奈何なに乎萬まん乘の之これ主あるじ釋しゃく人ひと而任にん法ほう哉。且世よ未み嘗無む賢けん也。求もとむ賢けん之これ務つとむ，非ひ其道みち、故こ常つね不ふ遇ぐう之これ也。除じょ去さ湯ゆ、武たけ聖きよし人ひと之これ君きみ任にん賢けん之これ功こう，近ちか觀かん齊ひとし桓，中なか才ざい之これ主あるじ耳みみ，猶なお知ち勞ろう於索さく人ひと，逸いっ於任にん之これ，不ふ疑うたぐ子こ糾之これ親おや，不ふ忘射い鉤かぎ之これ怨，蕩とろけ然しか而委ゆだね政せい焉。不ふ已やめ明あきら乎。九きゅう合ごう諸しょ侯ほう，壹いち匡ただし天てん下した，不ふ已やめ榮さかえ乎。一いち曰仲なか父ちち，二に曰仲なか父ちち，不ふ已やめ優ゆう乎。孰與あずか秦はた二に世よ懸かか石いし程ほど書しょ，愈いよいよ密ひそか愈いよいよ亂らん，為ため之これ愈いよいよ勤つとむ，而天てん下した愈いよいよ叛，至いたり於弑死し，以斯二に者もの觀かん之これ，優ゆう劣れつ之これ相そう懸かか，存そん亡ほろび之これ相そう背せ，不ふ亦また昭あきら昭あきら乎。夫おっと人ひと生せい莫不ふ欲よく安やす存そん而惡あく危亡ほろび，莫不ふ欲よく榮さかえ樂らく而惡あく勞ろう辱はずかしめ也。終おわり恒つね不ふ得とく其所ところ欲よく，而不ふ免めん乎所ところ惡あく者もの何なに，誠まこと失しつ道みち也。欲よく宮みや室しつ之これ崇たかし麗うらら也。必懸かか重おも賞しょう而求もとむ良りょう匠たくみ，內不ふ以阿おもね親おや戚，外そと不ふ以遺のこ疏遠とお，必得とく其人ひと，然しか後のち授之これ，故こ宮みや室しつ崇たかし麗うらら，而處しょ之これ逸いっ樂らく，至いたり於求もとむ其輔佐さ，獨どく不ふ若わか是これ之これ公おおやけ也。唯ただ便びん辟親おや近ちか者もの之これ用よう，故こ圖ず國くに不ふ如圖ず舍しゃ，是これ人ひと主あるじ之これ大だい患也。