「舞台ぶたいでしか味あじわえない喜よろこびがある」森田もりた 剛つよしが初はつの赤堀あかほり作品さくひん『台風たいふう23号ごう』に挑いどむ

非ひ効率こうりつだからこそ、味あじわえる喜よろこびがある

作品さくひんごとに強烈きょうれつな存在そんざい感かんを放はなつ俳優はいゆうの森田もりた剛つよしさん。10月には舞台ぶたい『台風たいふう23号ごう』に出演しゅつえんする。「稽古けいこは好すきです。人物じんぶつや関係かんけい性せいが次第しだいに立体りったい的てきになっていくところが面白おもしろい」。稽古けいこでの負荷ふかはあえて感かんじていたいのだそうだ。

「世よの中なか、どんどん効率こうりつ的てきになっています。でも、舞台ぶたい作づくりは全然ぜんぜん違ちがう。わかっているつもりが実じつは理解りかいしていなかったと気きづいたり、進すすみかけてまた戻もどって方向ほうこう性せいを見直みなおしたりという面倒めんどうな作業さぎょうがある。手間てまがかかるからこそ、舞台ぶたいでしか味あじわえない喜よろこびが僕ぼくはある気きがしています」

ダメな人ひとを演えんじるのは楽たのしい

数々かずかずの舞台ぶたいに出演しゅつえんしてきた森田もりた剛つよしさんが『台風たいふう23号ごう』で、ついに赤堀あかほり雅みやび秋しゅうさん作さく・演出えんしゅつの作品さくひんに挑いどむ。

「昔むかし、荒川あらかわ良りょう々さんに、きっと好すきだと思おもう、合あうんじゃないかな？みたいなことを言いっていただいて、それから赤堀あかほりさんの作品さくひんを観かんに行いくようになりました」

この取材しゅざいの時点じてんではまだ台本だいほんはできておらず、プロットによると今回こんかい、森田もりたさんは蒲鉾かまぼこ工場こうじょうで働はたらくバツイチの男性だんせい役やくになるらしい。

「間宮まみや（祥さち太朗たろう）くん演えんじる義弟ぎていから2万まん円えん借かりていて、浮気うわきをしていて、また別べつの女性じょせいにもちょっかいを出だすような男おとこみたいです。わかりやすいダメな人ひとを演えんじるのって実じつは楽たのしいんです（笑）」赤堀あかほり作品さくひんの魅力みりょくについては、「人間にんげんくささ」が表あらわれているところだと言いう。

「どれだけ酷ひどいことをしていても、出でてくる人ひとたちがみんなどこかチャーミングなんです。ダメな人ひとって、周まわりからは理解りかいされないけれど、本人ほんにんの言動げんどうには本人ほんにんなりの筋すじが通かよっている。その理由りゆうを見みつけるのも楽たのしいし、説得せっとく力りょくのあるダメな人ひとを演えんじられたらいいですね」

俳優はいゆうとしては、演出えんしゅつ家かの思おもい描えがくイメージを体現たいげんしたい。同時どうじに、そのイメージを超こえたいとも思おもっている。

「“（演出えんしゅつ家かに）こうしてほしい”と言いわれるのは一ひとつのルールのようなもので、そのなかで自分じぶんを解放かいほうする楽たのしみがあります。縛しばりがあるからこそ、自分じぶんに落おとし込こむ作業さぎょうが面白おもしろくなるんですよね」

訥々とつとつ（とつとつ）と話はなしながらも舞台ぶたい愛あいがひしひしと伝つたわってくる。なんでも飄々ひょうひょう（ひょうひょう）とこなす天才てんさい肌はだに見みえるが、作品さくひんに入はいると食欲しょくよくがなくなり痩やせてしまうのだそうだ。

「舞台ぶたいは特とくにそうですね。いろんな欲よくがなくなります。でも、食たべないと体からだがもたないから、何なにかしら摂取せっしゅするようにしていますが、何なにを食たべたのか覚おぼえてないんですよね（笑）」