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日本は医療データ後進国?海外で進む医療ICT化の充実 : - ASCII STARTUP

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日本にっぽん医療いりょうデータ後進こうしんこく海外かいがいすす医療いりょうICT充実じゅうじつ

連載れんさい
ASCII×クリプラ 電子でんしカルテきほんのき

クラウドがたモデルも登場とうじょうし、拡大かくだいせる電子でんしカルテ領域りょういき。いま、医療いりょうはどこまでITすすんでいるのか。ASCIIによる最新さいしん情報じょうほう毎週まいしゅう連載れんさいでおとどけします。

だい12かいテーマ:電子でんしカルテ x 海外かいがい事例じれい

 安価あんかなコストにより、徐々じょじょ普及ふきゅうしているクラウドがた電子でんしカルテ。とはいえ、日本にっぽん診療しんりょうしょにおける電子でんしカルテ普及ふきゅうりつやく35%と、まだまだけっしてたか数値すうちとはえない。

 一方いっぽうスウェーデン、デンマーク、イギリス、オランダでは、すべての開業医かいぎょうい電子でんしカルテを使用しよう。フランス、アメリカでの導入どうにゅうりつはすでにやく70%にたっしているなど、欧州おうしゅう英語えいごけんでは幅広はばひろ利用りようされている(関連かんれん記事きじ)。

 カナダでは政府せいふ主導しゅどう電子でんしカルテの普及ふきゅう事業じぎょうすすめられていたり、アメリカでは分野ぶんやごとの診療しんりょう情報じょうほう共有きょうゆう民間みんかんのデータセンターでおこなっているなど、くにごとによってプロセスのちがいはあるが、医療いりょうICT充実じゅうじつ目指めざしているのだ。

 では、日本にっぽん医療いりょうデータ後進こうしんこくなのか? それについては、クラウドがた電子でんしカルテにくわしいクリニカル・プラットフォームがねこう康一やすいちろう代表だいひょう取締役とりしまりやくによる解説かいせつてほしい。なお、ほん連載れんさいでは、第三者だいさんしゃによる医療いりょう関連かんれん情報じょうほう確認かくにんとして、病院びょういん経営けいえい経営けいえいアドバイザーとしても著名ちょめいなハイズ株式会社かぶしきがいしゃの裵(はい)代表だいひょうによる監修かんしゅうけている。


電子でんしカルテのデータを医療いりょうしつ向上こうじょう活用かつようする」とはどういうことか

クリニカル・プラットフォーム代表だいひょう取締役とりしまりやく がねこうかん一郎いちろう

 2017ねん2がつ、OECD(経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう)のウェブサイトに下記かきのグラフが掲載けいさいされました。

 グラフのタイトルは「Countries’ readiness to use electronic health data for quality improvement」つまり、診療しんりょう記録きろくとして蓄積ちくせきされたデータを医療いりょうしつ向上こうじょう活用かつようする準備じゅんびととのっているかを2つのじく評価ひょうかしたものになります。このグラフによると、日本にっぽんたてじく(Data Governance)、よこじく(Technical and Operaational)のいずれにおいても、ここに掲載けいさいされている23ヵ国かこくなか最低さいてい評価ひょうかけています。

Countries’ readiness to use electronic health data for quality improvement

 「電子でんしカルテのデータを医療いりょうしつ向上こうじょう活用かつようする」というのは具体ぐたいてきにはどのようなことでしょうか? 上記じょうきのグラフでみぎじょう位置付いちづけられているイギリスでの事例じれいをご紹介しょうかいします。すこふるいですが、2013ねん東京とうきょう財団ざいだんしたレポート「英国えいこくプライマリ・ケア事情じじょう日本にっぽん医療いりょう制度せいど改革かいかくけたヒント」にまとめられています。

 以下いか、レポートから興味深きょうみぶか箇所かしょ抜粋ばっすいしてみました。(カッコない筆者ひっしゃ注記ちゅうき

・すべての国民こくみんはGP(かかりつけ)に登録とうろくすることが義務付ぎむづけられている
・GPごとの患者かんじゃ満足まんぞく時間じかんなどがネットで公開こうかいされていて、国民こくみんがGPをえらぶことができる
・(あるGPでは)登録とうろくされている8500にんのうち高血圧こうけつあつ患者かんじゃが1500にんのぼることが把握はあくできる
高血圧こうけつあつった1500にんのうち、血圧けつあつが150から90以下いかにコントロールされているひとは1200にんというデータを把握はあくできる
・(インフルエンザワクチンについて、登録とうろく患者かんじゃ)8500にんのうちハイリスクのひとは2500にんといったデータを把握はあくできるため、診療しんりょうしょはハイリスクのひと手紙てがみおくるとともに予防よぼう接種せっしゅ

 このように、イギリスでは電子でんしカルテに蓄積ちくせきされたデータを活用かつようして、患者かんじゃがかかりつけ選択せんたくするさい参考さんこうとなる情報じょうほう公開こうかいしたり、検査けんさ結果けっかから診療しんりょうしつ(ここでは血圧けつあつコントロール)を評価ひょうかしたり、エビデンスにもとづいた効率こうりつてき予防よぼう接種せっしゅおこなったりしていることがわかります。これらのみは、制度せいどとしての仕組しくみ(=たてじくのData Governance)と、診療しんりょうしょのICT(=よこじくのTechnical and Operaational)の両方りょうほうがそろってはじめて実現じつげんできます。

 ICTサービスを提供ていきょうするわたしたちのような企業きぎょう役目やくめは、クラウドがた電子でんしカルテを中心ちゅうしんとしたシステムを構築こうちくすることで、上記じょうきのようなデータが抽出ちゅうしゅつ分析ぶんせきでき、患者かんじゃ保険ほけんしゃ双方そうほうにとってメリットがせるというエビデンスを政府せいふ自治体じちたい提案ていあんしていくことだとかんがえています。


記事きじ監修かんしゅう

裵 えい洙(はいえいしゅ)MD, Ph.D, MBA
ハイズ株式会社かぶしきがいしゃ 代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう

著者近影 裵 英洙

1998ねん医師いし免許めんきょ取得しゅとく金沢大学かなざわだいがくだいいち外科げかげん心肺しんぱい総合そうごう外科げか)に入局にゅうきょく金沢かなざわ大学だいがくをはじめ北陸ほくりく3けん病院びょういんにて外科げかとして勤務きんむ。その金沢大学かなざわだいがく大学院だいがくいん入学にゅうがく外科げか病理びょうりがく専攻せんこう病理びょうり専門医せんもんい取得しゅとくし、大阪おおさか市中しちゅう病院びょういんにて臨床りんしょう病理びょうりとして勤務きんむ勤務きんむ時代じだい病院びょういんにおけるマネジメントの必要ひつようせい痛感つうかんし、10ねんほどの勤務きんむ経験けいけんて、慶應義塾けいおうぎじゅく大学院だいがくいん経営けいえい管理かんり研究けんきゅう慶應けいおうビジネススクール)にてMBA(経営けいえい学修がくしゅう)を取得しゅとく。2009ねん医療いりょう経営けいえいコンサルティング会社かいしゃげ、現在げんざいはハイズ株式会社かぶしきがいしゃ代表だいひょうとして、各地かくち病院びょういん経営けいえい経営けいえいアドバイザー、ヘルスケアビジネスのコンサルティングをおこなっている。

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