地上ちじょうの楽園らくえん…阿佐ケ谷あさがやの奇跡きせきのおひとりさま専用せんよう喫茶店きっさてん　極上ごくじょうかつ静謐せいひつな時間じかんを堪能たんのう

「結構けっこう人じんミルクホール 阿佐ヶ谷あさがや住宅じゅうたく」の外観がいかん

　先日せんじつ、東京とうきょう・杉並すぎなみ区くの南みなみ阿佐ケ谷あさがやに「結構けっこう人じんミルクホール 阿佐ヶ谷あさがや住宅じゅうたく」という、一風いっぷう変かわった喫茶店きっさてんがオープンした。店名てんめいは昔むかしながらの純じゅん喫茶きっさといった感かんじだが、扉とびらの張はり紙がみを見みると、「複数ふくすう人じんでの来店らいてんNG」という注意ちゅうい書がきがある。そう、ここは「おひとりさま」専用せんようの喫茶店きっさてんなのだ。

　確たしかに、2009年ねんのドラマ『おひとりさま』（TBS系けい）をきっかけに「おひとりさま」という言葉ことばが広ひろまって以降いこう、1人ひとり専用せんようカラオケ、1人ひとり専用せんよう焼やき肉にく、さらには1人ひとり専用せんようしゃぶしゃぶなど、さまざまなおひとりさまサービスが登場とうじょうしている。

　しかし、おひとりさま専用せんよう喫茶店きっさてんとは珍めずらしい。いったい、どんなところで、どんな人ひとたちが利用りようしているのか。実際じっさいに店みせを訪おとずれてみた。

爆ばく睡ねむする女性じょせいのおひとりさま

「結構けっこう人じん」は、東京とうきょうメトロ丸ノ内線まるのうちせんの南みなみ阿佐ケ谷あさがや駅えきから徒歩とほ10分ふんほどの閑静かんせいな住宅じゅうたく街がいにある。古こ民家みんか風ふうの外観がいかんで、入いり口くちにある木製もくせいの牛乳ぎゅうにゅう箱ばこが目印めじるしだ。

　店みせの外観がいかんは、カフェというより喫茶店きっさてん。いや、木製もくせいの牛乳ぎゅうにゅう箱ばこがあるレトロな入いり口くちは、むしろ古ふるびた民家みんかといった感かんじだ。

　店内てんないに入はいると、1人ひとりがけの椅子いすが7つあり、2つはすでに先客せんきゃくが座すわっている。内装ないそうも古こ民家みんかを思おもわせ、奥おくには本棚ほんだなが置おかれている。どこに座すわろうか困惑こんわくしていると、店主てんしゅが現あらわれて「お好すきな席せきへどうぞ」と案内あんないされた。

店内てんないの様子ようす

　メニューはコーヒーと2種類しゅるいのチーズケーキ、カフェオレ、ココア、ガトーショコラ。コーヒーはハンドドリップで淹いれたてを提供ていきょうしてくれる。また、1品ひんにつき1時じ間あいだ滞在たいざいOKというルールになっている。つまり、コーヒーとチーズケーキを頼たのめば、最大さいだい2時間じかんいられるわけだ。

　先客せんきゃくの女性じょせい2人にんを観察かんさつすると、1人ひとりは勉強べんきょう、もう1人ひとりは寝ねている。店内てんないはBGMが流ながれていないため、家いえにいるかのようにリラックスできるのかもしれない。

　ペルー産さんの豆まめを使つかったコーヒーは香こうばしくて味あじわい深ぶかく、自家製じかせいチーズケーキによく合あう。最初さいしょこそ落おち着つかなかったが、慣なれてくると、確たしかに1人ひとりで過すごすのにはぴったりの静しずかな空間くうかんといえるかもしれない。

コーヒーとチーズケーキ

実じつは12年ねん前まえにオープン、千駄木せんだぎから移転いてん

　とはいえ、なぜおひとりさま専用せんようなのだろうか。店主てんしゅの山本やまもと晋すすむ氏しに聞きくと、「最初さいしょから、おひとりさま専用せんようというわけではなかったんです。お店みせをやっているうちに、段々だんだんとそういうふうになっていきました」と語かたる。

「結構けっこう人じん」がオープンしたのは12年ねん前まえ。もともとは東京とうきょう・文京ぶんきょう区くの千駄木せんだぎにあったが、店みせが入はいっていた建物たてものが取とり壊こわされることになったため、南みなみ阿佐ケ谷あさがやに移転いてんしてきたのだという。