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「教育格差」書評 数字で示す「緩やかな身分社会」|好書好日
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教育きょういく格差かくさ書評しょひょう 数字すうじしめす「ゆるやかな身分みぶん社会しゃかい

評者ひょうしゃ出口いでぐちおさむあきらあさ新聞しんぶん掲載けいさい:2019ねん09がつ07にち
教育きょういく格差かくさ 階層かいそう地域ちいき学歴がくれき (ちくま新書しんしょ 著者ちょしゃ松岡まつおか 亮二りょうじ 出版しゅっぱんしゃ筑摩書房ちくましょぼう ジャンル:新書しんしょ選書せんしょ・ブックレット

ISBN: 9784480072375
発売はつばい⽇: 2019/07/04
サイズ: 18cmせんちめーとる/360,21p

教育きょういく格差かくさ 階層かいそう地域ちいき学歴がくれき [ちょ松岡まつおか亮二りょうじ

 何事なにごとであれまっとうな議論ぎろんおこなおうとすれば「数字すうじ・ファクト・ロジックで」「エピソードではなくエビデンスで」かたらなければならないことは世界せかい常識じょうしきである。書店しょてん店頭てんとうならべられた新刊しんかんしょるたび、そういったまともなほんあまりのすくなさにいつもかなしくなる。本書ほんしょは、日本にっぽん教育きょういく実態じったい俯瞰ふかんてきとらえた数少かずすくない正攻法せいこうほう力作りきさくである。読後感どくごかんおもいが説得せっとくりょく半端はんぱではない。教育きょういく興味きょうみのあるひとにぜひとも一読いちどくしてもらいたいいちさつだ。
 著者ちょしゃ前口上まえこうじょうで、日本にっぽんまれそだった家庭かてい地域ちいきによって、何者なにものにでもなれる可能かのうせい制限せいげんされている「ゆるやかな身分みぶん社会しゃかい」だと指摘してきする。最初さいしょに、戦後せんごいつの時代じだいにも教育きょういく格差かくさがあったことをしめし、つぎ教育きょういく格差かくさ生成せいせいするメカニズムを幼児ようじ教育きょういく小学校しょうがっこう中学校ちゅうがっこう高校こうこうかく教育きょういく段階だんかいごとに解明かいめいしていく。公立こうりつ小学校しょうがっこう平等びょうどう装置そうちとして機能きのうすることが期待きたいされているが(だれもがおなじスタートラインにつ)、「まれ」によるそれまでの格差かくさをゼロにするほどのちからはなく、むしろ学年がくねんがるにつれ格差かくさ拡大かくだいする傾向けいこうにある。中学校ちゅうがっこうになると、都市としではこう学力がくりょくそう私立しりつけるため公立こうりつこう学力がくりょく小学校しょうがっこうより均質きんしつ平均へいきん低下ていか)する。日本にっぽん高校こうこう特異とくい偏差へんさ序列じょれつによって高校こうこうあいだおおきな学力がくりょく格差かくさしょうじている。国際こくさい比較ひかくおこなうと、日本にっぽん公平こうへいせいたかいわけでもひくいわけでもない、とても凡庸ぼんよう教育きょういく格差かくさ社会しゃかいだ。
 ひとには無限むげん可能かのうせいがあるが、本人ほんにんにはどうしようもない「まれ」が人生じんせい可能かのうせいおおきく制限せいげんしている現実げんじつたいして、なにができるのだろうか。著者ちょしゃは「分析ぶんせき可能かのうなデータを収集しゅうしゅうする」「教職きょうしょく課程かていで『教育きょういく格差かくさ』を必修ひっしゅうに!」というふたつの提言ていげんおこなっている。現状げんじょう把握はあくなき改革かいかくのやりっぱなしはめなければならない。分析ぶんせき可能かのうなデータを定期ていきてき取得しゅとくしなければ病変びょうへんひろがりがわからない。地味じみだがとても建設けんせつてき提言ていげんだ。つぎ政府せいふ社会しゃかいこたえるばんだ。
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まつおか・りょうじ ハワイ州立しゅうりつだい博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう早稲田大わせだだいじゅん教授きょうじゅ教育きょういくがく教育きょういく社会しゃかいがく)。論文ろんぶん多数たすう

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