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ITが水田に入らない理由 北海道米の将来性について交わされたディスカッション (1/2) : - ASCII STARTUP

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ITが水田すいでんはいらない理由りゆう 北海道ほっかいどうまい将来しょうらいせいについてわされたディスカッション

市場いちば縮小しゅくしょう後継こうけいしゃ問題もんだいなど山積さんせきする課題かだい解決かいけつできるのか

特集とくしゅう
北海道ほっかいどう最先端さいせんたんTechを実装じっそう!「No Maps 2017」レポート

提供ていきょう: No Maps

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 「NoMaps 2017」初日しょにちのセッションリストにならんだ「のうMaps@No Maps ~北海道ほっかいどうべいLABO~」。農業のうぎょう人々ひとびとがそれぞれの立場たちばから北海道ほっかいどうまいについてかたり、パネルディスカッションにもおおくの時間じかんかれた。そのパネルディスカッションを中心ちゅうしんに、研究けんきゅうしゃ、IT企業きぎょう農協のうきょうなどそれぞれの立場たちば意見いけんていきたい。

バーチャルエンジニアリングによる農業のうぎょう革新かくしん可能かのうせい

 「のうMaps@No Maps ~北海道ほっかいどうべいLABO~」パネルディスカッションに参加さんかしたのは、北海道ほっかいどう農協のうきょう 青年せいねん協議きょうぎかい ふく会長かいちょう 堀田ほったあきら北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん 農学のうがく研究けんきゅういん じゅん教授きょうじゅ地域ちいき連携れんけい経済けいざいがく研究けんきゅうしつ小林こばやし国之くにゆき、システムデザイン開発かいはつ株式会社かぶしきがいしゃ 代表だいひょう取締役とりしまりやく 菅野かんの滿みつる農業のうぎょうデータ連携れんけい基盤きばん協議きょうぎかい ふく会長かいちょう 上原うえはらひろし、ホクレン農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい 米穀べいこく事業じぎょう本部ほんぶ米穀べいこく主食しゅしょく 課長かちょう補佐ほさ 松尾まつお一平いっぺい、フュージョン株式会社かぶしきがいしゃ 代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう 佐々木ささき卓也たくや多彩たさいかおぶれ。

 モデレーターは北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん 情報じょうほう科学かがく研究けんきゅう とくにん教授きょうじゅ 山本やまもとつよしつとめた。話題わだい農業のうぎょう機械きかい流通りゅうつう効率こうりつから、後継こうけいしゃ問題もんだいにまで幅広はばひろくおよんだ。(以下いか敬称けいしょうりゃく

北海道大学ほっかいどうだいがく大学院だいがくいん 情報じょうほう科学かがく研究けんきゅう とくにん教授きょうじゅ 山本やまもとつよし

山本やまもとなぜ農業のうぎょう衰退すいたいしていくのか。電気でんき量販りょうはんてんでルンバが簡単かんたんえる時代じだいになったのに、なぜロボット除草じょそうみたいなものは販売はんばいされないのか。そういったはなしあつまったみなさんでしていきたいとおもいます。

菅野かんの農家のうかほういたはなしなんですが、農業のうぎょう一生いっしょうで30かいしか勝負しょうぶできないってうんです。べいとくにそうで、えるタイミングもワンポイントなので完全かんぜんに1ねんに1かい勝負しょうぶです。これってクルマづくりとているんですよね。クルマの場合ばあい開発かいはつすうねんかかるので勝負しょうぶできる回数かいすうはもうすこすくなくなりますし、大切たいせつなのはやはりかん経験けいけんです。そしていま日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーにも危機きききています。

山本やまもとどういうことでしょうか。

菅野かんの農業のうぎょう自動車じどうしゃメーカーも、あたらしいことにトライする回数かいすうかぎられています。ところがクルマづくりにおいてはここに変革へんかくきているんです。たとえばドイツではコンピューター・シミュレーションでなんなん試作しさくかえし、クオリティーをげてきています。日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーはこのものづくり革新かくしんおくれをとったのです。

山本やまもとそれは農業のうぎょうえるとどのようなことになるのでしょうか。

システムデザイン開発かいはつ株式会社かぶしきがいしゃ 代表だいひょう取締役とりしまりやく 菅野かんの滿みつる

菅野かんの農業のうぎょうでは一生いっしょうに30かいしか勝負しょうぶできないといましたが、実際じっさいにはもっとすくなくなる可能かのうせいがあります。というのも、農家のうかのおやじというのはなかなかだいゆずらないからです。ぬまでゆずらないひともいます。そうするとわかひとが、父親ちちおやいていくのはむずかしくなる。そこで、たん生産せいさん効率こうりつげるのではなく、バーチャルエンジニアリングであたらしいものにトライする回数かいすうやしたり、それを自動的じどうてきかえすことでコンピュータが最適さいてきかいつけたりと、あたらしいくちがあるのではないかとおもうんです。

 生産せいさん現場げんばだけではなく、ITで市場いちば革新かくしんすることも必要ひつようかもしれません。北海道ほっかいどうのIT産業さんぎょう優秀ゆうしゅうですから、ITとべいむすびつくことで電子でんし市場いちば北海道ほっかいどうつくるなど、色々いろいろ流通りゅうつうルートにまれる必要ひつようもあるのかなとかんがえます。ホクレン(北海道ほっかいどう農協のうきょう)さんへの一極いっきょく集中しゅうちゅうではなく。

松尾まつお(ホクレンは)一極いっきょく集中しゅうちゅうではないし、そんな電子でんし市場いちばまれるならぜひ一緒いっしょにやっていきたいですよ。たしかに札幌さっぽろはIT産業さんぎょうさかんな地域ちいきですし、観光かんこう資源しげんもある。そういうほかの業界ぎょうかい協力きょうりょくしていくべきとはわたしかんがえています。とくに、北海道ほっかいどうまい道外みちそとっていく場合ばあいには、ITを使つかって物流ぶつりゅうコストをげたり、電子でんし決済けっさいれたりと、流通りゅうつうだけをてもさまざまな可能かのうせいがあるとおもいます。

農業のうぎょう機械きかいむずかしい理由りゆうと、解決かいけつ糸口いとぐちさぐ

山本やまもとルンバは簡単かんたんえるのに、水田すいでんようはしかた除草じょそうがなぜないのか。そちらについてはどのようにおかんがえですか?

北海道ほっかいどう農協のうきょう 青年せいねん協議きょうぎかい ふく会長かいちょう 堀田ほったあきら

堀田ほった個人こじんてきには、ぜひつくっていただきたいですね。水田すいでんには用水路ようすいろからみずをいれるパイプや排水はいすいがありますが、それらが設置せっちされているたかさや水田すいでんふかさなどは、圃場ほじょうによってばらばらなんですよね。じつわたしは、これらを統一とういつしてロボットがうごけるようにとかんがえて、すうねんまえから水田すいでんつくなおしをしています。まだみちなかばですが、ゲートの場所ばしょ排水はいすいふかさなどがまっていれば、ひとつの機械きかいですべての圃場ほじょうまわれるようになるとしんじてんでいます。

山本やまもとそれは面白おもしろいですね。水田すいでんつくりからえていくと。そういう発想はっそうがITがわ人間にんげんにないことが問題もんだいなのかもしれません。現状げんじょう田畑たはたて、それにわせた機械きかいつくるためにものすごく苦労くろうしています。でも、「んぼをこうしてくれたらひくいコストでいいものができる」ってはなしを、農家のうかにぎえばいいとおもうんです。ITがわは「なんでもうことをきます」って姿勢しせいでしょう?

佐々木ささきいやそんなことはありませんが(笑)

菅野かんのわたしたちは製品せいひんつくさいに、機能きのうだけではなくコストについてもかんがえます。どのような機能きのうものつくれば、どれくらいの価格かかくで、なんだいってもらえるのか。それをかんがえるときに一番いちばんりたいのは、機械きかい導入どうにゅうによってどれだけコストががるのかということです。

 たとえば大根だいこん場合ばあい、ロスりつが25%から30%もあるんですよ。それを5%でもげることができれば、そのぶん丸儲まるもうけですよね。だったら、センサーなどの設備せつび投資とうしをしても十分じゅうぶん投資とうしたい効果こうかられるなと。ぎゃくに100まんえんも200まんえんもするなら、人手ひとででやったほうがいいってことになります。

 コストの観点かんてんでもうひとつっておきたいのは、これは日本人にっぽんじん全体ぜんたいてき特性とくせいですが、あまり完璧かんぺきなものをもとめないことですね。できることとコスト、投資とうし効果こうか見極みきわめられれば、ロボットが農業のうぎょうはいっていく余地よちはあるし、ビジネスとしてもつとおもいます。

山本やまもと品質ひんしつというめんでは、一般いっぱん消費しょうひしゃけの製品せいひんづくりよりハードルはひくいんじゃないかと個人こじんてきにはかんじます。わたし自身じしん農家のうかそだったのでっていますが、農家のうかじつはエンジニアで、自宅じたく納屋なやという工場こうじょうっています。農業のうぎょう機械きかいだって故障こしょうすることがありますが、たとえば田植たうえのシーズンに機械きかいこわれたからといって修理しゅうりしているひまはありません。みんな自分じぶんなおして使つかうんです。そういう意味いみでは、一般いっぱん消費しょうひしゃくらべて完璧かんぺきではないものをける土壌どじょうっているとおもいます。

菅野かんのそうですね。わたしたちの製品せいひんも3ねんくらいかけて農家のうかひと一緒いっしょになってつくりあげてきました。簡単かんたんなロボットや簡単かんたん仕組しくみで解決かいけつできることって農業のうぎょう現場げんばにいっぱいあるとおもっています。人手ひとで解決かいけつするためにパートをやとうと時給じきゅう1000えんくらいのコストになりますが、おなじコストで機械きかいができればひとさが手間てまはいらなくなるし、ITからても面白おもしろいマーケットになります。

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