米国時間の6月3日、アップルは年次開発者会議「WWDC 2019」を、米サンノゼで開催した。
WWDCが開催されている、米・サンノゼのマッケナリーコンベンションセンター。実は正面がLEDかなにかで光るようになっている。開催前日夜に撮影 今年も発表は、日々苦労している開発者に寄り添うようなメッセージ映像からスタートしている。彼らにアップルが感謝しつつ、「次はこうなるから一緒にさらにがんばろう」と鼓舞するのがWWDCの役割であり、開発者会議とはそうしたものだ。
基調講演冒頭のビデオより。苦労した仕事が完成した時の喜びと達成感は皆に共通の、至高の時。誰もがこんな表情になる 30周年を迎えるアップル最大の年次イベントだが、筆者もWWDCを取材するようになってずいぶん経つ。その中で、毎年が「シンプルに面白い年」だったか、というとそうではない。分析すれば興味深いが発表自体に大きな驚きはなかった年もあれば、シンプルに発表にワクワクした年もある。ネタが多いと思った年もあれば、そうでもない年もあった。
今年はここ数年で一番の「アタリ年」だ。ひとつひとつは決して大きなジャンプではない。だが、数年かけて準備した「これからに対する明確な意思」が、それぞれの発表から透けて見えるような基調講演だった、といえるのではないだろうか。
本誌向けには、特にAVに絡む部分の多い話を、ランキング形式で解説していこう。興味のあるものだけを拾い読みしていただいてもかまわないが、全体を読むと、アップルの戦略のイメージがよりつかみやすくなるだろう。
第1位:iTunesは死なず、ただ消え去るのみ
「iTunesがなくなる!」
そんな見出しがSNSを駆け巡っている。基調講演でも、まるでありし日を思い出すように、過去のMac版iTunesのスクリーンショットが多数紹介された。
いまやなつかしい歴代iTunes。この姿も見納めだ 一度にアルバムを数百枚持ち歩くことが不思議でない生活をあたりまえのものにし、音楽をCDからダウンロード販売へと移行させ、映画もディスクから解き放ったiTunesが「なくなる」となれば、確かに衝撃だろう。
だが、である。
「iTunesがなくなる」のは正しい。しかし、多くの人がiTunesの愛称で思い出す「コンテンツストアサービス」がなくなるかというと、まったく、全然そんなことはないのだ。
アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデレギ氏は、壇上でこう解説した。
「iTunesという“アプリケーション”は、生まれて以来、様々な機能を搭載してきた。カレンダーやSafariも搭載しちゃおう。ほら、バッチリでしょ?」
iTunesにカレンダー機能を……というのは冗談。あまりにiTunesが「なんでも袋化」していた現状を自ら皮肉った もちろんこれはジョークだ。そんなことなどあり得ない。
初期にはCDをリッピングして楽曲を管理するツールだったiTunesは、iPodの管理も手がけていた。一方、映像サービスがスタートし、iPhoneに代表されるiOSデバイスの管理も担当することになると、どんどん機能が肥大化していった。もはや「自分がかかわる一部の機能」しか、皆使っていないのではないか。
そこでアップルは、次期macOS「Catalina」で、iTunesという「アプリ」に大なたを振るう。
シンプルに「楽曲管理と購入」を担当する「Music」、ポッドキャストを担当する「Podcast」、そして映像を担当する「Apple TV」の3つでカバーすることになり、iTunes「アプリ」はその使命を終える。
これまでのiTunesが担ってきた機能は、基本的に3つのアプリに分かれる では、各種デバイスの管理はどうなるのか? macOS自体が行なうのだ。表示や機能は、ファイルブラウザーである「Finder」に移行する。iPhoneなどをMacにつないでも、iTunesはポップアップしてこない。
iPhoneなどの機器管理機能は「Finder」の仕事に。専用アプリはなくなる これはどういうことなのか? その辺は、アップルの歴史とも紐付いている。
iPodがアップルの中核製品だった頃(まだスティーブが元気で、名文句をガンガン放っていた時期だ)、アップルは「デジタルハブ戦略」を標榜していた。Macを車輪の中心(ハブ)にして、そこに様々なアップル製品がつながるという構造だ。ハブであるMacで動く管理アプリが「iTunes」だった。
だが、今は姿が違う。iPhoneというスタンドアローンデバイスが中心となり、データなどはクラウドサービスである「iCloud」に集約されるようになった。機器同士をケーブルでつなぐ必然性はない。もはやiTunesはハブではないのだ。だから、その役割は最初の仕事、すなわち「音楽」に戻ってくる。
これでおわかりだろう。
アップルの説明の中に、「音楽配信としてのサービス」が終わる、楽曲管理アプリが消える、といった話は一切ない。むしろサービスは、これからのアップルの柱であり、力は入っても消えることはありえない。解体されるのはあくまで「アプリ」だ。
ただ、Windows版については扱いが異なる。OS側でiOSデバイスを管理する機能は搭載されないからだ。「複雑だ」という矛盾は変わらないので、Windowsでも扱いが将来変わっていく可能性はあるが、今はなんのアナウンスもない。
Windows版のiTunesは出来が良くないので、そろそろお役御免の時ではないだろうか。正直「ときめかない」ので、感謝を捧げて退場してもらおう。
第2位:iPhoneから独り立ちしていく「iPadOS」
OSとして一番大きく変わったのが「iPad」だ。なにしろ、名前が「iOS」から「iPadOS」に変わったのだから。名前が変わった理由は、iPhoneからiPadの「独立」である。
過去のiPadは、iPhoneのOSを使って画面の大きなデバイスを作ったようなところがある。(実際には、iPadの原型を開発するところから、先に電話としてのiPhoneに派生したようだが)
iPadが「大きな画面でコンテンツを見る道具」という性質が強かった時代はそれでも良かった。だが、デベロッパーはどんどん大規模でクリエイティブなアプリを作るようになり、ユーザーもPCのような「日々の作業に使える」ものを求めるようになる。アップル自身も、特に2015年のiPad Pro登場以降、「クリエイティブな機器」という方向性を打ち出している。
そうなると気になるのは、「iOS由来の制約が、PC的な使い方を阻害している」ことだ。かといって、今のmacOSにタッチをつけて2-in-1にしても、iPadのもっている快適さは実現できない。「iOSから生まれて、iPadらしい操作方法で、PCやMacと並んで仕事ができる」ようになる必要があった。iPadのOSが「iPadOS」になったのはそういうことだ。
同じアプリを複数開いたり、マルチタスクでの切替を改善したり、USBメモリーやSDカードが扱えるようにしたりといったことは、PC・Macなら当たり前にできることだ。それを「iPadの操作体系」の中に落とし込むことに、アップルは相当の時間をかけたのだろう。
iPadOSではマルチタスク系機能を再び強化。単一アプリウインドウの複数同時利用や、スライドオーバーによるアプリ切替の使い勝手が上がっている 昨年秋に現行のiPad Proが出た時、「インターフェイスがUSB Type-Cに変わったのに、USBメモリーなどが使えないし、写真以外のファイルを扱うのも困難である」ことを批判した。だが、その状態もようやく改善される。写真をいったん「写真アプリ」にインポートすることなく、Lightroomなどのアプリで使うこともできるようになるのだ! イラストレーターがApple Pencilで描いた絵のデータをUSBメモリーに入れて人に渡す、なんてことも「ようやく」あたり前にできるようになる。
USBメモリやSDカードもようやく「普通に使える」ように iPad Proは、Apple Pencilのレイテンシー(描画遅延)がさらに短くなる。現在の20ミリ秒ですら、多くの人には十分だったろう。だが、さらに半分の「9ミリ秒」になった。しかも「OSのアップデートだけ」でだ。
iPad ProでのApple Pencilのレイテンシーが9ミリ秒に短縮。イラストレーターの方々には特にうれしい改善だろう こうした点も含め、iPadを「普通の道具として使える」環境がかなり整備される。2年前の「iOS 11」から続く方針だが、ようやく、ようやく「みんながそうなって欲しい」と思っていた形へと進化した、といっていいだろう。
第3位:着々と進化する「ARKit 3」、ついに人がCGの中へ
今回の新機能のうち、ビジュアル面でもっとも大きなインパクトがあったのは、iOS/iPadOS向けのARの進化だろう。
ARKit 3では、人の姿をARに取り込むために重要な「People Occlusion」とよばれる機能が搭載された。オクルージョンとは「隠蔽」のこと。「CGで人を隠蔽する」「人でCGを隠蔽する」ことで、大幅にリアリティを増す。同様のオクルージョンは「ポケモンGO」のナイアンティックが次世代技術として開発表明をしており、それを先取りするもの、とも言える。
この機能の価値をわかりやすく示すものとしてデモされたのが、Mojang(マイクロソフト傘下)の「Minecraft Earth」だ。先日トレイラーが発表されて話題になったが、実機プレイの様子が公開されるのは今回が初めて。人がMinecraftのオブジェクトに「隠れ」、さらにMinecraftの世界に入ってしまう様子は、ARゲームを次世代に進めた、素晴らしいビジュアルインパクトを持っている。
Minecraft Earthを初めて実機プレイ。People Occlusionを活用した、人がCGの中に入ってしまうような表現のインパクトが大きい この他にも、全身のモーションキャプチャに対応したり、複数の顔を同時に認識したり、「Collaborative Sessions」と呼ばれる、複数人で同時に同じAR世界を楽しめる機能が搭載されたりと、かなり大きな進歩がある。
現状、ARアプリはそこまでポピュラーではない。だが、現在の利用数を気にかけず、将来に向けて必要な要素をとにかく積み上げているのではないか、と思えるくらい、アップルはこの分野に積極的だ。
彼らは明示しないものの、ARKitを「今の機器だけでない、さらに先の存在」に向けた基盤技術」と位置づけているのではないか。
問題は、そういう次のデバイスが「いつ出てくるのか」だが。
なお、ARKit 3に関する詳しい情報は以下のページに記載されている。興味がある方は詳細をご確認いただきたい。
・Get Ready for ARKit 3
https://developer.apple.com/augmented-reality/arkit/
第4位:macOSとiPadはより「仲良し」に
新macOSである「Catalina」は、iPadとの連携が目立つ機能アップデートになった。
新macOSの愛称は「Catalina」に iPadをサブディスプレイとして使う「Sidecar」が注目されるが、それ以上に、iPadOS/iOS向けに開発されているアプリを少ない手間でmacOS用にする「Project Catalyst」の意味が大きい。
iPadをMacのサブディスプレイ化する「Sidecar」。サードパーティーが実現していた機能が、OSに取り込まれパターンの進化だ iPad用アプリをMac向けに提供しやすくする「Project Catalyst」。macOSアプリの市場活性化が目的か iPadは「有料アプリが売れる市場」として注目されている。ペンやカメラ、タッチといった新しい要素が多い事も、開発者を引きつける要因かもしれない。
だがやはり、大きいのは「市場性」だ。Mac用のアプリもニーズがないわけではない。だが、消費者の目が「新しいiPadアプリ」に向かっており、過去に比べてMac用アプリに向かわなくなったのも事実だろう。
そこで重要になるのが「Project Catalyst」だ。アプリの開発プロジェクトを、まずマネタイズのしやすいiPad向けとして立ち上げ、その後、パフォーマンスやキーボード入力など、「Macの方が良い部分」にも着目し、少ない工数でMac版を作る。そうすれば、開発者にとっては収益を得る機会はさらに大きくなる。
OSを単純にひとつにすれば、こうした問題はいらないだろう。だが、この10年で、PCのUIでタブレットのニーズは満たせず、タブレットの機能でPCのニーズが満たせないこともわかっている。両方から歩みよったOSを作る過程で、アプリの開発環境は共通化して楽にする……ということが重要なのだろう。
第5位:アップルは独自データで地図を「ふたたび高度化」
アップルは地図サービスにかなり力を入れている。地図用のデータを収集する通称「アップルカー」は、日本でも何度も目撃されている。
アップルのデータ収集車は世界中を走り、独自の地図サービス用データを作っている そこで作られたデータでアップルは地図をふたたびリニューアルする。といっても、まずは2019年内にアメリカをカバーし、「その他の国は来年に」という段階だ。だから、日本にいつ来るのかはまだわからない。
新しい地図では家が一軒一軒立体化され、Googleマップにおける「ストリートビュー」に相当する「Look Around」という機能が用意される。Look Aroundはストリートビューより相当に撮影データが多いようで、まるでアニメーションのようになめらかに街中を移動できる。
右がこれまでの、左が新しいデータによるアップルの地図。LIDARを使って立体構造をデータ化しており、建物の一軒一軒が3Dになっている Googleマップにおける「ストリートビュー」に相当する「Look Around」。データのリッチさによる「解像感」「なめらかさ」が特徴 Googleも地図データを自前で用意し、表示や検索能力の高度化、データ更新速度の高速化に注力している。結果として、日本では「地図品質の劣化」もあって非難された。だが本質のひとつは、これからの地図サービスにおいて、「過去のカーナビや表示用地図とは考え方の違うデータ」が求められるようになっているということであり、大手プラットフォーマーは、そこで地道にお金と時間と技術力を使っている……ということなのだ。
第6位:アップルはふたたび「プロ向け機材」に本気
ビジュアル的に「もっともインパクトのある発表」は、新しい「Mac Pro」と、その実質的な専用ディスプレイである「Pro Display XDR」の存在だろう。詳しくは実機レポートを用意したので、そちらをご覧いただきたい。
新Mac Pro(右)とPro Display XDR(左) Mac Pro。そのデザインは「良く言って賛否両論」だが、パワーだけは誰も否定できない。
アップルはPro Display XDRをマスターモニターであるソニーのBVM-X300と比較していた。「それだけの能力がある」ということなのだろうが、さすがにこの比較はアンフェアだ。あれはPC用のモニターのように「それを見て直接作業する」ものではなく、「作業しつつ確認するため」の専用機器だからだ。だから、解像度や使い勝手はPCモニターに劣る。しかし、色・輝度の忠実さや均質さでは確実に一定の信頼が置ける製品だ。価格も違うが方向性も違うものなので、本来比較には相応しくない。
ただ、これだけの品質のディスプレイと、8K/30pのProRes RAW編集を指向したプロ向けMacが出ることの価値は変わらない。
第7位:XboxとPS4のゲームコントローラーが「アップル標準」に!
ゲームファンにとって一番の驚きは、Apple TV向けのゲームパッドとして「Xbox One S」と「PlayStation 4」のコントローラーに対応したことではないだろうか。
アップル製品で「PlayStation 4」と「Xbox One S」のコントローラーが利用可能に。専用コントローラーからついに決別した 実はこれ、Apple TVだけの話ではない。iPhoneやiPadでも、iOS 13/iPadOS 13が登場すると、これらのコントローラーがあらゆるアップル製品で使えるようになる。従来は「Made for iPhone(MFi)」認証を受けた専用のコントローラーしか使えなかったが、「世界で広く普及している2つのコントローラー」(ティム・クックCEO)がそのまま使えることになって、利便性が増す。
この点については、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、マイクロソフトともに正式なアナウンスと歓迎のコメントを公表している。
SIEコメント
マイクロソフト・Xbox Live担当ディレクターのラリー・“Major Nelson”・ハリーブ氏のコメント
もちろんこれは、アップルが秋にスタートする定額制ゲームサービス「Apple Arcade」への下地作り。非常に納得のいく施策だ。
特にPS4の場合には、「リモートプレイ」が先日、正式にiOSにも対応しているのが大きい。これまではコントローラーのボタン数が、iOS向けとPS4向けでは違っていた。しかし、純正コントローラーが使えるなら、もはやなんの問題もない。
第8位:Apple WatchもiPhoneから「独り立ち」へ
Apple Watch用のwatchOSは、意外と大きなバージョンアップになる。健康管理系の機能ももちろん改善しているのだが、筆者がこの記事で注目するのは別の部分。狙いはiPadに似ており、「iPhoneからの独立」がポイントだ。
従来のApple Watchは、その能力が限られていたこともあり、アプリの処理主体は「iPhone側」だった。だが、それではできることも限られてくるし、アプリを呼び出すまでの動作も遅くなる。そのため現在のwatchOSでは、watchOS用のアプリが時計内に転送されて動くようになっている。
だがそれでも、その動作には制限がある。バッテリーやデータ容量を食いすぎないように、という配慮からだ。
だが、次のwatchOSでは制限が緩くなり、より「Apple Watchだけ使う」ことを想定した進化となった。
まず、App Storeが実装され、iPhoneなしでアプリがインストールできるようになった。AppStoreは、キュレーションもレビューもあり、iPhoneなどと同じレベルのものだ。
watch OS内にApp Storeが。Apple Watchだけでアプリが追加できるようになった そしてAV的に大きな進化は、「ストリーミングAPIを使ったアプリ」が作れるようになったのが大きい。音楽やスポーツ中継などのアプリは、これまでApple Watchアプリとしては作りづらかった。フィットネスに特化したもの、球場などでラジオ代わりに使うものなど、iPhone向けとはまた違う「音を楽しむ」体験があり得るのではないだろうか。
ストリーミングがWatch向けアプリで使えるようになったため、音声中継や音楽のアプリが作りやすくなる。写真はMLBの中継アプリ 第9位:AirPodsで「音楽のシェア」が可能に
完全ワイヤレス型ヘッドフォンの代名詞となったAirPods。アップルはこれもひとつの「プラットフォーム」にしようとしている節がある。今回はOSの中でなく、「Siriを絡めた機器」として、AirPods・HomePodなどの改善について発表が行なわれた。
特に多くの人に関係があり、興味深いのはAirPodsに関わる進化だろう。iOS 13では「Audio Sharing」という機能が搭載される。これは、近くにいる知りあいとBluetooth経由での音楽を「シェア」する機能。ヘッドフォンの片方を渡すように、それぞれのAirPodsで同じ音楽を聴く。そのためには、iPhone同士を近づけて認証する形になる。
Audio Sharingで近くの人に「音のおすそわけ」も可能に また、iOS純正のアプリだけでなく、メッセージアプリやチャットアプリなどの着信メッセージを読み上げ、返答する機能も搭載される。
どちらも、AirPodsをつけっぱなしにするような生活での利便性を高める機能と言える。
ただその性質上、本来は「AirPodsでなければ使えない機能」とは思えない。他のヘッドフォンでも可能なのではないか。その辺の確認がまだアップル側にできていないが、とにかく、「iOS 13世代では、ヘッドフォンをつけっぱなしにした生活をより想定している」と考えて良さそうだ。
第10位:「映像の窓口」として改善が続くtvOS
Apple TVはハードウエアの名称から「アップルの映像サービスの窓口」になった。iPhoneやiPadの上には「Apple TVアプリ」が登場し、macOSにも、秋登場のCatalinaにはApple TVアプリが搭載される。サムスンやLG、ソニーのテレビにも、年内に「Apple TVアプリ」が提供される。
ハードウエアとしてのApple TVはもうスローダウンなのか……と思っていたが、そうでもないようだ。tvOSもアップデートし、他のApple TVアプリとUIの統一が図られた。特にハードとしてのApple TVにとって重要なのは「マルチユーザー」機能の搭載だろう。サービスとしてのApple TVには、コア機能として「レコメンド」が組み込まれている。だから、Netflixなどの動画サービスがそうであるように、マルチユーザー化し、使う人に合わせて最適な状態にするのは当然といえる。
マルチユーザー機能が搭載に。レコメンドが強化されるなら必須の進化だ また、音楽にあわせて歌詞が表示される機能もつく。同じ機能はiOSなどの音楽アプリにも搭載されるようなので、Apple Musicの基本機能になる、ということなのだろう。
音楽の進行にあわせて歌詞も表示されるようになる 番外:「For All Mankind」が楽しみでしょうがない
アップルは秋開始のプレミアム映像配信サービス「Apple TV+」で準備されているオリジナルコンテンツについて、1つのタイトルの名前と内容を発表した。
タイトル名は「For All Mankind」。米ソの月着陸競争で、アメリカでなくソ連が勝利した世界を描いた、いわゆる「オルタナティブ・ヒストリー」ドラマだ。海外ドラマ好き・SFドラマ好きの筆者にいきなり刺さったので、個人的に楽しみでしょうがない。
Apple TV+オリジナルタイトルのひとつ「For All Mankind」。筆者が大好物なジャンルのドラマなので、いまから配信が楽しみだ こういう、「自分にとって期待できる作品をいくつ用意してくれるか」が、これからのサブスクリプションサービスへの加入のカギだ。もう「お得かどうか」で選ぶ時代ではない。