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ワンポイントアドバイス 薬物依存と覚醒剤
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 もとアイドルで純情じゅんじょう女優じょゆうとしてられた酒井さかい法子のりこ常習じょうしゅうてき覚醒剤かくせいざい所持しょじ使用しよううたがいで逮捕たいほされて最近さいきんはつ公判こうはんおこなわれたことは、連日れんじつのニュースとうみなさんもよくっていることとおもいます。酒井さかい被告ひこくかぎらずむかしから芸能人げいのうじん薬物やくぶつ使用しよう事件じけんあとちません。今回こんかい覚醒剤かくせいざいやその麻薬まやくとされる危険きけん薬物やくぶつについて特集とくしゅうし、その危険きけんせいうったえました。

危険な禁止薬物

薬物依存と覚醒剤
【1芸能げいのうかい薬物やくぶつ依存いぞん芸能げいのうかい薬物やくぶつ汚染おせん”の深刻しんこく〜】
【2】覚醒剤かくせいざいとはなにか?〜そのおそれるべき実体じったい
【3】麻薬まやくをめぐる文化ぶんか現代げんだい世界せかい
覚醒剤かくせいざいだけではない!危険きけんなクスリの実態じったい
【4】薬物やくぶつ依存いぞんしょうとその治療ちりょう〜ダメ。ゼッタイ。〜


【1】芸能げいのうかい薬物やくぶつ依存いぞん芸能げいのうかい薬物やくぶつ汚染おせん”の深刻しんこく

 このなつはアイドルで純情じゅんじょう女優じょゆうだった酒井さかい法子のりこ覚醒剤かくせいざい事件じけんでマスコミはもちろん世間せけん連日れんじつ大騒おおさわぎしていました。でもかえってみると、芸能人げいのうじんしょうするひとたちの薬物やくぶつ汚染おせん事件じけん頻発ひんぱつしているのはいまにはじまったことではないことがぐにかります。
 芸能げいのうかいばかりでない現代げんだいにおける深刻しんこく薬物やくぶつ汚染おせん状況じょうきょうけるためにも、本節ほんぶしでは、まずは酒井さかい法子のりこ被告ひこく押尾おしびがく被告ひこく事件じけんくわしく紹介しょうかい解説かいせつしました。
頻発ひんぱつする芸能げいのうかいにおける深刻しんこくな「薬物やくぶつ汚染おせん事件じけん

 ほんこうでは、まず手始てはじめに酒井さかい法子のりこ容疑ようぎしゃ押尾おしびがく被告ひこく事件じけんかえることで、芸能人げいのうじんのクスリへの認識にんしきあまさを指摘してきしました。
ニュース1:女優じょゆう酒井さかい法子のりこ被告ひこく覚醒剤かくせいざい所持しょじ使用しようはつ公判こうはん! 厳罰げんばつも!?


 かくせいざい取締とりしまりほう違反いはん所持しょじおよ使用しよう)のつみわれた女優じょゆう酒井さかい法子のりこ被告ひこく(38)のはつ公判こうはん東京とうきょう地裁ちさい村山むらやま浩昭ひろあき裁判官さいばんかん)で10がつ26にちおこなわれれました。酒井さかい被告ひこくは、「(間違まちがいは)ありません」と起訴きそ内容ないようみとめ、被告人ひこくにん質問しつもんでは「一番いちばん身近みぢか存在そんざいであるおっとからスッキリするとわれ、安易あんい好奇心こうきしん使つかってしまった」と説明せつめいしました。検察けんさつがわ懲役ちょうえきねんがつ求刑きゅうけい弁護べんごがわ執行しっこう猶予ゆうよ判決はんけつもとめ、公判こうはん即日そくじつ結審けっしんしました。判決はんけつ11月じゅういちがつにちにいいわたされる予定よていです。

 法廷ほうていにおいて酒井さかい被告ひこく覚醒剤かくせいざい所持しょじ使用しようについて起訴きそ事実じじつみとめ、反省はんせいべんべ、さらに、おっと自称じしょうプロサーファーのこうしょう祐一ゆういち被告ひこく(41)被告ひこくとは離婚りこんし、生活せいかつ一新いっしんすることを強調きょうちょうしたといます。そして、今後こんごは「福祉ふくし看護かんご介護かいご勉強べんきょうをして、生活せいかつ仕事しごと自分じぶんなりにみたい」とべたといます。なお、酒井さかい被告ひこく保釈ほしゃく直後ちょくごにメンタルめん治療ちりょう入院にゅういんし、10がつ上旬じょうじゅん退院たいいんしたそうですが、法廷ほうていでは「診断しんだん薬物やくぶつによる異常いじょう依存いぞんはないとわれました」とえて強調きょうちょうしたといます。おっとであるこうしょう被告ひこく今後こんごについてサーフィンと音楽おんがくをやりたいとこたえたのにたいし、酒井さかい被告ひこく福祉ふくし介護かいご仕事しごとをしたいと意思いし表明ひょうめいすることで堅実けんじつさをアピールするかたちになりました。
 とにかく、法廷ほうていではなみだをこぼす場面ばめんもあったが、終始しゅうし淡々たんたんとし、想定そうてい問答もんどうんだようなこたえからは女優じょゆういちめんうかがることが出来できるものであったそうです。しかも、迷惑めいわくをかけたはずのぜん所属しょぞく事務所じむしょであるサンミュージックの相沢あいざわ正久まさひさふく社長しゃちょう(60)を情状じょうじょう証人しょうにんたせるなど、酒井さかい被告ひこくにとってはシナリオどおりだったのではないかとの意見いけん一部いちぶにはあるようです。

各種かくしゅニュース記事きじ参考さんこう編集へんしゅう

ニュース2:押尾おしびがく被告ひこくとMDMA


 東京とうきょう六本木ろっぽんぎのマンションで今年ことしがつ合成ごうせい麻薬まやくMDMAを使用しようしたとして麻薬まやく取締とりしまりほう違反いはんわれたもと俳優はいゆう押尾おしびがく被告ひこく(31)のはつ公判こうはんが10月23にち東京とうきょう地裁ちさい井口いぐちおさむ裁判官さいばんかん)でありました。
 押尾おしび被告ひこく起訴きそ事実じじつみとめ、現場げんば一緒いっしょにいて死亡しぼうした飲食いんしょくてん従業じゅうぎょういん田中たなか香織かおりさん(享年きょうねん30さい)からMDMAをもらってんだとべました。検察けんさつがわ押尾おしび被告ひこく田中たなかさんと直前ちょくぜんおくったメールの内容ないようから供述きょうじゅつ内容ないよう矛盾むじゅんき、MDMAの常習じょうしゅうせいうたが場面ばめんもあったといます。検察けんさつがわ懲役ちょうえきねんがつ求刑きゅうけい11月じゅういちがつにち判決はんけつがいいわたされる予定よていです。

押尾おしび被告ひこく過去かこに3かいべいのクラブでMDMAを使用しようしたことをかし、今回こんかい死亡しぼうした田中たなかさんからMDMAをもらって1じょうんだとはなしたといます。

 なお、押尾おしび被告ひこく被告人ひこくにん質問しつもんで、8がつにち使用しようしたMDMAについて、「(一緒いっしょ部屋へやにいて死亡しぼうした)女性じょせいからもらった」と供述きょうじゅつしましたが、検察官けんさつかんは、押尾おしび被告ひこく事件じけん直前ちょくぜんにこの女性じょせいおくったメールで「(あなたが)たらすぐい(よう)る?」とたずねていることをしめし、「被告ひこく用意よういしたのでは」と追及ついきゅうしたが、押尾おしび被告ひこく調しらべから一貫いっかんして田中たなかさんがMDMAをってたという主張しゅちょうげなかったそういです。しかし、検察けんさつがわ論告ろんこくで「MDMAを女性じょせいから入手にゅうしゅしたとする被告ひこく供述きょうじゅつ不自然ふしぜん再犯さいはんおそれは否定ひてい出来できない」と主張しゅちょう一方いっぽう弁護べんごがわ最終さいしゅう弁論べんろんで「押収おうしゅうひんにも違法いほう薬物やくぶつはなく、常習じょうしゅうではない」とべたといます。そして、押尾おしび被告ひこく最終さいしゅう意見いけん陳述ちんじゅつで「2おなじようなあやまちをおかしません」とべ、深々ふかぶかあたまげたそうです。

各種かくしゅニュース記事きじ参考さんこう編集へんしゅう

覚醒剤かくせいざい大麻たいま事件じけん頻発ひんぱつする深刻しんこく芸能げいのうかい薬物やくぶつ汚染おせん

 押尾おしびがく被告ひこく、そして、こうしょうたすくいち被告ひこくとそのつまである酒井さかい法子のりこ被告ひこくと、違法いほう薬物やくぶつ使用しようによる逮捕たいほつづ芸能げいのうかいですが、参考さんこうまでに、ここすうねん薬物やくぶつ事件じけんかえってみましょう。なお、使つかわれた薬物やくぶつ覚醒剤かくせいざい大麻たいま主流しゅりゅうとなっています。
 なお、芸能げいのうかいでの禁止きんし薬物やくぶつ使用しようがはびこる一方いっぽうで、最近さいきんでは少年しょうねん主婦しゅふなど芸能げいのうかい以外いがい一般いっぱん社会しゃかいにも薬物やくぶつ使用しよう拡大かくだいしています。ちまたでは「だい覚醒剤かくせいざい乱用らんよう」に突入とつにゅうしたのではないかとのこえがっているそうです。「1かいぐらいならよいだろう」といったかる気持きもちで誘惑ゆうわくけた結果けっか常習じょうしゅうせいおぼれれて人生じんせいうしなってしまうことにもなりかねません。くれぐれもをつけなければいけません。


著名ちょめい芸能人げいのうじんによる薬物やくぶつ事件じけん

●2007ねん
  • 歌手かしゅ高橋たかはし祐也ゆうや(※女優じょゆう三田みた佳子けいこ次男じなん
  • 歌手かしゅ桂銀淑けいうんすく
●2008ねん
  • もと俳優はいゆう加勢かせ大周たいしゅう
  • 歌手かしゅ作曲さっきょく岡村おかむら靖幸やすゆき
2009ねん
  • もとタレント・小向こむかい美奈子みなこ
  • もとはっぴいえんど(ロックバンド)・鈴木すずきしげる
  • 俳優はいゆう中村なかむらしゅんふとし(※俳優はいゆう中村なかむら雅俊まさとし長男ちょうなん
  • 押尾おしびがくこうしょうたすくいち酒井さかい法子のりこ夫妻ふさい

クスリにたいする芸能人げいのうじんあま

 かれらにかぎりませんが、芸能人げいのうじん薬物やくぶつたいしてがいしてあまいようです。ちょっとつかまっても、ほとぼりがめればまた活動かつどう出来できるとでも安易あんいかんがえているのでしょうか。しかし、法律ほうりつ禁止きんしされた薬物やくぶつ使用しようすることはそんなにあまいことなのでしょうか? かれらは薬物やくぶつ使用しようを、ちょっとしたスピード違反いはん駐車ちゅうしゃ違反いはんおなじぐらいにしかかんがえていないのかもれません。
 とにかく、芸能人げいのうじんがこのように人生じんせいあまて、薬物やくぶつかる気持きもちで乱用らんようしていることが世間せけん若者わかものにどのような影響えいきょうあたえているか、これを薬物やくぶつ使用しようがどれほど人生じんせいくるわす元凶げんきょうになるか、みなかんがえていかなくてはいけないこととかんがえます。
酒井さかい法子のりこショックのうら衝撃しょうげき事実じじつ判明はんめい!〜覚醒剤かくせいざい押収おうしゅうりょう昨年さくねんやく6.4ばい激増げきぞう!〜

 警察庁けいさつちょう発表はっぴょうによれば、全国ぜんこく警察けいさつ今年ことし上半期かみはんき(1〜6がつ)に押収おうしゅうした覚醒剤かくせいざいりょうやく263キロだったそうですが、これは前年ぜんねん同期どうきくらべるとなんやく6.4ばい激増げきぞうです。上半期かみはんき押収おうしゅうりょうは04ねん以降いこう傾向けいこうつづいていましたが、今年ことしは6ねんぶりに200キロの大台おおだいえ、覚醒剤かくせいざい蔓延まんえん如何いか深刻しんこくであるかがうかがえます。こうしたなか警察庁けいさつちょう長官ちょうかんは8がつ20日はつか、「芸能げいのうかいから薬物やくぶつ一掃いっそうするよう、関係かんけいしゃ再発さいはつ防止ぼうし真剣しんけんんでもらいたい」と要請ようせいしました。警察庁けいさつちょう長官ちょうかんがこうした要請ようせいおこなうのは異例いれいちゅう異例いれい事態じたいです。ただ、著名ちょめい芸能人げいのうじんこす薬物やくぶつ事件じけん社会しゃかいあたえる影響えいきょう甚大じんだいで、とくにここ最近さいきん芸能人げいのうじん逮捕たいほ頻発ひんぱつし、青少年せいしょうねんなどへの悪影響あくえいきょう心配しんぱいされます。「だい覚醒剤かくせいざい乱用らんよう」に突入とつにゅうしたともわれる現在げんざい違法いほう薬物やくぶつには絶対ぜったいさない心構こころがまえが一人ひとりひとりに必要ひつようであるととえるでしょう。


薬物やくぶつ種類しゅるいべつ押収おうしゅうりょう
薬物押収量
覚醒剤かくせいざい占有せんゆうりつ(H20年度ねんど
ぜん薬物やくぶつ検挙けんきょ件数けんすう検挙けんきょ人数にんずうめる〜
検挙件数及び検挙人数における覚醒剤の占有率


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【2】覚醒剤かくせいざいとはなにか?〜そのおそれるべき実体じったい

 乱用らんようあとたない覚醒剤かくせいざいとは、一体いったいどのようなクスリなのでしょうか? 
 本節ほんぶしでは、危険きけん薬物やくぶつのうち、とく覚醒剤かくせいざい実態じったいについて、その作用さよう危険きけんせいなどをくわしく解説かいせつしました。
薬物やくぶつ依存いぞん麻薬まやく覚醒剤かくせいざい麻薬まやく覚醒剤かくせいざいはどうちがう?〜

 本節ほんぶしでは、覚醒剤かくせいざいについてくわしく解説かいせつするまえに、覚醒剤かくせいざい麻薬まやくとはどうちがうのかなどについて、まずは基礎きそ知識ちしきとしてっておくべきことを簡単かんたん解説かいせつしておきました。
麻薬まやく&MDMAとはなにか?

 まず麻薬まやくとはどんな薬物やくぶつなのでしょう? くわしくはあとれますが、ここで簡単かんたんておきましょう。

 麻薬まやく依存いぞんせい特徴とくちょう麻酔ますい作用さよう植物しょくぶつで、麻薬まやく取締とりしまりほうまり対象たいしょうとなっている薬物やくぶつします。具体ぐたいてきにはアヘンやモルヒネ、コカインといったるいです。そしてその麻薬まやくは、(1)天然てんねん麻薬まやくと(2)合成ごうせい麻薬まやくとにけられますが、いまさわがれている押尾おしびがく被告ひこく使用しようしたとされるMDMAは後者こうしゃぞくする合成ごうせい麻薬まやくで、若者わかものあいだでは「エクスタシー」などといった名称めいしょうばれています。覚醒剤かくせいざいのような興奮こうふん作用さようとLSD(一世いっせい風靡ふうびした強力きょうりょく幻覚げんかくざい)のような幻覚げんかく作用さようあわつのが特徴とくちょうです。なおいろかたち様々さまざまで、錠剤じょうざいやカプセルのかたちられていることもあります。
大麻たいまとはなにか?

 大麻たいまあさの1ねんくさである大麻たいまくさし、かたちによって、(1)乾燥かんそう大麻たいま、(2)大麻たいま樹脂じゅし、(3)液体えきたい大麻たいまみっつに分類ぶんるいされます。そして、このうち大麻たいま乾燥かんそうさせた(1)乾燥かんそう大麻たいま茶色ちゃいろ草色くさいろで、一般いっぱんにマリファナとかバンクなどとばれています。また、(2)大麻たいま樹脂じゅし深緑しんりょくしょくぼういたじょうになっており、ハシッシュと通称つうしょうされています。みっの(3)液体えきたい大麻たいまふか緑色みどりいろまたは黒色こくしょくで、ねばりのあるタールじょうになっており、ハシッシュオイルとばれます。
 また、大麻たいまには麻酔ますい作用さよう陶酔とうすい効果こうかがあり、その所持しょじ栽培さいばいゆずわたし、ゆずけは大麻たいま取締とりしまりほう禁止きんしされています(免許めんきょ取得しゅとくしゃのぞく)。しかし近年きんねん、20だい若者わかもの中心ちゅうしんに、好奇心こうきしんから海外かいがい使用しようしたりしたのち国内こくないむケースがこうちません。また、暴力団ぼうりょくだん関係かんけいしゃからうケースもいつもながら目立めだち、警察けいさつまりの徹底てってい躍起やっきになっているのが現状げんじょうです。
覚醒剤かくせいざいとは?

 では最後さいごに、酒井さかい法子のりこ被告ひこくおっとこうしょう祐一ゆういち被告ひこくとも使つかった覚醒剤かくせいざいとは一体いったいどんな薬物やくぶつなのでしょうか? また、このような違法いほう薬物やくぶつ使つかうと、心身しんしんにどのような影響えいきょうるのでしょうか? くわしくは後述こうじゅつするとして、ここではそれらについて簡単かんたん説明せつめいしておくことにします。

 覚醒剤かくせいざい一般いっぱんてきしろ粉末ふんまつまたは無色むしょく透明とうめい結晶けっしょうかたちをしています。においはなく、使用しようしゃあいだではシャブとかS(エス)、スピードといった通称つうしょうばれています。覚醒剤かくせいざいには神経しんけい興奮こうふんさせる作用さようがあって、覚醒剤かくせいざい使用しようした場合ばあい一時いちじてき眠気ねむけつかれがれたりあたまえたりするような感覚かんかくおぼえます。そのせいか、ちまたでは最近さいきん覚醒剤かくせいざい汚染おせんきゅう拡大かくだいしています。その証拠しょうこに、警察庁けいさつちょう発表はっぴょうによれば、全国ぜんこく警察けいさつ本年ほんねん上半期かみはんき(1〜6がつ)に押収おうしゅうした覚醒剤かくせいざいりょう前年ぜんねん同期どうきからやく6.4ばいぞう飛躍ひやくてきえています。覚醒剤かくせいざい蔓延まんえんかならずしも芸能げいのうかいだけにかぎっているわけではないようです。
精神せいしん錯乱さくらんだけではなく、死亡しぼうれいも!

 以上いじょう麻薬まやく大麻たいま覚醒剤かくせいざいみっつの薬物やくぶつについててきましたが、ひとくち違法いほう薬物やくぶつっても、そのいろかたち様々さまざまです。ただ、人間にんげん精神せいしん異常いじょう状態じょうたいおとしいれる作用さようについては共通きょうつうしています。それでは、その具体ぐたいてき症状しょうじょうとはどのようなものでしょうか? 


麻薬まやく(MDMA):
 つよ精神せいしんてき依存いぞんしょうがあり、乱用らんようつづけると錯乱さくらん状態じょうたいおちいる。また、のう神経しんけいけい破壊はかいするほかじん障害しょうがいかん障害しょうがい記憶きおく障害しょうがいなどがあらわれることもある。
大麻たいま
 触覚しょっかく聴覚ちょうかく味覚みかく過敏かびんになるほか思考しこう分裂ぶんれつし、感情かんじょう不安定ふあんていになる。乱用らんようつづけると、とりうま変身へんしんする錯覚さっかくおちいるなどの症状しょうじょうあらわれ、ついには精神せいしん錯乱さくらん状態じょうたいおちいることもある。
覚醒剤かくせいざい
 使用しようすう時間じかんつとはげしい脱力だつりょくかん疲労ひろうかんおそわれる。この不快ふかいかんからのがれようと使用しようりょうえてゆくうちに、幻覚げんかく妄想もうそうなどの症状しょうじょうあらわれたり、錯乱さくらん状態じょうたいおちいったりする。さらに急性きゅうせい中毒ちゅうどく場合ばあいには、意識いしきうしなって脳出血のうしゅっけつなどで死亡しぼうすることもある。


 以上いじょうてきたことからもかるように、しんからだむしばまれるのはもちろん、最悪さいあく場合ばあいいたることもある違法いほう薬物やくぶつおそろしさをあらためて実感じっかんさせられますが、薬物やくぶつ汚染おせん社会しゃかい問題もんだいする昨今さっこん、とにかく禁止きんし薬物やくぶつには「絶対ぜったいさない」つよ心構こころがまえが必要ひつようになります。とく大型おおがた連休れんきゅうなどで海外かいがい旅行りょこうにゆくひとは、異国いこく情緒じょうちょかれてあま誘惑ゆうわくけないようくれぐれも注意ちゅうい必要ひつようです。
覚醒剤かくせいざいとは一体いったいどんなクスリなのか?
覚醒剤かくせいざいとはなにか?

覚醒剤 覚醒剤かくせいざいとは、そのとお眠気ねむけばし、一時いちじてき興奮こうふん作用さようをもたらすくすりで、。中枢ちゅうすう神経しんけい興奮こうふんせしめ、のぼるじょう状態じょうたいにおくものです。元々もともと漢方薬かんぽうやくのひとつで、マオウという常緑樹じょうりょくじゅくきからしぼったえき原料げんりょうで、発汗はっかん解熱げねつ、鎮咳作用さようのあるすぐれたくすりですが、しかし、このくすりから抽出ちゅうしゅつした覚醒かくせいアミン(アンフェタミン、メタンフェタミン)という成分せいぶん乱用らんようすると、おそろしい覚醒剤かくせいざい中毒ちゅうどくはじまります。覚醒剤かくせいざい成分せいぶん中枢ちゅうすう神経しんけいのうおかし、幻聴げんちょう妄想もうそうをもたらします。身体しんたいへの影響えいきょうは、長期ちょうき服用ふくようすると、けたり手足てあしふるえなどがこったりといった症状しょうじょうとしてあらわれますが、いったんこういった症状しょうじょうればもう治療ちりょうすることもできないとわれています。使用しようめ、完全かんぜんなおったとおもわれても、ほんのちいさなことがキッカケとなって、これらの症状しょうじょう再発さいはつするフラッシュバックという現象げんしょうこされ、完全かんぜん中毒ちゅうどくはまんでしまうおそろしい薬物やくぶつなのです。
 とにかく覚醒剤かくせいざいがもたらす精神せいしん錯乱さくらんはげしく、たとえばビルの屋上おくじょうからりたり、暴力ぼうりょく事件じけんなどをこすことも度々どどです。覚醒剤かくせいざいによる人格じんかく破壊はかいけっして個人こじん問題もんだいまされるべきではなく、おおくの犯罪はんざい元凶げんきょうとなっている覚醒剤かくせいざいおそろしさはわたしたちのだれもが理解りかいすべきことであるとおもいます。


 覚醒剤かくせいざいとは、広義こうぎではのうない刺激しげきさせる中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやくのことで、この中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやく脳神経のうしんけいけい作用さようして心身しんしんはたらきを一時いちじてき活性かっせいするはたらきを広義こうぎこう精神せいしんやく一種いっしゅで、ドーパミン作動さどうせい作用さようするため、その中毒ちゅうどく症状しょうじょう統合とうごう失調しっちょうしょう酷似こくじしており、嗜癖・依存いぞん誘発ゆうはつされた精神病せいしんびょうじゅうあつしになりやすいとわれます。一方いっぽう狭義きょうぎでは日本にっぽんにおいて「かくせいざい取締とりしまりほう」で規制きせいされている薬物やくぶつのことをいます。

 なお、かくせいざい取締とりしまりほう規制きせいされている薬物やくぶつとしては、フェニルアミノプロパン(アンフェタミン)、フェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン)、およびその塩類えんるいやそれらを含有がんゆうするものがありますが、これらは、一般いっぱんすう使用しようによってつよ嗜好しこうせいしょうじ、習慣しゅうかんせい依存いぞん状態じょうたいとなりやすいとわれています。日本にっぽんでは麻薬まやく区別くべつされ、製造せいぞうはもちろん、所持しょじ摂取せっしゅきびしく規制きせいされている薬物やくぶつです。
 なお、かくせいざい取締とりしまりほう規制きせいふくまれない中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやくとしては、メチルフェニデートやコカイン、メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)などがありますが、これらは「麻薬まやくおよこう精神せいしんやく取締とりしまりほう」による規制きせい対象たいしょうとなっています。とくにコカインとMDMAは麻薬まやくとしてつよ規制きせいもうけられています。また、メチルフェニデートはこう精神せいしんやく分類ぶんるいされます。なお、カフェインは作用さよう副作用ふくさようおだやかで普遍ふへんてき存在そんざいすることもあって、一種いっしゅ嗜好しこうひんとして、食品しょくひんとしての摂取せっしゅ所持しょじかんしては規制きせいはされていません(れい:コーヒー、紅茶こうちゃ緑茶りょくちゃなど)。ただ、カフェイン単体たんたいではてい致死ちしりょうであるなどの理由りゆうにより、精製せいせいされたその抽出ちゅうしゅつぶつ薬事やくじほう劇薬げきやく指定していされており、これを調剤ちょうざいしたものは医薬品いやくひん該当がいとうします。また、中毒ちゅうどくせい存在そんざいられており、カフェインもふくめて禁忌きんきするひとられるのも事実じじつです。
日本にっぽんにおける覚醒剤かくせいざい名称めいしょう由来ゆらいとその俗称ぞくしょう

 覚醒剤かくせいざいという名称めいしょうは、元々もともとは「じょ覚醒剤かくせいざい」などの名称めいしょう販売はんばいされていたものがりゃくされたもので、このじょ覚醒剤かくせいざいという言葉ことば戦前せんぜん戦中せんちゅうのヒロポンなどの雑誌ざっし広告こうこくなどに見受みうけられます。(※なお、現在げんざい覚醒剤かくせいざいとして指定していされている成分せいぶんふくんだ薬品やくひん健康けんこうめんへの問題もんだいひろ認識にんしきされ、社会しゃかい問題もんだいする以前いぜんは、疲労ひろう倦怠けんたい状態じょうたいから回復かいふくさせ、眠気ねむけますための薬品やくひんとして一般いっぱん販売はんばいされていました。そのこともあってか、「一部いちぶには覚醒剤かくせいざいたいして危険きけん薬物やくぶつではない」といった言説げんせついまだにおこなわれていますが、それが芸能人げいのうじんなどを中心ちゅうしん覚醒剤かくせいざい使用しようこうたない理由りゆうのひとつにもなっているものとおもわれます。) 


 また、日本にっぽん一般いっぱん覚醒剤かくせいざいった場合ばあいはメタンフェタミンをすことがおおく、ヒロポン(だい日本にっぽん住友製薬すみともせいやく商標しょうひょうで、ぞくに“ポン”とも)、スピード、スピードの頭文字かしらもじから“エス”、シャブ、つめたいものなどともばれています。ちなみに「シャブ」の由来ゆらいは、「アンプルの水溶液すいようえきるとシャブシャブというおとがしたから」というせつや、英語えいごで「けずる、うすくそぐ」を意味いみするshaveからたというせつ、また「ほねまでシャブる」からたというせつなどがあるります。さらに、エフェドリンに類似るいじした血管けっかん収縮しゅうしゅく作用さようがあるため、静脈じょうみゃくない投与とうよされるとひやかんおぼえることから「さむい、しゃぶい」からシャブというせつもあるようです。また、関西かんさい末端まったん密売みつばい現場げんばでは「シナモン」(品物しなもの関西かんさいなまり)、警察けいさつなどの捜査そうさ機関きかんでは、ビニールの小袋こぶくろ小分こわけされていることから、パケットのりゃくで「パケ」ともばれています。なお、これらは一般いっぱん自嘲じちょうてき使用しようほう、もしくは密売みつばいしゃ使用しようしゃ蔑視べっししてつけた表現ひょうげんかんがえられますが、その証拠しょうこか、中毒ちゅうどくしゃは「ポンちゅう」「シャブちゅう」などと呼称こしょうされています。
 ちなみに、覚醒剤かくせいざい形状けいじょうとして、一般いっぱんにおいのいものはカプセルじょうのものをのぞ服用ふくようしたさいにはにがみがあるのですが、アンフェタミンるいでは吸入きゅうにゅう注射ちゅうしゃもされるようです。もちろんもっと危険きけんなアンフェタミン摂取せっしゅ方法ほうほう注射ちゅうしゃすることですが、循環じゅんかん系統けいとう直接ちょくせつはいむことによる瞬時しゅんじしょうじる強大きょうだい快感かいかん俗語ぞくごでいうラッシュあるいはフラッシュ)のため、おおくの「覚醒剤かくせいざいざいきょう」(speed freak::重度じゅうど乱用らんようしゃのこと)たちのあいだでこの方法ほうほうとくこのまれているようです。そして、瞬時しゅんじ快感かいかんしょうじるこの方法ほうほうによって、アンフェタミンを「スピード(Speed)」とぶのはまこととうているとえるようにおもいます。

 なお、日本にっぽんでの覚醒剤かくせいざい俗称ぞくしょううえとお一般いっぱん日本語にほんごにおける俗称ぞくしょうはシャブやエス(S)、スピード(Speed)ですが、日本にっぽん以外いがいでは、たとえば英語えいごではIce(アイス)やMeth(メス)、Crystal meth(クリスタル・メス)、また、そのくににおいては、冰毒(中国ちゅうごく)とかTina(フランス語ふらんすご)、Shaboo(イタリア)、Tik(みなみアフリカ)異称いしょう、The queen of ice(こおり女王じょおう)などの俗称ぞくしょうばれています。
参考さんこう1:中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやくとは?

 中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやくたん中枢ちゅうすう刺激しげきやくとも)とは、中枢ちゅうすう神経しんけいけい作用さようし、その機能きのう活発かっぱつさせる薬物やくぶつ総称そうしょうで、狭義きょうぎにはそれらの薬物やくぶつのうち日本にっぽん薬局方やっきょくほうおさめられている薬物やくぶつしています。また、その作用さようから一般いっぱんに「覚醒剤かくせいざい」とばれることもあります。

 中枢ちゅうすう神経しんけい刺激しげきやく狭義きょうぎ覚醒剤かくせいざいふくみ、日本にっぽんではアンフェタミンやメタンフェタミン、およびその塩類えんるいかくせいざい取締とりしまりほう対象たいしょう薬物やくぶつとなっていますが、このうちメタンフェタミンの塩酸えんさんしおである塩酸えんさんメタンフェタミンは日本にっぽん薬局方やっきょくほうおさめられており、医療いりょうてき利用りようみとめられています。医療いりょう現場げんばにおいては、昏睡こんすいからの覚醒かくせいやナルコレプシーなどの重度じゅうど睡眠すいみん障害しょうがい治療ちりょう使用しようされることがおおい。また、塩酸えんさんメチルフェニデートは欧米おうべい注意ちゅうい欠陥けっかんどうせい障害しょうがい(AD/HD)の治療ちりょう使用しようされていますが、その副作用ふくさよう中毒ちゅうどくせいについてはさらなる研究けんきゅう結果けっか必要ひつようがあるとされています。
 なお、治療ちりょう目的もくてき以外いがいでの使用しようとしては、一部いちぶ健康けんこうひとはこれらのくすり一種いっしゅの「認識にんしき能力のうりょく増強ぞうきょうやく」つまり「のう機能きのう増強ぞうきょうやく」として使用しようしております(そうった使用しようれいとく米国べいこくおおいようですが、日本にっぽん一部いちぶ芸能人げいのうじんによる覚醒剤かくせいざい使用しようも、上記じょうき目的もくてきくわえ、疲労ひろう回復かいふくとう目的もくてきもあって覚醒剤かくせいざい利用りようしゃこうたないという現状げんじょうがあります)。当然とうぜんながらおおくのくにでは現状げんじょうにおいてはこれらの使用しよう方法ほうほう非合法ひごうほうとされていますが、一部いちぶ科学かがくしゃはこういった使用しようほう合法ごうほうすることを提唱ていしょうしているひともいるようです。
参考さんこう2:ヒロポンってなに

 戦前せんぜん戦後せんごあつかったドラマや小説しょうせつなどで「ヒロポン」という薬物やくぶつ名前なまえにしたことがあるひとおおいでしょう。これは当時とうじ薬局やっきょくでもられていたドラッグで、覚醒剤かくせいざい危険きけんせいがまだあま認識にんしきされていなかったため、なかひろまったものです。


 メタンフェタミンはアンフェタミンの窒素ちっそ原子げんしじょうにメチルもと置換ちかんした構造こうぞう有機ゆうき化合かごうぶつで、アンフェタミンよりつよ中枢ちゅうすう神経しんけい興奮こうふん作用さよう覚醒剤かくせいざいです。日本にっぽんではかくせいざい取締とりしまりほうにより規制きせいされており、医療いりょう現場げんばにおいても現在げんざいはナルコレプシー(ねむりしょう)にたいしてほどこせようされているだけです。21世紀せいき初頭しょとう近年きんねん世界せかい各国かっこくにおいてもその蔓延まんえん急速きゅうそく進行しんこう確認かくにんされており、いちれいとしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは「もっと危険きけんなドラッグ」としてかたられるものともなっています。

 メタンフィミンは、日本にっぽんにおいては当初とうしょ薬学やくがくしゃ長井ながい長義ながよしにより1893ねんにエフェドリンから合成ごうせいされてまれ、1919ねん緒方おがたあきらがその結晶けっしょう成功せいこうしました。日本にっぽんではヒロポン(だい日本にっぽん住友製薬すみともせいやく登録とうろく商標しょうひょうだい364236ごうの1)という薬品やくひんめいられています。語源ごげんは「疲労ひろうをポンとる」というせつもあるようですが、本来ほんらいはギリシアの「労働ろうどうあいする(philoponus)」という意味いみというせつ有力ゆうりょくです。つづりも「Philopon」です。
 日本にっぽんでは太平洋戦争たいへいようせんそう以前いぜんより製造せいぞうされ、「じょ覚醒剤かくせいざい」として一般いっぱん販売はんばいされ(ざいがたはアンプルおよ錠剤じょうざい)、そのとおり「疲労ひろう倦怠けんたいかんのぞき、眠気ねむけばす」という目的もくてきで、当時とうじ軍隊ぐんたいおよ民間みんかんひろ使用しようされていました。現在げんざいでこそ覚醒剤かくせいざい代名詞だいめいしであるヒロポンですが、当時とうじ覚醒剤かくせいざい副作用ふくさようについてまだあまられていなかったため、規制きせい必要ひつようであるというかんがかた自体じたい存在そんざいせず、一種いっしゅ強壮きょうそうざいのようなかたち利用りようされていたのです。しかし、終戦しゅうせん直後ちょくごぐん備蓄びちくひん一気いっき市場いちば流入りゅうにゅうし、人々ひとびと精神せいしん昂揚こうようさせる手軽てがる薬品やくひんとして蔓延まんえんし、依存いぞんしゃ大量たいりょう発生はっせい中毒ちゅうどく患者かんじゃが50まんにんえるなど社会しゃかい問題もんだいとなりました。そのため、政府せいふは1951ねんかくせいざい取締とりしまりほう施行しこうし、これにともない、日本にっぽん国内こくないではどうほうにより規定きていされた研究けんきゅう医療いりょう機関きかんへの販売はんばいやごく限定げんていてき医療いりょう用途ようとでの使用しようといった項目こうもくのぞいて、一切いっさい使用しよう製造せいぞう所持しょじ禁止きんしされたのです。
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覚醒剤かくせいざい種類しゅるいとその危険きけん使用しよう方法ほうほう

 医療いりょうけの正規せいき製造せいぞうひんとして市場いちばまわわっているアンフェタミンけい覚醒剤かくせいざい膨大ぼうだいかずおよびますが、それらは大体だいたいみっつにけることが出来できます。すなわち、(1)アンフェタミンのグループ、(2)デキストロ・アンフェタミンのグループ、そして、(2)メタンフェタミンのグループで、化学かがくてき構造こうぞうこそちがっていても、これらの合成ごうせい薬物やくぶつ作用さよういずれも長時間ちょうじかんおよぶもので、コカインと同様どうよう中枢ちゅうすう神経しんけいはたらき、人格じんかく破壊はかいとも習慣しゅうかんせい獲得かくとくするようにいたきわめて危険きけんせいはらんだ薬物やくぶつです。

 また、づくりひんで“Street Speed”のられる覚醒剤かくせいざいはじおおくの密造みつぞう覚醒剤かくせいざいには、ラクトース(乳糖にゅうとう)やエプソムソルツ(エプソムしおわれる嘔吐おうとざい)、キニーネ、殺虫さっちゅうざい写真しゃしん現像げんぞうえき、そしてストリキニーネ(毒薬どくやく)などがぜられていることが度々たびたびあるようです。重度じゅうどの「覚醒剤かくせいざいきょう」とわれる人々ひとびとなかには、最早もはやたいせい出来できてしまっているためにききめよわいクスリでは満足まんぞくすることが出来できず、こうした夾雑きょうざつぶつ色々いろいろはいっているもののほうくらむような(フラッシュとうう)一段いちだん急激きゅうげきなショックをともなうききめをもたらすとしてとくこの人々ひとびともいるようです。しかし、有毒ゆうどく混和こんわぶつときとして使用しようしゃいたらしめることもあり、また、人間にんげんには普通ふつう自然しぜんそなわった拒否きょひ反応はんのう嘔吐おうとなど)があるはずなのが、これらの有毒ゆうどく混和こんわぶつはいっていた強烈きょうれつなクスリの場合ばあいには、こういったあるべき拒否きょひ反応はんのう機能きのうしなくなってしまう場合ばあいもあるようです。


 なお、うえでもれたようにもっと危険きけんなアンフェタミン摂取せっしゅ方法ほうほう注射ちゅうしゃすることで、循環じゅんかん系統けいとう直接ちょくせつはいむことによる瞬時しゅんじしょうじる強大きょうだい快感かいかん俗語ぞくごでいうラッシュあるいはフラッシュ)のため、おおくの「覚醒剤かくせいざいざいきょう」(speed freak::重度じゅうど乱用らんようしゃのこと)のあいだでこの方法ほうほうとくこのまれています。そして、瞬時しゅんじ快感かいかんしょうじるこの方法ほうほうによって即座そくざ強烈きょうれつ感覚かんかくのクライマックスと全身ぜんしん快感かいかんとがこされます。とにかく、アンフェタミンるいはこのような方法ほうほうによって即座そくざ循環じゅんかんけい吸収きゅうしゅうされてゆき、錯覚さっかくもとづくおおいなる自信じしん意気軒高いきけんこうかんじさせることにはじまる薬効やっこうが、やがて重力じゅうりょくから解放かいほうされたようなかんじをこすとわれているのです。
覚醒剤かくせいざい使用しようしたとき症状しょうじょう
覚醒剤かくせいざい身体しんたいめんあたえる影響えいきょう

 覚醒剤かくせいざいは、心拍しんぱくすう呼吸こきゅう血圧けつあつ上昇じょうしょうさせ、瞳孔どうこう散大さんだいさせ、食欲しょくよく減退げんたいさせます。それにくわえて、覚醒剤かくせいざい乱用らんようしゃ発汗はっかん頭痛ずつう、かすみ目眩めまい不眠ふみん不安ふあんなどを経験けいけんします。また、非常ひじょうおお分量ぶんりょう覚醒剤かくせいざい使用しようすると、心拍しんぱくすう急激きゅうげきたかまったり、はくどう不規則ふきそくになったり、ふるえの発作ほっさ手足てあし筋肉きんにくはたらきのアンバランスをしょうじたり、さらには身体しんたいてき虚脱きょだつ状態じょうたいおちいることもあります。またそれ以外いがいにも、覚醒剤かくせいざい注射ちゅうしゃをすると、脳溢血のういっけつ非常ひじょう高熱こうねつなどのほかときとして心臓しんぞう発作ほっささえ誘発ゆうはつすることがあります。また、アンフェタミンけい覚醒剤かくせいざい長期ちょうきわたって多量たりょう使用しようしていると、幻覚げんかく妄想もうそう、パラノイア(偏執狂へんしゅうきょう)などをふくむアンフェタミンに起因きいんする精神せいしん異常いじょう(サイコシス)をしょうじることもあります。
 なお、覚醒剤かくせいざい乱用らんよう長期ちょうきすると、当然とうぜんのことながら栄養えいよう障害しょうがいなどによって諸々もろもろ疾病しっぺい細菌さいきん感染かんせんなどがしょうじやすくなります。また、注射ちゅうしゃはりからの感染かんせんではウィルスせい肝炎かんえんによるきも機能きのう障害しょうがいほかにも、エイズ罹患りかん危険きけんせい指摘してきされています。さらに、みずけない不純物ふじゅんぶつふくんだ覚醒剤かくせいざい注射ちゅうしゃして、それら不純物ふじゅんぶつほそ血管けっかんまったり、あるい血管けっかん脆弱ぜいじゃくさせたりする原因げんいんとなるほか腎臓じんぞうびょうはい機能きのう障害しょうがいをもこす危険きけんせい存在そんざいしています。

 ちなみに、アンフェタミンけい覚醒剤かくせいざい以外いがい乱用らんようのパターンでは、バルビツレートの乱用らんようげられます。アンフェタミンと交互こうごに、あるいはこれとわせで使つか場合ばあいもあります。乱用らんようしゃ覚醒剤かくせいざいをメチャクチャに使用しようしてすっかりえてねむれなくなったときなどにみずか鎮静ちんせいさせる目的もくてきでバルビツレートを使用しようする、といった使つかかたなどがそのいちれいです。この場合ばあいでもふたたびハイな気分きぶんあじわおうとするさいにはまた覚醒剤かくせいざい使つかうことになるので、覚醒剤かくせいざい睡眠薬すいみんやくとの交互こうごのサイクルがつくられることになります。とにかくグーフボールズ(Goofballs:goofは狂人きょうじんといった語感ごかん俗語ぞくごで、マンガの主人公しゅじんこうになったこともあり、てんじてLSDの絵柄えがらになったりしています)を使用しようしていると、それとづかぬうちにバルビツレートの中毒ちゅうどくになってしまうこともかんがえられます。そして、食欲しょくよく不振ふしんこばめしょくしょうへと進行しんこうし、食物しょくもつまったけなくなったり、あるい体重たいじゅう極端きょくたん減少げんしょうし、ものをむことすら出来できなくなったりするのです。
覚醒剤かくせいざい精神せいしんめんあたえる影響えいきょう

 覚醒剤かくせいざい摂取せっしゅすると、無限むげんちからて、なんでも自分じぶんおもいのままにあやつれるような、とても高揚こうようした気分きぶんになります。覚醒剤かくせいざい乱用らんようしゃは、無限むげんちから何事なにごとのままにあやつることが出来できるとかんじるのです。瞳孔どうこう散大さんだいし、呼吸こきゅうすう急激きゅうげきがり、心臓しんぞうはまさに早鐘はやがねらすような状態じょうたいとなり、粘膜ねんまくかわってしまいます。こうした状況じょうきょうなかなにかものをおうとしても、なにっているのかやくからないようなさまになることもよくあります。また、たとえなにかひとつ夢中むちゅうになるようなことがあってたとしても、それ以外いがいのことはかれにはすべ度外視どがいしされてしまいます。そして、最初さいしょ目眩めまいめくような快感かいかんは、たくわえられたエネルギーが消耗しょうもうされるにつれて次第しだい多幸たこうかん高揚こうようした気分きぶんへとわってゆきますが、とにかく精神せいしんてきならびに肉体にくたいてき最早もはや超人ちょうじんしたかれには最早もはや如何いかなるはなわざ可能かのうかんじさせるのです。こうして、スピーダー(覚醒剤かくせいざい乱用らんようしゃ)は快感かいかんめられた道路どうろをひたはしってゆくことになります。

 覚醒剤かくせいざい乱用らんようしゃは、このように最初さいしょはまるで超人ちょうじんになったような強烈きょうれつなバイタリティーをかんじるのですが、いったん体内たいないエネルギーが枯渇こかつすると、それもやがてしぼんでゆきます。かくも強烈きょうれつなヴァイタリティーも、くすり効果こうかうすれると、今度こんどはそのわりに不安ふあん狼狽ろうばい混乱こんらん一気いっきおとずれることになるのです。覚醒剤かくせいざい乱用らんようしゃは、こうしておとずれる不安ふあん狼狽ろうばい混乱こんらんとに支配しはいされてしまうことになります。スピーダーの快調かいちょう疾走しっそうもエネルギーれをむかえると、イライラは偏執病へんしゅうびょう症状しょうじょうていし、そして極度きょくど疲労ひろうかんおそわれるようになります。頭痛ずつう動悸どうき目眩めまい激昂げっこう不安ふあん、そして錯乱さくらんした状態じょうたいがそれまでのエクスタシーにってわってしまうのです。
 いずれにせよ覚醒剤かくせいざい乱用らんようつづけると、当然とうぜんのことながらこうした強烈きょうれつ高揚こうようかん混乱こんらんかえすことになるため、猛烈もうれつ疲労ひろうかんとイライラにおそわれ、その結果けっか覚醒剤かくせいざい再度さいどすことになります。そのうち慢性まんせいてき精神せいしん症状しょうじょうとして幻覚げんかく幻聴げんちょう幻視げんしまぼろししゅうなど五感ごかん異常いじょうあらわれるようになり、これにつづいて妄想もうそう不安ふあん不眠ふみんうつへと精神せいしん症状しょうじょう移行いこうしてゆきます。また、このころになると、覚醒剤かくせいざい摂取せっしゅしていないにもかかわらず、そのとき同様どうよう感覚かんかくよみがえったり、あるい禁断症状きんだんしょうじょうのように突然とつぜん不安ふあんかん幻覚げんかくおそわれるようにもなります。これを一般いっぱんにフラッシュバックとい、たとえ薬物やくぶつめたのちですら精神せいしん異常いじょうきた原因げんいんとなってしまうのです。


 なおここで、うえれたアンフェタミンけい覚醒剤かくせいざいとバルビツレートとの併用へいようによる精神せいしん症状しょうじょうにもれておきましょう。

 大抵たいてい乱用らんようしゃ場合ばあい不眠ふみん一両日いちりょうじつですが、重度じゅうど中毒ちゅうどくしゃになると、クスリがれていわゆる「ツブレ」の状態じょうたいになるまえの「はしっている」あいだ(=クスリがいてギラギラした状態じょうたい)はながときには数日すうじつからすう週間しゅうかんおよぶこともあります。そして、幻覚げんかく誤解ごかいなどのほか不眠ふみんともなって身体しんたい機能きのう不調ふちょうしょうじ、しかも、これらの症状しょうじょうはクスリを中断ちゅうだんしても持続じぞくします。
 妄想もうそう世界せかいにどんどんはまんでゆきつつあることは、乱用らんようしゃ自身じしん意識いしきなかでは気付きづいているものの、かつては現実げんじつたしていたかれしん真空しんくういま不安ふあん猜疑心さいぎしんだけが充満じゅうまんしてゆく様子ようすをただじっとつめる以外いがいじゅつがありません。覚醒剤かくせいざい多量たりょう使用しようするものにあっては、被害ひがい妄想もうそう感情かんじょう左右さゆうされる偏執病へんしゅうびょうをやがては経験けいけんすることになります。そして、偏執狂へんしゅうきょうてき症状しょうじょう異常いじょう亢進こうしんした活動かつどうせい感情かんじょうてき起伏きふく極端きょくたん変化へんかなどは、必然ひつぜんてきしょうじる生活せいかつスタイルの変化へんか相俟あいまって強姦ごうかん殺人さつじんなどの暴力ぼうりょくてき行動こうどうへとてることにもなります。ようするに、うえでもれたアンフェタミンけい覚醒剤かくせいざいとバルビツレートとの併用へいようは、覚醒剤かくせいざいきょうたいしてたんにダウナー(バルビツレートの俗称ぞくしょう)がきょう悪性あくせい誘因ゆういんとなるのみならず、アッパー(覚醒剤かくせいざい俗称ぞくしょう)がその凶悪きょうあくせい実行じっこうさせる起爆きばくざいとしてもはたらくのです。
参考さんこう覚醒剤かくせいざい恐怖きょうふもと常用じょうようしゃ体験たいけんだんみみかたむけてみると・・・〜

 現在げんざいニュースでさかんにさわがれている一部いちぶ芸能人げいのうじんかぎらず、ちまたでは覚醒剤かくせいざい蔓延まんえん深刻しんこくしているというのが現状げんじょうです。一時いちじ誘惑ゆうわくけて興味きょうみ本位ほんいすと、人生じんせいおおきくはずすことにもなりかねません。たとえばある女性じょせい場合ばあい、28さいとき友人ゆうじんさそわれて覚醒剤かくせいざい使用しようした結果けっか覚醒剤かくせいざいがないとイライラするようになり、くすりれるために水商売みずしょうばいはたらくようになりました。彼女かのじょはそのかくせいざい取締とりしまりほう違反いはん容疑ようぎ逮捕たいほされて刑務所けいむしょへゆくことになりましたが、出所しゅっしょふたた覚醒剤かくせいざいしてしまい、最後さいご自殺じさつまではかりました。一命いちめいめたこの女性じょせいうには、「いつでもクスリをめられると過信かしんしていたが、められなかった」そうです。薬物やくぶつ依存いぞんおそろしさをまざまざと実感じっかんさせられるはなしですが、酒井さかい容疑ようぎしゃにしても当初とうしょ今日きょうのような悲惨ひさん事態じたいまねくとは想定そうていだにしていなかったはずです。わたしたちもくれぐれも注意ちゅういしなければなりません。

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【3】麻薬まやくをめぐる文化ぶんか現代げんだい世界せかい覚醒剤かくせいざいだけではない!危険きけんなクスリの実態じったい

 危険きけん薬物やくぶつなに覚醒剤かくせいざいだけにかぎりません。
 本節ほんぶしでは、麻薬まやくとして代表だいひょうてき薬物やくぶつについてくわしく解説かいせつし、参考さんこうまでにあわせて麻薬まやくをめぐる人類じんるい文化ぶんか現代げんだい世界せかいとの根強ねづよかかわりについて解説かいせつしました。
人間にんげんやめますか?〜危険きけんなクスリの人体じんたいへの影響えいきょう

 麻薬まやく依存いぞんせい特徴とくちょう麻酔ますい作用さよう植物しょくぶつで、麻薬まやく取締とりしまりほうまり対象たいしょうとなっている薬物やくぶつし、具体ぐたいてきにはアヘンやモルヒネ、コカインが代表だいひょうてき麻薬まやくとされています。
 その詳細しょうさいについてはしたくわしくれますが、麻薬まやく種類しゅるいにより症状しょうじょう様々さまざまで、たとえばコカインやヘロイン、覚醒剤かくせいざいなどは薬物やくぶつ依存いぞんしょうおちいりやすく、また依存いぞん症状しょうじょう深刻しんこくになりやすいとわれています。また、コカインや覚醒剤かくせいざいでは長期ちょうき薬物やくぶつ使用しようによる幻覚げんかく状態じょうたい譫妄せんもう錯乱さくらん状態じょうたいおちいり、暴力ぼうりょく殺人さつじんなどの犯罪はんざいこすこともめずらしくなく、また、薬物やくぶつ購入こうにゅうするための資金しきんるために強盗ごうとうなどの犯罪はんざい常習じょうしゅうしゃになることもよくあるはなしです。依存いぞんしょうおちいったり、犯罪はんざいおかすこと、逮捕たいほされることで精神せいしんてきにも社会しゃかいてきにもダメージをけ、人間にんげん関係かんけい破壊はかいされることで、自殺じさつまでにいた事例じれいけっしてすくなくないのです。


危険きけんなクスリと人体じんたいへの影響えいきょう
危険な薬と人体への影響

代表だいひょうてき禁止きんし薬物やくぶつ(1) 大麻たいま
大麻たいまとは? 

 大麻たいまとはクワいちねんくさ中央ちゅうおうアジア原産げんさん植物しょくぶつで、古代こだいから繊維せんいようとして栽培さいばいされてました。この植物しょくぶつにはTHCという成分せいぶんふくまれており、などをあぶってそのけむりをうと酩酊めいていかん陶酔とうすいかん幻覚げんかく作用さようなどがもたらされます。現在げんざいでは世界せかいほとんどで麻薬まやくとして規制きせいされ、所持しょじしているだけでも死刑しけい無期むき懲役ちょうえきとなる場合ばあいもあるほどです。

麻の葉 大麻たいま(たいま)ないしマリファナは、あさはなくき乾燥かんそうさせてこまかくきざみ、調理ちょうりまたはやすなどして発生はっせいしたけむり吸引きゅういんして使用しようする薬理やくり作用さようのある植物しょくぶつで、嗜好しこうひん医療いりょうやくとしてもちいられています。また、マリフアナはメキシコ・スペインで「やす煙草たばこ」を意味いみしていますが、これは大麻たいま繁殖はんしょくりょくつよく、野草やそうとして自生じせいしていたために安価あんかはいったことから、メキシコでこの呼称こしょう一般いっぱんてきになり、これがアメリカへとつたわって世界中せかいじゅうに「マリファナ」という呼称こしょう定着ていちゃくしました。日本にっぽんではさらに使用しようしゃあいだではくさっぱ、みどり、ガンジャともいます。なお、日本にっぽんにおいて衣類いるいひもなわ神道しんとうにおける神社じんじゃ注連縄しめなわ相撲すもう化粧けしょうまわしなどとして歴史れきしてき使つかわれてきた繊維せんいとしての大麻たいまは「アサ」、一方いっぽう医療いりょうやくとしてもちいられる大麻たいまは「医療いりょう大麻たいま」として区別くべつされます。
 なお、大麻たいま薬理やくり作用さようのある植物しょくぶつで、日本にっぽんでは大麻たいま取締とりしまりほうによる規制きせいける麻薬まやく一種いっしゅ分類ぶんるいされており、許可きょか所持しょじ最高さいこうけい懲役ちょうえきねん営利えいり目的もくてき栽培さいばい最高さいこうけい懲役ちょうえき10ねん犯罪はんざいとされます。また、イギリスの薬物やくぶつ乱用らんよう防止ぼうしほうでは薬物やくぶつ危険きけんじゅん(ABC)に分類ぶんるいされ、09ねんがつよりクラスCから再度さいど格上かくあげされて、大麻たいま現在げんざいクラスBに分類ぶんるいされています。一方いっぽうオランダのあへんほうにおいては大麻たいまはソフトドラッグの区分くぶん分類ぶんるいされています。なお、世界せかいドーピング防止ぼうし規程きていにおいては興奮こうふんざいやヘロインとう麻薬まやくとも大麻たいま主成分しゅせいぶんであるカンナビノイドをスポーツ競技きょうぎかいにおける禁止きんし薬物やくぶつとしており、アルコールとともにカンナビノイドが特定とくてい物質ぶっしつとされています。
大麻たいま作用さよう

 アサのおよ花冠かかんふくまれるテトラヒドロカンナビノール (THC) や物質ぶっしつはカンナビノイド受容じゅようたい作用さよう陶酔とうすい作用さようこしますが、その効果こうかはアサの成分せいぶん品種ひんしゅによっておおきくことなり、THC以外いがいふくまれる成分せいぶんのバランスによって効果こうかちがいがしょうじます。とくにラマルクにより命名めいめいされた亜種あしゅのインドアサは00ねん以上いじょうまえから中央ちゅうおうアジアで品種ひんしゅ改良かいりょうされ、一般いっぱんてき大麻たいまよりおおくの陶酔とうすい成分せいぶんふくむため、一般いっぱん嗜好しこうひんとしての大麻たいまえばこのインドあさしています。また、インドやジャマイカなどではガンジャ(かみくさ)ともばれていて、これらのくににおいては、嗜好しこうひんとしてだけでなく日常にちじょうてき労働ろうどうなかでももちいられています。ただし、大麻たいまふく麻薬まやく当地とうちでも違法いほうで、厳重げんじゅう処罰しょばつされます。そのため、とく最近さいきんインドでは大麻たいまやハシシの所持しょじ密輸みつゆ未遂みすいなどで逮捕たいほされる日本人にっぽんじん増加ぞうかしています。
 一方いっぽう産業さんぎょうようのアサは、陶酔とうすい成分せいぶん生成せいせいされないよう改良かいりょうされた品種ひんしゅもちいられます。また、品種ひんしゅおなじでも、産業さんぎょうよう嗜好しこうようとでは栽培さいばい方式ほうしきことなります。前者ぜんしゃたてばすために密集みっしゅうして露地ろじえられる方式ほうしきおもですが、後者こうしゃえだよこばすために室内しつない栽培さいばいおおく、そのため、嗜好しこう目的もくてきのためのアサを産業さんぎょうてき栽培さいばいだといつわって栽培さいばいするのは困難こんなんです。また、大麻たいま成分せいぶん研究けんきゅう目的もくてき場合ばあい合成ごうせいのカンナビノイドが使用しようされるため栽培さいばいはされません。
嗜好しこうひんとしての大麻たいま種類しゅるい


嗜好しこうひんとしての大麻たいま種類しゅるい
 嗜好しこうひんとしての大麻たいま以下いかの3種類しゅるい分類ぶんるいされます。
乾燥かんそう大麻たいま(マリファナ):
 花穂かすい乾燥かんそうさせた大麻たいま加工かこうひん乾燥かんそう大麻たいまい、さらにだいあさをリーフ、花穂かすいをバッズ、受精じゅせい雌花めばな花穂かすいをシンセミア(たねし)といます。乾燥かんそう大麻たいま嗜好しこうひんとしての大麻たいまもっと一般いっぱんてき加工かこう方法ほうほうで、世界せかい押収おうしゅうされた大麻たいまのうち79%が乾燥かんそう大麻たいまであるとされます。なお、バッズのTHCおよびカンナビジオール含有がんゆうりつ部位ぶいくらべてたかく、シンセミアにおける含有がんゆうりつはさらにたかいとわれ、市場いちば流通りゅうつうする乾燥かんそう大麻たいまのTHC含有がんゆうりつ大麻たいま品種ひんしゅ改良かいりょう栽培さいばい技法ぎほう確立かくりつにより年々ねんねん上昇じょうしょうしています。さらに、良質りょうしつのシンセミアを確実かくじつたいというおも愛好あいこうしゃ要望ようぼうおうじるため、栽培さいばい業者ぎょうしゃ巧妙こうみょう交配こうはいおこなってめすかぶ発芽はつがりつたかめた種子しゅし販売はんばいしていますが、このような種子しゅしをフェミナイズド・シードとい、種子しゅし製造せいぞうメーカーによってはめすかぶ発芽はつがりつが100%だと標榜ひょうぼうしているしなもあるそうです。
大麻たいま樹脂じゅし(ハシシ):
 花穂かすいかられる樹液じゅえき圧縮あっしゅくして固形こけいじょう樹脂じゅしにした大麻たいま加工かこうひん大麻たいま樹脂じゅしい、一般いっぱんにハッシッシないしハシシ、ハシシュ、チョコ、チャラスともばれます。ハシシの製法せいほうおおきくけて、み(チャラス)、ポリネーター(ポーリン)、アイソレーターがあります。世界せかいにおける消費しょうひおも西にしヨーロッパで、世界せかいにおける大麻たいま樹脂じゅしの74%はここで押収おうしゅうされているとわれます。また、モロッコが大麻たいま樹脂じゅし最大さいだい生産せいさんこくであるとわれます。
液体えきたい大麻たいま(ハシシオイル):
 乾燥かんそう大麻たいま樹脂じゅし溶剤ようざいかして抽出ちゅうしゅつした大麻たいま加工かこうひん液体えきたい大麻たいまい、一般いっぱんにハシシオイルないしハッシュオイル、ハニーオイルともばれます。溶剤ようざいにはアルコールやあぶら石油せきゆエーテル、ブタンなどがもちいられます。THCを抽出ちゅうしゅつするためTHC含有がんゆうりつたかく、溶剤ようざいにもよりますが、50%をえる場合ばあいもあります。日本にっぽん行政ぎょうせい一般いっぱんに「液体えきたい大麻たいま」と呼称こしょうしていますが、形状けいじょう溶剤ようざいにより様々さまざまあります。

医療いりょうよう大麻たいま

 医療いりょう大麻たいままたは医療いりょうマリファナは、大麻たいま(マリファナ)や合成ごうせいTHC、カンナビノイドを利用りようした生薬きぐすり療法りょうほうのことをいます。現在げんざいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく一部いちぶ地域ちいきとカナダ、イスラエル、ベルギー、オーストリア、オランダ、イギリス、スペイン、フィンランドなどで使つかわれています。大抵たいてい場合ばあい大麻たいま使用しようには処方箋しょほうせん必要ひつようになり、地域ちいきほうによって販売はんばい配給はいきゅう)の方法ほうほうことなるのが特徴とくちょうです。たとえば合成ごうせい大麻たいま成分せいぶんのドロナビノール(合成ごうせいテトラヒドロカンナビノール:THC)はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでマリノールという商品しょうひんめい販売はんばいされ、一般いっぱん末期まっきエイズ患者かんじゃ食欲しょくよく増進ぞうしんやガンの化学かがく療法りょうほうともな緩和かんわのために処方しょほうされています。また、ドロナビノールはドイツにて、抽出ちゅうしゅつ大麻たいま成分せいぶん含有がんゆうするサティベックスはカナダにて処方しょほうされています。
 なお、大麻たいま医療いりょう活用かつようについてはおおくの研究けんきゅうがなされ、現在げんざい研究けんきゅうすすめられていますが、日本にっぽんにおいては大麻たいまそう大麻たいま取締とりしまりほう規制きせいにより、大麻たいま化学かがく成分せいぶん(THC、CBDなど)は麻薬まやくおよこう精神せいしんやく取締とりしまりほう規制きせいによって、たとえ医療いりょう目的もくてきであっても使用しよう輸入ゆにゅうならびに所持しょじ禁止きんしされています。
大麻たいま危険きけんせい

 医療いりょうよう大麻たいまにせよなににせよ、どんなかたちのものであってもよ、当然とうぜんながら大麻たいま心身しんしん有害ゆうがいです。ここで、通常つうじょうみとめられる身体しんたい症状しょうじょういくつかをげてみると、心拍しんぱくすう上昇じょうしょうさせ、充血じゅうけつさせ、くちのどかわきをかんじさせ、食欲しょくよく増進ぞうしんさせるなどがげられます。また、大麻たいま乱用らんようによって気管支きかんしのどいためるほか免疫めんえきりょく低下ていか白血球はっけっきゅう減少げんしょうなどの深刻しんこく症状しょうじょうあらわれることも報告ほうこくされています。
 大麻たいま(カンナビス)を使用しようすると、短時間たんじかん記憶きおくりょく理解りかいりょく低下ていかしたり時間じかん感覚かんかく変調へんちょうきたしたり、あるいくるま運転うんてんなどのように身体しんたいかく器官きかん調整ちょうせい神経しんけい集中しゅうちゅう要求ようきゅうするような仕事しごとおこなう能力のうりょく低下ていかします(※たとえばある研究けんきゅう結果けっかによると、学生がくせい大麻たいまとうで「ハイな状態じょうたい恍惚こうこつ状態じょうたい」になっているときには知識ちしき記憶きおく出来できていなかったそうです)。また、動因どういん(※モチベーション:心理しんりがく用語ようごで、欲求よっきゅう満足まんぞく目標もくひょう達成たっせいけられる行動こうどう抑制よくせいするちから総称そうしょう)や認識にんしき異常いじょうたし、あらたな知識ちしき吸収きゅうしゅう困難こんなんにします。さらに、大麻たいま偏執病へんしゅうびょうとう精神病せいしんびょうこすことがあります。大麻たいま乱用らんようしゃは、「大麻たいま精神病せいしんびょう」とばれる独特どくとく妄想もうそう異常いじょう行動こうどう思考しこうりょく低下ていかなどをこして普通ふつう社会しゃかい生活せいかつおくれなくなるだけでなく、それが犯罪はんざい原因げんいんとなる場合ばあいもあります。さらに、乱用らんようめてもフラッシュバックという後遺症こういしょう長期ちょうきわたってのこるため、かる気持きもちではじめたつもりが一生いっしょう問題もんだいとなってしまう危険きけんせいもあるので、大麻たいま社会しゃかい問題もんだいもときょうともなる危険きけん薬物やくぶつのひとつであるわけです。


 大麻たいま乱用らんようしゃ再三さいさんわたって濾過ろかしていない大麻たいまけむりみ、そのうえ出来できかぎ我慢がまんしていきめておくので(こうすることで大麻たいま成分せいぶんをなるべくおおはいから吸収きゅうしゅうしようとする)、はいなどの呼吸こきゅう器官きかん障害しょうがいをもたらすことにもなります(なお、大麻たいまけむりなかには発癌はつがんせい物質ぶっしつ普通ふつうのタバコよりもおおふくまれています)。また、大麻たいま長期間ちょうきかん乱用らんようしていると、精神せいしんてき依存いぞん出来上できあがり、どう程度ていど効果こうかるためによりおおくの大麻たいま必要ひつようとする状態じょうたいになってしまいます。こうして、この薬物やくぶつかれらの生活せいかつ中心ちゅうしんめるようになるのです。
 さらに、大麻たいまけむり直接ちょくせつ接触せっしょくしている部位ぶい以外いがい場所ばしょにも様々さまざま危険きけん存在そんざいしています。心拍しんぱくすうは50%も増加ぞうかし、これが原因げんいんとなってのう細胞さいぼう相互そうご伝達でんたつ重要じゅうよう役割やくわりちいさなかみじょうながびたのう細胞さいぼう細胞さいぼうまくきずつけるため、のう障害しょうがい発生はっせいしたりします。さらに有毒ゆうどく成分せいぶんはそののう細胞さいぼうにも蓄積ちくせきされ、長期間ちょうきかん乱用らんようでは再生さいせい不良ふりょうせいのう障害しょうがいしょうじることもあります。また、免疫めんえきせいいちじるしく低下ていかします。そればかりではなく、人格じんかく性格せいかく変化へんかられ、とく重度じゅうど乱用らんようしゃにあっては偏執病へんしゅうびょうてき思考しこうきたし、労働ろうどう生産せいさんせい学業がくぎょう成績せいせき運転うんてん能力のうりょくいずれも低下ていかしてゆきます。

 なお、マリファナは生殖せいしょく能力のうりょくにも障害しょうがいしょうじさせるので、遺伝子いでんし異常いじょう突然変異とつぜんへんいをもたらすことがあり、男性だんせいではテストステロン(せいホルモン)を44%も低下ていかさせ、女性じょせいでは生殖せいしょく細胞さいぼう異常いじょうしょうじさせます。また、大麻たいま有害ゆうがい成分せいぶん胎盤たいばん関門かんもん(※母胎ぼたい血液けつえき胎児たいじ血液けつえきあいだ胎盤たいばんまくによって形成けいせいされているはん透過とうか関門かんもん)をも通過つうかして胎児たいじにも影響えいきょうおよぼすため、胎児たいじ大麻たいま中毒ちゅうどく流産りゅうざんうあ死産しざん原因げんいんにもなります。大麻たいま成分せいぶんすべ解明かいめいされるまでは、このように大麻たいま危険きけんせいそのものもまだまだはかれないものがあるのです。
代表だいひょうてき禁止きんし薬物やくぶつ(2) MDMA
MDMAとは?

MDMA MDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)はいわゆる合成ごうせい麻薬まやく一種いっしゅで、正式せいしきめいを3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン (3,4-methylenedioxymethamphetamine) とい、略称りゃくしょうとしてMDMA、にエクスタシー(EcstasyまたはXTC)という通称つうしょうっていることでられています。なおエクスタシーは錠剤じょうざいがた麻薬まやく通称つうしょうとしても使つかわれています。ちなみに、心理しんり学者がくしゃのラルフ・メッツナーがMDMAにたいしてエンパソーゲン(empathogen=共感きょうかんをもたらす)という言葉ことばつくり、また、エンタクトゲン(entactogen=内面ないめんのつながりをもたらす)とばれて分類ぶんるいされています。なお、類似るいじ薬物やくぶつとして MDA(3,4-メチレンジオキシアンフェタミン)やMDEA(3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン)などもられ、MDMA と同様どうようにエンパソーゲンないしエンタクトゲンへ分類ぶんるいされます。常温じょうおんでは白色はくしょく結晶けっしょうまたは粉末ふんまつで、分子ぶんし構造こうぞうはメタンフェタミンに類似るいじしており、メタンフェタミンのフェニルもと一部いちぶ置換ちかんしたものと同一どういつです。このため、MDMAもメタンフェタミンとおなじく光学こうがく異性いせいたいっています。
 なお、MDMAはその分子ぶんし構造こうぞうから屡々しばしば覚醒剤かくせいざい分類ぶんるいされますが、覚醒剤かくせいざいとされる薬物やくぶつとはおもだった作用さようじょことなっています。また、特有とくゆう精神せいしん作用さようにより幻覚げんかくざいにも分類ぶんるいされますが、しかし、この幻覚げんかくは「多幸たこうかん」や「他者たしゃとの共有きょうゆうかん」などといった幻覚げんかく体験たいけんすもので、おも作用さようとして幻視げんし幻聴げんちょう一般いっぱん幻覚げんかく)をともなうことはまれだとわれています。
MDMAの作用さよう

 MDMAはのうないのセロトニンとう過剰かじょう放出ほうしゅつさせることで人間にんげん精神せいしん多幸たこうかん他者たしゃとの共有きょうゆうかんなどの変化へんかをもたらすとされています。MDMAを経口けいこうてき摂取せっしゅすると、30ふんから1あいだほどで前述ぜんじゅつのような精神せいしん変容へんようこり、それが4〜6あいだほど持続じぞくするとわれています。
 その反面はんめん、MDMAを摂取せっしゅすると、体温たいおんをコントロールする機能きのう喪失そうしつによるこう体温たいおん不整脈ふせいみゃくなどによってじゅうあつし症状しょうじょうこす場合ばあいがあります。とくあたたかい換気かんきわる室内しつないはげしい運動うんどうともな場合ばあい、また、大量たいりょう発汗はっかんともなって水分すいぶん補給ほきゅう充分じゅうぶんでない場合ばあいなどに使用しようすると、合併症がっぺいしょうしょうじやすいとされています。また、ていナトリウムしょう急性きゅうせい腎不全じんふぜんよこもんすじ融解ゆうかいしょうなどで死亡しぼうすることもあるようです。また、摂取せっしゅ重度じゅうど不安ふあん不安ふあん障害しょうがい)や妄想もうそう気分きぶん障害しょうがい記憶きおく障害しょうがい睡眠すいみん障害しょうがい衝動しょうどうせい亢進こうしん注意ちゅうい集中しゅうちゅう困難こんなんなどが長期間ちょうきかんつづくことがあるとわれます。さらに、MDMAは記憶きおく系統けいとう混乱こんらん発生はっせいさせる要因よういんつくしますが、その副作用ふくさようとして神経しんけい細胞さいぼう破壊はかいおよ永続えいぞくてき数ヶ月すうかげつすうねんともわれる)な後遺症こういしょうをもたらすとわれます。なお、とくこん合成ごうせいぶん合成ごうせい麻薬まやくわれる由縁ゆえん)のうち覚醒剤かくせいざい覚醒剤かくせいざい併用へいようされた場合ばあいには、複雑ふくざつ精神せいしんめん身体しんたいめんにおける副作用ふくさようみ、たとえば神経しんけいニューロンが破壊はかいされると一時いちじてき記憶きおく伝達でんたつする能力のうりょくうしなわれて、前述ぜんじゅつよう多様たよう記憶きおく障害しょうがいこすことになります。

 ちなみに、イギリスでおこなわれたレイブパーティーとう死亡しぼうしゃ続出ぞくしゅつしたことらもかるように、運動うんどうおこなう直前ちょくぜんなどにMDMAの多量たりょう摂取せっしゅ強要きょうようしたような場合ばあいにおいては、使用しよう所持しょじ譲渡じょうとばかりでなく、最悪さいあく場合ばあいには殺人さつじんざいおよ殺人さつじん未遂みすい使用しようしゃ死亡しぼうした場合ばあい)にわれるケースもありるので、くれぐれも注意ちゅうい必要ひつようです。
医療いりょう用途ようと乱用らんよう問題もんだい

 MDMAは85ねんまでおもにアメリカにおいて心的しんてき外傷がいしょうストレス障害しょうがい (PTSD) の治療ちりょうもちいられてました。PTSDは患者かんじゃ自身じしんきたトラウマ体験たいけん自己じこ記憶きおくとして受容じゅよう出来できないことによる疾患しっかんだとされていますが、これは、MDMAを摂取せっしゅした状態じょうたいでカウンセリングをおこなうことで通常つうじょう精神せいしん状態じょうたいでは許容きょようしがたいトラウマ体験たいけん想起そうきさせ、自己じこきた事実じじつであることをれることで疾患しっかん軽減けいげんもしくは治癒ちゆする、という理論りろんもとづいたものです。
 しかしながら、その反面はんめんでMDMAはレクリエーション・ドラッグとしての側面そくめんっており、濫用らんよう社会しゃかい問題もんだいしたことをけて、米国べいこく司法省しほうしょう麻薬まやく取締とりしまりきょくはMDMAを「濫用らんようせいたか医療いりょう用途ようと見込みこみのない違法いほう薬物やくぶつ」に指定していしました。現在げんざいではほとんどのくにでMDMAは違法いほう薬物やくぶつとされています。
錠剤じょうざいがた麻薬まやく

 錠剤じょうざいがたのMDMAである「エクスタシー」は、元々もともとはMDMAを隠語いんごでしたが、MDMAは錠剤じょうざいかたちって流通りゅうつうする場合ばあいおおいため、たんに(MDMAをふくむと期待きたいされる)錠剤じょうざいがた麻薬まやくそうじて「エクスタシー」とばれることもおおくあります。なお、錠剤じょうざいがた麻薬まやくとしてはほかにも「X」や「E」「アダム」など多数たすう俗称ぞくしょうち、また日本にっぽんでは、まる錠剤じょうざいおおいことから「たま(たま)」、さらに「X」からてんじて「バツ」とか「ペケ」といった俗称ぞくしょうっています。
 なお、一般いっぱん錠剤じょうざいがた麻薬まやく違法いほう製造せいぞうされるため、MDMA以外いがい薬物やくぶつである可能かのうせい成分せいぶん混入こんにゅうされている可能かのうせいあるい有害ゆうがい不純物ふじゅんぶつ残留ざんりゅうしている可能かのうせいなども非常ひじょうたかく、また、MDMAの効用こうようたかめるために意図いとてき薬物やくぶつ混入こんにゅうすることもすくなくないとわれます。したがって、単体たんたいとしてのMDMAの安全あんぜんせい錠剤じょうざいがた麻薬まやく安全あんぜんせい別個べっこのものとしてかんがえなければなりません。とにかく、近年きんねん錠剤じょうざいがた麻薬まやく押収おうしゅうりょう増加ぞうかして、世界中せかいじゅう深刻しんこく社会しゃかい問題もんだいとなっています。
参考さんこう:MDMAの日本にっぽん国内こくないでの規制きせい

 MDMAは、日本にっぽんでは麻薬まやくおよこう精神せいしんやく取締とりしまりほうによって規制きせいされています。
 MDMAの輸入ゆにゅう輸出ゆしゅつ製造せいぞうは1ねん以上いじょう10ねん以下いか懲役ちょうえき譲受ゆずりうけ・譲渡じょうとし・所持しょじは7ねん以下いか懲役ちょうえきほどこせよう経口けいこう摂取せっしゅなど身体しんたいもちいること)は7ねん以下いか懲役ちょうえきさだめられています(※最近さいきんでは今年ことしとしがつきたもと俳優はいゆう押尾おしびがく被告ひこく事件じけん有名ゆうめい)。 なお、錠剤じょうざいがた麻薬まやく覚醒剤かくせいざい(アンフェタミンなど)をふくんでいた場合ばあいは、かくせいざい取締とりしまりほうにより譲受ゆずりうけ・譲渡じょうとし・所持しょじ使用しようは10ねん以下いか懲役ちょうえきとなります。
代表だいひょうてき禁止きんし薬物やくぶつ(3) コカイン
コカインとは?

コカイン コカインは、南米なんべい原産地げんさんちのコカノキという灌木の原料げんりょうで、古代こだいから貨幣かへい同様どうようあつかわれる貴重きちょう植物しょくぶつでした。のちにヨーロッパでコカのから独自どくじのアルカロイド成分せいぶんであるコカインが分離ぶんりされ、麻酔ますいやくとして使つかわれるようになりました。トロパン骨格こっかくち、オルニチンよりなま合成ごうせいされる無色むしょく無臭むしゅう柱状ちゅうじょう結晶けっしょうです。

 コカインはごく少量しょうりょうでも生命せいめい危険きけん薬物やくぶつです。おもはな粘膜ねんまくからいこんで摂取せっしゅするためにはな炎症えんしょうこし、はいおかされます。この麻薬まやくもっと特徴とくちょうてき中毒ちゅうどく症状しょうじょうには、皮膚ひふ筋肉きんにくあいだむしかいわるような感覚かんかくこる「皮膚ひふ寄生虫きせいちゅう妄想もうそう」というものがあります。また、のうへの影響えいきょうおおきく、最後さいご痴呆ちほう状態じょうたいとなって人間にんげんとしてきることそのものを放棄ほうきすることになります。これらのほかにも、妊娠にんしんちゅうのコカイン摂取せっしゅどもにおよぼす影響えいきょう(コカインベービー)も重要じゅうよう問題もんだいになっています。
 とにかく、コカインはアメリカやヨーロッパの各国かっこく麻薬まやくとして所持しょじ使用しよう規制きせいされている薬物やくぶつのひとつで、日本にっぽんでも麻薬まやくおよこう精神せいしんやく取締とりしまりほう規制きせい対象たいしょうになっています。そして、コカインのおそろしさは、どんなひとけっしてやめられないことにあります。ゆっくりとしたへの道筋みちすじ辿たどらせるコカインについてしっかりと認識にんしきしてゆきたいものです。
コカインの作用さよう

 コカインは粘膜ねんまく麻酔ますい効力こうりょくがあり、医療いりょう目的もくてき局所きょくしょ麻酔ますいやくとしてもちいられてました。この作用さようは、電位でんい依存いぞんせいナトリウムイオンチャネルの興奮こうふんおさえることで感覚かんかく神経しんけい興奮こうふん抑制よくせいすることによります。また、中枢ちゅうすう神経しんけい作用さようして、精神せいしん高揚こうようさせるはたらきをっています。
 コカインを摂取せっしゅした場合ばあい中枢ちゅうすう神経しんけい興奮こうふん作用さようによって快感かいかんて、とても爽快そうかい気分きぶんになることが出来できるとわれます。また、コカインは薬物やくぶつ依存いぞんしょう原因げんいんになります。そして、コカインによる依存いぞんしょうきわめてつよ部類ぶるいふくまれますが、おもにそれは精神せいしん依存いぞんで、肉体にくたい依存いぞんよわいとわれています。なお、このコカインの中枢ちゅうすう作用さよう覚醒剤かくせいざい(アンフェタミンるい)と類似るいじしており、モノアミントランスポーターの阻害そがいによりカテコールアミンを遊離ゆうりさせ、のうのカテコールアミン作動さどう神経しんけい作用さようするためだとかんがえられています。ただし、コカインは作用さよう強烈きょうれつ短時間たんじかん作用さようし、一方いっぽう覚醒剤かくせいざい作用さようはコカインよりよわいが長時間ちょうじかん作用さようするというのが特徴とくちょうです。なお、コカイン中毒ちゅうどくでは対症療法たいしょうりょうほうにより対処たいしょします。
参考さんこう:かつては有名ゆうめい飲料いんりょうにもコカインがはいっていた!?

 コカインの性質せいしつ充分じゅうぶん認識にんしきされていなかったころには、依存いぞんせいがないとかんがえられたため、、薬物やくぶつ依存いぞんしょう患者かんじゃたいしコカインを処方しょほうすることで治療ちりょう出来できるとかんがえるものもおり、たとえば著名ちょめい精神せいしん分析ぶんせき学者がくしゃであったフロイトも、このようなかんがえから自身じしんおよ他者たしゃたいしてコカインを処方しょほうし、重大じゅうだい依存いぞんしょうこしたことももあるそうです。また、コナン・ドイル原作げんさくめい探偵たんていシャーロック・ホームズも作中さくちゅうでコカインを使用しようしており、助手じょしゅのワトソンの協力きょうりょくによって依存いぞんから脱出だっしゅつしているといったシーンもあります。
 また、清涼せいりょう飲料いんりょうとしてられるC飲料いんりょうにも20世紀せいき初頭しょとうまではコカインの成分せいぶんふくまれており、薬局やっきょくなどでられていたころはdope(ドープ)という麻薬まやく俗称ぞくしょうばれていたのです。しかし、のちにコカインの有害ゆうがいせいあきらかになると、1903ねんにC飲料いんりょうはコカインの使用しよう中止ちゅうしし、わりにカフェインがもちいられるようになりました。なおその一方いっぽうで、09ねんには世界中せかいじゅうでエナジードリンクとして販売はんばいされているRしゃ清涼せいりょう飲料いんりょうから微量びりょうのコカインが検出けんしゅつされ、ドイツでは販売はんばい禁止きんしされたという事件じけんほうじられています。

 しかし、規制きせいもコカインはうら流通りゅうつうつづけており、たとえばアメリカではベトナム戦争せんそうにアメリカぐん兵士へいし日常にちじょうてきにコカインを摂取せっしゅしており、帰還きかんへいがアメリカ国内こくないにそれをみ、深刻しんこく社会しゃかい問題もんだいになりました。そして、70年代ねんだい前後ぜんこうのアメリカでは、コカイン摂取せっしゅはベトナム帰還きかんへい裕福ゆうふく白人はくじんそうの「娯楽ごらく」としてもちいられるようになったのです。とくにシリコンバレーを代表だいひょうとするハイテク関連かんれん企業きぎょう技術ぎじゅつしゃやその家族かぞくがコカインを屡々しばしばもちいていたとされます。その80年代ねんだいはいってコカインの供給きょうきゅうりょうえ、その路上ろじょう販売はんばい価格かかくがると、コカインの摂取せっしゅまずしい人々ひとびと若者わかものにもひろがるようになり、深刻しんこく社会しゃかい問題もんだいとして表面ひょうめんしているのが実情じつじょうです。なお、70〜80年代ねんだいにかけてパブロ・エスコバルひきいるコロンビアのふくあい犯罪はんざい組織そしきメデジン・カルテルの台頭たいとうぜん世界せかいのコカイン市場いちば大半たいはん牛耳ぎゅうじるようになると、危機ききかんいたアメリカは、これを壊滅かいめつさせるべく国家こっか安全あんぜん保障ほしょうきょく(NSA)や中央ちゅうおう情報じょうほうきょく(CIA)による諜報ちょうほう活動かつどううえでアメリカぐん派兵はへい連日れんじつわた拠点きょてん空爆くうばくやミサイル攻撃こうげき銃撃じゅうげきせんひろげ、その様子ようす各国かっこくのTVや新聞しんぶんとうのメディアで度々たびたびほうじられたのでご存知ぞんじほうもいるかもれません。
代表だいひょうてき禁止きんし薬物やくぶつ(4) ヘロイン
ヘロインとは?

ヘロイン ヘロイン(正式せいしきには3,6-ジアセチルモルヒネ)は、ケシかられるアヘンを精製せいせいしたもので、塩酸えんさんモルヒネを無水むすい酢酸さくさん処理しょり生成せいせいします。ヘロインは、そのアヘンにふくまれるモルヒネからつくられる依存いぞんせいきわめてつよ麻薬まやくで、麻薬まやくおよこう精神せいしんやく取締とりしまりほう当然とうぜんながらその製造せいぞう所持しょじ医療いりょう目的もくてきふく規制きせい対象たいしょうになっています。そんなヘロインも本来ほんらいつよ鎮痛ちんつう効果こうかのある薬品やくひんであるモルヒネの原料げんりょうなのですが、如何いかんせん習慣しゅうかんせい中毒ちゅうどくせい非常ひじょうたかいため、一度いちど使つかはじめたらだれもが中毒ちゅうどくからのがれることは出来できず、その乱用らんようまるところをらないとわれます。このように、とにかくヘロインは現存げんそんするあらゆる薬物やくぶつなかで“かい”のめんでも“あく”のめんでももっと高峰こうほう位置いちするものとして、「薬物やくぶつ女王じょおう」の代名詞だいめいしすらっている麻薬まやくなのです。事実じじつ戦後せんご日本にっぽんにおいてコカインの知名度ちめいどがった80年代ねんだいまでは覚醒剤かくせいざいならんで麻薬まやく代名詞だいめいしで、たとえば「太陽たいようにほえろ!」や「西部せいぶ警察けいさつ」などといった刑事けいじドラマにおいて密輸みつゆひんとして屡々しばしば登場とうじょうしたほか中毒ちゅうどく患者かんじゃ犯人はんにんとして登場とうじょうすることもおおくありました。ちなみにドラマ「西部せいぶ警察けいさつ」において、くすりそのものは「ぺー」、中毒ちゅうどく患者かんじゃは「ペーチュウ」と呼称こしょうされていました。
 とにかく、ヘロインのおそろしさは、どんなひとけっしてめられない(離脱りだつ出来できない)ことにあります。ゆっくりとしたへの道筋みちすじ辿たどらせるヘロインについて、わたしたちもここでしっかりと確認かくにんしておきたいものです。
快感かいかん禁断症状きんだんしょうじょう〜ヘロインの作用さようとその強烈きょうれつ禁断症状きんだんしょうじょう


快感かいかん
 おおくの経験けいけんしゃおおくがまずもってげるのが、「このうえない」とわれる多幸たこうかんです。静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃによるその摂取せっしゅその使用しようほうおもはなからの摂取せっしゅ経口けいこう摂取せっしゅ、そして静脈じょうみゃくへの注射ちゅうしゃという3しゅがりますが、様々さまざまてんにおいて、これらのなかでもとく重視じゅうしされるのが静脈じょうみゃくへの注射ちゅうしゃによる摂取せっしゅです。そして、この静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃによって摂取せっしゅした直後ちょくごからすう分間ふんかんわたってつづく「ラッシュ」とばれる強烈きょうれつ快感かいかんなにぶつにもがたいものとわれ、ときには「オーガズムのすうまんばい快感かいかんともな射精しゃせい全身ぜんしん隅々すみずみ細胞さいぼうおこなっているようだ」とか、あるいは「人間にんげん経験けいけんしうるあらゆる状態じょうたいなか如何いかなるものをもってしてもられない最高さいこう状態じょうたい」などと表現ひょうげんされるほどのものだそうで、このように、通常つうじょう人間にんげん一生いっしょうのうちに体感たいかんすべての「快感かいかん」の合計ごうけい上回うわまわわる快感かいかん瞬時しゅんじることにひとしいとわれるその快楽かいらくつよさ、そして、そこからしょうずる至福しふくかん屡々しばしば約束やくそくされた安堵あんど」などと表現ひょうげんされてました。
禁断症状きんだんしょうじょう
 ヘロインはもっとはげしい禁断症状きんだんしょうじょう麻薬まやくのひとつです。それは、ヘロインには精神せいしんてき依存いぞんだけでなく身体しんたいてき依存いぞん形成けいせいされるからです。くすりれると、全身ぜんしんがバラバラになるかとおもわれるようないたみがおそい、それゆえだん症状しょうじょうがひどくなると、いたみや悪寒おかんねて自分じぶん自分じぶん身体しんたいきずつけたり、あるいあばかいわり、最後さいごには精神せいしん異常いじょうきたしすとわれています。まさに人格じんかくそのものを破壊はかいする麻薬まやく、それがヘロインなのです。


 ヘロインはその使用しようしゃたいして肉体にくたいめんでの依存いぞんしょう精神せいしんめんでの依存いぞんしょう両方りょうほう形成けいせいします。その肉体にくたいめんにおける依存いぞん、いわゆる禁断症状きんだんしょうじょうとして、身体中からたじゅう関節かんせつはし激痛げきつうや、しょうふうでられただけで素肌すはだはし激痛げきつう体温たいおん調節ちょうせつ機能きのうしょうじるくるいによる激暑げきしょげきかんすうびょうごと循環じゅんかん、そして、身体中からたじゅうがる強烈きょうれつ不快ふかいかん倦怠けんたいかんなどがげられています。(なお、これらの症状しょうじょうたいしてはメサドンの定期ていきてき投与とうよ有効ゆうこうで、メサドンを投与とうよすると、その禁断症状きんだんしょうじょう短時間たんじかんまり、その効果こうかちゅうはヘロインが投与とうよされても麻薬まやく作用さよう抑制よくせいされるといます。) 
 ちなみに、こうした一連いちれん症状しょうじょうは「なんでもない地獄じごくそのもの」などと表現ひょうげんされるほど苛烈かれつなもので、この禁断症状きんだんしょうじょうしてう「コールド・ターキー」というスラングがまれたほどです。これは69ねん歌手かしゅのジョン・レノン(プラスティック・オノ・バンド)が発表はっぴょうした楽曲がっきょく Cold Turkey(邦題ほうだい:『つめたい七面鳥しちめんちょう』)によって世界せかいてき有名ゆうめいになりました。ジョン・レノンはこのきょくとおして薬物やくぶつ禁断症状きんだんしょうじょうおそろしさをらしめようとしたつもりだったのですが、ドラッグ・ソングと誤解ごかいけて放送ほうそう禁止きんしにした放送ほうそうきょくもあったといます。

 なお、ヘロインはまずロンドン・セントメアリー病院びょういん学校がっこうのアルダー・ライト) によって1874ねん調合ちょうごうされ、ドイツのバイエルしゃにより鎮咳やくとして1898ねん発売はつばいされました。当初とうしょ経口けいこう投与とうよ一般いっぱんてきで、モルヒネよりも依存いぞんせいひくいとかんがえられていましたが、注射ちゅうしゃによる投与とうよひろまると、成分せいぶんがモルヒネよりもおおのうまれ、強烈きょうれつ麻薬まやく作用さようこすことが判明はんめいし、各国かっこくにおいて相次あいついできびしく規制きせいされることになりました。なお、ヘロインの摂取せっしゅにはおも注射ちゅうしゃもちいるため、現在げんざいではエイズ蔓延まんえんおおきな要因よういんともなっています。
麻薬まやくをめぐる人類じんるい文化ぶんか
医療いりょう麻薬まやく

 麻薬まやく(アヘンざい)は通常つうじょういたみにたいする感覚かんかくなまらせる効用こうようがあるため、医療いりょう現場げんばではモルヒネやコデインは鎮痛ちんつうざいとして処方しょほうされています。また、麻薬まやくせい鎮痛ちんつうざいとして、たとえばモルヒネのような効果こうかつメペリジン(商標しょうひょうめい:デメロール)やメタドンが開発かいはつされています(※なお、メタドンはヘロイン中毒ちゅうどく治療ちりょうにも利用りようされますが、メタドン自体じたい依存いぞんせいがあるため、このくすり使用しようには賛否さんぴ両論りょうろんがあります)。薬剤やくざい研究けんきゅうしゃは、これらの鎮痛ちんつうやく依存いぞんせい中和ちゅうわする方法ほうほうさぐ過程かてい麻薬まやく反応はんのうするのうない受容じゅようたい(オピオイド受容じゅようたい)を発見はっけんしました。そんななかで、のうない麻薬まやくなどとばれることもあるエンドルフィンは人体じんたい存在そんざいする天然てんねん鎮痛ちんつう物質ぶっしつですが、麻薬まやくはエンドルフィンと同様どうようはたらきをし、オピオイド受容じゅようたい結合けつごうすることがあきらかになってました。また、麻薬まやくのアンタゴニストとして作用さようする薬物やくぶつ麻薬まやく作用さよう阻害そがいし、乱用らんよう過剰かじょう摂取せっしゅ症状しょうじょう逆転ぎゃくてんさせますが、こうしてアヘンざいとオピオイド受容じゅようたいのアンタゴニストをわせることにより、副作用ふくさようあたらしいタイプの鎮痛ちんつうざいつくられるにいたったのです。
宗教しゅうきょう麻薬まやく

 古来こらいから特殊とくしゅ宗教しゅうきょうてき体験たいけんるために様々さまざま呪術じゅじゅつ宗教しゅうきょうてき儀式ぎしきにおいていわゆる麻薬まやくもちいられてました。その証拠しょうこに、現在げんざいでも幻覚げんかくせい植物しょくぶつせいなる植物しょくぶつとし、信仰しんこう対象たいしょうにしている宗教しゅうきょうがあります。たとえば米国べいこくにおけるネイティブアメリカンチャーチのペヨーテ(幻覚げんかくせいサボテン)やブラジルのアヤワスカを使つかうカトリックけい教会きょうかい、ジャマイカのラスタファリズムにおける大麻たいま西にしアフリカのガボンにおけるブウィティきょう、また、瞑想めいそうのために大麻たいま樹脂じゅしうシバのヒンドゥーきょう修行しゅぎょうしゃなどが具体ぐたいれいとしてげられます。そして、宗教しゅうきょう儀式ぎしきにおける幻覚げんかくせい植物しょくぶつ使用しようは、コミュニティない連帯れんたいたかめる役割やくわりたしています。ちなみにアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく最高裁判所さいこうさいばんしょは、宗教しゅうきょうじょう使用しようかぎ規制きせい薬物やくぶつみとめる判決はんけつを06ねんしています。
シャーマニズム

 宗教しゅうきょう麻薬まやくとのつながりとも関連かんれんしますが、人類じんるいこう精神せいしんせい作用さようのある植物しょくぶつとの関係かんけいはるむかしまでさかのぼることが出来できます。
 世界せかい各地かくちられるシャーマニズムの儀式ぎしきでは、夜間やかんしょう人数にんずうあつまり、あかりをした小屋こやなか野外やがいかこんで幻覚げんかくせい植物しょくぶつ摂取せっしゅします。そして、シャーマンはうたうたい、いのりをささげたりドラムをたたいたりしながら、病気びょうき治療ちりょうをしたり、かみ精霊せいれい交信こうしんし、重要じゅうよう決定けっていをしたり予言よげんをしたりするのです。なお、中世ちゅうせいヨーロッパや古代こだいインドでは、せんもうせい植物しょくぶつであるベラドンナやダチュラが儀式ぎしきてき使用しようされていました。また、現代げんだいでももちいられている幻覚げんかくせい植物しょくぶつとしては、たとえばメキシコのマサテクぞくのマジックマッシュルームやネイティブアメリカンのペヨーテ、アンデス地方ちほうのサンペドロ・サボテン、アマゾンのアヤワスカや西にしアフリカのイボガ(イボガイン)、シベリアのベニテングタケなどがあります。
少数しょうすう民族みんぞく

 コロンビアやペルー、ボリビアに先住民せんじゅうみんインディオや労働ろうどうしゃは、コカインの原料げんりょうであるコカの興奮こうふんざいとして日常にちじょうてきんだりおちゃにしてんでいます。また、東南とうなんアジアやひがしアフリカ、中東ちゅうとうにおいても、興奮こうふん作用さようのある植物しょくぶつ嗜好しこうひんとして摂取せっしゅする習慣しゅうかんがあります。そのため、ケシ栽培さいばいをするタイ北部ほくぶやラオスに少数しょうすう民族みんぞくなかにはアヘン中毒ちゅうどくおちいっているものすくなくないのが実情じつじょうです。
ヒッピームーブメントとLSD

 従来じゅうらい伝統でんとう制度せいどなどの既成きせい価値かちかんしばられた社会しゃかい生活せいかつ否定ひていすることを信条しんじょうとし、また、自然しぜんへの回帰かいき提唱ていしょうする人々ひとびと総称そうしょうをして一般いっぱんにヒッピーといますが、。これはとくに60年代ねんだい後半こうはんおもにアメリカの若者わかものたちのあいだまれたムーブメントで、のち世界中せかいじゅうひろまりました。かれらはみな自然しぜんあい平和へいわ芸術げいじゅつ自由じゆうあいする人々ひとびとで、日本にっぽんにおいてはオリジナルのヒッピーという言葉ことばほかにフーテンとばれる日本にっぽん独特どくとくのスタイルのヒッピーも発生はっせいしました。ヒッピームーブメントは音楽おんがく文学ぶんがく映像えいぞう絵画かいが、ファッションなどにおおきな影響えいきょうあたえ、ベトナム戦争せんそう反戦はんせん運動うんどう精神せいしん世界せかい東洋とうよう哲学てつがく、エコロジーなどへの関心かんしんあつめました。その中心ちゅうしん人物じんぶつとしては、たとえばもとハーバード大学だいがく教授きょうじゅのティモシー・リアリーや『カッコーのうえで』をいたケン・キージーなどの名前なまえげることが出来できます。

ヒッピームーブメント ヒッピームーブメントは、おおまかに、(1)だい世代せだい(1960〜 70年代ねんだい前半ぜんはん)と、(2)だい世代せだい(1990年代ねんだい前半ぜんはん現在げんざい)とにけることが出来できますが、とくにここでげる世代せだいは(1)のだい世代せだいのヒッピームーブメントです。このヒッピームーブメントのだい世代せだいは、「正義せいぎきベトナム戦争せんそう」への反戦はんせん運動うんどう発端ほったんとし、あい平和へいわうったえ、徴兵ちょうへい派兵はへい反発はんぱつした若者わかものたちがヒッピーの中心ちゅうしんであった時代じだいいます。戦争せんそう反対はんたいし、徴兵ちょうへい拒否きょひし、自然しぜん平和へいわうたあいし、人間にんげんとして自由じゆうきるというスタイルで、ベトナム戦争せんそう当時とうじ全米ぜんべい一大いちだいムーブメントとなりした。初期しょき薬物やくぶつによる高揚こうよう覚醒かくせいやインスタントなさとりをもとめることから出発しゅっぱつし、各地かくちにコミューンとばれるヒッピー共同きょうどうたい発生はっせいしました。そして、若者わかもの中心ちゅうしん爆発ばくはつてき人気にんきほこったロックバンド・ビートルズによるインド巡礼じゅんれいや、あるいはマリファナやLSDを使用しようした精神せいしん開放かいほうとうによって、全米ぜんべいから世界せかいへとそのムーブメントはひろまってゆくことになります。当然とうぜんながらかれらは伝統でんとうてき社会しゃかい制度せいど否定ひていし、個人こじんたましい解放かいほううったえました。そして、伝統でんとうてきキリスト教きりすときょうてき価値かちかん否定ひていし、欧米おうべいにおいてはぜんなどに代表だいひょうされる東洋とうよう思想しそう宗教しゅうきょうひろ紹介しょうかいされ、その系統けいとうくカルト宗教しゅうきょう多数たすう創設そうせつされて社会しゃかい問題もんだいもしました。なお、ヒッピーのなかには文明ぶんめい拒否きょひし、自然しぜん回帰かいきするものあらわれましたが(そのモットーは“Back to nature――自然しぜんかえれ”でした)、現在げんざい自然しぜん保護ほご活動かつどうなかにはこの系統けいとうものすくなくありません。しかしながら、ベトナム戦争せんそう終結しゅうけつ薬物やくぶつたいするまりの強化きょうかによって、さしものムーブメントも70年代ねんだい前半ぜんはんごろから次第しだいおとろえてゆくことになりました。
 かつて一世いっせい風靡ふうびした非常ひじょう強烈きょうれつ作用さようゆうするはん合成ごうせい幻覚げんかくざいであるLSDは、60年代ねんだい後半こうはん欧米おうべい中心ちゅうしん爆発ばくはつてきひろまり、ヒッピームーブメントと相俟あいまって若者わかものたちのあいだ爆発ばくはつてき流行りゅうこうみました。そして、LSDがまだ業報ごうほうドラッグだったこともあって、かつてはヒッピーとえばLSDが連想れんそうされるような時代じだいもあったのです。ようするに、LSDも開発かいはつ当初とうしょ精神療法せいしんりょうほうにも実験じっけんてき活用かつようされていた強力きょうりょく幻覚げんかくざいで、それが一般いっぱん市販しはんされたことがヒッピームーブメントを後押あとおししたわけですが、その危険きけんせい認識にんしきされるにしたがって、LSDは禁止きんし薬物やくぶつとして規制きせいされるようになってゆきます。そして、そのような当局とうきょくによる既成きせいつよまってゆくにしたがって、うえいたようにだい世代せだいのヒッピームーブメントは檜舞台ひのきぶたいから退しりぞいてゆくことになったわけです。
参考さんこう宗教しゅうきょうはアヘン!?

 だれでもいちいたことがあるとおもいますが、マルクスの言葉ことばとし《宗教しゅうきょうはアヘンである》という非常ひじょう有名ゆうめい言葉ことばがあります。

 この言葉ことば出典しゅってんはカール・マルクスの『ヘーゲルほう哲学てつがく批判ひはん序説じょせつ』で、そこには、《宗教しゅうきょう逆境ぎゃっきょうなやめるもの嘆息たんそくであり、また、それがたましいなき状態じょうたい心情しんじょうであるとひとしく、無情むじょう世界せかい感情かんじょうである。つまり、それは民衆みんしゅうのアヘンである》とあるのですが、この比喩ひゆ詩人しじんノヴァーリスの断片だんぺんしゅう花粉かふん』(1798ねん)のなかの《いわゆる宗教しゅうきょう阿片あへんのようなはたらきをするだけだ。つまり興奮こうふんさせ、麻痺まひさせ、よわさに由来ゆらいするくるしみをやわらげる。》という言葉ことばもとづいているとわれます。そして、に『ヘーゲルほう哲学てつがく批判ひはん序論じょろん』ではアヘンをいためとするむね記述きじゅつもあることからもかるように、ここでわれているアヘンは、当時とうじ緩和かんわ医療いりょう疼痛とうつうへのいためとして使用しようされる医薬品いやくひんとしてのアヘンの意味いみもちいられています。大体だいたい、マルクスが著作ちょさく活動かつどうをした当時とうじはアヘンがそれほど危険きけん薬物やくぶつとは認識にんしきされておらず、タバコなどと同類どうるいたんなる嗜好しこうひんとしてかんがえられていたのです。
 もっとも現代げんだいじんが《宗教しゅうきょうはアヘンである》などとくと、まるで《覚醒剤かくせいざいやめますか、それとも人間にんげんやめますか》のあのフレーズで印象いんしょうづけられるような、人間にんげん破戒はかい駄目だめにする元凶げんきょうとして「宗教しゅうきょう」をとらえているかのようにおもわれるのも無理むりもありません。しかし、うえたように、『ヘーゲルほう哲学てつがく批判ひはん序説じょせつ』がかれた当初とうしょは、けっしてそのような意味合いみあいでの《麻薬まやく》をこのフレーズが意味いみしていたわけではないのです。せいぜいが「宗教しゅうきょうたんなる幻想げんそうであって、アヘンを吸飲きゅういんしたときのように一時いちじてき気分きぶん爽快そうかいにする程度ていどのものでしかな」いといった程度ていど意味合いみあいだったので、宗教しゅうきょうの「麻薬まやくせい強調きょうちょうしているわけではけっしてなかったのです。しかしながら、アヘンが麻薬まやくとしてその危険きけんせい認識にんしきされ、ソビエト連邦れんぽう建国けんこくされ以降いこう共産きょうさん主義しゅぎ国家こっかにおいては、アヘンの「麻薬まやくせいのみが強調きょうちょうされた結果けっか、このフレーズによって宗教しゅうきょう撲滅ぼくめつすべき対象たいしょうとされ、だい規模きぼ宗教しゅうきょう弾圧だんあつおこなわれる結果けっかともなっていったのです。
現代げんだい世界せかい麻薬まやくかかわり
黄金おうごん三角さんかく地帯ちたい

 アヘンの原料げんりょうであるケシがタイおよびラオス、ミャンマーの山岳さんがく地帯ちたいおお栽培さいばいされていることから、この地域ちいき一般いっぱんに「ゴールデントライアングル(黄金おうごん三角さんかく地帯ちたい)」とわれています。なおこの地域ちいきは、タイ・ミャンマー国境こっきょう少数しょうすう民族みんぞくシャンぞく開放かいほう組織そしきモン・タイぐん指導しどうしゃ中国ちゅうごく国民党こくみんとう軍人ぐんじんでもあった麻薬まやくおうクン・サ(中国ちゅうごくめいちょうおっと、07ねん10がつぼつ)が仕切しきっていたことで有名ゆうめいです。かれによって「黄金おうごん三角さんかく地帯ちたい」たつくげられたともわれています。
黄金おうごん三日月みかづき地帯ちたい

 黄金おうごん三角さんかく地帯ちたいなら世界せかい最大さいだい麻薬まやくおよ覚醒剤かくせいざい密造みつぞう地帯ちたいを「黄金おうごん三日月みかづき地帯ちたい」とび、アフガニスタン(ニームルーズしゅう)とパキスタン(バローチスターンしゅう)、イランの国境こっきょう交錯こうさくしています。この地域ちいき黄金おうごん三日月みかづき地帯ちたいばれる由縁ゆえんは、アフガニスタン東部とうぶのジャララバードから南部なんぶのカンダハールを経由けいゆし、南西なんせいのザランジ地方ちほういた国境こっきょう地帯ちたい三日月みかづきがたをしているためであるとわれます。なお、この地域ちいき生産せいさんされるケシは世界せかい最大さいだいきゅう生産せいさんりょうだともわれていますが、それも度重たびかさなる戦乱せんらんによってこの地域ちいき農民のうみん経済けいざいてき困窮こんきゅうしているがためであるとわれています。
国家こっか産業さんぎょうやマフィアの資金しきんげん

 悪名あくめいたか禁酒きんしゅほう廃案はいあんとなり、莫大ばくだい資金しきんげんうしなったマフィアは、当然とうぜんながら麻薬まやく密売みつばい本格ほんかくてきめるようになりました。また、アメリカで60年代ねんだい後半こうはんからコカイン摂取せっしゅがブームになったことがキッカケで、70年代ねんだい後半こうはんからコロンビアでアメリカけに密輸みつゆするコカイン栽培さいばい急増きゅうぞうしました。コロンビアでコカイン生産せいさんおこなったのは、アンデス山中さんちゅう大都市だいとしうごいていた犯罪はんざい組織そしきメデジン・カルテルで、犯罪はんざい組織そしきはそのコロンビア国家こっか政治せいじ経済けいざい支配しはいするようになり、コカイン栽培さいばい国家こっか産業さんぎょうのひとつにまで発展はってんしてしまったのです。また、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく北朝鮮きたちょうせん)は、90年代ねんだいから国家こっか重要じゅうよう資金しきんげんとして覚醒剤かくせいざいとアヘンの製造せいぞう密輸みつゆおこなっています。さらに、少量しょうりょう生産せいさん販売はんばい多額たがく利益りえきられることから、おおくのくにはん政府せいふゲリラや民兵みんぺい組織そしき資金しきんげんとして麻薬まやく産業さんぎょう保有ほゆうすることがおおいとわれます。国家こっか犯罪はんざい組織そしきばかりではありません。同様どうよう理由りゆうで、かつ中央ちゅうおう政府せいふ支配しはいりょくおよばないことから、「黄金おうごん三日月みかづき地帯ちたい」にとくられるように、まずしい農家のうかが「究極きゅうきょく換金かんきん作物さくもつ」として麻薬まやく植物しょくぶつ栽培さいばいするケースもおおく、事実じじつアフガニスタンや内戦ないせん当時とうじのレバノン・ベッカー高原こうげんなどではさかんに麻薬まやく植物しょくぶつ栽培さいばいされているのが現状げんじょうです。
参考さんこう阿片あへん戦争せんそうとはなにだったのか?

 阿片あへん戦争せんそうは、その名前なまえとおりアヘンの密輸みつゆ原因げんいんとなった戦争せんそうで、きよしはやしそくじょがイギリスによるアヘンの輸入ゆにゅうきんじ、アヘンを没収ぼっしゅうし、廃棄はいき処分しょぶんしたことを口実こうじつに、1840ねんより2年間ねんかんわたってイギリスによって一方いっぽうてきこされたきよしとイギリスとのあいだ戦争せんそうです。
アヘン貿易ぼうえきとそのしま

阿片戦争の映画ポスター 当時とうじのイギリスでは喫茶きっさ風習ふうしゅう上流じょうりゅう階級かいきゅうあいだひろがり、ちゃ陶磁器とうじききぬ大量たいりょうきよから輸入ゆにゅうしていました。一方いっぽうイギリスからきよし輸出ゆしゅつされるものは時計とけい望遠鏡ぼうえんきょうのような富裕ふゆうそうけの物品ぶっぴんはあったものの、大量たいりょう輸出ゆしゅつ可能かのう製品せいひん存在そんざいしなかったうえ、イギリスの大幅おおはば輸入ゆにゅう超過ちょうか状態じょうたいでした。イギリスはアメリカ独立どくりつ戦争せんそう戦費せんぴ調達ちょうたつ産業さんぎょう革命かくめいによる資本しほん蓄積ちくせきのためぎん国外こくがい流出りゅうしゅつ抑制よくせいする政策せいさくりましたが、そのため、イギリスは植民しょくみんのインドで栽培さいばいしたアヘンをきよしみつ輸出ゆしゅつすることでそのちょう過分かぶん相殺そうさいし、三角さんかく貿易ぼうえきととのえることになりました。
 一方いっぽうきよしではすでに1796ねんにアヘンの輸入ゆにゅう禁止きんししていました。禁止きんしれいは19世紀せいきはいってからもなんとなくはっせられましたが、しかし、アヘンの密輸入みつゆにゅうまず、きよし国内こくないにアヘン吸引きゅういん悪弊あくへいひろまって健康けんこうがいするものおおくなり、当然とうぜんながら風紀ふうき退廃たいはいしてゆきました。また、アヘンの輸入ゆにゅう代金だいきんぎん決済けっさいしたことからアヘンの輸入ゆにゅうりょう増加ぞうかにより貿易ぼうえき収支しゅうし逆転ぎゃくてんし、そのため清国きよくにないぎん保有ほゆうりょう激減げきげんぎん高騰こうとうまねいたのです。当時とうじきよし銀本位ぎんほんいせいで、銀貨ぎんか銅銭どうせん併用へいようされ、そして、その交換こうかん比率ひりつ相場そうば連動れんどうし、銀貨ぎんかりょうたいして銅銭どうせん1000ぶん程度ていどであったものが、ぎん高騰こうとうにより銀貨ぎんかりょうたいして銅銭どうせん2000ぶんという比率ひりつになってしまいました。このころきよしでは税金ぜいきん銀貨ぎんか納付のうふするよう規定きていしていたため、日常にちじょう生活せいかつ銅銭どうせん使用しようし、税金ぜいきん納付のうふにおいて銅銭どうせん銀貨ぎんか交換こうかんしていた農民のうみんは、おさめる税金ぜいきんが2ばいになった計算けいさんです。さらに、ぎん不足ふそくしてがることは物価ぶっかがることと同義どうぎで、そのため、きよし基本きほんてき税制ぜいせいであるひのとぎんせい事実じじつじょう崩壊ほうかいし、経済けいざいにも深刻しんこく影響えいきょうおよぼしたのです。

 このような事態じたいいたって、きよしでは官僚かんりょうもと乃済から『もとふとつねそう』とわれる「たゆきんろん」がました。その概要がいようは、「アヘンをまることは無理むりだから、輸入ゆにゅうみとめて関税かんぜい徴収ちょうしゅうしたほうがよい」というものです。このろんほとんどのひとから反対はんたいけて一蹴いっしゅうされました。そのアヘンを吸引きゅういんしたもの死刑しけいしょすべきだと意見いけんて、みちこうみかどは1838ねんはやしのりじょを欽差大臣だいじん特命とくめい大臣だいじん)に任命にんめいして広東かんとん派遣はけんし、アヘン密輸みつゆまりにたらせました。はやしのりじょはアヘンをあつか商人しょうにんからの贈賄ぞうわいにもおうじず、非常ひじょうきびしいアヘン密輸みつゆたいするまりをおこないました。1839ねんには、アヘン商人しょうにんたちに「今後こんご一切いっさいアヘンを清国きよくに国内こくないまない」というむね誓約せいやくしょ提出ていしゅつ要求ようきゅうし、イギリス商人しょうにんっていたアヘンを没収ぼっしゅう同年どうねん6がつ6にちにはこれをまとめて焼却しょうきゃく処分しょぶんしました。このとき処分しょぶんしたアヘンの総量そうりょうは1400トンをえたとわれます。そして、その誓約せいやくしょさないアヘン商人しょうにんたちをみなとから退去たいきょさせたといます。
 イギリスの監察かんさつかんのチャールズ・エリオットはイギリス商船しょうせん海上かいじょうめてはやしそくおもむろ抗議こうぎおこなっていましたが、はやしのりじょは「誓約せいやくしょ提出ていしゅつすれば貿易ぼうえきゆるす」と返事へんじをしました。実際じっさいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく商人しょうにん誓約せいやくしょぐに提出ていしゅつして貿易ぼうえき再開さいかいし、ライバルがいなくなったことで巨利きょりていました。そこでクェーカーきょう教義きょうぎしたがってアヘンをあつかっていなかったトマス・カウツごうというイギリス商船しょうせん誓約せいやくしょ提出ていしゅつして貿易ぼうえき再開さいかいしました。これにつづこうとした商船しょうせんをエリオットは軍艦ぐんかんしてめ、無条件むじょうけんでの貿易ぼうえき禁止きんし解除かいじょもとめる要望ようぼうしょ再度さいどしましたが、はやしのりじょはこれをねつけたのです。
戦争せんそう勃発ぼっぱつ終戦しゅうせん推移すいい

 1839ねん11月3にちはやしのりじょによる貿易ぼうえき拒否きょひ返答へんとう口実こうじつにイギリスは戦火せんかひらき、清国きよくに船団せんだん壊滅かいめつさせました。「麻薬まやく密輸みつゆ」という開戦かいせん理由りゆうたいしては、イギリス本国ほんごく議会ぎかいでも野党やとう保守党ほしゅとうのウィリアム・グラッドストン(のち自由党じゆうとう首相しゅしょう)らを中心ちゅうしんに「こんなはじさらしな戦争せんそうはない」などと反対はんたいこえつよかったのですが、きよしたいする出兵しゅっぺいかんする予算よさんあん賛成さんせい271ひょう反対はんたい262ひょう僅差きんさ承認しょうにんされ、この議決ぎけつけたイギリス海軍かいぐんはイギリス東洋とうよう艦隊かんたい編成へんせいして派遣はけんしたのです。しかし、艦隊かんたい広州こうしゅうへはおもむかず、いきなり天津てんしんおき姿すがたげんわしました。北京ぺきんちか天津てんしん軍艦ぐんかんあらわれたことにおどろいたきよし政府せいふは、政権せいけんない権力けんりょく闘争とうそうくわわってはやしのりじょ解任かいにん、イギリスにたいする政策せいさく軟化なんかさせました。
 1840ねん11月、イギリス艦隊かんたいは、きよし政府せいふたいして香港ほんこん割譲かつじょうなどの要求ようきゅうしましたが、きよし政府せいふはこれを拒否きょひ翌年よくねん1がつ7にち艦隊かんたい攻撃こうげき開始かいししました。とらもんたたかいではせきたかしつちかえらが奮戦ふんせんするも、イギリスがわ完全かんぜん制海権せいかいけんにぎり、火力かりょくにもまさるイギリスがわ自由じゆう上陸じょうりく地点ちてん選択せんたく出来でき状況じょうきょうした戦争せんそう複数ふくすう拠点きょてん防御ぼうぎょしなければならぬきよしがわ正規せいきぐんたいする一方いっぽうてき各個かっこ撃破げきは様相ようそうていしたといます。しかし、1841ねん5がつ広州こうしゅう上陸じょうりくした英軍えいぐん略奪りゃくだつ暴行ぼうこう事件じけんこして民衆みんしゅういかりをい、正規せいきぐんであるはちはたへいではなくさんげんさと周辺しゅうへんごうむらいちまんあまり民衆みんしゅう決起けっきして「たいらえいだん」を名乗なのり、イギリスぐん包囲ほういして攻撃こうげきしました。おりからの豪雨ごうう英軍えいぐん火器かき使用しよう出来できない状態じょうたいかたなほこおそいかかるさんげんさと住民じゅうみん攻撃こうげきたいして銃剣じゅうけん防戦ぼうせんするも、英軍えいぐん全滅ぜんめつ危機ききさらされました。 英軍えいぐん広州こうしゅう清朝せいちょう政府せいふ包囲ほうい解除かいじょもとめ、からくも脱出だっしゅつ成功せいこうしたのです(さんげんさと事件じけん)。

 1842ねん8がつ29にち両国りょうこくこうやすし南京なんきん条約じょうやく調印ちょういんし、こうして阿片あへん戦争せんそう終結しゅうけつしました。この条約じょうやくきよし多額たがく賠償金ばいしょうきん香港ほんこん割譲かつじょう広東かんとん厦門あもいふくしゅうやすし上海しゃんはい開港かいこうみとめ、また、翌年よくねんとらもん追加ついか条約じょうやくでは治外法権ちがいほうけん関税かんぜい自主権じしゅけん放棄ほうき最恵国さいけいこく待遇たいぐう条項じょうこう承認しょうにんなどを余儀よぎなくされました。ただ、意外いがいにも戦争せんそう原因げんいんとなったアヘンについてはとくにはれられなかったといますが、それは、この戦争せんそう発端ほったんとなったずべき原因げんいん文書ぶんしょじょうのこすことをイギリスがわ躊躇ちゅうちょしたためであるとわれます。そして、このイギリスときよしとの不平等ふびょうどう条約じょうやく列強れっきょう諸国しょこく便乗びんじょうするところとなり、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとのもち条約じょうやく、フランスとの条約じょうやくなどがむすばれています。


 なお、この戦争せんそうをイギリスがこした目的もくてきおおきくってふたつあるとわれます。それは、(1)ひがしアジアで支配しはいてき存在そんざいであった中国ちゅうごく中心ちゅうしんとする朝貢ちょうこう体制たいせい打破だはと、(2)きびしい貿易ぼうえき制限せいげん撤廃てっぱいして自国じこく商品しょうひんをもっと中国ちゅうごくがわわせることです。しかし、結果けっかとしてちゅうえいあいだにおける外交がいこう体制たいせいおおきな風穴かざあなけることには成功せいこうしたものの、もうひとつの経済けいざいてき目的もくてきすべての中国人ちゅうごくじんにイギリスせい靴下くつしたかせる」という目論見もくろみ達成たっせいされませんでした。それは中国ちゅうごくせい綿めん製品せいひんがイギリス製品せいひん輸入ゆにゅう阻害そがいしたからです。これをよしとしなかったイギリスは当然とうぜんながらつぎ機会きかいうかがうようになり、これがだい阿片あへん戦争せんそうともわれるアロー戦争せんそうへとつながっていくことになるのです。
阿片あへん戦争せんそう内外ないがいあたえた影響えいきょう


清国きよくにへの影響えいきょう
 阿片あへん戦争せんそうしんがわ敗戦はいせんでしたが、しかし、これで深刻しんこく衝撃しょうげきけた人々ひとびと意外いがいかぎられていました。それは、北京ぺきんからとおはなれた広東かんとん主戦しゅせんじょうであったことや、また、中華ちゅうか夷狄いてき民族みんぞく)にやぶれることは歴史れきしじょうにも間々ままられたことがその原因げんいんとされます。しかし、一部いちぶ人々ひとびとはイギリスがそれまでの中国ちゅうごく歴史れきしじょう度々どど登場とうじょうした夷狄いてきとはことなる存在そんざいであることを見抜みぬいていました。たとえばはやしそくじょのブレーンであったげんは、はやしのりじょ収集しゅうしゅうしていたイギリスやアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく情報じょうほう委託いたくされ、それをしたに『海国かいこくこころざし』をしるわしましたが、「えびすちょうわざとしもっえびすせいす」という有名ゆうめいいちせつは、これ以後いご中国ちゅうごく近代きんだい辿たどった「西欧せいおう諸国しょこく技術ぎじゅつ思想しそう受容じゅようして改革かいかくはかる」というスタイルを端的たんてきあらわした言葉ことばです。ちなみに、このしょひがしアジアにおけるはじめての本格ほんかくてき世界せかい紹介しょうかいしょでした。それまでにも地誌ちしはありました、西欧せいおう諸国しょこくについてはきわめて粗略そりゃく誤解ごかいちたものであったため、くわしい情報じょうほうしるしたげんの『海国かいこくこころざし』は画期的かっきてきであったということが出来できます。

アヘンとぎん
 アヘンの輸入ゆにゅうりょうは1800〜01ねんやく4500はこいちはこやく60kg)から1830〜31ねんには2まんはこ、アヘン戦争せんそう前夜ぜんやの1838〜39ねんにはやく4まんはこたっしたため、1830年代ねんだいまつにはアヘンの代価だいかとして清朝せいちょう国家こっか歳入さいにゅうの80%に相当そうとうするぎん国外こくがい流出りゅうしゅつしたといます。こうしたぎん大量たいりょう流出りゅうしゅつ国内こくない銀流ぎんながしどおりりょういちじるしく減少げんしょうさせ、当然とうぜんながら銀貨ぎんか高騰こうとうをもたらしました。いぬいたかし時代じだいにはぎんりょうやく37g)は銅銭どうせん700〜800ぶん交換こうかんされていましたが、1830ねんにはそれが1200ぶんとなり、30年代ねんだいまつには最大さいだいで2000ぶんにもたっしたのです。ひのとぎん税額ぜいがくぎんなんりょうというかたち指定していされますが、農民のうみん実際じっさいにするのは銅銭どうせんであったため、うえでもいたように納税のうぜいさいには銅銭どうせんぎん換算かんさんしなければならなかったのです。したがって、銀貨ぎんかばい高騰こうとうするということは納税のうぜいがくばいえることにひとしかったわけです。

日本にっぽんへの影響えいきょう
 阿片あへん戦争せんそうにおける清朝せいちょう敗戦はいせんは、きよし商人しょうにんによっていちはや幕末ばくまつ日本にっぽんにもつたえられ、当然とうぜんながらおおきな衝撃しょうげきってむかえられました。そして、以前いぜんより蘭学らんがく発達はったつしていた日本にっぽんでは、中国ちゅうごく本土ほんどよりもはやくこの戦争せんそう国際こくさいてき意味いみ理解りかいして危機ききかんつのらせたのです。その証拠しょうこに、げんの『海国かいこくこころざし』もぐに日本にっぽんつたえられています。ようするに、幕末ばくまつにおける改革かいかく機運きうんげる一翼いちよくを、この阿片あへん戦争せんそうからまれた書物しょもつになっていたことになります。それまで異国いこくせんはらいれいすなど強硬きょうこう態度たいどっていた幕府ばくふもこの戦争せんそう結果けっか驚愕きょうがくし、薪水しんすい給与きゅうよれいあらたにすなど欧米おうべい列強れっきょうへの態度たいど軟化なんかさせることになりました。そして、この幕府ばくふおよごしが、やがて倒幕とうばく明治維新めいじいしんへというおおきなながれとなり、日本にっぽん近代きんだい国家こっかへとまれわらせる端緒たんしょとなるのです。


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【4】薬物やくぶつ依存いぞんしょうとその治療ちりょう〜ダメ。ゼッタイ。〜

 薬物やくぶつ乱用らんようおそろしさはたん乱用らんようしゃ自身じしん精神せいしん身体しんたいじょう問題もんだいだけにまらず、家庭かていない暴力ぼうりょくなどによる家庭かてい崩壊ほうかいや、さらには殺人さつじん放火ほうか事件じけんなど悲惨ひさん事件じけん原因げんいんとももなるもので、それは社会しゃかい全体ぜんたいへの問題もんだい発展はってんする憂慮ゆうりょすべき問題もんだいです。
 ほんこうでは、薬物やくぶつ乱用らんよう薬物やくぶつ依存いぞん問題もんだいげ、最後さいご薬物やくぶつ依存いぞんからの回復かいふくほうについても解説かいせつしました。
薬物やくぶつ乱用らんよう現代げんだい若者わかものむしば危険きけんなクスリ〜

 うえでもくわしく紹介しょうかいしたように、ふるくは歴史れきしまねべばイギリスと中国ちゅうごくとのあいだたたかわれた阿片あへん戦争せんそうのように、薬物やくぶつ乱用らんよう放置ほうちすればそれは国家こっか存亡そんぼうにもかかわるきわめて重大じゅうだい問題もんだいとなりるのです。麻薬まやく覚醒剤かくせいざいといった危険きけんなクスリは、かる気持きもちで使つかっているうちにめられなくなるという「依存いぞんせい」と、乱用らんようによる幻覚げんかく妄想もうそうともなきずがい危険きけんせいがあるというおおきな特徴とくちょうがあるのです。いちだけのつもりがいつのにか中毒ちゅうどくとなり、いちしかない人生じんせいかえしのつかないものとなってしまう危険きけんせいはらんだ、このような薬物やくぶつ乱用らんようおそろしさを充分じゅうぶん認識にんしきし、薬物やくぶつ乱用らんよう問題もんだいかんがえなければなりません。
 そのためにもほんこうでは、青少年せいしょうねん危険きけんなクスリの関係かんけいについて以下いかでなるべくくわしく解説かいせつしました。
危険きけんなクスリにすな!

 薬物やくぶつ乱用らんようおそろしさは、たん乱用らんようしゃ自身じしん精神せいしん身体しんたいじょう問題もんだいまらず、家庭かていない暴力ぼうりょくなどによる家庭かてい崩壊ほうかい、さらには殺人さつじん放火ほうかなどといった悲惨ひさん事件じけん原因げんいんにもなるもので、ひいては社会しゃかい全体ぜんたいへの問題もんだい発展はってんするのです。さらに歴史れきしまねべば、イギリスと中国ちゅうごくのあへん戦争せんそうにもられるように、薬物やくぶつ乱用らんよう放置ほうちすればこのように国家こっか存亡そんぼうかかわるきわめて重大じゅうだい問題もんだいともなりるのです。
 とにかく麻薬まやく覚醒剤かくせいざいなどの薬物やくぶつは、使用しようしているうちにやめられなくなるという依存いぞんせいと、乱用らんようによる幻覚げんかく妄想もうそうともなきずがい危険きけんせいもかなりあるというおおきな特徴とくちょうがあります。いちだけのつもりが、いつのにか中毒ちゅうどくとなり、こうして、一度いちどきりしかない人生じんせいかえしのつかないものとなってしまうのです。実社会じっしゃかいしのおそろしきであるこのような薬物やくぶつ乱用らんようおそろしさをわたしたちも充分じゅうぶん認識にんしきし、薬物やくぶつ乱用らんよう問題もんだいかんがえたいものです。
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動
薬物やくぶつ乱用らんようとは?

 薬物やくぶつ乱用らんようとは、医薬品いやくひん本来ほんらい医療いりょう目的もくてきから逸脱いつだつした用法ようほう用量ようりょうあるい目的もくてきした使用しようすること、およ医療いりょう目的もくてきにない薬物やくぶつ不正ふせい使用しようすることをいますが、医療いりょう目的もくてき薬物やくぶつ元々もともと治療ちりょう検査けんさのために使つかわれるもので、それをあそびや快感かいかんもとめるために使用しようした場合ばあいは、たとえ1かい使用しようしただけでも乱用らんようたります。

 大体だいたい現代げんだいじんおおくは薬物やくぶつたいするただしい知識ちしきうすれています。くれぐれも注意ちゅういしたいものです。とにかく、医薬品いやくひん長年ながねん英知えいち結果けっかまれた産物さんぶつなので、治療ちりょうとうにはかせない大切たいせつなものであるはずです。医師いし指示しじしたがって用法ようほう用量ようりょうまもって使つかうことが大切たいせつです。
薬物やくぶつ乱用らんよう予備よびぐんはぐく現代げんだい社会しゃかい

 現在げんざいくにでは、きびしい取締とりしまり処罰しょばつ強化きょうかたいしても、覚醒剤かくせいざいやシンナーに代表だいひょうされる有機ゆうき溶剤ようざい乱用らんよう抵抗ていこうせいしめし、過去かこ経験けいけんした薬物やくぶつ乱用らんよう比較ひかくしていちじるしく長期ちょうきする傾向けいこううかがわれます。その理由りゆうとしては、これらの薬物やくぶつ入手にゅうしゅ可能かのうせいたかいこともその一因いちいんですが、やはり都市とし現象げんしょうなど現代げんだい社会しゃかい病理びょうりせいおおきな背景はいけいになっていることも乱用らんよう原因げんいんになっているのではないでしょうか。くににおいては、60年代ねんだい高度こうど経済けいざい成長せいちょう影響えいきょうによる生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょう都市とし現象げんしょうなど社会しゃかい構造こうぞうてき変化へんか指摘してきされていますが、とく次代じだいにな青少年せいしょうねん生育せいいく生活せいかつ環境かんきょうにおいては極度きょくどおおきな変化へんかがもたらされています。これらの変化へんか青少年せいしょうねん薬物やくぶつ乱用らんよう非行ひこうへとむすける温床おんしょうとなっているものとかんがえられます。
青少年せいしょうねん生活せいかつ環境かんきょう変化へんか


青少年せいしょうねん生活せいかつ環境かんきょう変化へんか
■1:  生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょうともなって価値かちかん多様たようし、社会しゃかいてき規範きはん低下ていかやサブカルチャーを容認ようにんする傾向けいこう助長じょちょうされていること
■2:  都市とし現象げんしょうともな自然しぜん環境かんきょうからの隔離かくり社会しゃかいてき連帯れんたいかんおよ日常にちじょう人間にんげん関係かんけい希薄きはく疎外そがいかん助長じょちょう都市としのもつ匿名とくめいせい享楽きょうらくてき風潮ふうちょうなどが助長じょちょうされていること
■3:  進学しんがくりついちじるしい上昇じょうしょう高学歴こうがくれき進行しんこう受験じゅけん準備じゅんび大衆たいしゅうともなって、ちこぼれる児童じどう生徒せいと続出ぞくしゅつしていること。また、教師きょうし生徒せいととの人格じんかくてきいが不足ふそくする傾向けいこうにあること
■4:  かく家族かぞく少子しょうし家族かぞく一般いっぱんてきとなり、だい家族かぞく従来じゅうらいっていた家族かぞく教育きょういく養育よういく機能きのう低下ていかする傾向けいこうにあること
■5:  情報じょうほう進展しんてんなかで、的確てきかく判断はんだん情報じょうほう選別せんべつりょく青少年せいしょうねん情報じょうほう洪水こうずい(たとえばアルコール飲料いんりょうのCMなど)にながされ、主体性しゅたいせいうしなおそれがつよくなるとともに、青少年せいしょうねんかんがかた行動こうどう感覚かんかくてきになってしまう傾向けいこうにあること
■6:  国際こくさい進展しんてんなかで、海外かいがい渡航とこうした青少年せいしょうねん大麻たいまなどの薬物やくぶつ乱用らんよう汚染おせんされて、その流行りゅうこうかえ危険きけんせい増大ぞうだいしていること など

青少年せいしょうねん好奇心こうきしん危険きけんなクスリ

青少年と薬物乱用のパターン


 青年せいねんは、おや社会しゃかい危険きけんだからと禁止きんししていることにも自分じぶんためしてみなくてはなか納得なっとくできない、その意味いみ好奇心こうきしん冒険ぼうけんしん年代ねんだいで、当然とうぜんながらそのことから様々さまざま発明はつめい発見はっけんもなされるでしょう。青年せいねん冒険ぼうけんには、一時いちじてき疾病しっぺいてき逃避とうひやサボりといった自我じが収縮しゅうしゅくてき冒険ぼうけんもあれば、また、喫煙きつえん飲酒いんしゅなどといった自我じが拡張かくちょうてき冒険ぼうけんもあります。そして、これらの願望がんぼう進行しんこうした病理びょうりてき段階だんかいでは、社会しゃかいてきあるいはん社会しゃかいてき行動こうどうとしてなんらかの治療ちりょうてき対応たいおう必要ひつようとなる場合ばあいもあります。
 なお、シンナーなど有機ゆうき溶剤ようざい吸引きゅういんなどの薬物やくぶつ乱用らんようは、自我じが拡張かくちょうてきはん社会しゃかいてき行動こうどうとしても自我じが収縮しゅうしゅくてきはん社会しゃかいてき行動こうどうとしてもられるものです。社会しゃかいでは社会しゃかいてき行動こうどうたいしては比較的ひかくてき同情どうじょうをもって対応たいおうすることが一般いっぱんてきですが、はん社会しゃかいてき行動こうどうにもおなじく愛情あいじょうをもって対応たいおうしてしいものです。
危険きけんなクスリをちかづけるな!

 麻薬まやくるいなかには、そのむかし人々ひとびと心身しんしんしょうじたあらゆる苦痛くつうしずめ、いかりやかなしみさえもいやしてくれる「奇跡きせきくすり」として存在そんざいしていたものもあり、そして、いまなお医薬品いやくひんとして「これにまさるものなし」とわれるものもあります。しかしながら「どくくすり紙一重かみひとえ」のたとえもあるとおり、どんなにすぐれたくすりであっても、ひとたびその使つかかたあやまるとおもいもよらぬ危険きけんな「両刃りょうばけん」となってしまう場合ばあいすくなくないのです。とく麻薬まやく覚醒剤かくせいざいなどの薬物やくぶつ精神せいしんてき依存いぞんしょう身体しんたいてき依存いぞんしょうつよ特徴とくちょうがあるため、わたしたちの肉体にくたい精神せいしんつよ作用さようして容易ようい慢性まんせい中毒ちゅうどくまねいたり、「薬物やくぶつ乱用らんよう」という重大じゅうだい問題もんだいこしたりします。さらに薬物やくぶつ乱用らんようによる弊害へいがいは、乱用らんようしゃ個人こじん心身しんしん荒廃こうはいさせるばかりでなく、平穏へいおん家庭かてい破壊はかいし、殺人さつじんなどの凶悪きょうあく犯罪はんざい誘発ゆうはつするなどひろ社会しゃかいおよぶもので、それは「えないおそろしいてき侵入しんにゅう」として、宣戦せんせん布告ふこくのない戦争せんそうにもたとえられるるかもれません。

 社会しゃかいてきであるクスリから健全けんぜん社会しゃかいもどすためにも、社会しゃかいじんとして責任せきにんあるもの全員ぜんいん協力きょうりょくし、責任せきにんかちってゆかねばなりません。問題もんだいかんがえられる以上いじょう深刻しんこく状態じょうたいになっています。とにかく東京とうきょう上野うえのあたりの公園こうえん現状げんじょうじつなげかわしいもので、正常せいじょう平凡へいぼん家庭かていにまでしろ魔手ましゅいましのっているのです。
薬物やくぶつ依存いぞんしょうとは?
薬物やくぶつ依存いぞんしょうとは?

薬物乱用から中毒へ


 薬物やくぶつ依存いぞんしょうとは、いわゆる精神せいしん疾患しっかんのひとつで、のうない神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつとして報酬ほうしゅうけいなどに作用さようする薬物やくぶつである“のう直接ちょくせつ作用さようする物質ぶっしつ”にたいする依存いぞんおおいとされますが、医学いがくじょうはあらゆる薬物やくぶつへの依存いぞん薬物やくぶつ依存いぞんしょうふくめられます。なお、以前いぜん薬物やくぶつ中毒ちゅうどくりゃくしてくすりちゅう)とわれたこともありますが、差別さべつ用語ようご薬物やくぶつ誘発ゆうはつされた精神せいしん疾患しっかんじゅうあつしになりやすい)にたることから、現在げんざいではほとん使つかわれていません。また、くわしくは後述こうじゅつしますが、薬物やくぶつ依存いぞん症状しょうじょうとしては、(1)精神せいしんてき依存いぞん(2)身体しんたいてき依存いぞんとにけることが出来できます。
 なお、薬物やくぶつ依存いぞんしょう以外いがいほか依存いぞんしょうには、のうない麻薬まやく多量たりょう分泌ぶんぴつする「状況じょうきょうへの依存いぞん」(れい:ギャンブル依存いぞんしょう、ショッピング依存いぞんしょうなど)や、あるいは「人間にんげん関係かんけい依存いぞん」(れいきょう依存いぞんなど)がげられます。さらに、精神せいしん疾患しっかん強迫きょうはくせい障害しょうがいともな気分きぶん変調へんちょうまぎらわすという目的もくてき薬物やくぶつ依存いぞんし、アルコール依存いぞんしょうなどにおちい場合ばあいかんがえられるケースです。それだけでなく、ニコチンにたいする依存いぞんしょうである喫煙きつえんのように、依存いぞんしゃ自身じしんやその周囲しゅういにいる他者たしゃ受動じゅどう喫煙きつえんとして悪影響あくえいきょうあたえることで、生活せいかつ習慣しゅうかんびょう重大じゅうだい死因しいん気管支きかんし疾患しっかん胎児たいじ影響えいきょうし、健康けんこうたいする影響えいきょう社会しゃかいてき甚大じんだいである薬物やくぶつもあります。ちなみにアルコールへの依存いぞんも、未成年みせいねんしゃのう発育はついく胎児たいじ生活せいかつ習慣しゅうかんびょう肝臓かんぞう疾患しっかん影響えいきょうしますが、これらを日本にっぽんでの社会しゃかいてき費用ひよう換算かんさんすると、喫煙きつえん社会しゃかい全体ぜんたいやくちょうえん損失そんしつ、アルコールは社会しゃかい全体ぜんたい医療いりょう収入しゅうにゅうげんなどをふくやくちょうせんおくえんになるとわれています。

 また、依存いぞんせいのある治療ちりょうやく濫用らんよう社会しゃかい問題もんだいとしてげられることもあります。たとえば覚醒かくせい作用さようのある薬物やくぶつで、眠気ねむけ発作ほっさてきこすナルコレプシーや、アメリカで注意ちゅうい欠陥けっかんどうせい障害しょうがい(AD/HD)に処方しょほうされるメチルフェニデート(リタリン)やアンフェタミンがその代表だいひょうです(※アンフェタミンは日本にっぽんではかくせいざい取締とりしまりほう覚醒剤かくせいざい指定していされ、規制きせいされています)。なお、日本にっぽんでは07ねんごろ「リタリン依存いぞん」が社会しゃかい問題もんだいし、きびしく管理かんりされるようになりました。そして、このような一部いちぶ不心得ふこころえしゃのために、リタリンを本当ほんとう必要ひつようとするAD/HDの患者かんじゃなどがリタリンの処方しょほうけられなくなって問題もんだいとなりましたが、そのような迷惑めいわくがかかるため、不適切ふてきせつ薬物やくぶつ利用りようにはくれぐれも注意ちゅういしなければなりません。


 とにかく薬物やくぶつ依存いぞんしょうは、意志いし人格じんかく問題もんだいがあるというよりも、依存いぞんおちいりやすいのうない麻薬まやく分泌ぶんぴつ正常せいじょう制御せいぎょ出来できない状況じょうきょうこした病気びょうきであるととらえることが出来できます。そして、「まだ大丈夫だいじょうぶだ」と問題もんだい否認ひにんだかをくくっているうちに、それらの薬物やくぶつ肉体にくたい精神せいしん、そして実生活じっせいかつ徐々じょじょ破壊はかいしてゆくのです。それは、家族かぞくなどの周囲しゅういをもみながら進行しんこうし、社会しゃかい生活せいかつ生命せいめい破滅はめついたることもけっしてまれではありません。なお、ここで薬物やくぶつを「法制ほうせいじょう禁止きんしされている薬物やくぶつ」という意味合いみあいにとらえ、とく麻薬まやく違法いほうとされるこう精神せいしんやく覚醒剤かくせいざいなどによる薬物やくぶつ依存いぞんしょうのことを言葉ことばとしてもちいられることがよくあります。(ちなみに、一般いっぱんてき幻覚げんかくざいにはつよ依存いぞんせいはなく、さらに薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょう良好りょうこう結果けっかられるものもあります。) 
精神せいしんてき依存いぞん身体しんたいてき依存いぞん

 依存いぞんしょう症状しょうじょうは、(1)「精神せいしん症状しょうじょう(いわゆる精神せいしん依存いぞん)」と、(2)「身体しんたいてき離脱りだつ症状しょうじょう(いわゆる身体しんたい依存いぞん)」とに分類ぶんるいすることが出来できます。ただし、(1)精神せいしん依存いぞんはあらゆる物質ぶっしつ(カフェインや糖分とうぶんなど食品しょくひんちゅうふくむものもふくむ)やあるしゅ行為こういられますが、一方いっぽうの(2)身体しんたい依存いぞんかならずしもすべての依存いぞんられるわけではありません。たとえば薬物やくぶつ以外いがいによる依存いぞんでは身体しんたい依存いぞん形成けいせいされないし、また、薬物やくぶつ依存いぞん場合ばあい身体しんたい依存いぞんともなわないものがあるからです。


精神せいしん依存いぞん
 薬物やくぶつとう使用しようのコントロールが出来できなくなる症状しょうじょう使用しよう中止ちゅうしすると、精神せいしんてき離脱りだつ症状しょうじょうとしてつよ不快ふかいかんち、該当がいとう物質ぶっしつさがすなどの行動こうどうられるようになるす。
身体しんたい依存いぞん
 使用しよう中止ちゅうしすることで痙攣けいれんなどの身体しんたいてき離脱りだつ症状しょうじょう(=退すさくすり症状しょうじょう、いわゆる禁断症状きんだんしょうじょう)が出現しゅつげんすることがある。

離脱りだつ症状しょうじょうたいせい

 離脱りだつ症状しょうじょうとは、摂取せっしゅした薬物やくぶつ身体しんたいから分解ぶんかい排出はいしゅつされて体内たいないからってきたさいこるイライラをはじめとした不快ふかい症状しょうじょういます。このような離脱りだつ症状しょうじょう回避かいひするために、ふたた薬物やくぶつ摂取せっしゅすることをかえして薬物やくぶつ依存いぞんすることとなのです。なお、アルコールのようにるえなどの身体しんたい禁断症状きんだんしょうじょう場合ばあいもあります。
 また、依存いぞんせい薬物やくぶつなかには、連用れんようすることによってその薬物やくぶつきにくくなるものがありますが、これを薬物やくぶつたいするたいせい形成けいせいびます。薬物やくぶつきにくくなるたび使用しようりょうえてゆくことがおおく、最初さいしょ少量しょうりょうであったものが、最後さいごには致死ちしりょうちかりょう摂取せっしゅするようになることすらあるのです。ちなみに、たいせい形成けいせいされやすい薬物やくぶつとして、アンフェタミンるいやモルヒネるい(オピオイドるい)、アルコールなどをげることが出来できます。
薬物やくぶつ依存いぞんしょうからの回復かいふくほう


薬物やくぶつ依存いぞんしょう回復かいふく
 たとえばニコチンの依存いぞんでは様々さまざま禁煙きんえんプログラムなどもかんがされています。

生理せいりてき回復かいふく
 摂取せっしゅした薬物やくぶつのうない本来ほんらいはたらいている物質ぶっしつたような物質ぶっしつとしてはたらきますが、この本来ほんらいはたらいているのうない物質ぶっしつをリガンド、摂取せっしゅしリガンドのわりにはたら薬物やくぶつはアゴニストとばれます。依存いぞんせいがある薬物やくぶつちゅう濃度のうどがってくると、生理せいりてき不快ふかい感覚かんかく離脱りだつ症状しょうじょうとしておもてわれ、ふたた薬物やくぶつ摂取せっしゅしたいという欲求よっきゅうたかまります。薬物やくぶつごとちゅう濃度のうど半分はんぶんになる半減はんげん薬物やくぶつ特性とくせいとしてかっています。これを治療ちりょうしゃがわ利用りようして、アゴニストとしてはたらいていた物質ぶっしつ不足ふそくすれば生理せいりてき不快ふかい離脱りだつ症状しょうじょうこるが、これをえてふたた薬物やくぶつ摂取せっしゅせずに薬物やくぶつ摂取せっしゅのために分泌ぶんぴつすくなくなっていたリガンドの分泌ぶんぴつ回復かいふくさせてゆくことで離脱りだつ症状しょうじょううすれさせ、依存いぞんしょうから回復かいふくすることが可能かのうとなります。

心理しんりてきなサポート
 アルコール依存いぞんしょうなどを回復かいふくする目的もくてきで、おなじような境遇きょうぐう人々ひとびとあつまっておたがいに影響えいきょうあたえる自助じじょグループがあり、様々さまざま依存いぞんしょうからの克服こくふく目的もくてきでよく利用りようされています。

参考さんこう1:幻覚げんかくざいによる心理しんり療法りょうほう
 ロシアの薬物やくぶつ乱用らんよう専門せんもん治療ちりょうおこなう精神せいしんのエフゲニー・クルピツキーは、過去かこ20年間ねんかんわたって麻酔ますいやくのケタミンを幻覚げんかくざいとして利用りようするアルコール依存いぞんしょう治療ちりょうおこなってました、111にん被験者ひけんしゃのうち66%がすくなくとも1年間ねんかん禁酒きんしゅ継続けいぞくし、対象たいしょうぐんでは24%であったなどのいくつかの報告ほうこくがあるそうです。また、ケタミンはヘロインの依存いぞんしょう患者かんじゃたいしても薬物やくぶつ利用りよう中断ちゅうだんする効果こうかられ、さらにアヘンの禁断症状きんだんしょうじょう減衰げんすいさせたともいます。また、幻覚げんかくざいのアヤワスカがアルコールや麻薬まやく常習じょうしゅうらしたという報告ほうこくもあるといます。

参考さんこう2:治療ちりょうとリハビリテーションのための社会しゃかい体制たいせい整備せいび
 薬物やくぶつ乱用らんよう早期そうき発見はっけんし、早期そうき治療ちりょうむすびつけるため、国連こくれん薬物やくぶつ犯罪はんざい事務所じむしょ(UNDOC)はつぎ社会しゃかい体制たいせい整備せいび必須ひっすとしています。
  • 薬物やくぶつ乱用らんよう早期そうき発見はっけんし、治療ちりょう施設しせつつないでゆく
  • 医療いりょう施設しせつのない地域ちいきにも活動かつどう拡大かくだいしてゆく
  • 医療いりょうしゃ・ソーシャルワーカー・カウンセラーらのチームによる精神せいしんてき社会しゃかいてき介入かいにゅう
  • カウンセリングや回復かいふくのための薬物やくぶつ治療ちりょう復職ふくしょくなど社会しゃかい復帰ふっきへの支援しえん協同きょうどう

薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょうとその実際じっさい

 覚醒剤かくせいざいやシンナーを中心ちゅうしんとする薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょう実際じっさいにどこで・どのようにおこなわれているのか、現在げんざいあまられていませんし、また、当人とうにんはもとより家族かぞくでさえも誤解ごかい偏見へんけんっている場合ばあいおおく、そのことが適切てきせつ治療ちりょうすすめてゆくうえでの障害しょうがいとなっていることがよくあります。なお、当事とうじしゃ周囲しゅうい状況じょうきょうによって治療ちりょう方法ほうほうわせは様々さまざまかんがえられます。実際じっさいには薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょう専門せんもんてきおこなっている医療いりょう機関きかんはまだ非常ひじょう限定げんていされているのが実情じつじょうですが、治療ちりょうはじめるにたっては、まずは適切てきせつ医療いりょう機関きかん個別こべつ相談そうだんされることをオススメします。
 そこで本節ほんぶしでは、薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょう方法ほうほうとして代表だいひょうてきみっつについて以下いか紹介しょうかい解説かいせつします。
1)通院つういん治療ちりょう

 多少たしょうなりとも当人とうにん薬物やくぶつ使用しようめようという意思いしがあり、精神せいしん症状しょうじょう幻覚げんかく妄想もうそう)が軽微けいびで、治療ちりょう継続けいぞく周囲しゅうい協力きょうりょくられる状況じょうきょうがある場合ばあいには、通院つういんによる治療ちりょう可能かのうです。

 通院つういんは、治療ちりょう開始かいし1〜2ヶ月かげつあいだは1週間しゅうかんに1頻度ひんどおこないます。内容ないようとしては、個人こじん精神療法せいしんりょうほう(カウンセリング)が中心ちゅうしんで、幻覚げんかく妄想もうそうといった精神せいしん症状しょうじょう有無うむ意欲いよく低下ていか抑鬱症よくうつしょうじょうなど)の程度ていどおうじて薬物やくぶつによる治療ちりょうあわせておこなわれます。現在げんざいでは、通院つういん治療ちりょうだけで回復かいふくしてゆくほうもたくさんいるそうです。
 個人こじん精神療法せいしんりょうほうでは、薬物やくぶつ依存いぞんしょうというやまい理解りかい疾病しっぺい教育きょういく)やこの問題もんだい具体ぐたいてき対処たいしょ方法ほうほうとう当人とうにん状況じょうきょうわせてかえはなわれ、当事とうじしゃ認識にんしきふかめてゆきます。薬物やくぶつ依存いぞんしょう治療ちりょうでは、実際じっさい生活せいかつ環境かんきょうなかでどうやってだんやくをしつづけてゆくかが回復かいふくへのおおきなかぎとなるからです。なお、当人とうにんのみならず、当人とうにんささえる周囲しゅうい人々ひとびと理解りかい非常ひじょう大切たいせつなので、家族かぞくたいするカウンセリングや家族かぞく療法りょうほうとうあわせておこなわれることもあります。
2)入院にゅういん治療ちりょう

 薬物やくぶつ連続れんぞく使用しよう継続けいぞくし、いちじるしい精神せいしん症状しょうじょう幻覚げんかく妄想もうそう状態じょうたい)や興奮こうふんないし混乱こんらんともなっている場合ばあいには、治療ちりょうはじめるにあたってまず入院にゅういん治療ちりょう必要ひつようになることがすくなくありません。入院にゅういん形態けいたいとしては、おおきくけると、(1)当人とうにん同意どういもとづく「任意にんい入院にゅういん」と、(2)保護ほごしゃ法律ほうりつ規定きてい)の同意どういもとづく「医療いりょう保護ほご入院にゅういん」とがあります。

 入院にゅういん期間きかんは、すう週間しゅうかん〜2ヶ月かげつ前後ぜんこう適当てきとうかんがえられています。入院にゅういん直後ちょくごは、入院にゅういんまえ薬物やくぶつ乱用らんよう疲弊ひへいした体力たいりょく回復かいふくするために必要ひつよう時期じきで、そのは、入院にゅういん治療ちりょうによる精神せいしん症状しょうじょう改善かいぜんられるもののやはり、薬物やくぶつたいする欲求よっきゅう依存いぞん依然いぜんつよ時期じきつづきます。そのため、この時期じきなんらかの理由りゆうによって退院たいいんしてしまうと、折角せっかく入院にゅういんだんやく契機けいきとならず、おおくは治療ちりょうそのものの中断ちゅうだんとなってしまいます。しかし、入院にゅういんすう週間しゅうかんぎるころから精神せいしんてきにもきをもどし、依存いぞん自分じぶん問題もんだいとしておだやかな態度たいど理解りかい出来できるようになり、薬物やくぶつわれていた、あるい幻覚げんかく妄想もうそう支配しはいされていた自分じぶんかえりみることが出来できるようになります。たとえ当人とうにんがわからると強制きょうせいてき入院にゅういんをさせられた場合ばあいにおいても、このような自覚じかく反省はんせい回復かいふくへの意思いしつよめるキッカケとなります。
 このように入院にゅういん治療ちりょう目標もくひょうは、精神せいしん症状しょうじょう改善かいぜんともに、薬物やくぶつ依存いぞん自分じぶん問題もんだいとしてとらえることが出来できるようにうながすことにあります。なお、退院たいいん生活せいかつにおいてだんやくつづけてゆくために、つづ通院つういん治療ちりょうけることやセルフヘルプグループなどに参加さんかしてみることがとても大切たいせつになるのは当然とうぜんのことです。
3)セルフヘルプグループ

 おな問題もんだいかっている人々ひとびとあつまり、おたがいの体験たいけんおもいを共有きょうゆうしたり、おたがいにささい、はげましいながら依存いぞんしょうというやまい克服こくふくしてゆくとして、自助じじょ組織そしき(セルフヘルプグループ)があります。こういった自助じじょ組織そしきは、依存いぞんしょう治療ちりょうなか重要じゅうよう社会しゃかい資源しげんのひとつとされています。

 自助じじょ組織そしき活動かつどう中心ちゅうしんは「ミーティング」とばれるもので、ミーティングの参加さんかしゃは、匿名とくめいないしはニックネームを名乗なのり、グループのなかひらかれた態度たいどみずからの体験たいけんだんかたる、といったスタイルでおこなわれます。こういったミーティングで出会であ仲間なかま存在そんざいは、だんやく継続けいぞくしてゆくための精神せいしんてきささえとなり、みずからの言葉ことばなやみやくるしみをかたることが、自分じぶん自身じしん自分じぶんかかえている問題もんだいへのづきとなります。そして、だんやく成功せいこうしているすうおおくのひとはなしみずからのだんやくけての具体ぐたいてき目標もくひょうつけるたすけともなります。
 なお、これら自助じじょグループは、たとえばアルコール医療いりょうでは「だんしゅかい」や「AA」「MAC」といったものが有名ゆうめいですが、薬物やくぶつ依存いぞんしょう分野ぶんやでは「DARC(ダルク)」や「NA」といった施設しせつ組織そしき活動かつどう展開てんかいしています。
参考さんこう相談そうだん施設しせつとリハビリ機関きかんの紹


参考さんこう関連かんれんホームページ
薬物やくぶつ乱用らんよう防止ぼうし「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ
http://www.dapc.or.jp/
NPO法人ほうじん 全国ぜんこく薬物やくぶつ依存いぞんしょうしゃ家族かぞく連合れんごうかいくすりれん
http://www.yakkaren.com/index.htm
全国ぜんこくダルク
http://www.yakkaren.com/zenkoku.html
東京とうきょうダルク
http://tokyo-darc.org/
参考さんこう関連かんれん書籍しょせき東京とうきょうダルク
http://tokyo-darc.org/shoseki.html


ダルクとは?
 ダルク(DARC)とは、ドラッグ(Drag:薬物やくぶつ)のD、アディクション(Addiction:嗜癖、病的びょうてき依存いぞん)のA、リハビリテーション(Rehabilitation:回復かいふく)のR、センター(Center:施設しせつ建物たてもの)のCをわせた造語ぞうごで、覚醒剤かくせいざい有機ゆうき溶剤ようざい(シンナーとう)、市販しはんやくその薬物やくぶつから薬物やくぶつ中毒ちゅうどく依存いぞんしゃ開放かいほうされるためのプログラムを民間みんかん薬物やくぶつ依存いぞんしょうリハビリ施設しせつのことです。ちなみに、ダルクのスッタフは全員ぜんいんがかつての薬物やくぶつ依存いぞんしゃで、あたらしい入寮にゅうりょうしゃ仲間なかまとなります。薬物やくぶつ依存いぞんしゃ同士どうし病気びょうきかちいをしながら回復かいふく生長せいちょうし、薬物やくぶつけっして使つかわないかた実践じっせんをしてゆくよう入寮にゅうりょうしゃ手助てだすけしてゆくための組織そしきとして設立せつりつされています。
 そのためダルクでは、入寮にゅうりょうしておななやみ(病気びょうき)を仲間なかまとフェローシップのなか回復かいふくするために場所ばしょ提供ていきょうをし、12ステップによるいままでとはちがかたをする「練習れんしゅう」でもあると規定きていされています。 施設しせつではミーティング(グループセラピー)をダルクまたはその自助じじょグループへの参加さんかにより1にちに2かい、また、午後ごごはレクリエーションで山登やまのぼりやソフトボール、スポーツジム、温泉おんせんなどにって“薬物やくぶつ使つかわないできる”ここからスタートします。そして、そのことを毎日まいにちつづけることでくすり使つかわないクリーンなかたをし、生長せいちょうしてゆくことが回復かいふくとなります。また、ダルクでは、自助じじょグループの参加さんか医療いりょう機関きかんとの連携れんけい薬物やくぶつ依存いぞんからの回復かいふくかせないプログラムの一環いっかんとしておこなわれています。


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