「やはり藤井ふじい聡さとし太ふとしさんの影響えいきょう力りょくは強つよい」“AI時代じだい”のプロ養成ようせい機関きかん・奨励しょうれい会かいは、以前いぜんと何なにが変かわったのか

　プロ棋士きしになるための登竜門とうりゅうもんともいうべき奨励しょうれい会かい（正式せいしき名称めいしょうは「新進しんしん棋士きし奨励しょうれい会かい」）。その頂点ちょうてんに位置いちする三さん段だんリーグを筆頭ひっとうに厳きびしい戦場せんじょうというイメージがクローズアップされがちだが、その内実ないじつはどうなっているのか――。幹事かんじとして奨励しょうれい会かいに携たずさわった中村なかむら修おさむ九きゅう段だん、北浜きたはま健介けんすけ八はち段だん、黒沢くろさわ怜れい生せい六ろく段だんの座談ざだん会かいをお送おくりする。

奨励しょうれい会かいへ入会にゅうかいするきっかけは

――今回こんかいはお集あつまりいただき、ありがとうございます。まず皆みなさんにとって、奨励しょうれい会かいとはどのような場所ばしょだったのでしょうか。

中村なかむら　アマチュア時代じだいに「将棋しょうぎが好すきで、強つよくなりたい」という思おもいが出でてきたときに、そこにあったのが奨励しょうれい会かいですね。プロになりたいというより、強つよい人ひとと指さしたいという思おもいが強つよく、そのための場所ばしょでした。

　入会にゅうかい後ごは3年ねん7ヵ月かげつで四よん段だん昇段しょうだんですからまあ順調じゅんちょうでしょう。当時とうじは三さん段だんリーグがなかったのも大おおきいですね。私わたしがプロ入いりした年とし（1980年度ねんど）に8人にん、その翌年よくねんに5人にんが四よん段だんになって、これは日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめいの財政ざいせい的てきにまずいと、数すう年ねん後ごに三さん段だんリーグが復活ふっかつしました。負おい目めとまでは言いわないけど、思おもうことはありますね。

北浜きたはま　私わたしが入会にゅうかいしたのは昭和しょうわ63（1988）年ねんで、昭和しょうわ最後さいごの奨励しょうれい会員かいいんです。アマチュア時代じだいには内田うちだ昭吉しょうきち先生せんせいの厚木あつぎ王将おうしょうに通かよっていて、先輩せんぱいの勝又かつまたさん（清和せいわ七なな段だん）、鈴木すずきさん（大だい介かい九きゅう段だん）、高野たかのさん（秀行ひでゆき六ろく段だん）がすでに奨励しょうれい会かいに入はいっていました。周まわりが奨励しょうれい会かいを受験じゅけんしているので自分じぶんも受うけたいな、と。覚悟かくごも決意けついもなかったので、親おやには反対はんたいされました。

　入会にゅうかい試験しけんは1度ど落おちて2回かい目めに受うかりました。その時ときの幹事かんじが滝たき先生せんせい（誠一郎せいいちろう八はち段だん）と松浦まつうら先生せんせい（隆一りゅういち七なな段だん）で、初はじめての例会れいかいではそれまで経験けいけんしたことがない厳きびしい雰囲気ふんいきに圧倒あっとうされました。中学ちゅうがく1年ねんでしたが、大変たいへんなところに来きてしまったなと。奨励しょうれい会かいは5年ねんで抜ぬけることができましたが、最初さいしょの幹事かんじがこの両りょう先生せんせいだったのは幸運こううんでしたね。

黒沢くろさわ　私わたしが奨励しょうれい会かいに入はいったのは2003年ねんですが、研修けんしゅう会員かいいんだったので自然しぜんな流ながれでの奨励しょうれい会かい入いりでしたね。その翌年よくねんに永瀬ながせさん（拓つぶせ矢や九きゅう段だん）、佐々木ささきさん（勇気ゆうき八はち段だん）が入はいってきて、それまでの緩ゆるい空気くうきが厳きびしくなった感かんじがあります。い方いかたは悪わるいですけど、遊あそびながらやっている人ひともいたところにマジメ軍団ぐんだんが入はいってきて、それが大半たいはん。今いまは真面目まじめな会員かいいんが多おおいですが、その始はじまりが永瀬ながせ・佐々木ささき組ぐみだったという気きがします。