１．序文じょぶん

　２０世紀せいき終盤しゅうばんのバブル経済けいざいが崩壊ほうかいして早はや１０年余ねんよ、当時とうじのような

「大学だいがく ＝ テーマパーク」

という図式ずしきが成なりたなくなったことは、私わたしが言いうまでもなく誰だれしも感かんじるところであろう。


　実際じっさいに、新しん大学生だいがくせいに対たいするアンケートにおいて、「学生がくせい生活せいかつで何なにに最もっとも力ちからを入いれたいか」という問といに対たいして過半数かはんすうが「勉強べんきょう」という答こたえを返かえしている例れいもある。

　その理由りゆうには、この先行さきゆき不安定ふあんていな時代じだいのため、成績せいせき優秀ゆうしゅうとなり、安定あんていした企業きぎょうに入社にゅうしゃしたいという希望きぼうではないだろうか。

　しかし、少すこし考かんがえてみよう。長引ながびく不況ふきょうのために日本にっぽんの企業きぎょうは疲弊ひへいしきっており、ベアゼロは当あたり前まえ、財務ざいむ体質たいしつ改善かいぜんのためリストラの嵐あらしが吹ふき荒あれ、終身しゅうしん雇用こようはもはや神話しんわの時代じだいの産物さんぶつとなっている。しかもそれはいわゆる国際こくさい優良ゆうりょう企業きぎょうにおいても例外れいがいではないのである。

（2005.07.05追記ついき）ついに日本にっぽん最高さいこうと言いっていい、トヨタ自動車とよたじどうしゃが派遣はけん社員しゃいんを大幅おおはばに取とり入いれ、終身しゅうしん雇用こようを見直みなおすようになりました。他た企業きぎょうは言いわずもがなですね。

　このような状況じょうきょう下かにおいて、成績せいせき優秀ゆうしゅうとなって優良ゆうりょう企業きぎょうに入はいったとしても成果せいか主義しゅぎと人員じんいん削減さくげんによってボロボロになるまでこき使つかわれ、首くびを切きられないかどうかビクビクする毎日まいにちを送おくるのが関せきの山やまなのではないだろうか。


　ここで誤解ごかいしてほしくないのは、別べつに会社かいしゃ勤つとめを頭あたまから否定ひていするわけではない。

　私わたしはただ、

今いままでの労働ろうどうに対たいする価値かち観かんが通用つうようしなくなっている

と言いいたいのだ。

　では、どうしたらよいのだろうか？私わたしが思おもうに、社会しゃかい人じんとなって会社かいしゃに勤つとめることの目的もくてきは、収入しゅうにゅうを得え、生活せいかつを行おこなうことが主おもな目的もくてきであり、自己じこ実現じつげんややりがいなどは二にの次つぎであろう。
　そのため、勤つとめを辞やめることは生活せいかつ費ひが途切とぎれることとなり、会社かいしゃに縛しばられざるをえなくなっている。

　この不毛ふもうな労働ろうどうをどうにかするためには、会社かいしゃ勤つとめをしなくても十分じゅうぶん生活せいかつ可能かのうな収入しゅうにゅうもしくは蓄たくわえがあればよい。そうすれば、二にの次つぎになっていたことを第だい一いちの目的もくてきとして仕事しごとができ、より意義いぎのある人生じんせいを送おくることが出来できるだろう。

労働ろうどうを「楽たのしい」と思おもえる人生じんせいこそ最良さいりょうである

　私わたしがこのことを強つよく思おもうようになったのは、大学院だいがくいんに入学にゅうがくしてしばらくたった後ごであり、今いまにして思おもえばもっと早はやくに気きづくべきだったと悔くいている。

　しかし、自分じぶんはまだ学生がくせいの身分みぶんであり、社会しゃかい人じんとなっていないだけに、まだ救すくいがある。なぜなら、学生がくせいには社会しゃかい人じんにはない多おおくの特典とくてんがついているからだ。次つぎの章しょうからは、その特典とくてんについて触ふれたいと思おもう。

　最後さいごに、このサイトを見みた多おおくの若者わかもの諸君しょくんが有意義ゆういぎな人生じんせいを送おくることを、切せつに願ねがう。

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