ヒコロヒー「直感ちょっかん的てき社会しゃかい論ろん」：私わたしの好すきな季き節ぶし、五月ごがつについて考かんがえてみる

花はなは、咲さく時期じきを散ちらすべきである。あまりにも春はる、否いや、五月ごがつに集中しゅうちゅうしすぎているのではないのだろうか。その気持きもちはわかるのだが、私わたしだって花はななら春はるに咲さきたいに決きまっているのだが、何なにが嬉うれしくてようやく顔かおを出だした一生いっしょうの最もっとも美うつくしい時期じきを寒空さむぞらの下した、ないしは猛暑もうしょの中なかで過すごさねばならないのかと、私わたしが花はなでも五月ごがつにピークを設定せっていするだろうが、それでも、今いま一いち度ど、考かんがえ直なおしてみるのはどうだろうかと絵空事えそらごとを書かきしているのである。

個人こじん的てきな思おもいであるが、五月ごがつが最もっとも好すきな時期じきである。この時期じきが好すきな理由りゆうのひとつに、あふれんばかりの花はな々が露出ろしゅつしだすという点てんもある。魅力みりょく的てきな花はな々が五月ごがつのもとに一堂いちどうに会かいし、一斉いっせいにえんやそれやと花はなとしての実力じつりょくを見みせつけ出だすのである。ひとえに最高さいこうの時期じき、この時期じきが永遠えいえんにとは言いわないから四よんヶ月かげつくらいは続つづく仕組しくみにするべきだと真剣しんけんに気象庁きしょうちょうにお便たよりを送おくった経験けいけんさえある。

しかし現実げんじつはたった一ひとつ、五月ごがつはどうしたって一いちヶ月かげつ間あいだのみの期間きかん限定げんていフェアである。朝あさ起おきるだけで不安ふあんや悩なやみが溶とけ落おちるような快晴かいせい、日差ひざしは暖あたたかいのに快適かいてきに冷つめたい風ふう、花はなのみならず緑みどりまでもが弾はじけるように元気げんきになる。どうしてこんなに素晴すばらしい一いちヶ月かげつを過すごした後のちに、辛からく苦くるしい夏なつを過すごさねばならないのだろうか。

もし薔薇ばら（ばら）や牡丹ぼたん（ぼたん）やツツジに芍薬しゃくやく（しゃくやく）、ネモフィラすずらんポピーに藤ふじといった五ご月がつ中旬ちゅうじゅんオールスターが手分てわけをして五ご月がつからの脱出だっしゅつを謀はかり、各々おのおのに夏なつや冬ふゆに咲さくことをしてくれたのなら五ご月がつを失うしなった後のちの時間じかんをどれほど落おち込こまずに済すむだろうか。いくらなんでも五ご月がつに集合しゅうごうしすぎている。四よん月がつが多少たしょう引ひき取とっているとはいえ、これでは五月ごがつが忙いそがしすぎる。来年らいねん一いち度ど、手分てわけしてくれないだろうか。このままでは五ご月がつを失うしなったばかりの私わたしはしばらく立たち直なおれなさそうなのである。