成城大学法学部は、1977年の創設以来、「法的なものの見方・考え方を身につけ、深い理解力、確かな判断力、そして豊かな想像力を持った人材を育成すること」を使命としてまいりました。
そのカリキュラムは、“Back to the Basics”という理念に基づき、「基礎から応用への段階的学習」を意識したものとなっています。すなわち、1・2年次には憲法・民法・刑法の基本科目を集中して学び、3・4年次には、4つのコース制(法プロコース、企業と法コース、公共政策コース、国際社会と法コース)を導入して、学生自身の問題関心と将来計画を見据えた学びを可能にする一方、4年間を通じて行われる少人数ゼミナールによって、学びの原動力と学んだ成果の発信力を培うというシステムを構築しています。具体的に言うと、1年次開講の基本書演習(必修)(書物その他の情報源から適切に情報を取得する技法を身につける)、2年次開講の基礎演習(必修)(取得した情報を整理して発表する技法を身につける)、3年次開講の専門演習(必修)(取得した情報を基礎に自身の思索を深め、既存情報にもう一段を積み上げ、その成果を発表する技法を身につける)および4年次開講の専門演習(選択)がそれらの少人数ゼミナールに当たります。
もちろん、このような制度的枠組みが存在するだけでは、それは文字どおり画餅と呼ぶべきものでしょう。しかし、わたしたちには、幸いにして、この制度的枠組みを100%機能させるに十分な人材と物的設備があります。
第一に、成城大学法学部には、素晴らしい教職員がいます。いかにも手前味噌で恐縮ですが、教員は、豊かな学識と教育的情熱を兼ね備えた者ばかりです。また、職員の方々は、学生のみなさんが知的活動を行い充実した大学生活が送れるよう、様々な面でサポートしてくださっています。第二に、成城大学法学部は、時代に先駆けた資料室を備えています。成城大学法学部は、2016年に法学資料室を全面的にリニューアルし、その充実を図るとともに、新たな法情報提供環境と先進的な機材を備えた学習研究環境を設けました。その後も、卓越したライブラリアンの下、随時、諸設備および収蔵データのアップデートを繰り返してきており、その充実ぶりは現在でも全国的に光彩を放っています。
それにしても、延々と続く新型コロナウイルス感染症禍は、大学での営為にも大きな影響を及ぼしてきました。非常事態宣言が出された2020年度、突然のことから設備もまったく不十分ななか、法学部の学生と教員によって構成されている学術団体である成城大学法学会のご支援のおかげもあり、遠隔授業実施のために最低限必要な機材をなんとか確保したわたしたちは、顔を突き合わせて議論することもままならない状況ゆえにウェブ上に隣接科目ごとのフォーラムを設置して情報交換をすすめ、文字通り手探りの状態で遠隔授業をなんとかやり遂げました。その後、大学は平常時の運営に回帰していますが、わたしたちは、新型コロナウイルス感染症禍を単に禍ととらえるのではなく、それへの対応の中で培ってきた新しい教育手法を平常時の教育にも取り入れて、今まで以上に効果的な教育を実施し、学生の学びを促すべく、日々、精進しています。
みなさまがたには、このようなわたくしどもの姿をご覧になり、なにとぞ今後とも温かいご指導・ご援助を賜りますようお願い申し上げまして、学部長のご挨拶に代えさせていただきます。