先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、経済制裁で凍結したロシアの資産を使ったウクライナ支援に関し、500億ドル(約7兆9000億円)規模の融資の枠組みを年末までに立ち上げることで合意した。調整に当たった財務省の国際部門トップ、神田真人財務官に日本の参加条件など今後の検討課題や新たな国際秩序形成への考え方、為替政策について話を聞いた。インタビューは19日に行った。
―G7でロシア凍結資産の活用策に合意した。
(昨年の)日本の議長国時に議論を始め、1年半くらいかけてようやくまとまった。本当に大きな成果だ。日本の融資は軍事に使われては困るし、凍結資産の特別な収益からきちんと返済されることができるよう、積極的に議論に貢献していく。条件が整えば融資に参加したい。
―G7以外の多数の国々との活発な2国間財務協議の狙いは。
(主に南半球の新興・途上国を指す)グローバルサウスの経済はものすごい勢いで拡大しており、その存在感は無視できない。気候変動など地球規模で協調した取り組みが求められる課題では、「先進国」対「途上国」という古い構図にとらわれず、人類社会を良くするために協力を求めている。2国間関係の強化に加え、グローバルな課題解決に向けて連携していく点においても意義深い。
―地政学的緊張が高まる中、日本の役割は。
地政学的な課題は、G7やG20(20カ国・地域)などの財務分野でも避けては通れない極めて重要な課題だ。領土を脅かされている国も多い。大国の間に挟まれている国々にとって、日本は中立的で建設的な立ち位置だと認識されることも少なくない。債務問題を含めグローバルな問題を解きほぐす上で、日本の存在が非常に有効だ。
―5月末に実施を公表した9.7兆円規模の為替介入は効果があったか。
投機による過度な変動への対応といった観点からはかなり効果があった。必要な対応を取る上で介入資金に限界はない。今後とも過度な変動に対してはしっかりと対応していく。
―円安への日米金利差の影響をどう見ている。
金利差も重要な要素の一つだが、為替相場は市場参加者のリスク許容度を含め森羅万象とも言えるさまざまな要因で決定される。足元の日米金利差は縮小傾向にある。各中央銀行の決定が市場に与える影響もよく注視していく必要があるし、私も各中銀とも緊密に意思疎通を図っているが、それだけではなく、あらゆる要素をしっかりと見極める。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/06/20-16:27)