東京とうきょうオリンピックのほとんどの競技きょうぎ観客かんきゃくとなることが発表はっぴょうされた。開幕かいまくまで2週間しゅうかんというタイミングでの発表はっぴょうに、世界中せかいじゅうおどろくというよりもあきれている。

 オリンピック組織そしき委員いいんかい混乱こんらんは、大会たいかい運営うんえいだけでなくメディア対応たいおうにもあらわれている。メディアにとって今頃いまごろ本来ほんらいならば精力せいりょくてき直前ちょくぜん取材しゅざいおこなっていたはずの時期じきだが「組織そしき委員いいんかい対応たいおう不透明ふとうめいで、不安ふあんとストレスでいっぱい」というこえ各地かくちからこえてくる。

国立こくりつ競技きょうぎじょう付近ふきんはオリンピックムード一色いっしょく ©時事通信社じじつうしんしゃ

 筆者ひっしゃ普段ふだんはアメリカで陸上りくじょうなどを中心ちゅうしん取材しゅざいをしているジャーナリストで、東京とうきょうオリンピックの取材しゅざいパスは個人こじん取得しゅとくした。取材しゅざいパスを取得しゅとくしたジャーナリストやメディアには、組織そしき委員いいんかいから入国にゅうこく手続てつづきやコロナ検査けんさかんする資料しりょう入国にゅうこくしてからの行動こうどう規制きせい取材しゅざい規則きそくなど膨大ぼうだい資料しりょう連日れんじつおくられてくる。しかしメディアの担当たんとうしゃによると、その対応たいおうが「オリンピック史上しじょう最高さいこう難易なんい」だというのだ。

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 海外かいがいメディアが取材しゅざいのために日本にっぽん渡航とこうする場合ばあい搭乗とうじょうまえ96時間じかん以内いないに2かい検査けんさ必要ひつようとなる。しかし日本にっぽん政府せいふ指定していする検査けんさおこな医療いりょう機関きかんかぎりがあるため、メディアの「コロナ対策たいさく責任せきにんしゃ」はかく医療いりょう機関きかんへの連絡れんらく書式しょしき確認かくにん予約よやくおこな必要ひつようがある。検査けんさから入国にゅうこくまでに週末しゅうまつをはさむ場合ばあいなどは、検査けんさ結果けっかうかヤキモキさせられる。

わせをしてもまともな応答おうとうはない

 入国にゅうこくまえには、入国にゅうこく2週間しゅうかん取材しゅざい予定よていひょう出国しゅっこく予定よてい提出ていしゅつ義務ぎむづけられている。しかし、その提出ていしゅつ方法ほうほうがなんとwebフォームではなくExcel入力にゅうりょくくわえて組織そしき委員いいんかいからとどいたファイルがせんようだったり、PDFファイルがけないなど不備ふびおおく、りまでの日数にっすう極端きょくたんみじかあいだわないひと続出ぞくしゅつした。

メディアセンターに指定していされている東京とうきょうビッグサイト Ⓒ文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう 撮影さつえい宮崎みやざきまこと

 わせをしても「期日きじつまでにおくってください。りにわない場合ばあいは、記者きしゃしょう無効むこうにします」という返信へんしんだけがかえって状態じょうたいでは、かくメディアのコロナ対策たいさく責任せきにんしゃもお手上てあげである。

 無事ぶじ書類しょるい提出ていしゅつしても、油断ゆだんはできない。活動かつどう予定よていひょうおくっても組織そしき委員いいんかいからは「受理じゅりされた」とも「拒否きょひされた」とも連絡れんらくはない。わせへの返信へんしん当然とうぜんなく、受理じゅりされたとしんじてスタッフを日本にっぽんおくしたら、入国にゅうこくに「予定よていひょう許可きょかりていない」とわれたメディアさえある。実際じっさい書類しょるい不備ふびがあり、空港くうこうから強制きょうせい送還そうかんになったケースもあるという。