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ジェーン・スーさんと山内マリコさんが対談 新機軸の物語、私たち世代が|好書好日
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ジェーン・スーさんと山内やまうちマリコさんが対談たいだん しん機軸きじく物語ものがたりわたしたち世代せだい

ひだり)やまうち・まりこ 1980ねん富山とやまけんまれ。作家さっか大阪芸術大おおさかげいじゅつだいそつ。2008ねんおんなによるおんなのためのR―18文学ぶんがくしょう読者どくしゃしょう。12ねん、『ここは退屈たいくつむかえにて』で作家さっかデビュー。著書ちょしょに『かわいい結婚けっこん』『あのこは貴族きぞく』など。 (みぎ)ジェーン・スー 1973ねん東京とうきょうまれ。作詞さくし、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活せいかつおどる」のパーソナリティー。著書ちょしょに『貴様きさまいつまで女子じょしでいるつもりだ問題もんだい』など。 <関田せきたわたる撮影さつえい

 コラムニストのジェーン・スーさんと作家さっか山内やまうちマリコさんが新刊しんかんエッセーを相次あいついで刊行かんこうしたのをに、東京とうきょう朝日新聞社あさひしんぶんしゃ読者どくしゃホールで公開こうかい対談たいだんした。日頃ひごろからご近所きんじょづきあいがあるという2人ふたりが、結婚けっこん恋愛れんあい男女だんじょ同権どうけんについて、刺激しげきてきいをひろげた。

社会しゃかいでも家庭かていでも「」たれ

 2人ふたりったのはすうねんまえ山内やまうちさんが現在げんざいおっととなる男性だんせい結婚けっこんすべきか、雑誌ざっし企画きかくでスーさんに相談そうだんにいったことがきっかけだったという。その、スーさんに背中せなかされた山内やまうちさんは結婚けっこん山内やまうちさんの『皿洗さらあらいするの、どっち?』(マガジンハウス、1296えん)は、同棲どうせい結婚けっこんとおしてかんじた家事かじ分担ぶんたんをめぐっておっとひろげた「闘争とうそう歴史れきし」をコミカルにえがいたエッセーしゅうだ。
 対談たいだんでは、山内やまうちさんが「わたしのほうがわりってるという場面ばめんおおくて。女性じょせい社会しゃかい進出しんしゅつすすんだのに、男性だんせい家庭かていない進出しんしゅつすすんでいなかったことにづいた」とした。スーさんは、「『皿洗さらあらいするの、どっち?』のこたえはしょくあらい食器洗しょっきあら)ってことです。無理むりをしてでも導入どうにゅうすべき」と会場かいじょうかせつつ、「家事かじのアウトソーシング(外部がいぶ)がもうすこすすんでもいいのでは。おかあさんが出勤しゅっきんまえ自転車じてんしゃうしろとまえどもをせて疾走しっそうして、はたらいて、かえってきたら家事かじをして。家庭かていない人権じんけんがないがしろになるような生活せいかつをよしとするのはどうかとおもう」。
 2人ふたりは、「主人しゅじん」「旦那だんな」という呼称こしょうについても、「じつはすごいかた」(山内やまうちさん)「他者たしゃ配偶はいぐうしゃへの呼称こしょうも『おくさま』などおっとよりおくはいっている印象いんしょう言葉ことば一般いっぱんてきで、それでは結婚けっこんにびびるひとおおくてたりまえではないかとおもう」(スーさん)と疑問ぎもんげかけた。
 スーさんの最新さいしんエッセー『今夜こんやもカネで解決かいけつだ』(朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん、1404えん)は、かたこり・腰痛ようつう緩和かんわのために、スーさんが日々ひびとおったマッサージの体験たいけんだ。「ただのレビューじゃなくて、はたらいているとつかれる、ねぎらいがほしい、ということがきたかった」。「あか他人たにんにおかねはらって、自分じぶん受容じゅようしてもらったうえやしてもらう」ということをつづった本書ほんしょさい終章しゅうしょうでは、「おんなやすのはおんな」と結論けつろんしている。
 山内やまうちさんは、「シンデレラの継母けいぼのいじめにせよ、『おんなてきおんな』をよろこぶエンターテインメントがおおすぎる。そこに抵抗ていこうする文化ぶんかをつくるのがわたしたちの世代せだいだし、わたし小説しょうせつこうとしているのは全部ぜんぶそういうことなんだとおもう」。スーさんは、自身じしん原作げんさく担当たんとうしたマンガ『中年ちゅうねん』(ナナトエリ新潮社しんちょうしゃ、778えん)で「わかくもかわいくもない女性じょせい主人公しゅじんこうにした。そういう物語ものがたりすくなかったから」とかし、「まだだれたこともないものをしていくことで、徐々じょじょ社会しゃかいらす。そういうなかからしん機軸きじくのカルチャーがてくるのかも」。
 質疑しつぎ応答おうとうでは、参加さんかしゃから「女性じょせい人権じんけん主張しゅちょう一方いっぽうで、男性だんせいきづらさが助長じょちょうされていないか」との問題もんだい提起ていきもあった。
 山内やまうちさんは、「そのふたつは表裏一体ひょうりいったい男性だんせい弱音よわねくちにできない風潮ふうちょうがあったが、女性じょせいされてかれらもきづらさをオープンに出来できるようになってきたのでは」。
 スーさんも、問題もんだいは「男性だんせいとくをする社会しゃかい」ではなく、「一部いちぶ男性だんせいとくをする社会しゃかい」とさい定義ていぎしつつ、「『わたしたちの権利けんりうばわれている』というはなしは、女性じょせい同士どうしはなしていると興奮こうふんしてきちゃう。結果けっかてき対話たいわがとりにくい被害ひがいしゃになってしまいがち。たれ、ということを大事だいじにしたほうがいいとおもいますね」とめくくった。(板垣いたがき麻衣子まいこ)=朝日新聞あさひしんぶん2017ねん4がつ30にち掲載けいさい

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