新垣あらかき結衣ゆい出演しゅつえんの広告こうこくは事故じこでも絶賛ぜっさん、矢口やぐち真理まりは出演しゅつえんしただけで批判ひはん＆放送ほうそう中止ちゅうし、なぜ？

矢口やぐち真里まり

　前回ぜんかいの本ほん連載れんさいでは、マーケティングの4Pにおける「Promotion」（プロモーション）を紹介しょうかいしたが、今回こんかいはそのなかでも企業きぎょうのPR活動かつどうのひとつである「パブリシティ」について、立教大学りっきょうだいがく経営けいえい学部がくぶ教授きょうじゅの有馬ありま賢治けんじ氏しに解説かいせつしてもらった。

パブリシティを演出えんしゅつしようとして炎上えんじょうしたauショップ

――マーケティングにおけるパブリシティの意味いみとは？

有馬ありま賢治けんじ氏し（以下いか、有馬ありま）　簡単かんたんにいうと、企業きぎょうなどが自社じしゃの情報じょうほうを報道ほうどう機関きかんに提供ていきょうし、ニュースとして報道ほうどうされるように働はたらきかける活動かつどうです。これは、お金かねを払はらってメディアに情報じょうほうを掲載けいさいしてもらう“広告こうこく”とは異ことなり、あくまでも主体しゅたいは報道ほうどう機関きかんにあります。例れいとしては、新聞しんぶんやテレビの特集とくしゅうコーナーで取とり上あげる新しん商品しょうひん紹介しょうかいやニュースでのイベントレポート、プレスリリースとして発信はっしんされた合併がっぺいなどの企業きぎょう情報じょうほうを取とり上あげたニュース記事きじなどがあげられます。

――広告こうこくとは違ちがう、パブリシティのメリットは何なにですか？

有馬ありま　報道ほうどう機関きかんからの情報じょうほうなので、受うけ手ては企業きぎょうが自画じが自賛じさんしている自社じしゃ商品しょうひんのCMとは違ちがう、といった視点してんでその情報じょうほうに接せっします。そのため、信頼しんらい性せいの高たかい情報じょうほうとして受うけ止とめてもらいやすい側面そくめんがあります。

――タレントのマツコ・デラックスさんは普段ふだん毒舌どくぜつな分ぶん、紹介しょうかいされた商品しょうひんをテレビで褒ほめると視聴しちょう者しゃは「本当ほんとうにいいものなんだ」と思おもい、売上うりあげが伸のびるという現象げんしょうがそうですね。では反対はんたいに、デメリットは？

有馬ありま　報道ほうどう機関きかんにニュースソースを提供ていきょうするかたちで告知こくちされるので、必かならずしも企業きぎょうが意図いとした内容ないようで報道ほうどうされるとは限かぎらないという点てんです。スポンサーやタイアップ商品しょうひんではないので、報道ほうどう機関きかんは提供ていきょう元もとの言いいなりになる必要ひつようはありません。極端きょくたんな話はなし、ダメな商品しょうひんやイベントとしてニュースや記事きじで扱あつかわれてしまう可能かのう性せいがある点てんでは、企業きぎょうにとってはデメリットでしょう。

――そういう意味いみでは、パブリシティとは企業きぎょうにとってはもろ刃はの剣けんですね。

有馬ありま　そうですね。もちろん費用ひようがかからないにもかかわらず宣伝せんでん効果こうかが大おおきい分ぶん、決けっして無視むしはできないプロモーション手段しゅだんなのですが、企業きぎょう側がわが好こう印象いんしょうを演出えんしゅつしようとして裏目うらめに出でることもあります。最近さいきんでいえば、auショップが顧客こきゃくへのアンケートに高こう評価ひょうかをつけるように書面しょめんでお願ねがいしたというニュースがありました。これは、アンケート結果けっかを受うけて、その満足まんぞく度どをプレスリリースとして情報じょうほう発信はっしんして、記事きじとして取とり上あげられてもらおうという意図いとがあったかと思おもわれますが、そのことが公おおやけになってしまいマイナスのパブリシティとなってしまいました。

ツイート拡散かくさんでむしろ宣伝せんでん効果こうかにつながるケースも

――SNS時代じだいなだけに、情報じょうほうを操作そうさしようとした事実じじつも広ひろまりやすいという一いち例れいのようです。