生活せいかつ支援しえんセンターおよび地方ちほう公共こうきょう団体だんたい設置せっちする就労しゅうろう支援しえん機関きかん地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかい発達はったつ障害しょうがいしゃ支援しえんセンターならびに特別とくべつ支援しえん学校がっこうとう関係かんけい機関きかんのネットワークが有効ゆうこう機能きのうし、かつシンプルな仕組しくみを整備せいびする必要ひつようがある。

 また、常時じょうじ介助かいじょとう必要ひつようとする障害しょうがいおもひとびとも、希望きぼうする場合ばあいには、その能力のうりょくかしてはたらけるような就労しゅうろうのバリエーションを検討けんとうすることも重要じゅうようである。さらに、こうした関係かんけい機関きかんではコミュニケーションに支援しえん必要ひつよう障害しょうがいしゃ利用りようしやすいよう、十分じゅうぶん配慮はいりょがなされる必要ひつようがある。

 

 

表題ひょうだい就労しゅうろう合同ごうどう作業さぎょうチームの検討けんとう課題かだいについてフォローし、実現じつげんをめざすための検討けんとう体制たいせい整備せいび       

結論けつろん

     推進すいしん会議かいぎ、およびそれにわるものとして、障害しょうがいしゃ基本きほんほうもとづきあらたに設置せっちされる障害しょうがいしゃ政策せいさく委員いいんかいのもとに就労しゅうろう部会ぶかいまたは就労しゅうろう検討けんとうチームを設置せっちして、就労しゅうろうけい事業じぎょうにかかる試行しこう事業じぎょう検証けんしょうふく検討けんとう課題かだいについての結論けつろんる。そのメンバーは経済けいざい団体だんたい労働ろうどう団体だんたい学識がくしき経験けいけんしゃ(労働ろうどうほう労働ろうどう経済けいざいがく経営けいえいがく社会しゃかい保障ほしょうろんとう分野ぶんや専門せんもんとう)障害しょうがい当事とうじしゃ団体だんたい事業じぎょうしゃ団体だんたいおよび地方ちほう公共こうきょう団体だんたいとうから構成こうせいする。

 

説明せつめい

 就労しゅうろう合同ごうどう作業さぎょうチームではきわめて広範囲こうはんいにわたる、一般いっぱん就労しゅうろう自営じえいおよび就労しゅうろうけい事業じぎょうかか課題かだいについて検討けんとうしたが、構成こうせいいん専門せんもん領域りょういきかぎられていたことや検討けんとう期間きかんおよび時間じかんみじかかったため、結論けつろんるまでにはいたらなかった。 したがって、推進すいしん会議かいぎ、およびそれにわるものとして、障害しょうがいしゃ基本きほんほうもとづき設置せっちされる障害しょうがいしゃ政策せいさく委員いいんかいのもとにあらたにつくられる部会ぶかいまたは検討けんとうチームには幅広はばひろ専門せんもん領域りょういき構成こうせいいんくわえ、十分じゅうぶん議論ぎろんくし、結論けつろんをえる。

 

 

表題ひょうだいぜん国民こくみんのなかでの障害しょうがいしゃ生活せいかつ実態じったいとうあきらかにする基礎きそ資料しりょう整備せいび

結論けつろん

   障害しょうがい社会しゃかいモデルを基礎きそとして雇用こよう就労しゅうろう施策しさく検討けんとうする基礎きそ資料しりょうをえるために、くに基幹きかん統計とうけい調査ちょうさ(全国ぜんこく消費しょうひ実態じったい調査ちょうさ国民こくみん生活せいかつ基礎きそ調査ちょうさとう)において障害しょうがい有無うむたずねる設問せつもんれた全国ぜんこく調査ちょうさ実施じっしする。

 

説明せつめい

 厚生こうせい労働ろうどうしょうでは、身体しんたい知的ちてき精神せいしん3障害しょうがい就業しゅうぎょう実態じったい調査ちょうさ障害しょうがいしゃ雇用こよう実態じったい調査ちょうさおこなってきているが、いずれも、手帳てちょう所持しょじしゃやすでに雇用こようされているひととう限定げんていされた障害しょうがいしゃ集団しゅうだん状況じょうきょうしかあきらかにできない。障害しょうがいゆえに雇用こよう就労しゅうろう機会きかいがたいものは、それらの障害しょうがいしゃ以外いがいにも数多かずおお存在そんざいする。いわゆる制度せいど谷間たにま公的こうてき支援しえんけることができないひとびとを支援しえんしてこそ、障害しょうがいしゃ雇用こよう就労しゅうろう裾野すそのひろげることができる。

 また、障害しょうがい社会しゃかいモデルを基礎きそとした雇用こよう就労しゅうろう施策しさく検討けんとうする基礎きそ資料しりょうとしてぜん国民こくみんのなかでの障害しょうがいしゃ経済けいざい活動かつどう生活せいかつ実態じったいあきらかにすることが重要じゅうようである。そのためには、くに基幹きかん統計とうけい調査ちょうさ(全国ぜんこく消費しょうひ実態じったい調査ちょうさ国民こくみん生活せいかつ基礎きそ調査ちょうさとうぜん国民こくみん対象たいしょうとしただい規模きぼ社会しゃかい調査ちょうさ)において、すくなくとも一時いちじてん病気びょうき障害しょうがいによって活動かつどう一定いってい期間きかん以上いじょう制限せいげんされているかどうかを設問せつもん追加ついかし、その調査ちょうさ結果けっか分析ぶんせきする必要ひつようがある。

V−4 その

 

T−1 ほう理念りねん目的もくてき範囲はんいとの関連かんれん

【「能力のうりょくおうじ」という表記ひょうき

○ 社会しゃかい福祉ふくしほうだい3じょう福祉ふくしサービスの基本きほんてき理念りねんとして、福祉ふくしサービスが「そのゆうする能力のうりょくおう自立じりつした日常にちじょう生活せいかついとなむことができるように支援しえんする」ためのものと規定きていしているが、これは能力のうりょく主義しゅぎ想起そうきさせ「インクルーシブな社会しゃかい目指めざす」という改革かいかく趣旨しゅしとは整合せいごうしないので削除さくじょする。

 

障害しょうがいしゃ手帳てちょう

○ 障害しょうがいしゃ基本きほんほう障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうにおける障害しょうがいしゃ定義ていぎについては、従来じゅうらいかんがかた転換てんかんはかられたが、障害しょうがいしゃ手帳てちょう制度せいどかんしては、今後こんごそのかた慎重しんちょう検討けんとうされるべきである。

 

所管しょかん省庁しょうちょう横断おうだんした総合そうごうてき支援しえん

○ 障害しょうがいしゃ施策しさくは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほうによる施策しさくのみならず、住宅じゅうたく所得しょとく保障ほしょうとう施策しさくが、所管しょかん厚生こうせい労働省ろうどうしょうはもとより、文部もんぶ科学かがくしょう国土こくど交通省こうつうしょう総務そうむしょう財務省ざいむしょう経済けいざい産業さんぎょうしょう法務省ほうむしょうとうすべての官庁かんちょうにより横断おうだんてきかつ有機ゆうきてき連携れんけいられながら実施じっしされることにとく留意りゅうい必要ひつようである。これは、都道府県とどうふけん市町村しちょうそんレベルでも同様どうようである。

 

 

T−4 支援しえん(サービス)体系たいけいとの関連かんれん

公営こうえい住宅じゅうたく民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく活用かつよう

○ 公営こうえい住宅じゅうたく障害しょうがいしゃ優先ゆうせんわく拡大かくだいする。

 

○ 民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく一定いってい割合わりあい公営こうえい住宅じゅうたくとしてげること、一定いってい規模きぼ以上いじょう民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたくには障害しょうがいしゃ配慮はいりょした住宅じゅうたく設置せっち義務付ぎむづけこれに公的こうてき補助ほじょおこなうことひとし民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたくへの入居にゅうきょすすめるために必要ひつよう施策しさくこうじる。

 

○ 民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたくにおけるグループホーム設置せっち一層いっそう促進そくしんする。

定員ていいん45とするグループホームは、一般いっぱん住居じゅうきょとしてあつかい、建築けんちく基準きじゅんほうとうによる用途ようと変更へんこう防火ぼうかかべとう工事こうじ必要ひつようとするひとし現在げんざいきびしい運用うんよう見直みなおす。

○ 事業じぎょうしゃたいする税制ぜいせい優遇ゆうぐう(不動産ふどうさん取得しゅとくぜい固定こてい資産しさんぜい都市とし計画けいかくぜいとう減額げんがくもしくは免除めんじょ)もうけるとともに、住居じゅうきょ提供ていきょうしゃたいする経済けいざいてき支援しえんさく優遇ゆうぐうさくこうじる。

 

一般いっぱん住宅じゅうたく障害しょうがいしゃへの家賃やちん補助ほじょ住宅じゅうたく手当てあてとう

○ 一般いっぱん住宅じゅうたく障害しょうがいしゃへの経済けいざいてき支援しえんについて、家賃やちん補助ほじょ住宅じゅうたく手当てあて創設そうせつとうふくめ、関係かんけいする省庁しょうちょうによる連携れんけいした検討けんとうすすめる。

 

T-地域ちいき移行いこうとの関連かんれん

地域ちいき移行いこう地域ちいき生活せいかつ資源しげん整備せいびかせない住宅じゅうたく確保かくほ施策しさく

○ 長期ちょうき入院にゅういん余儀よぎなくされ、そのために住居じゅうきょうしなう、もしくは家族かぞく疎遠そえんになり、がないひとには、民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく一定いってい割合わりあい公営こうえい住宅じゅうたくとしてげるなどの仕組しくみが急務きゅうむである。グループホームもふくめ、多様たよう居住きょじゅうサービスの提供ていきょうを、年次ねんじ目標もくひょう提示ていじしながらすすめるべきである。

 

○ 保証人ほしょうにん緊急きんきゅう連絡れんらくさき確保かくほできないために住居じゅうきょ確保かくほできない入所にゅうしょしゃ入院にゅういんしゃたいして、公的こうてき保証人ほしょうにん制度せいど確立かくりつすべきである。

 

T−9 権利けんり擁護ようごとの関連かんれん

第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご制度せいど虐待ぎゃくたい防止ぼうし

○ 平成へいせい232011ねん6つき成立せいりつした障害しょうがいしゃ虐待ぎゃくたい防止ぼうしほうでは、都道府県とどうふけん市町村しちょうそん虐待ぎゃくたい防止ぼうしするために、団体だんたい連携れんけい協力きょうりょくすることとされており、この連携れんけい強化きょうかすることが重要じゅうようである。それには、第三者だいさんしゃ訪問ほうもんによる権利けんり擁護ようご(オンブズパーソン)おこな団体だんたい想定そうていされる。

 

○ 障害しょうがいしゃ虐待ぎゃくたい防止ぼうしほうでは、福祉ふくし施設しせつはたらひととう虐待ぎゃくたい発見はっけんしたときには、市町村しちょうそん通報つうほうしなければならないとされている。したがって、虐待ぎゃくたい早期そうき発見はっけん通報つうほうかんしても、市町村しちょうそん福祉ふくし施設しせつはたらひとやオンブズパーソンの連携れんけい重要じゅうようになる。

 

苦情くじょう解決かいけつ機関きかん(社会しゃかい福祉ふくしほう)

○ 苦情くじょう解決かいけつ制度せいどは、現行げんこう社会しゃかい福祉ふくしほうもとづく仕組しくみを、権利けんり擁護ようご観点かんてんから抜本ばっぽんてき見直みなおす。そのポイントは下記かき2てんである。

 ・都道府県とどうふけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい設置せっちされている福祉ふくしサービス運営うんえい適正てきせい委員いいんかいした苦情くじょう解決かいけつ合議ごうぎたいが、苦情くじょうける当事とうじしゃである事業じぎょうしょとの関係かんけい独立どくりつせい担保たんぽされていること。

 ・この合議ごうぎたいによるあっせん、意見いけん具申ぐしん苦情くじょう解決かいけつたって有効ゆうこうであったかを検証けんしょうし、その機能きのうたかめること。

 

【モニタリング機関きかん

○ 障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう実施じっしじょうきょうたいするモニタリングは、障害しょうがいしゃ基本きほんほうしめされたくに都道府県とどうふけん市町村しちょうそん設置せっちされる「障害しょうがいしゃ政策せいさく委員いいんかい」あるいは「審議しんぎかいその合議ごうぎせい機関きかん(以下いか、モニタリング機関きかんという)においておこない、その結果けっかかんする勧告かんこくふく意見いけんとうは、くに(所管しょかん省庁しょうちょう大臣だいじん)たいして、または、都道府県とどうふけんおよび市町村しちょうそん関係かんけい行政ぎょうせい機関きかん地域ちいき地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいとう報告ほうこくされる。

 

○ 市町村しちょうそんのモニタリング機関きかんは、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう当該とうがい市町村しちょうそん(広域こういき連合れんごうふく)での施策しさく展開てんかいじょうきょう障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく達成たっせいじょうきょうについて評価ひょうか分析ぶんせき問題もんだいてん抽出ちゅうしゅつ(調査ちょうさ審議しんぎ)おこない、必要ひつようおうじて、当該とうがい市町村しちょうそん関係かんけい行政ぎょうせい機関きかんをはじめ地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいとう関係かんけい機関きかん団体だんたいたいして改善かいぜん提案ていあんおこなう。

  なお、市町村しちょうそんのモニタリング機関きかん設置せっち市町村しちょうそん任意にんいとなっている問題もんだいについては、障害しょうがいしゃ施策しさく市町村しちょうそん格差かくさをなくす観点かんてんから今後こんご課題かだいとしてきつづき検討けんとうする。

 

○ 都道府県とどうふけんのモニタリング機関きかんは、市町村しちょうそんモニタリング機関きかんからあつめられたぜんけんてき課題かだい整理せいりしたうえで、その評価ひょうか分析ぶんせき問題もんだいてん抽出ちゅうしゅつ調査ちょうさ審議しんぎ)おこない、必要ひつようおうじて、当該とうがい都道府県とどうふけん関係かんけい行政ぎょうせい機関きかん地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいとう関係かんけい機関きかん団体だんたい改善かいぜん提案ていあんおこなう。

 

○ 都道府県とどうふけん市町村しちょうそんのモニタリング機関きかんには、実際じっさいにサービスを利用りようする障害しょうがい当事とうじしゃ参画さんかく不可欠ふかけつである。 

 

○ 都道府県とどうふけん市町村しちょうそん地域ちいき生活せいかつ支援しえん協議きょうぎかいでは、障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく進行しんこう管理かんり次期じき計画けいかく作成さくせいとうにおいて、モニタリング機関きかんから提示ていじされた内容ないようまえた検討けんとうおこない、その整備せいび水準すいじゅんたかめることとする。

 

○ 地域ちいき全般ぜんぱんてき課題かだいについては、障害しょうがいしゃ相談そうだん支援しえん機関きかんがモニタリング機関きかん課題かだい提起ていきをすることができるようにする。

 

権利けんり擁護ようご差別さべつ防止ぼうし

○ くにおよ地方自治体ちほうじちたいは、障害しょうがい有無うむにかかわらずすべてのひと地域ちいきとも安心あんしんしてらすため、障害しょうがい理解りかい権利けんり擁護ようご差別さべつ防止ぼうしとう必要ひつようせいとう普及ふきゅう啓発けいはつけた取組とりくみをおこなう。

 

○ くににおいては、情報じょうほう提供ていきょう相談そうだん支給しきゅう決定けっていプロセスとう福祉ふくしサービス利用りよう全般ぜんぱんにおける不利益ふりえき取扱とりあつかいを禁止きんしし、差別さべつ事案じあん発生はっせいしたときのあっせん・調整ちょうせい相手方あいてがたへの勧告かんこくとう仕組しくみを法定ほうていした差別さべつ禁止きんし法制ほうせい制定せいていもとめられる。

 

○ 地方ちほう公共こうきょう団体だんたいは、くに差別さべつ禁止きんし法制ほうせいまえ地域ちいき実情じつじょうにふさわしいかたち差別さべつ事案じあん解決かいけつのためのあっせん・調整ちょうせい相手方あいてがたへの勧告かんこくとう仕組しくみをんだ差別さべつ禁止きんし条例じょうれい制定せいていもとめられる。

 

 なお、普及ふきゅう啓発けいはつについては、権利けんり形成けいせい獲得かくとくとその支援しえんかんして、鳥取とっとりけん島根しまねけんすすめられている「あいサポート運動うんどう」のような活動かつどう参考さんこうとされるべきである。「あいサポート運動うんどう」とは、地域ちいき理解りかい不可欠ふかけつというかんがかたをもとに、障害しょうがいのあるひと地域ちいき一員いちいんとしていきいきとらすため、住民じゅうみん障害しょうがい特性とくせい障害しょうがいのあるひとへの配慮はいりょ仕方しかたなどを理解りかい実践じっせんしてもらう運動うんどうである。平成へいせい21(2009)としより取組とりくまれ、一般いっぱん市民しみん障害しょうがいしゃ団体だんたい県内けんないがい民間みんかん企業きぎょうとうが“あいサポーター”として参加さんか協力きょうりょくし、らしやすい地域ちいき社会しゃかいづくりのために運動うんどうひろげている。

 

 民事みんじほうとの関連かんれん

成年せいねん後見こうけん制度せいど

 ○ 現行げんこう成年せいねん後見こうけん制度せいどは、権利けんり擁護ようごという視点してんから本人ほんにん身上しんじょう監護かんご重点じゅうてんいた運用うんようのぞまれるが、そのさい重要じゅうようなことは、改正かいせいされた障害しょうがいしゃ基本きほんほうにもしめされた意思いし決定けってい支援しえんとして機能きのうすることであり、本人ほんにん意思いし無視むしした代理だいりけん行使こうしけなければならない。また、本人ほんにんとの利害りがい相反あいはん立場たちばにないひと選任せんにんのぞまれる。

 

 ○ どう制度せいどについては、そのかた検討けんとうする一方いっぽうひろ意思いし決定けってい支援しえん仕組しくみを検討けんとうすることが必要ひつようである。

 

    どう制度せいどにおいて、成年せいねん後見人こうけんにんであることが選挙せんきょけんとうのはくだつをもたらす欠格けっかく事由じゆうとされているなど、様々さまざま欠格けっかく条項じょうこう関連かんれんしており、関係かんけいほう改正かいせい検討けんとうされるべきである。


 

おわりに

 

ある社会しゃかい

その構成こうせいいんのいくらかの人々ひとびとすような場合ばあい

それはよわくもろい社会しゃかいである

 

これは、昭和しょうわ54(1979)とし国連こくれん総会そうかい決議けつぎされた国際こくさい障害しょうがいしゃねん行動こうどう計画けいかく一文いちぶんです。この歴史れきしてき課題かだい解決かいけつがなされないまま30ねんいま日本にっぽんでは、社会しゃかい保障ほしょう社会しゃかい福祉ふくしをはじめとする制度せいどのほころびがかく方面ほうめんから指摘してきされ「無縁むえん社会しゃかい」としょうされるまでになっています。

 

 「推進すいしん会議かいぎ」と「総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい」は、「障害しょうがい有無うむにかかわらず国民こくみんへだてられることのない共生きょうせい社会しゃかい」の実現じつげんとそのための制度せいど改革かいかく目指めざしています。それは、とりもなおさず、「よわくもろい社会しゃかい」から、一人ひとりひとりの存在そんざいしんより大切たいせつにされ、だれもが排除はいじょされることなく社会しゃかいてき包摂ほうせつされる、本当ほんとうゆたかな社会しゃかいづくりに寄与きよするものであると確信かくしんしています。

 

 地震じしん津波つなみ、さらには原発げんぱつ事故じこによって未曾有みぞう被害ひがいをもたらした東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいは、障害しょうがいしゃふく被災ひさいひとたちにきわめておおきな困難こんなんあたえています。被災ひさいされた皆様みなさましんよりお見舞みまいをもうげます。

いま日本にっぽんちゅう協力きょうりょくして災害さいがいからの新生しんせい復興ふっこうをすすめ、すべてのひと尊重そんちょうされ、安心あんしんしてらせる社会しゃかいつくろうとしています。ほん骨格こっかく提言ていげんがめざす共生きょうせい社会しゃかいは、この新生しんせい復興ふっこう日本にっぽん社会しゃかい不可欠ふかけつ一部いちぶとなるとしんじます。障害しょうがいしゃがそのひとらしくはたらいたり、社会しゃかい活動かつどうしながら、らせる社会しゃかいはすべてのひとらしやすい社会しゃかいでもあります。

 

そうしたてんからも、政府せいふほん骨格こっかく提言ていげんめ、障害しょうがいしゃ総合そうごう福祉ふくしほう制定せいていされ、実施じっしされることをしんよりねがうものです。