今年ことしの政策せいさく研けんは12月18・19日にちに行おこなわれます 詳くわしくは以下いかURLを参照さんしょう
http://www.dpi-japan.org/event/041218-1.htm

自立じりつ支援しえん分科ぶんか会かい

●自立じりつ支援しえん分科ぶんか会かい

　 12月19日にち（日ひ）戸山とやまサンライズ（午前ごぜん10時じ〜12時じ30分ふん、午後ごご1時じ30分ふん〜4時じ45分ふん）

午前ごぜんの部ぶ　午前ごぜん10時じ〜12時じ30分ふん

午後ごごの部ぶ　午後ごご1時じ30分ふん〜4時じ45分ふん

下記かき、全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ介護かいご制度せいど情報じょうほう10月がつ号ごうに加筆かひつ

厚労省こうろうしょう、障害しょうがい福祉ふくし施策しさくを大だい改正かいせい案あん 在宅ざいたくを義務ぎむ的てき経費けいひに
　　来年らいねんの法ほう改正かいせい目指めざす

　厚生こうせい労働省ろうどうしょう障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし部ぶは、障害しょうがい福祉ふくし施策しさくの大だい改正かいせいを行おこないます。
　精神せいしん・知的ちてき・身体しんたいの３障害しょうがいのサービスを１ひとつの法律ほうりつに統合とうごうすることや、ホームヘルプな ど在宅ざいたく福祉ふくしを現在げんざいの施設しせつと同様どうようの義務ぎむ的てき経費けいひ（注ちゅう）にするかわりに国くにの補助ほじょは一定いっていまでに限定げんていする、支給しきゅう料りょうの決定けっていを市町村しちょうそんとは独立どくりつした「審査しんさ会かい」が行おこなう、ほぼ全すべての障害しょうがい者しゃにケアマネジメントの導入どうにゅうなど、大おおきな改正かいせいを含ふくんでいます。
　１０月がつ１２日にちの審議しんぎ会かい障害しょうがい部会ぶかいで、厚生こうせい労働省ろうどうしょうは障害しょうがい制度せいど改正かいせいの厚生こうせい労働省ろうどうしょう案あん（グランドデザイン）を配布はいふしました。

ヘルパー制度せいどが今後こんごまったく伸のびていかなくなる

　この案あんには大おおきな問題もんだいが２ふたつあります。
　１番ばんの問題もんだいは、ヘルパー時間じかんは市町村しちょうそんが設置せっちする独立どくりつ機関きかんの「審査しんさ会かい」が決きめるという案あんです。
　審査しんさ会かいの委員いいんは3000市町村しちょうそんがそれぞれ決きめますが、介護かいご保険ほけんと同おなじような人選じんせんになります。つまり、医師いし会かいや看護かんご協会きょうかいや大学だいがく教きょう 授が過半数かはんすうになり、ここで決きめられた時間じかん数すうは、24時じ間あいだの介護かいごが必要ひつような1人ひとり暮くらしの障害しょうがい者しゃで命いのちにかかわる人ひとが、市町村しちょうそんの部長ぶちょうや課長かちょうと交渉こうしょうしても、決定けってい時間じかんをかえられません。厚生こうせい労働省ろうどうしょうは障害しょうがいに応おうじて３段階だんかいの標準ひょうじゅん的てきな金額きんがくを示しめすとしており、「審査しんさ会かい」はこの水準すいじゅんを参考さんこうに時間じかん数すうを決きめていくことになります。３段階だんかいの最さい高水準こうすいじゅんでも、現在げんざいの国庫こっこ補助ほじょ基準きじゅん（３ランクある）の全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃの月つき125時間じかん（約やく20万まん円えん）から大おおきく変かわるとは考かんがえられません。
　「審査しんさ会かい」の決定けっていは、たとえば、市長しちょうや市議会しぎかい与党よとうでも変更へんこうできません。これでは、最さい重度じゅうどの１人ひとり暮くらしの障害しょうがい者しゃによる時間じかん数すうを伸のばす交渉こうしょうは、一切いっさいできなくなり、ヘルパー時間じかん数すうの低ひくい地域ちいきは、永久えいきゅうにその水準すいじゅんから変更へんこうできなくなります。
　３０年ねん以上いじょうの1人ひとり暮くらしなどの全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃの運動うんどうにより日本にっぽんの介護かいご制度せいどは改善かいぜんされてきましたが、この制度せいどが導入どうにゅうされると、今後こんごは制度せいど改善かいぜんの運動うんどうはまったく出来できなくなり、日本にっぽんの介護かいご保障ほしょう制度せいど水準すいじゅんは低迷ていめい固定こてい化かします。これは、すべての障害しょうがい者しゃにとって不幸ふこうなことになります。 （厚生省こうせいしょう案あんには、審査しんさ会かいは、10月12日にちの審議しんぎ会かいの資料しりょう１の６ｐの下したの表ひょう、資料しりょう２の７ｐ「審査しんさ会かいの設置せっち等とうによ る支給しきゅう決定けっていの透明とうめい化か」、資料しりょう３の７p、２１行ぎょう目め「２）利用りよう決定けっていの透明とうめい化か」の丸まる２、に出で ています。10月12日にちの配布はいふ資料しりょうは、ホームページ参照さんしょう）
　この案あんが通とおると、これからヘルパー制度せいどの水準すいじゅんの低ひくい市町村しちょうそんに１人にん暮くらしして介護かいご制度せいど を伸のばす交渉こうしょうを行おこなう最さい重度じゅうど障害しょうがい者しゃが、生活せいかつできなくなります。 　日本にっぽんのほとんどの地域ちいきでは、まだ２４時じ間あいだ介護かいご保障ほしょうはもちろん、２４時じ間あいだ介護かいごの必要ひつよう な１人にん暮くらし障害しょうがい者しゃに対たいして、１日にち１２時じ間あいだ保障ほしょうも実現じつげんしていません。
　 「審査しんさ会かい」は最大さいだいの問題もんだい点てんを持もっています。

移動いどう介護かいご廃止はいし

　２番目ばんめの大おおきな問題もんだいとしては、 移動いどう介護かいごがなくなり、１ひとつの法人ほうじんに委託いたくされるガイドヘルプ事業じぎょうになります。
　 これでは、支援しえん費ひ前まえの状況じょうきょうに逆戻ぎゃくもどりです。つまり、全国ぜんこくの９割わりの市町村しちょうそんで社協しゃきょう委託いたくになります。時給じきゅう８００円えん〜１０００円えんくらいのガイドヘルパー制度せいどになるでしょう。
　 支援しえん費ひ実施じっし前まえの、独占どくせん委託いたくのサービスの悪わるい、暗黒あんこくの時代じだいに戻もどります。
　 ２４時じ間あいだの介護かいごが必要ひつような１人にん暮くらしの障害しょうがい者しゃが、１時じ間あいだ５０３０円えんの移動いどう介護かいご（夜間やかん）を５時じ間あいだの介護かいごに引ひき伸のばして、ぎりぎり生存せいぞんしている大阪おおさかやその他たの全国ぜんこく各地かくちの地域ちいき（２４時じ間あいだの介護かいご保障ほしょうが出来できていない地域ちいき）では、このままでは、それらの障害しょうがい者しゃの介護かいごが受うけられる時とき間あいだ数すうが足たりなくなり、確実かくじつに死人しにんが出でます。
（１０月がつ１２日にちの審議しんぎ会かいの資料しりょう１の１２ｐ、資料しりょう３の１５p（移動いどう介護かいごは�B障害しょうがい者しゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうに入はいる）、資し 料りょう３の後半こうはんの、参考さんこう資料しりょうの３５ｐ、を参照さんしょう）
　ホームヘルプは「介護かいご給付きゅうふ」に入はいり、舗装ほそう具ぐなどは「自立じりつ支援しえん給付きゅうふ」に入はいりますが、ガイドヘルプ事業じぎょうはリフトカーによる移送いそうサービスなどと共ともに「地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう」に入はいります。

このように3つに分わけたのには、以下いかの理由りゆうがあると考かんがえられます。障害しょうがい者しゃに介護かいご保険ほけんが適用てきようされた時ときに、１の介護かいご給付きゅうふは介護かいご保険ほけんと重かさなる部分ぶぶん、2の自立じりつ支援しえん給付きゅうふは障害しょうがい者しゃ特有とくゆうの横よこだしサービス、３の地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうは（重要じゅうよう度どが低ひくいので）一般いっぱん財源ざいげん化かになっても仕方しかたのない事業じぎょうという考かんがえ方かたであると読よめます。実際じっさいに、3番ばんは、メニュー事業じぎょうとして包括ほうかつ補助ほじょ金きんとして計画けいかくされています。なお、この事業じぎょうの方式ほうしきは、市町村しちょうそんとの密接みっせつな関係かんけいのある特定とくていの社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじんや福祉ふくし公社こうしゃにだけ委託いたくされるものなので、一般いっぱんの民間みんかん事業じぎょう所しょが委託いたくを受うけることはできません。3000市町村しちょうそんのほとんどの地域ちいきでは社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かい1箇所かしょへの委託いたくとなることが予想よそうされます。

ＡＬＳなどの包括ほうかつ

　 なお、包括ほうかつ問題もんだいに関かんしても記述きじゅつがあります。これは、１２月じゅうにがつに出でる、ホームヘルプの包括ほうかつ案あんとは別物べつもので、ＡＬＳなどに対たいする全ぜん制度せいどを包括ほうかつして一定いってい額がくで提供ていきょうする制度せいどです。現状げんじょうでは包括ほうかつ単価たんかが決きまっていないので、なんともいえない 案あんになっています。ＡＬＳや呼吸こきゅう機き利用りよう者しゃや重度じゅうどの知的ちてき・精神せいしん障害しょうがい者しゃが想定そうていされた内容ないようになっています。包括ほうかつの単価たんかが たとえば、月つき８０万まん円えんになるとすると、当然とうぜん、それに入はいらない脳性のうせいまひや頚けい損そんや筋すじジスなどの２４時じ間あいだ介護かいごの必要ひつような１人にん暮くらしの全身ぜんしん性せい障害しょうがい者しゃは、この包括ほうかつ単価たんかより低ひくい単価たんかまでしか、時間じかん数すう決定けっていが出でないと思おもいます。審査しんさ会かい委員いいんへも、最初さいしょに市町村しちょうそんは当然とうぜん、委員いいんに対たいしてそう説明せつめいをすると思おもわれます。

自己じこ負担ふたん

　多おおくの団体だんたいが反対はんたいしていることに自己じこ負担ふたんの問題もんだいもあります。介護かいご保険ほけんと同様どうように一律いちりつの自己じこ負担ふたんを行おこなうという案あんになっています。介護かいご保険ほけんでは非課税ひかぜい世帯せたいでは月つきの費用ひよう負担ふたん上限じょうげん2万まん4000円えんとなっており、自己じこ負担ふたん金きんがこれを超こえた世帯せたいは後日ごじつ申請しんせいすれば還付かんぷされます。
　たとえば、介護かいご保険ほけん同様どうよう1割わり負担ふたんの場合ばあい、身体しんたい介護かいご型がたヘルパーを日にち中ちゅう毎日まいにち3回かい×1時じ間あいだ利用りようする場合ばあい、1日にち1206円えん、月つきに3万まん6180円えんの自己じこ負担ふたんとなります。親おやと同居どうきょの障害しょうがい者しゃで親おやが働はたらいている場合ばあいは減免げんめんは受うけられません。一方いっぽう、1人ひとり暮くらしなどで非課税ひかぜい世帯せたいであれば、2万まん4000円えんを超こえる自己じこ負担ふたんは後日ごじつ還付かんぷされます。
　自己じこ負担ふたんが大おおきくなる、親元おやもとの障害しょうがい者しゃなどがサービスを利用りようしなくなり、自立じりつしなくなるのではないかと懸念けねんされています。

ホームヘルプにも障害しょうがい程度ていど区分くぶん類型るいけい

　 現状げんじょうの支援しえん費ひ制度せいどでは、デイサービスや入所にゅうしょ施設しせつに障害しょうがい程度ていど区分くぶん１〜３がそれぞれのサービスごとに決きめられます。改正かいせい案あんでは、全ぜんサービス共通きょうつうの「新しん障害しょうがい程度ていど区分くぶん」3〜5区分くぶんが審査しんさ会かいによって決きめられます。
　 ホームヘルプには今いままで障害しょうがい程度ていど区分くぶんはありませんでしたが、3〜5区分くぶんごとの上限じょうげん金額きんがくが決きまります。最高さいこうランクになっても、現状げんじょうの全身ぜんしん性せいの125時じ間あいだ分ぶん（21万まん円えん）はかわらないと考かんがえられます。（予算よさん不足ふそくが今回こんかいの改正かいせいの主おもな理由りゆうのため）。なお、グランドデザイン案あん資料しりょうでは、3区分くぶんという案あんになっていますが、最近さいきんになり、審議しんぎ会かいでは3ないし5区分くぶんというい方いかたに代かわっています。
　 なお、障害しょうがい程度ていど区分くぶんごと標準ひょうじゅん的てきな金額きんがくを超こえるサービスが必要ひつようであるというケアプランが作つくられた利用りよう者しゃは、審査しんさ会かいで審査しんさされ査定さていされます。つまり月がつ125時間じかん（と予想よそうされる）を越こえるヘルパー利用りよう者しゃは全員ぜんいん、審査しんさ会かいで審査しんさを受うけます。

この他ほかにもさまざまな問題もんだい点てんがあり、1つ1つは書かききれないのですが、このグランドデザインは原案げんあん通どおりでは認みとめるわけにはいかないと思おもいます。

「審査しんさ会かい」の問題もんだい点てん

・審査しんさ会かい方式ほうしきでは、ヘルパー制度せいどの水準すいじゅんの低ひくい地域ちいきは、今後こんごも低ひくい水準すいじゅんのまま、固定こてい化かする。何なに十じゅう年ねんも水準すいじゅんが低ひくいまま改善かいぜんしなくなる。

　市町村しちょうそんで、ヘルパーなどの制度せいどの水準すいじゅんが上あがるときというのは、最さい重度じゅうどの障害しょうがい者しゃの両親りょうしんが入院にゅういんするなど、緊急きんきゅうの事態じたいに対たいし、当事とうじ者しゃからの交渉こうしょうが市町村しちょうそんに対たいして行おこなわれ、行政ぎょうせいが緊急きんきゅう性せいを判断はんだんし、障害しょうがい福祉ふくし担当たんとうの部課ぶか長ちょうが、議会ぎかいや助役じょやくや首長しゅちょうを説得せっとくして、補正ほせい予算よさんを組くむなど、行政ぎょうせいの内部ないぶ主導しゅどうで動うごかないと、大幅おおはばなアップはできないものである。このようにして、１人ひとりが長時間ちょうじかんのサービスを利用りよう開始かいしすると、数すう年ねん立たてば、障害しょうがい福祉ふくし担当たんとう課かの職員しょくいんも全員ぜんいん異動いどうし、それがその市町村しちょうそんの決定けってい水準すいじゅんとなっていき、ほかの障害しょうがい者しゃも、介護かいごがたくさん必要ひつような状態じょうたいになれば、個々人ここじんが自立じりつして生活せいかつするのに必要ひつような適正てきせいな時間じかん数すうのヘルパー制度せいどなどが受うけられるように変かわる。これに対たいして、外部がいぶ委員いいんの審査しんさ会かいは、すでに決きめられている障害しょうがい福祉ふくしの当初とうしょ予算よさんの範囲はんい内ないでしか、サービス水準すいじゅんを決定けっていできない。このため、サービス水準すいじゅんの低ひくい地域ちいきでは、永久えいきゅうに制度せいどが改善かいぜんされなくなる。

・審査しんさ会かい方式ほうしきが導入どうにゅうされると、市町村しちょうそんが制度せいどが伸のばせないい訳いわけに「審査しんさ会かいで決きまったから」を使つかうようになり、制度せいどが伸のびなくなる。

　１９７０年代ねんだいから、現在げんざいまで、障害しょうがい者しゃの運動うんどうは、全国ぜんこくで交渉こうしょうを行おこない、市町村しちょうそんの制度せいどを改善かいぜんしてきた。障害しょうがい者しゃの運動うんどうがなければ、現在げんざいのような障害しょうがいヘルパー制度せいどはなかった。海外かいがいでも同様どうように、当事とうじ者しゃによる改善かいぜん運動うんどうにより制度せいどは改善かいぜんされてきた。北きたヨーロッパでも障害しょうがい者しゃの運動うんどうによって２４時じ間あいだの介護かいごが受うけられるようになった。
　しかし、審査しんさ会かいのような外部がいぶ委員いいんがヘルパー時間じかん数すう決定けってい権けんを持もつようなシステムになると、障害しょうがい者しゃが市町村しちょうそんと交渉こうしょうして制度せいどを改善かいぜんしていくことが不可能ふかのうになる。（福祉ふくし制度せいどは、障害しょうがい者しゃ１人にんが交渉こうしょうして、制度せいどを改善かいぜんさせれば、ほかの同おなじニーズを持もつ障害しょうがい者しゃ全員ぜんいんが制度せいどを受うけられるようになる）。 しかし、審査しんさ会かいが導入どうにゅうされると、市町村しちょうそんの障害しょうがい福祉ふくし担当たんとう課かの課長かちょうや部長ぶちょうは、たとえ、非常ひじょうに水準すいじゅんの低ひくいサービスしか行おこなっていなくて、障害しょうがい者しゃが困こまっていても、「審査しんさ会かいで決きめることです」「審査しんさ会かいで決きまったことですから」と逃にげることができ、交渉こうしょうができなくなる。

『ＤＰＩ』20-3号ごうより

緊急きんきゅう企画きかく　グランドデザインを読よむ

【激動げきどうの障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし施策しさく　　　　
　　　 −「グランドデザイン」をめぐって】

DPI日本にっぽん会議かいぎ事務じむ局長きょくちょう　尾上おがみ浩二こうじ 　

　「障害しょうがい者しゃ福祉ふくしサービス法ほう制定せいていへ」。10月上旬じょうじゅんに新聞しんぶん各紙かくしで一斉いっせいに報道ほうどうされた。10月から社会しゃかい保障ほしょう審議しんぎ会かい・障害しょうがい者しゃ部会ぶかいで議論ぎろんされている「今後こんごの障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし施策しさくについて」（改革かいかくのグランドデザイン案あん、以下いか「グランドデザイン」と略りゃく）を取とり上あげたものである。
「自立じりつ支援しえん型がたシステムへの転換てんかん」を掲かかげている「グランドデザイン」。だが、ここに示しめされている内容ないようが実施じっしされれば、私わたしたちの生活せいかつに大おおきな影響えいきょうを及およぼすことは間違まちがいなく、その意味いみでは「大だい転換てんかん」であろう。執筆しっぴつ時点じてんでは審議しんぎ会かいでも議論ぎろんの途中とちゅうであり、その具体ぐたい的てき内容ないようは不明ふめいな点てんは多おおいが、「グランドデザイン」を読よみといてみたいと思おもう。

■「（介護かいご保険ほけん）被ひ保険ほけん者しゃ拡大かくだい」論ろんの中なか「グランドデザイン」発表はっぴょう

　支援しえん費ひ制度せいど実施じっし後ごわずか１年ねん半はんしか経たっていないにも関かかわらず「介護かいご保険ほけん制度せいどへの統合とうごう、活用かつよう」といった議論ぎろんが進すすめられてきた。1〜4月がつには「介護かいご保険ほけんとの統合とうごう論ろん」、６月がつには「活用かつよう」論ろんが言いわれてきたが、９月くがつからは厚労省こうろうしょうは「統合とうごう」という言葉ことばを避さけ、「被ひ保険ほけん者しゃ拡大かくだい」論ろんでの「論点ろんてん整理せいり」をしてきた。こうして「論点ろんてん」が変化へんかする中なか、10月12日にちの障害しょうがい者しゃ部会ぶかいで「グランドデザイン」が示しめされたのである。
　まず、「今後こんごの障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし施策しさくの基本きほん的てきな視点してん」として、１．障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし施策しさくの総合そうごう化か、２．自立じりつ支援しえん型がたシステムへの転換てんかん、３．制度せいどの持続じぞく可能かのう性せいの確保かくほ、の３点てんが掲かかげられている。しかし、後のちほど見みる通とおり、その具体ぐたい的てき内容ないようは、1990年代ねんだいに入はいって言いわれてきた「障害しょうがい者しゃ自身じしんの自己じこ決定けってい」を基本きほんにおいた自立じりつ論ろんから明あきらかにズレがある。そして、目めにつく内容ないようは「支給しきゅう決定けっていプロセスの透明とうめい化か」「負担ふたんの見直みなおし」と言いった「給付きゅうふの重点じゅうてん化か・公平こうへい化か」「制度せいどの効率こうりつ化か・透明とうめい化か」に関連かんれんしてのものである。

■グランドデザインの４よっつの項目こうもく群ぐん

　紙面しめんの都合つごうで主おもな内容ないようだけをピックアップしていきたい。内容ないよう面めんからは、次つぎの４よっつの項目こうもく群ぐんに整理せいりできる。

1. 市町村しちょうそん計画けいかく義務ぎむ化かと支給しきゅう決定けっていのプロセスの透明とうめい化か−サービス共通きょうつうの尺度しゃくど＋認定にんてい審査しんさ会かい＋３区分くぶんの国庫こっこ補助ほじょ基準きじゅん、付随ふずい的てきなツールとしてのケアマネジメント
2. 負担ふたんの見直みなおし−応益おうえき的てき負担ふたんの導入どうにゅう、施設しせつ入居にゅうきょ者しゃの負担ふたん増ぞう＋公費こうひ医療いりょう助成じょせいの低てい所得しょとく者しゃのみへの限定げんてい
3. サービス体系たいけいの見直みなおし−介護かいご給付きゅうふ・自立じりつ支援しえん給付きゅうふ・地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうの３種類しゅるいへの振ふり分わけ、「自立じりつ」理念りねんの揺ゆり戻もどしと施設しせつ体系たいけい中心ちゅうしんの再編さいへん、極きわめて重度じゅうどへの包括ほうかつ報酬ほうしゅう
4. 障害しょうがい者しゃ福祉ふくしサービス法ほう（仮かり）−既存きそんの障害しょうがい者しゃ法体ほうたい系けい（３分立ぶんりつ、障害しょうがい認定にんてい・手帳てちょう制度せいど等とう）を前提ぜんていとしつつ、共通きょうつうのサービス項目こうもくを一いち括くくりにしたもの

１．「サービス提供ていきょう量りょう等とうの目標もくひょうの記載きさいを義務ぎむづけた障害しょうがい保健ほけん福祉ふくし計画けいかく策定さくていの制度せいど化か」が示しめされている。おそらく、1993年ねんの老人ろうじん健康けんこう福祉ふくし計画けいかくの義務ぎむづけに習ならったものと思おもわれる。老健ろうけん計画けいかく時点じてんでは「ゴールドプラン〜新しんゴールドプラン」といったサービス総量そうりょう全体ぜんたいの拡大かくだい計画けいかくが国くにレベルであった。一方いっぽう、新しん障害しょうがい者しゃプランは数値すうち目標もくひょうの低ひくさが批判ひはんされてきた。国くにレベルでの障害しょうがい者しゃプランの大幅おおはばな見直みなおしや地域ちいき生活せいかつ基盤きばん整備せいびの特別とくべつ立法りっぽう等とうが求もとめられる。
　「支給しきゅう決定けっていプロセスの透明とうめい化か」に関連かんれんしては、「イ．サービス共通きょうつうの尺度しゃくどづくり、ロ．サービス認定にんてい審査しんさ会かいの設置せっち、ハ．サービスモデルに基もとづく費用ひよう額がく設定せっていとそれに対応たいおうした国庫こっこ補助ほじょ基準きじゅんの仕組しくみ」の３点てんが中心ちゅうしんとなる。支給しきゅう決定けっていに関かんしては「認定にんてい審査しんさ会かい」が受うけ持もち、障害しょうがい者しゃケアマネジメントは付随ふずい的てきな役割やくわりになると思おもわれる（図ず１）。

「サービス共通きょうつうの尺度しゃくど」は介護かいご的てき側面そくめんについては「要よう介護かいご認定にんていを基本きほんに障害しょうがい種別しゅべつの特性とくせいを踏ふまえた尺度しゃくど設定せってい」となっている。参考さんこう資料しりょうを見みると３区分くぶん程度ていどが想定そうていされている。認定にんてい審査しんさ会かいでは、結局けっきょく、介護かいご保険ほけんの認定にんてい審査しんさ会かいに準じゅんじた構成こうせいとなり、医療いりょうモデル中心ちゅうしんで、障害しょうがい者しゃニードへの十分じゅうぶんな考慮こうりょのない画一かくいつ的てきな支給しきゅう決定けっていがされかねず、「自己じこ決定けってい」「個人こじんのニードに基もとづく支給しきゅう決定けっていとサービス利用りよう」という支援しえん費ひ制度せいどの理念りねんと矛盾むじゅんする。

２．　「負担ふたんの見直みなおし」では、「契約けいやくに基もとづくサービスだから応益おうえき的てき負担ふたんの導入どうにゅう」という非常ひじょうに荒あらっぽい根拠こんきょしか示しめされていない。2000年ねんの社会しゃかい福祉ふくし法ほう改正かいせい当時とうじの議論ぎろんで、「障害しょうがい者しゃの所得しょとく・就労しゅうろう状じょう況きょうをふまえ必要ひつようなサービスを受うけられるよう」に応おう能のう負担ふたんが採用さいようされた。当時とうじと比くらべて、大おおきな改善かいぜんは見みられないのに応益おうえき負担ふたんを導入どうにゅうするのはあまりにも唐突とうとつである。 　「応益おうえき的てき負担ふたんの導入どうにゅうに併あわせて扶養ふよう義務ぎむを廃止はいしする」とされているが、減額げんがく措置そちについては「生計せいけいを一いちにする家族かぞくの負担ふたん能力のうりょくを勘案かんあんする」とされており、自己じこ負担ふたん分ぶんを本人ほんにんが払はらうのが困難こんなんな低てい所得しょとくな障害しょうがい者しゃ、親元おやもとに暮くらす在宅ざいたく障害しょうがい者しゃの多おおくにとって、実質じっしつ的てきに扶養ふよう義務ぎむが強化きょうかされることになりかねない（図ず２）。

　施設しせつ入居にゅうきょ者しゃについては、食費しょくひ、日にち用品ようひん費ひ等とうについて自己じこ負担ふたんとされている。現行げんこうの水準すいじゅんを大おおきく上回うわまわる場合ばあいは、年金ねんきんのほとんどが徴収ちょうしゅうされることとなり、地域ちいき生活せいかつ移行いこうのための準備じゅんび資金しきんが作つくれなくなるのではないか。また、「長期ちょうき入所にゅうしょ者しゃ」に対たいする別途べっと利用りよう料りょうの設定せっていも想定そうていされている。これは、介護かいご保険ほけんのホテルコスト論ろんをそのまま当あてはめたもので、障害しょうがい者しゃが望のぞんで長期ちょうき入所にゅうしょしているわけではない実態じったいがふまえられていない。医療いりょうの公費こうひ助成じょせいも、実態じったいをふまえた検討けんとうがなされているようには見みえない。

３．「総合そうごう的てきな自立じりつ支援しえんシステムの構築こうちく」として、今後こんごのサービスについて介護かいご給付きゅうふ・自立じりつ支援しえん給付きゅうふ・地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうの３種類しゅるいへの振ふり分わけが提起ていきされている（表ひょう１）。

　介護かいご給付きゅうふにはホームヘルプ、デイ、ショートステイ等とうの在宅ざいたくサービスと障害しょうがい者しゃ支援しえん施設しせつ（入所にゅうしょ施設しせつの住すまい機能きのう部分ぶぶん）等とうがある。自立じりつ支援しえん給付きゅうふでは補ほ装具そうぐ制度せいど以外いがいは、自立じりつ訓練くんれん（機能きのう訓練くんれん・生活せいかつ訓練くんれん）、就労しゅうろう移行いこう支援しえん等とうの施設しせつの日にち中ちゅう活動かつどうが中心ちゅうしんで、「地域ちいきでの自立じりつ生活せいかつへの支援しえん」ではなく、「施設しせつによる自立じりつ訓練くんれん」への給付きゅうふになっている。そして、移動いどう介護かいご等とうは個別こべつ給付きゅうふから外はずされ、地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうという市町村しちょうそんが実施じっしする事業じぎょうに整理せいりされている。グループホームについても障害しょうがい程度ていどによる分類ぶんるいを前提ぜんていにし、ホームヘルパー等とうの利用りようが想定そうていされず、「ミニ施設しせつ」的てきな位置いちづけに変かわっている。包括ほうかつ給付きゅうふについては、ALSや強度きょうど行動こうどう障害しょうがい等とう、「極きわめて重度じゅうどの障害しょうがい者しゃ」に限定げんていした仕組しくみが想定そうていされている。
　将来しょうらいは、地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうは地方ちほうへ委譲いじょうされ、国くには介護かいご給付きゅうふと自立じりつ支援しえん給付きゅうふのみ関かかわるという事態じたいも一定いってい視野しやに入いれているのでないか。
　これまで「介護かいごに馴染なじまないサービスは障害しょうがい者しゃ施策しさくによる横よこ出だし・上乗うわのせの仕組しくみでカバーする」と言いわれてきたが、実際じっさいには「横よこ出だしサービス」は施設しせつが実施じっしするものに限定げんていされており、地域ちいき生活せいかつ支援しえんサービスの横よこ出だし・上乗うわのせの仕組しくみがなくなっている。地域ちいき生活せいかつ・自立じりつ生活せいかつ支援しえんの新あたらしいサービス体系たいけいこそが検討けんとうされなければならない。

４．障害しょうがい者しゃ福祉ふくしサービス法ほう（仮かり）については、まだ具体ぐたい的てきな内容ないようが明あきらかになっていないが、「法律ほうりつ構成こうせいのイメージ」をみると、既存きそんの障害しょうがい者しゃ法体ほうたい系けい（３分立ぶんりつ、障害しょうがい認定にんてい・手帳てちょう制度せいど等とう）を前提ぜんていとしつつ、共通きょうつうのサービス項目こうもくを一いち括くくりにしたものと言いえる。難病なんびょう等とう「制度せいどの谷間たにま」にある障害しょうがい者しゃの問題もんだいや、サービス受給じゅきゅう権けん・申請しんせい権けん等とうが明記めいきされるか等とうの問題もんだいがある。

■障害しょうがい種別しゅべつを超こえ地域ちいき自立じりつ生活せいかつを実現じつげんする法ほう制度せいど・サービスを

　以上いじょう、ポイントに絞しぼって取とり上あげてきたが、次つぎの点てんが特徴とくちょうとしてあげられる。

1. 「自立じりつ支援しえんシステムへの転換てんかん」 「各かく障害しょうがい共通きょうつうの枠組わくぐみのため障害しょうがい者しゃ福祉ふくしサービス法ほう」と一見いっけん「改革かいかく的てき」な枠組わくぐみが示しめされている。しかし、その具体ぐたい内容ないようは「ADL自立じりつ・職業しょくぎょう自立じりつ論ろん」へ傾斜けいしゃしており、「自立じりつ」理念りねんの揺ゆり戻もどしが起おきている。
2. これまで障害しょうがい者しゃ施策しさくでは、障害しょうがい者しゃの実態じったい・特性とくせいをふまえた一定いっていのきめ細ささやかさや、1990年代ねんだい以降いこう、当事とうじ者しゃ発はつ・地域ちいき発はつの事業じぎょう等とうを積極せっきょく的てきに採用さいようする形かたちで展開てんかいされてきた。「グランドデザイン」は、そうした展開てんかいと矛盾むじゅんする内容ないようとなっている。

　おそらく「グランドデザイン」は、介護かいご保険ほけん見直みなおしと三位一体さんみいったい改革かいかくという動うごきを射程しゃていに入いれ、その形かたちに沿そって、あたかもジグソー・パズルのピースを作つくるかのように検討けんとうされてきたのではないか。そのために、これまでの障害しょうがい者しゃ施策しさくの内在ないざい的てきな発展はってん方向ほうこうとの整合せいごう性せいや実態じったい的てきな検証けんしょうが行おこなわれないままの案あんとなったと見みるのは、うがち過すぎだろうか。
　支援しえん費ひ制度せいど移行いこうで実際じっさいに重度じゅうど障害しょうがい者しゃの地域ちいき生活せいかつが少すこしは始はじまった。「介護かいご保険ほけんとの統合とうごう問題もんだい」、「グランドデザイン」のいずれも、この重度じゅうど障害しょうがい者しゃの地域ちいき生活せいかつを維持いじ・継続けいぞくできるのか、脱だつ施設しせつ・地域ちいき生活せいかつ支援しえんがより進すすむのかどうかが議論ぎろんの基本きほん視点してんであることには変かわりはない。私わたしたちが求もとめているのは、障害しょうがい種別しゅべつを超こえて権利けんりに基もとづき一いち人にんひとりの必要ひつようなサービスが確保かくほされ、どんなに重度じゅうどの障害しょうがいがあっても地域ちいきで生活せいかつできるサービス、システム、法律ほうりつだ。障害しょうがい者しゃ運動うんどうと施策しさくの歴史れきしをふまえた検討けんとうを求もとめていかなければならない。

包括ほうかつ問題もんだいを考かんがえる
　　　障害しょうがいホームヘルプの利用りようの分布ぶんぷについて

（厚生省こうせいしょうの定点ていてん観測かんそく市町村しちょうそんの調査ちょうさ（全ぜん市町村しちょうそんではなく100程度ていどの市町村しちょうそんの調査ちょうさのため、不正確ふせいかくです）を再度さいど編集へんしゅうしたものです。一部いちぶ）（この調査ちょうさ内容ないようは、地域ちいき生活せいかつ支援しえんのあり方かた検討けんとう会かいや障害しょうがい部会ぶかいで数字すうじは入はいらずにグラフだけ公表こうひょうされました）