前例ぜんれいなき乱戦らんせんの自民党じみんとう総裁そうさい選せん
小泉こいずみ進すすむ次郎じろう　3つの急所きゅうしょ

〈「週刊しゅうかん新潮しんちょう」は週刊しゅうかん誌しというより、ほとんど人じんである。辻つじに立たって、夜よな夜よな紳士しんし貴顕きけんを斬きる百ひゃく六ろく十じゅうページの眠ねむり狂四郎きょうしろうである。ときどき魔ま剣けんないし凶刃きょうじんになることもあるが、円えん月がつ殺ころせ法ほうの切きり口くちが見事みごとである。シバレンではないが、創刊そうかん五ご十じゅう年ねんようやく「剣けん鬼おに」の風格ふうかくも出でてきた〉

「週刊しゅうかん新潮しんちょう」は1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）2月がつに、出版しゅっぱん社しゃが出だす初はじめての週刊しゅうかん誌しとして創刊そうかんされました。
　それから半はん世紀せいき後ごの2006年ねん（平成へいせい16年ねん）、「週刊しゅうかん新潮しんちょう」は創刊そうかん50周年しゅうねんを迎むかえ、その記念きねん企画きかく「週刊しゅうかん新しん潮しおと私わたし」に、作家さっかの徳岡とくおか孝夫たかお氏しが寄よせられのが上記じょうきの文章ぶんしょうです。
　50年ねんという長ながい時ときを経へても、「週刊しゅうかん新潮しんちょう」の編集へんしゅう方針ほうしんは、創刊そうかん当時とうじから全まったくと言いって良よいほど変かわっていません。
　何なにより、文芸ぶんげい出版しゅっぱん社しゃから発行はっこうされる週刊しゅうかん誌しとして、常つねに「人間にんげんという存在そんざい」を強つよく意識いしきした記事きじ作づくりをしています。それはまさに「殺人さつじん事件じけんを文学ぶんがくとしてとらえる」ことでもあります。偽善ぎぜんを嫌きらい、人間にんげんの本質ほんしつに切きり込こむ姿勢しせいは、時ときに「世よの中なかを斜ななめからシニカルに見みている」と評ひょうされることもあります。
　また、皇室こうしつ、学界がっかい、右翼うよく、左翼さよく、宗教しゅうきょう団体だんたい、暴力団ぼうりょくだん、日教組にっきょうそ、動労どうろう……時代じだいにより、その対象たいしょうは変かわりますが、あらゆる“タブー”に挑いどむ姿勢しせいも一貫いっかんしています。
　最近さいきんでは、「加害かがい者しゃの方ほうが、被害ひがい者しゃより手厚てあつく保護ほごされている」という少年しょうねん犯罪はんざいの不可解ふかかいな“タブー”を問題もんだいにし、少年しょうねん法ほうが改正かいせいされるに至いたっています。
　世よの中なかが左ひだりに振ふれても右みぎに振ふれても、「週刊しゅうかん新潮しんちょう」は常つねに変かわらぬ主張しゅちょうを堅持けんじし、その一貫いっかんした姿勢しせいが読者どくしゃに支持しじされてきました。今後こんごもマスコミ界かいの「剣けん鬼おに」として、「魔ま剣けんや凶刃きょうじん」に磨みがきをかけていきたいと思おもっています。