ASCII Power Review
第262回
3万円台はお買い得です!
最先端AIで被写体トラッキング飛行してくれる超小型ドローン「DJI Neo」実機レビュー
2024年09月06日 00時01分更新
文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団
DJIは同社で最軽量の135gボディーを実現した超小型ドローン「DJI Neo」を9月5日に発表した。基本モデルの価格は3万3000円、アクセサリーをセットにした「DJI Neo Fly Moreコンボ」の価格は5万7200円だ。
本製品はAIを活用した被写体トラッキング撮影機能を備えたVlog用新型ドローンだ。機体本体にはフルカバーのプロペラガードが装着されており、安心して手のひらの上から離着陸可能。また送信機やスマホを使用しなくても、撮影が可能だ(詳細設定にはスマホが必要)。
今回DJIから試用機を借りることができたので、どのぐらいの被写体トラッキング性能を備えているのか、手軽に撮影できるのかをチェックしてみよう。
DJI JAPAN「DJI Neo」3万3000円
DJIの技術を小型軽量化
超小型だが本格ドローンだ
「DJI Neo」は手のひらサイズの超小型本格ドローン。本体サイズは130×157×48.5mm、重量は約135g。前述のとおり、DJI製ドローンの中で最もコンパクトで軽い製品だ。
フルカバーのプロペラガードが装着されているので、プロペラに指が触れてしまう心配は少ない
本体サイズは130×157×48.5mm、重量は約135g
底面には「下方ビジュアルポジショニング」センサーを配置
小型化、軽量化に注力した「DJI Neo」だが、静止画は最大4000×3000ドット、動画は4K/30fpsで撮影可能。ただしイメージセンサーは1/2インチサイズ(FOV:117.6度、 焦点距離(35mm判換算):13 mm、絞り:f/2.8、フォーカス調整:0.6 m〜∞)を採用している。1インチイメージセンサーを搭載する上位モデルと比べれば、画質には割り切りが必要だ。
ジンバルは1軸メカニカルジンバルが採用されているが、強力な電子式手ブレ補正機能が組み合わされており、振動を抑える「RockSteady」、水平を保持する「HorizonBalancing」を利用できる。
カメラは1軸メカニカルジンバル(チルト対応)に装着。ジンバルの機械的可動範囲は-120度~120度、操作可能範囲は-90度~60度。背面にはUSB Type-C端子が用意されており、バッテリーの充電や、撮影データのコピーが可能
右側面(上)と左側面(下)。下面以外にセンサーは配置されていない
本製品には、機体本体、バッテリー(1個)、プロペラガード(1組)、スペアプロペラ(1組)、スペアプロペラねじ(4本)、ドライバー、ジンバルプロテクター、Type-C – Type-Cケーブル、説明書類をセットにした基本セット「DJI Neo」と、それに送信機、RCケーブル、バッテリー(2個)、2WAY充電ハブを追加した「DJI Neo Fly Moreコンボ」が用意されている。価格は前述のとおり、「DJI Neo」が3万3000円、「DJI Neo Fly Moreコンボ」が5万7200円。現在の為替相場を考えると、3.5万円切りは破格の設定だ。
この低価格を実現するために省略されたのが「障害物回避機能」。「DJI Neo」のセンサーは、上位モデルとは異なり、前面、背面、左右側面には搭載されていない。そのため、なんらかの障害物があった場合でも避けられない。プロペラガードを装着していれば、めったに破損することはないはずだが、飛行中は機体周辺にも注意を払う必要がある。
今回は「DJI Neo Fly Moreコンボ」を試用している
「DJI Neo Fly Moreコンボ」に同梱される「DJI RC-N3 送信機」
ボタン、スティックの配置は上位モデル用送信機を継承
スティックは下面の窪みに収納できる
「DJI Neo 2WAY充電ハブ」と「DJI Neoインテリジェントバッテリー」
この充電ハブは電源ボタンを長押しすれば、スマホなどのほかのデバイスを充電できる
「DJI Neoインテリジェントバッテリー」の
容量は1435mAh/10.5Wh、
重量は
約45g。
1個のバッテリーで「DJI Neo」は
約18
分間飛行可能だ。ただしプロペラガード
装着時は1
分短い
約17
分となる。
バッテリーの容量は1435mAh/10.5Wh
運動性能はモードによって変更可能だ。最大上昇速度は0.5m/s(シネモード)・2m/s(ノーマルモード)・3m/s(スポーツモード)、最大下降速度は0.5 m/s(シネモード)・2m/s(ノーマルモード)・2 m/s(スポーツモード)、最大水平速度は6m/s(ノーマルモード)・8m/s(スポーツモード)・16m/s(マニュアル モード)。運用限界高度は2000m、最大航続距離は7km、最大風圧抵抗は8m/sだ。
Wi-Fi経由でスマホと接続した際の制御範囲は最大50m、「DJI RC-N3 送信機」と組み合わせた際の映像伝送距離は最大10km。ただし日本国内では6kmまでとなっている。
機体の実測重量は1350g
バッテリーの実測重量は45.3g
DJIならではのAI処理により
実用上十分なトラッキング性能を発揮
今回は室内で被写体トラッキング自動撮影機能を試してみた。専用アプリ「DJI Fly」をスマホにインストール後、機体の登録(アクティベーション)、ファームウェアのアップデートを済ませると、飛行&撮影が可能だ。初回起動時はチュートリアルが自動的に立ち上がり、最初のテスト飛行を実行できる。
トラッキングは、メインカメラで撮影されている被写体をAI処理により認識することで実行されている。追従性は明らかに高い。急に走ったり、切り返しても被写体を追従する。また、フレーム内に逆光などが入っても被写体を見失うことがない。カメラの動きも自然で滑らかだ。
もちろん画像認識なので得手不得手はあるだろう。逆に言えば服の色などを工夫すれば実用上十分なトラッキング性能を発揮してくれるはずだ。
またホバリング中に指で強く突いても、すぐに元の位置に戻ってくれる。機体を回転させても、被写体を基準にして旋回し、正面位置に戻ってくれた。機体が軽いぶん最大風圧抵抗は8m/sとされているが、飛行安定性はかなり高いと思われる。
離着陸は手のひらから可能。ホバリング時に機体の下に手を差し出せば、いつでも着陸する
フレーム内に逆光などが入っても被写体を見失うことがない
指で
強く
突いても、すぐに
元の
位置に
戻る
スマホだけで接続した際の「DJI Fly」の画面。手動飛行も可能だ
スマホと送信機で接続した際の「DJI Fly」の画面。送信機のほうが直感的に操作できる
本製品の売りは、AIを使った被写体トラッキング機能「クイックショット」で手軽に利用できること。被写体の軌跡に沿って飛行する「フォロー」、被写体に向き合って後方に飛行して撮影する「ドローニー」、被写体の周りを旋回する「サークル」、垂直に上昇して被写体を撮影する「ロケット」、同じ位置でホバリングしつつ被写体を追いかける「スポットライト」などを実行すれば、離着陸以外フルオートで撮影可能だ。
クイックショットはあらかじめ「DJI Fly」で飛行半径や高度などを設定可能。つまり多少狭い場所でもクイックショットを実行できるわけだ。ただし距離を目測した場合には間違う可能性があるし、風の影響などで設定よりも流されることがある。安全に撮影するためには最小半径、最小高度から試したほうがよいだろう。
ちなみに、クイックショットは、スマホなしに実行可能。その場合には機体前方のボタンでクイックショットを選び、その後、長押しで実行する。スマホと接続することなく、サクッと撮影できるのは非常にお手軽だ。
クイックショットは5種類用意されている
高度や半径、またオプション項目を「DJI Fly」アプリから設定できる
機体前方のボタンでスマホなしにクイックショットを実行できる
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