天外魔境II 卍MARU(Tengai Makyou II: Manjimaru)とは、1992年にハドソンがPCエンジンで発売した超大作ロールプレイングゲームである。
PCエンジンを代表するゲームソフト。キャッチコピーは……
わが道に敵なし!
概要
「天外魔境II 卍MARU」は、黄金の島国ジパングを舞台にした中世和風ロールプレイングゲームである。
1992年3月26日にハドソンがPCエンジンSUPER CD-ROM2用に開発・販売した。
天外魔境シリーズの第2作目にあたり、「火の一族」と「根の一族」の「運命」に縛られた戦いを描いた壮大な物語で、本作では京都を中心とした大和地方(西日本)の17国が舞台となっている。
CD-ROMの大容量を活かした豪華声優陣による音声演出とビジュアルシーン、オーケストラ音楽、60時間を超える長大なプレイ時間等、同時代の一般的なRPGと比較しても異色の大作となっている。
リメイクや移植も複数行われているが、この記事では、特別な注釈がない場合は基本的にオリジナルであるPCエンジン版について記載している。
リメイク版ではタイトルが「天外魔境II MANJIMARU」に変更されている。
スタッフ
※PCエンジン版 オリジナルスタッフ
プロローグ
宇宙の創造主は二人の神を産み出した。
神の名は、マリとヨミ。
主の手から放たれたマリとヨミは、悠久の時間と空間を旅し、やがて生命に満ちあふれた青い星を見つけた。
二人の神はその星へと降り立ち、一つの世界を創造した。
その世界を人々はこう呼ぶ。
「ジパング」と。
そのジパングに、ある時、暗黒ランと呼ばれる巨大な花が出現した。
ヨミは暗黒ランと「根の一族」の怪物たちを操り、瞬く間にジパングを制圧していった。
全土が侵略されるかと思われたその時、どこからともなく現れ、怪物たちに挑んだ者たちがいた。
「火の一族」である。
「根の一族」と「火の一族」の戦いは数千日にも及んだが、長く激しい戦いの末、
「火の一族」は七本の聖剣の力を使い、ヨミと暗黒ランを地下深くへと封じることに成功する。
しかし、その戦いの中で「火の一族」もまた滅んでしまったという。
そして千年の平和な月日が流れ、人々の記憶から暗黒ランの悪夢が消え去ろうとしていた頃、
ジパングの西方・大和地方の支配者タイクーンの元へ、三博士と名乗る異形の者たちが現れる。
「ヨミと暗黒ランの力を利用すれば、ジパング全土はタイクーン様のものとなりましょう」
千年前の悪夢が、今、ジパングで繰り返されようとしていた……。
登場人物
七本の聖剣と暗黒ラン
根の一族によって封印を解かれ、各地に出現した「暗黒ラン」と「根の城」。
大和地方の各地に咲いた「暗黒ラン」の巨大な根は、マップ上の障害物として卍丸たちの行く手を阻む。
「暗黒ラン」を斬り倒し、その根を取り除くことがゲームの大きな目的となる。
「暗黒ラン」を切る手段はただひとつ。根の一族に奪われた七本の「聖剣」を取り戻すしかない。
そのためには、国中の町や村を巡り、敵と戦いながらダンジョンを突破し、新たな乗り物を手に入れ、敵の拠点である「根の城」を目指さなければならない。
ゲームシステム
火の勇者たちの能力
主人公の卍丸たちは、戦闘で徳(経験値)を積むことで、段(レベル)が上がり、体(HP)や技(MP)などの能力が上昇し強くなっていく。
段が上がったキャラは、その場で体や技が全回復し、瀕死(体が0)を含むすべての状態異常も回復する。
また、フィールド上を歩くことで少しずつ体や技が回復し、瀕死や状態異常も回復する。
戦闘中に瀕死になったキャラは技値も0になってしまい、主人公の卍丸が瀕死になった場合は、他の仲間が元気な状態でも敗走(全滅)してしまうことになる。
敗走した場合は、各地の復活地点まで戻されてしまうが、それまでに稼いだ徳やお金はそのままで失われることはない。
多くの場合、復活地点は各国にひとつずつあり、宿や民家にいる親切な人々に話しかけることで場所が上書きされる仕組みとなっている。
また、宿に泊まることで記録(セーブ)が可能で、呪われた武具の解除も行われる。
戦闘
町の外や洞窟などのフィールドを移動中に、敵と遭遇すると戦闘画面に移行する。
戦闘は、素早さの高い順にひとりずつ行動を選択するターン制のコマンドバトルで行われる。
仲間の行動は「作戦」コマンドから委任(オート)を選択することも可能で、行動パターンも3つの項目で指定できる。
一般的なRPGとの違いとして、最初から敵の体(HP)が数値で画面に表示されているのが特徴的である。
卍丸が瀕死(体が0)になるか、すべての敵を倒すか、すべての敵を突破するか、いずれかの場合に戦闘が終了する。
「突破(逃走)」コマンドを使用することで、敵の数を減らすことができ、全員を振り切った場合は戦闘が終了する。
突破の確率は素早さが高ければ高いほど成功率が上がり、戦闘中に術で素早さを変化させた場合でも変動するほか、敵を行動不能にしたり「逃水」の術を使った場合には確実に逃げることができる。
突破に成功した場合でも、それまでに倒した敵の徳や金は入手できる。
また、「備え」コマンドには「守る」「かばう」「よける」の3種類があり、卍丸がやられてしまうと即全滅となるため、特に「かばう」は戦術上重要な要素となっている。
他のキャラで卍丸をかばわせたり、体力の高い極楽で全員をかばわせる等すれば危機を脱することもできる。
「戦う」を選択した際には、まれに会心の一太刀(ダメージ2倍)や連続攻撃が発生する。
会心の一太刀は、通常1/64の確率で発生するが、主人公の卍丸だけは体力が1/4以下になると確率が4倍に上がる。
連続攻撃は、敵との比較で段と素早さが高いほど発生確率が上がり、最大で8回連続で攻撃する。
巻物と道具
術を使用するためには、各地の天狗の庵でもらえる「巻物」が必要となる。
巻物は持ち物として、仲間に渡したり交換することができるため、誰に何の巻物を持たせるかが重要なポイントになっている。
また、「巻物」や「道具」はキャラによって持てる数が違う。
道具は卍丸とカブキが6個、極楽が9個、絹が3個。巻物は卍丸とカブキが14個、極楽が7個、絹が21個。
乗り物
ゲーム中には船や戦車などの数多くの乗り物が登場する。
乗り物を手に入れると、それまで行けなかった新しい場所へ行けるようになり、根の城へ乗り込むための手段となる。
一部の乗り物には、戦闘中に使える武器が搭載されており、使用可能な場合にはコマンドメニューの右下に「砲撃」や「火炎」等の特殊コマンドが追加される。また、移動中にも使える特殊コマンドがあり、その場合はコマンドメニューから選択して「砲撃」や「瞬移」等を実行する。
また、乗り物を見失ってしまった場合は、最初に手に入れた場所に戻ることで再び発見できるようになっている。
ヘルプメニュー
フィールドを移動中にセレクトボタンを押すことで、ヘルプメニューを呼び出すことができる。
「地図」を開くと、各国ごとのマップが全画面で表示され、卍丸たちの現在地と、すでに立ち寄った町や村の位置が合わせて表示される。山や川などの地形の他、隣国とのつながりを確認できるようになるが、ダンジョンや天狗の庵の位置はすでに侵入したことがあっても記録されない。(※リメイク版では表示される)
ただし、「地図」は洞窟や城や町の内部では使うことができない。
「モード」で各種オプションの設定、「作戦」で委任(オート戦闘)の設定が行える。
戦闘指南
素早さの重要性
ゲーム中、NPCの台詞でも何度も言及されるが、本作は素早さの能力値が特に重要な要素となっている。
素早さが上がれば上がるほど、戦闘中での行動機会が増え、攻撃の命中率や回避率、突破の成功率、連続攻撃の発生確率などが上昇する。
これらの補正は、敵との能力差を比較して決定されるため、装備品(特に足防具)の更新を怠った場合や段が低めの状態だと、格段に不利になってしまう恐れがある。
敵が強くて先に進めない場合やなかなか攻撃が命中しない場合には、足防具を最新のものに変えるか、段を上げることで有利になる。
戦闘中は「風蛇」や「泥虫」の術はなるべく切らさないように使うと、素早さの効果を実感しやすい。
命中率問題の解決法
素早さを上げても通常攻撃がなかなか敵に当たらない場合には、攻撃が必ず当たる奥義や術を使うことで解決できる。
特に有効なのが、卍丸が中盤で習得する奥義「義経斬」、極楽の奥義「大振り」。
これらの奥義は攻撃対象となる敵の数が多いほど命中率が下がるが、反対に、敵が1体のときには命中率が100%になり必ず当たるようになっている。
また、敵の動きを止める「胴締め」や「凍竜」等の技が成功している間は、攻撃を回避されることはない。
属性と術の成功率
すべての敵は、火・雷・風・氷の四属性と弱体化の術に対してそれぞれ耐性が設定されている。
弱、並、中、強
水辺の敵には雷がよく効いたり、炎の敵には火の術が効かなかったりする。
守備力が高い敵や術が通用しない場合には、弱点を突いた属性で攻撃することで有利に戦うことができるようになっている。
術の成功率は、段が上がれば上がるほど上昇していくため、序盤では役にたない状態異常系の術も終盤はかかりやすくなるため、術の成功率をアップさせる巻物「花咲」と合わせて積極的に使っていきたい。
技(MP)は段が上がる際に回復するので、もう少しで段が上がりそうなキャラへ一時的に巻物を渡して使う方法もある。
強化系の術は巻物が違っていれば効果が重複するため、力王と火蛇、金剛と石蛇は合わせて使うと戦力を大幅に強化できる。その際、上昇する能力値は戦闘中の現在値を元に計算されているため、守備力を上げたい場合は先に金剛がかかっている仲間に石蛇をかけることで、石蛇で上がる守備の値を通常より伸ばすことができる。
巻物(術)の一覧
※のついた術は、終盤に絹も使用できるようになる。
有効な戦術
序盤
中盤
終盤
戦闘中に使う武具や道具
武器や防具には戦闘中に使うことで術の効果が発生するものがあり、黄金虫の卵等を売ってお金を稼いでおけば、早い段階から「快刀木枯し」や「秘剣不知火」等を手に入れることで格段に楽に戦うことができるようになる。
弁天の兜や天照の剣等には戦闘中に使うと、体力回復の効果がある。何度でも使えるため技を節約できて大変便利。
便利な武具と道具の一覧
霊薬の効果
道具の霊薬には骨、血、月、虫、猫、影、夜、灰の8種類があり、その効果はゲームを最初から始めた時にランダムに決定される。
効果を確かめるためには、霊薬を実際に使ってみるしかない。
また、各地に設置されている赤色の宝箱(百鬼夜行の箱)の中身には、これらの霊薬の名前の付いた武具(骨、影、月、夜の4種類)が入っており、戦闘中に使うことで対応した霊薬の効果が発生する。武具は何度使っても壊れないため、技回復効果等の有用な効果がついた武具が手に入れられた場合は、ゲーム中盤以降の攻略が圧倒的に有利になる。
ただし、百鬼夜行の箱はその名の通り100体の敵を倒す必要があるため、簡単には入手できない。
百鬼夜行の箱
大和地方の国々
声優一覧
8人の孤児たち
条件を満たすと、各地に親を亡くした孤児たちが現れる。
孤児の名前は当時のアイドルから。
話しかけると火多・白川村の卍丸の家へ引き取られる。リメイク版ではウインドウの選択色が追加される。
孝子の文
条件を満たすと、預かり所に孝子から卍丸宛ての手紙が届くようになる。
製作スタッフの広井王子氏が過去に体験した実話が元ネタとのこと。
手紙の内容を仲間に見せると、信頼度が落ちる……らしい。
リメイク・移植
※今からプレイするなら、修正が最も少ない「PCエンジン mini」版がおすすめ。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ・チャンネル
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関連項目
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ページ番号: 5594571
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リビジョン番号: 3223831
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