赤あかちゃん図鑑ずかんの決定けってい版ばん「0さい～4さいこどもずかん英語えいごつき」　日本語にほんごも英語えいごも、言葉ことば遊あそびの感覚かんかくで楽たのしんで

文ぶん：日下くさか淳子じゅんこ、写真しゃしん：木村きむら雅章まさあき

お話はなしを聞きいた⼈

北川きたがわ美映みえ(きたがわ・みえ)編集へんしゅう者しゃ

株式会社かぶしきがいしゃ学研がっけんプラスのシニアプロデューサー。乳幼児にゅうようじから小学生しょうがくせいまで幅広はばひろいターゲットに向むけて本ほんの企画きかく編集へんしゅうをしている。対象たいしょう読者どくしゃのニーズ調査ちょうさに力ちからをそそぎ、従来じゅうらいとはちがう手法しゅほうや発想はっそうをちょこっともりこんだプロデュースが特徴とくちょう。これまで手てがけたヒット書籍しょせきとして、0～2歳さい向むけ絵本えほんの「おさかなちゃん」シリーズ、小学しょうがく女児じょじ向むけ読よみ物ものの「一期一会いちごいちえ」シリーズ、「王女おうじょさまのお手紙てがみつき」シリーズなどがある。『0さい～4さいこどもずかん英語えいごつき』を企画きかく編集へんしゅう。

0才さいの子こどもが絵えを見みながら反応はんのうしてくれる

――赤あかちゃんが出会であうはじめての図鑑ずかん絵本えほんとして、200万まん部ぶを超こえる大人気だいにんきとなった「0さい～4さいこどもずかん英語えいごつき」シリーズ。子こどもの身近みぢかにある食たべ物ものや生いき物もの、乗のり物ものの楽たのしい絵えが散ちりばめられている。ジャンル別べつの絵えの見みやすさ、めくりやすさの他ほか、英語えいごを併記へいきするなど、他たにはない工夫くふうが爆発ばくはつ的てきなヒットを生うんだ。

　この本ほんは図鑑ずかんというより、認識にんしき絵本えほんと言いわれているものです。実じつは、図鑑ずかんってどうやって読よんだらいいかわからない親御おやごさんも多おおいのですが、動物どうぶつや果物くだものなどの絵えがたくさん載のっていて、子こどもが指差ゆびさしたものを「ぞうさん」「りんご」と言いっていくだけで、対話たいわが広ひろがります。子こどもに「これなーんだ？」「〇〇はどこかなー？」と聞きいていけば、ポンポンと言葉ことばのリレーができるんです。自分じぶんの子こが何なんのジャンルによく反応はんのうを示しめすのかもわかりますし、特とくに第だい一いち子しができたばかりの初心者しょしんしゃママパパさんに喜よろこばれています。

　はじめ、この本ほんに興味きょうみを示しめすメイン層そうは、本格ほんかく的てきに言葉ことばを覚おぼえ始はじめる３、４歳児さいじの親御おやごさんかと思おもっていましたが、実際じっさいには０、１歳児さいじのママパパに人気にんきがあります。いまは早はやめに言語げんご学習がくしゅうをスタートさせたい親御おやごさんが多おおいですし、絵本えほんを見みる準備じゅんびにちょうどいいのかもしれません。１歳さい前後ぜんこうでものに興味きょうみが出でてきたな、というあたりでいい反応はんのうが出でてくるようで、そのうちに、親おやの言いった言葉ことばを繰くり返かえすようになります。「りんご」とママが言いったら「りんご」と言いってくれる、英語えいごで「ェアプル」と言いうと「ェアプル」と言いってくれる。あら、うちの子こ英語えいごもいけるのかも……なんて夢ゆめが広ひろがったりして（笑）。

　0歳さいでも絵えをじーっと見みるんですよ。特とくにこの本ほんでは、小ちいさい子こでも認識にんしきしやすいように、輪郭りんかくを線せんでくくったり、パーツをわかりやすく描えがいています。これを描えがいてくれたよしだじゅんこさんは、文房具ぶんぼうぐメーカーでデザインをされていた方ほうなんです。どんな絵えがパッと見みたときに目めをひくものか、よく研究けんきゅうされています。小ちいさいうちはまだ立体りったい感かんのある絵えを認識にんしきするのが得意とくいではないので、なるべく平面へいめん的てきに、大おおきいものは大おおきく、絵えの配置はいちもワクワクする感かんじが出でるように考かんがえられているんですよ。

思おもわず口くちにしてみたくなる英語えいごの読よみがな表記ひょうき

――この絵本えほんの特徴とくちょうのひとつに、英語えいごの読よみがな表記ひょうきがついていることがある。特とくに発音はつおんするときの口くちの形かたちを大事だいじにしていて、にんじんは「carrot ヶアラト」、すいかは「watermelonワーダメラン」と書かかれている。表記ひょうきについては悩なやみながらも、英語えいごの監修かんしゅう者しゃと議論ぎろんを重かさねた。

　発売はつばいされたとき、クチコミの感想かんそうで「英語えいご教育きょういくにぴったり！」なんて言いってくださる方ほうが多おおかったんですけど、私わたしはそこまでお勉強べんきょうを意識いしきして作つくってはいないんです。親子おやこでちょっとふざけて、英語えいごのところも口くちに出だしてみるぐらいで十分じゅうぶんだと思おもっています。最初さいしょは興味きょうみを持もたなくても、何なんカ月かげつか後のちに見みたら盛もり上あがれることもありますし。ママパパが英語えいごも口くちに出だしてみたい、と思おもうことが大事だいじだと思おもいます。

　読よみがなの表記ひょうきについては、いろいろご意見いけんもあると思おもいますが、一番いちばん実際じっさいの発音はつおんに近ちかい音おとを研究けんきゅうしています。きっかけは、シリーズ開始かいし当時とうじに人気にんきがあった「SmaSTATION!!」というテレビ番組ばんぐみ。英会話えいかいわコーナーがあって、本格ほんかく的てきな発音はつおん風ふうの読よみがなを使つかうというのが流行はやっていたんです。こどもずかんでは、たとえばタマネギの英語えいご読よみを、「オニオン」ではなくて「アニャン」と書かいています。本当ほんとうに？と思おもいながらも、ちょっと発音はつおんしてみたくなるんです。そういう遊あそび心ごころって大事だいじだなと思おもって。大人おとなが英語えいごを口くちにすることで、子こどもも興味きょうみを持もってくるんじゃないかと思おもいます。

――その後ご、「こどもずかん」シリーズとして、「まち」バージョンや「くるまとでんしゃ」バージョンをリリース。2018年ねんには「こどもずかん」のシリーズを再さい編集へんしゅうし、精査せいさしたベスト版ばん『0さい～4さいこどもずかん英語えいごつきよくばりバージョン』を発売はつばい。従来じゅうらい版ばんのい回いまわしや絵えが少すこしわかりにくいもの、古ふるさが出でたものなどを改訂かいていし、サイズも大おおきく見みやすくした。

　「よくばりバージョン」には、物ものだけじゃなくてページに女おんなの子こや男おとこの子このキャラクターを入いれました。どんな絵えのタッチが好このまれるのかなと、試作しさくを作つくってアンケート調査ちょうさも行おこないました。そうしたら、親おやは好このみが分わかれるのに、子こどもは90％以上いじょうがこの若干じゃっかんノスタルジーを感かんじるテイストを選えらんだのは驚おどろきでした。子こどもがこの本ほんでウキウキするのは、各かくページに絵本えほんっぽいストーリー感かんを盛もり込こんでいるからだと思おもうんです。カバを見みたら自然しぜんに「大おおきなお口くちで何なに食たべるのかな」とお話はなししたくなるような雰囲気ふんいきをかくし味あじにしています。

　ファッションにも、ちょっと気きを使つかっています。従来じゅうらい版ばんの体からだを説明せつめいする部分ぶぶんに、白しろいパンツの子こどもを入いれていたら、子こどもにも親おやにも違和感いわかんがあったようで、いまどき、白しろいパンツ履はいてる子こどもは見みたことないって笑わらわれて。なるほどと思おもい、「よくばりバージョン」では、かわいい水着みずぎの子こにしました。

　この図鑑ずかんに関かんしては「言葉ことばのお勉強べんきょう」と思おもわずに、親子おやこで楽たのしみながら言葉ことばを口くちに出だしてほしいなと思おもっています。子こどもとなかなか話題わだいが見みつけられないパパなどにも、会話かいわのとっかかりに使つかってほしいです。読よんでもらった後のちに自分じぶんで開ひらくようになった子こもいますし、子こどもが大おおきくなって、今度こんどは下したの子こに図鑑ずかんを見みせながら教おしえている、なんていう話はなしも聞ききました。「図鑑ずかん」「英語えいご」「言葉ことば」と言いわれると堅苦かたくるしく考かんがえて、苦手にがて意識いしきを持もつ親御おやごさんにも、「なんちゃって図鑑ずかんだから楽たのしんで大丈夫だいじょうぶ」と、ゆるくとらえて読よんでみてほしいですね。