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がん判定をAIが支援!生命科学を画像解析で変革するエルピクセル (1/3) : - ASCII STARTUP

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がん判定はんていをAIが支援しえん生命せいめい科学かがく画像がぞう解析かいせき変革へんかくするエルピクセル

未来みらい生活せいかつえる画像がぞうデータをじくにしたイノベーション

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 世界せかいのライフサイエンス(生命せいめい科学かがく領域りょういきにおける研究けんきゅう臨床りんしょう現場げんばおおきくわるかもしれない。

 ビッグデータ時代じだい到来とうらいさけばれてひさしいが、同時どうじ現場げんばではめまぐるしいいきおいでデータりょう増加ぞうかしている。医療いりょう現場げんばれいげれば、CTやMRI(身体しんたい断面だんめん画像がぞう検査けんさ)の画像がぞうデータりょうは10ねんまえくらべ100ばいものいきおいでつづけ、医師いし診断しんだんのため日々ひびすうまんまいもの画像がぞううことになった。研究けんきゅう開発かいはつ現場げんばでもこうした画像がぞう解析かいせき必須ひっすだが、自身じしん専門せんもん分野ぶんやとはべつ画像がぞう処理しょりかんする教育きょういくけたことのある人材じんざいすくない。つづけるデータにたいしそれを解析かいせきする人材じんざいとぼしいのが実情じつじょうだ。

エルピクセルが3がつにリリースしたばかりのLP-Classifier。人工じんこう知能ちのう機械きかい学習がくしゅうによる画像がぞう自動じどう分類ぶんるいソフトウェアで、研究けんきゅうでの目視もくしによる評価ひょうかラベル付らべるつ作業さぎょうのサポートをおこなう。

 こうした課題かだい画像がぞう解析かいせきという側面そくめんから解決かいけつすべくがったのが、東大とうだいはつベンチャーのエルピクセル株式会社かぶしきがいしゃ(LPixel Inc.)だ。同社どうしゃ共同きょうどう開発かいはつ自社じしゃ開発かいはつ教育きょういくの3つをビジネスモデルのはしらかかげる。事業じぎょうれい研究けんきゅうのワンストップ・コンサルテーション、人工じんこう知能ちのう(AI)の画像がぞう解析かいせきによるがんの検出けんしゅつ研究けんきゅうしゃたいする画像がぞう処理しょり教育きょういくなど、いずれも研究けんきゅう臨床りんしょう現場げんば効率こうりつするみだ。

 なかでもAIによる画像がぞう解析かいせき技術ぎじゅつは、画像がぞう処理しょりのスキルをたない研究けんきゅうしゃでも画像がぞうあつかいを容易よういにし、論文ろんぶん執筆しっぴつふくめた研究けんきゅう活動かつどう集中しゅうちゅうする環境かんきょうととのえる。さらに、医療いりょう現場げんばでは画像がぞう分類ぶんるいをAIにまかせることで、医師いし患者かんじゃとのコミュニケーションを円滑えんかつにすることをねらっている。

 設立せつりつから2ねん医療いりょう製薬せいやく農業のうぎょうなどのライフサイエンス分野ぶんやで「科学かがく加速かそくさせるAI」の実現じつげん邁進まいしんするエルピクセルの島原しまばらたすくもと代表だいひょう取締役とりしまりやくはなしうかがった。

エルピクセルの島原しまばらたすくもと代表だいひょう取締役とりしまりやく

「ライフサイエンスをサポートする」ビジネスモデル

 2014ねん設立せつりつのエルピクセルは、独自どくじ画像がぞう解析かいせき技術ぎじゅつかして医療いりょう製薬せいやく農業のうぎょうなどライフサイエンス分野ぶんや研究けんきゅう支援しえんする以下いか3つのビジネスモデルを構築こうちくしている。

 1つは、研究けんきゅうしゃ研究けんきゅうしつとの共同きょうどう研究けんきゅう受託じゅたく開発かいはつ設立せつりつ当初とうしょはアカデミアからのいがおもだったが、現在げんざいでは民間みんかん研究けんきゅう機関きかんとのコラボレーションが全体ぜんたいの3わりほどをめる。こうした共同きょうどう開発かいはつのほかに、研究けんきゅう現場げんば効率こうりつこう精度せいど支援しえんするコンサルティング業務ぎょうむ同社どうしゃ事業じぎょうとなっている。

 2つは、画像がぞう解析かいせきのノウハウをかした自社じしゃ開発かいはついちれいが、国立こくりつがん研究けんきゅうセンターとともに開発かいはつすすめる画像がぞう解析かいせきによるがん診断しんだん支援しえんソフトウェアの開発かいはつである。くわしくは後述こうじゅつするが、この技術ぎじゅつもちいることでがんのせいりつたかめ、早期そうき発見はっけん的確てきかく治療ちりょう可能かのうとなる。

 そして3つは、研究けんきゅうしゃのための画像がぞう処理しょり教育きょういくだ。現在げんざい医療いりょう製薬せいやく農業のうぎょうなどのライフサイエンス分野ぶんやでは、研究けんきゅうしゃの9わり論文ろんぶん画像がぞう使用しようしているという。しかしながら、大学だいがく講義こうぎなどで画像がぞう処理しょりまなんだことがあるひとはそのうちのたった3%しかいない。そこでエルピクセルでは、Adobeと連携れんけいした画像がぞう処理しょり教育きょういくプログラムを提供ていきょうしている。

将来しょうらいけてうごくAIによる画像がぞう解析かいせきシステム

 エルピクセルが現在げんざい展開てんかいしているのが、画像がぞう不正ふせい見抜みぬくアプリケーション『LP-exam』だ。テキストのコピーアンドペーストで作成さくせいされた論文ろんぶん検出けんしゅつするソフトはあるが、その画像がぞうばんといえばイメージしやすい。日本にっぽんでも画像がぞう不正ふせいにはじまるスキャンダラスな論文ろんぶんかいざん事件じけん記憶きおくあたらしいが、LP-examの出現しゅつげんには国内こくないのアカデミア、製薬せいやく会社かいしゃ研究けんきゅうしつだけでなく、海外かいがいからもねつ視線しせんおくられているという。

 しかし、展開てんかいはここだけではわらない。島原しまばらによれば、開発かいはつすすめるAIによる画像がぞう解析かいせきシステムでは、さらに2つのおおきなプロジェクトが将来しょうらいけてうごいているという。

論文ろんぶんでの画像がぞう不正ふせい利用りよう解析かいせきれい不自然ふしぜん改変かいへん見抜みぬいている。

 ひとつが、画像がぞう処理しょりによるストレスから研究けんきゅうしゃ解放かいほう支援しえんする「画像がぞう解析かいせきクラウドシステム」だ。

 画像がぞう解析かいせきには専門せんもんてきなスキルが必要ひつようだが、前述ぜんじゅつしたように研究けんきゅうしゃあいだ画像がぞう処理しょりまなんだことがあるひとはたった3%しかいない。こうしたスキルがないひとでも簡単かんたん画像がぞうあつかえるようにするには、現在げんざいひと」がやっていることをソフトウェアにおこなわせればいい。どうシステムの理想りそうは、あらかじめ用意よういされた質問しつもんこたえるかたち情報じょうほう入力にゅうりょくをすれば、自動的じどうてき画像がぞう解析かいせきソフトウェアができあがる。ゆくゆくは画像がぞう自動じどう管理かんり解析かいせきし、有用ゆうようなデータを自動じどう出力しゅつりょくする。まるでクラウドバックオフィスのようなAIを使つかった画像がぞう解析かいせきによる研究けんきゅう支援しえんこそ、島原しまばらう「科学かがく加速かそくさせるAI」の真髄しんずいだ。こちらはぜん世界せかいのアカデミアにけたみの将来しょうらいぞうち、2016ねんないには初期しょきばんをリリース予定よていだ。

 そしてもう1つ、先端せんたん技術ぎじゅつもちいて破壊はかいてきイノベーションをこそうというエルピクセルのビジョンとおおきく合致がっちするマーケットが医療いりょう分野ぶんやである。国立こくりつがん研究けんきゅうセンターとともに自社じしゃ開発かいはつすすめるがん診断しんだん支援しえんソフトウェアは、「医師いしささえるAI」として2020ねんでの実用じつようけて活躍かつやく期待きたいされている。

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