コーポレート・ウォッチ(村上むらかみきよしやく)「エレファント&キャッスル・ショッピングセンター――ロンドンのジェントリフィケーションの「グラウンド・ゼロ」におけるたたかい」

2019/11/15 村上むらかみ きよし

はらちょ(Original text)】
◇CorporateWatch2, 2019, “Elephant & Castle Shopping Centre: The Battle at London’s Gentrification ‘Ground Zero'”, Corporate Watch, July 14, 2019, (https://corporatewatch.org/elephant-castle-shopping-centre-the-battle-at-londons-gentrification-ground-zero/).

エレファント&キャッスルは、ロンドンのジェントリフィケーションの「グラウンド・ゼロ」とばれてきた。わずかすうねんのうちに、このエリアはかげもなく変貌へんぼうしてしまった。公営こうえい住宅じゅうたく団地だんちとストリートマーケットの活気かっきあふれる近隣きんりんから、海外かいがい投資とうし所有しょゆうされこう所得しょとくしゃむガラスのちょう高層こうそうビルが林立りんりつする一帯いったいへと。

デベロッパーのつぎなるターゲットは、このエリアの中心ちゅうしんにあるショッピングセンターだ。そのふくあい施設しせつ構成こうせい――ある部分ぶぶんは1960年代ねんだい象徴しょうちょうてきデザイン(cf. →Link)、それ以外いがいはざくろせきかためたコンクリート――については議論ぎろんがあった。だが、それはまぎれもなく、多様たようせい労働ろうどうしゃ階級かいきゅう近隣きんりん――おおくのラテンアメリカじんたちのみせやカフェ、露店ろてん人気にんきのビンゴホール、すぐちかくのライブ会場かいじょう〈コロネット[Coronet]〉をゆうする――の、きた心臓しんぞうだ。

これらすべてが、不動産ふどうさん投資とうし企業きぎょう〈デランシー[Delancey]〉(この企業きぎょうかんするわたしたちの分析ぶんせきがこちら〔→Link〕)によって破壊はかいされ、「さい開発かいはつ」される。デランシーはまた、隣接りんせつする〈ワン・ザ・エレファント[One The Elephant]〉〔37かいて124mの高層こうそうタワーを中心ちゅうしんとする住居じゅうきょようアパート。なお原文げんぶんでは“Elephant One tower”としるされているが、これをすものと判断はんだんした〕にも関与かんよしている。これは、海外かいがい租税そぜい回避かいひつうじて巨大きょだい暴利ぼうりながらおこなわれる高級こうきゅう住宅じゅうたく開発かいはつであり、そこに「アフォーダブルな〔=手頃てごろ価格かかくの〕住居じゅうきょ」はまったくふくまれない。デランシーは、あたらしいショッピングセンターの計画けいかくにおいてもまた、地元じもと住民じゅうみんへの関与かんよ最小限さいしょうげんおさえるためにありとあらゆる可能かのう策略さくりゃくこうじてきた。

2018ねん7がつ、サザークは、持続じぞくてき地域ちいき抵抗ていこうちからによってなん先送さきおくりされてきたデランシーの新規しんき計画けいかくたいし、ついに建築けんちく許可きょかあたえた(cf. →Link)。この計画けいかくによると、ショッピングセンターは979しつのアパートにえられ、社会しゃかいてき賃貸ちんたい住宅じゅうたくはそのうちわずか116しつだ。そこにはまた、オフィス、ロンドン芸術げいじゅつ大学だいがく(UAL)ないの〈ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション(LCC)〉のしんキャンパス、そして小売こうりスペースができる予定よていだが、現存げんそんするショッピングセンターの業者ぎょうしゃはそのなかにほとんどふくまれない。敷地しきちないもしくは周辺しゅうへん位置いちする事業じぎょうしょのうち、これまで「移転いてん提案ていあん」をけたのは36てんだが(cf. →Link)、その2ばい以上いじょう業者ぎょうしゃ強制きょうせいてき縮小しゅくしょうもしくは退きと〔他所よそへの〕移転いてん直面ちょくめんしたままの状態じょうたいである。

デベロッパーは今年中ことしじゅう工事こうじはじめたいとおもっている。しかし商人しょうにんたちと反対はんたい運動うんどうたちはたたかいをやめない。後者こうしゃ現在げんざい司法しほう審査しんさ計画けいかく決定けってい異議いぎもうてている(cf. →Link)。運動うんどうは、日常にちじょうてきにそこを使つか必要ひつようとしている地元じもとひとたちのために、センターが存在そんざいつづけられるようにすることを目指めざしている。

司法しほう審査しんさ公聴こうちょうかいは、今週こんしゅうの7がつ17・18にちに、ストランドがい王立おうりつ裁判所さいばんしょおこなわれることになっている(cf. →Link)。

注意ちゅうい:ショッピングセンター計画けいかくのよりくわしい情報じょうほうとして、こちらの〈35%キャンペーン〉による詳細しょうさい報告ほうこく(→Link)も参照さんしょうのこと。

だれ関与かんよしているのか

エレファント&キャッスル・ショッピングセンターの開発かいはつかんして、だれ重要じゅうよう決定けっていくだしているのか? そして、だれがそこから利益りえきているのか? 以下いかはその張本人ちょうほんにんたちの一部いちぶのリストである。

◇デベロッパー:デランシー。開発かいはつ監督かんとくし、その合弁ごうべん会社かいしゃ〈ゲット・リヴィング〉をつうじて新築しんちく個人こじんたく賃貸ちんたいするつもりである。

デランシーの背後はいごには、多数たすう巨額きょがく資金しきん援助えんじょしゃがいる。ここには、デランシーとの協力きょうりょく関係かんけい敷地しきち所有しょゆうする以下いか投資とうしたちがふくまれる。

◇カタールの有力ゆうりょく一族いちぞく
◇オランダの年金ねんきん基金ききんマネージャー〈APG〉
◇カナダの年金ねんきん機構きこう〈OMERS〉の不動産ふどうさん会社かいしゃである〈オックスフォード・プロパティーズ〉
◇〈キンタイア〉――パナマで登録とうろくされ、パナマ文書ぶんしょつらねる不動産ふどうさん投資とうし媒体ばいたい

わたしたちは、デランシーとそのパートナーの投資とうしたちを、「会社かいしゃ概要がいよう報告ほうこく」(cf. →Link)でクローズアップしている。

だが、これらの直接的ちょくせつてき暴利ぼうり存在そんざい同様どうように、自治体じちたいふくむその主要しゅようパートナーの協力きょうりょくなしには、この計画けいかくりたなかっただろう。

地方自治体ちほうじちたい当地とうち労働党ろうどうとうのリーダー、ピーター・ジョンのもとにあるサザーク(サザーク・ロンドン自治じち)。かれはデランシーの計画けいかく支持しじし、許可きょかあたえた。
地方自治体ちほうじちたい:ロンドン市長しちょうとグレーター・ロンドンの議会ぎかい。ロンドン市長しちょうはロンドン全域ぜんいきの「戦略せんりゃくてき計画けいかく」をてる役割やくわりをもっており、意見いけんかれる計画けいかくであることを理由りゆう建築けんちく許可きょか阻止そしすることが可能かのうである。2018ねん12月、かれはサザーク支持しじし、この対立たいりつ介入かいにゅう(=対立たいりつ調停ちょうてい)することを拒否きょひした(cf. →Link)。
主要しゅようビジネスパートナー:ロンドン芸術げいじゅつ大学だいがく〈ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション〉。開発かいはつ敷地しきちないしんキャンパスを設置せっちする予定よてい(cf. →Link)。現地げんち運動うんどうたちがうには、このカレッジは、開発かいはつにおける実質じっしつてきな「アートウォッシング[artwashing]」の役割やくわりにない、また熱心ねっしんなロビー活動かつどうにより計画けいかく通過つうか支援しえんした。
◇〈ツリー・シェパード〉をふくほかのパートナー:「自営業じえいぎょう移転いてんのアドバイザー」(cf. →Link)としてやとわれたコンサルタントは、マーケットの業者ぎょうしゃたちが粛々しゅくしゅく退くよううながすことに一役ひとやくった(〈サザーク・ノーツ〉によるレポート〔→Link〕も参照さんしょうのこと)。

簡略かんりゃくした歴史れきし

ショッピングセンターのさい開発かいはつは、2002ねんから進行しんこうちゅうだ。まえのオーナー〈セント・モードウェン・プロパティーズ〉の計画けいかくでは、敷地しきちうえには住宅じゅうたく建設けんせつし、ショッピングセンターはえではなく改造かいぞうするつもりだった。しかしながら、金融きんゆう危機ききならびにサザークとの意見いけん相違そういによって、資金しきん提供ていきょう実現じつげんされず、その計画けいかくへの許可きょかりなかった。〈セント・モードウェン〉はその敷地しきちを2013ねんに8せんまんポンドで〈デランシー〉に売却ばいきゃくした。

エレファント&キャッスルのジェントリフィケーションにかかわるすべての事業じぎょうくわしいとき系列けいれつはこちら(→Link)を参照さんしょうのこと。

重要じゅうよう課題かだい:サザークの社会しゃかいてき浄化じょうか

ショッピングセンターは、〔エレファント&キャッスル〕全域ぜんいきのうち、議論ぎろんまとになっている「再生さいせい地帯ちたい中心ちゅうしん位置いちしている。〈エレファント&キャッスル協同きょうどう組合くみあい〉の公式こうしき発表はっぴょう(cf. →Link)によれば、「進行しんこうちゅうあるいは予定よていされている」、「かくとなる」プロジェクトが21ある。この最大さいだい規模きぼ開発かいはつは、ショッピングセンター以外いがい以下いか場所ばしょふくんでいる。

◇ワン・ザ・エレファント〔前出ぜんしゅつ注記ちゅうき参照さんしょう〕:すでにデランシーにより建設けんせつされた、ショッピングセンターに隣接りんせつする高層こうそうビルぐん不名誉ふめいよなことに、サザーク公約こうやくやぶり、「公的こうてき住宅じゅうたくひとつもない。

◇エレファント・パーク(かつてのヘイゲート団地だんち):長年ながねん抵抗ていこう先送さきおくりののち、2013ねんに、ヘイゲート団地だんちの1194公営こうえい住宅じゅうたくこわされた。そこは現在げんざいすうむねのぴかぴかの高層こうそうビルにわっている。2500をえるあたらしいアパートの範囲はんいがいにある「社会しゃかいてき賃貸ちんたい住宅じゅうたくかずは、100にもたない。デベロッパーは、オーストラリアを拠点きょてんとする企業きぎょう〈レンドリース〉である(この企業きぎょうかんするわたしたちのくわしい分析ぶんせきはこちら〔→Link〕を参照さんしょう)。
◇エイルズブリ団地だんち(cf. →Link):かつてロンドンで最大さいだい住宅じゅうたく団地だんちであり、当初とうしょは2700の公営こうえい住宅じゅうたく内包ないほうしていた。サザークは20ねん以上いじょうあいだ、その居住きょじゅうしゃたちをそうと画策かくさくしてきた。最新さいしん計画けいかくには、〈ノッティングヒル・ハウジング〉による新規しんき開発かいはつけて、団地だんちのこされた部分ぶぶんこわすことがまれている。それにより社会しゃかい住宅じゅうたくおおきく縮減しゅくげんされることになるが、一部いちぶ居住きょじゅうしゃ借地しゃくちじんたちはいまなお抵抗ていこうつづけている……。

これらをかんがわせると、エレファント&キャッスルできていることは、イギリス最大さいだいの「〔都市とし再生さいせい」の――もしくは社会しゃかいてき変質へんしつ陰謀いんぼうの――ひとつだ。グローバル資本しほんながれ、実際じっさいらす人々ひとびとのニーズをえた投資とうしたちの利潤りじゅん優先ゆうせん、そして現地げんちでの作業さぎょうによって、建造けんぞう環境かんきょう毎日まいにち経験けいけんつくえられている。対面たいめん取引とりひき売買ばいばい)のとコミュニティスペースは、贅沢ぜいたく生活せいかつ空間くうかん小売こうりてんチェーン、私有しゆうされた広場ひろばへとえられている。

サザークは、2012ねん3がつ発行はっこうした平等びょうどうかんするアセスメントペーパー(cf. →Link〔リンクさきのPDFデータの文書ぶんしょには、“June 2016”と発行はっこう年月としつき記載きさいされている〕)において、みずからそれをみとめている。

エレファント&キャッスルの再生さいせい住宅じゅうたく価格かかく上昇じょうしょうをもたらす可能かのうせいがあり、現在げんざいこの地域ちいきんでいるひとたちにとっては〔高価こうかすぎて〕ないものになるかもしれない。とりわけ、ひとりおや障害しょうがいしゃ黒人こくじんおよび少数しょうすう民族みんぞくのコミュニティ、高齢こうれいしゃたちにとっては。また、これ以上いじょうここにつづける金銭きんせんてき余裕よゆうのない人々ひとびと転出てんしゅつ余儀よぎなくされることで、コミュニティの希薄きはくこる可能かのうせいがある。

もちろんこれは、ロンドンにおける「社会しゃかいてき浄化じょうか」のさらにもうひとつのれいでもある。居住きょじゅうしゃおよび消費しょうひしゃとしてあらたによりゆたかな階級かいきゅう〔=富裕ふゆうそう〕が転入てんにゅうしてくることよって、よりまずしく、かつ/または民族みんぞくてき多様たようなコミュニティには、その地域ちいき高額こうがくすぎてない事態じたいとなる。〈35%キャンペーン〉がしめしているように(cf. →Link)、いわゆる「ヘイゲート・ディアスポラ」にあたる借家しゃくやじんたちは、こわされた団地だんちからとおくへ分散ぶんさんさせられ、SE17エリアないあたらしいいえたのはそのうちのわずか5ぶんの1だった。1997ねん以来いらい、135,000にんえるまずしいロンドン居住きょじゅうしゃたちは、同様どうよう計画けいかくによって強制きょうせいてき場所ばしょわれてきたのだ。

利益りえき税金ぜいきんのが

しかし、のいくらかの人々ひとびとは、この「社会しゃかいてき浄化じょうか」の外側そとがわで、とてもうまいことやっている。一般いっぱんに、このデランシーがくわだてているような「ビルド・トゥ・レント[Build to Rent]」〔販売はんばいようではなく賃貸ちんたいよう設計せっけいされた民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく物件ぶっけん言葉ことば。イギリスできゅう成長せいちょうしている新興しんこう市場いちばひとつ〕の計画けいかくは、年間ねんかん7.5%の投資とうし利益りえきりつ投資とうしがくたいする利益りえき割合わりあい〕を可能かのうせいがある(cf. →Link)。これは、従来じゅうらいがたの「ビルド・トゥ・セル」の開発かいはつによる利益りえき下回したまわるかもしれない。しかしながら、それはデベロッパーのリスクがすくなく、かつ長年ながねんにわたって確実かくじつ利潤りじゅんながれを長期ちょうき投資とうしである。

その利益りえき最終さいしゅうてきにどこにくのだろうか? エレファント&キャッスル・ショッピングセンターの場合ばあい、デランシーの合弁ごうべん会社かいしゃ〈ゲット・リヴィング〉が管理かんりする「ビルド・トゥ・レント」の物件ぶっけんからしょうじるすべての利益りえきは、カタール、オランダ、カナダ、そしてだい富豪ふごうのポケットへとんでいく。複雑ふくざつ関係かんけいする租税そぜい回避かいひ企業きぎょうは、その利益りえき最低さいてい限度げんどがイギリス国民こくみんまわることを確認かくにんするために利用りようされる。〈ゲット・リヴィング〉はすでに、ロンドンにあるアパートの賃貸ちんたいりょう所得しょとくから、としに3500まんポンドの収益しゅうえきている(cf. →Link)。(よりくわしい情報じょうほうわたしたちが作成さくせいしたデランシーの会社かいしゃ概要がいよう原文げんぶんのリンクがおかしな状態じょうたいになっているが、内容ないようてきておそらくこのページ[→Link]のことかとおもわれる〕を参照さんしょうのこと。

社会しゃかい住宅じゅうたくはどうなるのか?

政治せいじやデベロッパーたちが計画けいかくとおすために使つか主要しゅよう議論ぎろんひとつが、よりおおくの住宅じゅうたく必要ひつようせいというものだ。しかしそれはだれ住宅じゅうたくだ? これまでのところ、エレファントの開発かいはつ圧倒的あっとうてき民間みんかんの〔物件ぶっけん販売はんばい賃貸ちんたいのためのものであり、それは大抵たいてい富裕ふゆう海外かいがいのバイヤーにむものだった。

表向おもてむきは、サザーク新規しんき開発かいはつで35%の「アフォーダブル住宅じゅうたく」を確保かくほし、その半分はんぶんは――公営こうえい住宅じゅうたく等価とうか推定すいていされる――「社会しゃかいてき家賃やちん」の住宅じゅうたくてる、という方針ほうしんである。しかし実際じっさいは、デベロッパーがこの方針ほうしんをばかにしてしたがわないことを、日常にちじょうてき容認ようにんしてきた。実際じっさいに、2017ねんまでの5年間ねんかんで、全体ぜんたい新築しんちくアパートのうち「アフォーダブル」なものはわずか28%であり(cf. →Link)、社会しゃかいてき家賃やちん物件ぶっけんはその半数はんすう以下いかであった。デランシーのワン・ザ・エレファントの開発かいはつ計画けいかくは、社会しゃかい住宅じゅうたくひとつも設定せっていしていなかったのに、ばっせられずにやりおおせた。

デベロッパーの当初とうしょのショッピングセンター開発かいはつ計画けいかくは、また悲惨ひさんなものだった。979のアパートのうち、「社会しゃかいてき家賃やちん」の住宅じゅうたくは33しかなかった(cf. →Link)。地域ちいき運動うんどうがなんとかそれをある程度ていどまでもどし、最新さいしん計画けいかくでは社会しゃかいてき家賃やちん住宅じゅうたくが116、そのうち寝室しんしつが3つのいえが28ふくまれている。それとはべつに、仲介ちゅうかいの、もしくはいわゆる「アフォーダブル」――すなわち、わずかに一般いっぱん市場いちば水準すいじゅん以下いかではあるが、しかしいまだだい多数たすう地元じもと住民じゅうみんにとっては手頃てごろ価格かかくとは程遠ほどとおい――な家賃やちん住宅じゅうたくが214できる予定よていだ。

この譲歩じょうほは、運動うんどうたちが苦労くろうしてやっと獲得かくとくしたものだ(cf. →Link)。しかしそれでもまだサザーク公式こうしき目標もくひょう下回したまわっており、ヘイゲート団地だんちとエイルズブリ団地だんちでのすうせん公営こうえい住宅じゅうたく喪失そうしつかんがえれば本当ほんとうにわずかなものだ。

さらに、「社会しゃかいてき賃貸ちんたい住宅じゅうたくがいつ実際じっさい建設けんせつされるのかというてんでは、運動うんどうたちはまだ納得なっとくしていない(cf. →Link)。計画けいかく協定きょうてい詳細しょうさいると、それらは開発かいはつだい2段階だんかいである「西側にしがわ」エリアに着手ちゃくしゅしたさいにのみ建設けんせつされることになっている。それはこのさき10ねんのうちにはこらないかもしれない。

地元じもと商売しょうばいはどうなるのか?

この区域くいきには100をえる活動かつどうちゅう業者ぎょうしゃ商店しょうてん)が存在そんざいする。開発かいはつ計画けいかく〕では、50まん平方へいほうフィートの小売こうりスペースが約束やくそくされていて、これは現在げんざいのショッピングセンターの327,000平方へいほうフィートより拡大かくだいされることになる。それにもかかわらず、いまいる業者ぎょうしゃだい部分ぶぶんは、移転いてんさき保証ほしょうなしに排除はいじょされている。

地元じもと商人しょうにんたちと支援しえんしゃたちによるはげしい運動うんどうけて、の2019ねん1がつ計画けいかく協定きょうていでは、デランシーに開発かいはつの「影響えいきょう緩和かんわする」ための「さい配置はいち戦略せんりゃく」をまさせることになった。これによりデベロッパーは、業者ぎょうしゃ移転いてんのために634,700ポンドを確保かくほしなければならない。

しかしながら、これをいている時点じてんで、「移転いてん」の提案ていあんけたのはわずか36てんぎない(cf. →Link)。おおくはなにもなされずにかれるだろう。

そしておおくの業者ぎょうしゃはすでにされている。ショッピングセンターはゴーストタウンしつつある。デランシーとそのパートナーたち――経営けいえい代理人だいりにん〈サヴィルズ〉、ならびに「さい配置はいちパートナー」たるコンサルタント〈ツリー・シェパード〉――は、かねてから建物たてもの無人ぶにんすることに奔走ほんそうしている。

たとえば、センターのうえかいのオフィスにある〈ハンニバル・ハウス〉の入居にゅうきょしゃたちは、2018ねんなつされた。そのおおくは、地域ちいきのコミュニティに奉仕ほうしする慈善じぜん団体だんたいおよび営利えいり組織そしきだった。いちれいとして、くさ労働ろうどう組合くみあい〈ユナイテッド・ヴォイシズ・オブ・ザ・ワールド〉がある。

2019ねん3がつまつまでに、〈ロンドン・パレス・ビンゴ〉が閉鎖へいさされた。ここは人気にんきのコミュニティスペースで、しゅうに7500にん人々ひとびとがビンゴをたのしんでいた。きゃくやく半数はんすうは65さい以上いじょうで、やく3ぶんの2が黒人こくじんのアフリカじんもしくはカリブけい出自しゅつじだった。これは〈チャーリー・チャップリン・パブ〉ならびにビクトリアあさのナイトクラブ/劇場げきじょう〈コロネット〉の閉鎖へいさくわえてこったことだ。業者ぎょうしゃは、先行さきゆきにたいする確実かくじつせいによって、移転いてん準備じゅんびをするか、多額たがく資産しさんうしなうかのいずれかをせまられている。

定評ていひょうのあるラテンけいスポット〈ラ・ボデギータ〉・〈ディストリアンディーナ〉のようなほかみせは、移転いてん提案ていあんけたが、それはわる条件じょうけんだった。商売しょうばい規模きぼ大幅おおはば減少げんしょうする可能かのうせいがあり、それはナイトクラブやライブ会場かいじょうのような閉鎖へいさ可能かのうせい同様どうように、ロンドンのラテンアメリカじんコミュニティにおおきなダメージをあたえるだろう。

いくらかの業者ぎょうしゃは、デランシーとその「パートナー」による提案ていあん移転いてん契約けいやくれている。これには、キャッスル・スクエア、ペロネ・ハウス、そしてワン・ザ・エレファントの中心ちゅうしん区域くいき周辺しゅうへん位置いちする建物たてものないでの賃料ちんりょう値下ねさげがふくまれている。しかしながら、移転いてんはそうした業者ぎょうしゃにさえも負担ふたんす。ほとんどの業者ぎょうしゃ規模きぼ縮小しゅくしょういられており、それは全体ぜんたいで4000平方へいほうメートルの商業しょうぎょう面積めんせきじゅん損失そんしつをもたらす。

◆キャンペーン

サザークがデランシーとぐるになるのにたいして、地元じもと人々ひとびと組織そしきして現地げんち抵抗ていこうしている。エレファント&キャッスル・ショッピングセンターは、つよ組織そしきてき地域ちいきコミュニティがいかにしてトップダウンで利潤りじゅん追求ついきゅうさい開発かいはつ計画けいかく抵抗ていこうしうるのかをしめす、最高さいこうれいだ。たとえまだ、より地域ちいき理解りかいした、人々ひとびと主体しゅたい計画けいかくができるよう、その策動さくどう廃止はいしすることには成功せいこうしていないとしても。

〈アップ・ザ・エレファント〉キャンペーン(cf. →Link)は、ショッピングセンターの計画けいかく以下いかてん異議いぎもうてるためにあらわれた。

◇「社会しゃかいてき家賃やちん」で利用りようできる住宅じゅうたく公営こうえい住宅じゅうたく等価とうか民間みんかん物件ぶっけん)のかずすくないこと。
◇ショッピングセンターを使つか民族みんぞくてき多様たようなコミュニティへの影響えいきょう軽減けいげんする措置そちおこたっていること。たとえばここは、ロンドンのラテンアメリカじん住民じゅうみんつど中心ちゅうしんである。
計画けいかくでは現在げんざいこの区域くいき存在そんざいするおおくの小規模しょうきぼ事業じぎょうしゃたいしての〔経済けいざいてき支援しえん不十分ふじゅうぶんであること。

この運動うんどうは、以下いか組織そしきゆるやかな連合体れんごうたいである。

Southwark Notes
◇Elephant Amenity Network / The 35% Campaign
The Latin Elephant
Southwark Law Centre
Southwark Defend Council Housing
◇Elephant and Castle Traders Association
Stop the Elephant Development ― UAL student campaign.

◆すべてがうしなわれたわけではない――司法しほう審査しんさ継続けいぞくちゅう運動うんどう

キャンペーンは現在げんざい計画けいかく認可にんかくつがえすことを目指めざ司法しほう審査しんさ(cf. →Link)を中心ちゅうしん展開てんかいしている。

キャンペーンが要約ようやくするところによれば(cf. →Link):

計画けいかく認可にんか無効むこうもとめる論拠ろんきょは、サザーク計画けいかく委員いいんかいが、計画けいかくじょう供給きょうきゅう可能かのうなアフォーダブル住宅じゅうたく上限じょうげんについてかんがちがいをしていることにある。デランシーは、116の社会しゃかいてき家賃やちん住宅じゅうたくしか供給きょうきゅうする余裕よゆうはないとった。しかしわたしたちはいま、市長しちょう財政ざいせいてき支援しえんによってあと42が供給きょうきゅう可能かのうであることをっている。

法的ほうてき異議いぎもうては2019ねん3がつ開始かいしされた。これは〈公共こうきょう法律ほうりつ相談そうだんしょ〉(cf. →Link)と〈サザーク法律ほうりつ相談そうだんしょ〉(cf. →Link)に支援しえんされている。

裁判所さいばんしょ審問しんもんは、いまのところ7がつ17・18にちにストランドがい王立おうりつ裁判所さいばんしょおこなわれることになっている(cf. →Link)。

訳者やくしゃより:書式しょしきかんして】リンク・太字ふとじ斜体しゃたいならびにあらため段落だんらく原文げんぶん反映はんえいしている。〔 〕ない訳者やくしゃによる補足ほそくである。


参考さんこう
◇Artists Against Social Cleansing, 20190127, “We Stand Opposed to the Use of Art to Artwash Social Cleansing”, (https://twitter.com/ArtistsASC/status/1089459559008219137).=20190307 村上むらかみきよしやく「アートウォッシュによる社会しゃかいてき浄化じょうかへのアートの活用かつよう反対はんたいする!」はんジェントリフィケーション情報じょうほうセンター
村上むらかみきよし 20190529 佐藤さとう由美子ゆみこ×村上むらかみきよし「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化ぶんか・アクティヴィズムの観点かんてんから」(『支援しえん』Vol.9)にかんする補足ほそく説明せつめいはんジェントリフィケーション情報じょうほうセンター
佐藤さとう由美子ゆみこ×村上むらかみきよし司会しかい堅田かただ香緒里かおり) 20190531 「[トークセッション]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化ぶんか・アクティヴィズムの観点かんてんから」支援しえん』9: 151-181


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この作品さくひんクリエイティブ・コモンズ 表示ひょうじ営利えいり 3.0 移植いしょく ライセンスした提供ていきょうされています。