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自分の仕事を肯定する力をくれる 日本になくてはならない文学世界|好書好日
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自分じぶん仕事しごと肯定こうていするちからをくれる 日本にっぽんになくてはならない文学ぶんがく世界せかい

いけ井戸いど作品さくひんについてかたると、どんなクールなひとでもあつくなりますよね。なぜか、気持きもちがきたってくる。自分じぶん書店しょてんいんなかではクールな部類ぶるいだとおもっていますが(笑)、いけ井戸いど作品さくひんかんしては格別かくべつおもいがあり、ついあつかたってしまう。なかでも『半沢はんざわ直樹なおきシリーズ』は、おおくのひとける磁力じりょく半端はんぱではないとおもいます」 

 そうかた三省堂さんせいどう書店しょてん内田うちだつよしさん自身じしんいけ井戸いど作品さくひんとの決定的けっていてき出会であいは「半沢はんざわ直樹なおきシリーズ」だった。シリーズだいさくとなる『オレたちバブル入行にゅうこうぐみ』が刊行かんこうされたのが2004ねん。バブル時代じだい大手おおて銀行ぎんこう入行にゅうこうした半沢はんざわ直樹なおきは、銀行ぎんこう内外ないがいのさまざまな圧力あつりょく理不尽りふじん状況じょうきょうたたかい、困難こんなん状況じょうきょう打開だかいしていく。

「2013ねんのテレビドラマのだいヒットは、国民こくみんてき現象げんしょうといっても過言かごんではないでしょう。あれだけドラマがヒットしたのは、原作げんさく圧倒的あっとうてきちからがあってのことだとおもいます。やはりぼくらのおもいを作品さくひんなか代弁だいべんしてくれているというのが、一番いちばん魅力みりょくですよね。社会しゃかいきていくなかでかんじている鬱屈うっくつ抑圧よくあつを、半沢はんざわシリーズをむことで、見事みごと解消かいしょうすることができる。それが一番いちばん魅力みりょくだし、日本にっぽんになくてはならない文学ぶんがく世界せかいだとおもいます」

 三省堂さんせいどう書店しょてん有楽町ゆうらくちょうてんでは、半沢はんざわシリーズが入荷にゅうかされるとお客様きゃくさま店内てんないはこびこまれるだんボールばこむ、といった風景ふうけいられた。

たなならぶのがちきれないのでしょう。あそこまで『はやませてくれ!』かんがある作品さくひんは、そうありません。入社にゅうしゃして27としになりますが、のちにもさきにもいけ井戸いど作品さくひんだけです。ぼくも1ふんでもはや職場しょくばのちにし、とにかくはじめたかったのをよくおぼえています」

 その「半沢はんざわ直樹なおきシリーズ」だいさくが、『銀翼ぎんよくのイカロス』だ。日本にっぽんのナショナルフラッグである帝国ていこく航空こうくう経営けいえい危機ききおちいり、半沢はんざわ直樹なおき再建さいけんめいじられる。しかし政治せいじやそのきなどさまざまなてきが、半沢はんざわまえちはだかる。一方いっぽう東京とうきょう中央ちゅうおう銀行ぎんこう内部ないぶ合併がっぺい派閥はばつあらそいにまれ、行内こうないてきからもつぶされそうになる。つまり、まえにもうしろにもてきがいる、という状態じょうたいだ。

現実げんじつ社会しゃかいきていることとリンクしているところも、この作品さくひん面白おもしろさでしょう。しかも作品さくひん発表はっぴょうされてからすうねんたち、時代じだい俯瞰ふかん(ふかん)できるようになってからむと、さらに面白おもしろさが加算かさんされる。かえしてもふるびていないどころか、なおさら興奮こうふんできる小説しょうせつというのは、そうそうないとおもいます。これは『銀翼ぎんよくのイカロス』にかぎらず、いけ井戸いど作品さくひんすべてにつうじることですが」

 いけ井戸いど作品さくひんには、しんさるめい台詞せりふもたくさんあるが、内田うちださんがとくきなのは、終盤しゅうばんなみだなが帝国ていこく航空こうくう財務ざいむ部長ぶちょうやまひさにかける半沢はんざわのこの言葉ことばだ。

飛行機ひこうきばすのは、燃料ねんりょうでもコストでもない、ひとなんですよ。

 「どんな業界ぎょうかいでも、すべてはひとなのです。ビジネスがらいだときは、かならずどこかの信頼しんらいいがんでしまっているとき。そのことをさい確認かくにんさせてくれるこの台詞せりふを、つね自戒じかいねんめてめています」

 三省堂さんせいどう書店しょてんでは、書店しょてんいんたちがいけ井戸いど作品さくひん登場とうじょう人物じんぶつについて休憩きゅうけいしつあつかた光景こうけいがよくられたとか。そのはいりたいからいけ井戸いど作品さくひんはじめた書店しょてんいんもいるそうだ。

「『銀翼ぎんよくのイカロス』でえがかれているのは、日本にっぽん代表だいひょうするおおきな会社かいしゃ相手あいて仕事しごとです。一方いっぽう、たとえば『ななつの会議かいぎ』に登場とうじょうする女性じょせいは、会社かいしゃ社員しゃいんようのドーナツを販売はんばいするために奮闘ふんとうする。うちの女性じょせい書店しょてんいんはそれをんで、『仕事しごと大小だいしょうはない』とづかされたそうです。いけ井戸いど作品さくひんは、情熱じょうねつってなにかにむことのすばらしさや、ひとはなんのために仕事しごとをするのかをおしえてくれます。そして自分じぶんんでいる仕事しごと肯定こうていするちからあたえてくれるんですね」

 内田うちださん自身じしんは、わかころ小説しょうせつよりも、ノンフィクションなどのほうをこのんでいた。日本にっぽん中世ちゅうせい専攻せんこうしていた大学だいがく時代じだいは、小説しょうせつはまったくといっていいほどまなかったという。

学問がくもんとしての歴史れきしは、文献ぶんけんなどがなければ成立せいりつしない世界せかいです。それもあって、生理せいりてきにフィクションをけていたのかもしれません。ところが入社にゅうしゃして10とし文芸ぶんげいしょ担当たんとうになり、小説しょうせつはじめたら、まさにからうろこ本屋ほんや大賞たいしょうにかかわったおかげでもりさんの『永遠えいえん出口でぐち』をみ、本当ほんとうにぞくぞくしました。文学ぶんがく世界せかいはなんとゆたかで無限むげん可能かのうせいがあるのだろうとおもい、それからは小説しょうせつなしにはきられなくなった。いまでもいちにちに1さつ小説しょうせつんでいます」

 自分じぶん自身じしんなん小説しょうせつ気持きもちをすくわれたり、かんがえをえさせられた。小説しょうせつには、自分じぶんかた世界せかいえてくれるちからがあると、内田うちださんはう。だからこそ、おおくのひとに、そういったほん出会であってほしいというのが書店しょてんいんとしてのねがいだ。

いけ井戸いど作品さくひんは、ひとひととしてきていくうえみきになるものを、きわめて面白おもしろいエンターテイメントという手法しゅほうつたえてくれる。ですからぜひ、わかひとにこそんでほしいなとおもいます。これから社会しゃかいひとや、たばかりのわかひとにとって、絶対ぜったいちからになります。へこたれてしたきそうになったときも、めば背筋せすじびるし、『よし、明日あしたもがんばろう』とまえける。そしてはじめてむなら、やはり『半沢はんざわ直樹なおきシリーズ』をおすすめしたいですね」

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